日本年金機構の当面の業務運営に関する基本計画の閣議決定について(談話)



2008年7月30日
全厚生労働組合      
書記長 飯塚 勇
1.政府は29日、社会保険庁の廃止・解体に伴い、2010年1月に設置される日本年金機構の職員採用基準や外部委託の推進等に関する基本計画を閣議決定した。基本計画は、6月30日に「年金業務・組織再生会議」が取り纏めた「最終整理」を踏まえたものであるが、業務量に見合った適正な人員配置をまともに検討することもなく、人員の大幅削減や外部委託の拡大をうちだしている。また、懲戒処分を受けた職員については、理由の如何を問わず日本年金機構への採用を一律排除するなど、極めて不当であり断じて容認できない。

2. 基本計画は、機構発足後の合理化を前提に1400人を有期雇用職員化する一方で、千人もの民間人を採用するとしているが、処分理由の如何を問わない一律不採用方針は、業務運営や公正・公平性の観点からも問題である。年金個人情報の業務目的外閲覧では、端末操作に必要なカードの杜撰な管理がその背景にある。また、国民年金の不適正免除では、収納率アップの至上命題のもと、業務命令として実施したのが実態である。これらはいずれも社会保険庁の管理責任こそが厳しく問われなければならない。同一理由で重ねて不利益を強いることは二重処罰そのものであり、不合理・不当と言わざるを得ない。

3. 基本計画は、年金記録問題の解決には何の展望も示さないばかりか、業務を細分化し民間企業に委託するとともにその範囲の拡大を求めている。しかし、何十年にもわたる加入記録や保険料の確実な管理が不可欠な年金業務をバラバラにし、さらに、競争入札の下で受託業者が数年ごとに入れ替わる仕組みでは、相談やサービスなどの安定的な運営が確保されるのか、受給者・加入者を含めた1億人もの年金個人情報が正しく管理・保護されるのか、危惧せざるを得ない。

4.  国民の願いは安心・信頼の年金制度の確立と、国の責任による記録問題の早期解決、そのための体制確保などである。閣議決定は、こうした願いに背をむけるとともに、国家公務員の身分保障や労働法理にも反するものである。いま職場では、年金記録問題への対応のために、夜間・休日を問わず、全力をあげているが、こうした努力を無にするような今回の閣議決定には、激しい憤りを禁じえない。
 全厚生は、公的年金業務の安定的な運営を求める立場から閣議決定の撤回と再検討を求めるものである。さらに、国の責任で安心して暮らせる年金制度の実現を目指し、改めて国民的な議論を呼びかけるとともに、広範な運動への結集を強化するものである。


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