全厚生は7月2日、「社会保険庁改革関連法案の強行可決に抗議する」書記長談話を発表しました。全文は次の通りです。



社会保険庁改革関連法案の強行可決に抗議する(談話)


 与党は6月30日未明、参議院本会議において、社会保険庁改革関連法案等を強行可決した。全厚生は、民主主義を冒涜する度重なる強行採決に、満身の怒りをもって抗議する。
 強行可決された法案は、社会保険庁を廃止・解体し、公的年金の運営を非公務員型の公法人に委託し、業務を分割・民営化する「日本年金機構法案」と、国民年金保険料未納者に対し国民健康保険の短期被保険者証を発行し、制裁を課すことなどを可能とする「国民年金法等の一部改正案」からなっている。法案審議の中で政府は、社会保険庁職員の雇用継承を行わず、分限免職もあり得ることを再三答弁している。これは、組織改編さえ伴えば、いつでも公務員労働者を解雇できるとの道筋をつけるものであり、断じて容認できない。

 私たちは、老後の命綱である公的年金業務の分割・民営化は、制度の安定的な運営や年金記録・個人情報の適正管理を困難にすること、憲法25条を基本とする社会保障制度の解体にも繋がるものであることを指摘してきた。そして、法案の問題点と真の狙いを広く訴えるために、多くの仲間たちの支援を得ながら、全国各地で様々な行動を展開してきた。こうしたことが、一部マスコミの主張に反映してきたことは明らかである。
 一方、法案審議の中で、年金記録のズサンな管理実態が明らかになり、国民の年金制度に対する不安と不信、怒りが集中した。いま国が行うべきことは、こうした問題がいかなる原因で生じ、その責任はどこにあるのかを徹底的に糾明するとともに、記録の適正化に全力をあげることである。

 また、法案は、記録管理問題が表面化する以前に提出されたものであり、前提条件が崩れ去っている。にもかかわらず、解体・民営化法案を強行したことは国の責任逃れの何ものでもない。
 政府・与党は、参議院選挙にむけて、社会保険庁改革、教育改革、公務員制度改革を「3本の矢」と位置付け、国民へのアピールを行おうとしてきた。国会のルールを無視した会期延長もそのための布石であり、二重、三重に民主主義を冒涜するものである。

 全厚生は、新たな情勢を踏まえ、雇用と労働条件の確保に向けて、全力で奮闘するとともに、安心して暮らせる年金制度の実現にむけて、全労連・国公労連を中心とする広範な労組・民主団体との共闘の輪を広げ、引き続き奮闘する決意である。

2007年7月2日
全厚生労働組合
書記長 飯塚 勇



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