◆号外 (2011年8月30日付)◆
全厚生新聞・第75回定期大会
2011年運動方針(案)
目次

[1]全厚生運動のこの1年間、新たなたたかい
   の到達点…………………………………………………1

[2]情勢の特徴と基本の構え………………………………1

[3]たたかいの旗印(基本要求)…………………………2

[4]組織強化・拡大を前進させよう………………………2

[5]誇りを持って生きいきと働ける職場をつくろう……3

[6]不当解雇撤回のたたかいを前進させよう……………4

[7]民主的な公務員制度の確立、公務労働者の
   権利と労働条件の確立をめざす………………………4

[8]国民が求める社会保障の確立をめざす………………5

[9]国立福祉施設の組織再編・統廃合に対する
   取り組み…………………………………………………5

[10]厚生科学研究を拡充させる取り組み…………………6

[11]平和・憲法・社会保障のたたかいを前進させよう…7

 ◆社会保険支部協議会運動方針(案)……………………7

[1]全厚生運動のこの1年間、新たなたたかいの到達点

 全厚生はこの1年間、労働者の誇りと希望をもって、組織の総力をあげてたたかってきました。構造改革が社会保障の各分野を直撃し、社会保険庁の解体・民営化を強行する中、その渦中で耐え抜き、全厚生の基礎組織を守り、かつ本部機能を確実に維持してきました。この到達点から新たに出発し、不当解雇撤回闘争に全力をあげ、各分野でのたたかいをすすめ、特に組織強化・拡大に全力をあげて取り組んできました。全厚生の再生をめざしたこの1年間の挑戦、到達点を明らかにします。

1.構造改革の最先端で、道理ある要求でたたかう

 構造改革は、雇用と暮らし、社会保障、地域社会をターゲットにし、厚生労働行政、社会保障を直撃し、各制度の改悪をすすめてきました。厚生労働行政の担い手である全厚生のめざす課題は、構造改革の最先端の攻撃に立ち向かう課題ばかりです。社保庁職員の不当解雇撤回、日本年金機構や協会けんぽの体制強化の課題は、公務の民営化や社会保障解体に対決して取り組む課題です。国立福祉施設の存続・発展の課題や、厚生科学研究の役割発揮を求める課題は、憲法25条が活きる厚生労働行政を確立する課題と一体です。全厚生はこの間、「何のため、誰のため」に厚生労働行政があるかを真剣に問い続け、国民の願いに応える厚生労働行政の確立をめざしてたたかってきました。憲法25条を活かす道理ある要求を掲げて、たたかい抜いてきました。

2.不当解雇撤回闘争で、組織の総力をあげてたたかう

 旧社会保険庁職員の不当解雇撤回闘争は、全厚生の最重要課題として、全力でたたかってきました。国家公務員の大量解雇は歴史上も例がありません。今日まで、39人の当事者を主人公にして、全厚生を丸ごと闘争団として、元気にたたかっています。全国10都道府県・15事案での人事院口頭審理は、2月から8月まで行われ、全厚生側と厚労省側が対面し、証人尋問を通じて、解雇の実態を立証してきました。改めて、政府・厚労省の分限免職回避努力が責任と自覚を持って行われていない事実が浮き彫りになりました。こうした事実を明らかにした全国弁護団との共同作業は、貴重な経験です。また、この間、乱暴な解雇は許さない共同の取り組みを前進させたことは、重要な教訓です、特に、日本航空の不当解雇撤回裁判の原告団の仲間とともに、激励し合い、共同でたたかった取り組みは重要です。各県では、県の共同・共闘などの様々な取り組みを展開してきました。人事院に対する公平審査請求の大詰めの段階を迎え、不当解雇を撤回させる共同をさらに広げ、組織の総力をあげてたたかうことが重要です。

3.組織強化・拡大での貴重な成果、教訓

 組織拡大は、全厚生の最も重要な課題です。社会保険庁改革を始め、厚生労働行政の解体攻撃の中で生じた組織的な後退に歯止めをかけ、組織を維持し、前進させるたたかいを開始して1年、歴史的かつ貴重な成果をあげることができました。それは、昨年の定期大会から150人(8月末日現在)の仲間が加入したことです。組織拡大の特徴は、本省、試験研究機関、社会福祉、社会保険の各部門で対話を始め、一歩、二歩と足を踏み出したことです。支部では、組織拡大をすすめる様々な工夫が行われ、かつ、新しい仲間の加入は、運動前進への確信につながっています。数多くの対話を通じて、職場で声をかけられるのを待っていることも良く分かりました。また、職場活動を活発にしていく方向性も見えてきました。改めて、各部門、支部の機関会議で、これまでの取り組みを総括し、活動を継続・発展させることが重要です。

4.みんなで担う活動スタイルの探求

 正念場のたたかいを開始して1年。あらゆる分野の活動スタイル見直し、みんなで担い、みんなの力を束ね、その力を高め、全員参加型の活動にかえていく取り組みを開始したことは新しい挑戦です。職場を基礎に、統一と団結の力で、切実な要求実現に向かって、取り組みを一歩一歩着実に前進させてきました。この発想の根本には、本部書記局体制が2人体制(専従役員1、書記1)を余儀なくされ、改めて組合員が主人公の立場を鮮明にして、「みんなで担い、できるところから、たたかいを始めよう」と意志統一したことにありました。しかし、この方向は、特別なことではなく、労働組合の本来の姿です。常にめざすべき活動の基本です。厳しい攻撃を乗り越えて、全厚生運動を強く、鍛えていく絶好の機会にしなければなりません。

5.たたかいの正念場。たたかいを継続・発展させよう

 全厚生は、厳しい攻撃にひるまず、あらゆる活動の場で希望とロマンを語り、元気一杯たたかってきました。労働組合運動を職場から建て直すために、要求実現の取り組みと一体で、組織の強化・拡大に全力をあげた1年でした。果敢に挑んだからこそ、貴重な成果・教訓が生まれました。引き続き、意気高く活動を前進させましょう。全厚生労働運動にとって、真価が問われる年になります。要求実現のたたかいに執念をもち、組織強化・拡大のうねりをつくり、不当解雇撤回を早期に勝ち取る年にしようではありませんか。志を大きく持って、共同をさらに広げてたたかおうではありませんか。旬のたたかいを担う中心組合としての自覚をもって、たたかいを継続・発展させましょう。

[2]情勢の特徴と基本の構え

1.東日本大震災後の情勢の特徴と日本の進路

 東日本大震災の発生、原発事故から6カ月が経過しました。今なお行方不明者が約5千人、死者とあわせて2万人を超え、避難者は約9万人に及びます。福島第一原発の事故は、収束の目途はいまだ立たず、大量の放射性物質が放出され、深刻な事態が続いています。この原発事故は、津波災害とともに日本国民のみならず世界中の人々に大きな衝撃を与えました。
 政府はこの間、被災者・被災地の救済と復興、原発事故に対する対策を打つどころか、国民そして被災者不在の無責任さをさらけ出しました。
 財界、電力会社、政府がつくりあげた「安全神話」は完全に崩れ原発依存社会の危険性を改めて、浮き彫りにしました。この事故は、天災ではなく、人災です。私たちは今、制御不能の放射線の脅威に直面しています。全世界の人々に恥ずかしくない解決とエネルギー対策を示さなければなりません。
 さらには、この国難に乗ずるかのように、地方分権推進を装い国の責任を放棄する「地方主権改革」法の制定、自立自助(自己責任)と互助を理念とする「社会保障と税の一体改革」構想、震災復興費を口実とした、人事院勧告制度無視の国家公務員の3年間一律給与カット法の閣議決定、最たるものは、景気対策が求められているこの時期に、消費税増税と社会保障の切り捨てを企てています。
 私たちは何をしなければならないのか。この大震災・津波、原発事故は、日本の進むべき道の対決を明確にしました。復興が最優先課題とされる中で、格差と貧困の拡大を生み出した、新自由主義・構造改革路線をより一層推進する道を選ぶのか、憲法の生存権保障に基づく、安心・安全で人間らしく生きる社会を実現する道をつくって行くのか。「震災後」の日本は大きな転換期を迎えています。

2.全厚生労働運動の歴史的使命と役割発揮

 さて、私たちが働いている職場に目を向けてみましょう。今日の情勢を踏まえ、国家公務員、独立行政法人等の職員としてどうあるべきか、行政のあるべき姿とは何かを語り、共有することが重要です。憲法25条に基づき、厚生労働省設置法では、「厚生労働省は、国民生活の保障及び向上を図り、並びに経済の発展に寄与するため、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進並びに労働条件その他の労働者の働く環境の整備及び職業の確保を図ることを任務とする」(同法第3条)と設置趣旨を謳っています。
 いま、厚生労働省は、財界の意向に沿って、社会保障の理念を否定し、歪め、自己責任論を積極的に打ち出しています。厚労省自らが、社会保障の定義において、まず第1段目は、自立自助、自己責任を基本とし、第2段目は、国民どうし互いに助け合う互助、ようやく第3段目で公助、政府が責任を持つと解説しています。社会保障は労働者の命をかけた多年の努力の末に誕生した歴史があります。こうした歴史の教訓を踏まえ、これ以上の後退を許さず、さらに拡充させるために、社会福祉、社会保障及び公衆衛生を担う専門家としての役割発揮が求められています。
 全厚生は、1946年4月20日に結成(当時は、厚生省職員組合)され、今年(2011年)、結成65周年を迎えました。全厚生は結成当初から、社会保障を守る共同のたたかいで重要な役割を担い続けています。そして、労働条件の改善と共に、厚生労働省(旧厚生省)で働く職員で組織された労働組合として、一貫して行政の民主化、社会保障を守るたたかいを重視して取り組んできました。全厚生規約第3条は「社会保障の確立のために行政の反動化に反対し、わが国の平和と民主主義の確立に寄与する」と記しています。これは、行政民主化のたたかいを積極的に位置づけている証です。全厚生運動の歴史と原点に学び、労働者としての意識を強くし、国民本位の行政をつくりあげることを決意し、その実現に向けて不断の努力を約束するものです。

[3]たたかいの旗印(基本要求)

1.国家公務員の賃金改善のために最大限努力すること。
(1)人事院勧告に基づかない国家公務員の賃金引き下げは行わないこと
(2)公務員賃金について、職員の生活と労働の実態にふさわしい水準に改善すること。特別給(ボーナス)について、年間支給月数を改善すること。
(3)55歳を超える職員の賃金抑制を中 止するとともに年齢による賃金抑制措置を行わないこと。

2.憲法で保障された基本的人権としての公務員労働者の労働基本権を回復すること。公正・中立・民主的な公務員制度を確立すること。

3.公務員の総人件費削減を行わないこと。総定員法を廃止するとともに、定員合理化計画の策定などを行わないこと。「新規採用抑制方針」の閣議決定を撤回し、要員を確保すること。行(二)職の不補充政策を撤廃すること。

4.公務における高齢期雇用(定年延長)の進展に併せ、職員が健康で意欲をもって働き続けられるよう、職場環境の整備に努めること。雇用と年金の接続をはかる観点から、定年年齢を65歳とし、段階的に引き上げること。長年培ってきた知識と経験を活かし、賃金水準の連続性を保ち、安心して働き続けられる充実した制度を確立すること。

5.社会保険庁職員の分限免職処分の撤回、雇用確保について最大限努力すること。
(1)社会保険庁の廃止にともなう不当な分限免職処分を撤回するとともに、使用者責任を果たし、安定した雇用を確保すること。
(2)被懲戒処分者の一律不採用とする閣議決定を撤回し、日本年金機構に経験と専門性ある元社会保険庁職員を正規職員として採用するよう指導すること。
(3)2年3カ月の有期雇用で採用された非常勤職員について、任期後の安定した雇用を早期に確保すること。

6.日本年金機構について、国民への信頼を回復し、安定的な業務運営を行うため、正規職員を増員することで業務体制を拡充し、欠員状態を早期に解消するよう厚生労働省として最大限の努力を行うこと。

7.日本年金機構及び全国健康保険協会職員の処遇改善を行うこと。特に非正 規職員の処遇を抜本的に改善すること。

8.国立更生援護機関の組織再編にあたり、塩原視力障害センターと伊東重度障害者センターを廃止せず、存続・拡充させること。国立施設の機能の充実強化を図るとともに、施設運営に支障をきたさないよう職員の意見を十分に反映させた体制を確保すること。

9.厚生労働省における国立試験研究機関について、憲法25条の理念を活かし、医療並びに公衆衛生の向上を図り、国民の健康と福祉を向上・発展させるために引き続き、国が責任をもって運営すること。

10.独立行政法人国立健康・栄養研究所と医薬基盤研究所について、国民の命と健康を守るために、国が責任をもって拡充するよう努力すること。独法研究所の統合について、ビジョンや目的を明確にするとともに、労働組合に情報を公開し、職員・労働組合との合意形成に努め、一方的に作業を進めないこと。

11.超過勤務を大幅に縮減し、不払い残業を根絶すること。本省庁職場の恒常的で異常な残業実態を改善するため、勤務時間管理の徹底や、超過勤務時間の上限規制を設けるなど、実効ある対策を講じること。疲労蓄積の防止、メンタルヘルス対策、パワーハラスメント対策等、職員の健康と安全を確保すること。また、震災対策に伴って、超勤対応など労働条件を確保するための充分な予算措置を行うこと。

12.非常勤職員の賃金・労働条件の改善のために最大限の努力を行うこと。非常勤職員の休暇等については、夏季休暇を始め、常勤職員と同等の制度に改善すること。期間業務職員制度の運用にあたり、安定的な雇用保障に努め、安易な雇い止めを行わないこと。

13.医療、年金、福祉、介護制度の改悪を行わず、憲法25条にもとづき、社会福祉、社会保障の拡充をはかること。

[4]組織強化・拡大を前進させよう

1.拡大をさらに前進させよう

 第74回定期大会で全厚生は、職場要求の前進と労働条件改善のため、組織拡大を運動の大きな柱として確認しました。こうした中で各支部は、(1)毎日少なくとも一人に声をかける。良かった・困った経験を集めQ&Aを作成、(2)ランチで職場の話を聞きながら加入の声をかける、(3)加入申込書に一言欄を作るなど、取り組みを工夫。4部門(本省、研究機関、福祉、社会保険)すべてで拡大、大会以降150人を超える仲間を迎えました。
 各支部の取り組みを共有するため本部は、「拡大推進ニュース」を発行。加入した仲間の組合への期待、支部役員の成果や悩みなどを集約し報告。今年2月の第52回中央委員会では、各支部から「声をかけてもらうのを待っている人が多い」「声をかけても加入しないと決めつけていたが間違いだった」「拡大することで頑張る元気が出てきた」などが報告され、職場の違いはあっても働く仲間の思いや状況は同じであることが明らかになりました。
 2011年度は、こうした経験を生かし、各部門・支部が自信をもって、運動を具体化することが必要です。本部は、部門、支部の要請に応じて本部役員を学習会等に派遣します。全厚生闘争団によるオルグも派遣します。各部門・支部では、機関会議で、前進面の評価、弱点を明確にして、これまでの取り組みを総括し新たな運動の方向を検討し、組織拡大に向けた意思統一を行います。また、取り組みの具体化は、第52回中央委員会(2011・2・5)で決定した方針(=「組織強化・拡大を前進させる基本方針」「こんなことを伝えていこう」)を基本に各支部で創意工夫をして取り組みます。

2.組織強化・拡大を前進させる基本方針

(1)目標

〈1〉要求前進のために組織拡大が重要な役割であることを確信する
〈2〉次期(第76回)定期大会までに500人の加入拡大(74回大会で確認した方針)
〈3〉すべての職場で過半数を組織することをめざす

(2)本部役員の役割

〈1〉本部役員が率先して職場で声をかける
〈2〉支部執行部の運動の中での悩み、疑問に答える
〈3〉本部役員が労働組合の役割、重要性について学習する
〈4〉各支部執行委員会で、講師となって学習会や情勢報告を行う
〈5〉本部役員それぞれが、組織拡大の具体化を追求する

(3)支部(協議会・分会)の取り組み

〈1〉支部執行委員会で組織拡大の方針を確認する
〈2〉執行委員会では、すべての支部で一歩踏み出すために、「何ができるか」を討議する
〈3〉支部の実態を踏まえた独自の取り組みを議論し、「できること」から着手する
〈4〉組合加入グッズ、掲示板を有効活用し、ポスター等を張り出す
〈5〉支部機関紙を発行、すべての機関紙を遅延なく配布する
〈6〉運動に確信を持つために執行部学習会を開催する
〈7〉新規採用職員歓迎会・レクレーションなどを開催し、加入拡大に結びつける
〈8〉役員を中心に職場の身近な人をはじめ、積極的に声をかける

3.こんなことを伝えよう

 組織拡大の取り組みを進めていくためには、様々な角度から、労働組合の役割やメリットを対象者に伝えていくことが重要です。以下のような内容を参考に声掛けを行います。また、本部として本部役員を、要求前進・組織拡大に向けた支部執行部学習会に講師派遣をします。是非、各支部とも日程を調整して、学習会を本部に要請してください。

(1)労働組合の役割とは何か

○「あなたが加入することで一歩要求前進します」と語りかけよう。
 要求実現、頼りになる労働組合を作り上げるには、職場の多くの仲間が組合に結集していくことが求められています。とりわけ、非公務員型の職場では、労働基準法が適用されるため、職場で過半数を組織することは、要求実現のためには大変重要です。
○全厚生・各支部のたたかいの歴史を学び伝えよう。
 今の労働条件が当たり前のように見えますが、労働組合の長いたたかいの中で勝ち取ってきた労働条件がたくさんあります。運動の歴史をしっかり学び、確信をもって伝えていくことが重要です。
○「労働組合があることで当局が民主的運営をしている」「管理者の横暴を押さえ込む役割を発揮している」と伝えよう。

(2)労働組合のメリットは何か

 何と言っても「団結できる」ことです。一人ではできないことも多くの仲間の力を結集して、団結することで要求が前進します。組合員の意見・要求をまとめ、労働条件改善を当局に要求することができます。
○団体交渉で職場実態を明らかにし、要求実現を求めることができます。
○労働者の代表として、労働条件、雇用期間等の疑問・不安について当局に確認することができます。
○昇任・昇格、人事異動などで、一人だけ不利益をこうむることはなく守られます。
○レクレーションも魅力です。新採歓迎、交流集会、キャンプ、スキーなどのレクレーションを通じて、多くの仲間と知り合い・語り合うなどの交流ができます。また、そこで知り合った仲間と仕事の事などで意見交換・相談ができます。
○団体取扱いになるので民間生命保険等の保険料が割引になります。
○安い掛け金で自主運営する国公共済に加入することができます。
○労働組合として労働金庫と提携しているため、様々な特典があります。
○何より大切なことは、組合行事に積極的に参加することで色々なことを体験できます。

(3)全厚生労働組合はどんな組織か

 少数でも要求実現に向けて、十分な役割発揮が可能で、頼りになる労働組合であることに確信をもって、伝えていくことが大切です。
○本省、試験研究機関、福祉施設、年金機構、協会健保など、様々な職場の仲間が結集していることを伝えていくことが大切です。
○特定政党を支持しないことも重要なポイントです。連合系の職場で働いてきた経験のある非正規職員や自治労職場では選挙に組合員を動員していました。要求や政策が一致すれば、対等の関係で協力・共同して、その実現をめざすというのが、政党と労働組合との正しい関係です。労働組合が、特定政党への支持を機関決定で押しつけることは、絶対にしてはならないことです。
○全厚生は、人事院に登録された職員団体です。当然、厚生労働大臣をはじめ、大臣官房や各局当局などと団体交渉を行い、直接訴えて要求実現をめざすことができます。厚労省に業務運営を委託された日本年金機構、協会健保においても予算措置や労働条件改善を厚労省に直接要求ができる労働組合は、全厚生だけです。

4.国公共済会の加入を促進させる

 国公共済会は、国公労連の自主共済として1991年に発足し、今年で20周年を迎えました。仲間同士の「助け愛」の精神で、もうけを目的とせず、「小さな掛金、大きな保障」を実現しています。現在加入者は約2万5千人おり、安定的な運営がなされています。
 国公共済会では、新入組合員に対し「ワンコイン共済」のプレゼント(半年間)を行っています。あたらしく組合に加入した仲間が、プレゼント券で給付を受けるなど、組合員の福利厚生を保障し、団結を強める力になっています。引き続き、組合員と家族の福利厚生として、また仲間同士の団結を強めるために、支部役員を先頭に加入促進をはかります。

[5]誇りを持って生きいきと働ける職場をつくろう

1.要求づくりと体制確立を

 全厚生は、厚生労働省との交渉で、「誇りを持って生きいきと働ける環境づくり」をすすめることを確認し、その実現をめざしてきました。一人ひとりの切実な要求の実現は、「誇りを持って生きいきと働ける環境づくり」そのものです。全厚生は、職場の意見を重視し、一人ひとりの要求をみんなの要求として実現するため、次の取り組みを積極的にすすめます。

(1)すべての職場で要求討議と要求確立をめざす

 労働組合の基本は、要求の実現をめざすことであり、要求で団結することにあります。こうした立場から、要求づくりの取り組みを重視し、次の取り組みをすすめます。
〈1〉要求アンケートの実施と職場討議
〈2〉職場(支部・分会)要求の確立と要求書の申し入れ
〈3〉所属長との交渉

(2)各部門別要求の確立をめざす

 職場の切実な要求を積み上げ、試験研究機関、社会福祉施設、社会保険の各部門別の統一した要求の確立をめざし、次の取り組みをすすめます。
〈1〉職場の要求を集約するため部門別の会議を開催
〈2〉各職場(支部・分会)での意見交換(討議)
〈3〉部門別要求の確立と交渉の申し入れ

(3)全厚生統一要求の確立をめざす

 職場の切実な要求、部門別の重点要求などを積み上げ集約し、全厚生の統一要求の確立をめざします。
〈1〉獲得目標や重点要求を明確にするため支部代表者会議を開催
〈2〉各職場(支部・分会)での意見交換(討議)
〈3〉中央委員会において確定

(4)体制確立と機関紙の発行で団結強化をめざす

 労働組合の運動の課題や要求実現の進捗や情勢について、日常的に情報を共有することは、運動の確信や団結にとって大変重要です。機関紙を中心にした活動を通じて団結強化をめざし、次の取り組みをすすめます。
〈1〉各職場(支部・分会)単位でのニュースの発行をめざします。
「全厚生新聞」の定期発行と充実をめざしつつ、各職場単位でのニュースの発行を通じて、組合員の交流と情報共有の促進をめざします。
〈2〉各職場(支部・分会)単位での体制の強化をめざします。
 ニュースの発行や配布、職場討議の実施など、職場単位での体制確立は、欠くことができない重要な課題です。職場での世話役づくりや、取り組みごとの実行委員会づくりなどを通じて、すべての職場の体制確立をめざします。

(5)労働組合役員の役割を明確にする

 労働組合の役員は、幅広い視野を持ち、みんなのために活動する役割を担っています。また同時に、職場においては仕事を通じても信頼されることが重要です。

 〈1〉本部役員の役割
 専従役員の役割と非専従役員の役割を明確にしつつ、中央執行委員会の機能を拡充します。専従役員が少ないことで、活動の困難さが生じますが、このことを理由に運動を停滞させてはなりません。非専従役員は、日常的な仕事や職場での会話を通じて様々な情報を入手することができます。また、組合員に対し、直接的に情報を伝えたり、訴えることも可能です。困難を乗り越え、優位性を生かした活動をすすめます。
 〔専従役員の役割〕
 ・各職場や本部役員からの報告を集約します。
 ・各支部や本部役員に情報や情勢を伝えます。
 ・各対応当局との折衝を行います。
 ・中央段階での共同関係の構築をすすめます。
 ・各取り組みの調整をします。
 ・各支部へのオルグをします。
 〔非専従役員の役割〕
 ・専門部の任務を担います。
 ・日常の中で得た情報を本部書記局に集中します。
 ・所属支部や分会の活動を直接援助します。
 ・職場での組織強化・拡大に努めます。
 ・各支部へのオルグをします。

 〈2〉支部役員の役割
 職場単位の要求実現や団結強化をすすめる上で、日常的なつながりを通じて、組合活動の現状や課題などを多くの仲間に広げるとともに、職場の仲間の声を集約する重要な役割を担います。職場全体の状況を把握し、その解決のための知恵を絞り、同時に職場の仲間の智恵を集めることが重要です。また、役員会議を定期的に開催し、職場の現状や政策などについて集団的に討議することが重要です。そのため、役員会の定期開催、職場ニュースの発行、情報や問題意識を共有する活動を重視します。

2.頼りになる組合をつくる

(1)青年を主人公にして、取り組む

 青年は、学び、たたかう中で成長します。厳しい情勢をはね返す取り組みの中で、青年との対話を重視します。特に、若い仲間を育てる視点をもって対話します。各支部は、若い組合員を主人公にして活動できるように援助します。青年自らで考え、創意工夫して活動できるよう、青年層の団結が強まるように先輩組合員の援助を惜しみなく行います。
〈1〉青年層に対して、学び、交流する取り組みを重視します。
〈2〉青年の要求実現のために国公労連青年協議会の取り組みに結集します。
〈3〉平和の取り組みに積極的に参加するように援助します。
〈4〉青年(対策)部とも協力し、労働組合の基礎を学ぶ学習講座を開催します。
〈5〉青年(対策)部の活動への援助を行います。
〈6〉あらゆる機会を活かし、青年を取り組みの中心になるように努力します。

(2)女性部の活動を前進させる

 女性部は、昨年10月31日に第15回総会を開催し、「集まる・しゃべる・食べる・学ぶ・行動する」をモットーに奮闘する決意を固め合いました。春闘では、「つぶやきを要求へ」と女性の要求アンケートに取り組みました。その結果をもとに重点要求に練り上げ、人事課との懇談を秋に実施します。6月18・19日には第35回全厚生女性交流集会を開催し、国衛研を訪問しました。11支部41人が参加し、雇用形態にとらわれない職場の仲間同士の団結を強める必要性が共有されました。また全労連女性部、国公労連女性協に結集し、各種行動や集会、日本母親大会やはたらく女性の中央集会などで、社会保険職員の不当解雇撤回の訴えを行うなど、積極的に活動をすすめてきました。引き続き、女性部の取り組みとして、活動をすすめます。
〈1〉働き続けられる職場をめざして、雇用形態にとらわれないすべての職員の組織化、労働条件改善へ全力を挙げます。
〈2〉女性の要求アンケートを実施し、要求書に練り上げて、当局懇談(交渉)実施で女性の要求実現をめざします。
〈3〉第36回全厚生女性交流集会を実施します。
〈4〉第16回総会を開催します。
〈5〉厚生労働省関係支部(本省・研究機関・福祉)と社会保険関係支部協議会における女性組織の確立・強化をめざします。

(3)厚生共闘に結集する

 厚生省労働組合共闘会議(厚生共闘)は、1980年12月11日に結成され、31年の歴史を刻んできました。今年度も厚生共闘が結成以来かかげてきた、社会保障闘争を軸に国民・労働者との共同の輪を広げ、幅広い共闘を発展させ、要求の前進を図ります。

(4)厚生労働省3組合の連携強化を図る

 2001年1月の厚生労働省の発足以降、3単組(全厚生・全医労・全労働)は一貫して、労働条件の改善や国民の願う厚生労働行政の確立をめざし、協力・共同の取り組みを行っています。2001年2月に本省共闘(厚生労働本省労働組合共闘会議)を結成、恒常的な残業改善の要求を中心にして、本省交渉を行っています。引き続き、3組合の連携を強化します。

(5)国公労連に結集し、要求前進をめざす

 国家公務員に対する政策は、個別省庁ではなく、政府全体でつくられます。国家公務員の要求前進のためには、国公労連(=日本国家公務員労働組合連合会)への結集が益々重要です。各支部は、県・ブロック国公への結集を強めます。

(6)組織・財政検討委員会を設置する

 昨年に続き、組織・財政検討委員会を設置します。この委員会では、全厚生の財政及び組織課題を集中的に検討します。

[6]不当解雇撤回のたたかいを前進させよう

 不当解雇撤回の闘いは、当事者を中心に、各地で開催される集会等で積極的に支援を訴えるとともに、2月から始まった人事院の公平審理を精力的に取り組み、各地で傍聴席を満席とし、理解と支援の輪を大きく広げてきました。人事院の公平審理は、8月ですべての事案が一巡しましたが、これで審理が終了したわけではなく、明らかにしなければならない課題を明確にしたところです。人事院闘争は、この秋が極めて重要です。人事院に対して早急に分限免職取り消しの判定を出させるために、申し入れや署名行動など人事院を包囲していく取り組みが決定的に重要です。いっそう運動を広げ、国民的共同に発展させるため、この間の人事院審理で明らかになったことをまず組合員の中で学習し、そして国民の中へ大いに広げる取り組みを積極的にすすめます。

(1)闘争団会議を拡充する

 JALの不当解雇撤回闘争とともに、社保庁問題も広がり始め、問題の真相を知りたいという声も広がり、より充実した内容での訴えが求められています。相互の情報交換や意見交換を充実させることは、この運動を大きく広げる上でも、お互いの確信を深める上でも重要になっています。このため、当事者を中心とした闘争団会議を拡充します。
〈1〉経験交流の機会を設けるなど、激励し合う取り組みをすすめます。
〈2〉人事院口頭審理で明らかになった問題とさらに解明すべき課題を明確にし、訴えの課題を整理し、意思統一します。

(2)オルグ団づくりをすすめる

 全厚生の重要課題として、改めて問題を明確にするとともに、さらに運動を広げるため、オルガナイザーの養成をすすめます。具体的には、試験研究機関や福祉施設の各支部の執行委員会や部門別会議に出席し、整理解雇後の生活や運動の実態を伝えるとともに、問題の真相と具体的な取り組みについて働きかけます。また、社会保険支部においても不服申立者のいない支部や協議会の執行委員会等も整理解雇後の生活や運動の実態を伝えるとともに、問題の真相と具体的な取り組みについて働きかけます。こうした取り組みを通じて、すべての支部に当事者を含むオルグ団づくりをすすめ、全国津々浦々への運動の拡大をめざします。
〈1〉当事者のいない支部をはじめ全ての支部で学習会を開催します。
〈2〉オルグ例等を作成し、オルグのポイントの意思統一をします。

(3)人事院公開口頭審理及び裁判の勝利をめざす

 広範な国民・労働者に実態を広げるために、街頭での宣伝行動を積極的にすすめます。合わせて、厚労省・人事院を始め関係機関への要請署名を積極的に取り組みます。社会保険庁解体の背景や整理解雇の問題を堂々と訴えることは、私たちの運動への理解と協力を広げるとともに、職場の仲間の確信を深めることにもつながります。内外の力を大きくするため、目に見える運動を積極的に展開します。
〈1〉中央段階での宣伝行動を積極的にすすめます。
〈2〉各都道府県における宣伝行動を積極的にすすめます。
〈3〉各都道府県の県労連や各単産、単組への支援要請をすすめます。
〈4〉人事院に対し迅速・公正な判定を求め、新たな要請署名に取り組みます。
〈5〉全厚生闘争団を支える会への団体と個人の加入を促進します。
〈6〉人事院公平審理における適正証人の尋問を要求します。
〈7〉懲戒処分の不当性を明らかにし、その取り消しを求める取り組みをすすめます。
〈8〉裁判への傍聴行動をとりくみます。

(4)不当解雇の問題点を検証する

 人事院の公開口頭審理において明らかになった事項、解明すべき課題を整理し、人事院の公正な判定を求める取り組みを進めるとともに、裁判でさらに問題を解明するため、様々な研究や検証の取り組みをすすめます。
〈1〉社会保険庁解体を雇用調整本部の対象としなかったことが、「簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律」に違反することを検証します。
〈2〉日本年金機構発足時の定員及びその後の削減計画と実態との乖離を検証します。
〈3〉日本年金機構設置を検証します。

[7]労働基本権回復、民主的な公務員制度の確立めざす

1.公務員制度改革をめぐる重大局面と取り組み

(1)公務員制度改革関連法案の問題点

 公務員制度改革関連法案の国会上程で、公務労働運動が重大局面を迎えています。政府は、6月3日に「国家公務員の労働関係に関する法律案」「国家公務員法等の一部を改正する法律案」「公務員庁設置法律案」「国家公務員法等の一部を改正する関係法律の整備等に関する法律案」の公務員制度改革関連法案を閣議決定し、国会に提出しました。
 この関連法案は、今後の公務のあり方に関わって、重大な問題点を持っています。労働基本権について、(1)争議権回復が先送りされていること、(2)刑事施設職員などに団結権を認めず、認証労働組合制度を設けるなど団結権及び団体締結権の侵害があること、(3)管理運営事項を交渉対象事項として認めないこと、(4)団体協約締結の際に「内閣の事前承認制度」を制度化したことによって団体交渉の形骸化につながりかねないこと、(5)中央労働委員会の仲裁裁定が内閣の努力義務となっており実効性がないこと、(6)職員の組合専従期間に上限を設けていること、など政府が基本的人権としての労働基本権回復の立場に立っていないことに根本的な問題があります。さらに、人事院勧告制度の廃止に伴い、労使交渉で賃金引き下げを目論む政府の思惑があることも重大です。法律公布日から1年6カ月以内に団体協約締結に向けた中央交渉が実施され、また施行日から2年以内に各省各庁との団体交渉が開始される仕組みとなっていることから、それまでの間に法律事項と政令事項の振り分け、交渉時期や協約締結までの手続きなど、問題点の改善や不明な点の整理など、精力的な取り組みが求められています。
 また、国家公務員法改正法案の内容には、人事行政の公正・中立性の確保が損なわれる危険性があります。新たに設置される「内閣人事局」による幹部人事の一元管理や、採用・研修などを使用者機関である「公務員庁」が掌握することなども看過できません。また、幹部人事の一元管理として、事務次官・局長・部長を「同一職制上の段階」と位置づけ、転任と称して事実上の「降任」を自由にしていることは、国家公務員の身分保障や成績主義にもとづく任用原則に反するなど、時の政権の意に沿わぬ職員を排除し、モノ言わぬ公務員づくりをすすめる「改革」と言わざるを得ません。第3者機関とされる「人事公正委員会」の機能と役割の不十分さも見過ごせません。

(2)取り組みの基本方向

〈1〉労働基本権を真に回復し、また、国民本位の行政を確立するために、公務員制度改革関連法案の抜本修正を求めて、国会内外で国公労連の運動に結集します。
〈2〉公務員制度関連4法案の国会審議にあたり、全労連、国公労連に結集して、国会対策に全力で取り組みます。
〈3〉人事院の廃止に伴う人事院規則等の法律や政省令等への振り分けや関連法案の矛盾点などを解明するため、政府(公務員制度改革推進本部)との交渉・協議を強めます。
〈4〉自律的労使関係制度をふくむ公務員制度改革の全体像の理解をすすめ、職場で取り組むべき課題を明らかにした職場討議資料(国公労連作成予定)を活用して、学習・討議をすすめます。

2.「賃下げ法案」廃案、公務労働者の権利確立を

(1)「賃下げ法案」及び「人事院勧告」をめぐる情勢と課題

 6月3日に国会に提出された「賃下げ法案」(国家公務員の給与の臨時特例に関する法律案)は、政府は通常国会での成立を断念し、継続審議となりました。成立を許さなかったことは、この間の全国的な運動の反映です。この到達点を踏まえ、今年の人事院勧告との関連で、闘争課題を整理します。
 人事院は、9月中・下旬の勧告を念頭に作業を進めています。その一方で「賃下げ法案」審議に先立って人事院勧告が出されます。連合・公務員連絡会は、政府と給与引き下げについて合意したことを持って、人事院に対して、給与勧告を行わないことを求めています。また、みんなの党が「国家公務員総人件費削減法案」を国会に提出する動きもあり、厳しい情勢が続いています。
 また、人事院は、高齢期雇用について、人事院勧告と同時期に「定年延長に向けた制度見直しに関する意見の申出」を行うことが想定されています。人事院は、納得できるデータや根拠も示さないまま、60歳以降の給与を50歳代後半層に比べて相当程度引き下げようとしているなど、その内容も手続きも重大な問題があるといわざるを得ません。

(2) 取り組みの基本方向

〈1〉「賃下げ法案」の廃案をめざし、夏季闘争から取り組んでいる全国の国会議員・政党要請行動、各地での街頭宣伝行動、地方自治体や経営者団体、民間組合などへの要請・賛同署名行動を継続して取り組みます。国会審議が開始された時には、国会行動を配置します。
〈2〉9月中下旬とされる人事院勧告が出されるまで、人事院に対し要求実現を全力で迫ります。人事院勧告後は、政府・総務省に要求書を提出してたたかいます。具体的な戦術等は、国公労連中央闘争委員会で協議して決定します。その方針に沿って具体化します。
〈3〉高齢期雇用・定年延長に対して、国公労連が8月8日に人事院に提出した「高齢期雇用に関する要求書」にもとづき、安心して働き続けられる制度となるよう、人事院勧告期に予定されている「意見の申出」にむけて、国公労連に結集して取り組みます。
〈4〉人事院が「意見の申出」を行って以降は、政府が法案作成作業に着手するため、政府に対して要求書を提出し交渉を行います。国家公務員の高齢期雇用制度の変更が、公務全体はもとより、民間に与える影響は大きいものがあります。「賃下げ法案」などとの闘争課題と併せて、官民共同の取り組みを追求します。

3.憲法を活かす「21世紀国公大運動」に結集する

(1)「地域主権改革」をめぐる情勢と問題点

 「地域主権改革」の「国の出先機関の原則廃止」が重要局面を迎えています。「地域主権戦略大綱」(2010年6月閣議決定)にもとづき、昨年12月に閣議決定した「アクション・プラン〜地方出先機関の原則廃止に向けて〜」は、事務・権限の委譲ありきで議論がすすめられています。国民の権利保障は全くかえりみられず、国と地方の適切な責任と役割の分担に関する議論も行われていません。「アクション・プラン」では、2014年度中に国の出先機関の事務・権限をブロック単位で委譲するとし、その体制が整うまでの間でも構造改革特区制度の活用などを含め、積極的に委譲をすすめるとしています。これらの具体化について、国の出先機関のブロック単位での委譲について、9月にも広域実施体制と人員移管などの枠組みを決定するとともに、委譲対象事務・権限の範囲の整理、移管対象出先機関決定の中間取りまとめを行い、12月に委譲対象事務・権限と移管対象出先機関も含めて閣議決定する方向などが示されています。ブロック単位での事務・権限の委譲は、経済産業局、地方整備局、地方環境事務所の3機関を先行して議論をすすめるとされていますが、13機関(都道府県労働局、地方厚生局、地方運輸局、地方農政局、北海道開発局、総合通信局、法務局、漁業調整事務所、沖縄総合事務局、森林管理局)を対象に事務・権限の丸ごと委譲が前提となっています。
 地域主権改革は、道州制の導入と軌を一にしています。小さな政府をめざすもので、全国一律に保たれていたものが、地域ごとに分断されれば格差が生じ、国の責任と役割の放棄につながりかねません。今、東日本大震災で改めて浮き彫りとなった公務・公共サービスの重要性と、国の出先機関が果たした役割を検証することが重要です。併せて、職員の雇用・身分・労働条件の根本的な改変を伴う「改革」議論に際して、(国公労連との)交渉・協議にすら応じない姿勢を正し、政府・使用者としての責任を果たさせる取り組みが求められています。

(2)取り組みの基本方向

 国民本位の行財政・司法の確立と「地域主権改革」・道州制導入をはじめ、国民・労働者犠牲の「構造改革」路線を根本から変えるために、憲法をくらしと行政にいかす「21世紀国公大運動」の取り組みを軸にして、公務・公共サービスの拡充にむけて国民の理解と共感を広げるために奮闘します。今後の取り組みは、国公労連の方針に沿って具体化します。

[8]国民が求める社会保障の確立をめざす

 私たちは、厚生行政に関わる仕事に携わることを誇りとし、公平・公正な事業運営と行政の民主化をめざしてきました。国民のための厚生行政を担うためには、「誇りある仕事」の実現は欠かせません。そのために、主体的な研究活動を発展させるとともに、広範な共同をめざします。当面、社会保険庁解体後、事業運営に矛盾が生じている「年金」を中心に広範な共同を広げ、国民が求める社会保障の確立めざす運動の発展をめざします。

(1)安心年金つくろう会の活動の先頭に立つ

 安心年金つくろう会の活動の中心的な役割を担い、急速に世論を拡大するため、引き続き全国での結成と共同の拡大をめざします。
〈1〉定期的に宣伝行動を行います。
〈2〉積極的に年金学習会等の講師活動をすすめます。
〈3〉年金制度の改善について研究活動をすすめます。

(2)年金制度改善の世論つくる

 日本年金機構が厚生労働省に提出した改善案を有効に活用し、現行制度の改善と抜本的改善、さらに被保険者や受給者が制度運営に主体的に関われるような制度改善を求めて取り組みをすすめます。
〈1〉老齢厚生年金の支給開始年齢が61歳になる前に年金制度改善の運動を大きく広げる取り組みを進めます。
〈2〉国会議員や政党に積極的に提言する取り組みを進めます。
〈3〉被保険者が積極的に参加できるような資格記録の提供等について提言します。
〈4〉制度や運営に被保険者や受給者が意見をいえる機構づくりを研究します。

(3)日本年金機構、全国健康保険協会の設置後を検証する

 社会保険庁解体後の全国健康保険協会、日本年金機構の事業運営等の実態について検証する取り組みを進めます。

(4)政策・研究活動をすすめ、国民が求める社会保障をめざす

 本省の各部局における政策立案、事業などについて提言ができるよう研究活動を強化します。そのために、各分野の様々な団体との意見交換や情報交換などの取り組みを探究します。

[9]国立福祉施設の組織再編・統廃合に対する取り組み

1.組織再編等の経過と課題・問題点

 塩原視力障害センターは2011年4月から就労移行支援(養成施設)の新規利用の停止を行いました。全厚生はこの間、国立福祉施設の組織再編及び統廃合(案)に対し、障害者の権利保障及び障害者福祉の拡充の立場にたち、障害当事者、地域住民や職員の意見や声を反映させるために、充分な協議を行い具体化することを要求。とりわけ、減量・効率化方針に基づく塩原・伊東の統廃合について一方的な具体化を行わないよう、申し入れ・交渉を重ねてきました。
 厚社連各支部では、国立福祉施設の存続と発展を求めるため、「国会請願署名」の取り組みに加え、障害当事者の声を伝えることや国立施設の必要性を訴えるため「伊東重度障害者センターの存続発展を求める手記集・第一集」(2010・10・22)、「塩原視力障害センター存続を求める手記集・第一集」(2010・11)、「光の射す方へ 視力障害センターの存続・発展のために【未定稿】福岡」(2011・2)、「別府重度障害者センター存続に関する政策書(案)」(2011・2)を作成。また、福岡支部、神戸支部では地元市議会へ請願の取り組みも行われました。
 廃止のみが強調される中、職員や利用者、地域への丁寧な説明は行われていない上、廃止する為の具体的な作業計画も示されていません。一方、国立リハでは、平成23年度運営方針重点事項を発表。対象障害に身体障害を加え、知的障害、発達障害、精神障害者に広げた上で福祉サービスの提供、先進的リハビリテーション事業の取り組み、「秩父学園の業務の改善。センター部局との事業統合」「伊東重度障害者センター。塩原視力障害センターの統合計画を策定」が盛り込まれています。定員削減が進行する中、業務量は増加し、質の高いサービス提供どころかサービスの低下が危惧されます。

2.施設運営に責任を負い、誇りをもって働ける職場をつくる

 全厚生はこれまで、施設機能の充実や障害者に優しい施設づくりを目指す取り組みと、そこで働く職員の処遇改善を一体のものとして運動を進めてきました。政府が進める「減量・効率化施策」は、国立リハセンターを強化する一方、国立施設総体の機能・役割としては縮小方向にすすめるものです。平成22年度からの「新たな定員合理化計画」では、最低69名の削減が求められ、加えて「新規採用抑制方針」閣議決定(2010・5)により、職員の一層の削減が求められています。これでは利用者サービスの低下に止まらず、施設運営にも支障をきたす状態です。さらに、医師や看護師の欠員補充も速やかに行われないことから、利用者の生命にも関わるような事態も起こりかねません。
 塩原・伊東の廃止方針は、そこで働く施設職員の身分、労働条件等に大きく影響します。管理室は、「全て異動により対応」するとして退職勧奨は行わない方針としていますが、それぞれの事情で異動が困難な者もいます。今後、各職員の個別の事情に応じて、取り組みを強めることが求められます。
 職員の削減は、通常業務に影響することはもちろん、人数の少ない宿日直勤務に象徴的に現れ、ローテーションが過密になっています。現行の宿日直勤務は勤務そのものに疑問がある中、ローテーションの軽減は緊急の課題です。そんな中、秩父学園では2011年度よりガードマンが導入され、勤務の改善が行われたことは一定の前進です。職員の処遇改善は、介護員長の3級が実現。粘り強く要求し続けてきた成果です。引き続き、安全で過ごしやすい施設、誇りをもって仕事のできる処遇を求めていきます。

3.存続発展を求める運動を前進させる

 「国立福祉施設の存続発展を求める会」は「塩原視力障害センターの存続を求める会」の運動とともに、大きな広がりをみせています。昨年秋から始めた「塩原視力障害センターと伊東重度障害者センターの存続を求める国会請願署名」は6万余筆を集約しました。紹介議員は厚生労働委員を中心に要請を行い、党派を超えて紹介議員が26名になっています。また、マスコミにも数多く取り上げられ、同会のニュースは42号まで発行(厚社連ニュースからの通算)しました。それぞれの施設の地元においても存続の声が広がり、伊東市議会、那須塩原市議会、栃木県議会において存続を求める、廃止反対の意見書が採択されています。「塩原視力障害センターと伊東重度障害者センターの存続に関する請願」は第177通常国会で衆参の厚生労働委員会に付託されました。こうした状況を踏まえ、これまでの活動を総括し、「国立福祉施設の存続発展を求める会」の活動を継続するための基本方向、会のあり方などについて、協議・検討します。

4.障害者の権利保障及び障害者福祉を拡充させる

 昨年12月3日の国会最終日に、障害者自立支援法「改正」法案(障がい者制度改革推進本部等における検討を踏まえて障害保健福祉施策を見直すまでの間において障害者等の地域生活を支援するための関係法律の整備に関する法律案)が可決されました。現在、自立支援法に替わる「総合福祉法」(仮称)作りに向けて、推進会議・総合福祉部会で議論されています。また、自立支援法の改正に連動する児童福祉法の改正と「子ども子育て新システム」(案)は、利用契約によるサービス給付・受給、応益負担などを基本原則とするもので、子どものための社会福祉制度に大きな変更を迫るものです。社会保障制度を利用契約制度とすることは障害者自立支援法の失敗からも明らかな誤りです。児童福祉法の改正は2011年4月から実施されます。秩父学園が大きく関係する法改正です。今後の動きを注視していく必要があります。
 国連の国際障害者年(1981年)から30年。国内では障害者基本法改正、自立支援法にかわる総合的な福祉法、障害者権利条約の批准の準備など、今後も制度改革の議論が続いていきます。こうした中で、社会福祉、社会保障制度の拡充をめざし、障害区別や世代、職種をこえて、これまで以上に連帯の輪を広げ、実践を通じて広く国民に訴えていくことが求められています。法整備の具体化にむけて、障害者の権利保障及び障害者福祉の拡充の立場で取り組みを検討します。

[10]厚生科学研究を拡充させる取り組み

1.試験研究機関をめぐる情勢の特徴と基本課題

 東日本大震災後の復旧・復興への対策は急務です。とりわけ、公衆衛生、厚生科学研究の分野での役割発揮が求められています。今、政府は、当面の科学技術政策の運営について、「従来の単純延長ではない新たな取組を始めなければならない」と指摘し、作成途上にあった第4期科学技術基本計画(2011〜2015年度)の再検討を8月まで行うとしています。その中では、大災害による国家的な危機を重く受け止め、科学技術が果たすべき役割を明確化するとしています。厚生労働省の試験研究機関も様々な面で対応を迫られています。
 現在、厚生労働省(旧厚生省)の試験研究機関は、4つの国立試験研究機関(国立研)と2つの独立行政法人があります。他省庁の試験研究機関の、ほとんどが独立行政法人となる中、厚生労働省だけ大きく異なっています。当局は「4つの試験研究機関は、(1)政策研究所、(2)研修機関、(3)緊急時に国の責任おいて直接実施すべき健康危機管理を担っている等の理由により、独立行政法人化されなかったもので、現在も状況の大きな変化はないと考えている。」と回答し、現行体制を維持する立場です。4つの国立研と2つの独立行政法人はともに医療や公衆衛生の向上を図り、国民の健康と福祉を向上発展させる厚生科学研究を担う研究所であることに変わりはありません。誇りと働きがいの持てる研究所・職場を作るために、予算と体制確保、研究所の民主的な運営を要求します。

2.厚研連の活動を強化し、重点課題の前進をめざす

(1)当面する重点課題

〈1〉東日本大震災への抜本的な体制強化と節電実行計画に対する課題
〈2〉国立医薬品食品衛生研究所の府中移転(今後の計画、立て替え検討)での課題
〈3〉国立保健医療科学院の研修業務体制の強化、組織再編後の課題
〈4〉国立感染症研究所の研究・業務体制及び安全性など労働条件確保の課題
〈5〉国立感染症研究所ハンセン病研究センターの運営での課題
〈6〉基礎・基盤的研究の確保に関する課題
〈7〉非常勤職員の賃金・労働条件の課題
〈8〉人事評価制度の課題
〈9〉労働環境の改善及びパワーハラスメントを防止するための対策強化

(2)厚研連の活動を強化します

 全厚生は試験研究機関の運動に対し、厚研連(全厚生試験研究機関支部連絡協議会)の活動を軸にして、各機関・職場の状況や課題を交流し、要求を練り上げ厚生科学課長交渉を準備してきました。この方針を今後も堅持し、さらに厚研連での情報交換、交流、要求・政策論議を重視して運動を進めます。特に、国立試験研究機関及び独立行政法人研究所について組織再編・移転等の情報を積極的に収集します。また、厚研連交流集会を行うための準備を始めます。こうした活動を進めるために、厚研連事務局会議を行い、厚研連の活動強化を図ります。

3.独立行政法人研究所に対する取り組み

 独立行政法人の「整理合理化計画」として、国立健康・栄養研究所と医薬基盤研究所の「統合」が閣議決定(2007・12・24)されて以来、政権交代が起き、独立行政法人の政策変更がおきる中で、政府や省内での様々な協議が行われていますが、今後の方向は未だに確定していません。「統合」に対しては厚労省自身に対し、ビジョンや目的を明確にさせることが必要です。全厚生は、この課題でも、国民の健康と福祉を向上・発展させる厚生科学研究をめざし、当該法人及び労働組合の意向を尊重して具体化・実施することを求めます。
 さらに医薬基盤研究所では、労働基準監督署の是正勧告などがあり、労働時間問題が重要な課題になっています。裁量労働制の導入については、実施後の実態把握に基づいて、基本要求を確立することが求められています。非正規職員の労働条件改善、雇い止め問題、研究所の民主的な運営をめざす課題も重要です。独立行政法人での労働組合の役割発揮と諸課題の前進的な解決をめざします。また、パワーハラスメントに対する対策を強めます。

[11]平和・憲法・社会保障のたたかいを前進させよう

1.憲法擁護、平和と核兵器廃絶をめざす

 憲法擁護、平和で安心して暮らせる社会の実現めざして、9条の会、国民集会、中央集会など、全労連・国公労連が提起する諸行動に積極的に参加してきました。とりわけ、東日本大震災の被災地へ、4支部から延べ14人が救援ボランティアに参加したことは、憲法25条の実現を求める取り組みとして重要です。
 戦争のない平和な世界をめざし、軍事同盟や米軍基地に反対する運動も国内外で広がっています。広島・長崎の被爆から66年余を経た今も世界で2万発以上の核兵器が蓄積・配備されている下で、核兵器廃絶の実現をこれ以上遅らせてはなりません。唯一の被爆国であり、平和憲法を持つ日本は、被爆の実相を世界に伝え、平和、核兵器廃絶の国際的努力の先頭に立つべき崇高な役割と責任を負っています。同時に、原発についても、ひとたび事故が起きれば、原爆と同じく放射能の被害が時間・空間を超えて広がることが明らかになりました。7月2日に開催された「原発ゼロをめざす7・2緊急行動」には、全厚生から16名が参加しました。全厚生は引き続き、平和と核兵器廃絶の取り組みを職場から発信します。全面禁止条約の交渉開始を求める新しい署名「核兵器全面禁止のアピール」を職場で取り組みます。
(1)「9条の会」全労連・国公労連が提起する国民集会・中央行動に参加します。
(2)労働学校、勤通大を宣伝、受講し、積極的に憲法の重要性を広め学びます。
(3)原水爆禁止世界大会、国民平和大行進、ビキニデー集会、日本平和大会等に参加します。
(4)署名活動、各分会での千羽鶴およびカンパ活動を積極的に取り組みます。
(5)被爆者との交流を通じて、被爆の実相を学び、原爆の惨劇を次の世代に語り継ぎます。
(6)米軍基地の強化、再編に反対します。
(7)平和学習の一環として、米軍基地ツアーなどを取り組みます。
(8)今、福島原発事故の当事国として、原発政策の全面的見通しと国民的討議が不可欠です。原発依存のエネルギー政策から脱却するために、真剣に考え、学び、「原発ゼロ」をめざす広範な行動等に結集します。

2.社会保障の拡充をめざす

 政府・与党は、社会保障を切り捨てる一方、期限を切って消費税の大増税をすすめる「社会保障と税の一体改革」を推し進めようとしています。同時に、社会保障の給付を個人単位で削減するため、国民一人ひとりに新たな個人番号を付けて、税金の徴収や社会保障分野で利用する「共通番号制度」を導入しようとしています。「社会保障と税の一体改革案」は、将来、法人実効税率の引き下げをかかげる一方、社会保障の公費をすべて消費税に置き換える方針を基本とする国民犠牲の改革です。こんな方向を許してはなりません。憲法第25条を活かす社会保障の再生・拡充は、国民の願いです。大震災の復興でも生存権保障、社会保障の拡充が求められています。社会保障構造改革の問題点を国民的に明らかにし、社会保障を拡充させる国民的な運動に結集します。現在8都道府県で結成されている「安心年金つくろう会」(=国の責任で安心して暮らせる年金制度をつくる連絡会)のすべての県での結成をめざし、共同した取り組みを強めます。

3.社会保障講師団活動を前進させる

 各支部の年金講師団活動は、この間の年金闘争の中で積極的な役割を果たしました。社会保険庁改革のねらいや内容を伝え、老後を安心して暮らせる最低保障年金制度の確立をめざす国民的な討議も呼びかけました。この活動で結びついた諸団体との関係は、貴重な財産です。社会保障を再生めざす仲間として、共同する関係に発展させなければなりません。各支部は、改めて社会保障講師団を組織します。社会保障の基本理念である憲法25条を活かし、国民本位の医療・年金・福祉制度など社会保障制度の確立めざし、広範な国民と共に取り組みを強めます。社会保険庁の解体・民営化の本質を明らかにして、公的年金制度の確立の課題を示します。社会保障講師団として、国の責任放棄・縮小につながる社会保障の改悪に反対し、社会保障学習会等の講師団活動をすすめます。全額国庫負担の最低保障年金制度を学習し、確立に向けた運動に取り組みます。

4.権利をめぐる裁判闘争で勝利をめざす

 公務をめぐる裁判闘争は、公務員の権利や公務のあり方、この国の行方に直接かかわる課題ばかりです。労働者の権利を守る裁判闘争は、大衆的な裁判闘争として、運動を広げることが勝利のカギを握ります。公務員労働者の権利にかかわる裁判闘争を全力でたたかいます。具体的には、(1)全医労不利益雇い止め是正裁判で勝利をめざします。(2)国家公務員法違反で起訴された2つの弾圧事件(国公法弾圧堀越事件、世田谷国公法弾圧事件)は、日本国憲法と国際人権規約が保障する結社の自由、言論・表現の自由を侵害する政治弾圧であり、許せません。裁判を支援し、勝利をめざしたたかいます。

5.労働者・国民の願いに応える社会をめざす

 政治の行方は、私たちの暮らしに直結します。雇用破壊をやめさせ、平和な社会、社会保障の充実をはかるには、政治の中身をかえることです。全厚生は、憲法が保障する国民の政党支持、政治活動の自由を守り、職場でも地域でも家庭でも、政治を語ります。全厚生は、国民・労働者の切実な願いや要求が届く民主主義を大切にした政治を実現させるために奮闘します。

社会保険支部協議会運動方針(案)

1.2010年度を振りかえる

 労働法制下での新たな運動を積極的に着実にすすめようと取り組みましたが、労使関係が曖昧な中で交渉も十分に行えず、労働法を実感できる取り組みはできませんでした。こうした中でも、各支部では独自に様々な工夫をして、運動をすすめてきました。
(1)機構本部支部では、有期雇用職員の署名、アンケートの実施、職場ニュースの作成、組合加入の取り組みなどを積極的にすすめ、職場と労働組合の新たな信頼関係を築いています。
(2)関東支部では、南関東ブロック本部との交渉や意見交換を行い、労働環境改善などの要求実現をめざす取り組みをすすめ、組合員加入の取り組みでも全体の取り組みをリードする役割を果たしています。
(3)東北支部は、不当解雇撤回の取り組みを中心に組合員の団結をはかり、同時に組合加入をすすめ、新しい中間の歓迎会をするなど、労働組合としての基本的な取り組みが着々とすすめられています。
(4)近畿支部は、労働学校や春闘集会、有期雇用職員の意見交流会、要求アンケート、ニュースの定期発行をめざすなど、組合員に積極的にアプローチする中で、新たな組合員を迎えてきています。
(5)中部支部は、定期的に会議を開催し、地域での共同行動などを積極的に取り組み、不当解雇撤回闘争への支援を大きく広げています。
(6)四国支部では、組合員の減少という厳しい中で、運動を維持し、不当解雇撤回のたたかいを中心に内外に運動を広げています。
(7)九州支部も組合員が減少している中でもたたかう旗をかかげ、奮闘しています。

2.職場の情勢の特徴

 日本年金機構が発足して2年目となり、機構となったことにより本質的な問題点も明らかになってきました。また、不透明な人事評価やあまりにもひどい給与表、労働条件全般に対する不満や将来不安などが高まってきています。
 年金制度の信頼は、制度の安定的運営と改善無しにはあり得ず、「信頼回復」を掲げ、職員に負担を押しつける今のありように対する改善を求める声は、機構が行った意識調査によっても明らかになっています。
 職員が安心して働ける環境、職員が誇りを持って働ける職場、このことは、安心の年金、年金制度への信頼につながることを確信し、制度改善や業務改善とともに要求実現に向けて取り組みをすすめることが重要です。

3.主な課題と目標

(1)社会保険関係職場で働く仲間の要求実現をめざす
(2)社会保険関係職場で働く仲間の働きがいと誇りを取り戻す
(3)社会保険関係各制度にかかるサービス等の向上をめざす
(4)社会保険関係各制度の拡充をめざす
(5)社会保険関係各制度を安定的に運営できる組織・機構の実現をめざす

4.要求実現めざす具体的な取り組み

(1)団体交渉で要求前進をめざす

 日本年金機構と全厚生との間で締結した基本協約を背景に、要求づくりと交渉、職場討議と職場集会など、積極的に取り組み、要求実現の運動を実感できる運動を進めます。
 私たちの要求は、「自己のため」に止まらず、安定的な事業運営、公平・公正な事業運営、窓口サービス等の拡充を確かなものとするものです。私たちの要求の実現が、国民的な要求の実現に直接繋がっていることを確信し、労使対等にたたかうことが重要です。交渉などを通じて、切実な要求の実現をめざします。全厚生本部の方針に沿って要求づくりをすすめ、次の点を重視して取り組みます。

〔分会での取り組み〕
 所長への要求提出と所長から上部機関への報告は当然行われるべき事項であることから、分会単位での次の取り組みをすすめます。
〈1〉身近な情報を提供または共有するため、分会ニュースの発行をめざします
〈2〉職場単位で要求討議をすすめます
〈3〉各分会で所属長に要求書を申入れます
〈4〉所属長との意見交換や協議を実施します
〈5〉健保協会の各分会では、支部長への申し入れ、交渉を実施します。

〔支部での取り組み〕
 支部は、分会の要求づくりや所属長への申し入れ、交渉の課題や状況を把握し、年金機構部門については、ブロック本部との交渉を行います。

〔協議会の取り組み〕
 要求アンケート結果に基づいて、要求項目を整理し、統一要求を確立します。また、春季、夏季、年末等、各時季の重点要求を各本部に申し入れ、団体交渉を行います。さらに、厚生労働省に対して、予算等にかかる重点要求を申し入れ、交渉します。(全厚生本部で実施)

(2)生活改善めざし賃金水準の引き上げをめざす

 全国健康保険協会は、発足後ベースアップが行われておらず、賃金水準は改善されていません。また、日本年金機構では、移行時に賃金の切り下げを行っており、全体に賃金水準が低く押さえられています。医療保険も年金も利潤を求める事業ではなく、公平・公正で安定した運営こそが求められています。こうした事業運営は、一定程度安定した生活水準が確保される必要があります。私たちの賃金改善要求が、被保険者・受給権者の利益にも直結することを確信して次の取り組みをすすめます。
〈1〉賃金水準の引き上げを要求します。
〈2〉契約職員の大幅な賃金改善と賞与の支給を要求します。
〈3〉休日勤務及び月45時間以上の時間外勤務の割増の増額を要求します。
〈4〉単身赴任手当の増額と遠距離通勤者への手当の新設を要求します。

(3) 健康診断等の拡充で健康で働ける職場をめざす

 社会保険庁は、一般健康診断はもちろん、オンライン機器の操作にかかるVDT検診を実施し、さらに共済組合から人間ドック受検費の補助もありました。全国健康保険協会、日本年金機構ともに健康対策が非常に貧困になっています。とりわけ、健康増進に対する使用者責任が希薄な日本年金機構においては、重要な課題になっています。当面、次の課題での取り組みをすすめます。
〈1〉健康診断の確立
〈2〉人間ドック受検の補助の実施
〈3〉メンタルヘルス対策と職場復帰プログラムの確立

(4)人事異動のルールの民主化をめざす

 全国健康保険協会及び日本年金機構は、広域人事を前提に職員を採用しています。事業運営や組織の機能の確保・向上において広域人事もやむを得ない場合がありますが、基本的に生活環境を異にする人事異動は極力少なくするべきです。同時に、可能な限りの手当をする必要があります。こうした点を重視し、次の要求実現をめざします。
〈1〉人事異動にかかる基本的なルールの確立をめざします。
〈2〉単身赴任手当の増額を求めます
〈3〉遠距離通勤手当の新設を求めます

5.制度改善をめざす

 日常的な業務を通じて、被保険者・受給権者の要求・願いを把握し、具体的な改善の方策を研究・検討することは、実務に携わっている私たちにしかできないことであるとともに、私たちに課せられた使命です。国民的要求の実現と私たちの誇りの奪回のため、次の取り組みをすすめます。

(1) 年金制度及び運営組織のあり方の研究活動をすすめる

 国民が求める年金制度のありようと改善の方向性、さらにその財政的裏付けを含む展望と国の責任を背景とした本当に責任を持てる運営組織の有り様について研究活動を強化します。

(2)医療保険のあるべき姿と改善方向の研究活動をすすめる

 後期高齢者医療制度の創設によって広域連合が設けられ、医療保険全体がこうした方向に進みかねない状況が生まれてきています。現行の「協会けんぽ」は、適用と保険料徴収という保険制度の根幹を日本年金機構に委ね、保険給付と健康促進事業及び保険料率の決定のみを全国健康保険協会が実施しています。まさに、一貫した責任体制が無いのが実態です。こうした姿は、広域連合にも通じており、国民の健康を無視して、地方自治体と国の責任回避の議論の中に巻き込まれる可能性もあります。社会保障の基本と被用者保険制度の利点を明確にし、医療保険制度のあるべき姿について研究活動を強化します。

6.労働者の資質の向上をめざす

 新規採用時の研修が充分に行われず、また、日常的に「教え、教えられる」環境にないために、以前に比べても習熟し難いのが現状です。加えて、日本年金機構では、特定業務契約職員は、研修も行われておらず、自助努力によって知識を高めるしかない状況にあります。
 本来、業務研修などは、使用者の最低限の責任ですが、年金機構においてはそうした責任が放置され、結果として被保険者・受給権者に不利益が生じかねない状況にあります。
 労働組合として、事業運営を直接行うことはできませんし、研修の責任を負うものではありません。しかし、一人一人の組合員の「知識を高めたい」「いろんな経験を聞きたい」「資質を高めたい」などの要求を実現するため、当局に研修の実施を要求するとともに、自主的に行う「勉強会」などの開催を支援します。

7.広範な国民・労働者との共同の拡大をめざす

 社会保険庁改革の名の下に私たちに仕掛けられた攻撃は、国家的攻撃であり、理不尽な解雇は国家的不当労働行為と言わなければなりません。この攻撃の背景には、年金制度の大改悪があり、この改悪に対する国民の怒りを政治から背け、同時に公務員制度改革の推進と連結させて、国民不在のまますすめられました。その結果、定員配置や業務の効率化についても、しっかりした検討のないまま日本年金機構が設立され、定員不足に加えて相次ぐ退職による欠員で、発足当初から重大な困難を抱えています。
 「社会保険庁改革(解体)」は国民の利益になったのか、国民が求めている制度改善の方向はどういった方向なのか、国民的な議論に広げることが重要です。
 引き続き、年金講師団としての活動を強化するとともに、全国各地で連鎖的に年金集会やシンポジウム、学習会などを積極的に開催し、世論喚起をめざします。また、多くの労働組合を訪問し、精力的に訴え、労働者の重要な課題として位置づけられるよう取り組みます。

8.組織の強化・拡大に取り組む

 各職場単位で、労使協定を締結したり、交渉を行う上で組合員が多いことは、決定的に重要です。正規職員、准職員、契約職員など、採用区分と処遇が多様化しています。これは、使用者が労働者を使用しやすく、職場での団結を阻害するために取られる雇用政策です。職場にいるすべての仲間の要求を実現し、団結して仕事もできるよう、組織の強化と拡大を重視し、教育宣伝活動を強めます。そのために、要求や運動の交流、業務面でのワンポイントアドバイス、組合員の交流などを満載した協議会独自のニュースを発行し、情報や認識の共有化をすすめます。

全厚生第75回定期大会
と き△2011年9月17日(土)午前10時受付 10時30分開会
          18日(日)午後3時閉会
ところ△熱海「水葉亭」
     〒413‐0002
       静岡県熱海市伊豆山190‐1
     TEL 0557‐81‐7145
     FAX 0557‐82‐2650

Back  to HOME