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◆第1766号 (2012年4月15日付)◆
原告団結成5月25日提訴
公務員賃下げ違憲訴訟へ

 「賃下げ法」(=国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律)により、4月の賃金は大幅な引き下げです。憲法違反の暴挙です。これに対し国公労連は、「公務員賃下げ違憲訴訟」でたたかう方針を決定し、原告団の募集の手続きを開始。5月25日に東京地裁に集団提訴することを決定しました。全厚生も、この方針を積極的に受け止め、中央執行委員会メンバーを軸に原告団を組織します。

国家公務員の賃下げは、国民総犠牲のの突破口
 4月分の給与明細を見て、賃金の大幅減額に怒りをもった人が大部分ではないでしょうか。2011年度人事院勧告の平均0・23%削減を11年4月に遡って実施。4月からは、12・13年度にわたり、平均7・8%削減が強行されました。賃下げ法案の強行は、すべての労働者に保障された労働基本権を剥奪し、その「代償措置」とされてきた人事院勧告を大幅に超える賃下げです。
 政府は、国家公務員の賃下げの理由として、国の財政事情や震災復興の財源を捻出するためと説明してきました。しかし、今、社会保障と税の一体改革と称して、消費税大増税と社会保障の総改悪を推進しています。国家公務員の賃金削減という公務員攻撃は、国民総犠牲の突破口にさせられています。そのねらいを明らかにして、国民の支持と理解を得ながらたたかいます。

賃下げの違憲・違法性を司法の場で明らかにする
 国家公務員も憲法28条でいう勤労者(労働者)です。しかし、すべての労働者に保障されている労働基本権が不当に制約されています。争議権が一律全面禁止、団体交渉も協約締結権がありません。その「代償措置」として、人事院勧告制度があり、政府は人勧を尊重すべき立場にあります。その人勧を大幅に超える賃下げは、国家公務員法第28条の「情勢適応の原則」を無視するものです。さらに国会では、民主、自民、公明3党が議員立法という手法を使い合理的根拠のない賃下げ法案を強行しました。その上、当事者である国家公務員を代表する国公労連との合意どころか何の説明もありませんでした。
 今回の賃下げは、行政府も立法府も国家公務員の基本的人権を蹂躙するものであり、憲法違反です。裁判闘争は、この違憲・違法性を司法の場で明らかにするものです。

 闘争体制を確立します
 公務員賃下げ違憲訴訟をたたかうために国公労連は、「公務員賃下げ違憲訴訟」闘争本部を立ち上げます。闘争本部は、国公労連中央執行委員会と各単組書記長で構成する中央闘争委員会でつくります。この闘争本部は、5月24日の第139回拡大中央委員会で確認される方針を具体化します。併せて、弁護団との連絡・調整を行いながら全国的な取り組みを推進するための企画・援助を行います。


期待に応える行政体制を
大臣官房人事課長と交渉

 全厚生は3月29日、大臣官房人事課長交渉を実施。交渉団は、山本委員長、市川・平丸・山崎副委員長、杉浦書記長、梅澤・北久保・小出中央執行委員が出席。人事課からは小川人事課長、樽見参事官、伊東人事調査官らが対応しました。
 冒頭、山本委員長は、(1)憲法違反の国家公務員の賃金削減法を廃止すること、(2)社会保険庁職員の不当解雇撤回と分限免職処分を取り消し、厚労省の責任で年金機構の正職員に、2年3カ月の有期雇用職員の安定した雇用確保、(3)国立福祉施設の機能強化・充実と塩原視力障害センターでの身分・労働条件の確保、(4)独法研究所は国の責任で拡充することを強調し、誇りと生きがいのもてる職場環境づくりへの努力を求めたのに対し、人事課長が一括回答。回答後、交渉団が各課題で要求前進にむけた厚生労働省当局の努力を迫りました。

回答要旨(◎要求 ●回答)
◎「国家公務員の給与の改定及び臨時特例に関する法律」を廃止すること。
●議員立法による「給与改定及び臨時特例に関する法律」は、人勧の給与改定と未曾有の国難に対処するための臨時かつ特例の措置として行う異例のもの。職員の皆さんが日頃より、職務に精励してきたことは認識している。生活に影響を与えるが全体状況をご理解いただきたい。

◎社保庁職員の分限免職の撤回、安定した雇用確保を。2年3カ月の有期雇用職員は任期後の安定した雇用確保を。分限免職処分を取り消し、厚労省の責任で年金機構の正職員とすること。
●組織が廃止されたことにより国公法の規定に基づき適切に行われたもの。分限免職処分を撤回することは難しい。2年3カ月の非常勤職員の任期は平成23年度末で満了する。平成24年度も平成23年度と同規模の非常勤職員を採用する方向で一般公募した。厚労省は年金機構の職員採用で何の権限もない。厚労省として、北久保氏の採用に関して、年金機構に対して行えることはない。

◎国立更生援護機関の組織再編にあたり、職員の身分・労働条件の後退を招かないよう万全の措置をとること。人事異動では、塩原で働く職員を最優先して対応すること。
●職員の身分・労働条件は、きちんとやっていく必要があり、ご意見を伺い円滑にやっていきたい。統廃合に伴って伊東・塩原センター職員への勧奨退職は行わない。転勤先等の意向調査を行い、職員の意向を十分に可能な限り尊重する。

◎2つの独立行政法人研究所は、国が責任をもって拡充すること。統合について、ビジョンや目的を明確にするとともに、一方的に作業をすすめないこと。
●法人職員の雇用の安定に配慮するとともに、両研究所と十分な合意形成に努めるように厚生科学課に伝える。統合は、どのような目的、ビジョンでやるのか、プラスの方向の統合になるように組合とも充分話をして、中でも充分議論していく。

◎業務量に見合う定員の確保。パワーハラスメント対策等、職員の健康と安全の確保を。
●要員の確保は、業務の重要性、特殊性を主張し、真に必要な定員の確保について、今後とも最大限の努力を行っていきたい。パワー・ハラスメント対策では、研修等の機会を通じて、防止について注意喚起するとともに、職員からの苦情は通報者が不利益な取り扱いを受けないよう配慮するなど適切な対応に努めている。

◎期間業務職員制度の運用にあたり、安定的な雇用保障に努め、安易な雇い止めを行わないこと。
●期間業務職員の採用は、公募が原則。公募によらない採用は、2回までとするよう努めている。2回採用された職員を適正な公募を経て、結果として更に採用することは制度的に否定されていない。3年間任用された後、雇い止めすることをルール化するものではない。今後とも、適正な運用に努めていきたい。


JAL不当解雇撤回判決
攻撃跳ね返し、職場復帰を

 一昨年(2010年)大晦日に日本航空が強行した整理解雇事件で、東京地裁は3月29日(運航乗務員原告76人、渡邉広裁判長)と30日(客室乗務員原告72人、白石哲裁判長)に、原告の請求を退ける不当判決を行いました。JAL不当解雇撤回国民支援共闘(日本航空の不当解雇撤回をめざす国民支援共闘会議)は、総会を兼ねた決起集会を4月5日に東京・四谷区民ホールで開催(626人が参加)しました。

 裁判提訴から1年3カ月。JAL不当解雇撤回裁判は、整理解雇の4要件をなし崩しにさせないたたかいとして、空の安全を守るたたかいとして、すべての労働者にかけられた攻撃を跳ね返すたたかいとして、判決が注目されていました。
 しかし、2つの判決は「会社更生手続においても整理解雇法理は適用される」としたものの、実質的には整理解雇の4要件を適用しないという矛盾に満ちたものでした。しかも、証拠に基づく原告の主張を、何ら明確な根拠も示さず一方的に退ける不当な判決でした。

会長発言を無視
 経営トップの稲盛和夫会長(当時)が法廷で行った「会社の収益状況から行けば、誰が考えても雇用を続けることは不可能ではなかった」との証言は、原告の主張を強く裏付けました。にもかかわらず、客室乗務員の判決で「苦渋の決断としてやむなく整理解雇を選択せざるを得なかったことに対する主観的な心情を吐露したにすぎない」として、人員整理の必要性を否定する根拠にはならないと判断しました。

原告団長が決意
 総決起集会は、不当判決に対する怒りと解雇撤回をめざす決意を固める場となりました。原告全員が登壇しての決意表明。山口宏弥パイロット原告団長は「解雇自由の社会は許さない、安全と公共重視の日航再建を、司法の反動化は許さないという3点で力いっぱいたたかう」と決意。内田妙子客室乗務員原告団長は「判決をひっくり返すには相当な力を結集しないといけない。その壁は厚いし高いと肝に銘じてたたかう。判決への怒り、悔しさを10倍も20倍もエネルギーにしてまきかえし、勝利判決を導くようたたかう。『不当解雇撤回』が今年の流行語になるくらい全国各地で叫び続ける」と職場復帰への強い決意を語りました。集会では「控訴審では必ず勝利判決を勝ち取り、原告全員を職場に戻し、安全第一の日本航空を築くために全力を挙げて闘う」との決議文を参加者全員で確認しました。

(1)人員整理の必要性
 必要稼働数を超える人員削減を図ることが「更生計画」の目的。倒産状態に陥らないために、事業規模の縮小に見合った人員削減を行うことは妥当である。
(2)解雇回避の努力
 希望退職を募ったので「解雇回避努力」は履行された。
(3)解雇対象者選定の合理性
 人選基準に過去の病欠・休職歴、年齢を採用したことは、会社の恣意が入る余地がなく、一定の合理性がある。
(4)手続きの妥当性
 事務折衝や団体交渉でその都度関係資料を配付し、整理解雇を実施する場合の種々の事情について「真摯に説明した」「本件解雇に当たっての手続的相当性は十分に備えていると評価するのが妥当」と妥当性を認めた。


あなたも全厚生へ
生き生きと働ける職場を一緒に作りましょう!

 全厚生は、厚生労働省およびその関係機関(本省、試験研究機関、独立行政法人、社会福祉施設、全国健康保険協会、日本年金機構など)の職員でつくる労働組合です。
 私たちは、ともに働く仲間の労働条件を改善するために活動しています。また職場のことだけでなく、憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を誰もが送れるよう、国民の願いにそって社会保障制度を拡充させること、そのためにも戦争をなくして、平和と民主主義を確立することなどをめざしています。
 毎日の仕事の中で、業務や人間関係などで悩むこと・不安なことも多いと思います。そんなとき、全厚生にはなんでも話し合える仲間がいます。全厚生に加入して、多くの仲間と職場の悩みや困ったことを交流しましょう。そして、一緒に考え解決しながら、もっと生き生きと働ける職場をご一緒につくりましょう。


試験研究機関の要求前進へ
厚研連委員会ひらく

 試験研究機関の各支部でつくる全厚生試験研究機関支部連絡協議会(厚研連)は3月30日、厚研連委員会を開催。感染研・国衛研・ハ病研支部と本部から、9人が参加しました。
 国家公務員の賃金削減にかかわって、悪法廃止に向けたたたかいを杉浦書記長が報告。独立行政法人の給与についても連動した賃下げが狙われており、栄研支部では当局が賃下げを行わないよう要求書を提出。基盤研支部も、要求書提出の準備を進めています。また、当面する試験研究機関の中心課題にかかわっては、第4期科学技術基本計画と、閣議決定した「独立行政法人の制度及び組織の見直しの基本方針」について報告。国立健康・栄養研究所と医薬基盤研究所の統合が示されており、注視が必要です。
 さらに、各支部の活動や研究所の実態を交流し、厚生科学課長交渉の重点課題について議論。交渉配置までのスケジュールと、厚研連交流集会の開催に向けて準備をすすめることを確認して、会議を終了しました。


勤通大で学ぶ
霞が関教室を新たに開講

 4月9日、東京闘争団と本部書記局の5人で勤労者通信大学基礎コースの霞が関教室を開講しました。
 まずは教科書を開き、「はじめに」を読み進めながら、「勤労者通信大学で何を学ぶか」「どう学べばよいか」などを学習。貧困と格差の拡大や、雇用問題や生活苦が「自己責任」とされる生きづらい風潮の中で、問題のおおもとを理解するには、科学の目を持つことが重要であること。勤通大で学ぶ科学的社会主義の理論は、哲学・経済学・階級闘争論の3つの構成部分から成り立っていることなどを学習しました。
 学習時間を確保すること自体が大変な中でも、励ましあって継続していくことを誓い合って、第1回の講座を終えました。
 誰もが人間らしく豊かに生き働ける社会を目指して、科学の目で社会をつかみ、確信を持って組合活動をすすめるため、支部でもぜひ集団受講の取り組みを広げましょう。


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