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◆第1789号 (2016年12月15日付)◆
仲間を職場にもどそう 社保庁不当解雇撤回12・2決起集会
裁判は重要局面、運動強化を

 全労連、国公労連、全厚生闘争団は12月2日、「仲間を職場にもどそう社保庁不当解雇撤回12・2決起集会」を全労連会館で開催。国公労連・各単組、全厚生OB、争議団など150人を超える仲間の参加で成功させました。集会は国公労連・岡部勘市中央執行委員長が主催者挨拶、担当弁護士による情勢報告、原告の決意表明、参加者とともに団結ガンバローで決意を固め合いました。集会では原告の仲間、JAL、IBMの仲間とともに、仕事への思い、誇り、仲間を職場にもどす合唱は闘い抜く決意を示し大きな感動を与えました。

労働組合の役割発揮を
国公労連 岡部委員長が挨拶

 主催者を代表して国公労連・岡部勘市中央執行委員長が挨拶しました。
 委員長はまず、「社保庁が廃止・解体され525人もの国家公務員が分限免職処分を強行されてから、丸7年を迎えようとしている」と述べ、「事の本質は歴代自民党政権による制度改悪やグリーンピアの無駄遣い等、組織運営と制度整備の責任を現場第一線の職員に転嫁するものでした」と指摘し、この不当解雇撤回闘争が政府を相手取った闘いであることを強調しました。
 「処分は不当だと全厚生の組合員39人が、人事院に不服申し立てを行い、公平審理で10人の処分を取り消し、職場復帰を勝ち取りました。一方、人事院闘争と前後して裁判闘争に立ち上がり、29人が3高裁4地裁で闘ってきました」と説明。

京都原告が上告
公正判決署名の強化を

 11月16日、京都事案が大阪高裁で「控訴棄却」の不当判決が出されたことに触れ「原告15人は不当判決にくじけることなく、意気高く最高裁に上告手続きし最後まで闘う決意を固めている」と述べました。
 12月1日の東京事案について岡部委員長は「国公労連・盛永顧問が総定員法の制定以降、政府が出血整理はしない方針の下で雇用調整本部を活用しなかったことは平等取り扱いの原則に反すると証言。国側の証人は答弁不能の状態に陥っている」と強調しました。
 「各地の裁判闘争は重要な局面を迎えており、公正判決を求める署名をはじめ、全国的な運動の強化が求められている」と訴えました。
 最後に岡部委員長は、「本当の勝利は年金機構職場で要求闘争を前進させ、頼りになる全厚生をしっかり確立することだ。解雇撤回を勝ちとりその職場に戻そう」と呼びかけました。

逆転勝訴へ全力

悔しさを晴らす
愛媛 Kさんが決意

 私たちのこの闘いも間もなく7年が経過しようとしています。この間の全労連、国公労連をはじめとした全国の仲間の皆さんの力強いご支援に心からお礼を申し上げます。
 私は今月の26日に62歳の誕生日を迎えますが、解雇されたのが55歳の誕生日を迎えた5日後であったため、毎年この時期が来ると解雇されたときの悔しさがこみ上げてきます。
 愛媛事案の裁判は今年の3月30日に高松地裁で3人の請求をすべて棄却するという不当な判決が出されましたが、私たちは直ちに高松高裁に控訴し、10月21日には第1回控訴審が行われました。
 私たちは高松高裁では必ず逆転勝訴を勝ち取り地裁判決で受けた悔しさを絶対に晴らします。
 私も最後まで奮闘することを誓い、決意表明とさせていただきます。引き続きのご支援をよろしくお願いします。


幅広い支援を広げよう
大阪高裁判決の不当性
京都弁護団 渡辺弁護士が究明

 決起集会では、二人の担当弁護士が、裁判の状況を報告しました。

◇        ◇

 11月16日に大阪高裁で不当判決を言い渡された京都事案について、京都弁護団の渡辺輝人事務局長は「今回の判決を名付けるとすれば『ただちに判決』だ。肝心なところで『ただちに違法とはいえない』などと言ってごまかしている」としつつも、この判決が、主な争点とされた解雇回避努力義務(以下、「回避努力義務」)の主体について、内閣総理大臣についても限定的であるにせよ初めて認めた点で大きな前進があったと説明しました。もっとも、このような前進にもかかわらず敗訴に至った理由として、主に以下の三点を挙げました。
 第一に、判決が、回避努力義務を負う時間的範囲を狭く解している点です。原告側は、機構法が成立した平成19年7月6日から国が回避努力義務を負うと主張していましたが、判決は、その時点では抽象的な義務しか発生しておらず、具体的義務が生じるのは基本計画が閣議決定された平成20年7月29日であると認定しました。この点につき渡辺氏は、「抽象的」という不明確な理由でしか原告側の主張を排斥できないほど裁判所は追い込まれている、と分析しました。
 第二に、義務の履行程度の問題です。閣議決定が「出来る限りの(解雇回避)努力をする」としていたことにつき、判決は「政府の指針を示すものでただちに法的な規範となるわけではない」としています。この点につき渡辺氏は、「『出来る限り』とは『法律上最大限』という意味だと厚労省の役人が証言している。証言で明確にされている部分をも排斥するのであれば、証人尋問をする意味がない」と述べました。
 第三に、証明責任の問題です。判決は、回避努力義務不履行についての証明責任は原告にあるとし、証明が十分になされたとはいえないとしています。この点につき渡辺氏は、行政処分の違法性については、国側が適法であることの証明責任を負うとするのが公平であり、他の事件をみても原告側に証明責任を負わせることは異例であるとして、この判断を疑問視しました。
 最後に、渡辺氏は、「この判決は隙が多く攻めどころが非常に多い。上告の決意をした原告の気持ちを汲み、最高裁でこの判決を覆すつもりだ」と力強く述べました。

盛永証言は大きな力
東京弁護団 加藤弁護士が報告

 東京弁護団の加藤健次弁護士は、この決起集会の前日(12月1日)に東京地裁で開かれた口頭弁論について報告しました。
 この弁論では証人尋問が行われ、原告側の証人として国公労連の盛永雅則顧問が証言しました。
 加藤氏は主な証言内容として、(1)定員削減を繰り返してきた政府が出血整理をしないと約束し、国会でもその旨の決議がなされたこと、(2)雇用確保のために省庁間配転などの枠組みを使えば十分に解雇を回避できたこと、(3)自民党からの圧力があり基本計画の段階で(1)の方針がゆがめられたこと、の三点を指摘。盛永証人が事実に基づき説得的に証言してくれた、と報告しました。
 そして、この盛永証言が全国どこでも通用する証言であり、盛永氏がどこでも証言台に立つ思いになっていることを紹介しました。
 さらに、「この証人尋問を通じて、いかに厚労省や社保庁が解雇回避の努力をしてこなかったか、ということが明らかになった。被告側証人の証言態度と空気だけで、当時の対応がいかに無責任なものだったかが裁判官にも伝わったはず」と述べ、今後の訴訟展開に期待感を示しました。
 また、他の事案で敗訴判決が続いている原因として「公的年金に対する国民の信頼を回復するため、分限免職はやむを得なかった」ということが判決の柱になっている点を挙げ、この事件がどのような経過で起こり本来責任を負うべきものは誰かということを明らかにするため、全厚生の川名書記長をぜひとも証人として採用するよう裁判所に求めたことを報告しました。
 なお、この要求によって川名氏は証人として採用される見込みとなり、真相解明のさらなる前進が期待されます。
 最後に加藤氏は、このたたかいに勝つためには世論の後押しと大きな運動が鍵になると述べ、幅広い支援と共感を広げる運動の重要性が確認されました。


政府方針「出血整理しない」
政府の責任は重大
東京地裁 盛永雅則氏が証言

 12月1日東京高裁で行った盛永証人による主な証言は、以下の通り。

◇        ◇

《昭和39年以降、国公法78条4号に基づく分限免職処分が発令されなかった理由について》
 昭和44年の総定員法の制定以降、政府は定員削減計画を進めることになるが、総定員法案の審議において政府は「一切、出血整理は行なわない」と答弁し法制定時の付帯決議においても「出血整理は行なわないこと」とされ出血整理をしないことが政府方針となった。
 また、平成18年の行革推進法に基づき閣議決定された純減計画でも「雇用の確保を図りつつ純減を進める」として、雇用調整本部が設置され、分限免職処分を出さずに純減を進めてきた。

雇用調整本部 使っていれば

《被告が、社保庁改革は行革推進法の範疇には含まれないことから法の趣旨目的が異なるとして雇用調整本部の活用を認めなかったことについて》
 政府が雇用調整本部を活用できたのにもかかわらず、その判断を誤って活用しなかったがために起こったのがこの社保庁分限免職問題だと思っている。
 純減計画では「純減計画は、総人件費の削減を図ることが目的であるから、社会保険庁も例外ではない」として社保庁もその対象とされ、社保庁7カ年計画で既に計画されていた「政府管掌健康保険の非公務員型公法人への移行に伴う2000人程度の純減」も純減計画に含まれている。
 そして、平成19年7月に成立した日本年金機構法は、政府管掌健康保険と同様の非公務員型公法人であり、純減計画期間の範囲内で成立したのであるから、政府は、この時点で政府管掌年金事業を純減計画に含めるべきだった。そうすれば、雇用調整本部を活用しなければならないことになる。
 このような経過から、政府の判断に誤りがあったことは明らかだ。

なぜ分限免職発令されたか

《なぜ社保庁職員にだけ国公法78条4号に基づく分限免職処分が発令されたのか》
 自民党「社保庁改革等ワーキンググループ」の議事概要をみると、「組織分限なくして賛成はできない」とか「裁判覚悟で分限処分をやってほしい」などの発言が繰り返され、日本年金機構法案の国会審議においても、ワーキンググループの一員である議員が厚労省に圧力をかけている。政治によって「出血整理は行なわない」という方針が歪められた。

乱暴な国会運営
高橋議員が厳しく批判

 集会には日本共産党の高橋千鶴子衆議院議員が駆けつけ、国会情勢について報告し、原告の一人ひとりの闘いを激励しました。
 高橋議員はまず国会が14日まで延長され、年金カット、TPP、カジノなどの法案を次々と強行採決していることに触れ、「自公与党が本当に乱暴な国会運営をしている。絶対に許せない」と怒りを込めて批判しました。
 続いて高橋議員は地球温暖化をめぐってのパリ協定に対する政府の対応、国連での核兵器禁止条約に反対した日本政府に触れ「こうした政府の対応は外国では笑いものになっている。強行採決を続けている政府は実は追い込まれているのです」と厳しく批判しました。
 最後に高橋議員は「皆さんの闘いに連帯して闘います」と力強く述べました。


官房人事課長と交渉
役割発揮の体制を
不当解雇の解決に英断を

 全厚生は12月6日、秋季年末闘争の重点要求で大臣官房人事課長交渉を実施。交渉団は、山本委員長、市川・杉浦・平丸副委員長、川名書記長、大門・小出・坂本・野口・藤江・山田中央執行委員が出席。人事課からは八神人事課長、山田参事官らが対応しました。
 冒頭、山本委員長が趣旨説明。厚生労働行政が国民の期待に応え、その役割を発揮する予算や定員確保を強く要求。福祉施設では伊東センター廃止後の国立施設総体の機能の充実・強化を求め、地方センターを廃止せず拡充の努力を求めました。
 社保庁職員の不当解雇撤回の課題では、解雇回避努力の主体が厚労大臣とともに間接的に政府全体にあると認定した大阪高裁判決にふれ、政府・厚労省の責任で全面解決の最大限の努力を要求。日本年金機構の業務体制の拡充の課題では、国民の信頼回復のために厚労省が主体性をもち、必要な予算確保を行う責任ある対応を求めました。
 これに対し、八神人事課長が一括回答。回答後は、交渉団が各課題で要求前進に向けた厚労省当局の努力を迫りました。

増員、処遇改善を
各担当中執が実現迫る

 定員削減を止め、必要な定員確保の課題で野口中執は、「定員削減で感染症研究所の機能の維持が難しい状態にある。地道に基礎研究ができる体制確保を求める」と発言。国立福祉施設の課題で小出中執は、「疲弊している地方センターに対し定員と予算確保を求める。介護員の専門性を評価した処遇改善を求める」と発言しました。
 分限免職処分の撤回の課題で杉浦副委員長は、「回答は納得できない。この間の判決でも厚労省、政府の責任は明らか。歴史の事実に向き合い検証し、全面解決の英断を求める」と発言。年金機構の体制確保の課題で藤江中執は、「改正年金機能強化法が成立。厚労大臣が業務に習熟し職員を増員すると明言。厚労省として責任ある対応を求める」と発言。
 国立健康・栄養研究所の大阪移転の課題で山田中執は、「移転計画では研究所の根本機能が損なわれる危惧を持つ。重要な機能が維持できるよう求める」と発言。非常勤職員の安定的な雇用確保の課題で市川副委員長は「一律的な雇い止めは行わず、本省では部局ごとに異なる扱いにならないよう求める」と発言しました。

回答要旨(◇要求◆回答)

◇憲法25条の理念を活かし厚生労働行政の役割発揮のための必要な人員と予算確保。定員合理化計画を撤回し大幅な増員を。
◆「定員合理化計画」で5年間で10%以上を合理化する大変厳しい目標が掲げられている。政府の一員としてこの計画に協力せざるをえない。厚労省の仕事の重要性、業務の重要性、特殊性を丁寧に説明し、できる限り必要な定員確保に努める。

◇地方センターを廃止せず、国立障害者リハビリテーションセンターの充実強化。介護員の専門性を適正に評価し、処遇改善。
◆「第2期中期目標」が達成できるよう、平成29年度の定員要求で、必要な体制確保に努めている。今後、地方センターを廃止する動きはない。介護員の専門性や特殊性、困難性は承知している。人事院に対し、引き続き要望していく。

◇希望者全員の再任用を。生活維持にふさわしい賃金水準を。
◆昨年12月の閣議で公務員制度担当大臣から「引き続き、定年退職する職員を再任用することにより対応することが適当」との発言があった。再任用職員の職務・職責に応じた処遇確保について人事院に働きかける。

◇非常勤職員の処遇改善、安定的な雇用保障に努めること。
◆休暇制度の改善は毎年、人事院関係局長宛に要望してきた。今後も安心して公務に専念できるよう機会を捉えて要望する。期間業務職員の採用は公募が原則。勤務実績に基づき公募によらない採用を2回まで行うことができる。採用を2回された者は適正な公募・選考を経て、更に採用されることは制度上否定されていない。

◇政府・厚労省の責任で分限免職処分の撤回・全面解決のために最大限の努力を行うこと。ILO勧告を尊重し誠実な対応を行うこと。
◆分限免職処分の撤回は考えていない。「業務運営に関する基本計画」は、国民の公的年金業務に対する信頼を回復する観点からなされたと理解しており閣議決定の撤回は困難である。ILO勧告の内容を踏まえ、適切に対応したい。

◇日本年金機構の安定的な業務運営を行うために、正規職員を増員し、有期雇用職員の継続雇用を。「基本計画」の見直しを行うこと。
◆国民の信頼回復のため、引き続き日本年金機構をバックアップし一体となり年金事業の運営に取り組むことが必要と強く認識している。年金局も安定的な業務運営を行うべく必要な予算確保に努力していると認識している。

◇国民の健康と福祉を向上・発展させるため、国立試験研究機関の充分な人員と予算を確保すること。
◆国立試験研究機関の「基礎・基盤的研究」や未知の感染症に対応するための研究は、いずれも重要な研究と認識している。これらに必要な人員や予算を確保するように努力する。

◇健康・栄養研究所の大阪移転の協議は、研究所、職員・研究者の意向を尊重し、研究所の使命を発揮する成案を。根本機能を損なう分割移転は行わないこと。
◆大阪への全部移転は、研究所の根本機能などの移転に向けた詳細について大阪府、厚労省、研究所で調整し今年度中に成案を得るべく調整している。職員の身分・労働条件の後退を招かぬよう厚生科学課を通じ同研究所に伝える。

◇超過勤務の大幅な縮減。不払い残業の根絶。業務量に見合う定員の確保。メンタルヘルス対策を強め職員の健康と安全確保を。
◆長時間労働の削減等は、喫緊の課題と受け止め、強力に取り組む。必要な定員確保は、業務の重要性、特殊性を丁寧に説明し、最大限の努力を行う。職員の健康管理は健康管理医を配置し、各種健康診断を実施するなど職員の健康の保持増進に努めている。

経験者の雇用確保を
機構本部に雇用継続を要求

 全厚生は10月21日、日本年金機構本部と交渉を実施しました。交渉には、機構本部から木谷理事、名和労務管理部長、他4名。全厚生からは山本委員長、平丸副委員長、川名書記長、藤江中央執行委員、佐藤支部書記長(機構本部)が参加しました。
 交渉の冒頭、「有期雇用職員の雇用継続を求める要請」署名3,736筆を提出し、人事院勧告を上回る大幅賃上げ、非正規職員の処遇改善、無期転換雇用枠の拡大、情報セキュリィティ通知で混乱する職場実態を示し、経過等丁寧な情報伝達に改善するよう求め考え方を質しました。
 年金機構本部はこれに対して人勧を基本に俸給表を改訂し非正規職員の労働条件改善に努力するが、定数が決まっているので無期転換雇用枠の拡大は困難、通知等については配慮していくと回答しました。10月31日に厚労大臣あてに3,757筆提出しました。
 また、11月16日に改正年金機能強化法が成立し、年金の受給期間の資格要件が25年から10年に短縮になり年金事務所では、記録問題の時と同様に年金請求および相談業務の急増が見込まれます。
 国会審議の中で厚労省は、年金機構には、新たに習熟した職員800人の雇用を確保していくと答弁しました。
 全厚生は、厚生労働省(12月中)、年金機構(11月21日)に対して「受給資格期間短縮の実施に伴う業務体制拡充の申し入れ」を緊急におこない、今年度雇止め対象の有期雇用職員の雇用延長、社会保険庁分限免職処分の525人の雇用など経験ある職員の雇用確保で相談体制を整えるよう要求しました。

施設の充実強化を
介護員の処遇改善迫る

 全厚生は11月21日、社会福祉部門の重点課題で施設管理室長並びに国リハ管理部長交渉を実施。交渉団は、山本委員長、今井・杉浦副委員長、川名書記長、小出・大門中執、国リハ支部と別府支部代表の計10人が出席。施設管理室の池田室長、国リハセンターの黒岩管理部長らが対応。伊東センター廃止後であり、国立障害者リハビリテーションセンターの充実強化と職員の専門性を評価した処遇改善を求めました。
 国立施設の充実強化の課題に対し、自立支援局、病院、研究所、学院、所沢センター、地方センターの各部門が有機的連携を図り、時代の要請に対応した取り組みを実施していると述べ、「施設管理室とリハセンターの連携を密に定員確保、予算要求を行い必要な体制を確保していく」と回答。地方センターを廃止せず、存続・拡充の要求に対し、「廃止・統合の検討は行われていない。地方センターの機能をしっかり維持していきたい」と回答。
 別府支部の代表は、介護員の専門性を適正に評価し、夜間特殊業務手当の増額や昇格改善を強く要求。これに対し「業務の特殊性や困難性は充分承知している。処遇改善を図ることができるよう各方面に働きかけていく」と回答。職名を「介護員」から「介護福祉士」に変更する要求に対して、現在、各方面と調整し実現の方向で努力していると回答。利用者の暴力・暴言に対する安全管理体制に万全を尽くすことを強く要求。また、視力センターや所沢センターで実施している宿日直問題での改善を迫りました。


年金機構職場の現状
経験ある職員急務
藤江中執が現状を報告

 全厚生の藤江成夫中央執行委員が年金機構職場の現状を報告しました。藤江さんは「私の職場は京都、日本年金機構の中京年金事務所です。私も京都の原告とともに裁判闘争を闘っています。ですから先日の大阪高裁の判決はショックで背後に大きな力が働いていることを思い知らされた」と原告の仲間とともに逆転勝利に向けて闘うことを表明しました。
 続いて藤江さんは、(1)年金機構の業務運営ー古いシステムの刷新と言いながら7年たったがまだ始まっていないこと、大慌てでその準備をして1月に見切り発車しようとしているが大惨事が起こるのではないかと心配されている、(2)そんな有様の中で人員削減計画だけは生きている。その削減を前提にしてすでに発足6年で8000人もの有期職員の雇止めを行っている、と現状を報告。
 藤江さんは「年金業務は複雑なんです。経験ある職員の確保が欠かせません。厚生労働大臣も業務に習熟した職員を増員しなければならないと発言せざるを得なくなっています」と指摘。
 最後に藤江さんは「私たちは本当に喉から手が出るくらい経験者が欲しいのです。職場復帰を求めている経験ある原告の仲間がここにいます。今こそ帰ってきてほしいと心から思います」と述べ、「その意味でこの裁判闘争に勝利しなければならないし、年金機構の業務体制、国民のための年金行政をよくしていくことにつながっている」と決意を表明しました。

原告の決意

悔しさ忘れず職場復帰する

 東京事案です。毎年12月になると、分限免職された時のことを思い出します。今月末で7年たちます。
12月19日に本人尋問に立ちます。悔しさを思い切り法廷で陳述します。
 これからも2審、3審と続くと思いますが、その時までこの思い、悔しさ、その時の原点に立ち戻って持ち続けることが重要だと思います。
 何としても勝利して、職場に復帰する思いを持ち続けたい。これからもよろしくお願いします。

負けられない上告で勝利を

 京都事案です。12月16日の大阪高裁判決は裁判所が政府の違法行為への判断を避け、裁判官は判決する権限を放棄して、理由のない結論を羅列する作文でひどいものでした。
 戦争法で国民の命を軽視し、年金カットで国民の暮らしを破壊する暴走政治。この危機的状況を反映した判決には絶対に負けられない。原告15人は誰一人脱落することなく最高裁に上告しました。微力ですが勝利するまで闘う決意です。

両代表が決意表明
JAL&IBM争議団

 JAL不当解雇争議団とIBMロックアウト解雇裁判を闘う仲間も参加し、ともに合唱し決意を述べました。
 JAL争議団の清田事務局長は機長・客室乗務員・パイロットなど3組合が統一要求をまとめて合同交渉を申し入れている。職場復帰と正当な労使関係を確立して安全運航を守りたい、と決意を表明。
 IBM争議団の橋本さんは来年3月14日判決を迎える。正義の闘いに勝利し、実りのある年にしたい、と述べました。

閉会挨拶

 閉会挨拶に立った前国公労連委員長の宮垣忠さんは「私が委員長の時に社保庁の仲間が整理解雇され、1年後にJAL、IBMの仲間が解雇された。私はこの3争議の勝利に全力をあげたい。この闘いは働く人たちの未来を切り開く闘いだ」と決意を表明しました。

東京高裁が不当判決
公務員賃下げ違憲訴訟

 東京高裁(川神裕裁判長)は12月5日午後3時、「公務員賃下げ違憲訴訟」の判決言い渡しを行いました。満席の傍聴者が見守る中、川神裁判長は(1)本件控訴をいずれも棄却する、(2)控訴費用は控訴人らの負担とするとの判決を言い渡しました。司法の役割を投げ捨て、道理なき賃下げを「合憲」とする不当判決です。
 「公務員賃下げ違憲訴訟」は、国家公務員の労働基本権制約の代償措置たる人事院勧告を無視する2年間の給与減額に対し2015年5月25日に提訴。東京地裁での不当判決(2014年10月30日)に対し、同年11月13日に控訴(国公労連と359人が原告。全厚生の原告6人は全員が控訴)し、東京高裁での逆転勝訴をめざしてきました。
 判決は、「人事院勧告は、国会を当然に法的に拘束することはできず、国会は、人勧どおりの立法をすることが義務付けられているとはいえない」としました。これでは国家公務員は、事実上無権利状態になってしまいます。引き続き、公務員の権利を守る最高裁でのたたかいが求められています。

容認できない
原告(談)

 判決は、国の財政事情から必要だという。しかし、賃下げ分の財源は全体から見れば僅かだ。財政は巨大開発等によって赤字が膨らんでいる。公務員の賃下げはいつでもできてしまう。絶対に容認できない。

憲法25条活かす行政を
厚生共闘が定期大会

 厚生共闘は10月18日、東京の全医労会館において第38回定期大会を開催しました。この大会では2016年度運動方針案が全会一致で採択され、たたかいの先頭に立つ新役員を選出。全厚生と全医労の各支部からは、青年による組織拡大の取り組みや裁判でのたたかい等が報告されました。
 新役員▽議長 佐藤晃一(全医労)▽副議長 山本潔(全厚生) 香月直之(全医労)▽事務局 長川名健(全厚生)▽事務局次長 桶谷努(全医労) 杉浦公一(全厚生)

女性部が交流集会
総会では豊かな経験を報告

 全厚生女性部は10月8〜9日、神戸市で交流集会および総会を開催し約30名が参加しました。1日目は黒豆狩りを行い、地産地消の重要性を学びました。夜景を眺めながらの夕食交流では、職場の様々な実態が交流されました。
 2日目午前中は、国衛研支部の建部さんから食品添加物の講演をいただき、午後からは総会となりました。長時間過密労働や有期雇用の実態、原水禁大会の報告等、各支部から豊かな経験が語られ、引き続き、「集まる・しゃべる・食べる・学ぶ・行動する」決意が固められ、大変充実した楽しいひと時となりました。


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