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◆号外 (2013年1月25日付)◆
2013春闘方針(案)
全厚生第54回中央委員会議案

活かそう憲法!ふやそう仲間!必ず勝ち取る解雇撤回!
知恵だし、声だし、元気だし、さあ、みんなでやろう!

2013春闘方針(案)の目次

[1]国民春闘を連帯してたたかいぬこう!

1.安心して暮らせる社会の実現を!
 2013年春闘は、国民いじめの政治に対して、職場や地域で多数派を形成し、広範な国民の団結による反撃のスタートです。
 昨年12月の総選挙では、「圧勝」と報道された自民党ですが、小選挙区では4割台の得票で8割の議席を独占。比例では3割台の議席しか獲得していません。また、史上最低の投票率は、自民にこりごり民主にガッカリの大半が、政党乱立の中でどこに投票していいかわからず棄権したことが大きな原因です。
 民意とかけ離れた自民党が圧勝したからといって、消費税増税、社会保障の切り捨てはもちろん、憲法改正で日本を戦争する国へ変えようとするなど好き勝手なことをさせるわけにはいきません。
 また、政府・財界は市場経済の行き詰りをさらなる構造改革路線・市場化原理の徹底を推し進めることで乗り切ろうとしていますが、日本経済が、長いデフレ不況のトンネルから抜け出すには、労働者の所得を増やし内需を拡大する以外にありません。
 消費税増税、社会保障切り捨てなど、労働者・国民に犠牲と痛みを押し付ける政府・財界の攻撃やねらいを明らかにし、大幅賃上げ、雇用の安定で安心して暮らせる社会の実現が求められています。

2.国民春闘の重点課題
 全労連・春闘共闘は、重点課題として、
 (1)賃金の改善、底上げ、格差是正を求める取り組み
 (2)解雇、失業に反対し、雇用の安定をめざす取り組み
 (3)労働時間改善など良質な雇用確保をめざす取り組み
 (4)消費税増税、TPP参加阻止、原発ゼロの日本の実現をめざす国民共同の取り組み
 (5)改憲策動に反対し、核兵器廃絶、安保破棄をめざす取り組み
を提起しています。
 全厚生は、全労連・国公労連の春闘方針を積極的に受け止め、「活かそう憲法!ふやそう仲間!必ず勝ち取る解雇撤回!知恵だし、声だし、元気だし さあ、みんなでやろう!」をスローガンにして、2013春闘を、国民サービス向上、大幅賃上げ、労働条件改善をめざし、国民が安心して暮らせる社会の実現に向けて奮闘します。

3.憲法13条、人間の尊厳を守るたたかいを!
 日本国憲法13条は、「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」と「個人の尊厳」が明記されています。個人の尊厳は、「全ての人間は平等に造られている」と宣言したアメリカ独立宣言、自由、平等、友愛の精神を盛り込んだフランス人権宣言、戦後国連で採択された世界人権宣言へと全世界の人民が命をかけてたたかい、勝ち取ってきました。人間の尊厳を守るため、国民が主人公の政治・安心して暮らせる社会実現にむけて、国民の共同・連帯で財界中心の政治の流れを変えていくことが必要です。

4.大企業包囲、雇用の安定を勝ち取り、働くルールの確立を!
 大企業は、グローバル化に伴うコスト削減のために、正規社員の採用を抑制し、非正規労働者を増大させています。
 また、正規職員でも残業未払いにとどまらず、IBMのように、ロックアウト解雇を強行しようとするなど、企業による解雇の自由化の突破口を作ろうとしています。労働者の実態は、正規・非正規労働者を問わず、低賃金、長時間労働、首切りなど不安定な労働条件と背中合わせの毎日です。働いても豊かになれず、将来展望も持てないような生活が押し付けられるのは、ゴメンです。
 こうした、人間の尊厳を踏みにじり、労働者を物としてしか扱わない大企業の横暴なやり方を、これ以上許すわけにはいきません。職場、地域の仲間の連帯で、世論と運動を大きく盛り上げ大企業を包囲し働くルールを確立していくことが重要です。

5.公務員バッシング攻撃をはね返そう!
 公務員バッシングは、国民生活切り捨ての悪政にたいする国民の不満、怒りの矛先を、財界や政府に向けさせないことが役割です。
 「公務員は働かない」「税金でいい生活をしている」などとマスコミを利用して、「公務員=貧困者の敵」として作り上げ、公務の民営化、定員削減、賃金切り下げの理由にして利用しています。
 こうした中で、無謀な定員削減は、国民生活に密接な行政機関・研究機関・福祉施設などを統廃合に追い込み、大幅賃下げ、退職金のカットは、現場の公務労働者の働く意欲をなくさせるだけでなく、青年の公務ばなれを引き起こしています。
 公務員の労働条件切り下げが国民生活切り下げにつながることを明らかにして、国民の支持と共感を得ながら公務員バッシングを押し返すたたかいが求められています。

6.公務員賃下げ違憲訴訟のたたかい
 国公労連は昨年の5月25日、人事院勧告に基づかない「国家公務員の給与の臨時特例に関する法律」(以下、「特例法」という)は憲法違反として、国に賃金の減額分や慰謝料などの損害賠償を求める「公務員賃下げ違憲訴訟」を東京地方裁判所に提訴しました。この訴訟の意義は、国家公務員の労働基本権が制約されている下で、人事院勧告に基づかない公務員給与の賃下げの違憲・違法性を司法の場で明らかにするものです。
 裁判闘争では、法廷での弁護団の厳しい追及や、法廷に入りきれず傍聴者があふれ出るなど、運動は一歩一歩前進しています。公務員の賃金引き下げは、全厚生のすべての組合員が原告の立場で奮闘することが求められています。さらに、裁判勝利のためには、法廷外で公務員賃下げの不当性を訴え、国民の支持と共感を得て、広範な仲間の連帯で運動を広げていくことが重要です。

7.国公法弾圧事件、堀越さん無罪、宇治橋さん不当な有罪判決
 最高裁は2012年12月7日、「国公法弾圧堀越事件」と「世田谷国公法弾圧事件」について、それぞれ上告を棄却し判決。堀越明男さんは無罪、宇治橋眞一さんは有罪(罰金10万円)が確定しまた。この判決は、公務員の政治活動を一律に禁じる流れにくさびを打つものとなりました。判決では、公務員が行った政治活動が国公法に違反するかは「(制限の範囲を)政治的中立を損なう恐れが実質的に認められる行為に限られる」とはじめて判断。政治活動が一律禁止されると解釈されてきた「猿払判決」の実質的判例変更であり画期的な勝利といえます。ただし、堀越さんを無罪する一方、宇治橋さんは課長補佐として一定の職務権限があったとし有罪としたことは到底納得できません。「全体の奉仕者」として国民本位の行政を遂行するためにも、公務員労働者の基本的人権が保障されなければなりません。今回の判決を跳躍台に、憲法とILO基準に沿った労働基本権の回復と市民的政治的自由の確立をめざし、いっそうの運動強化が必要です。

8.不当解雇撤回で勝利を目指すたたかい
 労働者の雇用と権利を守る―春闘の最重要の課題です。旧社会保険庁職員の不当解雇撤回闘争は、3年が経過し4年目を迎えます。人事院闘争は、口頭審理の総仕上げの段階に入ります。京都に続き、北海道、大阪、香川での裁判で口頭弁論が行われています。不当解雇撤回を勝ち取る年にする決意を固め、全力で奮闘します。日本航空(JAL)不当解雇撤回裁判原告団など不当解雇撤回をたたかう仲間とともに、乱暴な解雇を許さない共同を大きく広げてたたかいます。

9.消費税増税・社会保障の一体改革を阻止するたたかい
 2012年の通常国会で自民・公明・民主の談合で社会保障制度改革推進法が強行されました。その内容は、国民の共助・自助ばかりが強調され、国と企業の社会的責任は軽減、財源も社会保障財源‖消費税財源としています。国民が社会保障充実を求めれば消費税増税、消費税増税に反対すれば社会保障切り捨ての二者択一が迫れることになります。また、現在検討されている、マイナンバー制度は、国家による個人情報の一元管理と不正利用・漏洩によるプライバシー侵害の危険性があります。「税と社会保障の一体改革」は、国民生活切り捨て、消費税大増税の社会保障大改悪です。広範な国民の共同のたたかいの前進が求められています。当面、2014年4月の消費税8%への引き上げを実行させない取り組みを強化します。

10.TPP参加阻止、原発ゼロの日本の実現
 構造改革は、雇用、老後、医療、育児などのあらゆる分野で規制緩和が推し進められ不十分な管理体制で事故や手抜き工事が多発し国民の安全が脅かされています。
 TPP(環太平洋連携協定)への参加は、サービスの自由化、国内制度の規制緩和・撤廃など、日本経済だけでなく国民生活すべてにまで、市場原理を持ちこむことになります。内需に支えられている中小企業や農林水産業に打撃を与えるだけでなく、私たちの暮らし、社会に重大な影響をもたらします。
 また、首相官邸前の「原発即時停止、再稼働反対」の抗議行動が長期にわたりねばり強く続けられています。福島第一原発事故はいまだ収束しておらず、原発施設内での危険な作業もいくつもの下請けが仲介し、作業員は二重三重の賃金ピンハネの低賃金で、安全管理も不十分なまま働くことを強要されています。TPP反対、脱原発のたたかいがますます重要です。

11.地域春闘前進、職場に春闘の風を吹かせよう
 行政改革の中で、公務員の定員削減、大幅賃下げ、新規採用6割削減など横暴な政策が実行されています。公務職場では、定員削減の穴埋めに有期雇用職員を配置し、業務の民営化・民間委託が推し進められる中で、長時間過密労働による健康破壊が広がり、国民の「安全・安心」を守る公務・公共サービスを維持することが困難になっています。全厚生の職場は、国民生活を支える大切な業務ばかりです。各部門・支部が、専門性を生かし公務・公共サービスの重要性を訴え、公務員バッシングが国民サービスの低下につながっていることを明らかにしていくことが重要です。
 2013春闘は、国民の「安全・安心」を守り公務員バッシングを打ち破る運動を「地域春闘」で展開し、全労連が提起する「くらしを守る50万人総行動」(3月13・14日)に結集し、国民共同のたたかいを大きく前進させていきます。

基本方針
 1.国民春闘に結集し、法改悪反対、社会保障の充実にむけて広範な国民と連帯していきます。
 2.「地域春闘」で多数派を形成し、公務員攻撃を打ち破る運動を進めます。
 3.不当解雇撤回、早期職場復帰を目指し全力を挙げます。
 4.非常勤・有期雇用職員の雇用確保と労働条件改善の取り組みを強化します。
 5.要求確立、労働条件改善を取り組み組織強化・拡大を前進させます。
 6.組合員が主人公の文化・レクの取り組みをすすめ、積極的に部門・支部間の交流をします。


[2]不当解雇撤回の取り組み

 不当解雇から3年が経過し、4年目となりました。昨年12月26日、に社保庁職員の分限免職処分取り消しを求める人事院公平審理の最終口頭審理が開かれ、解雇された当事者11人と弁護団14人がそれぞれ最終陳述を行いました。
 11月2日には、社保庁職員の不当解雇撤回、雇用確保をめざす「11・2中央総決起集会」を開催し600人を超える仲間が結集し、闘争団が力強い決意表明をしました。また、合唱構成「とどけよう!39人のこえ」で仕事のやりがいと誇り、理由もなく突然解雇されたことへの怒り、解雇撤回への決意をこめた4つの歌「働きたいのに」「お父さんの背中」「笑顔の意味は」「はな」が好評で、公演依頼が来るなど運動も大きく広がっています。
 政府・厚労省は無責任な首切りを行いました。判定にあたっては、人事院の存在意義が問われます。分限免職取り消しの年度内判定を勝ち取るために、署名・宣伝・行動で全国に訴えていくことが重要です。
 (1)北久保和夫さんの権利と雇用の回復を求める厚生労働大臣あてハガキ行動と人事院あて要請署名の取り組みに全力を挙げて取り組みます。
 (2)毎月18日前後に交互に行われる人事院・厚労省前の要求行動ならびに要請行動を継続して実施します。
 (3)北海道、京都、大阪、香川の裁判闘争の傍聴支援に積極的に参加し、勝利に向けた各地裁宛の公正判決を求める署名に取り組みます。
 (4)全厚生の各部門、支部と一体となって運動をすすめることを基本とし、社保庁闘争を全国的に広げるため、宣伝行動や団体要請、学習会などの全県オルグを徹底します。
 (5)JALなど民間争議との連携強化をはかり、官民共同の運動を発展させます。


[3]職場の団結と仲間の信頼で要求前進、組織強化・拡大を!

1.経験生かし組織拡大を
 全厚生は職場要求の前進と労働条件改善のため、組織拡大を運動の大きな柱として確認しました。この間取り組んできた経験を生かし、2013春闘では各部門・支部が運動に自信をもって、要求前進、組織拡大の運動を具体化することが必要です。本部・支部の活動をしっかり伝えて行くために、支部ニュース等を定期的に発行していくことが大切です。また、駅伝大会、ゴールボール大会、花見、潮干狩りなど文化、レク活動の中で、部門・支部間の交流を深めていくことも重要です。

2.基本目標
 (1)要求前進のために組織拡大が重要な役割であることを確認し、確信にします。
 (2)次期(第77回)定期大会までに、500人の加入拡大(74回定期大会で確認した方針)を達成させるために全力を尽くします。
 (3)すべての職場で、職員の過半数を組織することをめざします。
 (4)通年的な組織強化・拡大を取り組み、かつ4〜6月を運動強化期間と位置づけ、全力を尽くします。

【本部の取り組み】
 (1)各支部オルグ(情勢報告、要求前進、組織拡大)
 (2)学習会の開催(税・社会保障一体改革 等)
 (3)国公共済会の有効活用
 (4)文化・レクの企画と部門・支部間での交流
 (5)部門別ニュースの発行
 (6)不当解雇撤回の取り組みと一体となった運動

【支部の取り組み】
 (1)これまでの取り組みを振り返る
 (2)労働組合の役割、メリット、全厚生はどんな組織か!を確認
 (3)一歩前進に向けた執行委員会での意思統一
 (4)要求書の提出・所属長交渉
 (5)職場集会の開催
 (6)労働組合説明会の開催
 (7)新規採用者歓迎会
 (8)要求アンケートの取り組み
 (9)掲示板の設置と有効活用
 (10)レクの企画(他支部合同も含めて)
 (11)支部・分会ニュースの発行

3.職場要求を基礎に労働条件改善・交渉強化
 職場の切実な要求を積み上げ、試験研究機関、社会福祉施設、社会保険の各部門別の統一要求を確立します。本部交渉を実施し、粘り強く要求前進をめざします。2013春闘の中で、大臣官房人事課長交渉、施設管理室長交渉、厚生科学課長交渉、日本年金機構本部交渉、全国健康保険協会本部交渉を実施します。また、各支部での職場要求の確立、所属長交渉、職場集会を開催します。

4.国公共済会の加入を促進させる
 国公共済会は、もうけを目的とせず、仲間同士の「助け愛」の精神で、「小さな掛金、大きな保障」を実現しています。組合員と家族の福利厚生として、現在約2万5千人が加入しており、安定的な運営がなされています。
 国公共済会では、新入組合員に「ワンコイン共済」のプレゼント(半年間)を行っています。新しく組合に加入した仲間が、プレゼント期間に給付を受けるなど、組合員の福利厚生を保障し、団結を強める力になっています。
(1)4〜6月を拡大強化期間とし、100人の拡大をめざします。
(2)すべての支部役員が国公共済に加入することをめざします。
(3)新入組合員には、必ずワンコイン共済プレゼント券を渡し、期間終了前に引き続く加入を呼びかけます。


[4]たたかいの旗印 ― 重点要求

1. 憲法違反の給与改定・臨時特例法に基づく給与減額支給措置を直ちに廃止すること。その上で、国家公務員の賃金を月額平均10、000円(行政職(一))引き上げること。
2. 公務員労働者の労働基本権を回復すること。公正・中立・民主的な公務員制度を確立すること。公務員の総人件費削減を行わないこと。「地域主権改革」による事務・権限の委譲や国の出先機関の廃止は行わないこと。
3. 民間初任給との格差を是正するため、行政職(一)一般職高卒初任給(1級5号俸)を160、000円、一般職大卒初任給(1級25号俸)を196、000円に引き上げること。
4. 55歳超職員の給与減額措置を廃止すること。また、高齢層の昇格、昇給制度の改悪など年齢による給与抑制措置などの差別を行わないこと。
5. 非常勤職員の賃金・労働条件の改善のために最大限の努力を行うこと。期間業務職員制度の運用にあたり、安定的な雇用保障に努め、安易な雇い止めを行わないこと。
6. 社会保険庁の廃止にともなう不当な分限免職処分を撤回するとともに、使用者責任を果たし、安定した雇用を確保すること。地方厚生局に当初、2年3カ月の有期雇用で採用された非常勤職員について、任期後の安定した雇用を早期に確保すること。
7. 北久保和夫さんの分限免職処分を取り消し、厚生労働事務官の身分と権利を回復すること。北久保さんの意向を踏まえ、厚生労働省の責任において、日本年金機構の正規職員とすること。
8. 日本年金機構について、国民への信頼を回復し、安定的な業務運営を行うため、正規職員を増員することで業務体制を拡充すること。
9. 日本年金機構及び全国健康保健協会職員の処遇改善を行うこと。特に非正規職員の処遇改善を行うこと。継続雇用を希望する有期雇用職員はすべて継続雇用すること。日本年金機構の有期雇用職員(准職員、特定業務契約職員、アシスタント契約職員)の更新回数の上限を撤廃すること。
10. 国立更生援護機関の組織再編にあたり、塩原視力障害センターと伊東重度障害者センターを廃止せず、存続・拡充させること。国立施設の機能の充実強化を図るとともに、施設運営に支障をきたさないよう職員の意見を十分に反映させた体制を確保すること。
11. 塩原視力障害センターで働く職員の身分・労働条件の後退を招かないよう、万全の措置をとること。人事異動については、職員の意向を尊重し最優先して対応すること。施設廃止までは利用者が不利益を被らないよう現在の学習環境並びに支援体制を維持すること。
12. 伊東重度障害者センターについて、利用者のニーズに積極的に応えるため、施設の役割・機能を正確に評価し、施設の拡充を図ること。当面、施設機能の維持及び安全確保のために医師の欠員補充を直ちに行うこと。看護師の後補充を必ず行うこと。国立障害者リハビリテーションセンター病院の医師・看護師不足を解消するなど、サービス向上、安全確保のための体制を確保すること。
13. 厚生労働省における国立試験研究機関について、憲法25条の理念を活かし、医療並びに公衆衛生の向上を図り、国民の健康と福祉を向上・発展させるために引き続き、国が責任をもって運営すること。研究所の使命を果たすために、研究現場の意向を十分考慮し、必要な要員と予算を確保すること。
14. 独立行政法人国立健康・栄養研究所と医薬基盤研究所について、国民の命と健康を守るために、国が責任をもって拡充するよう努力すること。
15. 国立医薬品食品衛生研究所の川崎市への移転計画が進行中であることを踏まえ、今後の計画について、労働組合に随時、情報を公開すること。移転までの期間、老朽化した現在の研究施設について、耐震設備などを含む必要な整備を継続して行うこと。また、移転実行時には、転居を強いられる職員のため、公務員宿舎を必要戸数確保すること。
16. 超過勤務を大幅に縮減し、不払い残業を根絶すること。本省庁職場の恒常的で異常な残業実態を改善するため、実効ある対策を講じること。疲労蓄積の防止、メンタルヘルス対策など、職員の健康と安全を確保すること。パワーハラスメントを根絶するため、職員の安全確保、職場環境整備の観点に立ち、使用者責任を果たすよう指導すること。


[5]安心、信頼できる社会保険行政の前進を

1.安心、信頼できる年金業務体制の確立を!
 全国健康保険協会が発足して5年目、日本年金機構が発足して4年が経過しようとしています。
 日本年金機構は、民営化を徹底する閣議決定に定員管理、業務運営、労働条件などすべてが拘束され、実態に合わせた職場改善の障害となっています。その上、予算削減を理由に有期雇用職員6千人の定員削減の方針を打ち出しています。また、社保庁解体の発端となった記録問題の原因、国会議員の保険料未納問題、年金保険料の流用問題などもいまだ未整理のままです。新たな記録問題を発生させないためにも、広範な国民と連携し、記録問題等の原因究明、経験ある職員の職場復帰、雇用の延長が必要です。また、協会健保が保険給付だけを行い、適用・徴収業務を年金機構にゆだねている体制も保険者としてゆがんでいます。健保、厚年一体の運営と雇用の安定で、安心、信頼できる社会保険業務体制の確立を求めていきます。

2.働く者にやさしい職場の実現を!
 職場では、有期雇用職員の雇止め、劣悪な特別休暇制度(夏季休暇の制度化、結婚・病気・ボランティア休暇等が無給)、不十分な健康診断、人間ドッグの補助無しなど、依然として労働条件が改善されていません。
 国民サービス向上には、年金機構で働くすべての労働者が安心して働ける環境がなにより大切です。年金機構で働く仲間の労働条件改善に向けて、年金機構だけでなく関係各方面にも積極的に改善要求をしていきます。

3.賃下げ撤回・退職金減額阻止、人事異動のルールの確立に向けた取り組み
 2013春闘で賃下げ撤回を求めて、協会健保・年金機構と交渉を重ねていきます。また、人事院勧告に基づいた退職金の引き下げを行わないように強く要求していきます。  協会健保は、47都道府県ごとに一か所しかないことから、広域人事異動のルール化を求める声が大きくなっています。年金機構では、広域人事異動について、意見交換を行いました。
 人事異動等に対する要求書は、職場要求を整理していきます。

4.有期雇用職員の雇用確保の取り組み
 年金機構当局は、期間満了を理由に職場実態を考慮せずにアシスタント職員を雇い止めしようとしています。職員全体の6割以上が有期雇用職員です。不安定な雇用状態は、事務処理体制の維持やモチベーションの向上に支障をきたしており、現在の人事方針や就業規則の見直しが必要です。経験を蓄積し、人材育成を重視しながら業務体制を確立することが国民への信頼回復への道であることは明らかです。
 有期雇用職員の雇用延長を求めるために、有期雇用職員を対象にした支部集会、職場集会の開催と「有期雇用職員の雇用延長を求める要請」署名を取り組みます。


[6]働きがいのある国立福祉施設の実現に向けた取り組み

1.誇りを持って働ける処遇の改善を
 全厚生は、これまで施設機能の充実や障害者に優しい施設づくりと職員の処遇改善を一体で運動してきました。政府が進める「減量・効率化施策」は、国立リハセンターを強化する一方、国立施設総体の機能・役割を縮小方向にすすめるものです。これでは利用者サービスの低下はもとより、施設運営にも支障をきたす状況です。さらに、医師や看護師の欠員補充も速やかに行われず、利用者の生命にも関わる事態も起こりかねません。塩原・伊東の廃止方針は、そこで働く施設職員の身分、労働条件等に大きく影響します。当面、塩原視力障害センター(2012年度で廃止)で働く職員の雇用確保に全力を尽くします。今後、各職員の個別の事情に応じて、取り組みを強めます。引き続き、安全で利用者サービスの充実した施設、誇りをもって仕事ができる処遇を求めて活動します。

2.障害者の権利保障及び障害者福祉を拡充させる
 政府は昨年6月20日、参議院本会議で「障害者総合支援法案」を民主・自民・公明の賛成多数で可決・成立させました。この間、障害者自立支援法違憲訴訟団と国(厚生労働省)は、「自立支援法を廃止し、応益負担も速やかに廃止。新たな総合福祉法制を創設する」で合意し、内閣府に設置された「障がい者制度改革推進会議・総合福祉部会」で議論を積み重ねてきたにもかかわらず、法案内容は、自立支援法を延命させるものでした。新法に問われた「障害者の基本的人権の保障」という権利法としての位置づけが「支援法」のままの見直しにとどまり、かつ法文上で「応益負担」が残され、応益負担廃止の根本課題は解決されていません。権利を保障する総合福祉法制定の立場で共同の取り組みを前進させなければなりません。引き続き、障害者の権利保障及び障害者福祉の拡充を求め、障全協(=障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会)の取り組みに結集します。


[7]厚生科学研究を拡充させる取り組み

1.誇りと働きがいの持てる研究所の実現を!
 現在、厚生労働省(旧厚生省)の試験研究機関は、4つの国立試験研究機関(国立研)と2つの独立行政法人があります。試験研究機関は、ほとんどが独立行政法人となり、厚生労働省は他の省庁と大きく異なっています。当局は「4つの試験研究機関は、(1)政策研究所、(2)研修機関、(3)緊急時に国の責任において直接実施すべき健康危機管理を担っている等の理由により、独立行政法人化されなかったもので、現在も状況の大きな変化はないと考えている。」と回答し、現行体制を維持する立場です。4つの国立研と2つの独立行政法人はともに医療や公衆衛生の向上を図り、国民の健康と福祉を向上発展させる厚生科学研究を担う研究所であることに変わりはありません。誇りと働きがいの持てる研究所・職場を作るために、予算と体制確保、研究所の民主的な運営を要求します。

2.独立行政法人に対する取り組み
 独立行政法人改革が続いています。政府は昨年1月20日、「独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針」を閣議決定。国立健康・栄養研究所及び医薬基盤研究所は統合し、研究開発型の成果目標達成法人とする方針でした。その具体化である「独立行政法人通則法の一部改正法案」は昨年廃案となりました。政権交代後の安倍政権の下で、独法政策にいかなる修正が加えられるかは明らかではありません。創薬支援の体制では、「医療イノベーション5か年戦略(医療イノベーション会議・2012・6・6)」で「オールジャパンでの創薬支援体制として、医薬基盤研究所が中心となる創薬支援ネットワークを構築する」方針も見定めが必要です。
 独法の制度及び組織の見直しについては、国民の命と健康を守るために、国が責任をもって拡充するよう努力することを要求し、国会対応を強めます。統合方針について、ビジョンや目的を明確にさせ、労働組合に情報を公開し、職員・労働組合との合意形成に努め、一方的に作業をすすめないように努力します。

3.厚研連の活動を強化し、要求前進をめざす
 全厚生は、試験研究機関の運動に対し、厚研連(全厚生試験研究機関支部連絡協議会)の活動を軸にして、各機関・職場の状況や課題を交流し、要求を練り上げ厚生科学課長交渉を準備してきました。春闘の中で、厚研連での情報交換、交流、要求・政策論議を重視して運動を進めます。また、厚研連交流集会を行うための準備を始めます。こうした活動を進めるために、厚研連事務局会議を行い、厚研連の活動強化を図ります。


[8]憲法擁護、平和を守る取り組み

 安倍政権は、国会での多数議席を背景に、集団的自衛権の行使にむけた解釈改憲と、憲法96条が定めた憲法改定の発議要件の緩和をねらい、憲法9条改定を推し進めています。
 日本国民の平和を願う声を無視して、改憲の道を日本が進めば、国内だけではなく、アジア諸国民の強い不信と批判を呼び起こすことになります。憲法第9条は、アジアと世界に甚大な被害をあたえた侵略戦争の反省を踏まえ、日本が二度と再び侵略国とならず、世界平和のための先駆的役割を果たすという「国際公約」です。これを投げ捨てることは、日本の国際的信頼を失うことです。
 さらに、安倍首相は、過去の侵略と植民地支配の誤りを認めた「村山談話」を見直し「安倍談話」に置き換え、日本軍「慰安婦」問題について軍の関与と強制を認めた「河野談話」を見直すことを公言しています。過去の侵略戦争と植民地支配を美化しようとするのであれば、日本はアジアと世界で生きていく政治的・道義的地位を失うことになります。
 憲法改悪のあらゆる企てに厳しく反対し、憲法9条を守り生かす国民的運動の新たな発展が必要です。「9条の会」をはじめとする草の根の運動と積極的に連帯していきます。
 また、政府は、米国からオスプレイを導入する方針を固めようとしています。オスプレイは米軍が世界で戦争する力を強めるために開発した新型輸送機で、「日本防衛」とはまったく無縁であり、墜落事故が多発している危険な欠陥機です。沖縄県民は米軍普天間基地への配備強行に島をあげて反対し、配備撤回を求めています。日本と世界の平和を守る上でもオスプレイ反対・基地撤去のたたかいは重要です。国民大集会、3・1ビキニデーをはじめとした、安保廃棄・基地撤去の平和の取り組みに積極的に参加します。5・3憲法集会、2013年国民平和大行進、2013年原水爆禁止世界大会の成功に向けた取り組みを進めます。



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