見出し

◆第1792号 (2017年4月15日付)◆
不当解雇、全面解決を 賃金改善、定員確保を
官房人事課長と交渉
処遇改善、雇用確保を

 全厚生は3月22日、17春闘の重点要求で大臣官房人事課長交渉を実施。交渉団は、山本委員長、今井・杉浦副委員長、川名書記長、小出・坂本・野口・藤江・山田中央執行委員が出席。人事課からは八神人事課長、山田参事官らが対応しました。
 冒頭、山本委員長が趣旨説明。春闘山場で国家公務員及び非常勤職員の統一賃金要求の実現を迫りました。併せて再任用制度の希望者全員の雇用保障での各段の努力を求めました。定員課題では各機関、各分野で現場の職員の意向を十分考慮し、定員確保の真摯な努力を求めました。
 社保庁職員の不当解雇撤回の課題では、政府・厚労省の責任で処分撤回・全面解決の最大限の努力を要求。公的年金の業務運営を安定的に行うために、厚労省がその責務を自覚し体制整備に努めることを要求。今回新たに「分限免職処分となった職員について、厚労省に直接採用し体制整備に努めること」を求めまし た。マイナンバー制度の課題では、個人番号カードのICカード身分証との一体化の準備がすすむ下で、個人番号カードの取得を強制しないことを求めました。
 これに対し、八神人事課長が一括回答。回答後は、交渉団が各課題で要求前進に向けた厚労省当局の努力を迫りました。

年金職場 経験者の採用を
任期付研究員を常勤にせよ

 任期付研究員の処遇改善の課題で野口中執は、研究所で任期付研究員が増えていると指摘。任期期間中に得た実績・経験を考慮して常勤職員へ採用する道筋を積極的に付けるよう要求しました。
 国立福祉施設の課題で今井副委員長は、介護職の専門性を高く評価して処遇改善を行うよう求め、特に夜間特殊業務手当の増額を要求。続いて小出中執は、利用者の暴力・暴言の課題で、個人対応の是非を問うのではなく組織の問題として対応するよう要望しました。
 分限免職処分の撤回の課題で山本委員長は、本人の責任なき解雇に対する重みを受け止め、誠意ある対応を求めました。
 公的年金の安定的な業務運営を行う体制整備の課題で藤江中執は、経験者で即戦力になる方の配置が重要だと指摘。分限免職処分者を厚労省に直接採用する要求を含め、「国民の要望に応える視点から厚労省の役割を発揮してほしい」と要求。
 国立健康・栄養研究所の大阪移転の課題で山田中執は、「現段階の検討案では国民の健康増進のた めに貢献してきた研究所の根本機能が損なわれてしまう」と指摘。厚生行政や栄養学研究に重要な役割を果たしてきた研究所の役割を引き続き発揮できるよう求めました。


職場に労働組合の風を
仲間を増やそう
明るく働きやすい職場を

 年度が明け、職場に新規採用者を迎える季節になりました。新しいスーツを身に纏った若者たちが、職場に爽やかな風をもたらしています。
 労働組合としては、新たな仲間をふやす絶好のチャンス。まずは、職場の新規採用者全員に声かけやパンフ配布などのアプローチをしましょう。 職場に労働組合の風を吹かせ、全厚生の存在感をしっかりと示すことが重要です。
 仲間をふやして全厚生が大きくなれば、明るく働きやすい職場が実現します。自信を持ってとりくみを進めましょう。

回答要旨 (◇要求◆回答)

◇国家公務員の賃金改善に最大限努力すること。国家公務員の賃金を月額平均20,000円(4.9%)以上(行政職(一))、非常勤職員の時給を150円以上引き上げること。
◆国家公務員の給与は、社会一般の情勢を反映した適切な水準にすべきであるとともに、公務の特殊性及び職員の生活実態等を充分に考慮し、職員が安心して職務に精励できるよう、適切な措置を講ずる必要があると認識している。人事院等関係機関に働きかける。非常勤職員の賃金は予算の制約があるが財政状況の許す範囲内で処遇改善に向けて検討する。

◇非常勤職員の処遇改善と雇用確保、任期付研究員の正規職員への採用の道を広げること。
◆休暇制度の改善は毎年度、人事院関係局長宛に要望してきた。今後も安心して公務に専念できるよう機会を捉えて要望する。期間業務職員の採用は公募が原則。勤務実績に基づき公募によらない採用を2回まで行うことができる。採用を2回された者は適正な公募・選考を経て更に採用されることは制度上否定されていない。研究所に勤務する正規研究員については、欠員状況を見ながら公募により採用している。

◇希望者全員の再任用を。生活維持にふさわしい賃金水準を。
◆増加することが見込まれる再任用職員が、安心して職務に精励できるよう、その職務・職責に応じた処遇の確保について、人事院等関係機関に働きかける。

◇定員合理化計画を撤回し大幅な増員、定員確保の真摯な努力を。
◆「定員合理化計画」が閣議決定され、5年間で10%以上を合理化するという大変厳しい目標が掲げられている。国民生活の安全・安心を確保するための施策を協力に推進していくため、査定官庁に対して業務の重要性、特殊性等を丁寧に説明し、必要な定員を確保するよう努める。

◇国立障害者リハビリテーションセンターの介護員の処遇改善。利用者の暴力・暴言に対して、安全管理体制に万全を尽くすこと。
◆介護員の業務の専門性、特殊性及び困難性は承知している。引き続き、機会を捉えて要望等を行う。利用者による故意や悪意のある暴力・暴言行為は、職員の人権を侵害する行為であり許されるものではない。現場の職員に対し、この問題に係るアンケート調査を実施したところ。この結果に基づき、現場の声を聴きながら所要の取り組みを進める。

◇政府・厚労省の責任で分限免職処分の撤回・全面解決のために最大限の努力を行うこと。ILO勧告を尊重し誠実な対応を行うこと。
◆分限免職処分の撤回は考えていない。「業務運営に関する基本計画」は、国民の公的年金業務に対する信頼を回復する観点からなされたと理解しており閣議決定の撤回は困難。ILO勧告の内容を踏まえ、適切に対応したい。

◇公的年金の業務運営について、経験と専門性ある職員を確保するために最大限努力すること。分限免職処分となった職員について、厚労省に直接採用し体制整備に努めること。受給要件10年短縮に伴う増員計画でベテラン職員を十分に活かすこと。
◆日本年金機構では「基本計画」における職員採用の基本的な考え方に基づき、職員の採用計画を策定するなどして必要な人材確保を行い、業務運営のための体制整備を行っている。機構の業務運営のための体制整備は、機構が自ら行うものであり、機構の体制整備を目的として分限免職処分者を厚労省で採用することは考えていない。厚労省としては、年金への国民の信頼回復のため、引き続き日本年金機構をバックアップし、一体となって年金事業の運営に取り組むことが必要であると強く認識している。受給資格短縮に係る業務については、相談・裁定事務に習熟した業務経験のある職員を必要な部署に配置するなど、業務を確実に実施するための体制をとるとともに一時的な業務量の増加に備えて、有期雇用職員の採用を行っている。

◇国立健康・栄養研究所の大阪移転について、研究所の根本機能を損なわず、役割が発揮できる成案を得るための十分な協議を汲み尽くすこと。
◆大阪府への全部移転後の研究機能のあり方は、医薬基盤・健康・栄養研究所として総合的に判断され、対応していくものと考えている。大阪府への全部移転に伴う職員の身分・労働条件については、就業規則等に基づき、適切に対応されるものと認識している。

◇個人番号カードとICカード身分証との一体化の中止。個人番号カードの取得を強制しないこと。
◆個人番号カードの取得は義務でないため、取得を強制することはしない。個人番号カードを取得されない職員については、現在ICカード身分証の有効期限を延長することや、台紙を用いた身分証の発行を検討しているところである。


職場要求で支部奮闘
機構本部が謝罪
大分事務センター 書類紛失を職員に転嫁

 日本年金機構は、年金事務所で受け付けた書類を全国各地にある事務センターで集約処理しています。大分県の事務センターで、8月31日受付の請求書が何らかの理由で紛失したことが判明しました。事務センター長は、紛失の経過が明らかになっていないにもかかわらず、「あなたは…確認漏れにより…書類を紛失させ…事務処理誤りを発生させた」と職員に責任を転嫁する不当な「指導書」を出しました。
 これに対して、全厚生九州支部は事務センター長に抗議し指導書の撤回を要求。事務センター長は「指導書」を撤回したものの、誠意ある謝罪がなかったため全厚生本部と協議し、機構本部交渉で謝罪を求めました。
 3月17日に機構本部交渉を九州支部同席で実施し、「事務処理誤りなどを、すべて個人の責任に転嫁する機構本部の業務運営方針に問題がある、誠意ある謝罪を求める」と機構本部を追及。
 機構本部労務管理部長が、「ご本人には大変なご迷惑をおかけして申し訳ありません。指導し撤回させました、今後このようなことがないよう改善していきたい」、センター長は「今回の指導書は認識誤りで出してしまった。苦痛を与えてしま って大変申し訳ない」と両者が謝罪しました。

人員体制の確保を
藤沢年金事務所長に要請

 藤沢年金事務所の組合員から、職場が退職続きで大変になっている、何とかしてほしいとの悲鳴の声が寄せられました。藤沢年金事務所お客様相談室は、毎日平均130〜140人が年金相談に来所します。体制は25人、相談ブースは13(相談員10、社労士2、空き1)ですが、毎日、一日中鳴り続ける電話、1時間以上の待ち時間でも減らないお客様、みんな夜の8時近くまで残業しないと通常業務がこなせないのが実態です。
 こうした激務の中、12月末に正規職員2人、3月末に非常勤6人が退職することになり、残された職員がもたないとの声です。「所長に『何とかしてほしい』と訴えても話も聞いてくれない。10年短縮で相談業務が急増するのに、経験者が激減しさらに欠員では、とても仕事が回らない。全厚生で何とかしてほしい」との悲鳴でした。
 関東支部では藤沢分会の職場実態を把握し藤沢年金事務所長に対して、3月6日に年金請求及び相談の増加に対応できる人員体制を確保することなどを求めました。

所長が上申を約束
退職者の続出は深刻だ

 申し入れに対し、所長は「大変な状況である。毎年退職者が多く昨年は年末まで補充が出来なかった。仕事の困難のわりに雇用条件が悪く採用してもやめてしまう。採用も事務所で出来ないため調整ができず、事務所での取り合いになっている」など人事面での悩みを話し申し入れはすぐに上申することを約束しました。

10年短縮の年金相談
年金事務所に来訪者が急増

 昨年11月の年金法の改正で、公的年金の受給資格要件が25年から10年に短縮されました。新たに約64万人が年金の受給資格を得ると見込まれ、年金事務所では来所者が急増しています。
          ◇          ◇
 「初めて10年短縮の年金相談に対応したが、相談予約なしの来所で、配偶者記録の確認など事前準備ができず時間がかかって大変。これからが心配」
 「連日、10年短縮年金の請求書がどっさり。内容のチェックが相当大変」
 「制度が複雑になったのに職場に周知がない年金事務所ごとに研修をして貰いたい」
 「年金事務所で年金の知識を身につけ転職する方が多い。処遇改善をしないと経験者の流出が止 まらない」

関東支部 年金学習会開く
未組合員含め42人が参加

 全厚生関東社会保険支部は3月25日、横浜市中区で「10年短縮年金の学習会」を開きました。講師には全厚生元役員の廣部正義氏を招き、日ごろ悩むことの多い「年金の合算対象期間・通算対象期間」を中心に学習しました。  当日は予想を上回る42人が参加し、用意した資料がたりなくなるほどの大盛況でした。組合未加入者も20人参加。  参加者からは「私たちが難しく大変な業務を担っていくのかを再認識した」「大変勉強になったし年金事務所の苦労もわかった」「勇気と元気をもらった」などの感想が寄せられました。
(平丸寿博)

事務所ごとの研修の実施を

 「機構には、こんな大変なことを、2時間程度の伝達研修や読み切れない指示依頼で大量に垂れ流すのではなく、きちんと一事務所ごとに研修をして貰いたいと、改めて思いました」
 「また先日は藤沢の相談室の声を聞いて頂き、直ぐに申し入れをして下さり、本当に有難かったです。組合に入って良かったと思います」
 「『自分達だけで悩まなくていい』本当にそうです。自分や周りを信じて、声をあげてくれた藤沢の皆さん、その声を形にしてくれた関東支部の皆さんに感謝です」


名古屋地裁が不当判決
政府の責任認めず
原告2人が控訴して闘う

 名古屋地裁は3月16日、不当解雇撤回裁判愛知事案の一審判決を言い渡しました。寺本昌弘裁判長は「原告らの請求をいずれも棄却する」との主文を述べた後、およそ30分間にわたり理由の要旨を述べました。解雇回避努力義務の帰属主体という大きな争点については政府の責任を一切認めず育児休業中の解雇という特殊事情にも考慮しない不当な内容であり、駆けつけた95人の傍聴者から溜め息が漏れました。
 判決後は報告集会が開かれ、原告のA子さんは「今日の判決を聞き、私たち社保庁職員だけ身分の引き継ぎ条項がないというのは不公平だと改めて思った。今後ともご支援をよろしくお願いします」、B子さんは「裁判所は、首を切られた職員のことは何も考えていないと感じた。私にとっては、解雇されてからのたたかいよりも、所長に『このままじゃ解雇になるよ』と言われてから実際に解雇されるまでの1年3か月間が一番辛かった。あのときはひとりぼっちで誰にも相談できなくて…。でも、今は皆さんの支え がある。解雇はあなたのせいじゃないよと言ってもらえるのが本当にありがたい」と涙ながらに述べました。
 控訴を決意した原告団は3月29日、名古屋地裁に控訴状を提出。不当判決を跳ね返し、勝訴判決を勝ちとるため、全厚生は「まるごと闘争団」として全力を尽くします。

秋田事案―
薄井氏証人へ
東京事案―
6月29日判決

 〈秋田事案〉3月22日、仙台地裁で第15回口頭弁論が開かれました。証人尋問期日が決まり、全厚生東北支部の遠田書記長、元社会保険庁総務部長の薄井氏らが証人として採用されました。
〈東京事案〉3月23日、東京地裁で第16回口頭弁論が開かれ、原告と担当弁護士が最終意見陳述を行い、結審。判決は6月29日に言い渡されます。


Back  to HOME