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◆号外 (2014年1月28日付)◆
2014年全厚生春闘方針(案)
2014年全厚生春闘方針(案)目次

[1]春闘の情勢と特徴

1.広範な国民の団結で国民本位の政治への転換へ

 2014年春闘は、安倍内閣の暴走をストップさせるため、職場や地域で多数派を形成し、広範な国民の団結で反撃をスタートしました。
 一昨年12月の総選挙で誕生した安倍・自公政権は、325議席という衆議院での圧倒的多数の力を背景に、秋の臨時国会(第185回国会)だけでも、特定秘密保護法、国家安全保障会議設置法のほかに、社会保障改革プログラム法、産業競争力強化法、国家戦略特別区域法、生活保護改悪法、生活困窮者自立支援法など、国民の生活と権利を脅かし、平和と民主主義に重大な影響を及ぼす法律を成立させ、大企業優遇・国民犠牲の姿勢を鮮明にしました。また、原発の推進、TPP(環太平洋連携協定)の推進、沖縄新基地建設の押し付け、憲法改定にむけた動きなど、「アベノミクス」の名での国民犠牲・大企業応援の政治推し進めようとしています。2014春闘では国民的課題での共闘の推進で国民本位の政治への転換が求められています。

2.安心して働ける雇用の実現を

 雇用不安が深刻です。非正規雇用者は、2012年に2、043万人とはじめて2000万人を超え、雇用者全体の38・2%を占めています。(総務省・就業構造基本調査)。特に15歳から19歳の雇用者の73・7%、20歳から24歳の雇用者の44・5%が非正規であるなど、若者の雇用問題は深刻です。9月の完全失業率は、全体が3・9%であるのに対して24歳以下が6・7%と依然として高い水準であり若年者雇用環境の厳しさがうかがえます。
 全厚生の職場でも、年金機構の定員の6割を超える有期雇用職員をはじめ、本省の非常勤職員、研究機関の任期付職員等、毎年度末での雇い止めの不安を抱えて働く職員が急増しています。安心して働ける雇用の確保が急務の課題です。

3.憲法25条活かした社会保障の充実を

 税と社会保障の一体改革(社会保障改革推進法)の中では、国民の共助ばかりが強調され、国と企業の社会的責任は軽減されています。また、今国会で成立した社会保障プログラム法では、介護、医療、年金、保育の各分野で「手当たりしだいの負担増と給付削減」や制度を大本から変質させる大改悪を盛り込み、実行に移す時期まで明記するなど、社会保障の大改悪を強行しようとしています。消費税増税は社会保障のためといっていることも全く道理が通りません。社会保障は所得の再配分が基本です。富裕層、大企業に応分の負担を求め、国が責任を持って行政運営していくことが求められています。憲法25条を活かした社会保障の充実が必要です。

4.公務労働者の権利を踏みにじり、「もの言わぬ公務員づくり」を進める政府

 「賃下げ違憲訴訟」のたたかいの中で来年度以降の賃金引下げを阻止しました。さらに使用者権限を強化することを盛り込んだ、国家公務員法等の一部を改正する法律案の成立を許さず、継続審議とさせたことは、たたかいの成果です。引き続き、通常国会でのたたかいを強める必要があります。
 政府は、総人件費抑制の観点から、(1)給与体系の抜本改革について2014年度中から実施に移せるよう人事院への要請、(2)定員の大幅純減と新たな定員合理化計画の策定、(3)地方公務員の給与水準の適正化、適正な定員管理の推進、給与体系の抜本改革などを盛り込んだ給与制度の大改革の方針を閣議決定しました。
 給与体系の抜本見直しは、地場賃金の反映と50歳代後半の給与構造の見直しなどを課題としています。使用者たる政府が、労働条件の不利益変更につながる措置の具体化を人事院に要請することは、国家公務員の権利を侵害するものです。また、定員削減は、労働強化と健康破壊を押し付けるものであり、結果として国民の権利を保障する国の機関の機能低下を招きかねないものです。

5.分限処分取り消しを力にすべての仲間の不当解雇撤回を

 社会保険庁不当解雇撤回のたたかいでは、全厚生組合員は、39人中10人の処分取り消しを勝ちとりました。全体では71人中25人の処分が取り消され、比率は35・2%にのぼります。こうした事実だけでも厚生労働省が分限免職回避努力不十分であったことは明らかです。さらに、朝日新聞が11月13日付社説で社会保険庁職員の分限免職を「政治のパワハラだった」と報道するなど横暴な政治の力で処分されたことも浮き彫りになってきました。
 一方、全厚生組合員で、不当にも処分取消にならなかった秋田、東京、愛媛の当事者が、判定を不服として裁判提訴に踏み切り、愛知でも提訴の準備を進めています。
先行して裁判を行なっている北海道、京都に加え、人事院闘争後に4県が加わります。裁判闘争を軸にした新たな段階でのたたかいのスタートです。処分取り消しを勝ち取った運動に確信をもって取り組みを強化していくことが求められています。

6.労働運動の真価が問われる春闘、国民課題での共闘の推進を

 政府・財界が賃金改善を認め、その機運が徐々に高まっています。全労連・国民春闘共闘は、16、000円5・3%以上の統一要求目標額を掲げ、「たたかいとろう 大幅賃上げ、くいとめよう 憲法改悪、許すな 雇用・暮らし破壊の暴走政治」をスローガンにたたかう方針を示しています。
 2014春闘では、「賃上げこそが景気回復への鍵」「大企業の利益の還元を」などの世論の拡大とともに、各支部での職場・地域からたたかいで、要求前進を勝ち取っていくことが求められています。

7.地域春闘で前進、職場に春闘の風を吹かせよう

 公務職場では、定員削減の穴埋めに有期雇用職員を配置し、業務の民営化・民間委託が推し進められる中で、長時間過密労働による健康破壊が広がり、国民の「安全・安心」を守る公務・公共サービスを維持することが困難になっています。全厚生の職場は、国民生活を支える大切な業務ばかりです。各部門・支部が、専門性を生かし公務・公共サービスの重要性を訴え、公務員バッシングが国民サービスの低下につながっていることを明らかにしていくことが重要です。
 2014春闘は、国民の「安全・安心」を守り公務員バッシングを打ち破る運動を「地域春闘」で展開し、全労連が提起する「くらし守れの大行動」(3月13日)に結集し、国民共同のたたかいを大きく前進させていきます。


[2]春闘の基本方針

 全厚生は、第77回定期大会の運動方針を基本に2014春闘方針を具体化し、すべての労働者の賃上げと良質な雇用の確保、国民の生活と権利を守る国民春闘に結集します。最低賃金時給1、000円の実現、非正規労働者の雇用の安定と均等待遇の実現など、貧困と格差の解消をめざして、各支部が各地域春闘に結集したたかいます。
 また、東日本大震災と福島第原発事故の被災地本意の復旧・復興、原発ゼロ、TPP交渉参加反対、特定機密保護法廃止、憲法改悪阻止など、国民的な要求課題の前進をめざし、広範な団体・国民との共同を発展させます。
1. 全厚生の切実な職場要求実現、不当解雇撤回のために、職場からの取り組みを強化し、国民春闘の中で大きく前進させます。
2. 大幅賃上げ、最低賃金の引き上げ、安定した雇用の確保めざし、「地域春闘」で多数派を形成して公務員攻撃を打ち破る運動を進めます。
3. 憲法改悪反対、秘密保護法廃止、社会保障の改悪阻止にむけて、広範な国民と連帯していきます。
4. 組合員の減少に歯止をかけ、増勢に転じるため全支部が総力をあげて組織強化・拡大に取り組みます。


[3]課題別の取り組み

1.憲法擁護、平和を守り社会保障の充実などの国民的課題の前進を目指す取り組み

 職場での憲法擁護、平和の取り組みを強めます。
(1) 職場集会、支部機関紙等機会あるごとに憲法の大切さや、平和について職場宣伝を行います。また、「5・3憲法集会」等の憲法擁護の集会に参加します。
(2) 2014年原水爆禁止世界大会などの成功を目指して、職場での折鶴の取り組み、核兵器全面禁止のアピール署名を取り組みます。「3・1ビキニデー」集会、国民平和大行進に積極的に参加します。
(3) 各支部で社会保障講師団を結成し「地域春闘」の中で学習運動を展開します。「税と社会保障の一体改革」の問題点について明らかにしていきます。
(4) 東日本大震災と被災地の復旧・復興、原発ゼロ、TPP交渉参加反対、特定機密保護法廃止など、国民的な要求課題の前進に向けて全労連、国公労連が提起する集会等に積極的に参加します。

2.職場要求を基礎に労働条件改善・交渉強化

 職場の切実な要求を積み上げ、試験研究機関、社会福祉施設、社会保険の各部門別の統一要求を確立します。本部交渉を実施し、粘り強く要求前進をめざします。2014春闘の中で、大臣官房人事課長交渉、施設管理室長交渉、厚生科学課長交渉、日本年金機構本部交渉、全国健康保険協会本部交渉を実施します。また、すべての支部で職場要求の確立、所属長交渉、職場集会を開催します。

3.非正規雇用労働者の雇用を守る取り組み

 非正規雇用労働者の雇用を守るたたかいは、全厚生の2014春闘の大きな柱です。
 全厚生の職場では、本省の非常勤職員、研究機関の任期付研究員、年金機構の有期雇用職員など、多くの非正規雇用労働者が働いていますが、誰もが年度末での雇い止めの不安を抱えながら毎日を過ごしています。厚生労働省の職場は、医療、年金、介護をはじめとした国民生活を支える大切ななくてはならない業務です。また、どの職場も公務としての専門性が高く職員の長年の経験の蓄積が求められます。
 こうした中、政府の総人件費抑制政策の中で、厚生労働省は雇用期間満了、予算削減を理由として、職場実態を考慮せずに非正規雇用職員の雇い止めを一方的に実施しようとしています。
 全厚生には、「働き続けたい」、「雇い止めされると仕事が回らない」などの声が職場から寄せられています。誰もが安心して働き続けることのできる職場の実現は、雇用の安定だけでなく国民サービス向上と安定的業務運営にとって大変重要です。
 2014春闘は、次の取り組みを強化します。
(1) 全厚生本部は、各部門別交渉等を実施し、非正規労働者の雇用確保を求めます。
(2) 有期雇用職員をはじめとした未組合員への組合加入の呼びかけ組織の強化・拡大を取り組みを進めます。
(3) 各部門・支部での職場集会の開催、所属長上申を実施します。
(4) 地域春闘に積極的に参加し職場実態を訴えます。
(5) 6月7〜8日の全労連・非正規ではたらくなかまの全国交流集会に積極的に参加します。

4.大幅賃上げ、労働条件改善、働くルール確立を目指す取り組み

 東日本大震災を理由とした賃金減額は、国公労連の「賃下げ違憲訴訟」のたたかいの中で断念させることを勝ち取りました。引き続き即時廃止を求めていきます。一方、政府は、総人件費抑制の方針を閣議決定。定員の大幅純減、給与制度の見直し抜本的を求めています。
 全厚生は、国公労連の提起を積極的に受け止め、職場を基礎にして運動を推し進めます。
(1) 国公労連が提起する、集会、署名に積極的に取り組みます。
(2) 独立行政法人の研究所支部は、労働者に不利益になる給与制度の見直しは行わないように求めます。
(3) 各支部での有期雇用職員の雇用確保等の課題と合わせて基本要求で所属長に申入れを行い、上申を求めます。
(4) 各支部、分会での昼休み職場集会の開催を追求します。
(5) 「3・6中央行動」には積極的に結集します。
(6) 3月13日に全労連が全国規模で取り組む「くらし守れの大行動(50万人規模)」を年休取得を含め積極的に結集します。

5.不当解雇撤回、早期職場復帰を目指す取り組み

2014春闘はこの間の不当解雇撤回の運動に確信をもって、裁判闘争を軸に全面勝利に向けて新たな決意でたたかいます。
(1) 分限免職された職員全員の解雇撤回をめざして、政府・厚労省宛の新たな署名に取り組みます。
(2) たたかいを全国的にひろげるため、全労連「社保庁職員の分限解雇撤回闘争対策会議」に結集して運動を強化し、政治的解決を求め、議員要請行動等を積極的に取り組みます。
(3) 各部門、支部での職場集会等を活用し、不当解雇撤回闘争の学習を強化します。組織強化・拡大の取り組みと合わせて裁判闘争を職場と一体で推し進めます。
(4) 全厚生闘争団を支える会の会員拡大と闘争団を支える各支援組織の拡大をすすめ、闘争団員の生活支援の財源を確保します。
(5) 「安心年金つくろう会」の役割を発揮して宣伝行動を強化するよう積極的に働きかけます。県労連や県社保協、年金者組合などと共同した宣伝行動を展開します。
(6) 解雇自由化の流れを許さず、働くルール確立をめざし、JALや日本IBMをはじめとする各地の解雇撤回争議とも連携し宣伝行動に取り組みます。


[4]組織強化・拡大の前進を

 国公法弾圧堀越事件の最高裁勝利判決、社会保険庁不当解雇撤回で人事院の処分取消判定、公務員賃下げ違憲訴訟で新たな賃下げを断念させました。こうした国を相手にたたかい勝利してきたことに確信を持ち、たたかいの経過と結果を仲間に伝え行くことが大切です。
 全厚生は職場要求の前進と労働条件改善のため、組織拡大を運動の大きな柱として2013年度に200人の仲間を増やすことを第77回定期大会で確認しました。この間の経験を生かし、各部門・支部が運動に自信をもって、要求前進、組織拡大の運動を具体化することが必要です。

1.組織強化・拡大で要求の前進、労働条件改善を勝ち取る取り組み

 2014春闘では、組合員の減少に歯止めをかけ増勢となるよう全力を尽くします。4月から6月を組織拡大強化月間とし、全支部が総力を挙げて組織強化・拡大の取り組みを展開していきます。2月、3月は準備期間です。準備期間に2014春闘で提起した国民的課題に結集し、「地域春闘」を積極的に取り組み、各支部が、所属長交渉、職場集会な実施し、職場に労働組合の風を吹かせることが重要です。国公共済会の加入促進と一体で推し進めます。2014春闘では次の取り組みを強化します。
(1) 各支部で組織強化・拡大に向けた意思統一を行います。
(2) 2月、3月を準備期間と位置づけ職場に労働組合の風を吹かせます。
(3) 4月〜6月を組織強化拡大月間として全部門、支部での取り組みを強化します。

2.国公共済会の加入を促進させる

 国公共済会は、もうけを目的とせず、仲間同士の「助け愛」の精神で、「小さな掛金、大きな保障」を実現しています。組合員と家族の福利厚生として、現在約2万5千人が加入しており、安定的な運営がなされています。
 国公共済会では、新入組合員に「ワンコイン共済」のプレゼント(半年間)を行っています。新しく組合に加入した仲間が、プレゼント期間に給付を受けるなど、組合員の福利厚生を保障し、団結を強める力になっています。
(1) 4〜6月を拡大強化期間とし、100人の拡大をめざします。
(2) すべての支部役員が国公共済に加入することをめざします。
(3) 新入組合員には、必ずワンコイン共済プレゼント券を渡し、期間終了前に引き続く加入を呼びかけます。



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