◆号外 (2015年1月28日付)◆
[1]要求を高く掲げ、たたかう
人間らしく生き、働くために労働組合の出番です。なぜなら、この課題を真正面に据えてたたかう組織は、労働組合以外にないからです。全厚生は、職場を変え、暮らしを改善し、社会を良くするために、決意新たに2015年春闘をたたかいます。
1.職場の困難を打開する
今、職員の懸命な努力にもかかわらず、厚生労働行政を担うどの職場でも苦労と困難が生じています。
社会保険行政の解体・民営化後の日本年金機構の業務体制はその象徴であり、民営化路線では国民の安心は守れません 今、有期雇用職員の雇用継続は、年金の安定的な業務運営を保障する上でどうしても必要です。国立福祉施設での地方センターの廃止は、障害者福祉行政の根本が問われる課題です。独立行政法人の下で整理合理化が繰り返されています。厚生科学研究を拡充するには、短期的な成果を求める傾向を改めさせ、基礎研究を地道にすすめ、裾野の広い学問研究の基盤をつくらなければなりません。職場の困難を真に解決するために知恵と力を結集する ―― これが2015年春闘です。
2.道理ある要求を高く掲げる
困難の根本原因は、定員削減や合理化政策、国民犠牲の厚生労働行政の切り捨て、公務の民営化、公務員制度改革など、歴代政府の政策です。 全厚生は、常に労働条件の改善ともに、行政を国民本位にする努力を行ってきました。これは、結成以来69年間、変わらぬ姿勢です。今こそ、憲法25条に活かす厚生労働行政を確立する道理ある要求を掲げ、その実現のために、団結してたたかいます。
3.希望と誇りもって、春闘をたたかう
今年は春闘60年の節目です。全厚生は、労働者の誇りと希望をもって、春闘をたたかいます。
各支部、組合員のみなさんに呼びかけます。
(1)労働組合は、組合員が主人公であり、支部が主役です。働く者の団結こそ、力です。職場で全員参加の組合活動をめざしましょう。
(2)職場の隅々に労働組合のさわやかな風を吹かせ、労働組合の存在を示し、職場を良くするために奮闘しましょう。
(3)要求前進の取り組みの中で、全ての支部で仲間を増やす取り組みをすすめましょう。
(4)第78回定期大会定のメインスローガン「活かそう憲法!ふやそう仲間!必ず勝ち取る解雇撤回!笑顔で、知恵だし、声だし、元気だし、さあ、みんなでやろう!」を胸に刻み、元気にたたかいましょう。
[2]国民春闘で前進を
1.日本の今と未来を左右する春闘
2015年春闘は、労働者・国民の暮らしと日本の今と未来を左右する重要なたたかいになります。安倍政権は、2つの危険な方向に日本を変えようとしているからです。その方向は、(1)アメリカと一緒に「戦争する国づくり」であり、(2)「世界で一番企業が活動しやすい国」づくりです。この方向には、未来も希望もありません。全厚生は、職場の切実な要求を大切にして、暮らしや平和を守るたたかいと結びつけ、労働者・国民の共同の力でたたかう、国民春闘に結集してたたかいます。
2.危険な「戦争する国づくり」をストップさせる
今年は、第2次世界大戦終結から70年となる節目の年です。戦後の再出発にあたり、日本国民は二度と戦争をしないことを誓い、日本国憲法前文で「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやふにすることを決意」し、戦争を放棄する憲法9条を確定しました。安倍政権は、この歴史の教訓に背を向け、憲法9条を壊し、日本を「戦争する国」にしようとしています。
安倍政権の暴走を止めさせることは、私たち主権者国民の使命です。歴史に向き合い、戦争をする国づくりを許さない決意を固め、平和憲法を守り、活かす共同を大きく広げることが大切です。
3.暴走政治をストップさせ、雇用と暮らしを守る
安倍首相は、自らの政治を「戦後以来の大改革」と称し、「あらゆる改革を大きく前進させる1年にしたい」(年頭記者会見1月5日)といっそうの「暴走」を宣言しました。
【雇用の安定、働くルールの確立を】
労働者の実質賃金は、2013年7月から17カ月連続のマイナス(厚労省、毎月勤労統計調査)となり、賃金格差は拡大しています。非正規雇用が増え、低賃金で働く労働者がつくられています。何よりも乱暴な解雇は許さず、雇用を安定させなければなりません。賃金の底上げを行い、均等待遇を実現させ、普通に働けば人間らしいまともな暮らしができる労働条件、働くルールを確立することは緊急の課題です。
【安倍雇用改革をやめさせる】
労働者保護法制を壊していく攻撃が仕掛けられています。特に労働者派遣法の大改悪は、「生涯ハケン・正社員ゼロ」をめざすものです。低賃金でいつでも解雇できる働かせ方を当たり前にするものです。「残業代ゼロ」制度や労働時間規制の全面的な弾力化もねらわれています。この安倍雇用改革は、日本中をブラック企業化する緊急事態の情勢であり、これをはね返する共同を大きく広げていくことが大切です。
4.いのちと暮らし守る厚生労働行政の確立をめざす
政府は、昨年7月25日に「5年間で10%」の定員合理化計画を閣議決定し、2015年から毎年2%の定員削減計画を示しています。どの現場も、これ以上の定員削減を受け入れる余地はありません。
今、政府に求めることは、総定員法と定員削減計画による定員管理政策を改めさせることです。厚生労働行政の各分野の実態を明らかにし、大幅増員による体制確保を求め、行政サービス機能の向上をはかることです。全厚生は、本省、試験研究機関、社会福祉施設、社会保険の4部門で構成する労働組合です。各行政分野の拡充を求め、政策要求を練り上げ、行政体制確立と労働条件の改善の取り組みを一体ですすめます。
5.国民春闘で要求前進を勝ちとろう
【攻勢的にたたかう】
今、大幅賃上げや賃金底上げ、安倍暴走政治をストップさせる攻勢的なたたかいが始まっています。全厚生はこの息吹を感じながら、労働者・国民の暮らしを改善し、希望をもって働き続けられる職場をつくるために、2015年春闘をたたかいます。職場を基礎にたたかい、地域で労働者・労働組合と交流し、地域の行動に結集します。官民一体、全国統一行動、中央行動に結集してたたかいます。
【疲弊した職場に活力を取り戻そう】
限界を超える定員削減が行われ、独法化や民営化による合理化がすすめられています。この結果、権利侵害やハラスメントが横行し、職場とそこで働く職員が疲弊しています。やりきれない思い、苦しみや困難に負けず、もの言わぬ公務員づくりやバッシングをはね返し、職場をかえる要求と希望を持ち、団結してたたかいます。職場の活力を取り戻すために奮闘します。
【みんなの力で前進を切り拓く】
全厚生は、若い組合員、経験豊富な組合員、様ざまな行政分野・部門・職種など、多彩な人々が担っています。ベテラン組合員は、労働組合にかけた熱い思いとロマンを呼びさまし、若い組合員は大いに学び、全組合員に参加を呼びかけ、みんなで取り組みをすすめます。全厚生は、新たな前進を切り拓くために国民春闘に結集してたたかいます。
[3]春闘の重点要求
1.国家公務員の賃金改善
- 国家公務員の賃金を月額平均20、000円以上(行政職(一))引き上げること。
- 非常金職員の時給を150円以上引き上げること。
- 非常金職員をはじめ、公務職場で働く労働者の最低賃金を「時給1、000円」「日額8、000円」「月額170、000円」以上に引き上げること。
2.行政サービスの拡充
- 憲法25条の理念を活かし、医療並びに公衆衛生の向上を図り、国民の健康と福祉を向上・発展させるために増員を行うこと。
- 「定員合理化計画」を撤回し、大幅な増員を行うこと。
- 現場の職員の意向を十分考慮し、必要かつ充分な人員と予算を確保すること。
3.非常勤職員制度の改善
- 非常勤職員制度を抜本的に見直し、雇用の安定、均等待遇などをはかる法制度を整備すること。
- 非常勤職員の休暇等は、常勤職員と同等の制度に改善すること。
- 期間業務職員制度の運用にあたり、安定的な雇用保障に努め、安易な雇い止めを行わないこと。
4.再任用制度の改善
- 職員の意向をふまえ、働き続けられる勤務環境を整備し、希望者全員を再任用すること。
- 再任用職員の賃金は、年金支給開始までの生活維持にふさわしい賃金水準とすること。
5.社保庁職員の不当解雇撤回
- 大阪地方裁判所での勝利判決
- 政府・厚労省の責任で処分撤回・全面解決を行うこと。
- 被懲戒処分者を一律不採用とする閣議決定を撤回すること。
- 日本年金機構に経験と専門性ある元社会保険庁職員を正規職員として採用すること。
6.日本年金機構の体制強化
- 国民への信頼を回復し、安定的な業務運営を行うため、正規職員を増員して業務体制を拡充すること。
- 「当面の業務運営に関する基本計画」の見直しを行うこと。
- 有期雇用職員について、安易な雇い止めは行わず、希望する職員の継続雇用を行うこと。
- 実態を正確に把握し、必要な予算を確保すること。
7.国立福祉施設の体制強化
- 地方センターを廃止せず、存続・拡充させること。
- 伊東センターで働く職員の意向や希望を十分に尊重し、職員の身分・労働条件の後退を招かないよう万全の措置をとること。
- 国立施設の機能の充実強化を図るとともに、施設運営に支障をきたさないよう現場の職員の意見を十分に反映させた体制を確保すること。
8.試験研究機関の体制強化
- 各研究機関の役割を発揮するために、研究現場の意向を反映させ必要かつ充分な人員と予算を確保すること。
- 光熱水道費の予算や研究設備の維持など、基本的な研究環境を確保すること。
- 国立医薬品食品衛生研究所の川崎市への移転について、移転後の研究所が国民の要請に応えうる必要な施設とシステムが構築できるよう充分な予算を確保すること。
- 国立感染症研究所の確保する公務員宿舎について、研究所の使命を果たし、充分な役割発揮を行うために業務遂行に必要な戸数を確保すること。
9.独立行政法人の体制強化
- 独立行政法人の賃金・労働条件決定は、労使対等の原則並びに自主性を尊重し、不当な介入・干渉を行わないこと。
- 独立行政法人改革に伴う独立行政法人医薬基盤・健康・栄養研究所の設立にあたり、職員・研究者の雇用を守ること。
労働条件の不利益変更を行わないこと。統合に伴う研究所の運営や労働条件の統一・調整にあたり、必要な労使協議を行うこと。
10.超勤縮減やハラスメントの根絶
- 超過勤務を大幅に縮減し、不払い残業を根絶すること。
- 恒常的で異常な残業実態を改善するため、業務量に見合う定員を確保すること。勤務時間管理の徹底や、超過勤務時間の上限規制を設けるなど、実効ある対策を講じること。
- 疲労蓄積の防止、メンタルヘルス対策など、職員の健康と安全を確保すること。
- パワーハラスメントを根絶するため、職員の安全確保、職場環境確保、職場環境整備の観点に立ち、使用者責任を果たすこと。
[4]重点課題とたたかい方
(1)大幅賃上げで暮らしの改善を実現する
1.統一賃金要求の実現をめざす
今年こそ、暮らしを改善する大幅賃上げを実現し、実質賃金の低下に歯止めをかけるために力を尽くします。統一賃金要求を掲げてたたかいます。
賃上げの流れを本格化させ、「賃上げこそ暮らしと経済再生のカギ」の世論と運動を職場でも地域でも大いに広げます。併せて、非正規雇用労働者の賃金を底上げし、格差是正をすすめる取り組みを重視します。
2.大企業の内部留保を還元させる
大企業の内部留保(大企業約5000社、金融保険のぞく全企業、2013年度)は、285兆円に達しています。この内部留保を社会的に還元して大幅賃上げを実現することは、経済の好循環をつくる上でも重要です。
官民共同の取り組みを発展させ、大幅賃上げの機運を高め、官民共同の取り組みを発展させます。国公労連が提唱した「ビクトリーマップ運動」の取り組みをブロック・県国公に結集して行ないます。
3.賃下げ違憲訴訟の勝利判決めざす
「公務員賃下げ違憲訴訟」は、高裁段階に入りました。東京地裁民事19部は昨年10月30日、人事院勧告を無視する一方的賃下げを「合憲」とする不当判決を行いました。これに対し11月13日に控訴(国公労連と退職等に伴う辞退者を除く359人が原告)し、新たなたたかいを開始しました。全厚生の原告6人は、全員が控訴しています。東京高裁での逆転勝訴をめざして、全力をあげます。国公労連が作成する一審判決の問題点や控訴審の争点などの学習素材を活用し、たたかいの意義や目的を学びます。東京高等裁判所宛の新たな公正判決を求める署名を取り組み、幅広い国民への支持と理解を広げます。
(2)定員削減反対、行政体制の拡充を
1.職場ではこれ以上の定員削減は困難
各現場では、国民のニーズと期待に応えるために懸命に職務を遂行しています。しかし、その体制は充分ではありません。職場では業務量の増大により長時間労働が強いられ、メンタル不全で休職に追い込まれる職員が増えています。これ以上の定員削減を行うことは困難です。
2.21世紀国公大運動を推進する
厚生労働行政の充実を図るために、「定員合理化計画」の実施を中止し、大幅な増員を要求します。現場の職員の意向を十分考慮し、必要かつ充分な人員と予算を確保する取り組みを強めます。
そのために、憲法を暮らしと行政にいかす21世紀国公大運動の「総対話MAP運動」の一環として、公務・公共サービスの拡充を地域からめざす「ブロックキャラバン行動」に、ブロック・県国公に結集して取り組みます。この行動で行う各団体との懇談や要請、対話と宣伝などを通じて、全厚生の各職場の重要な役割を訴え、拡充を求めます。
(3)本部・支部で交渉を強化する
1.要求作りを重視し、交渉を強化する
団結の力で要求実現をめざすのが労働組合です。要求作りは、たたかいの出発点です。要求に命を吹き込むために、要求づくり、要求を練り上げる取り組みを重視します。すべての支部で要求を提出し、要求提出後は交渉強化し、粘り強く執念を持って、要求実現をめざします。
2.政府・厚労省に統一要求書を提出する
国公労連は、1月31日に第144回拡大中央委員会を開催し、賃金要求並びに政府・人事院宛の2015年国公労連統一要求書を決定し、政府・人事院に提出します。全厚生は、2月7日の第56回中央委員会後に全厚生2015年統一要求書を厚生労働省に提出します。
3.本部交渉で要求前進をめざす
各支部・職場の交渉を背景にして、本部交渉を実施し、要求前進をめざします。2015年春闘の中で、(1)大臣官房人事課長交渉、(2)施設管理室長交渉、(3)厚生科学課長交渉、(4)日本年金機構本部交渉、(5)全国健康保険協会本部交渉を実施します。
(4)統一行動、地域総行動に結集する
1.2月の「地域総行動」に結集する
全労連・国民春闘共闘は、2月を「地域総行動月間」と位置づけています。国公労連は、「ビクトリーマップ運動」と「ブロックキャラバン行動」を春闘2大運動と位置づけています。2月は、地域総行動とも連動させながら、官民共同の取り組みを展開します。
2.3月山場の「統一行動」に結集する
全労連・春闘共闘は、3月11日を集中回答日として最大限の結集を実現し、賃上げの社会的な流れをつくるために奮闘しています。集中回答日の翌日と翌々日(3月12〜13日)を最大の山場と位置づけています。
3月12日の統一ストを含む官民一体の統一行動(50人総行動)に積極的に結集します。具体的には、国公労連・ブロック・県国公に結集して、定員削減計画の中止と公務・公共サービスの拡充、社保庁不当解雇撤回、日本年金機構の安定した業務運営の確立や有期雇用職員の雇用継続の課題を掲げ、民間労組のスト支援・連帯の行動をはじめ、年休取得を含め積極的に結集します。
3.「国公労連統一行動」に結集する
国公労連は、統一要求の実現をめざし、政府・人事院との中間回答日を3月11日、最終回答日を3月25日に設定しています。
国公労連統一行動は、(1)2月9日の週を基本に「第1波全国統一行動週間」を設定し、すべての任命権者・所属長に対して統一要求書の提出を完遂する方針です。
(2)3月12日からの週を基本に「第2次全国統一行動週間」を設定し、全ての職場で昼休み職場集会を開催し、統一要求の最終回答に向けて政府・人事院宛の職場決議を採択・送付します。
全厚生は、国公労連の統一行動に結集します。
(5)ハラスメントを一掃しよう
昨年の定期大会で「職場からハラスメントを一掃しよう」と呼びかけました。それは、全厚生の各職場からパワハラに悩む組合員の声が寄せられているからです。労働組合の役割を発揮して、「職員の生命と健康、職員の身の安全を図る措置をとる」安全配慮義務を果たすことを要求し、機能させていくことが重要です。「職場から無くそう!ハラスメント」(仮称)キャンペーンの具体化をすすめます。
(6)本省庁の恒常的な残業をなくす
国家行政機構の中枢である本省で人間らしく働くルールを確立する課題は、行政民主化の課題とも深く結びつく重要な課題です。健康で働き続けるために無定量で恒常的な残業改善の取り組みを重視し、本省支部は毎年、霞国公が実施している残業実態アンケートに取り組みます。
(7)独立行政法人研究所の統合に対する取り組み
昨年の通常国会で「独立行政法人医薬基盤研究所の一部を改正する法律案(医薬基盤研究所と健康・栄養研究所を統合し、新たな独立行政法人を創設する)が成立し、2015年4月に両研究所は統合されます。これは、独立行政法人改革並びに整理合理化計画の最も早い具体化です。統合にあたり、両研究所の職員・研究所の雇用を守るとともに研究所の運営や労働条件の統一・調整にあたり、労働条件の不利益変更をさせないよう本部・支部一体で取り組みます。
(8)国立福祉施設の組織再編に対する取り組み
伊東重度障害者センターの廃止・統合は、予定時期を1年再延期し、「平成27年度末を目途」となりました。これに対し、障害者福祉を拡充する立場に立ち、(1)国立更生援護機関の組織再編にあたって、地方センターを廃止せず、存続・拡充させる。(2)伊東重度障害者センターの施設廃止まで、利用者が不利益を被らないように支援体制を維持すること。伊東センターで働く職員の意向や希望を充分に尊重し、職員の身分・労働条件の後退を招かないよう万全の措置を取ることを要求し、交渉を強化します。
(9)非常勤職員、有期雇用職員の労働条件の改善、雇用を守るたたかい
1.非正規で働く仲間の雇用を守る
非正規雇用労働者の雇用を守り、労働条件を改善するたたかいは、極めて重要です。公務の非常勤職員、期間業務職員、研究所の任期付研究員、日本年金機構の有期雇用職員など、誰もが年度末での雇い止めの不安を抱えながら懸命に業務に従事しています。経験の蓄積や専門性を活かすためにも、雇用確保を要求して本部・支部一体で交渉を強化します。
2.期間業務職員の取り組み
国公労連に結集し、政府・人事院交渉で非常金職員の労働条件の改善を求めます。期間業務職員は、業務の経験を積み、行政運営を支えています。2回更新後は、公募が原則ですが、更に更新することが制度上も可能であり、雇い止めがルールではありません。期間業務職員制度の運用にあたり、安定的な雇用保障に努め、安易な雇い止めを行わず、雇用継続を要求します。
3.日本年金機構の有期雇用職員の雇用継続の取り組み
社会保険庁を廃止し、国民の信頼を回復すると称して日本年金機構が発足して6年目になります。社会保険の業務運営を国から切り離し、民営化した結果、業務の安定的な運営に重大な支障が出ています。社保庁時代か比べ大幅な定員削減が強行され、有期雇用職員が6割以上を占めています。その上、有期雇用職員の雇い止めが繰り返され、その数は2013年度末までに6千人、そして今、2014年末は更新回数の上限を理由に2千人以上の雇い止めを実施しようとしています。安定的な業務運営を損なう有期雇用職員の雇い止めを行なわず、雇用継続を要求し、総力をあげて取り組みます。有期雇用職員の雇用継続を求める要請署名に取り組み、日本年金機構本部交渉並びに厚生労働省交渉で要求前進をめざします。
(10)平和を守り、社会保障を拡充する
1.憲法9条守り、平和な社会をめざす
【「戦争する国づくり」をやめさせる】
「戦争する国づくり」に反対し、集団的自衛権行使容認の閣議決定の撤回や日米ガイドラインの再改定、自衛隊法改悪など戦争法案の準備に反対し、秘密保護法の廃止などの課題を掲げて、国民的な共同を広げるために奮闘します。
【安倍暴走政治にストップを】
全労連は、5月を「安倍暴走政治ストップ行動月間」に設定し、悪法ストップ、平和憲法守れの集中した取り組みを展開します。「戦争する国づくり」を許さない共同行動や集会、宣伝行動に各支部は積極的に参加します。
【意気高く、平和の取り組みをすすめる】
春闘の時期に平和の取り組みがスタートします。今年は、戦後70年であり、被爆70年です。3・1ビキニデー行動、5・3憲法集会、国民平和大行進、原水爆禁止世界大会の成功に向けた取り組みを意気高くすすめます。原発依存のエネルギー政策から脱却するため、真剣に考え、学び、「原発ゼロ」をめざす広範な行動に結集します。
2.憲法25条を活かし、安心年金つくる共同を広げる
安倍政権は、憲法25条・社会保障そのものを変質・解体させようとしています。社会保障制度改革推進法を強行し、国の責任を放棄し、自己責任の世界に変える攻撃が加速しています。
政府・厚労省は、年金改革法案を通常国会に提出予定です。2004年の年金大改悪から10年が経ち、その改悪レールに乗りながら、新たな年金改革(改悪)が仕掛けられています。公的年金の役割をより限定的なものに抑え、社会保険のもつ保険原理の側面を押しだし、企業年金の活用や年金積立金の株式運用比率を高めるなど、財界の意向に応える中身が検討されています。
老後が安心の年金制度の確立めざし、中央社会保障推進協議会(中央社保協)に結集し、共同の取り組みをすすめます。
3.「安心年金つくろう会」の役割発揮を
2008年5月28日に結成した「安心年金つくろう会」(=国の責任で、安心して暮らせる年金制度をつくる連絡会)は、中央とともに各県(北海道・東京・静岡・愛知・岐阜・京都・香川・愛媛)で結成し、活動しています。年金闘争に寄与するために、中央・各県の「安心年金つくろう会」の各構成団体と充分協議し、情勢にふさわしく活動を前進させます。
4.労働者・国民の願いに応える政治の実現を
政治の行方は、私たちの暮らしに直結しています。この国を良くするためには、政治の中身を変えることです。春闘の時期に、いっせい地方選挙が行われます。全厚生は、憲法が保障する国民の政党支持、政治活動の自由を守り、職場でも地域でも家庭でも、政治を語ります。国民・労働者の切実な願いや要求が届き、民主主義を大切にした政治を実現させるために奮闘します。
5.第87回メーデーに積極的に参加する
メーデーは、毎年5月1日に、全世界の労働者のデモンストレーションによって団結の力と国際連帯の意志を示す統一行動の日です。全厚生は、中央メーデー並びに各県メーデーに毎年、積極的に参加しています。在京支部は、実行委員会をつくり、交流を深めてきました。今年のメ‐デーは、昨年を上回る参加者となるよう、事前の準備をすすめ、積極的に参加します。
[5]全国の力で解雇撤回、大阪での勝利判決を
1.大阪地裁での勝利判決をめざす
社保庁不当解雇撤回のたたかいが6年目に入り、裁判闘争での重要な節目をこの春闘の中で迎えます。先行した京都事案の大阪地裁での判決が判決が確定しました。3月25日(水)午後1時10分に判決の言い渡しになります。京都の原告は15人(解雇撤回を求める原告は12人)であり、たたかいの重要な節目を迎えます。勝利判決を勝ち取るには、世論と運動を大きく広げることが決定的に重要です。6都道府県(28人の原告、解雇撤回を求める原告は25人)の裁判闘争を前進させ、全国で解雇撤回を求める取り組みを展開し、その力を背景にして、大阪地裁での勝利判決、解雇撤回をめざします。大阪地裁での判決後の取り組みは、別途提起します。
2.解雇撤回・全面解決をめざす取り組み
(1)6地裁宛の公正・公平な判決を求める要請署名を全国で推進します。
(2)政府・厚労省宛の全国署名(第2次)を推進します。
(3)宣伝チラシ、リーフレットを積極的に活用し、宣伝・学習を全国で推進します。
(4)「全厚生闘争団を支える会」の会員をさらに大きく広げます。
(5)各地裁での口頭弁論の裁判傍聴行動の成功のために奮闘します。
(6)JAL不当解雇撤回闘争、日本IBMロックアウト解雇撤回闘争をはじめ、すべての争議の解決をめざし、各争議団と連帯し、乱暴な解雇を許さない共同を大きく広げるために全力を尽くします。
3.全面解決をめざし政府に解決を迫る
2013年11月4日・5日、社会保険庁改革の中で行われた団結侵害行為に対し、ILO(国際労働機関)結社の自由委員会にILO87号条約、98号条約違反で申し立てを行いました。ILO事務局(ジュネーブ)に出向きました(申し立ては、その場で受理、社会保険庁解雇案件‐3051号)。ILO国際基準部の副部長は、「これは的確なILO条約違反のケースだ」「ILOは権威と専門性を持って対応する」とコメントしました。その後、当初予定された昨年11月のILO理事会では審議されず、今年3月の理事会で審議される予定です。ILOからの勧告が出されれば、それを有効に活かし、政府を政治的に包囲し解雇撤回・全面解決に向けて奮闘します。
[6]組織強化・拡大を前進させよう
1.地道な活動で組合加入をすすめる
組織強化・拡大は、全厚生の最重要課題としてこの間、全力で奮闘してきました。要求前進の取り組みと一体で新しい仲間の加入をすすめています。本省支部は、ランチ学習会や様々な交流イベントを企画して期間業務職員の仲間づくりをすすめています。要求に根ざした活動と組合加入を結びつける優れた経験です。また、雇用・労働相談を行う中で組合に加入してもらうケースも出ています。職場での交流や要求活動を地道にすすめる中で一歩一歩、加入がすすんでいます。この春闘で、これまでの経験をさらに広げ、全支部で組織強化・拡大運動に取り組みます。この運動を第79回定期大会まで継続させ、大きなうねりにするために全力を尽くします。
2.目標達成のために力を尽くす
(1)要求前進のために組織拡大が重要な役割であることを確信する
(2)次期の第79回定期大会までに200人の拡大をめざす
(3)すべての職場で過半数を組織することをめざす
3.計画をつくり、主体的に推進する
要求実現の運動と組織強化・拡大は、車の両輪であり、一体ですすめることが大切です。併せて注意することは、要求運動をしていれば組織強化・拡大が自動的にすすむわけではないと言うことです。組織強化・拡大のための意識的な独自の取り組を行うことが重要です。各支部は、目標と計画をつくり、主体的にすすめます。
4.国公共済会の加入を促進させる
国公共済会は、仲間同士の「助け愛」の精神で、もうけを目的とせず、「小さな掛金、大きな保障」を実現しています。組合員と家族の福利厚生として、安定的な運営がなされています。国公共済会では、新入組合員に「ワンコイン共済」のプレゼント(半年間)を行っています。このプレゼントを有効に活かし、国公共済会の加入を促進させ、団結を強めます。(1)4〜6月を拡大強化期間とし、100人の拡大をめざします。(2)すべての支部役員が国公共済会に加入することをめざします。(3)新入組合員には必ずワンコイン共済プレゼント券を渡し、期間終了前に引き続く加入を呼びかけます。
5.権利に強くなる学習を重視する
学習は、たたかう力の源泉です。とりわけ、権利に強くなるための学習を重視します。本部役員、支部執行委員会は、学ぶ活動の先頭に立って実践します。
全労連の初級教育制度は、6月開講で準備がすすんでいます。対象は、「役員になって日が浅い人、もしくは近い時期に役員になってほしい人」です。全厚生での受講者をつくる準備を行います。
6.青年を活動の主人公にする
青年は、学び、たたかい中で成長します。各支部はこの春闘の中で行われる学習会や様々な行動に若い仲間が参加できるよう積極的に援助します。
7.女性交流集会を成功させる
国公労連女性協議会は、実行委員会を結成し、女性が集い交流し、語り学び合い、元気に活動できるように第45回国公女性交流集会(5月23〜24日、群馬県水上温泉・ホテル聚楽)を開催するために実行委員会を結成しました。女性部は、第39回全厚生女性交流集会の準備を始めました。各支部は、多くの女性組合員参加できるよう援助します。
8.組織検討委員会を設置する
第78回大会方針で組織検討委員会の設置について検討する提案をしました。中央執行委員会で検討した結果、全厚生の組織と運動を前進させるために、全厚生OBとの連携や積極的な活用、全厚生の再雇用のあり方、組織整備などの課題を検討するために組織検討委員会を設置します。
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