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◆第1781号 (2014年1月15日付)◆
厚生共闘、田村厚生労働大臣と団体交渉

社保庁職員の分限免職を撤回せよ!
公務員の中立・公平性の確保を


 全厚生と全医労で組織する厚生共闘は12月25日、田村憲久厚生労働大臣と団体交渉を実施。厚生共闘からは、岸田議長、佐藤副議長、杉浦事務局長以下、幹事会メンバーが出席。冒頭、岸田議長は(1)労働基本権の全面回復を先送りしたままで、級別定数管理をはじめとした労働条件関連の権限を内閣人事局に移管するなど、使用者権限を強化する公務員制度改革を行わず、憲法15条に基づく公務員の中立・公平性を確保すること。(2)国立ハンセン病療養所の医療、介護、看護の充実を図るため、「定員削減」計画から除外し、医師、看護師、介護員等の増員を行うこと。看護師の夜勤体制は複数・月6日以内とすること。(3)社会保険庁の廃止に伴う不当な分限免職処分について、人事院の公平審査請求で処分取消の判定が出され、かつ分限免職回避努力が不十分であると認定したことを真摯に受け止め、政府・厚労省の責任で処分撤回、全面解決のために最大限の努力を行うこと、の要求趣旨を説明。その後、田村大臣が回答しました。

〔厚労大臣の回答〕
●公務員制度改革の課題
 公務員制度改革では、級別定数管理等に関して、人事院の意見を十分に踏まえることになっている。尊重される仕組みの中で国家公務員の中立性・公平性はしっかり確保するようにと我々も思っている。ご理解をいただきたい。

●国立ハンセン病療養所を充実させる課題
 今年度はプラス・マイナス・ゼロ。来年度に向かって定数削減は45名、増員分は46名でネットでプラス1名で決着した。閣議決定がある下で事実上穴を空けた。次期の定員削減計画の中でもこの精神をしっかり盛り込んだ内容にしたい。最大限の努力をしたい。ご要望をそのまま実現することは難しいが体制を確保できる努力をしたい。定期的に入所者の方々と話し合いをして状況を聞き対応していきたい。

●社保庁職員の分限免職処分を撤回させる課題
 人事院の分限免職処分の取消判定は、重く受け止めている。これに則ってそれぞれ職場に復帰していただいている。その点では判定を厳粛に受け止めている。旧社会保険庁の廃止時の分限免職処分は、これ自体が違法性があると判定されたものでないと認識している。全体を見直すことにはならない点をご理解をいただきたい。

  *  *  *

 回答を受け、岸田議長が再要望。公務員制度改革では、「法案の仕組みを見ると中立・公正性の確保は厳しい内容になってる。憲法15条に基づき、国家公務員の中立性・公平性を確保されるよう要望する」と発言。国立ハンセン病療養所の課題では、「回答内容を聞いて喜んでいる。プラスになったことを来年度だけに限らず引き続き努力していただきたい。入所者サービスの向上の観点から、医師、看護師、介護員等の増員のため、一層の努力を求めたい」と発言。社保庁の分限免職の撤回の課題では、「この回答は到底納得できない。人事院の処分取り消し判定は、厚労省の分限免職回避努力が不十分であったことを認めたもの。行政訴訟の結果を待つのではなく、政府・厚生労働省の責任で処分撤回・全面解決を図るべきだ」と強く求め、交渉を終了しました。


裁判闘争を軸に全面解決へ
人事院闘争の到達点を力に

10人の処分取消を勝ち取り職場復帰へ
 全厚生組合員39人が不当解雇撤回を求め、人事院に処分取消の公平審査請求(不服申立て)を行ってから4年。たたかいは、5年目に入りました。昨年10月24日には第4回目の人事院判定が手交され、これで全厚生の当時者全員の判定が出されました。その結果、10人の処分取消(解雇撤回)判定を勝ち取り、厚労省への職場復帰を勝ち取りました。これは、画期的な成果(到達点)です。一方、29人が処分承認(不当判定)でした。全体では71人の判定が出され、25人が処分取消となりました。

全国で展開した様々な活動を確信にしよう
 人事院闘争では、各県・中央で行った口頭審理を通じて、不当解雇の実態を明らかにしてきました。全国ではゼッケンをつけての宣伝・オルグを展開。人事院並びに厚労省要請行動を繰り返し実施。運動は、全厚生から国公労連の産別規模へ、さらに全労連規模へと闘争の幅を広げてきました。常に、争議団の仲間と共に行動し、JALやIBMなどの争議と連帯し、乱暴な解雇を許さない共同を広げることを重視しました。こうした活動の総和が解雇撤回につながりました。

道理なき解雇に対して撤回をめざし、たたかう
 全厚生闘争団は今、裁判闘争を軸にした新たなたたかいに挑んでいます。
 人事院判定後は、処分承認(不当判定)となった当事者と十分な協議を行い、秋田(仙台地裁)、東京(東京地裁)、愛媛(高松地裁)の各当事者が提訴。愛知の当事者は2月5日に提訴(名古屋地裁)します。裁判闘争は、先行して行ってきた京都と北海道と併せ6県でたたかいます。全厚生闘争団は、道理なき解雇に対し、政府を政治的に包囲し、裁判闘争を軸に、解雇撤回・全面解決めざし、たたかいます。


期待に応える行政体制を
大臣官房人事課長と交渉

 全厚生は12月12日、秋年闘争の重点要求で大臣官房人事課長交渉を実施。交渉団は、山本委員長、市川・杉浦副委員長、川名書記長、北久保・小出・坂本・佐藤中央執行委員が出席。人事課からは土屋人事課長、浜谷参事官、上沼人事調査官らが対応しました。
 冒頭、山本委員長が趣旨説明。社保庁職員の不当解雇撤回の課題で要求。人事院は、厚労省の分限免職回避努力が不十分と認定し、処分取消を行った。この事実を受け止め、政府・厚労省の責任で全面解決のために最大限の努力を求めました。日本年金機構の業務体制の拡充では厚労省の責任ある対応を要求。さらに国立福祉施設の機能の充実・強化や独立行政法人改革の下での独法研究所の拡充を要求。また、超勤縮減、非常勤職員の処遇改善・雇用確保を要求し、誇りと生きがいのもてる職場環境づくりへの努力を求めました。これに対し、土屋人事課長が一括回答。回答後は、交渉団が各課題で要求前進にむけた厚労省当局の努力を迫りました。


回答要旨(◇要求 ◆回答)
政府・厚労省の責任で分限免職処分撤回・全面解決のために最大限の努力を行うこと。
人事院の判定は重く受け止める。処分取消は、請求者の個別の事情により処分の妥当性を欠くものと判断されたもの。社保庁廃止時の処分の違法性があると判断されたものではない。当面の基本計画は、国民の信頼を回復する観点からなされたもので、閣議決定を撤回することは困難である。
日本年金機構の安定的な業務運営を行うために、基本方針を見直し、業務体制を拡充すること。
厚労省としても国民の信頼回復のため、日本年金機構をバックアップし、一体となって年金事業の運営に取り組むことが必要である。安定的な業務運営を行うべく必要な予算確保に努力している。有期雇用職員は、未統合記録の解明の作業を集中的に実施。一定の成果をあげている。記録問題への対応業務が減少に向かうことが想定され、雇い止めは一定の理由がある。一方、有期雇用職員の正規職員への登用を行っている。引き続き、きちんと対応していく。
労働基本権の全面回復を先送りしたまま、使用者権限を強化する公務員制度改革を行わないこと。
公務員制度改革法案は継続審議になっている。級別定数の設定・改定は、内閣人事局に移管されるが、内閣総理大臣は人事院の意見を十分尊重するものとなっている。公務員の中立性・公平性の確保が重要であることは充分理解している。運用では制度官庁にご要望を踏まえた意見を伝える。
希望者全員を再任用すること。早期退職者募集制度に乗じた退職強要は行わないこと。
閣議決定では、再任用を希望する職員はフルタイム再任用により、雇用と年金の接続を図ることとされてる。必要がある場合には短時間勤務での再任用も可能とされている。閣議決定に沿ってしっかりやる。早期退職者募集制度は、退職強要してはならない旨規定されてる。制度運用の中で強要することのないよう周知する。
伊東センターを廃止せず、存続・拡充させること。職員の身分・労働条件の後退を招かないこと。
伊東センターの国リハへの統合は、政府の方針をふまえ、効率的な施設運営のためにはやむを得ない。利用定員70名を国リハに移す。伊東センターに勤務する職員の人事異動は、国リハに移動する利用者への対応を最優先に適材適所の観点で適切に対応する。機能強化では、国リハに企画経営本部を設置。ボトムアップで議論を積み重ね、中期目標を策定。その議論を現場の方々を含めてやっていく。
厚生科学研究は、国が責任を持って拡充を。独法改革は情報公開し、一方的に進めないこと。
国民の命と健康を守るために重要な研究所と認識している。独法改革では、両法人は統合することとし、日本再興戦略及び健康・医療戦略に位置づける新たな医療分野の研究体制を踏まえ検討する考えを厚労省として示した。行政改革推進会議の動きも注視し、情報提供に努め意見を聞いていく。NIH構想も説明しながら進めていく。
非常勤職員の処遇改善、安定的な雇用保障に努めること。
非常勤職員の処遇改善は、人事院関係局長宛に要望書を出している。今後も、安心して仕事に取り組みめるよう機会を捉えて要望していく。期間業務職員の採用は公募が原則。実績がある方は勤務実績に基づき公募によらない採用ができ、原則として2回まで。2度更新された方は、適正な公募の結果で採用されることは制度上否定されていない。各部局毎に異なる扱いにならないよう対応する。


国立福祉施設の拡充を
施設管理室長と交渉

 全厚生は12月9日、社会福祉部門の重点課題で施設管理室長交渉を実施。交渉団は、山本委員長、今井・杉浦副委員長、川名書記長、岩井・小出中執、国リハ支部・伊東支部・神戸支部・福岡支部・別府支部代表の計11人が出席。施設管理室からは、佐藤室長、島村補佐らが対応しました。
 地方センターを廃止せず、存続・拡充させる要求に対し、「総務省のサマーレビューの中で組織や定員の見直しを迫られ、廃止という結論にせざるをえなかった。地方センターは、これ以上のことは全く考えていない」と回答。伊東の施設廃止までの支援体制の維持並びに職員の意向や希望を充分に尊重し、職員の身分・労働条件の後退を招かないよう万全の措置を取る要求に対し、「非常に重要な事柄と受け止めている。処遇や職員の緊密な連携を考慮してやっていく。今後とも具体的に、詳細に検討していく」と回答。塩原センターの廃止に伴う特別な異動を希望する職員に対する対応では、国立鬼怒川学院という希望を示してあり、「今度の4月に向けては特に状況の変化はない」と回答。これに対し、引き続き先を見越して対応するよう要求。
 来年度の予算・定員要求では「(1)4年間ですでに10%以上の合理化を行っている、(2)多岐にわたる専門的な職種の職員が障害者の訓練・治療を行っている現業施設であり、合理化によりスクラップする事業はない、(3)自立支援局、病院、研究所が三位一体でバランスよく機能・維持しナショナルセンターとして新たなニーズにも対応しなければならず、最低限の基礎体力は必要である」と省内でも特段の配慮を求めてきたと回答。介護員の夜間手当の増額要求は「重要事項として要求していく」と回答しました。


厚生科学研究、国の責任で
厚生科学課長と交渉

 全厚生は12月18日、試験研究機関の重点課題で厚生科学課長交渉を実施。交渉団は、山崎・杉浦副委員長、川名書記長、小浦中央執行委員、感染研・国衛研・健栄研の各支部代表、伊藤厚研連事務局長、西田事務局員の13人が出席。厚生科学課からは、宮嵜課長、中山研究企画官、甲田補佐が対応しました。
 冒頭、山崎副委員長が挨拶行い、杉浦副委員長が要求趣旨を説明。厚生科学研究の拡充を求めました。これに対し、宮嵜課長が一括回答。「日本版NIH」創設などの政策展開について、「『日本版NIH』創設は、厚労省・文科省・経産省が連携して予算要求を行った。健康・医療戦略推進本部で医療分野の研究開発の重点分野とその目標を定めた総合戦略をつくる。研究管理の実務を担う独法をつくる。政府として所要の法案を通常国会に提出する。『日本版NIH』創設を円滑に行う観点から今後の政策展開について説明していく」と回答。独立行政法人改革の課題では、「健栄研と基盤研を統合し、法人のあり方は、日本再興戦略及び健康・医療戦略に位置づけられた新たな医療分野の研究開発体制を踏まえて検討する考えを厚労省として示したところ。今後とも情報提供に努めるとともに、改革に当たり両研究所との充分な調整を行いながら進めたい」と回答。
 国衛研の川崎移転の課題では、「平成28年度末の竣工をめざし来年(26年)度から建設工事に着手する予定。今後とも移転計画の概要は、移転を円滑に進める観点から適宜情報提供するとともに、特定国有財産整備計画に沿った施設整備が実施できるよう努めたい」と回答。情報システム改革の課題では、「移行にあたり、必要な対策が講じられるものと認識しているが、システムに支障が来す恐れがあるものがあれば相談されたい」と回答しました。


有期雇用職員の雇用確保を
安心して働ける職場を実現しよう

 政府は、日本年金機構を発足するにあたって外部委託、システム化等を理由に、社会保険庁の定員と比べて2200人を超える定員削減を行い、正規職員10880人、有期雇用職員8千人を基本としスタート。また、年金記録整備(22〜25年度)の対応のため、約1万人の有期雇用職員を雇用しました。
 発足当時、定員削減と多くの退職者で、経験、知識のある職員が激減し、年金相談対応も十分にできず大混乱となりました。また、記録問題優先で保留していた業務整理も進めていかなければならず、正規職員に過度な負担がかかり超過勤務が増大、基幹業務に配置された有期雇用職員の役割も重要になりました。
 全厚生は、国民の年金制度に対する信頼回復のためには安定した業務運営体制の確保が最も重要と主張し、有期雇用職員の雇用確保を運動の大きな柱として位置づけ取り組んできました。
 毎年、雇用確保の署名を取組み、年金機構本部、厚労省官房人事課交渉で提出し、厚労省、年金機構を追及。昨年10月には、有期雇用職員全国集会を150人の結集で成功させました。安心年金つくろう会の提起する街頭宣伝でも年金機構の職場実態を明らかにし、記録問題早期解決のためには有期雇用職員の雇用の確保が必要なことを訴えてきました。
 こうした中で、日本共産党がこの問題に注目。参議院の田村智子議員が昨年の通常国会で、記録問題解決のために経験ある職員の雇用確保が不可欠だと主張し、政府の責任を追及。改めて国民的課題に押し上げる重要な取り組みになりました。
 昨年度の交渉では事務センターの有期雇用職員の雇用延長を勝ち取り、今年は、年金機構で働くすべての有期雇用職員の雇用延長を求めて交渉を重ねています。年金機構本部は26年度の准職員を雇用する予算は何とか確保しましたが、今年度末で特定契約職員、アシスタント契約職員2千人を雇い止めする方針を変えていません。
 引き続き、重要な局面の中、春闘で取組みを強化して雇用確保に全力をあげます。


賃上げ、有期職員の雇用確保を
年金機構本部と交渉

 全厚生は、11月26日に年金機構と交渉を実施しました。交渉には、機構本部から坂巻理事、浜名労務管理部長、木谷人事管理部長、桃田給与グループ長、村田労務管理グループ長。全厚生からは山本委員長、平丸・杉浦副委員長、川名書記長、佐藤中央執行委員の5人が参加。今回の交渉では、記録問題の総括、大幅賃上げ、有期雇用職員の雇用確保、広域人事異動のルール化、協会健保との人事交流などの課題について要求しました。
 交渉の冒頭、山本委員長が「有期雇用職員の雇用継続を求める要請」署名1151筆を提出しました。「国民の信頼回復のためには、安定した業務運営が求められる。そのための予算、体制をしっかりと確保すべき」と主張し、各課題について年金機構の考え方を質しました。
 これに対して年金機構は、定員の課題では、来年度予算の削減がどの程度になるか見極めながら、予算確保に向けて最善の努力をしていきたい。給与減額支給措置は、26年3月31日をもって終了する。
 特定契約職員の処遇改善については、今後の課題として受け止めていきたい。超過勤務の管理については、時間外勤務の縮減に取り組み管理者への指導を行っている。引き続き徹底していきたい。サービス残業に関しては、労働基準法上あってはならないものであり、実態があれば適切に対応する。
 有期雇用職員の今年度末の期間満了に伴う対応については、業務の円滑な実施に支障が生じないよう、事業縮小による雇止めをできる限り回避する方向で考えている。いずれにしても、平成26年度予算の措置状況等を踏まえ事務処理体制を整備し、引き続き、安定的な事業運営の実施に向けて必要な予算確保に向けて努力する、と回答しました。


契約職員の雇用継続を
健康保険協会本部と交渉

 全厚生は11月27日、健康保険協会本部と交渉を実施しました。交渉には、協会本部から熊本総務部長、槇沢総務人事グループ長、前島総務人事専門役。全厚生からは山本委員長、平丸副委員長、川名書記長、松本近畿支部執行委員の4人が参加しました。冒頭、委員長が基本要求書に基づいて趣旨説明し回答を求めました。回答は次の通りです。
 1.憲法25条を基本に公共性を重視し、被保険者、国民サービスを後退させないこと。
(回答)健康保険協会となったことで、地域に根ざして、健康増進などサービス向上に努めている。また、重要な日本の皆保険の一翼を担っている。今後も公的使命を担っていることを受け止め引き続き頑張っていきたい。
 2.2013年12月期の賞与の支給割合を引き上げ、契約職員にも賞与を支給すること。
 3.憲法違反の給与改定・臨時特例法に基づいて実施した賃金減額支給措置を直ちに廃止すること。
(回答)現時点で、賞与の支給割合を引き上げる社会状況にない。契約職員の賞与支給も現在は困難だが今後の課題ではある。賃金減額支給措置について延長は行わない。
 4.広域人事にあたっては、本人の意向を尊重するとともに、生活環境や家庭環境の変化など職員の生活状況等をふまえ、一方的な人事異動は行わないこと。また、業務運営上関連性が高いことから厚生労働省、日本年金機構との人事交流を行うこと。
(回答)人事異動は職員の特殊事情は十分考慮している。年金機構との人事交流については現在は考えていない。ただし、否定するものではない。
 5.システム刷新に伴う契約職員の雇用継続の考え方を明らかにすること。
(回答)システムの刷新については、平成27年1月より実施する予定。早急に方向性を示すようにしていきたい。契約職員の雇い止めも回避するよう努力したい。と回答しました。


語り合うことが組織化への第一歩
第18回女性部総会ひらく

 全厚生女性部は11月23日、都内で第18回女性部総会を開催。代議員10人、全体で23人の参加で開催しました。
 冒頭、鈴木幹事からの開会あいさつに続き、小出女性部長が挨拶。女性部活動への思いが語られました。また、本部・市川副委員長の挨拶では、この間の3年強にわたる社保庁不当解雇撤回闘争での成果や、賃下げの延長を行わない結論を総務省が決定したのは、賃下げ違憲訴訟の運動の成果であるなど、労働組合の存在意義について熱く語っていただきました。
 梅澤事務局長からの議案提案の後、討論が行われ、傍聴参加者も含め全員が発言しました。本省支部からは、非常勤職員も組合に加入する仲間が増えてきたが、引き続き拡大に努力するとともに処遇改善を求めたいとの発言とともに、今期から新たに幹事に加わった非常勤職員からも自らの処遇に疑問があるので解決していきたいとの力強い発言も出されました。さらに今期は基盤研支部からも幹事を迎えましたが、各支部の活動について積極的に情報交換しながら運動につなげていきたいとの発言もありました。年金機構本部支部からは、職場が分散しているので、組合員同士の交流がなかなか持てないという苦労があるとの発言や、伊東支部からは、来年度末で職場がなくなる中で転居を伴う異動を受け入れるか退職するかという悩みを抱えている仲間がいるとの発言もありました。近畿支部からは、女性部としての活動はなかなか実現していないが、有期雇用職員向けの学習会やフラワーアレンジメントの講習会を企画中との発言もありました。
 支部ごとにいろいろな課題はありますが、集まって話をするだけでも情報を交換・共有できる、語り合うことが組織化への第一歩であることが確認できました。
 皆さんの発言を生かすべく、女性部は今期も頑張りますので、よろしくお願いいたします。


社保庁不当解雇撤回闘争
全厚生、ILO結社の自由委員会に申し立て

 全厚生は昨年11月5・6日、スイス・ジュネーブのILO本部に出向き、ILOのガイ・ライダー事務局長に対し、「日本政府の全厚生労働組合に対するILO87号、98号条約違反に関する日本国政府を相手方とする結社の自由委員会への申し立て」を行いました。この直接要請は、全労連公務部会が11月4日〜8日までの8日間、ILO要請及びドイツにおける公務員制度調査とポルトガル公務員労働組合訪問を実施した中で行ったもの。全厚生からは、杉浦副委員長、全厚生闘争団当事者の川口さんが参加しました。

団結権侵害はILO条約違反

〈1〉ILO国際基準部に直接要請
 11月5日午前10時、ILO労働者活動局との懇談を行いました。労働者活動局は、ILOと労働組合とをつなげ、支援する部局であり、アナ・ビヨンディ次長らが対応。申し立て前日の準備会議となりました。意見交換を通じて、ILOの中で労働組合は重要な位置にあることを肌で感じました。「労働者間の連帯、正規・非正規の連帯をつくることは、労働組合の役割である」との指摘には、信頼できるスタッフと出会えた思いです。午後はパリから駆けつけたPSI(国際公務労連)の担当者と懇談。続いてILO産業部門局の担当者と懇談しました。
 翌日6日は、申し立てを行う本番。午前10時にILO国際基準部で要請を行い、アルベルト・オデロ副部長らが対応しました。国公労連からは公務員制度改革の新たな情報提供を行い、全厚生は、杉浦副委員長と当事者である川口さんが直接訴えて申し立てを実施。その場で受理されました。オデロ氏は、「これは、的確なILO条約違反のケースだ」、「ILOは権威と専門性を持って対応する」とコメントしました。

〈2〉杉浦副委員長の発言(要旨)
 ILO(結社の自由委員会)への申し立てを行う理由は次の通りです。今から3年10カ月前、日本政府は、社会保険庁を廃止し、民営化しました。その際、政府・厚生労働省は、社会保険庁で働く525人もの労働者の整理解雇を行いました。この過程で政府は、労働組合を敵視し、その権利を否定し、団結権を侵害しました。ILO第87号条約第2条、並びに第98号条約第1条第2項に違反することを指摘します。労働者の誇りと権利を奪う解雇です。労働組合として断じて認めるわけには行きません。
 この整理解雇は、年金制度に対する不満や怒りの矛先が政府に向かないように、年金政策の様々な問題の責任を社会保険庁や現場の職員に転嫁する中で行ったものです。
 社会正義をめざすILOが、私たち全厚生の受けた攻撃の本質を理解していただき、日本政府に対する必要かつ十分な対応を行っていただくことを強く要請いたします。

〈3〉当事者の発言(要旨)
 社会保険庁の労働組合敵視政策の直接攻撃の対象となった当事者として、訴えます。私は全厚生京都支部の書記長という立場で、事前協議などで労働組合としての窓口対応を行っていました。2004年を境に社会保険職場における使用者側がおかしくなりました。よりよい公務サービスで意見を出し合って話し合いですすめてきた関係を、政府与党の露骨な介入により破壊され、さらには労組役員に執拗な攻撃を繰り返しました。これは、組織の自由と団結権を侵害するものです。また、使用者も許可してきた時間内の組合活動を無許可専従として突然取り上げられ、懲戒減給処分を受けました。当時の舛添厚労大臣により背任罪として刑事告発までされました。最後には、日本年金機構に懲戒処分を受けたものは一切採用しないという閣議決定により解雇されました。私がこの弾圧から一日も早く解放されるように日本政府に具体的な働きかけを行って下さい。

  *  *  *

ILO(国際労働機関)とは
労働者代表が直接参加の国際機関

 ILO(国際労働機関)は、第1次大戦後の1919年に、ロシア革命(1917年10月)から大きな影響を受けて、人道的な労働条件の実現をめざして結成。第2次大戦後、国連の専門機関になりました。
 ILOの大きな特徴は、労働組合の存在を前提に結成された国際組織だという点です。労働者と使用者の代表が政府の代表と同等の地位において意思決定する、「三者構成主義」という原則で運営されています。労働者のたたかいの成果と声を直接反映することのできる国際機関です。
 ILOの基本精神は、“社会正義なくして世界平和なし”という考え方です。総会は、ILOの最高決定機関です。毎年6月(会期は3週間)に行われ、条約と勧告の採択、加盟国の承認、予算、分担金の決定を行います。
 現在の加盟国は185カ国。日本は常任理事国を務めています。

  *  *  *

ILO 87号条約及び98号条約
 87号条約は「結社の自由及び団結権の保護に関する条約」。第2条では、「労働者及び使用者は、事前の許可を受けることなしに、自ら選択する団体を設立し、及びその団体の規約に従うことのみを条件としてこれに加入する権利をいかなる差別もなしに有する」と規定。
 98号条約は、「団結権及び団体交渉権についての原則の適用に関する条約」。第1条第1項は、労働者は、雇用に関する反組合的な差別待遇に対して充分な保護を受ける。第2項は「前記の保護は、特に次のことを目的とする行為について適用する」とあり、その行為には、「組合員であるという理由又は労働時間外に若しくは使用者に対し不利益な取扱をすること」と規定しています。


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