全厚生第71回定期大会議案 目   次 <第1号議案> 2007年度運動方針(案) はじめに  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 T 06年度経過報告  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2  1. 社会保険庁改革に対する取組み・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 (1) 社会保険庁解体・民営化法案に対する取組み ・・・・・・・・・・・・・2 (2) 年金記録問題に対する取組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 (3) 全国健康保険協会設立に対する取組み ・・・・・・・・・・・・・・・・4 (4) 人事評価制度の改善を目指す取組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・5 (5) 業務問題に対する取組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 2. 人員増、賃金・労働条件等の改善を目指す取組み ・・・・・・・・・・・5 3. 国民的諸課題の前進を目指す取組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・7 4. 憲法改悪に反対し、平和と民主主義の前進を目指す取組み ・・・・・・・8 5. 組織強化・拡大の取組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 U. 06年度運動の総括 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 V. 情勢の特徴 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 1. 民主主義を冒涜する安倍内閣 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・12 2. 政治に大きく影響を及ぼす経済界の動き ・・・・・・・・・・・・・・・13 3. 憲法「改正」にむけた危険な動き ・・・・・・・・・・・・・・・・・・14 4. 公務員制度をめぐる動き ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・15 5. 職場を取り巻く情勢 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16  6. 国民的運動の前進を目指して ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17 W. 運動の基本的課題と具体的取組み ・・・・・・・・・・・・・・・・19 1. 社会保険庁改革に対する取組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19 (1) 社会保険闘争委員会(仮称)を設置し運動の強化・前進を目指します ・・19 (2) 職員の雇用・労働条件確保に全力を挙げます ・・・・・・・・・・・・・20 (3) 国民本位の社会保険庁改革と業務・労働条件の改善を目指す取組み ・・・20 2. 安心して暮らせる社会保障制度の確立を目指す取組み ・・・・・・・・・21 3. 定員削減に反対し、賃金・労働条件などの改善を目指す取組み ・・・・・22 (1) 行政需要に見合った人員増、賃金労働時間短縮など労働条件改善の取組み 23 (2) 働くルールの確立を目指す取組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・23 (3) 労働基本権回復、民主的公務員制度確立を目指す取組み ・・・・・・・・24 4. 国民のための厚生科学研究を目指す取組み ・・・・・・・・・・・・・・24 5. 国民のための障害者福祉を目指す取組み ・・・・・・・・・・・・・・・25 6. 憲法改悪に反対し、平和と民主主義の前進を目指す取組み ・・・・・・・26 7. 「構造改革」に対峙する国民的共同の発展を目指す取組み ・・・・・・・26 (1) 国民生活破壊の「構造改革」に対峙する国民的運動 ・・・・・・・・・・26 (2) 公務の民間開放・「公共サービスの商品化」に対する取組み ・・・・・・27 8. 組織強化・拡大を目指す取組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・27 (1) 職場活動の前進、組織強化・拡大の取組み ・・・・・・・・・・・・・・28 (2) 学習、教宣活動の取組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28 (3) 女性部の取組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29 (4) 青年対策部の取組み ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29 <第2号議案> 2007年度財政方針と予算(案) T 2006年度会計決算報告 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30 U 2007年度財政方針と予算(案) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・36 <第3号議案> 予備費の支出について   2006年度決算期における予備費の支出について ・・・・・・・・・・・・44 <資料> ・ 厚生労働省の定員推移 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・45 ・ 2006年度〜2007年度定数一覧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・46 <第1号議案> 2007年度運動方針(案) はじめに  全厚生は結成60周年を迎えた昨年の「第70回定期大会」で、憲法擁護、社会保障闘 争の前進、社会保険庁改革、職域・部門課題、及び国民的課題の前進などを、組織の強 化・拡大と合わせ全力で取組むことを確認しました。とりわけ、社会保障解体攻撃と一 体となった「社会保険庁の解体・民営化」法案に対しては、国公労連の産別全体の闘争 課題としての位置づけの下、全国各地で運動の主体となって取り組んできました。  公務員制度改革、教育改革、社会保険庁改革を参議院選挙の焦点に位置づけた自民党 の公務員攻撃の中でも、社会保険庁改革は、最大のテーマとして臨時国会、通常国会と 焦点になりました。通常国会終盤で「年金記録問題」が表面化する中与党は、制度問題 と歴代自民党政権への国民的批判をそらし、参議院選挙を少しでも有利に闘おうと理不 尽な会期延長を行ったうえで、強行採決を繰り返し、社会保険庁改革関連法案を可決・ 成立させました。これにより、2010年1月の「日本年金機構」、および既に確定している 「全国健康保険協会」が2008年10月にスタートすることになりました。  政府・与党は、新組織への移行に当たって職員の選別採用、分限免職の発動などを強 調していますが不当な攻撃を許さず、私たちは、労働者の権利と働くルールを守り、生 活と雇用を確保するために、全力で奮闘しなければなりません。今定期大会において「社 会保険闘争委員会」(仮称)を設置し、雇用問題を最重点に、国公や全国の仲間たちとの 連帯をさらに強化していきたいと考えます。  定員削減、公共業務の民営化、社保庁改革などの中で、長時間・ただ働き残業が横行 し、メンタルを中心とする健康不安に拍車がかかっています。とりわけ、本省庁の異常 な実態を早期に改善することは第一義的な課題でもあります。国公産別における対政府 闘争への結集強化と共に、厚生労働省、社保庁当局への取組みを強化しなければなりま せん。また、障害者自立支援法に関わっての施設体系のあり方、談合疑惑に端を発した 独立行政法人の見直しなど急テンポで情勢が変化しています。全厚生総体として英知を 結集した取組みが求められています。  7月29日に行われた参議院選挙において自民党は、歴史的な敗北を喫し、結党以来は じめて参議院第一党の座を民主党に明け渡しました。年金記録問題や増税、閣僚の事務 所費問題に端を発した政治とカネなどが大きなテーマになったとはいえ、根底には、小 泉・安倍内閣が進める「構造改革」路線の中で、労働法制改悪や大企業のリストラ「合 理化」、中小・零細企業切捨て、社会保障切捨てなどにより国民生活の格差と貧困が拡大 し、政治の転換を求める国民の声があったことは明らかです。国民生活のセーフティネ ットである社会保障行政に携わる労働者・労働組合として「国民本位の政治」の実現を 目指し引き続き奮闘しようではありませんか。   T 06年度経過報告 1. 社会保険庁改革に対する取組み (1)社会保険庁解体・民営化法案に対する取組み <06秋期年末闘争期を中心に> @ 国公労連は、10月27日に「社会保険庁改革対策委員会」を発足させ、@社会保険 庁改革が社会保障解体と一体でかけられている国民全体への攻撃であること、A分限 免職問題は単に社会保険庁のみならず、地方公務員や教員等も含む全ての公務員労働 者に向けられたリストラ攻撃であること、を産別全体で確認しました。そして雇用確 保を柱とした当局の使用者責任を追及する全厚生を支援しつつ、その狙いと本質を国 民に訴え、理解と支持を広げるため、全労連をはじめ広範な団体への要請や全国の社 会保険事務局・事務所前での宣伝行動など、とりくみの具体化を意思統一しました。 A 全厚生は、新たな情勢の認識と問題点を共有し、取組みの意思統一を図るための職 場討議資料(全厚生新聞号外)を作成し、支部・分会等での学習・討議を取組みました。   以降、全労連春闘討論集会、国公労連拡大中央委員会、県国公学習会など様々な機 会を捉え、社会保険庁「改革」問題の狙いと本質を広く明らかにし、支持を訴えまし た。また、雇用確保、身分保障を求める社会保険庁長官や厚生労働大臣宛の要求署名 を全厚生総体で取組み、厚生労働大臣には12月19日、社会保険庁長官には12月22 日それぞれ5000筆の署名を提出しました。 B 使用者責任の発揮などを求める当局交渉は大臣官房人事課長(11月28日)、厚生労 働大臣(12月19日)、社会保険庁(12月22日)と実施しました。大臣回答は、「いた ずらに不安を及ぼすようなことは避けるつもりでいる」との踏み込んだ回答を引き出 しています。しかし社会保険庁は、与党案にそって作業を進め法に基づいて対応する とし、職場実態・職員感情を極めて無視した回答を行うなど問題を残しました。 <07春闘期を中心に> C 政府は3月13日、「日本年金機構法案」および「国民年金事業等の運営の改善のた めの国民年金法等の一部を改正する法律案」を通常国会に提出しました。法案は、社 会保険庁を廃止・解体し、公的年金の運営を非公務員型の公法人に委託し、業務を分 割・民営化する「日本年金機構法案」と、国民年金保険料未納者に対し国民健康保険 の短期被保険者証を発行し、制裁を課すことなどを可能とする「国民年金法等の一部 改正案」からなっています。法案審議の中で政府は、社会保険庁職員の雇用継承を行 わず、分限免職もあり得ることを再三答弁しています。これは、組織改編さえ伴えば、 いつでも公務員労働者を解雇できるとの道筋をつけるものであり、到底認められるも のではありません。 D 私たちは、老後の命綱である公的年金業務の分割・民営化は、制度の安定的な運営 や年金記録・個人情報の適正管理を困難にすること、憲法25条を基本とする社会保 障制度の解体にも繋がるものであることを指摘してきました。以降、学習・要請パン レット(3万部)や宣伝ビラ(30万枚)を国公労連支援のもと作成し、支部・分会・ ブロックなど職場での学習を基本に取組みの意思統一を行いました。同時に、政党・ 議員要請、各県国公を中心とする社会保険事務局長要請、事務局・事務所前宣伝、団 体署名の要請、駅頭・県民宣伝、など広範な労組・民主団体の支援・協力を得ながら 取組みを強化してきました。支部独自でもポケットティッシュやアンケートなども含 めた宣伝材料を作成するなど、創意工夫した取組みもありました。4月には国公労連 として法案に対する見解を作成し、厚生労働省記者クラブでの会見、新聞、週刊誌、 月刊誌など、各種マスコミへの問題提起なども積極的に取組んできました。 全国各地で取組まれた団体署名は、4月12日の国公労連中央行動にあわせ、第一 次分として1500団体の署名を厚生労働大臣宛提出しました。さらに、5月24日追加 分として、1300団体分を提出しました。 <国会後半を中心に> E 5月8日から始まった法案審議では、当初与野党による公務員バッシングの様相を 強めていましたが、審議の中で年金記録の管理問題が表面化し、国民の年金制度に対 する不安と不信、怒りが集中しました。「宙に浮いた年金」「消えた年金」など基礎年 金番号への未統合記録や、記録が消失しているケースなどが具体的に明らかになるに つれ、年金記録問題が終盤国会最大の課題となりました。全厚生は、解体・民営化の 真の狙いと問題点を広く明らかにし、世論の支持を攻勢的に獲得するための一環とし て、夕刊紙「日刊ゲンダイ」への意見広告を企画しましたが、記録問題をめぐる情勢 や政治的背景等を考慮し、直前ではありましたが、中止の判断を行いました。 記録問題について政府は、当初「年金支給時に対応するので問題ない」との態度に 終始していましたが、内閣支持率が急落したことへの危機感から、衆議院委員会最終 局面での首相答弁において、過去の答弁を覆し、政府責任による記録適正化を答えざ るを得ない状況になりました。このように審議が混乱しているにもかかわらず、衆議 院厚生労働委員会は5月25日、委員会での採決を強行しました。  与党は、参議院での審議を前に、年金記録訂正が行われても、時効成立を理由に給 付が認められないことへの追及を恐れ、5月29日、議員立法で「年金時効特例法案」 を提出し、翌30日に再び委員会採決を強行しました。こうした民主主義を踏みにじ る乱暴な国会運営に対し、野党より厚生労働委員長解任決議案や厚生労働大臣不信任 案が提出され、混乱を極める中、6月2日未明、法案は衆議院を通過しました。 F 参議院段階でも、国会審議は年金記録管理問題に集中しました。野党の追及により、 政府は1年以内に5千万件の記録を全数突合することや、早急に納付履歴を送付する などの答弁を行ないました。しかし与党は、年金記録問題がますます混迷を深める中 で、参議院選挙を睨み、会期延長という異常な国会運営を行い、さらに、強行採決を 繰り返し社保庁改革関連法案についても、6月30日未明、参議院本会議において強 行可決しました。 G 激しい国会での攻防を通じ、全厚生は、国公労連に結集し、多くの民主団体との共 闘を深め、マスコミへの発信など問題の本質と、解明されるべき課題を示して奮闘し ました。また、審議傍聴、院内・議面での集会、会館前決起集会、昼休み請願、など 多彩な行動に参加しました。こうした行動には、本部書記局、本省支部を始め多くの 支部からも参加し奮闘しました。   (2) 年金記録問題に対する取組み   「宙に浮いた年金」「消えた記録」として通常国会終盤の最大の焦点となった年金記 録管理問題に対し全厚生は、速やかな記録の適正化や全被保険者・受給者への履歴送付 などを中心とする緊急申し入れを行い、その対策に全力をあげることを表明しました。 一方、緊急対策として、電話相談、休日開庁、平日夜間延長、市町村出張相談所の開 設など、職場の実態を無視した様々な施策が実施されました。特に、あまりにも乱暴な 設置である「目黒電話相談センター」については、延長が繰り返される中で、劣悪な執 務環境であること、需要も低下していること、一方で事後処理が負担増になっているこ となどから、体制の縮小と執務環境の改善を申し入れました。しかし、全国的には電話 応答率の改善が進んでいないことなどから、限定的な体制縮小にとどまりましたが、執 務環境の改善は前進しました。なお、同センターは、7月末で終了となりました。 休日開庁や平日延長などは、政府広報で強調されていることなどから、引き続き実施 されていますが、職場の努力も限界です。全厚生は、業務改善・労働条件改善にむけて 申入れ等を強化しています。  また、記録問題への「反省と改革への姿勢を示す意味」として、安倍総理大臣の意図 を受けて、長官が全職員に求めた賞与の自主返納に対しては、書記長談話でその問題点 を指摘するとともに、「組合員の自主的な判断を尊重」との基本方針を明らかにしまし た。同時に、社会保険庁に対し、「いかなる不利益も生じさせないこと」の申し入れを 行いました。 (3)全国健康保険協会設立に対する取組み   2008年10月に設立される「全国健康保険協会」の設立委員会が既に5回開催され、 今後は、協会職員の勤務・労働条件など踏み込んだ議論が開始されるものと思われます。 全厚生は、@労働条件について国家公務員の水準を下回らないようにすることA名簿搭 載者全員を採用すること、について社会保険庁に申入れるとともに、設立委員会に申入 書を提出すべく、事務局(保険局保険課)に対する要請を継続しています。 (4)人事評価制度の改善を目指す取組み 昨年の4月から一定職以上を対象に本格実施が強行された新たな人事評価制度に基 づく評価結果が、06年12月の勤勉手当に反映されました。また、07年4月からは全職 員を対象に本格実施が行われようとしている中で、人事課長交渉、社会保険庁交渉で公 務全体との整合性(テンポ・水準)などを中心にその改善を求めましたが、社保庁改革と の関連などや新組織への移行問題などを背景に、厳しい情勢にあります。 さらに年金記録問題が表面化し、相談・照会など異常な職場状況が発生しています。 このため、担当する本来業務の遂行に重大な支障が生じ、目標設定すら困難な状況が指 摘されています。こうした中での人事評価制度の実施は、実態に合わないばかりか、職 員に大きな負担にもなっていることから、実施の凍結を求めていく必要があります。 (5)業務問題に対する取組み 職場では、年金受給者の急増や、資格確認など著しい業務量増の中で、体制確保や事 前協議もないままトップダウンにより、矢継ぎ早に業務が指示されています。一連の不 祥事に始まった様々なバッシングや人事評価制度の実施に伴う、量的、精神的な負担増 などもあり、メンタルを中心とする健康悪化が著しく、将来不安などともあいまって退 職者が急増しています。また、ただ働き残業が横行し、相次ぐ休日勤務に伴う振替休日 の取得が困難な状況も指摘されています。 全厚生は、社会保険庁交渉で、健康管理体制、勤務時間の管理および超過勤務の縮小 などについて実態を指摘し改善を求めてきましたが、要求には程遠い実態にあります。 2. 人員増、賃金・労働条件などの改善を目指す取組み <国公産別を中心に> @ 総人件費削減を強要する政府の圧力に屈し、給与比較企業規模の「見直し」によっ て意図的につくり出された「ベアゼロ勧告」を主な内容とする06年人勧の取り扱い について、国公労連は、従来の官民比較方法をもとに賃金改定を行うこと等を求めて 政府当局との交渉を強化してきました。しかし、政府は「人勧尊重」との従来姿勢か ら一歩も出ない回答に終始し、10月17日に「完全実施」の閣議決定が行われ、労働基 本権制約の「代償措置」たる勧告制度の根幹に関わる問題の議論もないまま、扶養手 当の改善、広域異動手当の新設、特別調整額の定額化などを内容とする給与法改正案 が11月10日に成立しました。 全厚生は、昇任・昇格の改善を中心とする人事院交渉を11月2日に取組みました が、例年の水準を超えた回答とはなっていません。 A 07春闘の概要は、連合「JC相場」、とくにトヨタのベア1,000円妥結が全体の「重 し」となって、民間大手組合の妥結状況はほぼ昨年並みの結果となり、財界の賃金抑 制政策を貫徹させる結果になっています。一方、全労連・国民春闘共闘傘下の中小組 合は、昨年実績を若干ながら上回る到達点を築きつつあります。  国公労連は07年度統一要求にもとづく職場からの上申闘争を積み上げ、政府・人 事院交渉で追及を強めましたが、3月22日に示された最終回答は、「人事院勧告制度 の尊重」(政府・総務省)、「官民較差に基づく適正な水準の確保」(人事院)との従来 の枠内に止まり、比較企業規模も「現行どおり」と昨年の「見直し」を正当化し、当 面15分の所定労働時間の短縮にも明確な姿勢を示していません。しかし、非常勤職 員の処遇改善に向けた検討、実効ある超勤規制や厳正な勤務時間管理、メンタルヘル ス対策の強化などについては一定前進的な回答もあります。これは、定員削減の強行 と増大・困難化する業務のもとで、必死に公共サービスを支えている公務労働者の実 態にもとづく主張の反映であり、人事院勧告に向けて具体的な要求実現のために取組 みの強化が求められます。   全厚生は、全労連、国公労連規模での、宣伝行動や中央集会などの取組みに参加し ました。 B 政府は4月13日、2010年度に共済年金を廃止して厚生年金に一本化し、掛金の引 き上げや職域加算の廃止、恩給部分の10%カットなどを盛り込んだ「被用者年金一 元化」関連法案を国会に提出しましたが継続審議となりました。共済年金の職域部分 にかわる新しい制度のあり方について今年中に方向が示されることになっています。 公務産別に結集した取組みの強化が必要です。 <部門別要求闘争を中心に> C 行政需要に見合った定員増や社会保険庁改革の課題などを中心に人事課長交渉(11      月28日、3月26日、8月2日)、社会保険庁交渉(12月22日、4月23日)を行いま した。社保庁職員の雇用問題で、人事課長からは「年金は国が責任を持つ制度」(11.28)  「雇用不安だけが先行しないよう努力」(3.26)などと要求の趣旨を踏まえた回答を引 き出しています。また、予算編成期に合わせて行っている厚生共闘(全厚生と全医労) の大臣交渉(12.19)では、「いたずらに不安をきたすようなことをするつもりはない」 との大臣回答も得ました。  一方、社会保険庁は、「与党方針に基づき、現行法にのっとって対処する」との回 答を示すなど、使用者としての立場とは思えないような態度表明をしています。  07春闘以降厚生共闘では、大臣官房人事調査官(6月20日)、官房長(7月10日)、 人事課長(8月2日)交渉を行い、人員増、社保庁職員の雇用問題などを中心に要求 前進を目指しました。 D 07概算予算関係や障害者自立支援法の本格実施の中で、施設体系や業務・運営の あり方等を中心に、施設管理室長交渉(11月20日、7月2日)を行いました。各施設 の入所者が減少している実態の中で、障害者の立場に立った国立施設としての役割、 機能の発揮を目指し引き続きの追及が重要です。 福祉施設部門における宿日直体制の見直し問題については、積極的な職場討議を取 組み、当局からの再提案に対しても障害保健福祉部長に申入れを行いました。施設ご とに段階的に実施していくことになりましたが、基本的な問題も含め、状況をみなが ら引き続きの検証等が求められます。また、視力障害センター高等課程について、利 用者の減などを理由に「段階的廃止」が提案されています。一方的な実施を許さない 立場で取組み強化が必要です。 E 国の責任を基本とした国立試験研究機関の運営や、研究環境の改善などを中心に厚 生科学課長交渉(12月12日、6月27日)を行いました。「国立の研究機関として位置 づけられている意義を踏まえ、引き続きその立場で要望していく」などの前向きな回 答もありますが、具体化に向けた今後の取組みが重要です。 06年4月に非公務員型に移行した栄研支部は、新たな就業規則等に対する意見書 を昨年10月に提出して以降、厳しい研究環境の中で支部活動を地道に継続させてい ます。また、結成3年目を迎えた基盤研支部は、職場が各地に点在するという困難な 状況を抱えながらも、労使関係の構築や就業規則の策定、また、非常勤職員の雇用問 題などで一定の前進をあげました。 F 本省庁関係では、異常な長時間残業の実態把握とただ働き残業の解消に向けた霞国 公アンケートを、本省関係支部を対象に今年も取組みました。また、月1回定時退庁 日には鐘を鳴らして庁舎内を回るなど、残業改善に向けて継続した取組みを行なって います。こうした取組みとアンケート結果の分析など、要求実現に向けた取組みの強 化が求められます。月一回の本省庁協議会では、定期的な学習とともに、職場情勢の 把握や分析などを深めています。 3. 国民的諸課題の前進を目指す取組み @ 私たちが結集する「全労連」は、国民総犠牲の構造改革路線に反対し、国民生活を 守るために、「もうひとつの日本」闘争本部を立ち上げ、全国的な運動を展開しまし た。そうした位置付けで、秋の「全国網の目行動」を実施するとともに、国民生活破 壊の実態等を告発するDVDを作成・配付しました。こうした行動に全国各地で積極的 に参加すると共に、国公労連の提起する中央行動などにも参加しました。また、DVD は本部・支部の定期大会などにも活用しました。 A 「構造改革の検証」をテーマに11月17日に開催した国公労連第3回行政研究集会 に全厚生は、グローバル化と社会保障(年金)について報告と問題提起を行いました。 B 国公労連が取組んでいる毎月第3水曜日の定時定点宣伝行動には、社会保険庁改革 に伴う市場化テスト、分割・民営化問題と国民生活への影響などを含めたビラの配布 などを取組みました。 C 秋期闘争段階からの国民的な闘いの中で、ただ働き残業法案・過労死促進法案と言 われた「ホワイトカラーエグゼンプション」は、政府が法案提出を断念しました。し かし、財界は、依然として法案化を要求しています。今後の取組みの強化が重要です。 4. 憲法改悪に反対し、平和と民主主義の前進を目指す取組み @ 10月14日、明治公園で開催された「教育基本法改悪反対大集会 in 東京」には全 国から27,000人が参加して成功し、その後の運動の大きな弾みとなりました。全労 連・教育基本法改悪を許さない各界連絡会の提起をうけ、国会前座り込み行動や各種 集会に積極的に結集しました。地方においても、教育基本法改悪反対の一点で、従来 の枠を超えた共同行動が取り組まれ、各県国公などに結集し参加しました。与党は 11月15日に単独で衆議院を通過させましたが、野党は、一致して「政府法案の今国 会成立阻止」を掲げて対峙しました。日弁連や42の単位弁護士会が抗議声明を発表 するなど批判が一気に高まり、徹底審議を求めましたが、12月15日参議院本会議に おいて与党の強行採決により可決、成立しました。 A 国公労連が秋闘における憲法闘争の中心的課題に位置づけた「新聞意見広告運動」 は、11月26日「読売」全国版朝刊に全面で掲載されました。意見広告に対する国民 の反応は、一部の硬直的な反発を除けば「9条を守ることが正論だと気づかされた」 「公務員が勇気を持って人間らしい言葉で訴えたことに感動した」など賛同する意見 が多くを占めています。国公労連の提起を受け成功にむけて全支部でのカンパ活動を 取組みましたが、13支部の集約結果にとどまっています。 B 国公労連が毎月「9日」を全国統一行動日として取り組んでいる、駅前や繁華街な どでの宣伝・署名行動に参加しました。 C 国家公務員の政治活動の自由が問われている国公法弾圧「堀越事件」と「世田谷事 件」の裁判闘争支援を強め、東京地裁前での宣伝行動、裁判の傍聴などに参加しまし た。12月8日には、全労連などが主催した「言論・表現の自由をまもる国民集会」 に参加しました。 D 自民・公明両党は、憲法改正に繋がる「国民投票法案」を、衆議院で与党単独で強 行採決したのに続き参議院でも強行採決を行い可決・成立させました。  この法案の問題点は、@最低投票率が定められておらず、白票は無効票とされるこ とから、国民の意思を正確に反映できないばかりか、国民全体の1割、2割の賛成で も成立する仕組みとなっていること、A有料広告を原則禁止していないことから、財 力のある勢力のマスコミ買い占めによって、改憲に有利な情報のみが流され、世論誘 導が行われること、B公務員の国民投票運動に関し、従来の「地位利用」に加え、国 家公務員法などによる「政治的行為の制限」を原則適用する内容を盛り込んでいるこ と等です。改憲手続きには、主権者である国民が自由に参加できるようにすべきであ り、憲法と深い関わりを持つ公務員等を政治的意図で国民投票運動から排除する事は あってはならないことです。 E 「国を愛する態度」の押し付けや、管理体制の強化を狙う学校教育法、教育委員会 の自主性を軽視して国の関与を強める地方教育行政法、10年間の免許更新制を導入 し、「指導が不適切な教員」を認定・研修させ分限免職をも含む教育職員免許法の「教 育改革3法案」は、国民的な世論・共同の闘いが広がりましたが、与党の強行により、 可決・成立しています。 F 勤労者通信大学の「憲法講座」は、51名が受講しましたが、修了者は18人にとど まっています。 G 原水爆禁止世界大会に本部・支部からの参加を取組みました。 5. 組織強化・拡大の取組み <全体運動にかかわって> @ 2000年4月に施行された「地方分権一括法」に基づく経過措置により、都道府県 職員労働組合に結集してきた連合・自治労傘下の社会保険職場は、7年の「経過措置」 が3月31日をもって終了しました。そのため、都道府県職労を離脱するとともに、 各県支部の解散、「全国社会保険職員労働組合」の結成(自治労加盟)が行われ、新 組織への加盟が一人一人の判断に委ねられました。こうした新たな情勢の中で、兵庫 県において労働組合運動のあり方などについて問題意識が投げかけられ、兵庫県国公 などの支援を受けて、検討が重ねられた結果、少数ではありますが全厚生への加入届 が提出されました。そして、5月19日、全国の仲間たちの温かい支援の下、全厚生 31番目の支部が誕生しました。また、新たな加入者も生まれています。   仲間たちの決断に敬意を表するとともに、今後の活動を全面的に支援していく必要 があります。 A 結成3年目を迎えた基盤研支部は、職場が全国各地に点在するという困難な状況の 中でも、つくば、大阪と工夫を凝らしながらも2年ぶりに大会を開催しました。また、 組合加入者も大きく前進するなど奮闘しています。引き続き本部・支部が一体となっ た取組みで要求の前進を目指します。 B 定員合理化計画、5年間5%純減などの総人件費削減が強行される中で、退職者増、 新規採用の抑制などもあり、組織人員は依然として減少傾向にあります。こうした中、 「仲間同士の助け愛」をスローガンにした国公共済会の優位性を武器に、組合員加入 の取り組みと連携して組織の強化・拡大の取り組みを強化してきました。しかし、組 織率、国公共済会の加入率も減少傾向の中、目に見えた前進がありません。全厚生で は、06年度、春の組織・国公共済拡大特別期間設定(2月〜6月)し、国公共済会 の拡大と組織強化を車の両輪として位置づけ、生命共済加入率が5割を切る支部の底 上げを図りこととしましたが、前進に至りませんでした。 C 社会保険庁改革問題が重大な局面を迎える中で、本部オルグを強化し、情勢の報告 と取組みの意思統一を目指しましたが、全体的、系統的な体制確立までには至りませ んでした。一方、統計情報支部では国公青年協主催の「新規採用職員歓迎パーティ」 に新採職員8人へ誘いかけ、新採者の参加はありませんでしたが、組織拡大にむけて の努力が行われています。労働組合組織率が全体として長期減少傾向にあることや、 社保庁改革の厳しい情勢などがありますが、こうした情勢だからこそ日常的な職場活 動や、職場に依拠した総対話運動などの強化が求められます。 <青年対策部を中心に> D 青年対策部は、以下の取組みを中心にこの1年、交流と学習活動を中心に、多彩に 活動を広げてきました。 ・「憲法と平和」をテーマに、全厚生青年交流集会を10月6日から8日に都内で開催 しました。全体の参加は57人で、靖国神社見学や東京大空襲体験者の証言を聞く ワークショップなど平和学習を行いました。 ・2月17〜18日、国公労連主催「第2回国公青年セミナー」には、4支部と本部 から6人が参加しました。 ・4月27日、国公青年協主催の「新規採用職員歓迎パーティ」に2人参加しました。 ・全国から3300人が集まった5.20青年雇用集会に、2支部と本部から3人参 加。全青年に共通する課題や現状を共に学び、貴重な経験となりました。 ・「国公青年交流集会2007inつま恋」に、7支部と本部から11人参加。全厚生 に結集する青年同士、交流を深めました。   ・青対部ニュース「あおぞら」を13号まで発行し、青年の取り組みの宣伝・報告の 普及に努めました。今後、全国の支部青年部をつなぐ機関紙と位置づけて、安定的 に定期発行していくことが重要です。 ・月に1度、青対部幹事会を開催。毎回ミニ学習を設定し認識の共有化に努めました。 <女性部を中心に> E 女性部は、昨年11月に第11回総会を開催し運動方針を決定。社会保障を守ること と職員の雇用を守ることを一体のものとしてとらえ、健康でいきいきと働き続けられ る職場をつくるために、運動を進めることを確認しました。月1回の幹事会を定例開 催することで、安定的に女性部活動を行ってきました。3月には、女性の要求アンケ ートを実施し、出された要求をもとに、「女性の労働条件改善を求める要求書」を作 成。定員、勤務時間、母性保護、次世代育成支援対策、昇任・昇格、定員外職員の労 働条件改善などを中心に9月に大臣官房人事課との懇談を行う予定です。 6月には、第31回全厚生女性交流会を筑波で開催し、基盤研薬用植物資源研究セ ンターを見学し、お互いの仕事や職場環境を理解し合うことで交流と団結を深め、公 務の民間開放の流れの中で、労働組合の果たす役割の重要さを学びました。 社会保険庁との懇談を申し入れましたが、社会保険庁改革の中で労使交渉のあり方 が指摘されているなかで、今後も含め困難な情勢にあります。 U.06年度運動の総括 @ 06秋期年末闘争以降、春闘、夏期闘争と最大の課題として取組んできた社会保険 庁解体・民営化阻止の闘いは、「社会保険庁の解体は社会保障の解体」「老後の命綱= 公的年金を守ろう」を主要課題に、国公労連に結集し、全国各地で様々な運動を展開 してきました。また、こうした運動の素材として、国公労連の支援のもと、討議資料、 パンフ、ビラの作成などに全力を傾けてきました。全厚生が主体としての学習や、要 請行動、自治労職場での宣伝など本部・支部が一体となった運動が大きく前進したこ とは全体の確信にする必要があります。   とりわけ、春闘後半においては、いくつかのマスコミからも解体・民営化で老後の 命綱である公的年金の安定的運営ができるのか、など指摘も出され、世論に一定の影 響を与えてきたことは事実です。しかしながら、支部間に運動力量の相違が見られた こともまた事実であり、今後の運動の克服課題として受止められなければなりません。   一方、通常国会終盤で明らかになった「年金記録問題」については、制度上の問題 や膨大な業務量と切替事務など、歴史的な背景・原因等が指摘されていますが、憲法 25条に基づく国民の年金権確保と言う立場での活動が弱かったことは、率直に受け 止めなければなりません。そうした立場から、原因の究明と記録の早期適正化に向け て全力をあげる必要があります。 A 俸給表や昇給制度の変更など、賃金問題をめぐる新たな情勢の下で、06秋期年末 闘争における昇任・昇格改善闘争、07春闘における民間労働者の賃金引き上げなど、 全労連・国公労連などの闘いに参加してきました。しかし、政府・自民党の意図的な 公務員攻撃が依然としておこなわれている状況や、史上空前のぼろ儲けを続けている 大企業を中心とする財界の賃金抑制政策の中で、きわめて厳しい結果となっています。 人事院勧告のあり方も含め、労働者の権利、働くルールの確立と一体となった運動の 強化が求められます。 B 厚生労働省関係当局、社会保険庁当局との交渉関係を強化する中で、人員増、勤務 時間短縮など基本要求の前進、労働条件の改善を目指しましたが、Aとも関わって多 くは引き続く課題となっています。とりわけ社会保険関係については、労使の枠を超 えた政治的な背景が大きく影響する中で、業務問題、労働条件の確保等に困難が生じ ています。国公労連などの支援を受けながら、引き続き取組み強化が求められます。  また、本省庁における異常な超過勤務の実態、福祉部門での施設体系のあり方と組 織のあり方、試験研究機関では独法化をめぐる新たな動きなど、それぞれ全厚生総体 としての英知を結集した取組みが必要です。 C 総人件費削減、定員合理化攻撃、社保庁改革などの中で、どの部門も組合員の減少 に歯止めがかからない深刻な状況が続いています。しかし、困難な状況のなか31番 目の支部として誕生した兵庫の仲間たちの勇気に敬意を表するとともに、来年10月 の「全国健康保険協会」及び2010年1月の「日本年金機構」設立にむけて、組織体 制の確立とともに、全国的な連携強化に向けて引き続き努力する必要があります。ま た、社会保険では、極めて理不尽な賞与の「自主返納問題」を契機に、脱退者が発生 しています。新組織への移行など様々な課題の中で、雇用確保・団結強化のために、 支部分会活動とあわせ、日常的な活動強化が急務の課題です。   V.情勢の特徴 1. 民主主義を冒涜する安倍内閣 (1) 安倍内閣の下、開催された2回の国会では、構造改革推進と改憲に向けた様々な 改悪法案が次々に提出され、世論が反対しようが、公聴会等で公聴人や参考人が慎重 審議を求めようが、それらの意見には一切耳を貸さず、昨年末の臨時国会では防衛省 昇格法案と教育基本法改悪法案を強行しました。さらに通常国会では改憲手続き法案 や教育改悪三法案、イラク特措法改悪法案、社保庁改革関連法案、国公法改正案など を、14回にもわたって強行採決するという極めて乱暴で議会制民主主義を踏みにじ るやりかたで成立させました。 (2) こうした背景には、アメリカ・ブッシュ政権の先制核攻撃戦略に基づく戦時国家 体制作りがあり、自公政権がこれに追随するもとで、在日米軍基地の再編強化を通じ て、地球的規模で、「日米同盟」を強化しようとしていることがあります。また、改 憲発議が可能となる2010年に照準を合わせた体制作りとして、「教育改革3法」によ る教育への国家統制強化、「公務員制度改革」と称して政権党に奉仕する物言わぬ公 務員作りがあります。 (3) こうした政治手法をとり続ける安倍内閣に対して世論は厳しく批判の意志を表し ています。内閣支持率に関する様々な世論調査の結果を見ても、内閣発足当時6〜7 割あった支持率が国会終盤では3〜2割にまで急落しました。   「消えた年金」問題に関する国民の怒りを沈静化するための時間稼ぎがねらいであ ることが明らか(若手議員に対する武部発言)であるにもかかわらず、「重要法案を 通すことが国民の期待に応えることになる」と安倍首相は、12日間の会期延長を強 引に決定しました。 しかし、投票日が7月29日にずれ込んだ参議院選挙の結果は、改選121議席のう ち、与党の自民党、公明党の獲得議席が46にとどまり、非改選議席をあわせても103 議席と、参議院での過半数を大きく下回る結果となり、自民党は、参議院第一党の「座」 を民主党に明け渡しました。 (4) こうした選挙結果は、大企業を優遇し、格差と貧困を拡大し地方を切り捨ててき た構造改革に対する国民の批判・不満が、年金問題や「政治とカネ」の問題などを契 機に一気に吹き出したものであり、大企業本位の「成長戦略」、構造改革の継続、「戦 争する国」への改憲を進める安倍政権への国民の厳しい審判です。   一方、民主党は、憲法問題や消費税問題、また、テロ特措法延長問題など、党内に 様々な意見が内在し、自公両党に対抗する旗印が見えません。国民の視点から民主党 の動きを見ておく必要があります。   2. 政治に大きく影響を及ぼす経済界の動き (1) 2001年1月の中央省庁再編にあわせて「経済財政諮問会議」が設置され、いわゆ る「骨太の方針」として小泉「構造改革」の方向付けが行われる中で、行政改革・規 制緩和の動きが加速しました。そうした中で、経済財政諮問会議における民間4議員 の発言力が異常に強まっています。最近では、経済・財政のみならず国家政策全般の 基本方針がこの会議で、しかも民間4議員によって決まるといって過言ではない状況 にまで至っています。 (2) 経済同友会は、本年3月に「骨太の方針2007に向けて」、4月には「中央政府の 再設計」と題する提言を連続して発しています。  そこでは、例えば、公務員制度改革について、「公務員制度の活性化を図るために は官民交流が必要である」、歳出・歳入一体改革では、「「骨太の方針2006」で示され た今後5年間の歳出改革を確実に遂行し、更に、公務員人件費や公共事業費等の削減 により2〜5兆円の歳出削減の上積みを行う」、官僚改革では、「国家公務員制度の再 設計を行う。その際、重要なことは、重要かつ戦略的な組織に英知を結集させるとい う観点から、官民の垣根を越えた人材流動化と競争原理導入、職務・職責と政策の達 成度に応じた処遇を実現することである」とし、「民間人活用・官民交流の促進」、「天 下りの禁止と再就職の管理・監督組織の内閣への設置」等を行うよう政府に対して要 求しています。 (3) 政府は6月19日、「経済財政改革の基本方針2007(骨太の方針2007)」を閣議決 定しました。骨太の方針2007は、「戦後レジームから脱却するために最も重要な課題 は行政システム、財政システムの改革である」として、「歳出・歳入一体改革」、「税 制改革」、「予算制度改革」、「公務員制度改革」、「行政のスリム化」、「道州制を含む地 方分権改革」の6つを掲げています。とりわけ、「歳出・歳入一体改革」では、社会 保障について医療・介護サービスの効率化を図ること、公務員人件費について「骨太 の方針(基本方針)2006」の2.6兆円程度を上回る削減を行うことなど、歳出削減の みが強調されています。  また、「税制改革」では、秋以降に本格的な議論を行うとして結論を先送りしてい るようにみせかけつつ、「社会保障給付や少子化対策の費用を、あらゆる世代が広く 公平に分かち合う観点から、消費税を含む税体系の抜本的改革を実現させる」として、 消費税率の引き上げを明確にする一方で、「成長力強化、生産性向上に向けて、税制 を含めた総合的取り組みを行う」として、企業に対しては減税を明らかにするなど、 厳しい国民生活を全く顧みないものとなっています。 (4) これらの動きと軌を一にして経済財政諮問会議の民間議員が、「国家公務員役10 万人縮減可」の試算を示したことは重大です。試算では、91ある地方出先機関の事 務のうち、地方移管が可能な労働基準監督署などの15事務と交通基盤整理、廃棄物 対策など地方と重複する46事務を洗い出すことで、全国約33万人のうち地方出先機 関に勤務する21万人について約10万人(多い順に国交省は3.3万人以上、厚労省と 農水省は全員など)の縮減が可能だとしています。 (5) 一方、参議院選挙で自民・公明与党が歴史的惨敗を喫したことは、与党による「構 造改革路線」を積極支援してきた財界にも、大きな影響を与えるものと思われます。 3. 憲法「改正」にむけた危険な動き (1) 改憲のための手続法である「日本国憲法の改正手続に関する法律」が5月18日に 公布され、3年後の2010年5月18日に施行されることとなりました。   自民党は、参議院選挙の公約において2010年の改憲発議を掲げ、安倍首相を本部 長とする「憲法改正国民運動推進本部」を設置し、改憲にむけた国民運動を開始する とともに、参議院選挙後の臨時国会で設置される「憲法調査会」において、改憲案の 骨子の議論を始めるとしており、いよいよ実質的な改憲の議論がスタートします。  憲法「改正」を発議するには両院議員の2/3以上の賛成が必要であるが、現在の国会 内における改憲勢力は2/3を超えており、この限りにおいては改憲が現実的課題とな ったといいます。 (2) 一方、世論の動向は、憲法9条改悪に反対する「9条の会」の結成がこの1年間 だけでも約2,000団体増えて6,000団体を超えるなど、大きな運動の広がりを見せる とともに、各種世論調査においても改憲反対の世論が大きく広がってきています。   「憲法を改正する必要がある」は、NHK調査で、05年61.9%が07年47.0%、読売 調査で、04年65.0%が07年46.2%と大きく減少し、更に、9条に関しては、「9条 は変える必要はない」は、NHKで、05年39.0%が07年44.0%、読売で、04年45.7%、 07年55.9%と増加しているのに対して、「9条は改正したほうがよい」は、NHKで05 年39.4%が07年25.0%、読売で04年44.4%が07年35.7%と減少し、いずれの調 査においても「9条は変える必要がない」が「9条は改正したほうがよい」を大きく 上回っています。   「9条改憲反対」の世論を今以上に大きくすることは、3年後の改憲発議を断念さ せることに繋がることであり、更なる運動の強化が求められています。 4. 公務員制度をめぐる動き (1) 政府は、公務員制度改革を、戦後レジームからの脱却の中核と位置づけて、公務 員としての入口から出口までの公務員制度全般にわたる改革を行うことを閣議決定 し、先行的に、「能力・実績主義の人事管理強化」と「再就職規制の見直し」を内容 とする国公法改悪法案を国会に提出し、強行可決しました。これらは、「政官財癒着」 に対する国民の批判を逆手に取ったもので、公務運営を今以上に歪めるものでもあり ます。 (2) 法案が成立したことにより、任用や給与、分限などの人事管理が全て人事評価に基 づいて行われることとなります。法律の施行が2年後ということから、新たな人事評 価制度の設計が進められることとなり、それへの対応等が重要な課題となります。国 公労連が7月25日、改正国公法に基づく人事評価制度の試行について総務省と協議 に入りました。全厚生は27日、人事課より資料提供を受け今後具体的問題等で意見 や要求を提出していく予定です。  なお、今回、法案として提出されていない労働基本権問題等については、次期通常 国会に「国家公務員制度改革基本法案」(仮称)として提出するとしており、7月に は民間有識者からなる二つの懇談会を立ち上げて検討が始まっています。 (3) 安倍内閣による今回の「公務員制度改革」は、改革の目的を「官と民の闊達な交流 により、民間の世界に対する深い理解に基づいた行政の展開」を掲げていることから も明らかなように、私企業からの隔離を原則とする戦後国公法の民主的理念を投げ捨 て、官民交流の名の下に官と民との垣根を限りなく低くして大企業の代表を行政の中 枢に送り込む「民間大企業による行政の乗っ取り」です。これは、先に成立した改正 国公法による、分限免職をも可能にする能力実績主義の人事管理の導入、官民人材交 流センターによる公務リストラの推進とあわせて考えると、「国民のための行政」か ら「大企業のための行政」への変質をねらうものであります。 (4) 労働基本権のあり方については、昨年7月から行政改革推進本部「専門調査会」で 検討が進められています。4月24日には、この間の議論の整理と今後の進め方に関 わる座長文書が「専門調査会」に提出されました。そこでは労働基本権回復について の具体的言及はされなかったものの、「改革の方向で見直すべきである」とした上で、 今後の作業では、労働基本権を付与した場合の仕組みや課題を検討するためとして、 シミュレーショングループによる検討が開始されています。調査会内部にはストライ キ権について慎重論が根強いものの、渡辺行革大臣が就任以来一貫して労働基本権を 付与する方向での意見の取りまとめを専門調査会に要請している状況からすれば、何 らかの労働基本権制約の見直しが行われる可能性が高くなっています。  労働基本権回復は公務員労働運動の悲願とも言うべき基本課題であり、この機会に ILO勧告にもとづいた労働基本権の回復を自らの主体的なたたかいで勝ちとらなけれ ばなりません。 5.職場を取り巻く情勢 (1) 社会保険庁改革の名の下に、体制整備や事前説明も不十分なまま様々な報告や新 規・臨時業務がトップダウン的に強行されています。また、保険料収納率至上主義的 な事業運営のもと、国民年金関係業務に対する人員シフトが行われ、人員の適正な配 置が行われず職場全体の労働過重の要因にもなっています。加えて、団塊の世代が受 給期を迎え年金相談を中心とした業務は混乱と多忙に拍車がかかっています。 (2) 通常国会終盤で表面化した年金記録問題は、国民の年金制度に対する不安と不信、 怒りが集中し、記録を確認する電話・来訪などの相談が急増しています。社保庁は、 政府の意向を受けて、夜間及び休日開庁、電話相談センターの設置、市町村巡回相談 などの緊急対策を矢継ぎ早に打ち出しましたが、事前の準備や体制の確保が極めて不 十分なため、様々な弊害が職場に現れています。精神的負担、健康悪化、異常なただ 働き残業、困難な振替休日取得、など現場の努力は限界を超えています。また、新組 織移行への雇用問題と連携させようとする「賞与の自主返納」問題では、政府・与党 の理不尽な対応に対する怒りと同時に無力感も加わりますます職場は疲弊していま す。 (3) 社会保険職場では、昨年の4月から一定職以上を対象に「新たな人事評価制度」 が本格実施され、06年12月の勤勉手当への反映が行われました。また、4月からは 全職員を対象に本格実施が行われています。社会保険庁のこの制度は、人事院の評価 制度よりも相対評価と成果主義の厳しい内容となっているとともに、「新組織」移行 時の分限免職処分に利用される危険性があるなど極めて問題の多いものです (4) 福祉施設職場では、障害者自立支援法の本格実施以降、業務運営や施設のあり方 など基本的な問題への影響が表れています。宿日直体制の見直しについて、一定の方 向性が示され現在進行していますが、新たに、当局の「今後のあり方検討会」から中 間報告が示されるなど、国立更生援護機関の在り方について急テンポで検討が行われ ています。抜本的な定員の見直しや大幅な課程変更を含めた方向が示される可能性も あり、早期に全体像を明らかにさせることと、幅広い議論が必要になっています。 (5)  厚生労働省(旧厚生省)の試験研究機関は、4つの国立試験研究機関(=国立研) と2つの独立行政法人が併存しています。国立試験研究機関の圧倒的多数が独立行政 法人に移行した下で、「国立研」が軸で運営されるという他省庁にはない特徴があり ます。  政府の科学技術政策は、第3期基本計画(2006〜2010年度)にもとづいて、「競争 的環境」「効率化」「流動化」等が政策の柱とされ、独立行政法人の運営では、運営費 交付金が毎年削減され、効率化が徹底的に追求されています。さらに政府は、すべて の独立行政法人(101法人)について、民営化・廃止を含む整理合理化計画を年内に つくる方針を打ち出し、渡辺・行革担当大臣が計画策定にあたることを確認しました。  これは、独立行政法人の合理化計画を加速させる極めて問題ある方針です。   こうした下で、医療並びに公衆衛生の向上を図り、国民の健康と福祉を向上・発展 させる厚生科学研究の前進をめざす取り組みは、益々、重要になっています。 (6) 本省庁の職場では、大きな課題として長時間残業問題があります。霞国公が春闘 時に行った残業アンケートの結果では、月79.3時間(本省支部)と全体平均39.1時 間を遙かに超えています。こういう状況で、「過労死の危険を感じたことがある」、「感 じている」と答えた人は45.4%(全体では35.6%)にものぼっています。残業にな る原因は、67.8%(全体では62.6% *二つ選択)の人が定員不足としています。  また、休息時間の廃止によって拘束時間が延長されたため、一般職員はもとより、 子育てや介護にあたる職員の負担はさらに厳しいものとなっています。疲労の蓄積、 健康不安が広がり、メンタル系の疾患も増えています。  男女ともに家族的責任を担い、人間らしく、健康的に生き働くためにも、残業の縮 減・所定内労働時間の短縮が喫緊の課題であり、機械的な定員削減を廃止し、業務に 見合った人員の配置が強く求められています。 6.国民的運動の前進を目指して (1) この5年間、小泉・安倍自公政権による「構造改革」路線の強行によって市場原 理万能の規制緩和が推進されました。とりわけ労働諸法制の規制緩和は日本型雇用を 崩壊させ、正規雇用から非正規雇用への置き換え、成果主義賃金の導入等によって賃 金・雇用破壊がすすみ、格差と貧困が拡大・固定化してきています。厚生労働省が発 表した「07労働経済白書」にもそのことが明らかにされています。   安倍内閣は、再チャレンジなどと格差是正をいうものの、ホワイトカラー・エグゼ ンプションの導入など、さらなる労働法制の改悪や社会保障切捨て、定率減税の廃止 など、その実態は格差と貧困を一層拡大するもので、労働者・国民の生活は益々厳し い状況に追い込まれています。 (2) 公務職場の実態も厳しさを増しています。02年から5年間にわたって賃金の引き 上げが行われていないことに加えて、給与構造の見直しにより多くの職員の昇給も 06年から見送られています。定員に関しても、職場実態に関係なく5年間で5.7%の 純減が強行されたことから、新規採用の大幅な抑制が行われ、サービス残業が増大し、 メンタルヘルス問題も深刻になっています。   また、行革推進法、市場化テスト法の成立によって、公務・公共サービスの民間企 業への売り渡し・商品化が進行しています。さらに、新たな地方分権改革・道州制導 入の動きも本格化してきており、国や自治体の役割、公共サービスのあり方が根底か ら問われようとしています。 (3) 国公労働運動の基本は、労働者と家族の生活や労働条件を維持向上させ、平和と 民主主義を守るという労働組合共通の任務とともに、公務労働に携わる労働者として のその専門的な知識や能力・条件をいかし、国民のための行財政・司法の確立、教育・ 医療・福祉の拡充を目指し、国民とともに闘う責任があります。とりわけ厚生行政に 従事する職員で構成する私たちは、国民生活のセーフティネットである医療、年金、 福祉、試験・研究などどの分野でも、その存在がますます重要になっています。 (4) こうした中で、政府・財界の「構造改革」路線を転換させるためにも、「国民の中 へ、国民とともに」をスローガンに外に打って出る取組みの強化が求められています。 そして、小泉から安倍へと続く自公政権が軍事的にも経済的にもアメリカ追従を強め るもとで、9条改憲と「戦争する国づくり」に反対する闘いと、憲法25条に基づく 国民の権利としての社会保障制度を守り・発展させるために、職場・地域から運動を 進めていく必要があります。 W. 運動の基本的課題と具体的取組み 1. 社会保険庁改革に対する取組み 2007年6月、第166通常国会において、2010年1月に社会保険庁を解体し、その業 務を6分割する日本年金機構法が成立しました。それにより、私たちの運動は新たな局 面を迎えました。これまで成立した法律では、2008年10月には健康保険業務を担う非 公務員型公法人の全国健康保険協会が社会保険庁から分離され、社会保険事務局が所掌 する保険医療機関の指導監督等の業務が、定員を伴って国の機関である地方厚生局に移 管されます。さらに2010年1月には、公的年金の運営業務を担う非公務員型公法人の 日本年金機構が設立され、社会保険庁は廃止となります。それに向けて、職員の選別採 用等が具体化されることになります。 特に、移行に際して職員の身分の承継は行われず、社会保険庁職員の中で機構職員 になることを希望する者の中から設立委員が採用基準に従って新たに採用するという ことになっています。したがって、国公法第78条4号の「廃職による分限免職」が行 われる可能性があることをとりわけ重視する必要があります。雇用を守ることは労働組 合として何としても死守しなければならない生命線です。一人の分限免職者も出させな いために全力をあげて取組みます。  一方、「宙に浮いた年金」「消えた年金」解消のための運動も重要です。このまま社会 保険庁の解体を許せば、「宙に浮いた年金」「消えた年金」問題の責任も「宙に浮く」こ とは明らかです。少なくともこの年金記録問題が完全に解決されるまで、解体・民営化 法を凍結させることも含めて歴代政府と厚生労働大臣、社会保険庁長官の責任を徹底的 に追及することが必要です。そのための広範な運動の構築に全力を挙げます。 (1) 社会保険闘争委員会(仮称)を設置し運動の強化・前進を目指します。     新たな段階を迎えた社会保険庁改革に対し、@国民の年金権確保A社会保険職員 の雇用確保B労働条件の改善C新たな組織に対応した労働組合の設立、など全体的 な運動の強化・前進を目指すために、「社会保険闘争委員会」(仮称)を設置します。  社会保険闘争委員会(案) ・ 目的 社会保険部門に関わる政策立案、及び運動の推進       社会保険関係支部、ブロック間の連携強化、交流促進 ・ 体制 本部専従役員と社会保険関係支部代表で構成 ・ その他 第1回中央執行委員会で具体的内容・体制等を確認 (2) 職員の雇用・労働条件確保に全力を挙げます   「日本年金機構」「全国健康保険協会」のいずれも非公務員型の公法人で、社会保 険庁職員の採用については、長官が希望者名簿を作成し、設立委員会が採否を決定す るとされています。日本年金機構に不採用となった社会保険庁職員の転任、退職又は 免職は国家公務員法によるとされ、社会保険庁長官の分限免職を回避するための努力 として、@厚生労働大臣に対し、転任の受け入れの要請、A他省庁に対し、転任の受 け入れの要請、B勧奨退職や民間への採用の斡旋を掲げています。   しかしながら、社会保険庁長官が努力を行った上で、@新法人に採用される者、A 自ら退職する者、B厚生労働省他部局や他省庁に転任する者、のいずれでもない者は、 社会保険庁廃止時に分限免職となるとしています。通常国会において政府及び社会保 険庁当局は、「新しい日本年金機構の職員としてふさわしくない職員が漫然と採用さ れることはないものと考えている」「いずれにも該当しない職員については廃止時に 分限免職処分を行うこととなると考えている」などの答弁を繰り返し、雇用問題は極 めて重大な事態となっています。国公労連に結集し、産別の課題として雇用と労働条 件の確保に向けて全力で闘います。   @ 組織改編を理由とした分限免職を発動することは、社会保険庁のみならず、公務全 体に仕掛けられた政府・財界の狙いであることを明らかにし、分限免職を許さない たたかいに全力をあげます。また、弁護士・法律家等の協力を得て、雇用確保に万 全を期します。 A 社会保険庁長官、厚生労働大臣に対する取組みを強化します。 B 議員、政党などへの働きかけを強めます。 C 情勢の推移等をみながら、個人署名、要求ハガキ等の行動を具体化します。 D 国公労連の仲間たちの支援をえながら、制度改善、雇用問題などを中心とする全国 的な宣伝行動、社会保険事務局前宣伝など世論構築に向けて努力します。 E 外部委託のあり方が雇用問題にも直結することから、業務の外部委託の範囲を検討 する第三者委員会への申し入れ等を国公労連を通じて行います。 F 2008年10月に全国健康保険協会が設置されます。今年の秋には希望者の募集が行 われると言われていますが、具体的な勤務・労働条件、採用スケジュール等が今だ に明らかにされていません。こうした内容を早期に明らかにさせるとともに、公平・ 公正な採用選考、職員の労働条件確保等を、社会保険庁当局や設立委員会に申し入 れます。 G 2008年10月に全国健康保険協会、2010年1月に日本年金機構が設置されることか ら、それぞれに全厚生労働組合を確立するための取組みを進めます。 (3) 国民本位の社会保険庁改革と業務・労働条件の改善を目指す取組み 年金記録問題等の責任を一方的に職員に押しつけるとともに、政治的に場当たり的 な対応策が打ち出される中、社会保険の職場では過酷な労働条件が蔓延し、職員は無 権利状態に置かれています。しかも一時金の「自主返納」問題に見られるように、雇 用問題をちらつかせる不当な労務管理により、まさに物言えぬ職場がつくられていま す。こうした不正常な職場環境を改善し、職員の不安を解消すべく、社会保険庁や厚 生労働省の当局追及を強化するとともに、人事院等への要請など対外的な取組みも強 化します。 @ 法令順守、働くルールの確立を目指す立場から、異常な労働実態をもとに法令違反 を告発し改善を目指します。 A 業務改善、労働条件改善に向けて社会保険庁や厚生労働省の当局追及を強化すると ともに、人事院等への要請など対外的な取組みも強化します。 B 勤務を要しない日の出勤や、連日の超過勤務に対しても、超過勤務手当が支給され ていないことから、休日の確保や適正な賃金支払いを、当局追及はもとより行政措 置要求など、あらゆる手段を使って求めます。 C 新規採用が行えず、職員の退職が相次ぐもとで、職場では定員をはるかに下回る人 員で過重な業務量をこなさなければならない状況も生じています。そのため、選考 採用を緊急に実施するなど、体制確保に向けた当局追及を強化します D 年金記録管理に対する国民の不安を解消するため、直ちに納付額を含む全納付履歴 を速やかに送付するよう求めます。また、全体スケジュールなどを明らかにさせる と共に、記録の完全整備、及び、必要な予算と体制の確保を求めます。 E 年金記録問題が生じた原因究明が、総務省行政評価局内に設置された年金記録問題 検証委員会で行われていますが、国民の権利保障の視点と、経験をもとにした歴史 的検証、原因分析と責任の所在を明らかにするため討議資料を作成し、職場討議を 深めると共に内外に発信します。 F 問題点の共有と取組みの意思統一を図るため、制度改善や記録管理問題などを中心 に、中央段階での学習会を踏まえ支部等での「学習・討論集会」などを開催します。 G 記録管理問題なども含め、年金講師団活動を強化します。 H 「新たな人事評価制度」について、アンケートを実施し、問題点の分析、社会保険 庁への申入れを取組みます。あわせて異常なただ働き残業の実態や健康実態などを 把握するため調査・アンケートを実施し、社会保険庁へ改善を申し入れます。 I 非常勤職員の処遇改善に向け、支部、ブロックなどで非常勤集会を開催するなど 要求前進を目指します。  2. 安心して暮らせる社会保障制度の確立を目指す取組み  格差拡大社会の中で、老後の命綱としての年金制度や安心してかかれる医療制度の実 現を求める国民の声がますます強まっています。来年4月からは後期高齢者医療制度が スタートし、高齢者への負担増に拍車がかかります。また、本格実施された障害者自立 支援法は障害者の自立を支援するどころか、生活を破壊するものです。介護保険制度の 改善などと共に、広範な運動に結集します。さらに、最後の命綱である生活保護につい ても老齢加算や母子加算の削減・廃止、基準引き下げにとどまらず、生活保護を必要と する人々を窓口で追い返すような異常な事態も発生しています。 財界・大企業やアメリカの利益を優先し、国民総犠牲の構造改革路線を転換し、国民 生活擁護のために広範な運動に結集します。 @ 参議院選挙後の臨時国会や08通常国会で、国民の関心も含めて年金問題が引き続き 焦点になると思われます。安心して暮らせる年金制度実現のため、全労連、中央社 保協、年金者組合などを中心とする全国的な年金制度改善闘争の前進を目指し、運 動に積極的に参画するとともに、広範な運動に結集します。 A 年金記録問題の発生原因と責任の所在を明らかにせず、記録整備を完了しないまま、 社会保険庁を解体することは、国の責任放棄に等しいものであることから、当面、 日本年金機構法の凍結を求め、公的年金業務の運営をバラバラに民間委託すること の問題点や、事務費への保険料流用問題などを明らかにしながら、国の責任による 充実と直接運営を求めます。また、政党への要請や国民的宣伝行動を強化します。 E 制度改善を求める宣伝ビラの作成・配付、マスコミ等への発信、国会議員要請など、 世論を攻勢的に転換する取組みをすすめます。 F 社会保険庁解体と年金制度などをテーマにシンポジウムの開催を目指します。 G 全額国庫負担による「最低保障年金制度」の実現に向けて、広範な労組・民主団体 等との共闘を職場・地域から展開します。また、報酬比例部分も含めた年金制度の あり方等について中央社保協などに結集し、研究・討議を深めます。 I 憲法25条に基づく国民の権利としての社会保障制度の確立、医療保険制度、年金 制度の改善、介護保険、障害者自立支援法の改善などを求める広範な運動に結集し ます。 3. 定員削減に反対し、賃金・労働条件などの改善を目指す取組み 公務員の総人件費削減や合理化計画、市場化テストの本格実施など行政の責任と役割 の見直しなどから、定員の削減が続いています。高齢化社会の中での年金や医療に対す る行政需要増、国会対策、制度改正などどこの職場も慢性的な人員不足とただ働き残業 が深刻になっています。労働基本権を制約した状態での新たな人事評価制度の設計など、 「改正」国公法にもとづく政府の一方的な検討を許さず、実質的な労使対等の労働条件 決定システムを追求し、労働基本権の早期回復をかちとるたたかいに合わせ、国公労連 に結集した取組み強化と社会保険庁・厚生労働省への取組みを強化します。  また、職場からの追及を強化します。 (1)行政需要に見合った人員増、賃金、労働時間短縮など労働条件改善を目 指す取組み @ 連年にわたる定員削減に加え、5年間5%以上純減が強行される中で、労働強化は もとより、職員の健康悪化が進行し、行政サービスの確保にも大きな支障が生じて います。行政需要に見合った人員の確保に向けて、国公労連の各省要請などに参加 すると共に、厚生労働省、社会保険庁当局の追及を強化します。 A 秋期及び春闘における職場・地域からの取組みを重視し、全労連、国公労連等が提 起する諸行動に積極的に取組みます。 B 国公職場から時給1,000円以下の労働者を根絶するため、職場段階で非常勤職員等 の処遇改善の取組みを重視します。 C 「08全厚生基本要求書」(案)について、秋期年末闘争段階での職場討議を踏まえ、 08年1月の中央委員会で決定し、春闘期及び人勧期をはじめ通年で要求前進を目 指します。 D 春闘期要求組織に向けて、国公労連が提起する「賃金要求アンケート」と「労働条 件改善意識調査」を取組みます。 E 国公労連の級別定数の改定等を求める昇格改善闘争に結集するとともに、全厚生と して人事院交渉を取組みます。 F 被用者年金一元化法案の動向を注視しつつ、新公務員年金制度の創設に対する取組 みを強めます。 (2)働くルールの確立をめざす職場からの取組み @ 長時間過密労働の解消、ただ働き残業根絶に向け、引き続き厚生労働省通達に準じ た勤務時間管理の徹底と「超過勤務縮減対策」を政府・人事院に迫るとともに、職 場段階での取組みを強化します。 A 「メンタルヘルス」対策の取組みを重視します。 B 非常勤職員等の処遇改善を求め、制度と運用の両面から取組みを強めます。また、 国公労連が取組む、時給最低1,000円の実現、非常勤職員に関わる制度要求で政 府・人事院宛の要求署名を取組みます。 C 希望者全員の再任用をめざし、雇用と年金の連携を具体的に保障するよう求める取 組みを進めるとともに、65歳定年制の実現を追求します。 D 公務における男女共同参画の前進、及び女性の採用・登用の拡大に向けて取組みを進 めます。 E 07年8月1日に施行された育児短時間勤務制度の運用にあたって、取得しやすい 職場環境を整えるよう取組みを進めます。 (3)労働基本権回復、民主的公務員制度確立を目指す取組み @ ILO勧告に沿った公務員の労働基本権回復運動の本格的構築をめざし、全労連、 国公労連の提起する諸行動を取組みます。 A 「改正国公法」にかかわる人事評価制度の詳細設計等に対する行革推進事務局、総 務省及び人事院との交渉に参加します。また、厚生労働省当局にも必要に応じ申入 れを行います。 B 改憲手続を定めた「国民投票法」における公務員・教員の活動規制を許さず、「国 公法弾圧・堀越事件」及び「世田谷国公法弾圧事件」の二つの裁判支援を強めると 共に、公務員の政治的市民的自由を求める運動を強めます。 C 一審の不当判決に対し、東京高裁での控訴審をたたかっている全医労の「賃金職員 雇い止め・不利益是正裁判」勝利をめざし、支援の取組みを強めます。 4. 国民のための厚生科学研究を目指す取組み  厚生労働省(旧厚生省)の試験研究機関は、4つの国立試験研究機関と2つの独立行政 法人が併存しています。これらは共に、医療や公衆衛生の向上を図り、国民の健康と福 祉を向上・発展させる厚生科学研究を担う研究所であることには変わりありません。運 営の枠組みは異なりますが、誇りと働きがいの持てる研究所・職場をつくるために、予 算と体制の確保がなくてはなりません。  一部独立行政法人の官製談合事件をきっかけに、独立行政法人の整理合理化計画策定 の動きが浮上し、すべての独立行政法人(101法人)及び事務事業について廃止もしく は民営化や民間委託の検討が始められています。一方、存続させる独立行政法人の事務 事業もすべて市場化テスト導入の検討対象とするものであり、職員の業務と労働条件に 大きく影響を及ぼすこととなります。 基盤研支部は言うまでもありませんが、他の研究機関支部も首都圏に存在していると はいえ、互いに行き来するのは時間的にかなり困難です。また、人員削減によりどの職 場においても、以前より余裕がなくなっています。一方、試験研究機関の活動にかかわ る労働条件の変更は頻繁に起こっています。非常勤職員の処遇や再任用という直接かか わる問題から、ファンディングエージェンシー(FA)や人事評価の導入などまで多様で す。競争的環境で、人頭研究費の代わりに導入された基盤的研究費も不十分で、研究の 必須アイテムとなっているパソコンとそのソフトウェアを購入できないような事態も 起きています。しかし、政府の第3期科学技術基本計画(2006〜2010年度)にもとづ く科学技術政策では、さらに競争的な環境や効率化が求められ、研究者の流動化が進め られています。 このような中で、長い間休眠していた厚生労働省試験研究機関連絡協議会(いわゆる 厚研連)を再開し、各支部と本部が連携することによって、非常勤職員処遇問題では押 し戻すのに大いに貢献しました。 @ 研究機関支部の横の連携を取ることは大切なことで、今年度はさらに連絡を密にと れるように(しかも時間をかけずに)、mail連絡の定期化を図ります。またウェブ の立ち上げ、交流集会の開催をめざします。 A 各支部の問題を持ち寄って、支部(各研究機関)で対処できる問題、本部(厚生科 学課、人事課)で対応を取る問題、国公労連(試験研究機関全体)に結集する問題 を分類し、それぞれの対処法を講じるなど、政策活動を強化します。 B 基本的な要求課題として(1)独立行政法人の労働・研究環境の整備と「整理合理 化計画」の阻止、(2)組織再編について、(3)国立保健医療科学院の教育研修、 (4)ハンセン病研究センターの定員確保、運営委員会の再開、病理医の確保、(5) 基盤的な研究費の確保、(6)非常勤職員の改善、(7)パワー・ハラスメント防止、 (8)研究評価について、(9)新再任用制度などの前進に向けて取組みを進めま す。 5.国民のための障害者福祉を目指す取組み    国立更生援護施設は、国立身体障害者リハビリテーションセンターを含む8つの施設 があり、障害者の自立更生のための訓練等を主な目的としています。昨年10月から本 格実施された障害者自立支援法は障害者の自立を支援するどころか、自立を阻害し、生 活を破壊するものとも言われています。法案の審議段階からも様々な問題点が指摘され てきましたが、実施以降も改善を求める全国的な運動が広がっています。同時に障害者 自立支援法の本格実施は、国立社会福祉施設のあり方にも大きく影響しています。当然、 職員の労働条件問題にも直結します。現に定員の見直し検討などの報道もされています。 利用者減による施策の見直しなども具体的課題にあがり、予算要求も厳しい情勢にある ことも指摘されています。  憲法25条に基づく障害者福祉施設の原点に立った検討と、結論ありきではなく、職 員や労働組合の意見を十分組み込んだ対応を求めていく必要があります。 @ 「国立更生援護機関に関する今後のあり方検討会」(中間報告)に対して政策対応 及び具体的取組みを行います。 A 施設ごとに段階的実施に入っている「宿日直体制の見直し」について、検証・検討 を行い、当局へ申入れ等を行います。 B 視力障害センター高等課程(中卒5年)の「段階的廃止」に対し、問題点の分析と 要求課題について取組みを強化します。 C 障害者福祉施策の拡充めざし、厚社連(全厚生社会福祉施設支部連絡協議会)の政 策活動を強化すると共に、障害者の権利保障等を目指し、取組みを進めます。 6. 憲法改悪に反対し、平和と民主主義の前進を目指す取組み 改憲手続法=国民投票法の成立という新たな段階のもとで、改憲発議を許さない世論 構築のため、広範な運動に結集します。とりわけ、憲法第99条において尊重擁護の義 務を負う公務員労働者として、職場からの憲法闘争を強化するとともに、「9条の会」 や地域の共同センター、広範な民主団体等との共同などを取組みます。 また、組合員を対象とした学習資料の配布や、憲法改悪反対署名運動への結集、職場・ 地域での「9条の会」の結成促進などを柱に、自衛隊の国民監視活動の中止や在日米軍 の再編強化反対など、平和と民主主義を守る運動を強化します。 @ 改憲手続き法において、改憲法の協議と国民投票が解禁となり、自民党が改憲の発 議を行うとしている2010年をにらみ、9条改悪反対、改憲反対の過半数世論の形 成をめざす様々な行動に参加します。 A 憲法改悪の争点でもある「海外で戦争する国づくり」を許さない点での学習・宣伝 などに積極的に参加し、弱肉強食の構造改革が社会保障、労働基本権、教育、公務 のあり方などの憲法原理と激しく矛盾してきているもとで、組合員・国民の要求と 憲法のかかわりを重視して取組みを推進します。 B 全組合員の学習・意思統一を重視します。 C 国公労連の提起する「9の日」宣伝などに参加します。 D 日本平和大会や3.1ビキニデー集会、原水爆禁止国民平和大行進、08年原水爆禁 止世界大会(広島)などへの参加を取組みます。 E 在日米軍基地の再編強化に反対し、基地撤去、自衛隊の国民監視活動に反対する集 会等諸行動に参加します。 7.「構造改革」に対峙する国民的な共同の発展を目指す取組み 「構造改革」路線の強行によって格差と貧困が拡大し、ワーキング・プアの増大など 社会的セーフティネットが破壊されつつあるもとで、これに正面から対峙して、年金、 医療など社会保障改悪や増税反対など国民・労働者の生活と権利を守り、労働条件を改 善する国民的な運動を構築するため、全労連、国公労連、中央・地方社保協などの運動 に結集します。 (1)国民生活破壊の「構造改革」に対峙する国民的な運動 @ 構造改革路線を転換し、国民生活を守る立場から広範な国民と連帯して取組みます。 A 規制緩和・民間開放の問題点を具体的に検証し、広く国民に明らかにする全労連や 国公労連の取組みに参加します。 B 財界が根強く狙っているホワイトカラーエグゼンプションや解雇の金銭解決制度、 労使交渉対象からの少数組合排除、労働者派遣法のさらなる規制緩和などの議論が 具体化されることが予想されます。こうした攻撃を許さないため全労連、国公労連 等の提起する行動を取組みます。 C 定率減税が廃止され、国民生活が厳しさを増す中で政府・財界は消費税増税と大企 業に対する法人税減税を狙っていることから、国民生活を守り、民主的税制の確立 を目指す立場から、国民的運動に参加します。 (2)公務の民間開放・「公共サービスの商品化」に対する取組み @ 市場化テストが本格実施され、公務員バッシングを強める与党の動き、国・地方財 政の悪化などから、公務の民間開放が一層加速される方向です。「モデル事業」に おける民間の非効率性等を分析・研究し、問題点を発信します。 A 内閣府に設置された「地方分権改革推進委員会」による地方支分部局の廃止・縮小、 「道州制」導入構想なども活発化しており、国や自治体の行政サービスのあり方に 大きく影響します。国公労連等の国民的立場からの検証活動等に参加します。 B 民間委託による非常勤職員や外郭団体等での「雇い止め」を許さない立場から当局 に対する取組みを強めます。   8.組織強化・拡大をめざす取組み 激しい公務員攻撃や連年にわたる賃金抑制などのもとで、職場と仲間の中にはあきら めや無力感が顕在化し、長時間過密労働やメンタルヘルスの深刻化など労働条件・環境 の悪化も相まって職場活動が停滞し、取組みへの結集が弱まっている状況が広がってい ます。 こうしたなかで、組合員一人ひとりの悩みや要求に誠実に向き合い、その解決に向け て合意を見い出しながら実践し、組織への信頼関係を構築していくことが急務の課題で す。同時に、要求実現や活動が困難な時だからこそ、運動を職場内にとどめることなく 地域に展開し、広範な労働者・国民の理解と共感のもと、社保庁改革や構造改革に対峙 する世論構築を図ることが決定的に重要となっています。 そのため、全組合員参加の要求づくりと職場討議(総学習)を重視し、労働者として の権利意識の高揚、職場からの権利闘争を強化しながら、それぞれの条件のもとで可能 な全員結集の取組みを追求します。また、専門部活動、レクリエーション活動などの取 組みを強化します。 (1)職場活動の前進、組織強化・拡大 @ 職場討議を重視し、秋期年末闘争、春闘と制度要求・職場課題を中心とした学習・ 討論集会を展開し、情勢の認識と取組みの課題等について共有します。行動の具体 化を含めて成功をめざすため、オルグの配置など本部、支部段階での連携を追求し ます。 A 国公労連の「組織拡大強化月間」にあわせ、通年的な拡大運動の前進も含め、具体 的な目標を確立し拡大運動を強めます。 B 新規採用者、未加入者、異動者、などすべての労働者を対象に組合加入の取組みを 強めます。そのため、国公労連のポスター、「加入の呼びかけ」リーフ、全厚生の リーフなどを活用します。 C 非常勤職員の組織化は、業務センター支部をはじめ一部の支部で具体化されていま すが、全体のものにはなっていません。社会保険部門での新たな動きや社会情勢な どを踏まえ、支部、ブロックでの非常勤集会などの開催を目指し取組みを強化しま す。 D 国公共済会の加入拡大を「組織拡大強化月間」の取組みと一体で追求します。また、 組合加入者に対するワンコイン共済の6カ月プレゼントも活用します。 E 生命共済加入率が5割を切る支部の底上げを図ります。具体的には、執行委員会、新 入組合員教室、支部、分会学習会等での国公共済・組織強化の取組みを提起し、要請に 応じて国公共済と全厚生で協力して本部オルグを積極的に行います。 F 組合役員の国公共済加入率100%を目標に働きかけを強くおこないます。 G 新規採用者歓迎会、レクレーション活動の機会を捉えて積極的に加入促進を図ります。 H 全厚生支部がない職場への異動者について、国公共済会の継続を保証する具体的対策 を早期に図ります。そのため、広域異動に対応した組合員の権利を保障するための 体制等を整備します。 I 国公労連などが開催する各種労働学校や、国公女性交流集会、国公青年交流集会、 などに参加します。 J 本省庁協議会の定期開催を引き続き取組むと共に、東京国公、霞国公への結集を強 化します。 K 厚生労働大臣との交渉や政策研究などを中心とする厚生共闘(全厚生、全医労)の運 動を強化します。また、厚生労働省関係3単組(全厚生、全医労、全労働)の連携を 強化します。 L 各県国公、ブロック国公との連携を深め、国公産別への結集を強化します。 M 中央執行委員会の機能強化を目指します。 (2)学習・教宣活動の取組み @ 2008年2月に開校される勤労者通信大学の「新・労働組合コース」の受講生の募 集を取組みます。また、受講生全員の修了を目指します。 A 機関紙や、職場討議資料、宣伝ビラなどを活用し、学習・職場討議を強化します。 B 機関紙の定期発行、全厚生情報の機敏な発行を目指し、本部と支部、組合員の連携 を深めます。 C 機関紙フェスティバルを開催します。 D 「全厚生ホームページ」「全厚生組合員のページ」の充実を図ります。 (3)女性部の取組み @ 働き続けられる職場へ、環境改善に全力をあげます。 A 女性部総会の開催、幹事の選出、幹事会の定例開催で安定的に女性部活動を担いま す。 B 女性の要求アンケートを実施し、つぶやきを要求へ、女性の要求実現をすすめます。 C 女性の人事課との懇談を実施します。 D 全厚生女性交流集会を実施します。 (4)青年対策部の取組み @ 国公青年協の中央行動に積極的に参加し、同時期に行う青年協の署名運動に取り組 みます。また時期を合わせて、青年部代表者会議を兼ねた「青年幹部養成講座(仮 称)」を開催し、支部青年部の活動交流と、次代を担う幹部育成にむけ学習を強化 します。 A 社会保険支部の青年部活動は、青年の要求に応え、生き生きとした組合活動を展開 するために重視します。また青年部がないか休眠中の支部では、再建の努力を開始 します。 B 青年同士が本音で思いを交流し学習できる場を意識的に作ることが大切です。各支 部青年部は、労働組合の意義・全厚生の役割と任務・その歴史など多彩な学習活動 に取り組みます。 C 深刻な雇用問題や労働条件など、青年の現状や共通する課題を交流し、深く学び、 要求実現の共同を広げる取組みに結集します。 D ビキニデー集会や「2008原水爆禁止世界大会」など平和の取り組みに積極的に 参加します。 E 青年対策部は、支部青年部間の連帯強化・情報の共有を目的として、定期的な幹事 会の開催、青対部ニュース「あおぞら」の定期発行につとめます。 3