全厚生新聞・第1779号 見出し

◆第1779号 (2013年9月15日付)◆
政府・厚労省の責任で全面解決を

3回目の人事院判定で処分取消(全厚生3人)

 人事院は8月19日、旧社保庁職員の分限免職処分取消請求に対し、全厚生組合員11人に判定を出しました。3人の処分を取り消す一方、他の8人については処分を承認しました。同日、全厚生以外では15人の判定が出され、合計すると26人中10人が処分取消。これまで3回の人事院判定の合計では46人の判定が出され、16人が処分取消となっています。社会保険庁の解体・民営化に伴う分限免職処分の違法性、不当性が一層浮き彫りになりました。この日は猛暑の中、人事院前行動を実施。昼休みには約200人の仲間が駆けつけ、行動を成功させました。
 8月19日は、多彩な行動を展開。午前中には全労連の社保庁不当解雇撤回闘争対策会議で情報交換。その後、午前11時15分から人事院前要求行動を実施。猛暑の中で多くの支援団体・組合が駆けつけました。午前11時30分、人事院判定の結果(第一報)を全厚生の副委員長が報告。全厚生事案11人の判定について、東京事案、愛知事案、岐阜事案、愛媛事案の判定が出され、処分取消は3人、処分承認(不当判定)は8人と報告。昼休みには人事院判定の結果を踏まえ、人事院前要求行動を実施しました。
 主催者挨拶した国公労連の川村副委員長は、「これまで3回の人事院判定で46人の内、16人が処分取消(3割5分)されたことは、処分自体がまちがいであり、政府・厚労省のの不当解雇の実態がいっそう明らかになった。国民の年金権を守るため、すべての解雇撤回のために最後までたたかう」と訴えました。判定内容を報告した社保庁不当解雇撤回全国弁護団の加藤健次弁護士は、「今回の人事院判定は、雇用を守るべき政府・厚労省の解雇回避努力をしなかったことだけでなく、政府の不公正で差別的な取扱いを断罪しなかった。人事院が公正・中立な機関であるならば、今回の判定について人事院は猛省すべきだ。全国で粘り強くたたかい、処分取り消し判定を勝ち取った運動の到達点に確信を持ち、全面解決にむけて運動をもっと広げよう」と呼びかけました。
 取消判定を勝ちとった全厚生闘争団の事務局次長は、「不当解雇から3年8カ月。愛知から東京に出てきて運動を積み重ねてきた結果、勝利判定を勝ちとった。支援していただいた全国のみなさんに心から感謝する。たたかいながら、労働組合の力が大きいことを実感した。民間の仲間と連帯して乱暴な解雇を許さない運動を強め、すべての仲間の職場復帰をまざして、要求実現のために引き続き、がんばります」と力強く訴えました。
 最後に、「人事院は公正・公平な判定を行え」「社保庁職員の分限免職処分んは全員取り消せ」「国による不当解雇は許さないぞ」とシュプレヒコールを行い、解雇撤回・全面解決までたたかう決意を固めました。
 なお、この人事院前行動には、全厚生闘争団はもとより、国公労連並びに各単組、東京国公、全労連の各単産、県労連、民間労組、東京争議団、JAL不当解雇撤回裁判原告団、JMIUの仲間など約200人が参加しました。
 また、同日午後には、厚生労働省記者クラブで記者会見。夕方には愛知と岐阜で記者会見、翌日には愛媛で記者会見を行いました。

みなさんのご支援のおかげでがんばれました

 9月13日、全厚生岐阜県協議会は、勝利報告集会を岐阜市内のグランヴェール岐山で開き、当事者と職場や労働組合、各界の代表者など70名が参加。お祝いの言葉や、歌などで喜びあい、盛り上がった集会となりました。
 主催者の全厚生中部支部岐阜県協議会の議長は、「勇気を出して申立の決断をした。勝利を迎えられ本当によかった。まだ判定待ちの仲間が全国で17名いる。引き続き今後とも支援をよろしくお願いしたい」と挨拶しました。
 続いて分限免職の取消で職場復帰となり、「(分限免職され)言いたいことはたくさんあります。みなさんのご支援のおかげでここまでがんばれました。本当にありがとうございました。これからはたたかっている仲間の支援していきたい。」と新たな決意を語りました。
 その後、代理人弁護士の代表は「社保庁のことはあまりわからなかったが、このたたかいに関わり不当だと確信した。分限免職が『おかしい』という声を上げ、支援していただいた組合などのがんばりがこの勝利の力になった。人事院の判定の内容は不十分だったが、まだたたかっている仲間がいる。引き続きの支援を」と訴えました。

全員の職場復帰を実現するためたたかいが続きます

 厚労省内での記者会見に出た後、愛知に直行して記者会見。笑顔で発言。
 今回の判定も、4月、6月にでた判定と同様に、社保庁・厚労省に解雇回避努力義務があったものの、その努力が不十分であったと指摘しています。しかし、救済される範囲については、社保庁から厚労省へ転任を希望する人に行われた面接の評価で、実際に転任できた人と同等以上の評価を得ていた人と同等以上の評価を得ていた人に限定され、転任されなかったことが公平・公正さを欠くとして解雇取消になっています。
 実際、面接は10分程度のもので、これまでの勤務成績と関係なく印象で決まるものであり、これで判定結果が分かれるということには納得いきません。やはり、解雇回避努力が不十分のため全員の解雇取消・職場復帰が当たり前ではないでしょうか。全員の職場復帰を実現するためのたたかいが続きます。引き続き、ご支援をよろしく、お願いします。


国民本位の行財政・司法の確立を!
国公労連59回定期大会

 国公労連は8月29日から3日間、第59回定期大会を都内で開催。憲法をくらしと行政にいかし、国民の安全・安心を守り、民主的な行財政・司法を確立するために全力でたたかう方針を確立。全厚生からは、副委員長と書記長が厚生共闘代議員として参加。副委員長は、人事院闘争で処分取消判定を勝ち取り、壇上で発言。不当解雇撤回闘争支援へのお礼と裁判闘争を軸にして全面解決をめざす決意を表明。続いて職場復帰を果たした2人が、勝利のお礼を述べ拍手につつまれました。書記長は、日本年金機構の有期雇用職員の雇い止めを撤回させ、安心して働き続けられる職場を作るために全力でたたかう決意を述べました。

国公労連のたたかいの重点課題は、これです!

(1)「誰もが安心して働き続けられる社会」をめざす運動と協力・共同を推進する
 私たちがめざす社会は、憲法にもとづいて戦争のない、充実した社会保障をはじめ等しく人権が保障される社会、良質な雇用と人間らしく生活できる賃金が確保され、食糧自給と原発に頼らない安心して暮らせる社会である。そのためには、政府の姿勢を変えることが重要であり、広範な国民諸階層との協力・共同をひろげるために奮闘する。
(2)民主的な行財政・司法確立にむけた取り組み(「21世紀国公大運動」)を推進する
 私たちがめざす社会を実現するためには、国民の生活と権利を保障する公務・公共サービスの拡充が必要不可決である。しかし、政府は、財界の求めに応じて、公務・公共サービスを切り捨てて「小さな政府」づくりに躍起になっている。これに対して、憲法をくらしと行政にいかす「21世紀国公大運動」を継続発展させる。
(3)賃金改善など国公労働者の労働条件改善と権利を守るとりくみを推進する
 当面する最重点課題は「賃下げ特例法」の即時廃止であり、少なくともその「延長」や「恒久化」を阻止する。そのため、実力行使態勢の確立を含む職場からの議論を深めるとともに、「賃下げ違憲訴訟」の勝利をめざし共同闘争をさらに前進させる。
(4)国公産別組織と機能を強化・拡大するとりくみを推進する
 要求前進のためには、幅広い協力・共同と国民諸階層の理解と支持が不可欠であり、運動の舞台は職場から地域へと広げていくことが重要である。地域の運動の中心は県国公であり、それをリード・支援するのがブロック国公である。ぞれぞれの連携強化で全体の活動の活性化につなげる。労働組合の力の源泉は組合員の結集力、すなわち数と連帯の力である。組織を拡大すると同時に情報発信の機能強化に努める。併せて非常勤職員の組織化の推進と必要な情報提供に心がける。組織を大きく、強く発展させるために奮闘する。


闘いは続く。仲間全員の取り消しまで

 約3年間苦しい闘いでしたが、皆様のご支援ご協力により分限免職が取り消しになりました。本当にありがとうございます。心より感謝申し上げます。しかし16人の仲間が分限免職を承認されてしまいました。とても残念で悔しく怒りが込みあげて来ます。まだ17人の仲間が人事院の判定を待っています。闘いはまだまだ続いています。気持ちをしっかり持って、仲間全員が分限免職を取り消しになるまで、この大きな壁に対し共に乗り越えましょう。


一日も早く、全員が喜べるこうように

 この度の人事院判定により、8月1日から秋田労働局に復職することができました。復職を果たす事が出来て最も喜んでくれたのが妻でした。約3年半に渡る長い間苦労をかけた分、その分喜びも大きかったものと思います。一日も早く不服申立者全員がその家族も含めて、心から喜べるような結果を迎えられるよう、今後も皆様のご支援ご協力をお願いします。結果として不当な解雇は許されない世の中をみんなで築いていけたらと思います。


公務員も国民のひとりである

憲法が保障する権利の否定は許されない

 憲法21条は、身近なものと感じることはできないかも知れません。しかし、厳然として、民主主義の根本として存在します。これまで、言論・表現の自由に関しては、政府による様々な規制が行われ、その上、裁判所は憲法に反する判決を繰り返してきました。
 憲法12条は、国民が不断の努力で権利を守る必要があるとしています。このことは、国民自らがこうした規制とたたかわなければならないことを物語っています。
 そして最も重要なことは、公務員も国民のひとりであり、自らが求める政策を実現するため、特定の政治団体、政党を支持して政治活動をすることは当然のことだということです。
 社会保険庁の分限免職や人事院勧告制度を無視した賃金カットなどの実態をみれば、どういう政府を作るのかは、公務員の生活にとって極めて切実なものと言えます。政治活動に実際に参加するか否かはともかく、憲法が保障する権利が一法令(国公法と人事院規則)によって否定されることは許されないことです。
 国家公務員の政治的行為の規制の本質は、防衛省沖縄防衛局長の宜野湾市長選への介入は問題とせず、堀越事件や世田谷事件のような職務と関係のない行為を規制しようとすることにあります。
 しかし、昨年12月、最高裁は国家公務員の政治的行為の一律全面的規制が誤りであることを認めました。
 国家公務員にとって、一国民としての権利が少しは近づいたと言えるのではないでしょうか。


被爆地を訪問し、被爆体験を聞く、
仲間と交流、平和を学び、考える

原水爆禁止2013年世界大会に参加

 8月7日から9日の3日間、長崎市で開催された原水爆禁止世界大会に、全厚生青年対策部の代表団として参加しました。
 私たちは、全厚生本省支部青年部で今年度から平和担当チームを設置し、平和の取り組みを行ってきました。平和を自分たちの問題として考えるために、昨年の平和大会in東京で行われた横田基地見学ツアーに参加したり、映画鑑賞会、本部青年対策部主催の平和学習・横須賀基地見学ツアーに参加するなど、取り組んできました。
 一方で、支部では、女性部・非常勤部の皆さんが、世界大会に向けて昼休み時間などを利用して千羽鶴を折る取り組みを行い、千羽鶴を作り上げました。
 私たちは、支部の代表として、平和のことを考えに、また千羽鶴を届けに世界大会に参加しました。ご協力いただいた募金は、支部内外から9万円以上ものご支援をいただきました。
 大会期間中、今回の世界大会のために長崎に集まった青年たちの交流会に昼夜参加しました。皆、核兵器のない平和な社会の実現に向け日頃から取り組んでいる人ばかりで、大変な刺激を受けました。また、オリバー・ストーン監督はじめ、海外代表の方から日本の平和運動に注目している発言が多々あり、唯一の被爆国としての役割を感じました。
 千羽鶴は原爆犠牲者慰霊平和祈念式典の行われる平和公園に届けました。
 核兵器のない平和な社会の実現のためには、まず皆が核の恐ろしさを正しく理解する必要があります。そのために、実際に原爆が投下された被爆地を訪問し、被爆者の方から被爆体験談を聞くこと、原爆資料館を見学して被害の大きさを学ぶことは非常に重要だと思います。
 今後、一人でも多くの方に核兵器の問題について関心をもっていただけるよう、微力を尽くしてまいります。


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