国民本位の社会保険行政の確立と
すべての職員の雇用確保に全力をあげる決議


 社会保険庁改革は、新たな局面を迎えている。政府・与党は6月30日未明、参議院本会議で「改革」2法と年金時効撤廃特例法の採決を強行し、可決・成立させた。通常国会を通じて重要法案の強行採決を十数回も繰り返し、会期延長を強行した上での暴挙である。社会保険庁「改革」法の審議は、全く不十分であり、議会制民主主義を踏みにじる安倍内閣の姿勢を象徴的に示したものである。その帰結として、参議院選挙で国民の審判が明確に下された。

 社会保険庁改革は、社会保障制度の縮小・後退と表裏一体で押し進められている。改革は、公的年金制度を改善するものでは決してない。国民の関心事である年金記録問題の発生原因と責任の所在を解明し、その解決にふさわしい体制の確立を要求する。日本年金機構法を当面凍結し、老後が安心して暮らせる年金制度と組織・機構を要求する。  国民の信頼に応える道は、安心して暮らせる年金制度をつくることであり、社会保険を限りなく民間保険に近づける改革ではない。憲法25条の理念を活かす最低保障年金制度の確立は、現実の政策課題になっている。社会保障の立場で制度の拡充・改善をめざし奮闘することが大切である。

 雇用確保のたたかいは、重要な段階に入る。今後、全国健康保険協会及び日本年金機構の採用基準や労働条件などの考え方が示される。法律には、職員の引き継ぎ規定がなく、非常勤の雇用について、一方的な雇い止めが懸念されている。新組織の採用手続きは、「国鉄分割・民営化」の時と同様の仕組みになっている。日本年金機構で行う業務と民間委託業務の振り分け、職員採用の基本事項は、内閣官房の第3者委員会で審議し、閣議で決める段取りになってる。政治的、恣意的に公務員リストラとなる分限(解雇)処分を行うことは許されない。職場に働くすべての仲間の切実な要求に応えて、たたかい抜く。

 社会保険庁改革は、公務全体に大きな影響を及ぼしている。国公労連に結集し、国公産別規模でたたかい、国民的な課題に押し上げ、共同の取り組みに発展させることが大切である。「国民とともにたたかう」−この合言葉は、どんな時でも、忘れてはならない。さらに、社会保険職場のすべての仲間を視野に入れ、職場の仲間と対話し、励まし合うことを徹底的に重視する。社会保険庁改革のねらいと本質を国民の中に明らかにし、職員の雇用を守り、国民の願う社会保険行政の確立をめざし、組織の総力をあげて奮闘する。
 以上、宣言する。
2007年9月16日
全厚生労働組合第71回定期大会



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