全厚生は6月5日、社会保険庁に対して、年金記録の適正化等に関する申し入れを行いました。「申入書」全文は次の通りです。



2007年6月5日

社会保険庁長官
    村瀬 清司 殿

全厚生労働組合
中央執行委員長 杉下 茂雄    


年金記録の適正化等に関する申入書


 日本年金機構法案をはじめとする社会保険庁「改革」関連法案が、今通常国会で審議されています。衆議院段階では、年金記録管理の適正化、国民の年金受給権保障に議論が集中しました。その中では、基礎年金番号への未統合データの再調査や、マイクロフィルム等で保管されているデータとの照合、既裁定者に対する納付履歴の提示、時効問題等が焦点となり、政府は、年金記録の再調査を回答するとともに、時効特例法案が議員立法で急遽提出されました。
 年金制度は、制度ごとに番号をつけ記録管理を行っていた経過があるとはいえ、老後の命綱である公的年金において、記録管理の不備により受給権が侵害されることなどあってはならないと考えます。そして年金行政に携わる国家公務員労働者として、年金記録の適正化、国民の権利保障に全力を傾注することが何より重要と考えます。同時に重要なことは、その確実な実施体制の確立を図ることです。
 そうした立場から、下記事項について、誠意を持って対応するよう申し入れます。



1.基本的事項について
(1)年金記録の適正化等に向けた全体計画を早期に明らかにすること。
(2)年金記録の適正化等にあたっては、来庁者サービスなど業務に支障をきたさないよう、必要な予算及び人員など十分な体制を確保すること。
(3)職員の健康管理及び安全対策を強化すること。

2.具体的事項について
(1)全被保険者ならびに既裁定者に対し、ただちに納付履歴を送付し、確認を依頼すること。
(2)社会保険庁の保有する特殊台帳等のマイクロフィルムや、市町村の保存する旧国民年金原簿と、オンラインデータとの全数照会を実施すること。そこで把握した復元可能なデータは直ちに復元するとともに、被保険者及び既裁定者に通知すること。
(3)年金記録に関する特別相談体制を拡充し、被保険者等からの申し出にもとづき、事業所や市区町村に対する聞き取り調査等を行う特別チームを、全事務局・事務所に配置すること。
(4)認知症等、自身で申し出ることが困難な国民の権利を保障するため、市区町村を通じ、民生委員の協力を求めるとともに、厚生労働省医政局等を通じ、全国の医療機関に協力を依頼すること。
(5)誤って、自身の記録が第三者の記録に統合されたケースについて、その救済方法を早急に確立すること。
(6)領収書等、証拠書類がない場合の、具体的救済方法と第一線での事務手続きを早急に確立すること。
(7)再裁定の対象となり時効が成立している受給者への対応について、事務手続きを早急に確立すること。
(8)年金記録に関する政府公報を、ただちに、広範に実施すること。
(9)インターネットによる加入記録確認に必要なIDパスワードの発行体制を強化すること。

3.年金記録相談体制の強化について
(1)電話相談、相談窓口の拡大、臨時窓口の設置等それぞれについて全体スケジュールを明らかにすること。
(2)記録相談専用フリーダイヤルの広報を広範に行うこと。
(3)実施にあたっては、必要な予算、人員等体制を確保すること。


以  上



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