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◆号外 (2016年1月29日付)◆
全厚生第57回中央委員会議案 2016春闘方針(案)
2016春闘方針(案)の目次

[1]要求を高く掲げ、たたかう

 2016年春闘がスタートしました。人間らしく生き、働くためには、労働組合の団結を強め、道理ある要求を掲げてたたかう以外にありません。全厚生は、働きがいある職場をつくり、暮らしを改善し、社会を良くするために、意気高く、春闘をたたかいます。

1.職場の困難を打開する春闘に

 今、職員の懸命な努力にもかかわらず、厚生労働行政を担うどの職場でも苦労と困難が生じています。
 社会保険行政の解体・民営化後の日本年金機構の業務体制はその象徴であり、民営化路線では国民の安心は守れません。現場を支える有期雇用職員の雇用継続は、年金の安定的な業務運営を保障する上でどうしても必要です。
 国立福祉施設の地方センターの廃止は、障害者福祉行政の根本が問われる課題です。国立研究開発法人では、運営費交付金の一律削減が続き、合理化がすすめられています。厚生科学研究を拡充するには、短期的な成果を求める傾向を改めさせ、裾野の広い研究活動や体制の基盤をつくり、基礎研究を地道にすすめなければなりません。
 各職場の困難に対し、真に解決する道筋を見極め、職場や地域の仲間と力を合わせてたたかいます。

2.道理ある要求を高く掲げる

 困難の根本原因は、定員削減や合理化政策、国民犠牲の厚生労働行政の切り捨て、公務の民営化、公務員制度改革など、政府の誤った政策によるものです。全厚生は労働条件の改善とともに、行政を国民本位にする努力を常に行ってきました。これは、結成以来、変わらぬ姿勢です。憲法25条を活かす厚生労働行政を確立するために道理ある要求を掲げ、その実現のためにたたかいます。

3.各支部、組合員のみなさんへ

 全厚生は今年4月20日、結成70年を迎えます。仲間とともに喜び、悲しみ、苦しみの中で切実な要求前進と平和と社会保障を守るためにたたかってきました。この歴史とたたかいを胸に刻み、労働者の誇りと希望をもってたたかいます。
(1)労働組合は、一人一人の組合員が主人公であり、支部が主役です。人間らしく生き、働くために団結してたたかい、全員参加の組合活動をめざしましょう。
(2)職場の隅々に労働組合のさわやかな風を吹かせ、労働組合の存在を職場に示し、職場を良くするために奮闘しましょう。
(3)切実な要求を前進させる取り組みを進め、全支部で仲間を増やす活動をすすめましょう。
(4)第79回定期大会定のメインスローガン「活かそう憲法!ふやそう仲間!必ず勝ち取る解雇撤回!笑顔で、知恵だし、声だし、元気だし、さあ、みんなでやり抜こう!」を胸に刻み、たたかいましょう。


[2]国民春闘で前進を

 2016年国民春闘のスローガンは、「ストップ暴走政治、戦争法廃止!壊すな憲法 暮らしまもる共同で、賃上げと雇用の安定、地域活性化」です。

1.戦争法を廃案にする国民運動へ

 政府・与党は昨年9月19日、憲法違反の戦争法案の強行採決を繰り返し、成立させました。この暴挙に対し、多くの国民が立ち上がりました。老いも若きも、男も女もスクラムを組んで国会を包囲し、全国津々浦々で行動を展開し、政府・与党を追い詰める歴史的な共同行動となりました。民主主義の力こそ、社会を変える源であることが実感できた瞬間でした。
 この歴史的なたたかいは、戦争法の廃止を求める新たなたたかいに着実に引き継がれています。戦争法に反対する諸団体が協議し、12月20日に「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」(略称=市民連合)を結成しました。設立趣意書には、「日本の立憲主義と民主主義を守りたいと切望する市民にとって、もはや状況は座視できない。政党間の協議を見守るだけでは、自民党による一強状況を打破することはできない。」とあります。自由で自発的、主権者の自覚をもつ市民運動の発展であり、国民運動の新しい歩みです。

2.暮らしを守る共同を広げよう

 安倍政権は「戦争する国」づくりと一体で「世界で一番、企業が活動しやすい国」をめざしています。大企業が儲かればやがて国民にも回ってくる(トリクルダウン、おこぼれ経済学)と言い3本の矢((1)金融緩和、(2)財政出動、(3)成長戦略)を推進しました。大企業は、空前の大儲けで内部留保を溜め込みました。(2014年度の内部留保は、大企業約5000社は14兆円上回り300兆円に迫る。全企業の内部留保は34兆円増で543兆円)。しかし、アベノミクスで大企業がいくら儲けても、そのままでは労働者の賃金には回りません。その上、消費税増税は暮らしを直撃しています。また、非正規雇用が増え、低賃金で働く労働者がつくられ、賃金格差は拡大しています。この庶民犠牲の悪循環を変えなければなりません。何よりも雇用を安定させる、労働者の賃金の底上げを行なう、均等待遇を実現させる、普通に働けば人間らしいまともな暮らしができる労働条件の改善など、働くルールの確立は、緊急の課題です。

3.雇用を守り、社会保障の拡充を

 安倍首相は、アベノミクスの第2ステージと称し「1億総活躍社会」を実現する新3本の矢((1)希望を生み出す強い経済(2)夢を紡ぐ子育て支援(3)安心につながる社会保障)を打ち出しました。この「1億総活躍社会」のねらいは、若ものや女性、高齢者などを労働力として最大限に活用するものです。しかし、働く側の雇用環境や労働条件を整える姿勢はなく、社会保障の削減政策が目白押しです。強いものだけが生き残り、弱い者は使い捨てられる社会であってはなりません。

【ストップ!安倍「雇用改革」】
 労働者保護法制は、全面攻撃に晒されています。労働者派遣法の大改悪が強行され、施行されました。これでは、「正社員ゼロ・生涯ハケン」で低賃金・使い捨ての労働者が急増しかねません。労働者派遣法の大改悪に続き、残業代ゼロ制度の創設など8時間労働制の根幹を壊す労働基準法大改悪や解雇規制の緩和がねらわれています。制度改悪を許して、日本中をブラック企業化させてはなりません。

【社会保障改悪を阻止し、拡充を】
 社会保障の理念を否定する制度改悪が各分野ですすめられています。社会保障制度改革推進法で自立・自助を強調し、社会保障改革のプログラム法で改悪メニューとその時期を示しています。政府は、12月末に経済財政諮問会議が決定した「改革行程表」にそって、医療、介護、年金、生活保護など、社会保障の全面改悪をすすめる計画です。それも来年4月からの消費税10%への大増税が前提です。社会保障の拡充で安心・安全な社会をつくることは、国民的な大事業です。

4.国民の願う厚生労働行政の確立を

 政府は、「5年間で10%」の定員合理化計画を閣議決定(2014年7月25日)し、2015年から毎年2%の定員削減を進めています。どの職場もこれ以上の定削を受け入れる余地はありません。
 何よりも総定員法と定員削減計画による定員管理政策を改めさせなければなりません。厚生労働行政の各分野の実態を明らかにし、大幅増員による体制確保を求め、行政サービス機能の向上をはかることが大切です。本省、試験研究機関、社会福祉施設、社会保険の各行政分野の拡充を求め、要求と政策を練り上げ、行政体制確立と労働条件の改善の取り組みを一体ですすめます。

5.国民春闘で要求実現を

【攻勢的にたたかう】
 戦争法廃止、大幅賃上げや賃金底上げで暮らし改善させる攻勢的なたたかいが始まっています。この息吹を感じながら、労働者・国民の暮らしを改善し、希望をもって働き続けられる職場をつくるために春闘をたたかいます。職場を基礎にたたかい、地域で労働者・労働組合と交流し、地域の行動に結集します。官民一体、全国統一行動、中央行動に結集してたたかいます。

【みんなの力で切り拓く】
 全厚生は、若い組合員、経験豊富な組合員、様ざまな行政分野・部門・職種など、多彩な人々が担っています。ベテラン組合員は、労働組合に懸けた熱い思いとロマンを呼びさまし、若い組合員は大いに学び、全組合員に参加を呼びかけ、みんなで取り組みをすすめましょう。


[3]春闘の重点要求

1.賃金改善、国公労連統一賃金要求
2.行政サービスの拡充
3.マイナンバー制度
4.非常勤職員制度の改善
5.高齢者雇用、再任用制度の改善
6.社保庁職員の不当解雇撤回
7.日本年金機構の体制強化
8.国立福祉施設の体制強化
9.試験研究機関の体制強化
10.国立研究開発法人の体制強化
11.超勤縮減やハラスメントの根絶


[4]戦争法廃止の国民的共同を

 この国の在り方が根本から問われています。立憲主義や民主主義を踏みにじる暴走政治を許してはなりません。戦争する国づくり、殺し殺される事態をつくってはなりません。戦争法である「平和安全保障関連法」を廃止することは、最重要課題です。
 憲法尊重擁護の義務を負う公務員労働者として、「ふたたび戦争の奉仕者にならない」を合言葉に奮闘します。併せて、平和なくして、社会保障の前進はありません。厚生労働行政の担い手として、仕事への誇りをかけて取り組みます。
(1)国公労連が提起する「まもろう憲法・国公大運動」(キャッチフレーズは、ふたたび戦争の奉仕者にならない)の取り組みを推進します。
(2)戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会が2千万署名として提起した「戦争法の廃止を求める統一署名」を1人10筆目標に取り組みます。
(3)戦争法廃止を求める宣伝行動、学習会、各種集会、諸行動に積極的に参加します。
(4)「9の日」宣伝行動や毎月19日の国会行動・統一行動など、中央・各県・地域での各種行動に積極的に参加します。行動参加の際、アピール行動になるための工夫を行います。
(5)2月14日(日)の「戦争法廃止・安倍政権NO!国民大集会」(東京・代々木公園)に結集します。
(6)3月9日(水)の国民春闘勝利!労働者決起集会・中央行動の企画として憲法学者の小林節氏(慶大名誉教授)の学習会が行われます。春闘山場の行動であると共に戦争法廃止の共同前進をめざし、全力で結集します。
(7)全労連の提起する5月の「戦争法廃止・憲法闘争推進月間」の取り組みに積極的に結集します。


[5]重点課題とたたかい方

1 大幅賃上げで暮らしの改善を

1.「統一賃金要求」の実現をめざす
 暮らしを改善する大幅賃上げを実現し、実質賃金の低下に歯止めをかけるために力を尽くします。賃上げの流れを本格化させ、「賃上げこそ暮らしと経済再生のカギ」の世論と運動を職場でも地域でも大いに広げます。併せて、非正規雇用労働者の賃金を底上げし、格差是正をすすめる取り組みを重視します。

2.大企業の内部留保を還元させる

 大企業の内部留保を社会的に還元して大幅賃上げを実現することは、経済の好循環をつくる上でも重要です。大幅賃上げの機運を高め、官民共同の取り組みを発展させるために、国公労連が提唱した「ビクトリーマップ運動」(ビクトリーマップを活用した地域での宣伝活動)をブロック・県国公に結集して取り組みます。

3.賃下げ違憲訴訟の勝利判決を

 2015年5月25日に提訴した「公務員賃下げ違憲訴訟」は、東京地裁での不当判決(2014年10月30日)に対し、同年11月13日に控訴(国公労連と退職等に伴う辞退者を除く359人が原告。全厚生の原告6人は、全員が控訴)し、東京高裁での逆転勝訴をめざしてたたかっています。次回、第3回口頭弁論期日は4月20日(水)です。
 訴訟でたたかう意義・目的は、(1)給与臨時特例法の違憲性を裁判の中で明らかにし、その無効を勝ち取ること(2)労働基本権制約という無権利状態の下にあって、その代償措置である人事院勧告を無視する前代未聞の行為が国会で行われたことから、労働基本権回復を視野に入れ、たたかいを通じてその道筋をつけること(3)賃下げスパイラルを断ち切り、労働者の賃上げと安定した雇用確保、内需拡大で景気回復をめざす国民的な運動と一体でたたかうことの3点です。東京高等裁判所宛の公正判決を求める署名を取り組み、幅広い国民への支持と理解を広げます。

2 定員削減反対、行政体制の拡充を

1.現場の意向を重視し、増員を求める

 各現場では、国民のニーズと期待に応えるために懸命に職務を遂行しています。しかし、どの職場でも業務量の増大により長時間労働が強いられ、メンタル不全で休職に追い込まれる職員が増えています。これ以上の定員削減は困難です。厚生労働行政の各部門の充実を図るために「定員合理化計画」の実施を中止し大幅な増員を要求します。現場の職員の意向を十分考慮し、必要かつ充分な人員と予算確保の取り組みを強めます。

2.21世紀国公大運動を推進する

 国公労連は、通年方針である21世紀国公大運動の「総対話MAP運動」を「まもろう憲法・大運動」の一環として、公務・公共サービスの拡充をめざす取り組みを推進します。憲法が保障する国民の生活と権利をまもる職務を担う公務・公共サービスの役割やその体制確立の必要性を訴えます。厚生労働行政の各分野の拡充、日本年金機構の体制強化、社保庁不当解雇撤回の課題を訴えます。

3 本部・支部で交渉を強化する

1.要求作りを重視し、交渉を強化する

 職場での要求作りは、たたかいの出発点です。要求に命を吹き込むために、要求づくり、要求を練り上げる取り組みを重視します。すべての支部で要求を提出し、要求提出後は交渉強化し、粘り強く執念を持って、要求実現をめざします。

2.政府・厚労省に統一要求を提出する

 国公労連は、1月29日に第146回拡大中央委員会を開催し、賃金要求並びに政府・人事院宛の2016年国公労連統一要求を決定し、2月上旬に政府・人事院に提出します。全厚生は、2月6日の第57回中央委員会で全厚生2016年統一要求を決定します。その後、厚生労働省に提出します。

3.本部交渉で要求前進をめざす

 各支部・職場の交渉を背景にして、本部交渉を実施し、要求前進をめざします。(1)大臣官房人事課長交渉、(2)施設管理室長交渉、(3)厚生科学課長交渉、(4)日本年金機構本部交渉、(5)全国健康保険協会本部交渉を実施します。

4 統一行動、地域総行動に結集する


1.2月の「地域総行動」に結集する

 全労連・国民春闘共闘は、2月を「地域総行動月間」と位置づけています。国公労連は、大企業の社会的責任を問い、内部留保の社会的還元を求める運動を展開します。官民共同の取り組みを重視し、ブロック・県国公に結集し、積極的に行動します。

2.最大の山場となる3月の「統一行動」に結集する

 全労連・春闘共闘は、3月16日(水)を集中回答日として最大限の結集を実現し、賃上げの社会的な流れをつくるために奮闘しています。集中回答日の翌日3月17日(木)を統一行動の最大の山場と位置づけ、組合員総決起の大行動(50万人規模)を展開します。大幅賃上げ、戦争法廃止、残業代ゼロ法案廃案の3大課題をかかげ、職場集会やデモ、一斉宣伝行動、民間労組のストライキ支援・連帯行動などを実施します。全組合員参加の取り組みとなるよう、年休取得を含め積極的に結集します。

3.「国公労連統一行動」に結集する

 国公労連は、政府・人事院との中間回答日を3月16日(水)、最終回答日を3月25日(金)に設定し、国公労連統一要求の実現をめざします。
 国公労連は、2月15日の週を「第1波全国統一行動週間」に設定し、すべての任命権者・所属長に対して統一要求書の提出を完遂する方針です。
 3月14日からの週を「第2波全国統一行動週間」に設定し、全ての職場で昼休み職場集会を開催し、統一要求の最終回答に向けて政府・人事院宛の職場決議を採択・送付する方針です。
 また、集中回答日(3月16日)の前段の3月9日に、全労連・国民春闘共闘が官民共同による春闘最大の中央行動を展開します。
 全厚生は、国公労連の統一行動、春闘最大の中央行動に結集します。

5 超勤縮減、公務の「働き方改革」に対する取り組み

1.本省庁の恒常的な残業をなくす

 国家行政機構の中枢である本省で人間らしく働くルールを確立する課題は、行政民主化の課題とも深く結びつく重要な取り組みです。健康で働き続けるために無定量で恒常的な残業改善の取り組みを重視します。本省支部は引き続き、霞国公が実施している残業実態アンケートに取り組みます。

2.公務の「働き方改革」に対応する

 政府は、人事院が勧告した「新たなフレックスタイム制」を勧告通りにすることを決めました。この制度は、出退勤時間を労働者が自由に設定できる民間の制度とはまったく異なるもので、労働強化につながりかねません。実効ある超過勤務の縮減と制度の濫用防止を求め、職場実態を踏まえた運用をめざします。また、「ゆう活」と称した「朝型勤務」について、政府は来年も実施するとしています。職場実態を踏まえ、一方的な実施に反対します。真の「働き方改革」となる充分な体制確保と実効ある超勤縮減の実現をめざします。

3.ハラスメントを一掃しよう

 この間、「職場からハラスメントを一掃しよう」と呼びかけてきました。それは、全厚生の各職場からパワハラに悩む組合員の声が寄せられているからです。労働組合の役割を発揮して、「職員の生命と健康、職員の身の安全を図る措置をとる」安全配慮義務を果たすことを引き続き要求します。人権侵害行為であるハラスメントの根絶をめざします。

6 試験研究機関及び国立研究開発法人の取り組み

 政府の「まち・ひと・しごと創生会議」(議長・安倍首相)は昨年12月、政府機関の地方移転の検討対象を計34機関とすることを了承しました。この内、研究・研修機関22機関の内、国立健康・栄養研究所が移転対象となりました。今後、関係機関との具体の検討を行い、年度内に政府機関移転基本方針を決定する計画です。一方的な地方移転に反対し、基盤研支部、健栄研支部と協議し必要な対応をすすめます。
 国公労連と学研労協で実行委員会をつくり毎年、国立試験研究機関全国交流集会を開催しています。今年は、独立行政法人発足15年が経過する中、交流集会の開催に併せ、独立行政法人を検証するシンポジウムを開催する方針です。この交流集会及びシンポジウムに積極的に参加します。

7 国立福祉施設の組織再編、伊東センター廃止・統合に伴う取り組み

 伊東重度障害者センターの廃止・統合は、2016年6月末に迫っています。これに対し、障害者福祉を拡充する立場に立ち、(1)国立更生援護機関の組織再編にあたって、地方センターを廃止せず、存続・拡充させる(2)伊東重度障害者センターの施設廃止まで、利用者が不利益を被らないように支援体制を維持すること(3)伊東センターで働く職員の意向や希望を充分に尊重し、職員の身分・労働条件の後退を招かないよう万全の措置を取ることを要求し、交渉を強化します。

8 非常勤職員、有期雇用職員の労働条件の改善、雇用を守るたたかい

1.非正規で働く仲間の雇用を守る

 非正規雇用労働者の雇用を守り、労働条件を改善するたたかいは、極めて重要です。公務の非常勤職員、期間業務職員、研究所の任期付研究員、日本年金機構の有期雇用職員など、誰もが年度末での雇い止めの不安を抱えながら懸命に業務に従事しています。経験の蓄積や専門性を活かし、働く仲間の雇用確保のために本部・支部一体で交渉を強化します。

2.期間業務職員の取り組み

 国公労連に結集し、政府・人事院交渉で非常金職員の労働条件の改善を求めます。期間業務職員は、業務の経験を積み、行政運営を支えています。2回更新後は、公募が原則ですが、更に更新することが制度上も可能であり、雇い止めがルールではありません。期間業務職員制度の運用にあたり、安定的な雇用保障に努め、安易な雇い止めを行わず、雇用継続を要求します。

3.日本年金機構の有期雇用職員の雇用継続の取り組み

 社会保険庁を廃止し、国民の信頼を回復すると称して日本年金機構が発足して7年目になります。社会保険の業務運営を国から切り離し、民営化した結果、業務の安定的な運営に重大な支障が出ています。社保庁時代と比べ大幅な定員削減が強行され、有期雇用職員が6割以上を占めています。その上、有期雇用職員の雇い止めが繰り返されています。安定的な業務運営を損なう有期雇用職員の雇い止めを行なわず、雇用継続のために総力をあげて取り組みます。有期雇用職員の雇用継続を求める要請署名に取り組み、日本年金機構本部交渉並びに厚生労働省交渉で要求前進をめざします。

9 マイナンバー制度への取り組み

 マイナンバー制度が動き出しました。その利用範囲は、社会保障、税、防災の3分野の限定した項目でスタートします。その一方、マイナンバー制度は、安倍内閣の下で「世界最先端のIT国家」をめざす重要なツールとして位置づけられ、民間利用とその拡大の方向へと突き進んでいます。国民に何ら説明することなく走り出していることが問題です。
 官民共通番号の諸外国の例も明らかになり、個人情報の集積によるプライバシーの侵害や情報漏えい、「なりすまし」犯罪被害の危険性、国民管理・監視体制などのねらいや、問題点が数多く指摘されています。マイナンバー制度の学習をすすめ、諸団体と共同した取り組みをすすめます。

10 平和・社会保障を守る取り組み

1.平和の取り組みを意気高く

 春闘の時期に平和の取り組みがスタートします。今年は、憲法公布70年です。3・1ビキニデー行動、5・3憲法集会、国民平和大行進、原水爆禁止世界大会の成功に向けた取り組みを意気高く進めます。原発依存のエネルギー政策から脱却するため、真剣に考え、学び、「原発ゼロ」をめざす広範な行動に結集します。

2.社会保障を守り、安心年金をつくる

 社会保障の改悪阻止・拡充を求め、中央社会保障推進協議会(中央社保協)に結集し、共同の取り組みをすすめます。2008年5月28日に結成した安心年金つくろう会(国の責任で、安心して暮らせる年金制度をつくる連絡会)は、中央とともに各県(北海道・東京・静岡・愛知・岐阜・京都・香川・愛媛)で結成し、活動しています。年金闘争に寄与するために、中央・各県の「安心年金つくろう会」の各構成団体と充分協議し、情勢にふさわしく活動を前進させます。

3.第88回メーデーの取り組み

 メーデーは、毎年5月1日に、全世界の労働者がデモンストレーションを行ない、団結の力と国際連帯の意志を示す統一行動の日です。全厚生は、中央メーデー並びに各県メーデーに毎年、積極的に参加しています。在京支部は、実行委員会をつくり、交流を深めてきました。今年の第88回メ‐デーは、昨年を上回る参加者となるよう事前の準備をすすめ、積極的に参加します。

4.国民の願いに応える社会をつくる

 政治の行方は、この国の在り方と私たちの暮らしに直結しています。この国を良くするためには、政治の中身を変えることです。夏の参議員選挙は、戦争する国づくりと「暴走」政治を止めさせ、立憲主義を守る歴史的な政治戦となります。全厚生は、憲法が保障する国民の政党支持、政治活動の自由を守り、職場でも地域でも家庭でも、政治を語ります。国民・労働者の切実な願いや要求が届き、民主主義を大切にした政治を実現させるために奮闘します。


[6]解雇撤回闘争で勝利を

 不当解雇撤回闘争は、7年目に入りました。裁判闘争は、北海道(1人)、秋田(4人)、東京(3人)、愛知(2人)、京都(15人)、愛媛(3人)の6都道府県・28人の原告(解雇撤回を求める原告は25人)で行っています。当事者(原告)を主人公に、国公労連、全労連規模での闘争体制を力に、多くの仲間の支援・激励を受けてたたかっています。

1.世論と運動の力で勝利判決をめざす

 大阪高裁での控訴審は、第1回口頭弁論で結審させず、裁判が継続します。5地裁の裁判闘争の内、高松地裁での愛媛事案は1月13日に結審し、3月30日(水)に判決が行われます。大阪地裁判決に次ぐ、2つめの判決です。勝利判決をめざし、事の本質を徹底的に明らかにし、支援の輪をさらに広げ、たたかいによって勝利をつかむために奮闘します。すべての裁判勝利を求め、たたかいます。

2.解雇撤回・全面解決をめざす

(1)「分限免職処分取消訴訟における全ての証人の採用を求める要請書(署名)」の取り組みを推進します。
(2)大阪高裁、5地裁宛の公正・公平な判決を求める要請署名を全国で推進します。
(3)宣伝・学習を全国で推進します。
(4)大阪高裁、各地裁での口頭弁論の裁判傍聴行動の成功のために奮闘します。
(5)JAL不当解雇撤回、日本IBMロックアウト裁判、すべての争議団と連帯し、乱暴な解雇を許さない共同を大きく広げるために全力を尽くします。
(6)「全厚生闘争団を支える会」の会員をさらに大きく広げます。

3.全面解決を求め政府に解決を迫る

 2013年11月4日・5日、社会保険庁改革の中で行われた団結侵害行為に対し、ILO(国際労働機関)結社の自由委員会にILO87号条約、98号条約違反で行った申し立てに対し、昨年11月12日にILO勧告が出されました。この勧告を有効に活用し、政府を政治的に包囲し、解雇撤回・全面解決に奮闘します。

【ILO勧告‐社会保険庁解雇案件3051号(全労連国際局仮訳)】
(1)委員会は、政府は従業員の雇用と労働条件に影響する人員削減計画を労働組合組織と事前協議を行うことの重要性を想起し、労働者の職業的利益に影響する問題に関し完全で率直な協議を行う協調的労使関係の重要性を強調する。委員会は、日本政府が新規に創設された機構においてもそれらの原則を尊重することを期待する。
(2)委員会は日本政府に対し、川口氏の係争中の裁判の結果、並びに北久保、中本両氏の保障に関する事件の経過について報告を継続することを要請する。


[7]組織拡大で純増をめざす

1.大会決定の「純増方針」を実践する

 第79回定期大会決定(2015・9・13)の2015年度組織拡大方針の全面実践を行うのが2016年春闘です。社会保険庁の解体・民営化後、不当解雇撤回闘争を始めて以降の最初の大会(第74回定期大会)で組織建設、職場活動の再構築への誓いを立てた原点に立ち、その後の組織活動を踏まえ、着実に前進させます。そのために、春闘の要求闘争の中で組織拡大をしっかり位置づけ、自覚を持って取り組みます。

2.目標

(1)各支部は、次期(第80回)定期大会を純増で迎えるために全力を尽くす。全厚生として組織の純増を達成する。
(2)すべての職場で、職員の過半数を組織することをめざす。

3.具体的な取り組み

(1)日常的に組織拡大に取り組みます。要求闘争と一体で組合加入の取り組みを推進します。
(2)すべての職員を対象にして、組合加入の呼びかけを行います。新規採用者に対して、集中して加入を呼びかけます。
(3)職場実態に合わせて、組織拡大に取り組みます。拡大運動を推進するために、組織強化・拡大推進委員会を開催し、取り組みの具体化を図ります。
(4)通年的な組織強化・拡大を取り組み、かつ4〜6月を運動強化期間と位置づけ、全力を尽くします。
(5)本部として、困難をかかえている支部に対する援助を強めます。

4.国公共済会の加入を促進させる

 国公共済会は、仲間同士の「助け愛」の精神で、もうけを目的とせず、「小さな掛金、大きな保障」を実現しています。組合員と家族の福利厚生として、現在約2万5千人が加入しており、安定的な運営がなされています。
 国公共済会では、新入組合員に対し「ワンコイン共済」のプレゼント(半年間)を行っています。あたらしく組合に加入した仲間が、プレゼント期間に給付を受けるなど、組合員の福利厚生を保障し、団結を強める力になっています。
(1)4月〜6月を拡大強化期間とし、100人の拡大をめざします。
(2)すべての支部役員が国公共済に加入することをめざします。
(3)新入組合員には、必ずワンコイン共済プレゼント券を渡し、期間終了前に引き続く加入を呼びかけます。

5.権利に強くなる学習を重視する

 学習は、たたかう力の源泉です。とりわけ、権利に強くなるための学習を重視します。本部役員、支部執行委員会は、学ぶ活動の先頭に立って実践します。
 開講2年目の全労連・初級教育制度「わくわく講座」の受講の準備をすすめます。勤労者通信大学の受講組織をすすめます。「学習の友」の購読をすすめ活用します。

6.青年を活動の主人公に

 青年は、学び、たたかい中で成長します。各支部は春闘の中で行われる学習会や様々な行動に若い仲間が参加できるよう積極的に援助します。

7.女性交流集会の成功を

 国公労連女性協議会は、女性が集い交流し、語り学び合い、元気に活動できるように第46回国公女性交流集会(5月21〜22日、愛知県蒲郡群三谷温泉・ホテル明山荘)を開催するために実行委員会を結成しました。第40回全厚生女性交流集会は、10月〜11月に近畿で実施する計画です。各支部は、交流集会に多くの女性組合員参加できるよう援助します。




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