見出し

◆第1782号 (2015年7月15日付)◆
社保庁職員の解雇撤回を

厚生共闘 大幅賃上げ・定員確保を
蒲原官房長と団体交渉


 全厚生と全医労で組織する厚生共闘は6月25日、蒲原基道官房長と団体交渉を実施。厚生共闘からは岸田議長、山本・佐藤副議長、杉浦事務局長、香月・川名事務局次長が出席。冒頭、岸田議長は(1)2015年人事院勧告に向けて、国家公務員の賃金を大幅に引き上げ、職員の生活と労働の実態にふさわしい水準に改善すること。非常勤職員の年数一律の「雇い止め」を行わず、雇用の安定、均等待遇などをはかる法制度を整備すること。非常勤職員の賃金の時間額を最低1、000円以上引き上げること。休暇制度は常勤職員と同等にすること。当面、無給の休暇を有給とすること。夏期休暇を制度化すること。(2)「定員合理化計画」を撤回し、大幅な増員と充分な予算を確保すること。国立ハンセン病療養所の医療、介護、看護の充実を図るため、医師、看護師、介護員等の必要な体制を確保すること。看護師の夜勤体制は複数・月6日以内とすること、の要求趣旨を説明。続いて山本副議長が(3)社会保険庁の廃止に伴う不当な分限免職処分について、人事院の公平審査請求で処分取消の判定が出され、かつ分限免職回避努力が不十分であると認定したことを真摯に受け止め、政府・厚労省の責任で処分撤回、全面解決のために最大限の努力を行うこと。被懲戒処分者を一律不採用とする閣議決定を撤回すること、の要求趣旨を説明しました。

〔官房長の回答〕
●賃金・労働条件の改善
 公務員給与は、社会一般の情勢を踏まえ適切な水準にすべき。公務の特殊性及び職員の生活実態等を十分考慮し、安心して職務に精励できるよう適切な措置を講ずることが必要。人事院に対して働きかける。非常勤の賃金は、予算の関係で早急な対応は困難。今後も処遇改善に向けて検討する。休暇制度の改善は毎年度、人事院関係局長宛に要望書を提出。安心して公務に専念できるよう機会を捉えて要望する。

●大幅増員、国立ハンセン病療養所の充実の課題
 政府の一員として「定員合理化計画」に協力せざるをえない。国民生活の安心・安全を確保する施策を強力に推進するため、業務の重要性、特殊性等を丁寧に説明し必要な定員を確保できるよう努める。ハンセン病療養所の運営に必要な人員は、入所者の高齢化が進展している現状等を踏まえ引き続き、確保に努めたい。「複数・月6日以内」の夜勤体制は、厳しい定員事情から困難である。

●社保庁廃止に伴う分限免職処分の撤回の課題
 人事院の判定は重く受け止めている。判定は、個別の事情により処分の妥当性を欠くと判断されたもので、違法性・不当性があると判断されたのではない。処分全体の撤回は考えていない。基本計画は、信頼回復の観点からなされたと理解している。閣議決定の撤回は困難である。

  *  *  *

非常勤職員の処遇改善は急務 政府の責任で年金記録対策を
 蒲原官房長の回答を受け、岸田議長は再要望を行いました。賃金・労働条件の改善の課題では、「公務員賃金は、地域経済に与える影響が大きい。賃金改善は重要だ。非常勤職員の処遇改善は、各段の努力を要求する」と発言。大幅増員及び国立ハンセン病療養所の課題では、「現場の職員の意向を十分考慮し、必要かつ充分な人員と予算を確保するため最大限の努力を求める。ハンセン病療養所の療養環境の改善は、入所者にとって命を懸けた待ったなしの体制確立の要求だ。増員のため一層の努力を要求する」と発言。社保庁の分限免職の撤回の課題では、「回答は全く納得できない。人事院判定は、解雇回避努力が不十分と認定。全体の枠組みに重大な問題があった。厚労省の責任で処分撤回・全面解決の英断を下すべき時だ」と強く求めました。
 さらに、年金記録流出問題で発言。「原因を徹底究明し、再発防止や悪用されないよう万全の対策を取ることが重要だ。この問題は、社会保険庁の廃止・民営化で政府並びに厚労省の責任が曖昧になり、セキュリティ対策が充分でなかったことが背景にある。厚労省年金局や日本年金機構職員の個人責任にするのではなく、政府の責任を明確にして対処することが必要だ」と要望しました。


年金記録流出事件で申し入れ 職員へ責任転嫁するな

 125万件の年金記録が流失した問題で、全厚生本部の平丸、川名の両副委員長は6月17日、日本年金機構水島藤一郎理事長に宛てた「年金記録流出事件に伴う緊急申し入れ」を行いました。機構本部側は名和労務管理部長が対応しました。
 「緊急申し入れ」では、今回の流出事件について国会では国の責任を棚上げし、責任を日本年金機構に押し付け機構解体論まで飛び出していること、さらに感染メールを開いた職員が悪いかのような議論も出され、厚労大臣が「職員を処分する」などの無責任な発言まで出ていることを批判しています。
 さらに問題なのは、年金記録は重要な情報なのに民営化で省庁LANから外し、国の重要情報からも除外し放置してきた政府、セキュリティ対策について指導してこなかった厚労省の責任は重大であると指摘しています。
 そのうえで、日本年金機構が、管理者として職員の不安を取り除くこと、機構や職員への責任転嫁に毅然と対応し、職場実態を受け止めた業務運営をするための10項目要求の実現を求めました。

10項目要求
 記録流失問題で機構本部へ申し入れた十項目の要求は以下の通り。
 一 国民の不安を取り除くため事件解決に向けて全力を挙げること。
 二 流出した記録を悪用されないよう体制を整えること。
 三 ウイルス感染を想定した緊急対応を整備すること。
 四 今後のセキュリティの整備に当たっては職場実態に即したものにすること。
 五 再発防止のため職員に詳しい状況を説明すること。
 六 記録流出に伴う業務量増の必要な予算を確保すること。
 七 記録流出の責任を職員個人に転嫁しないこと。
 八 来訪者の少ない土日開庁を七月以降延長しないこと。
 九 緊急性のない業務は延期し国民対応のための体制を強化すること。
 十 記録流出に対応する事務処理を明らかにすること。


安心して働ける本省職場に

本省支部/非常勤部会を確立 勤務条件の改善に成果

 本省支部では、この間非常勤職員の組織化に力を入れて取り組み、今年に入って16名の仲間を迎えました。
 現在、旧厚生本省職場には300名を超える非常勤職員が働いており、常勤職員の定数が削減される中で、今やなくてはならない存在になっています。しかし、雇用は不安定で、採用時から半年間有休が付与されないなど休暇制度は不十分で、安心して働き続けられる実態にはありません。
 2011年4月に期間業務職員制度が導入され、組合主催の制度学習ランチ会を定期的に開催する中で、多くの非常勤職員とつながり、リアルな実態をつかむことができました。勤務条件通知書が渡されていない、病休を取得できるのに欠勤扱いになっていたなど、様々な実態、声、要望を人事課に伝え改善させるなど、組合としての力を発揮しました。その中で、仲間を増やして声を集め、もっと働きやすい職場にしようと、期間業務職員自らが、「この人を誘ってみよう、この人は入ってくれると思う」など積極的に声をかけ、組合員を増やしています。これらの背景には非常勤部会を確立したことも影響しています。人事課への申入書作成や人事院交渉への参加、年間通じた学習会、拡大目標の設定など、主体的な活動へとつながっています。

多彩なレク活動 組合って楽しいよ
 また、多彩なレク活動を展開し、楽しく活動することにも力を入れています。フラワーアレンジメント、子育てランチ会、日比谷ランチウォーク、組合員を講師に中国語講座などなど、レク活動を通じて多くの仲間を迎えています。レク活動は、組合員同士の交流、癒しの場であり、何気ないおしゃべりの中から、これっておかしいのかな?など要求が出てくることもあります。引き続き、組合員の要望に寄り添った楽しいレク活動にしていきたいと考えています。
 この間の大きな変化としては、期間業務職員が仕事で関わりのある常勤職員に対し「組合って楽しいよ」と気軽に声をかけ、新採用者を3名迎えたことです。今まで苦労していた常勤職員の組織拡大へも新たな道が開けてきました。
 引き続き、様々な声に耳を傾け、仲間を増やし、楽しく多彩に活動していく決意です。ともに頑張りましょう。


法案廃案へ正念場 「戦争法」の強行狙う

 安保法案=「戦争法」の強行を狙う政府・与党は、6月27日、国会の会期を9月27日まで95日間も延長することを賛成多数で決めました。「衆院で可決した法案が参院送付後60日以内に議決しないときは、衆院が3分の2以上の多数で可決すると成立する」という憲法59条の規程(60日ルール)も視野に衆院での強行を狙っています。
 一方、6月4日開かれた衆院憲法調査会で、参考人として招かれた憲法学者が与党推薦の学者も含めて「法案は憲法違反」と表明したのを契機に「戦争反対」「9条守れ」の声はいっそう高まり、法案廃案・安倍退陣を求める世論と、安倍改憲政権との対決は正念場を迎えています。
 幅広い分野の学者・研究者による「安全保障関連法案に反対する学者の会」も結成され、反対声明への賛同者は6月23日現在で、学者・研究者6494人、市民8829人にのぼっています。反対や慎重論が優勢な世論ですが、政権・与党はあくまで強行成立を狙っています。国会内外でのたたかいがまさに正念場です。


闘争団支援 東京の会準備 全厚生OB会

 東京事案では5月14日、東京地裁で第6回口頭弁論が行われました。宣伝行動と支援集会で、原告が「不当解雇の撤回を」と力強く訴えました。この日の傍聴行動には全厚生OB会から10名が参加しました。報告集会で鈴木晴彦OB会事務局長は全厚生闘争団を支援していきたいと決意を述べました。
 終了後のOB会幹事会で宇治橋真一さん(全厚生統計情報支部OB)が「東京の取り組みを強める必要があり、そのための『全厚生闘争団を支援する東京の会(仮称)』をつくりたい」と提案。OB会幹事会はこの積極的な提案に賛同し、結成を準備していくことになりました。
 宇治橋さんは「政府・厚生労働省による社会保険庁職員の大量分限免職処分は、公的年金への国民の不信を招いた責任を職員に転嫁したものであり断じて許されない。公務労働における首切り自由化の動きとのたたかいです。労働者の働く権利を守るためにも何としても勝利しなければなりません。東京での支援要請行動を強めていきたい」と話しています。


各地で裁判闘争 不当解雇撤回めざす

 社会保険庁不当解雇撤回めざして、全厚生は北海道、秋田、東京、愛知、京都、愛媛で裁判闘争を展開しています。
 直近では7月15日に愛媛事案が高松地裁で第6回口頭弁論が行われ、14日には北海道事案が札幌地裁で第17回口頭弁論が行われました。
 7月8日には愛知事案が名古屋地裁で第9回口頭弁論が行われました。
 各地の裁判の原告は、3月25日に京都事案をめぐって大阪地裁が出した原告の請求をすべて棄却する「不当判決」に怒りをもやし、毅然とたたかい抜く決意を固めています。なお京都の15名の原告は控訴してたたかっています。大阪高裁での第1回口頭弁論は、12月1日に行なわれます。


安心年金つくろう 杉浦書記長が訴える

 安心年金つくろう会は6月29日、東京・新宿駅西口前で宣伝行動を実施、「若い人も高齢者も安心できる年金を求める請願署名」を集めました。
 全厚生の杉浦書記長は年金情報流出問題に触れ、「社保庁の廃止・民営化が背景にある。職員個人の責任ではなく政府の責任を明確にして対応すべきだ」と訴えました。また書記長は社保庁解体以降の年金機構の現状について「6割が有期雇用職員となっている。年金業務を専門的・安定的に遂行するためにも有期雇用職員の雇用の安定化と労働条件の改善が必要だ」と指摘しました。


Back  to HOME