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◆第1791号 (2017年2月15日付)◆
意気高く国民春闘を戦おう 不当解雇撤回闘争に全力
職場から要求前進へ
第58回中央委員会を開催

 全厚生労働組合は2月4日、東京・浅草で第58回中央委員会を開き「STOP暴走政治!守ろう命と平和、そして憲法低賃金底上げと雇用の安定、地場産業振興で地域の活性化」をスローガンに組合員一人ひとりの切実な要求を基礎に、国公労連に結集し17年国民春闘を意気高く闘う決意を固め合いました。中央委員会では16人が発言し17春闘方針案を全会一致で採択し、中間決算報告を拍手で承認しました。

委員長挨拶

 中央委員会の冒頭、挨拶に立った山本潔委員長は、社保庁不当解雇撤回闘争、春闘での職場闘争、政治情勢などをめぐって簡潔に述べました。
 山本委員長はまず、不当解雇闘争がまる7年を経過したことに触れ、(1)大きな節目を迎えている(2)京都の15人は最高裁に上告した(3)3月には北海道、愛知の判決が出され、東京でも3月に結審の予定であるーと指摘し、大阪高裁での厚労大臣の分限免職回避責任を認め、内閣にも一部の責任があるとの判断について「大きな前進面が生まれてきている」と強調しました。また委員長は原告の一人ひとりに思いをはせ「7年間は余りにも長い期間だ。原告の皆さんは悔しくて仕方がない。どうにもならない思いを持っている。新たな気持ちで闘おう」と呼びかけました。最後に山本委員長は、「今春闘では自分の要求を口に出し、小さな声を大きな声に、多数の声に、要求にして闘おう」と強調しました。

官民共同の闘いを
3月8日中央行動に結集

 春闘方針案を提案した川名健書記長は冒頭、東京事案での東京地裁で証人尋問に立ったことにふれ「525人の不当に解雇された仲間の悔しさを改めて思い起こすことができた。それらの仲間たちと一緒に仕事がしたい」と裁判長に訴えたと、述べました。
 続いて書記長は春闘の歴史に触れ2月〜6月までの5か月間、職場の要求実現、国民生活の向上を目指して、「意気高く国民春闘を闘おう」「職場の仲間たちに笑顔を取り戻すためにも奮闘しよう」と呼びかけました。
 春闘の重点ポイントについては、(1)春闘での民間労働者の賃上げが人事院勧告の大幅賃上げに繋がることから「官民共同」の闘いが重要だ(2)3月8日の中央行動や民間山場の3月16日の「全国統一行動」に結集し、全厚生の組合旗を掲げよう(3)2月、3月に職場集会を開き、組合員一人ひとりの声を聞き、その声・要求を本部に寄せようーと提起しました。さらに書記長は、「非正規職員の声をしっかり受け止め支部から本部交渉につなげていくことが重要だ」と強調しました。

原告の思いを共有
仲間の笑顔を取り戻そう

 書記長は続いて、不当解雇撤回闘争を取り上げ原告の一人が「判決が出されて1か月も経っているのに、悔しくて悔しくて夜眠れない」と言っていたことを紹介。「原告の一人ひとりはこの7年間悔し涙を流しながら頑張っている。そうした原告の思いを全厚生全体で受け止め、裁判所への署名を集め、大勢の仲間が傍聴に駆け付け激励しよう」と呼びかけました。
 最後に川名書記長は、4部門でのそれぞれの課題に取り組み、大会を純増で迎えられるよう組合員を増やすことを訴え、「この春闘で職場の仲間たちに笑顔を取り戻す第一歩にしよう」と力強く呼びかけ提案を終えました。

来賓挨拶

 国公労連・豊田勝利中執は「賃上げと雇用確保、不当解雇闘争の逆転勝訴を」と述べ、全医労・佐藤晃一委員長は「不当解雇撤回闘争に連帯して奮闘する」と挨拶。三澤麻衣子弁護士は「組合員の証人尋問が大きな力になっている」と報告。JAL争議団の山口宏弥団長は「ともに勝利するまで闘おう」と挨拶しました。

春闘アピール

 全厚生は第58回中央委員会を開催し、2017年春闘を労働者・国民のたたかいで展望を広げ、情勢を打開すべく、全支部で奮闘する決意をかためました。いま、職員の懸命な努力にもかかわらず、厚生労働行政を担うどの職場でも苦労と困難が生じています。困難の根本原因は、定員削減や合理化政策、国民犠牲の厚生労働行政の切り捨て、公務の民営化、公務員制度改革など政府の誤った政策によるものです。全厚生は、労働条件の改善とともに、行政を国民本位にするために道理ある要求を高く掲げ、その実現のためにたたかうことを確認しました。
 また、仲間を増やす ことで働きやすい職場の実現に直結することが討論で明らかになりました。たたかいの経過と結果を仲間に伝え、職場要求の前進のため、組合員の減少に歯止めをかけ純増となるよう各支部が全力で奮闘することを決意しました。
 社会保険庁不当解雇撤回のたたかいは8年目となりました。京都の原告15人は大阪高裁の不当判決を不服とし、最高裁へ上告しました。北海道、秋田、東京、愛知は地裁での審理を重ね、北海道は3月14日に、愛知は3月16日に判決を迎えます。広島、愛媛は地裁での判決を不服として控訴審をたたかっています。すべての事案で勝利判決を勝ち取るため、世論と運動を大きく広げることが決定的に重要です。
 JAL不当解雇、日本IBMロックアウト解雇など大企業の横暴や乱暴な解雇を許さないたたかいとも連帯 し、労働者の誇りをかけてたたかいを前進させましょう。
 非正規雇用労働者の雇用を守り、労働条件を改善するたたかいは極めて重要です。2月5日には、浅草セント ラルホテルで「非正規職員の雇用確保・処遇改善決起集会」を開催します。この集会は、雇用の安定と、処遇改善の取り組み強化に向けた決起の場として、多くの組合員に参加を呼びかけています。
 私たちは、要求討議をすすめ、多くの労働者・国民と共同の輪を広げ、厚生行政の拡充と自らの要求実現を一体的に前進させるため、「要求が実現する」こと、「たたかっている」ことを実感し、多くの仲間に共感の広がる運動を大いにすすめましょう。2017年春闘に全組合員の総力を結集し、大いに奮闘しましょう。

2017年2月4日
全厚生労働組合
第58回中央委員会


労働条件改善の春闘に
裁判勝利、要求実現を

 中央委員会の討論では、16人の中央委員・傍聴者が発言しました。いずれの発言も職場を基礎に一人ひとりの組合員の切実な要求をみんなのものとし、社保庁不当解雇撤回闘争、非正規職員の雇用確保・処遇改善の取り組みとも結合し、官民共同の国民春闘を意気高く闘う決意を表明するものでした。

解雇撤回へ奮闘
一歩一歩前進しよう

 不当解雇撤回闘争の報告と決意も続きました。中四国・児島文彦中央委員は、高松高裁でのたたかいを報告。裁判は愛媛からマイクロバスを借り上げ傍聴行動を行っていると紹介。宣伝行動は毎月、県庁前や松山駅前等で交互に行い、JALの原告とも一緒に「多いときは20人近くが参加し取り組みが少しづつ広がってる」と報告。東北支部・小林利幸中央委員は、仙台地裁の裁判の現状を報告。1月の進行協議で裁判長が薄井社保庁総務部長(当時)の証人を挙げ国側に対し代わりの証人がいれば挙げるよう要請。「一歩一歩前進している。最後に笑おうとがんばっている」発言しました。

春闘学習会を力に
新歓や多彩な計画で

 17春闘をたたかう発言も続きました。近畿・組合員は、近畿ブロック国公は「17年春闘は、柔軟な発想で行う柔軟(じゅうなん)春闘で行く」と報告。行政相談会や新採歓迎など多彩な計画を紹介。「楽しく継続して、地域で他の職場と一 緒に活動していく」と発言。近畿・倉橋忠司中央委員は「支部で要求書を作成し、各所属長、センター長に申し入れる。4月に春闘学習会を行い社会保障制度を学び、年金学習会を行い地域での活動に活かしたい」と発言。中部・澤村明中央委員は、 「平和や社会保障など国民の期待に応える活動は重要だ」と指摘。年金講師を務めた経験を紹介し引き続き奮闘すると発言。本省・田口雅之中央委員は、「最低賃金は最低でも1500円が必要だ。これを繰り返し主張し、その上で今春闘で1000円をめざすことが重要だ」と発言しました。

課題多い大阪移転
研究所に政治の波

 試験研究機関からは3人の中央委員が発言。感染研・八木田健司中央委員は、組合に入り25年。この10年、研究所の空気が変わり、政治の波にのみ込まれ始めたと指摘。トップダウンでつくる薬剤耐性感染症制御研究センターに対し「支部交渉で内容を明らかにさせて、これからも監視していく」と発言。健栄研・廣田晃一中央委員は、政府の地方移転方針で現在、厚労省、大阪府、研究所の3者協議が行われ年度内に大阪移転の成案を得ると報告。「独立した研究所の全部移転。放射線や動物を扱う施設、大型機器を持って行くが成案がどうなるか、予算措置も決まっていな い」と報告し対応を強めたいと発言。基盤研・小浦美奈子中央委員は、職員296人中、221人が非正規職員。「だれが職場を支えているかは明らか」と指摘。無期転換の 案が出される一方、一斉の雇い止めはしないと当局説明。解雇撤回闘争が反映していると報告。組合加入は4人の内、3人がパワハラの相談者。「正しいことが言える姿を見せてがんばりたい」と発言しました。

職場実態を告発
労働条件の改善は切実

 年金機構の職場実態を告発し、要求と組織の前進への決意を述べる発言が続きました。勤めて36年になる中部・室田貞彦中央委員は、こんなひどい職場に入社したつもりはないと述べ、「真剣に勇気を持っておかしいことはおかしいと言う。仲間を増やして良い職場にしたい」と発言。年金機構を一旦退職し昨年の10月から大阪・吹田で働いている近畿・組合員は、民間企業でパワハラにあった悔しい経験を述べ、「吹田では人間関係は良好。ずっと働き続けられる環境づくりを発信したい」と発言。中部・澤村明中央委員は、非常勤の仲間の雇用を守ることは職場の最大の課題だと指摘。うつ病で解雇された事件の対応を紹介し「職場で寄り添い励ましていくことが重要になっている」と発言。
 関東・川浦敦彦中央委員は、毎日、情報セキュリティ対策等で苦労する中、機構本部は「お客様の満足を勝ち取れと言うが何の支援もない」と指摘。「現場職員へのしわ寄せでなく、体制確保が必要だ」と発言。近畿・組合員は、「お客さん相手の仕事は新鮮でやりがいを感じている」と発言。再生プロジェクトは現場重視といいつつ、本部の指示通りで動いていると発言。機構・佐藤正史中央委員は、1月に発足した中央年金センターの労働者代表に立候補して勝つことができたと報告。「処遇改善、非常勤職員の労働条件の改善のためにがんばりたい」と発言。機構・組合員は、兵庫から機構本部に来て事務所との違いを体験。「現場目線で仕事を行う環境をつくることが重要だ」と指摘。「先輩から知識は財産だと教わった。まわりの方が働きやすいように行動も考え、がんばる」と発言。
 近畿・倉橋忠司中央委員は、「社会保険協議会ニュースを全職場、全職員に配布して、全厚生を知ってもらうよう取り組む」と発言。中四国・香川博中央委員は、四国事務センターは1月に高松に集約されたと報告。「見切り発車で職員が苦労している。情報を収集し要求をつくり、組合拡大をめざしたい」と発言。近畿・Kさんは、「趣味を通して知り合い、仕事の話もして要求を吸い上げ、どんどん拡大できたら良い」と希望を語りました。

全厚生交流集会を
6月に合同でプレ開催へ

 青年部、女性部が活動報告。鈴木広平中央執行委員は、昨年10月に日本平和大会で三沢基地を見学し「基地の騒音で生活基盤が奪われているのは大変なことだと思った」と報告。今後は女性部と合同で交流会を企画し6月にプレ企画を行いたいと述べ、「若手が参加しやすい企画を考え、組織拡大につなげたい」と発言。女性部は基盤研と本省の組合員が報告。昨年10月神戸で開催した第40回女性交流集会と総会は沢山集まり楽しかったと報告。今後は「人事調査官と の懇談も復活させたい。女性交流集会を全厚生交流集会にして楽しく、学んで交流したい」と発言。

春闘勝利へ全力
尺八・三味線演奏にうっとり

 中央委員会終了後、「2017年春闘勝利!全厚生団結集会」が開かれ、参加者は懇親を深め、闘いの歌の合唱などでいっそうの団結を固め合いました。
 団結集会は、感染研支部OBの尺八演奏、本省支部の三味線演 奏でオープニング。
 尺八の荘厳な音色は参加者の腹にずっしりと重く響きわたりました。続いてうたごえ東京合唱団が「闘うわれら」を歌いあげ、本省・研究機関・福祉施設・社会保険の参加者が決意を述べました。
 続いて原告団の一人ひとりが決意を述べたあと「道しるべ」「はな」を力強く合唱しました。
 最後に会場いっぱいにスクラムを組んで、「沖縄を返せ」「がんばろう」を全員で歌い決意を固め合いました。


雇用確保・処遇改善を 非正規職員の決起集会開く

 非正規職員の雇用確保・処遇改善決起集会が、中央委員会の翌5日に開かれ、非正規職員・正規職員を含めて60人が参加。非正規職員が置かれている現状と問題点と改善を求めた切実な要求が出されました。集会には日本共産党・田村智子参議院議員が国会報告、国公労連・鎌田一書記長が「公務における非正規労働者の問題について」講演しました

深刻な現状を交流
業務・経験の蓄積が困難

 山本潔委員長が、集会開催の経過を報告し、開会挨拶を行いました。昨年9月の定期大会で、本省や研究機関での非正規 職員の雇用改善の課題をはじめ労働条件についての発言が出されたこと、3年や5年で雇止めされたのでは、業務や研究の継続が難しいことなど深刻な現状が出されたことを指摘し、「非正規職員の雇用確保と処遇改善についての集会を開催しようと計画されました」と、開催の経過を述べました。そして、山本委員長は「参加された非正規職員の積極的な発言をお願いしたい。本部主催の今日の集会はこの問題での入り口で、支部・ブロックでの開催のきっかけにしてほしい」と強調しました。

雇用不安の解消を
4部門とも共通の課題

 年金機構の現状について新田献副委員長は「正規職員が減らされ非正規職員が急増しているがすぐ辞めてしまう。毎年何千人規模で職員が入れ替わる異常事態だ」と強調。
 Tさんは、本省には約300人の非正規職員が働いているが、「3年で雇止め。雇用が継続されるか不安な毎日を送っている」。支部では病休は欠勤にならないようにさせた、育休を取って復帰しても不利益にならないようにさせた、ことを報告。「泣き寝入りをしない。人事課に非正規職員の処遇改善の声を上げ続けている」と報告。
 Yさんは、感染研には研究補助員、任期付研究員が相当数いるが雇用形態が複雑で組織化が難しいと報告。「3人の任期付研究員が組合 に加入してくれた。非正規の人たちが働きやすい職場にしていきたい」と決意を述べました。
 Kさんがリハセンターを中心に報告し、非正規職員がいなけ れば施設運営はできない、と指摘。また最近、利用者による職員への暴言が起きており、どう対応するかのマニュアルの作成を要求していると報告しました。

現状打開の運動を
共産党 田村参院議員が激励

 日本共産党の田村智子参議院議員はこれまで内閣委員会等で非正規職員の処遇問題や過酷な残業問題を取り上げ、改善を迫ってきました。
 田村議員は「全厚生が非正規職員の雇用確保・処遇改善を掲げて集会を行うことをうれしく思います。昨年 12月の内閣委員会で雇止めの問題を取り上げ非正規職員がいかに切り捨てられているかを追及し改善を求めました。この集会で現状を出し合い打開の方向を安倍内閣に求めて運動を展開していってほしい」と激励しました。

処遇改善に全力を
国公労連鎌田書記長が講演

 国公労連の鎌田一書記長が公務における非正規労働者の問題について分かりやすく講演しました。非正規職員は法制度のはざまにおかれているため、恣意的に運用され、雇止めが行われ勤務時間・休暇もあいまいであることなどの処遇の問題点を指摘しました。鎌田書記長は国公労連の提起している基本方向を確認し、各単組・支部で非正規職員の処遇改善に向けた運動に全力をあげようと強調しました。


劣悪な実態鮮明に
生活できる給料を
正規職員の枠を拡大して

 関東支部のMさんは年金業務にやりがいを感じ、社会保険労務士の資格も取り、正規職員と同じ仕事を任されたことを報告。しかし「どんなに頑張っても正規職員になれない。結婚もして家庭を持ちたいが、今の低賃金では将来を考える ことができない。正規職員の枠をもっと広げてほしい」と訴えました。近畿支部のKさんは昨年10月から大阪・吹田で特定業務職員として働いていると述べ、 「正規の人と同じようにバリバリ働いている。長く務めるためにも無期契約職員になりたい」と発言しました。近畿のSさんは1年ごとの更新で給料が低い、これでは生活していけるか不安だと述べ「1年たっても1年半たっても初めて採用された人の給与と同じというのは納得がいかない。モチベーションをあげていけるような給料を上げてほしい」と発言しました。
 中部社保支部のTさんは、これまで再雇用で窓口相談をしてきたことに触れ、とてもやりがいのある仕事であるが、給料が安い、ボーナスも家族手当もないなどの労働条件の現状を説明しました。
 「手取り10万円では生活できない。生活できる給料を保証してほしい」と訴えました。

非正規職員に一声を
川名書記長が行動提起

 集会の最後に川名書記長が討論の特徴と行動提起を行いました。
 集会には60人を超える参加があったこと、出された非正規職員の切実な声をしっかり受け止め、もっともっと国民に伝えていくことが大事だと指摘しました。そして川名書記長は「非正規職員の皆さんは誇りを持って働いている。非常に専門性の高い仕事をしていることが発言で明らかになった」と指摘。
 さらに書記長は「雇用不安と低賃金で働いている非正規職員に声をかけてあげてほしい。心の中はボロボロなんです。大丈夫ですか?の一声でいいのです。職場に笑顔を取り戻そう」と呼びかけました。最後に、継続的な開催、非正規職員の実態を知らせる、支部での非正規職員集会の開催、非正規職員の声を集約する、非正規職員に声をかけるーの5項目の行動提起を行いました。


全厚生原告団会議開く
激励し合い決意新た
もやもやが少し晴れた

 盛大に開催された中央委員会から一夜明けた2月5日、全厚生原告団会議が開かれました。この会議には、社保庁不当解雇撤回裁判をたたかう7事案のうち、愛知を除く6事案の原告が参加。闘争が7年を経過したいま、それぞれの原告が抱くさまざまな思いを伝え合い、激励し合う場となりました。
 北海道原告のTさんが「昨年 12月の結審まで長かった。まずは判決を見守りたい」と口火を切ると、秋田原告のTさんは「裁判長が原告側にも目を向けるようになってきて、モヤモヤしたものが少し晴れてきた」と今後の展開に期待。東京原告のMさんは「東京も結審を迎える。傍聴要請などをやれる範囲で精一杯頑張りたい」と意気込みを語りました。
 京都からは原告4名の発言があり、Nさんは「広島など原告がひとりで頑張っている地域もあり、励まされる」、Kさんは「なかなか活動ができておらず、ふがいない気持ち。やれることをやっていきたい」、Kさんは「京都原告の15名全員がそろって上告できたのは良かった。署名活動など引き続き取り組んでいきたい」、Nさんは「各県国公の春闘討論集会で社保闘争のことも訴えている。まだ周知されていない地域もあるので、国公労連の立場で頑張る」と、それぞれの思いを述べました。

支援者と共に奮闘
加藤弁護士が原告を激励

 広島原告のHさんは「疲れてしまうこともあるが、沢山の署名を目の前にすると頑張ろうという気持になれる」と支援者への感謝の気持ちを述べ、愛媛原告のKさんは「不当判決が続きしに判決を迎える愛知事案については、中部闘争 団の磯貝団長から活動報告がなされましんどいときもあるが、弁論前の傍聴要請は必ず実施している。今後も色々な所へ顔を出していきたい」と今後も地域の支援者とともに奮闘する決意を述べました。また、3月た。
 この会議には加藤健次弁護士も駆けつけ、「このたたかいはじわじわと前進している。裁判は生きものであり、どこかの 裁判でマグマが吹き出るように一気に前進する」との展望を示し、原告らを激励しました。
 勝利判決をかちとるまで最後まで諦めず、団結を強固なものにするため、全国の原告らが交流できる場を今後も継続して設けることを確認し、会議を終えました。

安定的な業務運営を
年金機構本部と交渉

 全厚生は、2月3日11時から日本年金機構本部と交渉を実施しました。交渉には、機構本部から木谷理事、名和労務管理部長、安部人事管理部長、屋敷経営企画部長、町田人事部長、村田労務管理グループ長。全厚生からは山本委員長、平丸、新田副委員長、川名書記長、藤江中央執行委員、小川中央執行委員が参加しました。
 交渉の冒頭、「有期雇用職員の雇用継続を求める要請」署名256筆(累計4,002筆)を提出し、国民サービス向上、安定的業務運営のための体制整備、慢性的超勤実態の改善、非正規職員の雇用確保と処遇改善、受給要件10年短縮に伴う増員800人の雇用状況、無期雇用職員の採用状況を明らかにするよう求め考え方を質しました。こ れに対して、年金機構本部は、業務改善計画を確実に実行するとともに、安定的な業務運営が図られるよう、必要な人員と予算の確保、組織見直しを含めた体制の整備に努力するとし、10年短縮の増員は、OBも含め業務に習熟した職員を532人確保し、新たに特定契約職員を277人確保する。無期転換職員は965名が応募し、512名を登用したことを明らかにしました。2017年は、10年短縮、年金カット法などの法改正で相談者が急増し、さらには、事務センターの統合、システム刷新、事務所の機 能集約などで職場が混乱すると思われます。年金機構本部の責任ある対応を求めていきます。

現場無視の業務運営
社保支部代 機構本部への批判続出

 中央委員会の翌日、2月5日の朝から、社会保険の職場で働く仲間で支部代表者会議(社会保険協議会)を行いました。
 会議では、まず、3日に行われた年金機構本部 との団体交渉を報告し、機構本部が示した定員配布案や、受給資格期間の短縮に対する体制整備の考え方などを説明しました。また、新人研修、事務所センター集約、役職定年制など、再生プロジェクトに関わって機構本部から示されている内容を示し、各支部からの意見を求めました。
 参加者から年金事務所の機能集約や事務センター集約化の状況など、多くの報告、意見が出され、「現場を見ない」機構本部の姿勢が悪化し、暴走の度を強めている実態が明らかになりました。無期雇用転換の希望が叶えられなかった非正規の仲間からも苦しい心の内が語られ、ますます「全厚生が強く大きくならなければ」と気持ちを新たにしました。
 社会保険協議会では、現場無視の業務運営、拙速な再生プロジェクト推進に歯止めをかけるため、現場の要求をとりまとめ、2月末を目途に再度年金機構本部に交渉を申し入れる予定です。

【特別決議】

 社保庁不当解雇撤回闘争に勝利し、職場と仲間に未来を取り戻そう

 不当解雇撤回闘争は、8年目に入り、大きな節目を迎えています。昨年11月16日の大阪高裁判決は、厚生労働省に明確に解雇回避努力の義務を認め、さらに、基本計画の閣議決定を行った内閣にも一部責任を認めるなど、大きな前進を示しました。しかし他方で、雇用調整本部を活用しなかったこと、残務整理の定員を使用しなかったことなど、明らかな努力不足に対して、「直ちに違法とはいえない」などと逃げ口上に終始し、さらには司法の常識すらも無視して、処分の違法性について原告側に「立証責任」があるとするなど、まさに請求棄却という結論を導くためだけに理屈をつけた不合理な判決でした。
 こうした苦しい辻褄あわせを行わざるを得なくなっていること自体が、私たちの運動が裁判所を追い込んでいることを示しています。不当判決に屈せず、京都原告15名は、全員が最高裁判所へ上告することを決意しました。東京事案、秋田事案においても、各地の判決内容の前進を受けて、被告に対する追及が強まっています。最高裁という新たなステージでのたたかいが始まるこの一年、地裁判決を間近に控えた北海道・愛知の仲間、控訴審をたたかう愛 媛・広島の仲間を含め、全国の運動を結集して、必ず勝利を勝ち取るために奮闘しなければなりません。
 しかし、勝利判決という結果が得られない中、不当解雇から7年もの年月が経過し、一方的に生活の糧と誇りを奪われた原告らは心身ともに疲れ、将来への不安と心細さで押しつぶされそうになっています。一番辛い時期の仲間を支えるためには、全厚生闘争団が「組合員まるごと闘争団」として結成されたことを思い起こし、すべての組合員が闘争当事者としてともにたたかうことが、いま、最も大切です。
 年金機構では、度重なる雇い止めなどで体制が脆弱になり、職場の中ですらお互いを思いやることができない状況が生まれています。
 しかし、この「人を大切にしない組織」が不当解雇と根っこを同じくしていること、職場をよくするためには解雇された仲間を職場に戻すことが是非とも必要であることを、あらためて組合員みんなの確信にしなければなりません。
 時の政府の顔色を窺う「結論ありき」の裁判所の姿勢を覆すことは容易ではありません。さまざまな団体、たたかう仲間と共同し、広範な世論で裁判所を包囲することが重要です。そのためにも、原告、組合員人ひとりが、署名や訴えなど、できることを一つずつ取り組んでいくことからはじめましょう。
 この正念場の一年、全厚生闘争団一丸となって、できることをすべてやりきる決意で奮闘します。

以上、決議する。

2017年2月4日
全厚生労働組合第58回中央委員会


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