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◆号外 (2016年8月29日付)◆
全厚生第80回定期大会 2016年度運動方針(案)
2016年度運動方針(案)の目次 2016年度組織拡大方針(案)の目次

運動方針(案)のエッセンス

 メインスローガン
活かそう憲法!ふやそう仲間!
必ず勝ち取る解雇撤回!
笑顔で、知恵だし、声だし、元気だし、さあ、みんなでやり抜う!

 1946年4月20日に結成された全厚生(当時は、厚生省職員組合)は今 年、結成70周年を迎えました。第80回定期大会は、全厚生の歴史に学び、労 働組合の原点を見つめ直し、希望を拓く運動方針を決定します。

[1]歴史に学び、受け継ぐ

 全厚生70年の歩みは、多くの先輩達の汗と涙の結晶です。その時々に懸命 に生き、活動してきた数多くの歴史が刻まれています。困難な時期があって も、職場の切実な要求に根ざし、真に解決する道筋を見極め、団結の力で繋 げてきた歴史です。働くものの自由及び権利は、不断の努力によって守り発 展させなければなりません。全厚生は、国民とともに歩んできた歴史に学び 、道理ある要求を高く掲げ、職場と地域に根ざし、引き続き、力強くたたか います。

[2]活かそう憲法!

 「活かそう憲法!」は、たたかいの柱です。憲法の理念や精神をこの国の 隅々にまで活かすために奮闘することを呼びかけます。生き生きと働ける職 場、希望のもてる社会をつくるために、憲法という物差しで考え抜き、憲法 を土台にしてたたかいます。

 1.職場に憲法を

 憲法を職場に活かすとは、人間らしく働き続けることのできる職場をつく ることです。その基本は、労働基準法が守られる職場です。これは、最低条 件です。その最低条件すら守られない職場を放置してはなりません。全厚生 の支部・分会が職場にあれば、その最低条件を確実に守らせる力になります 。「活かそう憲法!」を職場で具体化するとは、職場に全厚生の旗を掲げ、 職場の中で影響力を発揮し、広げることに他なりません。人間らしく生き、 働く条件を切り拓くためには、団結の力、労働組合の力が必要であり、憲法 が大きな力を発揮します。

 2.厚生労働行政に憲法25条を

 全厚生の各職場はいま、国民の期待に応えるにはほど遠い現状にあります 。なぜなら、政府が民営化や規制緩和を推し進め、社会保障の削減を進めて いるからです。厚生労働行政を担う全厚生の各職場の要求とたたかいは、こ の政府の政策に立ち向かう最前線での活動になっています。全厚生は引き続 き「何のため、誰のために」厚生労働行政があるかを真剣に問い続け、国民 の願いに応える厚生労働行政の確立をめざします。憲法25条を活かす道理あ る要求をみんなで練り上げ、高く掲げてたたかいます。

 3.憲法を活かし社会を変える

 改憲勢力が衆参議席の3分の2を超える事態は、危険極まりない状況です 。しかし一方、安倍暴走政治に対する国民の怒りとたたかいは、民主主義の 力を呼び覚まし、市民と野党の共闘で政治を変える新しい共同行動を創造し ています。昨年9月19日未明の戦争法の強行以降、戦争法廃止を求める新し い挑戦が始まりました。「民主主義って何だ!」「これだ!」、「言うこと きかせる番だ、俺たちが」など、SEALDs(シールズ=自由と民主主義 のための学生緊急行動。民主主義の種を蒔き、行動したシールズは8月15日 に解散しました)が響かせたコールが国民の共同行動の中で響き、根づき始 めています。ここにこそ、社会を変える希望があります。

[3]ふやそう仲間!解雇撤回を!

 1.組織の純増を実現させる

 全厚生は今、組織強化・拡大を最大の課題に位置づけ全力で奮闘していま す。しかし、歴史的な困難に直面し、組織人員の減少が続いています。今年 こそ、組織の純増を勝ち取らなければなりません。その意思統一を今大会で 行います。
 厚生労働行政を切り捨てる政策は、国民の立場で行政を担う労働者の誇り と働きがいを奪っています。この事態が全厚生の組織的な困難をつくりだし ています。しかし、そこに働く仲間がいる限り、困難を乗り越え、前進する ために奮闘するのが労働組合です。
 社会保険行政の解体・民営化の攻撃に対し、全厚生は毅然として立ち向か っています。日本年金機構での組合活動は、新たな労使関係の下で厳しいた たかいが続いています。社会福祉施設の組織再編を伴う塩原・伊東センター の廃止、試験研究機関で続く組織再編や独立行政法人改革など、大がかりな 攻撃に立ち向かい、道理ある要求を高く掲げ、たたかっています。これは、 70年の歴史の中で貫いてきた全厚生の基本姿勢です。この姿勢を貫くために 、組織を力強く前進させなければなりません。

 2.職場に頼りになる全厚生をつくる

 組織づくりに特効薬はありません。労働組合は、一致する要求前進のため に団結してたたかう組織です。支部は職場の一人一人の要求を受け止め、そ の実現をめざします。
 職場とは、労働者が毎日働く場所です。労働者が顔を合わせ、協力して業 務・行政を遂行する場です。この中で、不満、不安、悩み、怒りが絶えず生 まれます。人間らしく生き、働くための要求は、この職場からつくられます 。
 この職場組織は、常に変化します。業務・行政の変化は、業務体制に変化 をもたらします。職場組織の変化に目を向け、支部・分会組織の体制を確保 するために最大の力を注ぐことが必要です。団結を弱める攻撃を放置せず、 職場組織を維持し、強固にするために奮闘します。

 3.必ず勝ち取る解雇撤回!

 社保庁不当解雇撤回闘争は、6年8カ月になります。今年の5月から広島 高裁でのたたかいが加わりました。今、3高裁、4地裁での裁判闘争がそれ ぞれ重要な局面を迎えています。京都事案の大阪高裁判決が11月16日(水) 午後1時10分に行われます。大会後の1年間で各裁判所での判決が続く状況 です。勝利判決を勝ち取るために、公正な判決を求める世論と運動を一層広 げることが必要です。全国での宣伝活動、署名活動、傍聴行動を徹底して強 めます。

 4.スローガンを胸に刻み、活動する

 メインスローガンは今から4年前、第76回定期大会で確立しました。全厚 生の中心課題と基本姿勢を示しています。
 中心課題を握って離さず、「笑顔で、智恵だし、声だし、元気だし、さあ 、みんなでやり抜こう!」の基本姿勢を堅持する努力が求められます。「言 うは易(やす)く行うは難(かた)し」です。
 一時の情熱ではなく、情熱を持続させるために、(1)基本方針に確信を もつこと、(2)仲間とともに活動を継続させることが大切です。そしても う一つ、組合活動のあらゆる場面で組合民主主義を貫くことです。すなわち 、「みんなで討論、みんなで決定、みんなで実践」することです。

 

運動方針(案)

[1]第80回定期大会の目的

(1)厚生労働省等に働く労働者で組織する労働組合として、誇りと生きがいのもてる職場と行政をつくる方針を確立する。
(2)改憲と戦争する国づくりを阻止し、憲法9条と25条を守り、活かす国民的な共同を広げるための方針を確立する。
(3)困難を乗りこえ、組織強化・拡大をすすめ、展望を切り拓く1年にするための意思統一を行う。

[2]全厚生運動のこの間の到達点

 厚生労働行政は、公務破壊や民営化政策のターゲットになり、組織再編や組織改革が続いています。全厚生は、その動きに機敏に対応して、たたかい続けています。

 1 道理ある要求を掲げて、たたかう

 政府の進める民営化や規制緩和、成長戦略は、社会保障を拡充する方向に逆行するものです。厚生労働行政を担う各職場の要求とたたかいは、政治・社会のあり方と直結し、政府の政策に立ち向かう最前線の活動です。
 社保庁職員の不当解雇撤回、日本年金機構や協会けんぽの体制強化の課題は、公務の民営化や社会保障の解体攻撃に対決して取り組む課題です。国立福祉施設の存続・拡充の課題や、厚生科学研究の役割発揮を求める課題は、憲法25条を活かす厚生労働行政を確立する課題と一体です。全厚生はこの間、「何のため、誰のために」厚生労働行政があるかを真剣に問い続け、国民の願いに応える厚生労働行政の確立をめざし、憲法25条を活かす道理ある要求を掲げて、たたかい抜いています。

 2 職場を基礎に、切実な要求前進のために本部・支部一体でたたかう

 全厚生は、道理ある要求を掲げ、要求前進のために全力を尽くしてきました。職場(支部)は、困難な中でも所属長交渉を追求してきました。秋季年末闘争、春闘、夏季闘争の中で本部交渉を実施。(1)大臣官房人事課長交渉、(2)施設管理室長交渉、(3)厚生科学課長交渉、(4)日本年金機構本部交渉、(5)全国健康保険協会本部交渉、(6)人事院交渉等を実施してきました。さらに、厚生共闘として、(1)厚生労働大臣交渉、(2)大臣官房長交渉等を実施してきました。各交渉の到達点を踏まえ、ねばり強く要求実現をめざすことが重要です。

 3 不当解雇撤回闘争に全力をあげる

 不当解雇撤回闘争は、全厚生の最重要課題と位置づけ、6年8カ月が経過しました。政府・厚労省が行った社会保険行政の解体・民営化攻撃と一体で強行した525人の大量解雇に対し、当事者、闘争団の団結と全労連、国公労連をはじめとした多くの仲間の支援でたたかい抜いてきました。
 人事院闘争では画期的な処分取消判定を勝ち取り、組合員10人の職場復帰しました。不当判定となった当事者は現在、広島高裁で闘う原告の方が全厚生闘争団に加わり、7都道府県・29人の原告が3高裁・4地裁で闘っています。
 この秋には大阪高裁判決が行なわれます。札幌地裁、名古屋地裁での年内結審・年度内判決が続きます。
 全国の裁判闘争では、政府の責任を不問に付し、救済(取消)の枠組みを不当に限定した人事院判定を乗り越え、解雇撤回を勝ち取るために奮闘します。

 4 公務員賃下げ違憲訴訟で、たたかう

 公務員賃下げ違憲訴訟は、国家公務員の労働基本権が制約されている下で、人事院勧告に基づかない公務員給与の賃下げの違憲・違法性を司法の場で明らかにするものです。2012年5月25日に提訴して4年3カ月。2014年10月30日の東京地裁の不当判決後、控訴審は9月12日に結審となり、早ければ年内判定が想定されます。原告は、国公労連と359人の組合員で構成し、全厚生は6人の組合員が原告になっています。社保庁不当解雇撤闘争とともに公務員労働者の権利確立のカギを握るたたかいです。公務員攻撃のねらいを明らかにして、国民の支持と共感を得ながらたたかいを前進させることが大切です。

 5 組織強化・拡大は正念場の課題

 全厚生は、組織強化・拡大を最も重要な課題として、第74回定期大会以降の6年間で約420人の拡大を行ってきました。各支部は、職場での対話と交流を行い、労働組合の活動を伝え、新しい仲間を少しずつ迎えています。本省支部では、非常勤職員の仲間の要求を大切にしてランチ会などを開催。学び、交流し、組合の風をさわやかに吹かせ、毎月新しい仲間を迎え入れ、画期的な組織の純増を実現しています。こうした経験があるにもかかわらず、組織の減少に歯止めがかかっていません。このまま推移すれば組織の重大な後退につながります。この間の取り組みを総括すれば、対話を進めるための意識的な努力が決定的に重要です。全支部で組織の純増を実現させるために奮闘することが必要です。

 6 たたかいを継続・発展させよう!

 全厚生はこの間、厳しい攻撃にひるまず、あらゆる活動の場で希望とロマンを語り、道理ある要求を掲げ、たたかってきました。これまでの到達点を踏まえ、新しい情勢の下で全力でたたかうことが必要です。組織強化・拡大の取り組みは、必ず前進させなければなりません。志を大きく持ち、共同を広げ、たたかいを継続・発展させましょう。

[3]情勢の特徴と全厚生の使命

 1 未来を展望する

 日本は今、「戦争する国」か「平和な国」か、その重大な岐路に立っています。 今後1年間は、平和と暮らし、社会のあり方の根本を問う対決の年になります。この国の今と未来に責任を持つ主権者として、政治を変え、社会を良くする課題に真正面から向き合うことが重要です。戦争法廃止の共同行動の広がりは、民主主義こそ、政治をかえる確かな力であることを実証しています。原発再稼働反対や沖縄辺野古沖への米軍新基地建設の中止・撤回、TPP交渉妥結を許さない課題など、日本の未来を左右する課題で共同の取り組みが全国で前進しています。今沸き立つ労働者・国民の要求行動のエネルギーは、日本の将来を見据えた新しい社会運動をつくりだしています。

 2 国民の願う厚生労働行政を確立する

 安倍政治は、行政体制に重大な影響を与えています。社会保障や社会福祉分野は、社会保障制度改革推進法で自立・自助を強調し、社会保障改革のプログラム法で改悪メニューとその時期を明示し、改悪を推進しています。
 政府は社会保障改悪と一体で、行政の定員削減と民営化攻撃を強めています。政府は2014年7月に「5年間で10%」の定員合理化計画を閣議決定し、2015年から毎年2%の定員削減計画を推進しています。どの現場も、これ以上の定員削減を受け入れる余地はありません。
 厚生労働行政の後退の根本原因を明確にして、憲法25条を活かす厚生労働行政を確立させる探求が求められています。そのために「何のため、誰のため」に厚生労働行政があるかを真剣に問い続け、考え、行動することが大切です。

 3 働くルール破壊の攻撃を許さない

 安倍政権が進める「雇用改革」は、雇用の安定と働くルールを壊し、賃金格差を拡大し、非正規雇用を増やし、低賃金で働く労働者を大量につくるものです。労働者派遣法の大改悪の強行は、「生涯ハケン・正社員ゼロ」をめざすものです。「残業代ゼロ」制度や解雇の金銭解決制度、労働時間規制の全面的な弾力化もねらわれています。この安倍「雇用改革」は、日本中をブラック企業化するものです。この方向を許してはなりません。
 今、労働法制大改悪をはね返す共同を大きく広げることが大切です。乱暴な解雇は許さず、雇用を安定させることが重要です。賃金の底上げを行い、均等待遇を実現させ、普通に働けば人間らしいまともな暮らしができる労働条件、働くルールの確立は緊急の課題です。

 4 全厚生労働運動の歴史的使命と役割

 1946年4月20日に結成された全厚生(当時は、厚生省職員組合)は今年(2016年)、結成70周年を迎えました。全厚生は結成当初から、社会保障闘争の分野で重要な役割を担ってきました。1954年、吉田内閣がすすめた再軍備策動に反対し、社会保障を守るための行動を起こした歴史は、全厚生運動の原点です。また、全厚生は、労働条件の改善をめざすと共に、厚生労働省(旧厚生省)で働く職員で組織された労働組合として、行政の民主化、社会保障を守るたたかいを重視して取り組んできました。全厚生規約第3条は「社会保障の確立のために行政の反動化に反対し、わが国の平和と民主主義の確立に寄与する」と記しています。これは、行政運営を担う労働者で組織する労働組合として、行政民主化のたたかいを積極的に位置づけている証です。
 人間らしく生き、働くために、労働組合は、今こそ出番です。なぜなら、この課題を真正面に据えてたたかう組織は、労働組合以外にないからです。労働組合は、切実な要求の実現のために、団結の力でたたかう恒常的な組織だからです。
 全厚生は、厚生労働行政を担う労働者で組織する労働組合として、職場を変え、暮らしを改善し、社会を良くするために全力を尽くします。

[4]たたかいの旗印(基本要求)

〔国家公務員の賃金・昇格改善〕
1.公務員労働者の生活と労働の実態をふまえ、職務給の原則に沿った賃金改善を行うこと。
2.高齢層職員の賃金抑制を是正し、職務と生活の実態に見合った水準に改善すること。
3.職務評価の引き上げによる級別標準職務表の抜本的な改正とともに、行(二)部下数制限の撤廃など、昇格改善をはかること。

〔国民本位の行政体制の確立〕
4.憲法25条の理念を活かし、医療並びに公衆衛生の向上を図り、国民の健康と福祉を向上・発展させるために増員を行うこと。
5.総定員法を廃止するとともに、「定員合理化計画」を撤回し、大幅な増員を行うこと。
6.現場の職員の意向を十分考慮し、必要かつ充分な人員と予算を確保すること。
7.公正・中立・民主的な公務員制度を確立すること。
8.憲法28条の原則に立った基本的人権として、ILO勧告など国際基準にそった労働基本権の全面的な回復を実現すること。
9.マイナンバー制度は直ちに廃止すること。また、個人番号カードのICカード身分証との一体化は中止すること。

〔非常勤職員の労働条件の抜本改善〕
10.非常勤職員制度を抜本的に見直し、雇用の安定、均等待遇などをはかる法制度を整備すること。
11.非常勤職員の休暇等は、常勤職員と同等の制度に改善すること。
12.期間業務職員制度の運用にあたり、安定的な雇用保障に努め、安易な雇い止めを行わないこと。

〔再任用制度の改善〕
13.職員の意向をふまえ、働き続けられる勤務環境を整備し、希望者全員を再任用すること。
14.再任用職員の賃金は、年金支給開始までの生活維持にふさわしい賃金水準とすること。

〔旧社会保険庁職員の不当解雇撤回〕
15.各地裁、各高裁での勝利判決。政府・厚労省の責任で処分撤回・全面解決を行うこと。ILO勧告を尊重し誠実な対応を行うこと。
16.被懲戒処分者を一律不採用とする閣議決定を撤回すること。
17.日本年金機構に専門的な知識と経験を持つ元社会保険庁職員を正規職員として採用すること。

〔日本年金機構の体制強化〕
18.国民への信頼を回復し、国民サービスの向上と安定的な業務運営を行うため、正規職員を増員して業務体制を拡充すること。
19.「当面の業務運営に関する基本計画」の閣議決定を見直し・撤回すること
20.有期雇用職員について、安易な雇い止めは行わず、希望する職員の継続雇用を行うこと。
21.日本年金機構の実態を正確に把握し、安定した業務体制の確立に必要な予算を確保すること。

〔国立福祉施設の組織再編〕
22.国立施設の機能の充実強化を図るために、障害者の権利保障及び障害者福祉の拡充の立場に立ち、現場の職員の意見や利用者の声を十分に反映させた体制を確保すること。
23.地方センターを廃止せず、存続・拡充させること。

〔試験研究機関の体制強化〕
24.国立試験研究機関について、国が責任をもって運営し、独立行政法人化は行わないこと。
25.各研究機関の役割を発揮するために、研究現場の意向を反映させ必要かつ充分な人員と予算を確保すること。
26.健康・医療戦略推進の重点分野だけでなく基礎・基盤的研究を進める充分な人員と予算を確保すること。研究設備の維持など基本的な研究環境を確保すること。
27.国立医薬品食品衛生研究所の川崎移転について、国民の要請に応えうる必要な施設とシステムを構築し、移転が完了し移転後の安定的な研究運営が可能となるまで充分な予算を確保すること。
28.国立感染症研究所の確保する公務員宿舎について、研究所の使命を果たし、充分な役割発揮を行うために業務遂行に必要な戸数を確保すること。

〔独立行政法人の体制強化〕
29.国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の研究業務の維持・拡充を図るため、必要な運営費交付金を確保すること。
30.国立健康・栄養研究所の大阪移転の検討にあたり、必要な情報を公開すること。研究所の根本機能を損なう実験系(ウエット)と非実験系(ドライ)との分割移転は行わないこと。
31.独立行政法人の賃金・労働条件決定 は、労使対等の原則並びに自主性を尊重し、不当な介入・干渉を行わないこと。

〔超勤縮減やハラスメントの根絶〕
32.超過勤務を大幅に縮減し、不払い残業を根絶すること。
33.恒常的で異常な残業実態を改善するため、業務量に見合う定員の確保、勤務時間管理の徹底や、超過勤務時間の上限規制を設けるなど、実効ある対策を講じること。
34.疲労蓄積の防止、メンタルヘルス対策など、職員の健康と安全を確保すること。人権侵害行為であるパワーハラスメントを根絶するため、職員の安全確保、職場環境整備の観点に立ち、使用者責任を果たすこと。

[5]共同の力で、改憲と戦争する国づくりを阻止する

 1 戦争法廃止の共同行動に結集する

 戦争法を廃止するには、国会行動や全国各地の取り組みを継続させ、日々の活動量(国民運動の総和)を高めることが必要です。市民と野党共闘の力による新しい希望の光が見えました。この流れを大きくするための探求が求められています。戦争法廃止の共同行動を推進している「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」並びに全労連・国公労連の行動提起に沿い、全国で実施する行動に積極的に結集します。

 2 改憲阻止と「戦争する国づくり」を許さない共同を大きく広げる

 今、安倍政権は「戦争する国づくり」と改憲に向かって突き進んでいます。改憲の本丸は9条改憲と緊急事態条項の創設です。安倍内閣は、衆参両院で改憲勢力が3分の2を占める危険な情勢の下で、憲法調査会で野党を改憲議論に巻き込もうとしています。日本国憲法を守るのか否か、主権者国民の力が試される瞬間(とき)です。戦後日本は、侵略戦争の反省を踏まえ、二度と海外では戦争はしない、軍事力は持たないと決意しました。その誓いが憲法です。この憲法が歯止めとなり、自衛隊は他国と一度も戦火を交えず、一人の外国人も殺してはいません。9条は平和を守る原点です。この憲法を守るため、改憲阻止の共同を広げるために全力を尽くします。

[6]大幅賃上げと働くルールの確立を

 暮らしと雇用を守ることは、幸せに生きる基本のたたかいです。すべての働く人々の実質賃金の改善・底上げを獲得するには、賃金底上げを実現する運動を総合的に推進することが重要です。最低賃金を引上げるたたかいに結集し、公契約条例の制定の取り組みを強化し、公務員賃金改善のために官民一体でたたかうことが重要です。この方向こそ、全労連の提起する社会的賃金闘争です。2017年国民春闘で大幅賃上げ実現をめざし、社会的賃金闘争を強化し、国民春闘共闘に結集します。民間も公務もすべての労働者の大幅賃上げと賃金底上げ、働くルール確立のためにたたかいます。

[7]職場を基礎に要求前進をめざす

 1 日常活動を重視し、支部・分会体制を確立する

 労働組合の基礎になるのは、職場であり、支部・分会です。支部会議を定期的に開催する、新聞を発行する、新聞を組合員に配布する、組合員と対話する、職場集会を開く、要求討議を行う、要求書を提出する、団体交渉を行う、学習会を開く、レク・文化行事を行う、組合加入を進めるなど、様々な活動を通じて、労働組合の風を吹かせ、労働組合の民主的な力を高める努力が大切です。職場でみんなの笑顔をつくるには、この力を高めることです。生き生きと働くための原動力は、ここにあります。労働組合の原点にかえり、仲間づくり、団結づくりを職場で行います。活動の中で新しい役員の担い手を育て、支部・分会体制の確立・強化に努めます。

 2 職場を基礎に、要求に根ざしてたたかう

 要求づくりは、労働組合の出発点であり、要求こそ命です。すべての職場から要求実現のたたかいを進めます。職場の切実な要求をかかげ、使用者に迫ります。労働組合が積極的に要求し、「緊張感ある労使関係」をつくってこそ、使用者も真剣に応える努力を示し、職場改善の展望が生まれます。
 行政の専門家として業務を見直し・改善を図ることは、行政を民主的に運営する土台です。職場の様々な課題を深く討議し、建設的・具体的に改善を迫ります。

 3 全支部・職場で要求確立、団体交渉を実施する

 憲法28条は、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」としています。労働組合の重要な役割は、要求実現のために執念を持って団体交渉を準備し実施することです。すべての職場(支部)で要求書を提出し、要求提出後は交渉を強化し、ねばり強く要求実現をめざします。

 4 本部交渉で要求実現をめざす

 職場の切実な要求を積み上げ、全厚生統一要求及び部門別の重点要求を確立します。部門別では、公務部門、試験研究機関、社会福祉施設、社会保険の重点要求を確立します。各部門・支部段階の交渉を積み上げ、春闘、夏期闘争、秋季年末闘争の中で本部交渉を実施し、ねばり強く要求実現をめざします。全厚生として、(1)大臣官房人事課長交渉、(2)施設管理室長交渉、(3)厚生科学課長交渉、(4)日本年金機構本部交渉、(5)全国健康保険協会本部交渉、(6)人事院交渉等を実施します。厚生共闘として、(1)厚生労働大臣交渉、(2)大臣官房長交渉等を実施します。

 5 全員参加型の活動をすすめ、みんなで担う組合活動を探求する

 全厚生はこの間、全員参加型の活動をめざしてきました。みんなで担い、みんなの力を束ね、高める努力を行っています。この方向を打ち出したのは6年前、本部書記局が2人の専従体制になった時、改めて組合員が主人公の立場を鮮明にして「みんなで担い、できるところから、たたかいを始めよう」と意思統一したことが切っかけでした。
 この方向は、労働組合の本来の姿であり、活動の基本です。「請負主義」や「お任せ」では、要求は前進しません。引き続き、全員参加型の活動を実践し、みんなで担う組合活動を進めます。

 6 機関紙の発行で組織活動を生き生きと

 要求実現のたたかいを職場、地域から力強く前進させるには、機関紙活動は不可欠です。支部の顔である職場新聞は、組合員で育てていく活動です。組合員に確かな情報を正確に伝え、職場の声を集めて、対話を促進させる機能は、要求闘争をリードします。職場新聞は、「継続こそ力」です。定期大会において、支部の教宣・機関紙活動を励まし、編集内容の質的向上をめざし、機関紙交流を実施します。本部は、中央機関紙である全厚生新聞を当面、隔月で発行します。速報性を重視する闘争情報、社会保険協議会ニュースを発行します。

 7 学習教育活動を前進させる

 学習は、たたかう力の源泉です。世の中のしくみや相互の関連を見抜き、要求実現の道筋や展望を見いだすには、労働組合の基礎学習が不可欠です。本部役員はもとより、支部や分会役員は、常に学ぶ活動の先頭に立ちます。学習活動の方法・スタイルは、あらゆる工夫を行います。15分程度のミニ学習会、ランチ学習会、休日を利用した本格的な学習会など、組合員の様々な条件を活かし、学ぶ活動を進めます。
 学習教育活動は、持続的・計画的に取り組むことが重要です。特に青年層は、学ぶことが成長に結びつく世代です。学習する場を積極的につくり、参加を保障することが重要です。各県・地域の学習会には、支部役員はもとより、組合員が積極的に参加します。各支部は、「学習の友」の購読をすすめ、活用します。地域で開催する労働学校に参加します。勤労者通信大学(基礎コース・労働組合コース・憲法コース)の受講組織は、励まし合いながら学べる集団受講に努め、本部は学習援助を強めます。新しく全労連が開講した「労働組合入門わくわく講座=vに今年度、23人が受講しています。国公労連が主催する労働学校をはじめとする各種学校に参加します。

 8 青年を主人公にして活動する

 青年は、学び、たたかう中で成長します。厳しい情勢をはね返す活動の中で、青年との対話を重視します。特に、若い仲間を育てる視点を大切にして対話します。各支部は、若い組合員を主人公にして活動できるように援助します。青年自らで考え、創意工夫して活動できるよう、青年層の団結が強まるように先輩組合員の援助を惜しみなく行います。
(1)青年層に対して、学び、交流する取り組みを重視します。
(2)国公労連の青年運動推進委員会に参加し、青年の要求前進のために奮闘します。
(3)平和の取り組みに積極的に参加するように援助します。
(4)青年対策部とも協力し、労働組合の基礎を学ぶ学習講座を開催します。
(5)青年対策部の活動への援助を行います。
(6)あらゆる機会を活かし、青年を取り組みの中心になるように努力します。

 9 女性部の活動を前進させる

 女性部は、毎年の総会で「集まる・しゃべる・食べる・学ぶ・行動する」をモットーに、「つぶやきを要求へ」「愚痴も磨けば要求になる」の合言葉を大切にして、女性が生き生きと働き続けられる職場をめざして、力を合わせて活動する決意を固め合っています。
 女性部第20回総会は、2015年11月28日(土)に都内で開催しました。また、5月21日(土)〜22日(日)に愛知県蒲郡市で開催した第46回国公女性交流集会に参加しました。また、全労連女性部、国公労連女性協に結集し、日本母親大会やはたらく女性の中央集会にも積極的に参加し、社保庁職員の不当解雇撤回での宣伝・アピールを行ってきました。
 引き続き、女性部の活動を進めます。
(1)働き続けられる職場をめざして、労働条件の改善に全力を尽くします。雇用形態にとらわれないすべての職員の組合加入の取り組みを推進します。女性の要求実現をめざし、人事課との懇談を準備します。
(2)10月8日(土)〜9日(日)に神戸で第40回全厚生女性交流集会並びに第21回総会を実施します。
(3)各支部で女性の組合員の加入を進め、女性組織の確立・強化をめざします。

 10 厚生共闘に結集する

 厚生省労働組合共闘会議(厚生共闘)は、1980年12月11日に結成され、36年の歴史を刻んできました。今年度も厚生共闘が結成以来かかげてきた、国民の願う厚生労働行政の確立を求め、共闘の力で要求の前進をめざします。

 11 厚生労働省3組合の連携強化を図る

 2001年1月の厚生労働省の発足以降、3単組(全厚生・全医労・全労働)は一貫して、労働条件の改善や国民の願う厚生労働行政の確立をめざして、協力・共同の取り組みを行っています。2001年2月に本省共闘(厚生労働本省労働組合共闘会議)を結成、恒常的な残業改善の要求や期間業務職員の処遇改善などを中心にして本省交渉を実施しています。引き続き、3組合の連携を強化します。

 12 国公労連に結集し、要求前進をめざす

 国家公務員の基本政策は、政府がつくります。国家公務員及び独立行政法人等の要求前進ために、国公労連(=日本国家公務員労働組合連合会)に結集してたたかいます。具体的な行動は、中央行動や統一行動に結集し、日常的には地域で活動することが重要です。職場を基礎に、地域での活動を重視します。各支部は、県・ブロック国公への結集を強めます。

 13 経験を伝え、安定した引き継ぎを

 全厚生は、本部・支部役員の世代交替の時期が続いています。全厚生運動を継続し、発展させるには、世代交替を着実に進めることが重要です。支部活動の担い手を育てるために、本部機能を安定的に維持するために活動を通じて経験を伝え、組織的な努力を積み重ねます。

[8]英和を集結した職場政策づくり

 1 職場の困難をいかに打開するか

 今、職員の懸命な努力にもかかわらず、厚生労働行政を担うどの職場でも苦労と困難が生じています。とりわけ社会保険行政の解体・民営化後の日本年金機構の業務体制はその象徴であり、業務委託を推進する民営化路線では国民の安心・安全は守れません。有期雇用職員の雇用継続は、年金の安定的な業務運営を保障する上でどうしても必要です。
 国立福祉施設の地方センターの廃止を伴う組織再編は、障害者福祉行政の根本が問われる課題です。独立行政法人制度は制度創設以来、改革の下にさらされ、整理合理化・統合・廃止が進められています。厚生科学研究を拡充するには、短期的な成果を求める傾向を改めさせ、基礎研究を地道に進め、裾野の広がりを持つ研究体制の基盤整備が必要です。
 職場の困難を解決する道筋を各部門、分野でつくるために、英知を結集します。

 2 職場政策活動を推進する

 現在、全厚生の構成組織は、国の行政機関としての公務部門と民間公法人(独法研究所、日本年金機構、全国健康保険協会)とに分かれています。民間公法人が組織人員の多数を構成し、国公労働運動の中でも特別な位置にあります。
 各部門の要求前進の道筋を明らかにすることは、極めて重要です。昨年の第79回定期大会で提起した「職場政策活動の推進」は、要求実現の道筋を「職場(の視点)から」探求し具体的に示していく活動です。その内容は、国の政策に対する対抗軸を示し、真に国民の立場にたった政策づくりになります。職場の枠、当局の考えを乗り越え、厚労省の政策や政府の政策を改めさせる課題も当然、含まれます。
 「職場政策」は、組合員はもとより、国民の支持と共感を得て、社会的にアピ―ルして、要求実現をめざします。全厚生の政策活動を強め、民主的で提案型の要求闘争を推進します。

[9]社保庁不当解雇撤回の取り組み

 不当解雇撤回闘争を開始して、6年8カ月が経過しました。人事院闘争では、処分取消を求めた71人の内、全厚生組合員10人を含む25人の解雇を取り消しました。現在、全厚生組合員29人が3高裁(大阪、広島、高松)、4地裁(札幌、仙台、東京、名古屋)で解雇撤回・全面解決を求めてたたかっています。この内、広島高裁は、5月に原告の平本忍さんが全厚生に加入し闘争団に加わりました。
 全国の裁判闘争は、政府の責任を不問に付し、救済(取消)の枠組みを不当に限定した人事院判定を乗り越え、解雇撤回を勝ち取るために奮闘します。

 1 裁判闘争で、たたかう

 3高裁、4地裁の裁判闘争がそれぞれ重要な段階を迎えます。特に大阪高裁は、11月16日(水)午後1時10分に判決が行なわれます。札幌地裁は11月24日(木)、名古屋地裁は12月21日(水)に結審となり、年度内判決が予定されます。
 この間、各地の裁判期日に併せ、宣伝行動を強め、傍聴者で包囲し、不当・違法な解雇の実態を多くの国民に伝え、支援の輪を広げてきました。各県、ブロック段階で、闘争を支援する会(支える会、共闘会議)が運動を支え、推進しています。引き続き、全国で支援の輪を広げてたたかいます。

 2 解雇撤回・全面解決をめざす取り組み

(1)不当解雇撤回闘争の当面の節目は、11月16日(水)の大阪高裁判決です。この判決日行動に全厚生闘争団は全力で結集します。
(2)3高裁、4地裁の口頭弁論の傍聴行動を成功させるため、交通費は本部負担とし、各支部からの結集を強めます。
(3)各裁判所宛の公正・公平な判決を求める要請署名を全国で推進します。
(4)宣伝ビラを積極的に活用し、宣伝・学習を全国で推進します。
(5)「全厚生闘争団を支える会」の会員をさらに大きく広げます。

 3 闘争団の団結を強める

 国家公務員の大量解雇という歴史上も例がない不当解雇を撤回させるには、ねばり強く、国民世論を味方につけて、幅広い共同をつくりあげることです。その要は、全厚生闘争団の団結を固めることです。当時者と所属支部、各県闘争団を基礎にして団結を強化し、経験交流の機会を積極的につくります。闘争団全体の団結を強めてたたかいます。

 4 運動推進のオルグの力を高める

 支援の輪を広げるカギは、オルグ活動を強めることです。そのためには、当時者以外の組合員も訴える場に立つことです。宣伝や要請行動に積極的に参加することです。全厚生闘争団は、全厚生の組織をあげて闘争団をつくりました。全国で活動を広げるためにオルグ力を高めるために努力します。

 5 運動の全国展開のために努力する

 この間、全労連の対策会議(社会保険庁職員の分限免職撤回闘争対策会議・2011年5月20日に第1回対策会議を開催)が設置され、不当解雇撤回闘争がナショナルセンター規模で取り組まれています。国公労連は、社保庁不当解雇撤回闘争本部を設置し、産別闘争として全力をあげています。全労連、国公労連の組織の力を活かし、支援の輪を全国に広げることが大切です。全厚生闘争団としてオルグの具体化を進めます。全厚生本部・支部役員の積極的な参加で支援と共同の輪を広げます。

 6 全面解決を求め、政府に解決を迫る

 全厚生は2013年11月4日・5日、社会保険庁改革の中で行われた団結侵害行為に対し、ILO(国際労働機関)結社の自由委員会にILO87号条約、98号条約違反で申し立てを行いました。これに対し、2015年11月12日にILO勧告が日本政府に出されました。この勧告を有効に活用し、政府を政治的に包囲し、解雇撤回・全面解決に奮闘します。

〔ILO勧告―社会保険庁解雇案件30 51号(全労連国際局仮訳)〕
(1)委員会は、政府は従業員の雇用と労働条件に影響する人員削減計画を労働組合組織と事前協議を行うことの重要性を想起し、労働者の職業的利益に影響する問題に関し完全で率直な協議を行う協調的労使関係の重要性を強調する。委員会は、日本政府が新規に創設された機構においてもそれらの原則を尊重することを期待する。
(2)委員会は日本政府に対し、川口氏の係争中の裁判の結果、並びに北久保、中本両氏の保障に関する事件の経過について報告を継続することを要請する。

 7 乱暴な解雇を許さない共同を広げる

 政府・財界は、雇用破壊の政策を推進し、解雇自由化の社会をつくろうとしています。社保庁の不当解雇やJALの不当解雇は、整理解雇の4要件やルールを無視した乱暴な大量解雇の典型です。公務員の乱暴な解雇、ルールを無視した大企業の解雇を許してはなりません。
 JAL不当解雇撤回闘争、日本IBMロックアウト解雇撤回闘争をはじめ、すべての争議の解決をめざし、各争議団と連帯し、乱暴な解雇を許さない共同を大きく広げるために全力を尽くします。

[10]国民本位の公務労働の確立を目指す

 1 公務員労働者の誇り

 公務員労働者は、憲法15条によって「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」と位置づけられています。さらに第99条によって、「憲法を尊重し擁護する義務」を負っています。公務(行政)は国民のためにあり、国民の願いに応えるために日々努力するのが公務員です。行政を国民の立場で考え、見直すことは、憲法に基づく公務員労働者の本来の姿です。
 独立行政法人研究所は、厚生科学研究の担い手です。日本年金機構、全国健康保険協会は、社会保険行政を担っています。経営形態が変わろうとも、国民のための公務労働であることには変わりません。全厚生は、憲法が公務労働及び公務労働者に要請する基本を深く自覚し、誇りをもって活動を展開します。

 2 新たに「国民の権利と安心・安全をまもる運動」を展開する

 私たちがめざす社会を実現するためには、国民の生活と権利を保障する公務・公共サービスの拡充が必要不可欠です。しかし政府は、財界の求めに応じて、公務・公共サービスを切り捨てて「小さな政府」づくりに躍起になっています。
 国公労連は昨年度、「憲法をまもり、暮らし・行政・司法にいかす国公大運動(略称高ワもろう憲法・国公大運動)」を推進しました。この運動は、改憲阻止と戦争する国づくりを許さないために、「21世紀国公大運動」を包含し職場・地域からとりくみを展開したものです。
 国公労連は中期的視野に立ち、新たに「国民の権利と安心・安全を守る運動」を展開します。全厚生もこの運動に積極的に結集します。

 3 「国民の権利と安心・安全をまもる運動」の具体的な取り組み

(1)「国民の権利と安心・安全をまもるシンポジウム」や市民対話集会を各ブロック国公で開催する。公務員酷暑「ヤバすぎる公務員削減、総人件費削減の罠(仮称)」を発表して、総人件費削減が国民の生活と権利に及ぼす影響、官製ワーキングプアの問題を内外に発信する。
(2)国家公務員の定員管理政策の抜本的見直しを求める「定員課題二大アクション」として、(1)定員削減計画の中止等による公務・公共サービスの拡充を求める「増員国会請願署名」、(2)柔軟な定員管理を求める「定員管理要求書(政府宛)」の提出・上申を展開する。

 4 公務員賃下げ違憲訴訟の取り組み
 2015年5月25日に提訴した「公務員賃下げ違憲訴訟」は、東京地裁での不当判決(2014年10月30日)に対し、同年11月13日に控訴(国公労連と退職等に伴う辞退者を除く359人が原告。全厚生の原告6人は、全員が控訴)し、東京高裁での逆転勝訴をめざしてたたかっています。控訴審は、9月12日(月)に結審となり、早ければ年内判決が想定されます。
 訴訟でたたかう意義・目的は、(1)給与臨時特例法の違憲性を裁判の中で明らかにし、その無効を勝ち取ること(2)労働基本権制約という無権利状態の下にあって、その代償措置である人事院勧告を無視する前代未聞の行為が国会で行われたことから、労働基本権回復を視野に入れ、たたかいを通じてその道筋をつけること(3)賃下げスパイラルを断ち切り、労働者の賃上げと安定した雇用確保、内需拡大で景気回復をめざす国民的な運動と一体でたたかうことの3点です。
 東京高裁宛「公正な判決を求める要請署名」の取り組みを追い上げ、幅広い国民への支持と理解を広げます。傍聴行動に結集し、中央・各県で行う宣伝行動に積極的に参加します。

 5 公務員の権利確立のカギを握る2つの裁判闘争の勝利めざし奮闘する

 民間では、労働者の長いたたかいによって労働条件不利益変更や解雇権濫用に対する法理が確立され、労働契約法として立法化されています。国家公務員も労働者であり、憲法で保障された労働者としての権利があり、不当に制限された権利の代償機能が確保されない場合、民間の法理が適用されなければなりません。
 公務員賃下げ違憲訴訟の一審判決は、労働基本権制約の代償機能である人事院勧告によらない賃下げを交渉も尽くさず一方的に強行したことについて、憲法で保障された権利侵害と認定しない不当判決でした。憲法で保障する権利を制限された上に、政府による労働条件の一方的な不利益変更を容認するもので、国家公務員を無権利状態にするものです。
 社保庁職員の不当解雇撤回裁判の地裁判決は、社会保険庁を解体・民営化に伴う分限免職の不当性を認定しない不当判決です。これは、整理解雇の4要件((1)人員整理の必要性、(2)解雇回避努力義務の履行、(3)被解雇者選定の合理性、(4)手続の妥当性)に照らしても不当です。また「国民全体の奉仕者」として公正な職務を担うために不可欠な身分保障を形骸化させるもので、公正・中立な公務の性格を歪めるものです。
 2つの判決は、国家公務員の権利を不当に侵害した政府の主張のみを採用した不当判決であり、この裁判闘争は、国家公務員の権利確立にとって重要な意義を持つものです。2つの裁判勝利のために、全力で奮闘します。

[11]本省職場で働くルールの確立をめざす

 国家行政機構の中枢である本省で人間らしく働くルールを確立することは、行政民主化の課題とも深く結びつく、重要な課題です。

 1 長時間残業の改善をねばり強く

 本省職場では一貫して、無定量で恒常的な残業改善の取り組みを進めています。第24回残業実態アンケート結果(2016年3月実施)では、平均月56・4時間です。これは、霞が関の各省庁の中で厚労省(厚生)がワースト1でした。連続して2カ月ないし6カ月間の平均残業時間が80時間を超える場合があったと答えた人も20・8%と、5人に1人は過労死の危機にある異常な実態です。また、これまで過労死の危険を感じたことがある人は、42・4%となりました。
 当局も、全省庁一斉のキャンペーンや管理職員の意識を高めたり、業務改善策、休暇取得促進、メンタルヘルス対策を強め一定の効果はありますが、根本的な改善には至っていません。職員の健康問題にも大きく影響を与えています。
 恒常的な残業をなくすには、業務量の増加に伴う、業務量に見合う定員確保が最も重要です。超勤予算が全く不足していることも重大です。時間管理を徹底させ、本省内での働くルールを確立させる運動を本部・支部一体で強めます。 また、本省共闘(厚生労働本省労働組合共闘会議)の団結を強め、要求前進の取り組みを進めます。

 2 非常勤職員・期間業務職員の交流・懇談の場づくり

 この間、本省支部では、非常勤職員部会を確立し、定期的に会議を開催し、非常勤職員の交流を重視し、切実な要求をとらえ、申し入れや交渉を行い貴重な成果をあげています。特に、組合主催の制度学習ランチ会や交流会を定期的に開催し、多くの非常勤職員とつながり、リアルな実態をつかみ、切実な声や要求を人事課に伝え、改善させるなど、組合の力を発揮しています。もっと働きやすい職場にしようと期間業務職員自らが「この人を誘ってみよう。この人は入ってくれると思う」など、積極的に声をかけ、組合員を増やしています。要求に応え、学び交流し、楽しく活動する中で、本省支部の諸活動が好循環を生み、前進しています。引き続き、非常勤職員・期間業務職員の交流・懇談の場をつくり、切実な処遇改善、組織強化・拡大のために奮闘することが大切です。

 3 霞が関の労働組合と交流を深め、日常活動を重視する

 霞が関の本省職場は、長時間残業の本省特有の原因も、組合活動上の悩みも共通しています。本省での組合活動を前進させるために、霞が関の他の組合の経験に学び、交流しながら進めます。東京国公及び霞国公に結集します。

[12]国立福祉施設の組織再編に対する取り組み

 1 組織再編・統廃合に対する取り組み

 厚労省は、国立更生援護機関の今後のあり方に関する検討会報告(2009年3月25日)に基づき、組織再編を進めてきました。
 その基本方向は、(1)国立施設として持つべき機能の実現(リハセンター中心の機能強化)、(2)各センターの機能の一元化(四類型の予算、組織・定員を一本化)、(3)利用実態等を踏まえた施設配置の見直し(2012年度末で塩原視力障害センター、2016年6月末で伊東重度障害者センター廃止)等です。これに対し全厚生は、(1)地方センターを廃止せず存続・拡充させること、(2)組織再編の具体化にあたり、国立施設の機能強化を図るとともに、施設運営に支障をきたさないよう、障害者並びに職員の意見を反映させた体制を確保すること、(3)職員の身分・労働条件の後退を招かないよう万全の措置を取ることを要求してたたかい、伊東重度障害者センターの廃止、国立障害者リハビリテーションセンターへの統合が6月末に完了しました。
 全厚生は伊東センターの施設廃止まで、利用者が不利益を被らないように支援体制を維持すること、並びに伊東センターで働く職員の意向や希望を充分に尊重し、職員の身分・労働条件の後退を招かないように万全の措置を取ることを求め交渉・申し入れを強化しました。
 今後、組織再編の示した基本課題に対して現場から検証を行い、要求を再整理します。障害者の権利保障及び障害者福祉の拡充の立場で要求闘争に全力を尽くします。

 2 厚社連の役割発揮で、誇りと働きがいある職場をつくる

 この間、施設機能の充実や障害者に優しい施設づくりと職員の処遇改善を一体で運動を進めてきました。政府・厚生労働省がすすめる減量・効率化施策及び組織再編は、国立リハセンターを強化する一方、国立施設総体の機能・役割を縮小方向に進めるものであり、利用者サービスの低下はもとより施設運営にも支障をきたす状況を指摘してきました。誇りや展望のもてる国立福祉施設、働きがいある職場をつくるために厚社連(全厚生社会福祉支部連絡協議会)の役割発揮が必要です。厚社連の事務局機能の強化に努め、現場から国立福祉施設の拡充のために全力を尽くします。
 引き続き、障害者の権利保障及び障害者福祉の拡充を求め、障全協(=障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会)の取り組みに結集します。

 3 存続発展を求める運動の継続を!

 厚社連が提唱した「国立福祉施設の存続発展を求める会」はこの間、障害者福祉の後退を許さず、塩原・伊東の廃止反対・存続を求めて国会請願署名を取り組み、国会議員要請や国会行動などの活動を展開しました。今後の方向について、地道に活動を継続させる基盤をつくり、引き続き、国立福祉施設の存続発展をめざします。

[13]厚生科学研究を拡充させる取り組み

 1 新たな情勢の下での厚生科学研究を拡充させる取り組み

 政府が進める科学技術政策並びに健康・医療戦略の下で、健康・医療分野の研究開発は成長戦略の重要な柱となっています。併せて独立行政法人改革が具体化され2015年4月に国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所並びに医療研究開発機構が設立され、新たな体制が確立しました。
 現在、厚生労働省(旧厚生省)の試験研究機関は4機関が国立試験研究機関(国研)、独立行政法人(独法)は統合された1機関です。殆どが独立行政法人となっている他省庁とは異なります。4つの試験研究機関について当局は、「政策研究所、研修機関、緊急時に国の責任において直接実施すべき健康危機管理を担っている等の理由により、独立行政法人化されなかったもの。現在も状況の大きな変化はないと考えている」と回答。現行体制を維持する立場です。
 4つの国研と独法は、厚生科学研究を担う点で共通しています。定員削減は各研究所のマンパワーを低下させ、定員合理化計画を受け入れる余地はありません。運営の土台である光熱水道料の捻出も困難な状況です。独立行政法人は運営費交付金の削減も続いています。各研究所の基礎体力の低下に歯止めをかけ、モチベーションを高め、誇りと働きがいの持てる研究所・職場をつくるために、研究現場から必要な要員と予算の確保を要求します。研究条件や研究環境の改善、研究者・職員の処遇改善を要求します。非常勤職員の業務や技能、経験などを適正に評価し、雇用の安定・継続を図るとともに賃金・労働条件の改善を要求します。人権侵害行為であるパワーハラスメントを根絶させるために労働組合の役割を発揮します。また、研究所の民主的な運営のために努力します。

 2 安定した研究体制をつくる重点課題での取り組み

 国立医薬品食品衛生研究所の神奈川県川崎市殿町への移転は、2016(平成28)年度末の竣工をめざし建設工事が進んでいます。研究所の移転は、厚生科学研究体制を確立する上での重要な事業です。国民の要請に応えうる必要な施設とシステムを構築し、移転が完了し移転後の安定的な研究運営が可能となるまで充分な予算確保を要求します。
 国立感染症研究所は閣議決定された「国際的脅威となる感染症対策の推進体制」にふさわしい人的・予算的な措置を求めるとともに、将来起こり得る未知の感染症危機に対応するため、脚光を浴びていない病原体の研究体制を充実させるための支援を行うことを要求します。
 2014年秋に国立感染症研究所の今後の宿舎確保数が極めてわずかであることが明らかになりました。これに対し研究所の使命を果たし、十分な役割発揮を行うために本部・支部が一体になり宿舎確保の取り組みを進め、一定数の確保を行いました。今後さらに恒常的な確保に向けて取り組みを進めます。

 3 独立行政法人改革、運営費交付金増額の取り組み

 独立行政法人の目的は、「国民生活の安定及び社会経済の健全な発展に資すること」とされ、「国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施されることが必要な事務及び事業」を行うと位置づけられています。この実現のためには、運営費交付金の拡充が欠かせません。2016年度概算要求期の取り組みとして、国公労連に結集して団体署名に取り組みました。引き続き、国の責任で独立行政法人の拡充を求める取り組みに結集します。

 4 健栄研の大阪移転に対する取り組み

 政府の「まち・ひと・しごと創生会議」(議長・安倍首相)は2015年12月、政府機関の地方移転の検討対象を計34機関とすることを了承。国立健康・栄養研究所が組織移転の対象とされました。全厚生は健栄研支部と大阪移転問題について検討し、所長並びに厚労省に対して「大阪移転は重大なデメリットとなり、根本機能を損なう恐れがあり、一方的な移転を行うことなく充分な検討を行うよう」申し入れました。しかし政府は3月22日、政府機関の地方移転の基本方針を決定。国立健康・栄養研究所について、「全部移転にむけて、移転の詳細や地元の受け入れ体制について、大阪府と厚生労働省・当該機関の間で調整を行い、平成28年度中を目途に成案を得ることとする」としました。
 この移転方針の決定以降は、(1)研究所の使命を発揮する成案を得るよう研究所及び職員・研究者の意向を尊重し十分な協議を行うこと、(2)全部移転をすすめる全体スケジュールを並びに移転のビジョンを当該職員・研究者に明らかにするとともに研究所の根本機能を損なう実験系(ウエット)と非実験系(ドライ)との分割移転は行わないこと、(3)大阪移転の具体化にあたり、職員・研究者の身分・労働条件の後退を招かないようにすること等を求めています。健栄研支部、基盤研支部と連携し厚生科学課長交渉、人事課長交渉を強化します。

 5 厚研連の活動を強化する

 医療並びに公衆衛生の向上を図り、国民の健康と福祉を向上・発展させる厚生労働科学研究の役割発揮が強く求められています。各研究機関の重要な機能を果たすために、職場を基礎に要求・政策活動を強め、政府・厚労省に対して抜本的な対応を迫ることが重要です。
(1)厚研連(全厚生試験研究機関支部連絡協議会)の活動を軸に各試験研究機関の現状を交流し、要求前進をめざします。
(2)研究環境並びに研究・労働条件の改善の課題を深め、共通・重点要求に練りあげ、厚生科学課長交渉を準備します。
(3)政府の科学技術政策の動向を注視し、国立試験研究機関及び独立行政法人研究所の課題を鮮明にさせ、要求実現の取り組みに活かします。
(4)上記の活動を進めるために、厚研連事務局会議を軸にして、厚研連の活動強化に努めます。

[14]社会保険行政の安定した業務運営をめざす取り組み

 年金・医療制度は、社会保険行政の中核です。憲法25条を活かし、国の責任で制度を拡充し、安定的な業務運営を行う―これこそ、国民みんなの願いです。日本年金機構と全国健康保険協会で、要求闘争を前進させることは、誇りをもって働き続ける条件づくりであるとともに国民の期待に応える道です。とりわけ、事業運営が民営化された下で、行政民主化の立場から、たたかいを構築することが大切です。

 1 団体交渉で要求前進をめざす

 職員が安心して働ける環境、職員が誇りを持って働ける職場をつくることは、安心の健保・年金制度を確立する課題と結びついています。私たちの要求は、安定的な業務運営や公平・公正な事業運営、窓口サービス等の拡充をめざす、国民の願いを実現するためにも必要です。 働くルールの確立、労働条件の改善、有期雇用職員の処遇改善及び希望する職員の継続雇用のために、団体交渉を積み重ね、要求前進をめざします。全国健康保険協会では、支部交渉、本部交渉で要求前進をめざします。日本年金機構では、ブロック本部との交渉が組織改革によって機能しえない下で、職場を基礎にした要求実現の道筋を探求しつつ、ねばり強く本部交渉を行い要求前進をめざします。
 また、日本年金機構では、安定的な業務運営を行うために正規職員の増員が必要です。そのためには、「当面の業務運営に関する基本計画」(2008年7月29日・閣議決定)の見直しが不可欠であり、厚労省交渉で追及します。
 社会保険関係職場の要求闘争を前進させ、社会保険各制度にかかる要求・政策活動を強化するために、社会保険支部協議会の活動を強化します。

 2 有期雇用職員の雇用確保をねばり強く

 日本年金機構は、2010年の発足時に正規職員を社保庁時代と較べ2200人削減し定員を10880人としました。その一方で、有期雇用職員の比率を増やし、年金記録整備の要員確保でピーク時(2011年4月)の比率は6割を超えるまでに至りました。しかし、2012年度末からは、年金記録整備の規模縮小に伴う予算削減で「雇い止め」が機械的に行われた結果、経験者が不足し経験の蓄積ができず、信頼回復の道筋とはかけ離れた深刻な事態が続いています。現在(2016年4月)の有期雇用職員の比率は5割です。
 2014年度からは有期雇用職員の無期雇用転換制度が導入され、この2年間で2783人が無期雇用継続となりました。希望者に対する雇用継続者は約6割であり、今後、無期転換職員の定数を拡大することが求められています。その一方、2015年度までで8000人を超える有期雇用職員が期間満了等を理由に雇い止めとなりました。公的機関だからこそ、安定的な雇用が確保されなければなりません。予算削減を理由に自由に首切りが認められることは重大な問題です。
 有期雇用職員の雇用確保は、発足当初から大きな柱に位置づけ、「今度こそは職場で涙を流させるな!」の思いで運動を展開してきました。毎年、厚労大臣及び機構本部宛の「有期雇用職員の雇用継続を求める要請署名」を集約。機構本部との交渉を積み重ね、厚労省人事課長交渉では雇用確保に向けた予算確保に最善の努力をするよう要求しました。安定的な業務運営を確保し、有期雇用職員の雇用を守る様々な活動を継続して取り組んできました。厚労省前、機構本部のある高井戸駅前での宣伝行動を実施し、年金業務には豊富な知識と経験が必要であることを訴えました。この問題は国会でも取り上げられ、日本共産党が衆・参両院の厚労委員会で質問し、厚労大臣を追及しました。
 これらの運動が力になり、2012年度は事務センターのアシスタント職員の雇用延長、2013年度は准職員の雇用延長、2014年度は無期転換雇用の実現など、貴重な成果を勝ち取っています。有期雇用職員の雇用確保の取り組みを継続・発展させ、要求闘争と一体で仲間を増やし、団結強化につなげることが重要です。
 有期雇用職員の雇用を守るには、社保庁不当解雇撤回闘争をはじめ、IBM、JALなどの乱暴な解雇を許さない共同を広げることが重要です。国民への理解を広げ、信頼回復に逆行する年金機構の実態を訴え、雇用確保の取り組みに全力を尽くします。

 3 准職員の雇用継続の取り組み

 機構発足時に「准職員」という区分で雇用された職員約900人は、特例的に7年間の雇用とされ、今年12月末に雇用期間の満了を迎えます。この准職員の中には、社保庁時代からの職員も多く、正規職員と同等の業務と責任を担い、業務運営を支えています。この7年での雇い止めの方針は、8年前の閣議決定である「当面の業務運営に関する基本計画」によって定めたものであり、「システム刷新」による業務の合理化・効率化を前提にした計画です。当初計画した「システム刷新」のスケジュールは大幅に遅れています。年金制度の改革は続き、業務量はむしろ増えています。業務運営を支えるベテラン職員を雇用継続を求めるためにこの秋に署名を集約し、交渉を強化します。

 4 業務改善に対する取り組み

 年金情報流出による責任が追及される中、厚生労働大臣(2015年9月25付)は、年金機構に対する実績評価で「D評価」とし同日、大臣より業務改善命令が出されました。日本年金機構はこれを受け、理事長をトップとする「日本年金機構再生本部」を設置し、2015年12月9日に「業務改善計画」を提出しました。
 「業務改善計画」は、人事評価制度の見直し、人事の本部一元化、全国異動のルール化など管理体制を強化する内容です。旧社保庁の体質問題まで持ち出し、年金情報流出による情報管理体制の整備とは異なる改革が提起されています。全厚生はこれに対し、職員のやる気をそぐ信賞必罰の人事評価制度や、意味のない全国異動の問題点を指摘し、派遣・外部委託の推進についても情報管理の在り方の根本を質し追及しています。
 「業務改善計画」の推進に対して、国民の信頼回復する道とは何かを問い、国民サービス向上と安定的な業務運営を行うために必要な体制確立を求め、職場を基礎にした交渉を強化します。

 5 人事異動のルールの民主化をめざす

 全国健康保険協会及び日本年金機構は、広域人事を前提に職員を採用しています。事業運営や組織の機能の確保・向上において人事異動がやむを得ない場合がありますが、基本的には生活環境を異にする人事異動は極力少なくするべきです。同時に、可能な限りの手当をする必要があります。(1)人事異動にかかる基本的なルールの確立をめざします。(2)単身赴任手当の増額を求めます。(3)遠距離通勤手当の新設を求めます。

 6 年金・医療保険の制度改善をめざす

 日常的な業務を通じて、被保険者・受給権者の要求・願いを把握し、具体的な改善の方策を研究・検討することは、実務に携わっているものに課せられた使命です。国民的要求の実現と私たちの誇りを取り戻すため、(1)年金制度及び運営組織のあり方の研究活動をすすめます。(2)医療保険のあるべき姿と改善方向の研究活動を進めます。

 7 労働者の資質の向上をめざす

 新規採用時の研修が十分に行われず、日常的に「教え、教えられる」環境にないため、業務に習熟することが困難な状況が続いています。本来、業務研修などは、使用者の最低限の責任です。しかし、年金機構においてはその責任が放置され、結果として被保険者・受給者に不利益が生じかねない状況にあります。
 労働組合として、一人一人の組合員の「知識を高めたい」「資質を高めたい」「いろんな経験を聞きたい」などの要求を実現するため、当局に研修の実施を要求するとともに、自主的に行う「勉強会」などの開催を支援します。

[15]憲法9条と25条を活かし、共同の力で社会を良くしよう!

 1 たたかいの土台に憲法を据える

 憲法を守り、活かすには、憲法に確信をもつことが大切です。私たちは主権者として、借り物ではなく自分自身の言葉で、憲法を語ることが大切です。憲法は、職場や社会に根ざしています。憲法がこの社会でいかに積極的な役割を果たしているかを探求することが重要です。暮らしや働き方から教育・政治にいたる様々な課題に対し、憲法を物差しにして考え、見直すことです。  憲法理念の実現のために何が妨げなのか、いかにすれば実現するかを深めます。そして、たたかいの土台に憲法を据えて、要求前進をめざします。

 2 憲法9条と25条の相互の価値を探求する

 平和なくして、社会保障の前進・発展はありえません。日本国憲法の第9条と第25条、平和探求の理念、社会保障の原点となる理念は密接に結びつき、輝いています。この相互の関係は、普遍的であり、見事に調和しています。
 「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する(憲法前文)」は、そのことを見事に表現しています。第2次世界大戦・アジア太平洋戦争の多くの犠牲と深い反省に立ち、この理念が築かれました。改憲勢力はこの双方を邪魔者扱いし、「戦争する国」づくりと「福祉・社会保障の変質・縮小・解体」を同時に進めています。全厚生は、憲法9条と25条の意義や相互の価値を探求し、あらゆる機会を生かし、語る活動をすすめます。9条の会の取り組みに参加します。

 3 草の根から、平和と核兵器廃絶をめざす

 戦争のない平和な世界をめざし、軍事同盟や米軍基地に反対する運動が国内外で大きく広がっています。広島・長崎の被爆から71年を経た今も世界で2万発以上の核兵器が蓄積・配備されている下で、核兵器廃絶の実現をこれ以上遅らせてはなりません。唯一の被爆国であり、憲法9条を持つ日本の役割は、被爆の実相を世界に伝え、平和、核兵器廃絶の国際的貢献の先頭に立つことです。この崇高な使命を自覚し、草の根からの運動を進めます。3・1ビキニデー行動、5・3憲法集会、2017年国民平和大行進、2017年原水爆禁止世界大会、日本平和大会等の成功のために積極的に参加します。

 4 「原発ゼロ」をめざす共同を広げよう

 「原発再稼働反対!」の声は、全国各地で展開され、「原発ゼロ」の社会をめざす共同が大きく広がっています。東日本大震災、人災である福島原発事故以来、「今と未来にいかに生きるか」という根源的なテーマを問い、自発的な行動が大きく広がっています。一方政府は、各地の原発再稼働を狙うだけでなく、財界と一体となってアジア、中東、東欧などへの原発輸出に奔走しています。
 今こそ、福島原発事故の当事国として、原発依存のエネルギー政策から脱却するため、真剣に考え、学び、「原発ゼロ」をめざす広範な行動等に結集します。

 5 社会保障を守り、発展させる運動に結集する

 憲法第25条を活かす社会保障の再生・拡充は、国民の願いです。大震災の復興でも生存権保障、社会保障の拡充が求められています。社会保障構造改革の問題点を国民的に明らかにし、社会保障を拡充させる国民的な運動に結集します。中央・各県の社会保障推進協議会に結集して共同の取り組みを広げます。現在8都道府県で結成されている「安心年金つくろう会」(=国の責任で、安心して暮らせる年金制度をつくる連絡会)の運動を推進し、新たな県での結成をめざし、共同した取り組みを進めます。

 6 社会保障講師団として活動する

 社会保障講師団の出番です。政府・財界による社会保障の解体攻撃に対し、憲法25条を活かし、社会保障の拡充を求め、国民的な共同を広げるために社会保障講師団活動を積極的に進めます。
 社会保障講師団は、社会保障の発展を求めて当面、次の活動を展開します。(1)常に学習の先頭にたち、深く学びます。(2)日常会話、対話、懇談などの中で、社会保障講師団の自覚をもって話します。(3)会議や学習会で社会保障講師団の自覚をもって発言をします。(4)街頭演説や訴える場があれば、社会保障講師団の自覚をもって弁士を引き受けます。(5)学習会の講師を引き受けます。(6)講師団の活動を交流し、レベルを高めながら活動を進めます。(7)こうした活動を進める中で研鑽を積み、社会保障論を深めます。

 7 労働者・国民の願いに応える社会をめざす

 政治の行方は、私たちの暮らしに直結します。雇用破壊をやめさせ、平和な社会、社会保障の充実をはかるには、政治の中身をかえることです。全厚生は、憲法が保障する国民の政党支持、政治活動の自由を守り、職場でも地域でも家庭でも、政治を語ります。全厚生は、国民・労働者の切実な願いや要求が届く民主主義を大切にした政治を実現させるために奮闘します。

 

2016年度組織拡大方針(案)

組織の純増をめざし、みんなの力で前進させよう!

[1]最重要課題に位置づけ、全支部で取り組む

【1】最重要課題に位置づけ、全支部で取り組む

 組織強化・拡大は、全厚生がこの6年間、最も重視した課題です。本省、試験研究機関、社会福祉、社会保険のすべての職場での対話を進め、これまで約420人の新しい仲間を迎え入れました。各支部の奮闘による貴重な到達点を築きつつも、6年間のトータルで見ると組織の減少が顕著に起きています。
 取り組み開始の1年目と2年目では、250人の拡大を行い、本省、試験研究機関、社会福祉、社会保険の各部門で奮闘し、組織拡大は勢いをもって進めました。しかし3年目からの4年間では170人の拡大にとどまり、毎年拡大数が減少しています。中心的な役員の活動から、もっと幅広い活動に変えていくことが必要です。職場に労働組合の風を吹かせ、日常活動と一体で組織拡大を強めることが大切です。正念場のたたかいを開始した6年前の原点にかえり、組織拡大に全力で取り組みます。
 〔参考〕6年前の原点―正念場で組織建設の取り組みを誓う
 第74回定期大会(2010年9月11・12)の決意を思い起こすことが大切です。なぜなら、この大会は、社会保険庁の解体・民営化後、不当解雇撤回闘争を始めて最初の大会であり、組織建設、職場活動の再構築への誓いを立てた大会だからです。
 重要なことは、社保庁解体・民営化攻撃の中で基本組織を維持したことです。この時の運動方針を抜粋します。
 「たたかいの渦中にあるからこそ、その到達点を確認することが大切です。その第1は、全厚生の基本組織を維持してきたことです。構造改革は、公務破壊の推進とともに、行政の担い手・職員を削減することと一体不可分で、公務労働運動を壊しにかかってきました。激しい攻撃の中で、全厚生は、組織的な後退を余儀なくされています。しかし、各職場での基礎組織と本部機能を維持していることが重要な到達点です。第2は、攻撃に対し、受け身にならず、果敢にたたかい、新たな体制を築き、要求前進の取り組みを開始していることも重要な到達点です。社会保険部門は、ブロック単位の支部に再編し、県協議会、職場分会を構成員として、活動を進めています。これらは、仲間たちの期待に応え、たたかいを継続・発展させる土台です。」(第74回定期大会)

[2]拡大の経験や教訓をすべて活かす

 これまでの組織強化・拡大の取り組みは、貴重な経験と教訓をつくりました。これらのすべての経験と教訓を活かすことが大切です。
(1)新しい仲間の加入は、運動前進への確信につながります。多くの対話を通じて、職場で声をかけられるのを待っていることも実感しました。新しい仲間の加入は、運動前進への確信につながり、職場活動を活発にしていく方向性が見えました。
(2)大切なことは、要求実現の取り組みを通じて対話を進めることです。非常勤職員の雇用を守り、労働条件を改善させる取り組みを重視し、新しい仲間を迎えた経験も貴重です。
(3)様々な団結交流企画を通じて、つながりをつくり、気軽に声をかけて、新しい仲間を迎えてきました。一方で組合に興味を持っているにもかかわらず、加入の呼びかけを先送りしたケースもありました。これでは、仲間は増えません。
(4)本省支部は、非常勤職員の仲間の要求を大切にしてランチ会などを開催。学び、交流し、組合の風をさわやかに吹かせ、仲間を迎え入れています。非常勤職員の組合員が新しい仲間に呼びかる経験も生まれています。毎月、連続して加入を進め、組織拡大の先進的、画期的な取り組みになっています。
(4)加入を呼びかける行動は、一部の役員の奮闘になっています。前進を続けるためには、全支部の持続的、より集団的な取り組みにすることが大切です。
(5)どの支部も定年、雇用期間満了などで、毎年少なくない組合員が全厚生から離れます。退職者を上回る加入者を迎える取り組みが必要です。また、脱退者を出さないこと、異動した仲間への対応を確実に行うことも重要です。

[3]組織拡大の基本方針と目標

 (1)基本方針

 労働組合にとって、新しい仲間を迎えることは最も嬉しいことです。なぜなら、団結を強めることになるからです。最優先の課題に位置づけ、自覚を持って取り組みます。
(1)要求実現と組織活動を一体で取り組む
(2)すべての支部で「純増」を目標にする
(3)計画を立て、事前の準備を重視する。自覚を持って取り組む。様々な方法で加入を呼びかける
(4)活動の担い手を広げ、全組合員参加で取り組む
(5)各支部、厚研連、厚社連、社会保険支部協議会、女性部など、各組織で組織拡大を進めるために協議し、実践する

 (2)目標

(1)各支部は、次期(第81回)定期大会を純増で迎えるために全力を尽くす。全厚生として組織の純増をめざし、1000人の全厚生を達成する。
(2)すべての職場で、職員の過半数を組織することをめざす

[4]具体的な取り組み

(1)すべての支部で日常的に組織拡大に取り組む。要求闘争と一体で組合加入の取り組みを推進する。この具体化にあたり、〔本部役員の役割〕〔支部(協議会・分会)の取り組み〕を重視する。
(2)組織拡大を積極的に推進する委員会(組織拡大プロジェクト)をつくり、様々な経験に学び、活動を進める。組織拡大を推進するために財政措置を積極的に行う。
(3)通年的な組織強化・拡大を取り組み、かつ4〜6月を運動強化期間と位置づけ、全力を尽くす。すべての職員を対象にして、組合加入の呼びかけを行う。新規採用者に対して、集中して加入を呼びかける。
〔本部役員の役割〕
(1)本部役員が率先して職場で声をかける
(2)支部の運動の中での悩み、疑問に答える (3)本部役員が労働組合の役割、重要性について学習する
(4)支部執行委員会での講師となって学習会や情勢報告を行う
(5)本部役員それぞれが、組織拡大の具体化を追求する
〔支部(協議会・分会)の取り組み〕
(1)支部執行委員会で組織拡大の方針を確認する
(2)支部執行委員会で組織拡大で一歩踏み出すために「何からはじめるか」を討議する
(3)支部の実態を踏まえた独自の取り組みを議論し、「できること」から着手する
(4)組合加入グッズ、掲示板を有効活用し、ポスター等を張り出す
(5)支部機関紙を発行、すべての機関紙を遅延なく配布する
(6)新規採用職員の歓迎会、レクレーションなどを開催し、加入拡大に結びつける
(7)役員を中心に職場の身近な人から積極的に声をかける
(8)運動に確信を持つために支部執行委員会で学習会を開催する

[5]国公共済会の加入を促進させる

 国公共済会は、仲間同士の「助け愛」の精神で、もうけを目的とせず「小さな掛金、大きな保障」を実現しています。組合員と家族の福利厚生として、現在約2万1千500人が加入しています。加入者数が減少傾向にあり、安定的な運営を維持するためにも「助け合い、支え合いの輪」を広げることが求められています。
 国公共済会では、新入組合員に対し「ワンコイン共済」のプレゼント(半年間)を行っています。新しく組合に加入した仲間が、プレゼント期間に給付を受けるなど、組合員の福利厚生を保障し、団結を強める力になっています。
(1)4月〜6月を拡大強化期間とし、100人の拡大をめざす。
(2)すべての支部役員が国公共済に加入することをめざす。
(3)新入組合員には、必ずワンコイン共済プレゼント券を渡し、期間終了前に引き続く加入を呼びかける。


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