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◆号外 (2012年1月25日付)◆
2012春闘方針(案)
全厚生第53回中央委員会議案

[1]国民春闘で前進を

 労働組合の出番です。人間らしく生き、働くために、この課題を真正面に据えてたたかう組織は、労働組合以外にないからです。全厚生は、人間の尊厳をかけて、働く権利を守るために、たたかいます。すべての支部は、決意を新たに、2012年春闘をたたかいます。

1.この国のあり方が問われている

 長年にわたる構造改革によって、雇用破壊、貧困と格差の拡大は、深刻です。東日本大震災及び原発事故の未曾有の被害に対する復旧・復興は、最優先課題であり、政治・社会のあり方の根本が問われています。
 今こそ、憲法25条の生存権保障や基本的人権を基礎に据え、人間らしく生き、働くことのできる社会をめざし、国民的な共同を広げていく絶好の機会です。輝く未来を展望して、たたかう ―― これが、2012年春闘です。

2.不当解雇撤回で勝利めざす春闘

 労働者の雇用と権利を守る‐春闘の最重要の課題です。旧社会保険庁職員の不当解雇撤回闘争は、3年目を迎えます。人事院闘争は、口頭審理の総仕上げの段階に入ります。京都に続き、北海道、大阪、香川での裁判で口頭弁論がスタートしました。不当解雇撤回を勝ち取る年にする決意を固め、全力で奮闘します。日本航空(JAL)不当解雇撤回闘争原告団とともに、乱暴な解雇を許さない共同を大きく広げてたたかいます。

3.国民本位の行政を確立するために全力を尽くす

 公務労働運動のあり方をめぐり、重要局面にあります。公務員制度改革関連法案が継続審議になっているからです。労働基本権問題では、争議権回復が先送りされています。政府は、基本的人権としての労働基本権回復の立場に立っていません。公務員賃金削減法案を阻止するたたかいは、通常国会で最大の山場を迎えます。労働基本権の全面回復を求め、かつ国民本位の行政確立をめざし全力を尽くすことが極めて重要です。

4.社会保障を再建・拡充させる展望を持ち、たたかう

 政府は今、「社会保障・税の一体改革」を推進しています。その内容は、社会保障を切り捨てる一方で、消費税の大増税を企んでいます。「2010年代半ばまでに、消費税率を段階的に10%に引き上げる」ものです。社会保障の各分野(医療・介護・年金・子育て、生活保護)は、国民負担増とサービス切り下げが検討されています。政府・民主党は1月6日、「社会保障・税一体改革」素案を決定。「消費税率を2014年4月に8%、15年10月に10%に引き上げるとともに、社会保障の各分野での改革計画を盛り込んでいます。これは、消費税増税と社会保障改悪の一体改悪です。
 社会保障改悪の総攻撃に対し、社会保障の再建・拡充をめざし、国民的な共同を広げることが重要です。憲法25条を活かす社会保障制度の再建は、年金、医療、介護保障、生活保護などを含む総合的な政策として練り上げ、国民・労働者の総意でつくりあげる大事業です。構えを大きく、新しい福祉国家をつくる展望を持って、意気高くたたかう春闘にしようではありませんか。

5.共同を大きく広げる春闘

 野田政権は、国民・労働者に背を向けて暴走しています。この国がどうなるか、まともな考えも、展望も示していません。2012年春闘では、日本の将来を見据えて、様々な共同の取り組みを前進させます。その主要課題は、(1)TPP(環太平洋連携協定)、(2)社会保障と税の一体改革、(3)原子力政策の根本的な見直しと「原発ゼロ」の社会めざす取り組み、(4)沖縄・普天間米軍基地問題などで、この国を左右する重大な政治課題ばかりです。2012年は、社会を良くする共同を大きく広げる年です。この国民的運動を前進させるために、全厚生もその一翼を担います。

6.仲間とともに団結して、たたかう春闘

 労働組合の原点は、「団結する」ことです。労働者がバラバラに置かれた状態では、使用者と対等の関係になれません。労働者が賃金・労働条件を良くして、安心して働き続けるためには、労働者は団結する以外にありません。改めて、職場と地域で仲間とともに「団結して、たたかう」ことに集中して取り組みます。すべての支部で、春闘を全力でたたかい、「たたかうすばらしさ」を実感しよう!

7.国民春闘として、たたかう

 労働組合の原点は、「団結する」ことです。労働者がバラバラに置かれた状態では、使用者と対等の関係になれません。労働者が賃金・労働条件を良くして、安心して働き続けるためには、労働者は団結する以外にありません。改めて、職場と地域で仲間とともに「団結して、たたかう」ことに集中して取り組みます。すべての支部で、春闘を全力でたたかい、「たたかうすばらしさ」を実感しよう 春闘は、日本独自の闘争です。その特徴は、「毎年」「春」という特定時期にたたかう方式です。職場を基礎に、統一と団結を力に、集中してたたかうことが重要です。職場の仲間と対話し、みんなの共感を得ながら、組合員を主人公にして、元気ある春闘をつくりましょう。
 国民春闘は、すべての労働者を視野にいれ、広範な国民に共通する課題である税や社会保障、平和や民主主義の課題をかかげ、たたかうことで前進してきました。2012年春闘は、国民・労働者の切実で共通した要求を高く掲げて、国民春闘としてたたかいます。

[2]職場を基礎に、要求前進を ―― 要求確立と交渉強化

1.切実な要求をかかげ、交渉し、誇りのもてる職場をつくる

 労働組合が職場の切実な要求をかかげて、使用者に迫り、使用者も真剣に応える努力をする労使関係の中から職場改善の知恵が生まれます。職場の活力も生まれます。労働組合が生活と労働条件の改善を積極的に要求し、団体交渉でその実現を迫り、「緊張感ある労使関係」をつくってこそ、誇りのもてる職場がつくれます。今年の春闘で、すべての支部で要求闘争を前進させます。

2.全支部・職場で要求確立と交渉強化を

 労働組合の基本は、要求の実現をめざすことであり、要求で団結することにあります。要求づくりは、労働組合の出発点であり、要求こそ命です。この春闘では、要求づくりの取り組みを重視し、すべての支部で要求書を提出します。要求提出後は、交渉を強化し、粘り強く執念を持って、要求実現をめざします。

3.本部交渉で要求前進をめざす

 職場の切実な要求を積み上げ、試験研究機関、社会福祉施設、社会保険の各部門別の統一要求を確立します。本部交渉を実施し、粘り強く要求前進をめざします。2012春闘の中で、(1)大臣官房人事課長交渉、(2)施設管理室長交渉、(3)厚生科学課長交渉、(4)日本年金機構本部交渉、(5)全国健康保険協会本部交渉を実施します。

4.職場環境の総点検を実施する

 改めて、春闘の時期に職場環境を総点検する取り組みを行います。
(1)職場の安全を点検します。
  1. 危険箇所の有無を点検します。
  2. 耐震検査と工事などの状況を点検します。
  3. 職場周辺の危険場所の有無を点検します。
  4. 危機管理の状況を確認します。
(2)健康増進の取り組みの点検‐具体的には、労働安全衛生委員会の設置及び活動状況を点検します。
(3)セクハラ、パワハラの点検‐具体的には、セクハラやパワハラの有無及び相談窓口の状況などを点検します。

5.全員参加型の活動を実践する

 春闘で、みんなで担い、みんなの力を束ね、その力を高め、全員参加型の活動を探求します。そのために、大切なことは、「みんなで討議し、みんなで決め、みんなで実行する」ことです。すべての支部で工夫し、実践します。

[3]組織強化・拡大の取り組み ―― みんなの力で前進させよう

1.最重要課題として全支部が取り組む

 組織強化・拡大は、労働組合の最重要課題です。全厚生の再建をめざす取り組みを開始して、1年4か月。すべての職場での対話をすすめ、歴史的かつ貴重な到達点を築いています。現在(2011年12月末)までに210人の新たな組合員を迎えました。その特徴は、本省、試験研究機関、社会福祉、社会保険の各部門で対話し、着実に組合員を迎え入れたことです。全支部で、組織強化・拡大運動に取り組みます。この運動を大きなうねりにするために全力を尽くします。

2.対話し、要求闘争と一体で取り組む

 新しい仲間の加入は、運動前進への確信につながっています。各支部は、組織拡大で様々な工夫を行っています。この間の数多くの対話を通じて、職場で声をかけられるのを待っていることも実感しました。要求実現のためには、組織拡大が決定的に重要です。大切なことは、要求実現の取り組みを通じて対話を進めることです。非常勤職員の雇用を守り、労働条件を改善させる取り組みを重視し、新しい仲間の加入めざし奮闘します。

3.目標に向かって前進させよう

(1)要求前進のために組織拡大が重要な役割であることを確信する
(2)次期(第76回)定期大会までに500人の加入拡大(74回定期大会で確認した方針)
(3)すべての職場で過半数を組織することをめざす

4.具体的な取り組み

(1)日常的に組織拡大に取り組みます。要求闘争と一体で組合加入の取り組みを推進します。
(2)すべての職員を対象にして、組合加入の呼びかけを行います。新規採用者に対して、集中して加入を呼びかけます。
(3)職場実態に合わせて、組織拡大に取りくみます。拡大運動を推進するために、組織強化・拡大推進委員会を開催し、取り組みの具体化を図ります。
(4)通年的な組織強化・拡大を取り組み、かつ4〜6月を運動強化期間と位置づけ、全力を尽くします。

5.国公共済会の加入を促進させる

 国公共済会は、仲間同士の「助け愛」の精神で、もうけを目的とせず、「小さな掛金、大きな保障」を実現しています。組合員と家族の福利厚生として、現在約2万5千人が加入しており、安定的な運営がなされています。
 国公共済会では、新入組合員に「ワンコイン共済」のプレゼント(半年間)を行っています。新しく組合に加入した仲間が、プレゼント期間に給付を受けるなど、組合員の福利厚生を保障し、団結を強める力になっています。
(1)4〜6月を拡大強化期間とし、100人の拡大をめざします。
(2)すべての支部役員が国公共済に加入することをめざします。
(3)新入組合員には、必ずワンコイン共済プレゼント券を渡し、期間終了前に引き続く加入を呼びかけます。

[4]たたかいの旗印 ―― 重点要求

 1. 労働基本権制約の代償措置としての人事院勧告を踏みにじる「給与臨時特例法案」を撤回すること。国家公務員の賃金を月額平均1万円(行政職(一))引き上げること。
 2. 公務員労働者の労働基本権を回復すること。公正・中立・民主的な公務員制度を確立すること。公務員の総人件費削減を行わないこと。行(二)職の不補充政策を撤廃すること。「地域主権改革」による事務・権限の委譲や国の出先機関の廃止は行わないこと。
 3. 非常勤職員の賃金・労働条件の改善のために最大限の努力を行うこと。期間業務職員制度の運用にあたり、安定的な雇用保障に努め、安易な雇い止めを行わないこと。
 4. 社会保険庁の廃止にともなう不当な分限免職処分を撤回するとともに、使用者責任を果たし、安定した雇用を確保すること。地方厚生局に2年3カ月の有期雇用で採用された非常勤職員について、任期後の安定した雇用を早期に確保すること。
 5. 北久保和夫さんの分限免職処分を取り消し、厚生労働事務官の身分と権利を回復すること。北久保さんの意向を踏まえ、厚生労働省の責任において、日本年金機構の正規職員とすること。
 6. 日本年金機構について、国民への信頼を回復し、安定的な業務運営を行うため、正規職員を増員することで業務体制を拡充すること。
 7. 日本年金機構及び全国健康保健協会職員の処遇改善を行うこと。特に非正規職員の処遇改善を行うこと。継続雇用を希望する有期雇用職員はすべて継続雇用すること。日本年金機構の有期雇用職員(準職員、特定業務契約職員、アシスタント契約職員)の更新回数の上限を撤廃すること。当面、2012年3月末に更新期限となるアシスタント契約職員の更新回数の延長を行うこと。
 8. 国立更生援護機関の組織再編にあたり、塩原視力障害センターと伊東重度障害者センターを廃止せず、存続・拡充させること。国立施設の機能の充実強化を図るとともに、施設運営に支障をきたさないよう職員の意見を十分に反映させた体制を確保すること。
 9. 塩原視力障害センターについて、施設廃止までは利用者が不利益を被らないよう現在の学習環境並びに支援体制を維持すること。また、職員の身分・労働条件の後退を招かないよう、万全の措置をとること。人事異動について、塩原で働く職員を最優先して対応すること。
10. 伊東重度障害者センターについて、利用者のニーズに積極的に応えるため、施設の役割・機能を性格に評価し、施設の拡充を図ること。当面、施設機能の維持及び安全確保のために医師の欠員補充を直ちに行うこと。看護師の後補充を必ず行うこと。国立障害者リハビリテーションセンター病院の医師・看護師不足を解消するなど、サービス向上、安全確保のための体制を確保すること。
11. 厚生労働省の国立試験研究機関について、憲法25条の理念を活かし、医療並びに公衆衛生の向上を図り、国民の健康と福祉を向上・発展させるために引き続き、国が責任をもって運営すること。
12. 独立行政法人国立健康・栄養研究所と医薬基盤研究所について、国民の命と健康を守るために、国が責任をもって拡充するよう努力すること。
13. 国立医薬品食品衛生研究所の府中移転計画が凍結状態にあることを踏まえ、今後の計画について、労働組合に随時、情報を公開すること。府中移転計画の見通しが立たない状態が今後も続く場合、移転計画を白紙に戻し(撤回し)、現在の所在地での立て替えを含め、今後の方針を早期に決定すること。
14. 超過勤務を大幅に縮減し、不払い残業を根絶すること。本省庁職場の恒常的で異常な残業実態を改善するため、実効ある対策を講じること。疲労蓄積の防止、メンタルヘルス対策など、職員の健康と安全を確保すること。パワーハラスメントを根絶するため、職員の安全確保、職場環境整備の観点に立ち、使用者責任を果たすよう指導すること。

[5]不当解雇撤回の闘いで勝利をめざす

 旧社会保険庁職員の不当解雇撤回闘争は、全厚生の最重要課題です。今日まで、39人の当事者を主人公にして、全厚生を丸ごと闘争団として、元気にたたかっています。

1.人事院・口頭審理の総仕上げ

 人事院闘争は、昨年2月から9月まで、公開での口頭審理を全国10都道府県・15事案(39人)で展開し、道理なき不当解雇がいかに行われたのか、勇気をもって歴史の真実を明らかにしてきました。いよいよ、総仕上げの段階を迎えています。人事院は、厚生労働省幹部の証人尋問を2月27・28日に人事院本院で行うことを職権で決めました。重要な山場の取り組みになります。年度内にも予想される人事院判定まで、全国弁護団と一体で取り組みます。

2.裁判闘争で、たたかう

 2010年7月に京都地裁に提訴した京都の当事者15名に続いて、昨年の12月15日には、北海道、大阪、香川の4名がそれぞれの地裁に提訴しました。京都の裁判は大阪地裁に移送され、1月11日に口頭弁論が始まりました。今後、各地で開かれる裁判を多くの傍聴者で包囲し、不当・違法な解雇の実態を多くの国民に伝え、支援の輪をさらに広げてたたかいます。

3.共同を広げて、たたかう

 この間、全労連の対策会議が設置され、JAL不当解雇撤回闘争とともに労働運動の中心課題に据えられました。また、地方でも闘争団を支える組織が結成され、中央の支える会の拡大と合わせて中央・地方でのたたかいが着実に前進しています。一方、当事者や全厚生組織の無いところでも、支援の輪を広げるように努力します。

4.北久保和夫さんの職場復帰を

 無許可専従にかかる懲戒処分では、北久保和夫さんの処分が人事院で昨年9月に取り消されました。北久保さんの年金機構への復帰にむけ、運動を強めます。また、川口博之さんの控訴審、中本邦彦さんの大阪地裁の裁判も積極的に取り組みます。

5.不当解雇撤回めざす取り組み

(1)人事院闘争の総仕上げに向けて、全国弁護団と一体で全力で奮闘します。2月27・28日の人事院本院での口頭審理に全力で取り組み、傍聴行動を成功させます。
(2)人事院総裁宛署名など現在取り組んでいる署名をさらに広げて取り組みます。
(3)全労連・国公労連に結集し、毎月18日の厚労省前・人事院前要求行動などに全力で結集します。
(4)「支える会」の拡大をはかり、運動を広げます。(現在、439団体、3108人)
(5)4府県の裁判の勝利に向け、署名・傍聴行動などに取り組みます。
(6)人事課長交渉をはじめ、あらゆる交渉で不当解雇撤回を迫ります。
(7)中央・地方での宣伝等を強化し、不当解雇撤回に向けた取り組みを全厚生闘争団全体の力・位置づけで進めます。

[6]国立福祉施設の組織再編・統廃合に対する取り組み

1.全力で基本要求の実現めざす

 厚生労働省は、国立福祉施設の組織再編の中で2012年度末で塩原視力障害センター、2013年度末で伊東重度障害者センターを廃止(2014年度末に延期)、それぞれ国立障害者リハビリテーションセンターに統合作業をすすめています。全厚生は、(1)塩原視力障害センターと伊東重度障害者センターを廃止せず存続・拡充させること、(2)国立施設の機能強化を図るとともに、施設運営に支障をきたさないよう、障害者並びに職員の意見を反映させた体制を確保すること、(3)職員の身分・労働条件の後退を招かないよう万全の措置を取ることを求めています。障害者の権利保障及び障害者福祉の拡充の立場で引き続き、全力を尽くします。

2.誇りと働きがいのある職場をつくる

 これまで、施設機能の充実や障害者に優しい施設づくりと職員の処遇改善を一体で運動してきました。政府が進める「減量・効率化施策」は、国立リハセンターを強化する一方、国立施設総体の機能・役割を縮小方向にすすめるものです。これでは利用者サービスの低下はもとより、施設運営にも支障をきたす状況です。さらに、医師や看護師の欠員補充も速やかに行われず、利用者の生命にも関わる事態も起こりかねません。塩原・伊東の廃止方針は、そこで働く施設職員の身分、労働条件等に大きく影響します。今後、各職員の個別の事情に応じて、取り組みを強めます。職員の処遇改善は、粘り強く要求して、具体的な成果も生まれています。引き続き、安全で過ごしやすい施設、誇りをもって仕事ができる処遇を求めて活動します。

3.存続発展を求める会の運動を前進させる

 厚社連が提唱し、立ち上げた「国立福祉施設の存続発展を求める会」の運動は、伊東・塩原支部の奮闘を軸に国立福祉施設の拡充・強化を求める大きな共同をつくりました。177国会に提出した「塩原視力障害センターと伊東重度障害者センターの存続を求める国会請願署名」は6万筆に到達し、熱い思いが結実しました。27人(衆18、参8)の紹介議員の賛同を得て採択をめざしましたが、残念ながら「審議未了」となりました。要求の正当性に確信をもち、運動の成果を今春闘につなぐことが必要です。仲間を増やし、障害者団体を含め地域での共同の取り組みをすすめます。求める会の体制整備と今後の運動を検討します。

4.障害者の権利保障及び障害者福祉を拡充させる

 廃止が決定した障害者自立支援法に代わる障害者総合福祉法(仮称)の制定にむけて、政府は、「障がい者制度改革推進会議」を設置し、当事者参画の下ですすめています。ここでの議論が「障害者権利条約」の批准に向けた国内法の総見直しとなる点でも重要な意義をもっています。法整備の具体化にむけて、障害者の権利保障及び障害者福祉の拡充の立場ですすめることを求め、障全協(=障害者の生活と権利を守る医全国連絡協議会)の取り組みに結集します。

[7]厚生科学研究を拡充させる取り組み

1.政府の科学技術政策の動向

 政府は8月19日、第4期科学技術基本計画を閣議決定しました。この基本計画は、今後5年間の科学技術政策です。特に、「科学技術とイノベーションを一体的に推進することにより、様々な価値創造をもたらすための新たな戦略と仕組みを構築するもの」と位置づけ、科学技術の重要性が際だって強調されています。
 今、戦後最大の大災害をもたらした東日本大震災からの復旧・復興への対策は急務です。公衆衛生、厚生科学研究の分野の使命は極めて重大であり、その役割発揮が求められています。

2.厚生科学研究の拡充をめざす

 現在、厚生労働省の試験研究機関は、4つの国立試験研究機関(国立研)と2つの独立行政法人があります。試験研究機関は、ほとんどが独立行政法人となり、厚生労働省は他の省庁と大きく異なっています。当局は「4つの試験研究機関は、(1)政策研究所、(2)研修機関、(3)緊急時に国の責任おいて直接実施すべき健康危機管理を担っている等の理由により、独立行政法人化されなかったもので、現在も状況の大きな変化はないと考えている。」と回答し、現行体制を維持する立場です。4つの国立研と2つの独立行政法人はともに医療や公衆衛生の向上を図り、国民の健康と福祉を向上発展させる厚生科学研究を担う研究所であることに変わりはありません。誇りと働きがいの持てる研究所・職場を作るために、予算と体制確保、研究所の民主的な運営を要求します。

3.独立行政法人に対する取り組み

 政府の行政刷新会議は1月19日、独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針を決定。翌20日に閣議決定しました。その内容は、(1)独法を2つに分類(成果目標達成法人と行政執行執行法人)、(2)現行102法人を65法人に縮減(廃止7、民営化等7、統合35法人→12法人)、(3)国立健康・栄養研究所と医薬基盤研究所は統合し、研究開発型の成果目標達成法人とするものです。通常国会で改革法案の審議が行われます。改めて、国民の健康と福祉を向上・発展させる厚生科学研究をめざす立場で国会対応を強めます。
 さらに医薬基盤研究所では、裁量労働制の導入後の実態把握に基づいて、基本要求の確立が求められています。非正規職員の労働条件改善、雇い止め問題、研究所の民主的な運営をめざす課題も重要です。また、パワーハラスメントに対する対策を強めます。

4.厚研連の活動を強化し、要求前進をめざす

 全厚生は、試験研究機関の運動に対し、厚研連(全厚生試験研究機関支部連絡協議会)の活動を軸にして、各機関・職場の状況や課題を交流し、要求を練り上げ厚生科学課長交渉を準備してきました。春闘の中で、厚研連での情報交換、交流、要求・政策論議を重視して運動を進めます。また、厚研連交流集会を行うための準備を始めます。こうした活動を進めるために、厚研連事務局会議を行い、厚研連の活動強化を図ります。

[8]国民本位の公務労働の確立をめざす取り組み

1.国民本位の公務労働の確立をめざす

 公務労働のあり方の根本が問われています。構造改革で、公務・公共部門の解体が乱暴にすすめられているからです。何のため、誰のための公務労働かを問い、公務の民営化路線に反撃することが必要です。2012春闘は、国民との対話をすすめ、公務労働への理解を深める絶好の機会です。公務労働の専門性と基本的な労働条件確保は、一体不可欠の関係です。公務(行政)体制を確立・拡充するために、全労連公務部会、国公労連の運動に結集します。

2.賃下げ法案阻止のたたかい

 国家公務員給与削減法案(国家公務員の給与の臨時特例に関する法律案)は、通常国会の冒頭から激しい政治的な対決を迎えます。賃下げ法案阻止のため、国公労連が提起する座り込み行動、国会議員要請行動、街頭宣伝等の取り組みに全力で結集します。賃下げ法案が強行された場合、国公労連の方針にそって、国を相手に提訴し、憲法判断を求めます。全厚生も原告団を組織して裁判闘争をたたかう準備をすすめます。

3.独立行政法人に対する取り組み

 政府の行政刷新会議は1月19日、独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針を決定。翌20日に閣議決定しました。その内容は、(1)独法を2つに分類(成果目標達成法人と行政執行執行法人)、(2)現行102法人を65法人に縮減(廃止7、民営化等7、統合35法人→12法人)、(3)国立健康・栄養研究所と医薬基盤研究所は統合し、研究開発型の成果目標達成法人とするものです。通常国会で改革法案の審議が行われます。改めて、国民の健康と福祉を向上・発展させる厚生科学研究をめざす立場で国会対応を強めます。

3.労働基本権回復、民主的な公務員制度確立めざす取り組み

 国家公務員制度改革関連4法案は、公務のあり方を大きく変え、かつ重大な問題点を持っています。労働基本権回復では、争議権の回復を先送りし、基本的人権としての労働基本権回復の立場に立っていません。国家公務員法改正法案の内容では、人事行政の公正・中立性の確保が損なわれる危険性があります。今日まで、自民・公明両党の強い反対で趣旨説明さえ行われていません。通常国会では審議入りも予想されます。法案の抜本的修正を求め、政府、国会に向けた取り組みを強化します。職場から権利意識を高めるための学習活動を強化します。

4.地域主権改革に対する取り組み

 「地域主権改革」の「国の出先機関の原則廃止」が重要局面を迎えています。「アクション・プラン〜地方出先機関の原則廃止に向けて〜」(2010年12月閣議決定)では、2012年3月の閣議決定、5月の法案提出という政府方針は変わりません。地域主権改革は、道州制の導入と軌を一にしています。小さな政府をめざすもので、国の責任と役割の放棄につながりかねません。憲法をくらしと行政にいかす「21世紀国公大運動」の取り組みを軸にして、国民の理解と共感を広げるために奮闘します。

5.権利をめぐる裁判闘争をたたかう

 公務員労働者の権利にかかわる裁判闘争を全力でたたかいます。具体的には、(1)全医労不利益雇い止め是正裁判で勝利をめざします。(2)国家公務員法違反で起訴された2つに弾圧事件(国公法弾圧堀越事件、世田谷国公法弾圧事件)は、日本国憲法と国際人権規約が保障する結社の自由、言論・表現の自由を侵害する政治弾圧であり、許せません。裁判を支援し、勝利をめざしたたかいます。

[9]憲法9条と25条を活かし、社会を良くする取り組みを

 日本国憲法の9条・25条は、世界に誇れる条文です。この条文を活かし、社会を良くする取り組みを前進させます。

1.平和と核兵器廃絶、「原発ゼロ」をめざす

 戦争のない平和な世界をめざし、軍事同盟や米軍基地に反対する運動も国内外で広がっています。広島・長崎の被爆から66年余を経た今も世界で2万発以上の核兵器が蓄積・配備されている下で、核兵器廃絶の実現をこれ以上遅らせてはなりません。唯一の被爆国であり、憲法9条を持つ日本は、被爆の実相を世界に伝え、平和、核兵器廃絶の国際的努力の先頭に立つべき崇高な役割と責任を負っています。9条の会、国民集会、中央集会など、全労連・国公労連が提起する諸行動に引き続き積極的に参加します。
 3・1ビキニデー行動、5・3憲法集会、2012年国民平和大行進・2012年原水爆禁止世界大会の成功に向けた取り組みを進めます。福島原発事故の当事国として、原発依存のエネルギー政策から脱却するために、真剣に考え、学び、「原発ゼロ」をめざす広範な行動等に結集します。

2.社会保障の再建めざす共同を

 政府は、社会保障と税の一体改革を推し進めています。同時に、社会保障の給付を個人単位で削減するため、国民一人ひとりに新たな個人番号を付けて、税金の徴収や社会保障分野で利用する「共通番号制度」を導入しようとしています。社会保障と税の一体改革の本質は、社会保障の公費をすべて消費税に置き換える国民犠牲の改革です。憲法第25条を活かす社会保障の再生・拡充は、国民の願いです。大震災の復興でも生存権保障、社会保障の拡充が求められています。社会保障構造改革の問題点を国民的に明らかにし、社会保障を拡充させる国民的な運動に結集します。現在8都道府県で結成されている「安心年金つくろう会」(=国の責任で安心して暮らせる年金制度をつくる連絡会)のすべての県での結成をめざし、共同した取り組みを強めます。

3.社会保障講師団の活動をすすめる

 社会保障の基本理念である憲法25条を活かし、国民本位の医療・年金・福祉制度など社会保障制度の確立をめざし、広範な国民と共に取り組みを強めます。社会保険庁の解体・民営化の本質を明らかにして、公的年金制度の確立の課題を示します。全額国庫負担の最低保障年金制度を学習し、確立に向けた運動に取り組みます。社会保障講師団として、国の責任放棄・縮小につながる社会保障の改悪に反対し、社会保障の学習や闘争に積極的に寄与する活動をすすめます。

4.労働者・国民の願いに応える社会をめざす

 政治の行方は、私たちの暮らしに直結します。雇用破壊をやめさせ、社会保障を充実させるには、政治の中身をかえることです。全厚生は、憲法が保障する国民の政党支持、政治活動の自由を守り、職場でも地域でも家庭でも、政治を語ります。国民・労働者の切実な願いや要求が届き、民主主義を大切にした政治を実現させるために奮闘します。



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