【全厚生2004年春闘方針(案)】 はじめに〜労働者・国民が主人公の春闘を   期待に応えて春闘をたたかう ガマン、ガマンで庶民は痛みを押しつけられている  小泉「構造改革」は、社会保障の理念を歪め大改悪をたくらんでいる 失業者をつくり、賃金を破壊し、働くルールを無視する大企業・財界  憲法9条を踏みにじり、自衛隊のイラク派兵を強行しようとする政府  このままで、いいはずはない−誰もがそう思っている 一刻も放置しない。社会を根本から治す04国民春闘をたたかう   団結の力で構造改革と対決する  必要なのは、みんなの力を結集すること−ともかく、基本だ  職場でも地域でも、一人で悩み、バラバラになっていないか?  団結が狭い範囲にとどまるなら、展望は絶対につくれない   でっかい共同をつくる−まずは、職場・地域で話し合おう    人間らしさを取り戻す−みんなが主人公になるために一歩一歩     憲法25条が生きる社会にする−その道は、構造改革と対決して進む   展望もって新しい時代を築く  でもなぜか、元気がでない。怒りの炎が燃えあがらない 労働者が足を引っ張り合う仕掛けが無数にあるからだ  競争と効率、利潤第一主義という資本の価値観がすべてを支配している  世界市場に乗り出す大資本との対決が根本にあることを決して忘れない   さあ、塗り替えよう−人間が人間として尊重される鮮やかな色に    新しい時代を築く−崇高な理想を深く自覚し、不断に努力しよう     少々険しいが頂上をめざす−04春闘は全厚生の出番であり、本番だ! T 国民春闘で前進を 1.小泉「構造改革」と対決する  〔鮮明になる04春闘の対決点−力関係をかえる〕  04春闘の対決点は、鮮明です。小泉「構造改革」の激痛に耐えるのでなく、痛みをな くすためにたたかうことです。競争原理、市場原理が支配する弱肉強食の社会のあり方を 根本的に問いただし、財界・大企業のこれ以上の勝手放題を許さないことです。  日本経団連が昨年12月に発表した財界の春闘方針では、「労働組合が実力行使を背景 に賃金水準の社会的横断化を意図して闘うという『春闘』はすでに終焉した。今後は、個 別企業が生き残りをかけ、労使一体となって生産性向上に取り組むとともに、さまざまな 改革を成し遂げなければならない」(経営労働政策委員会報告)と述べています。まさに、 一層の痛みを労働者に押しつけ、賃金破壊、雇用破壊の攻撃を強める構えです。  政府・財界による全面的な攻撃を打ち破るには、労働者・国民の共同した力を大きくし なければなりません。労働組合は、その中心軸になることが必要です。要求を前進させる ために大切なことは、個々の企業や産業でのたたかいを強化するとともに、社会的な力関 係を変えるためにたたかうことが重要です。  〔国民総決起の春闘をめざす〕  春闘は、1955年に当時のナショナルセンター総評のもとで開始しました。毎年、春 に、全産業の労働者が統一してたたかう日本の労働者が生み出した独創的なたたかいです。 企業別労働組合のもつ弱点を克服する役割を果たし、賃金闘争だけでなく社会保障や平和 などの国民的な課題でたたかった時に、「国民春闘」として大きな成果をあげました。この 教訓を創造的に生かす国民総決起の春闘を探求し、職場・地域からたたかいます。「憲法を 生かし、職場と地域に根ざした労働組合を」の観点を大切にして、たたかいます。 2.雇用とくらし、社会保障を守る  〔経済や社会は労働者が支えている〕  小泉「構造改革」の3年間にわたる「激痛」は、庶民の悲鳴になっています。失業者が 大量につくられ、雇用破壊から賃金破壊、長時間労働による心身の健康破壊など、悪循環 となって労働者を蝕んでいます。さらに、年金の大改悪もねらわれています。年金・社会 保障の財源では、消費税の大増税がたくらまれています。労働組合として、雇用とくらし、 働くルールを確立するために、あらゆる産業・職場・地域から幅広く、連帯してたたかわ なければなりません。これ以上、労働者・国民に痛みを強いれば、社会の根本を崩すこと になりかねません。経済や社会は、国民の圧倒的多数をしめる労働者によって成り立って います。この点に確信をもって、たたかうことが大切です。  〔社会保障構造改革と対決する〕  医療、年金、福祉などあらゆる分野での連続的な改悪は、部分的な制度改悪を超え、社 会保障全体の理念や目的を変質させる制度の再編制になっています。小泉「構造改革」は、 社会保障、社会福祉を規制緩和のターゲットにあげています。社会保障の公的保障の範囲 を限定・縮小させ、市場化によって民間に開放し、儲けの対象にすることがねらいです。  構造改革特区は、企業参入の突破口を開くための実験場であり、構造改革を全面展開す る意図をもっています。政府の総合規制改革会議の第3次答申(最終答申)は、労災保険 の民営化の検討を打ち出し、コンビニなど薬剤師のいない一般小売店での医薬品販売を認 めることを迫っています。公的年金制度は、将来にわたる自動改悪装置を埋めこむ大改悪 法案が通常国会に提出されます。医療、年金をはじめ社会保険制度の解体・ねらいうちで す。社会保障(制度)の考え方は、市場原理にもとづく弱肉強食の社会とは相いれません。 04春闘は、年金闘争を中心にして社会保障構造改革との全面的な対決の場です。 3.平和憲法を守り、国民が主人公の社会めざす  〔歴史の重大な岐路−イラク派兵やめよ!〕  小泉内閣は昨年12月9日、イラクへの自衛隊派兵に関する「基本計画」を閣議決定し ました。そもそもアメリカやイギリスが国連憲章を踏みにじり、イラクへの侵略戦争を行 い、アメリカの占領支配が続く中での決定です。これは、無法な侵略戦争と不法な占領支 配に加担するものです。  基本計画は、「われらは、いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視しては ならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、 自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務であると信ずる」という 憲法前文を引用して説明しています。とんでもない暴挙であり、何としても中止させなけ ればなりません。「イラク派兵やめよ!」の声を圧倒的な世論にすることが大切です。いま、 歴史の重大な岐路にたっています。  〔憲法擁護の旗を高くかかげる〕  憲法は、社会の姿を描き、国の進路を定めたものです。その憲法を改悪する流れが急速 に強まっています。改悪のターゲットは、憲法9条です。なぜなら、自衛隊のイラク派兵 を強行するには、もはや解釈による憲法の歪曲では限界にきているからです。  米国政府は一貫して、この9条を取り払い、日本が米国のする戦争に全面的に加わるこ とを求めています。こうしたもとで、憲法を守るたたかいが重要です。地球全体の恒久平 和は人類の夢であり、憲法9条は世界のどの憲法よりも優れた宝です。憲法を変えるので なく、憲法理念に沿うように社会をつくりかえる道こそ、憲法の教えです。憲法擁護の旗 を高くかかげ、憲法改悪阻止の一点での運動を前進させることも春闘の課題です。  〔有事法制の発動・法律整備を許さない〕  政府は、有事法制の発動に際し、国民を統制するための「国民保護法制」の要旨をすで に決定し、同法案の閣議決定をねらっています。危険なファシズム化の傾向が強まること を警戒し、草の根からの平和の取り組みに労働組合として参加することが大切です。有事 法制の発動、より具体的な法律整備を許さないために全力をあげます。厚生行政は、第2 次世界大戦の戦争とファシズムの体制下で、戦争政策の一環として遂行され、行政の担い 手である先輩たちは、強制的に動員された痛恨の歴史をもっています。この侵略戦争に突 き進んだ時の愚かな悪夢、歴史を二度と繰り返してはなりません。  〔核兵器のない21世紀を、国民の願い届く政治に〕  核兵器のない21世紀を実現するために、「3・1ビキニデー」「国民平和大行進」「原水 爆禁止2004年世界大会」の成功をめざし、組織の力を結集します。参加の取り組みは、 各支部とも過去最高の水準をめざします。国民平和大行進は、今年もリレー旗でつなぎ、 平和の願いを束ね、原水爆禁止2004年世界大会に結集します。1月31日から沖縄で 開催する日本平和大会の成功のために奮闘します。  また、04春闘は、大阪府知事選挙(2月1日投票)、京都市長選挙(2月8日投票)が たたかわれます。夏には参議院選挙が行われます。政治の行方は、私たちの暮らしや働き 方に直結します。全厚生は、国民の切実な願いや要求が届く政治の実現をめざします。自 治体首長選挙では、「暮らしに憲法を生かす」、「住民こそ主人公」の基本が尊重され、国公 労働者の要求を実現する「政策合意」を確認し、労働組合と協力・共同の関係にたつ候補 者の場合、機関会議の手続き(推薦決定)を経て、勝利めざしたたかいます。 U 春闘をみんなでつくる 1.職場から要求を確立し、執念もってたたかう  〔要求に根ざして、たたかう〕  要求確立は、たたかいの出発点です。要求づくりでは、要求への思いを出し合うことが 大切です。要求の正当性や緊急性をいかに盛り込めるかが勝負どころです。要求とたたか いは深く結びついています。要求を決めても、たたかう決意が込められなければ、絵にか いた餅でしかありません。要求に命を吹き込み、職場からのたたかいを背景にして要求実 現を迫る力をつくるためにも、要求づくりを丁寧に行います。  要求の職場討議は、会議や集会の場だけでなく、日常的に話し合うことが討議を活発に する秘訣です。同じ職場でも、年齢差や仕事の違いなどを考慮して、年代別、職種別に集 まって討議するなど、職場実態に応じて様々に工夫します。この討議を通じて、職場のす べての仲間との相互理解を深めます。こうした取り組みを徹底して重視します。各支部は、 職場の中での労働組合の役割を位置づけて、要求に根ざしてたたかいます。 2.たたかいの節と行動の展開  全厚生は、本部・支部一体で、3段飛びでいうホップ(1月)、ステップ(2月)、ジャ ンプ(3月)、そして飛躍(4月)する段取りをもって、行動を展開します。  〔1月段階〜職場での対話、地域での交流、学習を強め意思統一〕  職場での対話から始めます。1月から2月下旬までを組合員との対話と学習を強化する ための推進期間にします。1月24日(土)に開催する全厚生第45回中央委員会で、2 004年春闘方針を決定します。各支部は、この方針を執行委員会で具体化し、職場に提 起します。支部・分会で学習を強め、たたかいの意思統一を行います。  国公労連04年春闘地域討論集会(全国300カ所・1万人参加目標、ブロック国公は 12月中、県・地区国公は1月中を基本に開催)に全力で結集します。  〔2月段階〜要求の確立、地域の仲間とたたかう〕  2月9日(月)〜13日(金)を全国統一行動週間に設定し、この期間に全員参加をめ ざす昼休み職場集会を開催します。この集会では、支部・分会の独自要求案を提起し、当 面する行動の意思統一を行います。支部・分会の独自要求は2月中に確定させ、遅くとも 3月初旬には所属長に提出します。本部は、統一行動週間に、厚生労働省、社会保険庁に 対し全厚生2004年統一要求書を提出します。要求の提出後は、団体交渉でねばり強く 要求実現を迫ります。  〔2・25全国1000地域総行動に結集する〕  全労連は全国統一行動として、「2・25全国1000地域総行動」を計画しています。 この行動は、労働組合や各団体の行動をもちより、全国1000地域(自治体)を目標に 宣伝・署名、自治体・企業・労組訪問、集会・デモなどを実施するものです。国公労連は、 この日を全国統一行動「1日総行動日」とし、全組合員参加をめざしたビラ配布、署名、 宣伝行動等を具体化する方針です。全厚生は、この取り組みに主体的に結集します。  〔3月段階〜執念もち交渉強化、力の集中で要求実現を迫る〕  全厚生は、支部・分会で粘り強く団体交渉を(上申行動を含む)を実施し、その積み上 げのもとに、本部段階の団体交渉で要求実現を迫ります。  〔3・18全国統一行動=早朝時間外職場集会に結集する〕  全労連・国民春闘共闘は、04春闘要求の回答指定日を3月17日(水)に設定し、翌 18日(木)に全国統一ストライキを配置しています。民間組合は、ストライキをかまえ て回答引き出しをめざします。国公労連は、3月18日を全国統一行動日に設定し、統一 要求前進と春闘解体に反対する国公労働者の決意を内外に示す「目にみえる行動」として 屋外を基本にした早朝職場集会を開催します。全厚生はたたかいの決意を高める宣伝・要 求行動を職場から強めながら、国公労連の方針に結集してたたかいます。 3.全員参加型の運動をつくる  〔ホンネを出し合い、自発的な運動に〕  組合活動が執行部の「請け負い」になっていませんか。忙しい中で、組合員に行動提起 ができないまま、課題をため込んでいませんか。執行部は、新鮮な情報を職場に伝え、課 題を明らかにし、「みんなで討議し、みんなで決め、みんなで実行する」ことを大切にしま す。要求討議と同様に、行動参加もホンネを出して話し合い、全員参加の運動づくりに努 力します。指令や強制でなく、自発的な全員参加の運動をめざします。  〔行動提起は工夫し、知恵をだす〕  行動提起は、組合員の条件にあわせ、参加の幅を広げるためにの工夫し、知恵もだしま す。全厚生の各職場ごとに条件が異なります。春闘方針を踏まえ、一律・機械的にならな いように活動を工夫します。宣伝行動、集会やデモ行進への参加、激励行動、仲間の輪を 広げる活動、機関紙づくり、学習会参加、地域での交流など、春闘の行動に全組合員が参 加するように様々な取り組みを提起します。一つひとつの行動の成功が要求実現の力にな るように位置づけます。こうして、全員参加型の運動を全支部が実践します。 4.行政研究活動を各部門で推進する  憲法25条を各行政分野に生かす取り組みは、全厚生の基本となる活動です。行政研究 活動はその実践であり、運動の軸に据えて取り組みます。この春闘でも、企画立案部門で ある本省庁、厚生科学研究の担い手の試験研究機関、国立としての役割を担う社会福祉施 設、年金・医療の社会保険行政の担い手の社会保険の4つの行政部門ごとに内容を工夫し て進めます。  〔社会保険行政研究集会を開催する〕  社会保険行政の分野では、全厚生社会保険行政研究集会を3月6日(土)〜7日(日)・ 京都で開催します。国民に信頼される社会保険行政をめざし、年金大改悪阻止の取り組み にも寄与するために、職場から準備をすすめ、実りある集会をつくります。  〔試験研究機関交流集会を準備する〕  試験研究機関では、医療ならびに公衆衛生の向上を図り、国民の健康と福祉の向上・発 展させるために試験研究機関交流集会をここ2年間続けています。行政研究活動の一環と して、今年度の交流集会の準備を春闘期から開始します。  〔厚社連を軸にした政策活動を強化する〕  国立福祉施設のあり方の見直しは、社会福祉基礎構造改革、定員削減、民間委託、独立 行政法人化などの攻撃の流れと相まって議論されています。この春闘期、厚社連(=全厚 生社会福祉施設支部連絡協議会)を軸に政策活動を積極的に進めます。 V ストップ!年金大改悪  〔裾野を広げ、全力で取り組んだ年金講師団活動〕  秋季年末闘争での年金闘争は、「全厚生の出番であり、本番」の立場で、社会保険各支部 を軸に大奮闘しました。定期大会後の10月4・5日に開催した年金講師養成講座には、 15支部60人が参加。史上最悪の年金大改悪阻止、年金講師団活動の先頭にたつ決意を 固めあう画期的な取り組みとなりました。この間、年金講師団の取り組みでは、全国で1 50回に及ぶ学習会に出かけ、約4千人近い参加者に年金改悪のねらいや内容を伝え、社 会保障の立場から老後が安心して暮らせる最低保障年金制度の確立をめざす国民的な討議 を呼びかけました。講師活動は、労働組合、社保協加盟の各団体、民主団体、女性団体、 青年団体など多岐にわたり、従来のベテラン講師に加え、若い講師も誕生し、講師団の裾 野を広げ、年金闘争に重要な貢献を果たしています。さらに、情勢にふさわしい活動にす るために、04春闘本番では、旺盛な活動が期待され、待ったなしで求められています。  〔全厚生の役割発揮で、年金大改悪阻止へ〕  政府は、通常国会で年金制度の大改悪をねらい、2月にも法案を提出しようとしていま す。その中心は、今後十数年にわたる保険料の大幅な負担増と給付削減であり、庶民と高 齢者の生活を直撃するものです。年金制度の危機とは、政府・財界のすすめる年金政策の 破綻を意味します。いまこそ、憲法25条を生かす最低保障年金制度をめざし、公的年金 制度を社会や経済力の発展にふさわしい水準に高める不断の努力が必要な時です。  04春闘では、年金大改悪反対のたたかいに寄与する財源問題の解明や最低保障年金制 度の確立の議論をすすめ、全厚生としての講師団活動を果敢にすすめます。講師団の先進 的な経験をもつ大阪支部、「年金紙芝居」を作成した京都支部の工夫や経験をはじめ、裾野 を広げる活動を交流し、取り組みを強化します。昨年、国公労連として「年金なんでも相 談」を取り組みましたが、今後、中央社保協・全労連規模で行う中央・ブロック規模での 年金110番の成功のために奮闘します。宣伝、署名活動など、ストップ!年金大改悪の 国民的なたたかいを前進させるために知恵を出し、全力でたたかいます。  〔年金改悪阻止「4・15全国統一ストライキ」に結集する〕  全労連は、04春闘における最大の全国統一行動として、「4・15年金ストライキ」を 配置しました。この年金ストライキは、広範な労働組合の統一ストライキとして広がるよ うに中立や連合加盟を含む労働組合への共同の申し入れ、中小企業、商工業者、女性団体 などにも働きかけ、各都道府県や地域で「年金ストライキ連帯集会」を計画し、100万 人規模の全国統一行動として、成功させることをめざしています。  国公労連は4月15日の年金ストライキに呼応し、全国統一行動として休暇行動(主要 100都市を拠点に、組合員の1割以上を休暇動員した終日の宣伝行動等)を提起してい ます。全厚生は、出番の情勢を受けとめ、国公労連の方針にそって年金闘争を推進するた めの役割発揮を行い、全力で結集します。 W 賃金改善、職場の働くルールづくり 1.賃下げ攻撃に歯止めをかけ、生活改善をめざす  〔国民春闘に結集し、賃金底上げでたたかう〕  04春闘の攻防が激しくなっています。財界の春闘方針である経営労働政策委員会報告 は、「一律的なベースアップは論外であり、賃金制度の見直しによる属人的賃金項目の排除 や定期昇給制度の廃止・縮小、さらにはベースダウンも労使の話し合いの対象となりうる」 としています。これは、どんな不況のもとでも財界・大企業は、最大の利益をあげる体制 をつくり、徹底した総人件費を削減する決意を示したものです。ベアゼロどころか、定期 昇給を見直し、激しい賃金破壊攻撃の構えです。こうしたもとで連合は、賃金要求を示さ ず、賃金闘争を形骸化させています。  全労連は、未組織をふくむすべての労働者の賃金底上げ、パート労働者の時間給の引き 上げなどを重視し、全国一律最低賃金制度の確立をめざし、04春闘をたたかいます。全 厚生は、賃下げ攻撃に歯止めをかけて生活改善をめざし、国民春闘に結集して賃金闘争を 前進させます。  〔全労連の賃金要求の目標を基礎に据える〕  賃金闘争を前進させる鍵は、社会的に注目され、すべての労働者の共感と共同をつくり、 国民的支持を結集する賃金要求をかかげてたたかうことです。いま、賃下げを許さず、賃 金底上げをはかる課題は、資本側と労働者・労働組合との最も鋭い対決点になっています。 こうした情勢のもとで、全労連の以下の要求目標を基礎に据えてたたかいます。  @全労働者の賃金底上げ要求 =「誰でも月額1万円以上の賃上げ」  Aパート労働者の賃金要求  =「誰でもどこでも時給1000円以上の実現」                 「50円以上の時間給引き上げ」  B最低賃金の確立と改善要求(地域最低賃金、全国一律最低賃金の要求)                =「時給1000円以上」                 「日額7400円以上」                 「月額 15万円以上」  〔国公労連の統一賃金要求を積極的にかかげ、たたかう〕  国公労連は1月30日(金)、第119回中央委員会を開催し、「国公労連2004年春 闘統一賃金要求」を決定します。この賃金要求を積極的にかかげ、使用者である政府及び 人事院に対し、職場からのたたかいを背景に「誠意ある回答」をねばり強く追及します。 民間労働者と一体で、賃下げの悪循環や不当な不利益遡及に対する怒り、公務員の賃金の 社会的影響力などを明らかにして、国民春闘の一翼を担いたたかいます。 2.働くルール確立、労働条件の改善めざす  〔労働者にとって職場とは?−ここの見方が大事〕  職場はいま、誇りの持てる場所になっていますか。改めて考えてみて下さい。職場は、 労働者が毎日いっしょに働き、悩み、不安、怒りが常にうずまいています。ここから、要 求が生まれます。職場を点検し、生き生きと働ける職場をつくる改善策を出し合うことが 大切です。提案型の運動は、何が必要かを話し合う中で生まれます。  私たちは、職場を基礎にたたかうことを重視します。職場で組合活動が活発に行われて こそ、労働者は組合を身近に感じ、自分の意見を述べ、活動に参加し、組合の主人公とし て責任感を持ち、たたかいに結集できるからです。職場の労働条件、働くルールのすべて を、全組合員が徹底して話し合い、納得のいくまで意見を煮詰め、団結の力で働くルール を確立するためにたたかいます。職場のことや組合員の相談事は、個人で考えず、労働組 合として考えます。すなわち、常に労働者の働く権利の課題として議論します。  〔ただ働き・サービス残業を根絶する取り組み〕 「サービス残業」は、賃金が支払われない「ただ働き」であり、違法行為です。働くルー ルの確立にとって、労働時間のルールは根本課題です。このサービス残業を曖昧なまま、 見過ごすことはできません。サービス残業の根絶によって、160万人の雇用を新たに創 出できるといいます。それ以前に、長時間労働は、ストレスと疲労を蓄積させ、職場での 「心の病」を引きおこし、健康を脅かし、家族を含めた人間らしい生活を破壊しています。 本省庁職場での無定量で恒常的な残業実態は、異常です。すべての部門で残業問題は、深 刻になっています。国公労連で取り組む「不払い残業根絶、働くルール確立強化月間」(2 月)をすべての職場から重視して取り組みます。  〔昇格改善、定員確保、実効ある再任用制度の運用を〕  昇格改善や諸手当改善のたたかいは、「継続こそ力」です。公務員制度改革では能力・業 績主義の強化がねらわれています。職務の正当な評価を求めるたたかいは、益々重要にな っています。深刻な定員不足は、行政サービスに後退につながります。定員削減に反対し、 各部門で行政ニーズ・職場実態に応じた定員確保に総力をあげて取り組みます。希望者の 雇用を実現させる再任用制度の運用めざし、引き続き努力します。  〔真の男女平等をめざし、男女共同社会の実現へ〕  人事院は2002年5月に「女性国家公務員の採用・登用の拡大に関する指針」を各省 に通知し、それを受けて厚生労働省は「厚生労働省女性職員採用・登用拡大計画」を策定 しています。この計画の実効性を追求し、女性の採用・登用の拡大を迫るとともに、超勤 縮減などの勤務環境の整備をポジティブアクション(積極的改善措置)の観点から具体的 な改善を図るよう、職場からの取り組みを強めます。  〔仲間の雇用を守るためにたたかう〕  2005年4月にむけて、独立行政法人医薬基盤技術研究所(仮称)の設立準備が進め られています。国立医薬品食品衛生研究所大阪支所は、2004年4月に廃止されます。 大阪支所職員の雇用確保を要求し、当局に対し、誠意ある対応を最後まで求めます。  全国154の国立病院・療養所は来年4月1日より、独立行政法人に移行します。厚生 労働省は、移行にあたって約6千人の「賃金職員」の雇用を引き継がず、雇い止め・解雇 する方針を昨年11月に発表しました。賃金職員は、「日々雇用の非常勤職員」という身分 ですが、実態は正規職員とまったく同様の責任を負わされ、同様の業務を命じられていま す。全労連は、「国立病院職員の雇い止め阻止闘争本部」を設置して、たたかいの波を全国 で広げています。全厚生は兄弟組合として、全員「雇い止め」を撤回させ、全員の雇用と 生活を守るために全力をあげます。 3.民主的な公務員制度の確立、国公権利裁判の前進を  〔公務員制度改革のたたかいの基本方向〕  政府は、行革推進事務局の体制を刷新して、通常国会への公務員制度改革関連法案の提 出にむけて、作業を再開しています。全厚生は、国公労連に結集して引き続き、「公務員制 度改革大綱」の撤回、ILO勧告にそった民主的な公務員制度の確立を求めて取り組みを強 めます。  @国民的な支持と共同を広げるために運動する、A政府・当局の使用者責任を徹底して 追及する、B労働条件の一方的変更に反対する職場からたたかう態勢をつくる、この基本 方向で奮闘します。政府が公務員制度改革関連法案を一方的に閣議決定し、法案を国会に 提出した場合は、民主的な公務員制度改革を求める立場で廃案をめざし、国会闘争を強化 します。  〔組合員全員が原告団の立場でたたかう〕  135人の原告団(全厚生は7人の原告団)で訴えた「不利益遡及は許さない!国公権 利裁判」は、提訴から10カ月が経過しました。すでに6回の口頭弁論が行われ、原告側 の主張は概ね終了し、次回2月12日の第7回口頭弁論では、被告・国の答弁も出そろう 予定です。その後、証人尋問に入り、原告団の訴えも予定されています。この春闘は、第 1審の重要な段階を迎えます。  国公権利裁判を大衆的な裁判闘争として、組合員全員が原告団の立場でたたかいます。 職場では、権利裁判の意義や争点、・たたかい方についての学習活動を強めます。全厚生の 7人の原告団は、出身支部はもとより、各支部への裁判闘争オルグになって奮闘し、ブロ ック国公・県国公に結集してたたかいます。 X 春闘で頼りになる労働組合を築く 1.日常活動を重視し、改善に努める  〔実践編・その@−気軽に話せる雰囲気をつくる〕  組合員の自由な討議を保障します。そのために、誰でも発言しやすい雰囲気の話し合い の場を工夫します。執行部の姿勢や発言に誘われて、意見が次から次へと出てくる、そん な会議や集会運営をめざします。  〔実践編・そのA−決めるプロセスを重視する〕  みんなで方針を決めて、実行します。そのために、要求や行動する意義を伝え、押しつ けでなく自主的に「決め合う」プロセスを重視します。組合員との対話を大切にして、意 見を汲み取り、さらに深めることのできる民主的なリーダーになるように努力します。  〔実践編・そのB−みんなに参加を呼びかける〕  どんな時にも執行部は、多くの組合員が行動に参加するように呼びかけます。一人ひと りの条件のちがいを考慮して、一律・機械的でない活動を工夫します。 2.学習活動を重視し、機関紙活動を前進させる  〔学習は、たたかいの源泉−学習の場を積極的につくる〕  学習は、要求と運動に確信を与える源泉です。特に春闘時は、積極的な学習の場をつく ることが必要です。地域の労働者と交流することも学習です。職場や仕事がちがっても同 じ労働者です。すべての労働者と対話をすすめる中で、一致する要求を見出し、共通して たたかう相手(政府・財界)を見極めることも可能です。労働者どうしで励まし合い、共 同を肌で実感することが大切です。  各県・地域の学習会には、支部・分会役員をはじめ、多くの組合員が積極的に参加しま す。支部・分会執行委員会は、学習活動の先頭に立ち、自らが輝きをもって職場での活動 をすすめます。学ぶことでたたかいへの確信を深め、組合員と語り、運動の輪を広げます。 合い言葉は、知って・知らせて・行動しよう!です。  〔春闘で機関紙活動を前進させる〕  みんなでつくる春闘は、組合員と執行部をつなぐ機関紙活動を軸にすすめることが大切 です。支部・分会の顔である職場新聞を定期的に、時には頻度を高め、発行します。その 基本は、紙面に仲間たちの怒りや喜びを表現することです。春闘期間中、@組合員や職場 の仲間を励まし元気づける、A情報・話題を提供し、職場で起きていることを伝える、B たたかう方針を示し続けます。要求とたたかいのあるところ、常に機関紙活動ありです。 3.組織強化・拡大こそ、要求実現の最大の力  〔事前の準備を重視して、目的意識的に取り組む〕  春闘の期間、要求実現のたたかいと一体で、仲間を増やす取り組みを強めます。全厚生 は4月〜6月までを「春の組織拡大特別期間」に設定し、事前の準備を行い、組合加入の 運動を進めます。非常勤職員と対話し、加入の条件をつくる努力をします。労働組合の力 は、「団結の力」です。労働組合に新しい息吹、新たな活力を生み出すために、職場のすべ ての仲間を対象に組合加入の運動をすすめます。  「仲間どおしのたすけ(愛)」をスローガンにした国公共済会への信頼が高まっています。 引き続き、組合員の6割をめざします。「4月〜6月」を「国公共済会加入特別期間」に設 定し、組合員加入の取り組みと連携して、取り組みを進めます。  〔国公労連「チャレンジ30」を実践する〕  国公労連は、定員外(非常勤)職員の組織化、独立行政法人労組の強化・拡大、本省庁 組織の対策強化、県・ブロック国公の体制・機能の強化をチャレンジ30(組織拡大4カ 年計画)と銘打って、産別全体として取り組んでいます。全厚生も積極的に受けとめ、各 分野ごとに具体化を進めます。  昨年12月に国家公務員一般労働組合(略称「国公一般」)を結成しました。これは、東 京・霞ヶ関の本省庁職員を対象にした「一人でも加入できる労働組合」です。国公産別運 動の新たな取り組みとして、本省庁組織の強化につなげます。  全労連「組織拡大推進基金」カンパ運動は、全労連の組織戦略を理解し、各県労連、県 国公で決定された目標・方針にもとづき各支部が議論し、具体化します。  〔青年、女性、シニア、パート労働者を主人公に〕  すべての構成員が生きいきと活動する春闘をめざします。女性部は昨年10月、第8回 総会を成功させました。青年(対策)部は、愛知県支部青年部のがんばりの中で昨年11 月、「全厚生青年交流集会inあいち」を11支部100人を超える青年の参加で成功させ ました。この到達点を確信にして、引き続き奮闘します。壮年層は、仕事や組合での豊富 な活動経験を生かし、行政研究活動の重要な担い手として位置づけます。パート労働者の 取り組みは、業務センター支部のたたかいに学び、パート・臨時労働者の要求でたたかう ことを目標にして、一歩前進できるように各支部とも努力します。  〔独立行政法人の労働組合の前進を〕  独立行政法人国立健康・栄養研究所支部は、秋年闘争で賃金確定闘争を行いました。生 活改善と労使自治にもとづく決着をめざしましたが、人勧準拠の枠を超えることはできま せんでした。独立行政法人をめぐる新たな情勢のもとで、04春闘では引き続き、国公労 連独立行政法人対策委員会に結集してたたかいます。 〈健康に充分気をつけて、仲間を信じて、2004年春闘を精一杯がんばりましょう!〉