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◆第1765号 (2012年3月15日付)◆
不当解雇を撤回せよ!
人事院は処分取り消し判定を行え

 社会保険庁職員の不当解雇を撤回させるため、人事院口頭審理の重要段階を迎えています。2月28・29日、人事院の口頭審理(証人尋問)が本院で行われ、元社会保険庁総務課長、元厚生労働省人事課長ら幹部職員が証人として出席。約60の傍聴席は、全厚生闘争団・支援者等で満席に。公平委員会と弁護団による証人尋問で新たな事実が明らかになりました。

不公平な転任手続き責任ある回避努力なし
 日本年金機構に採用されない職員に対し、解雇回避努力の最も有効な方法は、厚労省への転任です。各地の口頭審理でも統一した評価基準がなく、わずか15分の面接評価で採用。今回、各地域別で各評価結果ごとの採用数が厚労省側から提出されました。面接評価はAからEの5段階。しかし上位評価の人が転任されず、下位評価の人が転任している事実が明らかに。これでは公正・公平な手続きとは言えません。
 更に次の点が明らかになりました。2009年度予算で社保庁廃止後1月から3月までの3カ月間、残務整理の暫定定員を確保したが、この定員を全く使わずに分限免職を強行しました。省庁間配転を行う組織だった国家公務員雇用調整本部の利用は考えたが、要請で断られたら何回も足を運ぶことなく推移。そもそも、解雇回避の努力を始めた時期が決定的に遅れていました。これらの事実によって厚労省は、解雇回避の自覚も責任もない姿が改めて浮き彫りになりました。
 今回の証言は、すべての事案で証拠として採用されます。今後、更に真相を明らかにし、不当解雇撤回まで支援の輪を広げましょう。

明らかにした事実広め勝利までがんばろう
 初日の口頭審理は、午後10時まで、2日目は午後7時までのロングラン。2日目終了後に行った報告集会で、証人尋問で奮闘した弁護団を代表して加藤健次弁護士が発言。「人事院の判定に向け、これまで明らかになった事実を大いに広めて、厚労省に処分取消を迫りましょう。勝利するため、最後まで気を緩めずがんばりましょう」と参加者を激励。当事者の鶴田照二さんは「人事院に不服申立をして本当に良かった。厚労省に対して、悔しいし残念な気持ちで一杯だが職場復帰に向けてがんばる」と決意表明しました。


裁判・口頭弁論はじまる
原告が訴え

なぜ首なのか、理由が知りたい
 裁判闘争も始まりました。国を被告として、分限免職処分の取り消しを求めて裁判提訴した北海道(2月20日)、京都(1月11日、3月14日)、大阪(3月5日)、香川(1月23日)で第1回口頭弁論が開催。
 各地の法廷は支援の傍聴者熱気でつつまれました。大阪の原告は、裁判の意見陳述で「社保庁廃止まで年金記録回復のため大変な職場状況の中みんなで支え合って朝から晩までがんばってきた。頑張り抜いた先に待っていたのは分限免職だった。怒りに打ち震え、人事院に審査請求し、何故首になったのか理由が知りたかった。裁判所で誤った分限処分を取り消してください」と訴えました。
 次回裁判は、北海道(5月14日)、大阪(4月23日)、香川(4月16日)です。


懲戒処分の誤り認めず
厚生労働省、誠意ある回答なし

 2月24日午後、全厚生は昨年12月14日に厚生大臣宛に提出した要求書にもとづく回答交渉を実施。藤原年金局総務課長は、前例のない重い、重要なテーマであり、法令所の適用を検討し、大臣にも相談して回答が遅れたことを詫びた上で、(1)人事院の懲戒処分の取り消し判定は、第三者(人事院)のしっかりした判定だが、謝罪する性格ではない、(2)懲戒処分で減額された給与は、12月20日に利息を含めて対応(支払い)した、(3)懲戒処分の取り消しで、分限免職の取り消しにはならない、(4)日本年金機構法では、今の時点で過去に遡って採用手続を行う法的根拠がない。厚労省が特別な判断を行う権限をもっていないと回答。

〔全厚生の要求〕

◇厚生労働省は、北久保さんに対して誤った懲戒処分を行ったことを謝罪すること。
◇北久保さんの分限免職処分を取り消し、厚生労働事務官の身分と権利を回復すること。
◇北久保さんの意向を踏まえ、厚生労働省の責任において、日本年金機構の正規職員とすること。

 この回答に対し、山本委員長は、誤った懲戒処分を行ったなら、謝罪は当然。処分取り消しの事実を受け止めているかと迫りました。これに対し、藤原課長は、「第三者の判断を受け止める。人事院の判定に異を唱えない」と述べるにとどまり、処分が間違いとの認識を明確にしませんでした。当事者である北久保中央執行委員は、「懲戒処分によって、人生が変えられた。名誉を回復してほしい。希望をつなげてほしい」と発言。杉浦書記長は、「使用者責任を果たすために、政治判断が求められている。この内容では、回答とは言えない」と約50分にわたってやりとりが続きました。最後に、山本委員長は、引き続き、誠意ある回答を求めて協議を続けるとの見解を述べ、藤原課長は、そのことを受け止め、回答交渉を終了しました。
 全厚生は、引き続き、北久保和夫さんの分限免職処分の撤回、職場復帰のために全力を尽くす決意です。


悔しい思いでいっぱい 職場復帰まで、がんばります
北久保和夫さんの訴え

 私は、分限免職の1年半前に、労働組合の無許可専従行為を惹起したとして、懲戒処分を受けました。この処分はズサンな調査で行われた不当処分であるとして、人事院や裁判で処分取消を求めてたたかってきました。そして昨年の9月1日、人事院は処分理由の惹起した事実はなかったとして、処分取消の判定をしました。私は懲戒処分のために、日本年金機構への採用を希望していたにもかかわらず、採用予定者名簿に登載されず、分限免職に追い込まれました。懲戒処分が遡って取り消されたことにより、当然、厚生労働省、年金機構の職員として採用すべきです。分限免職も取り消すべきです。私に対する一連の誤った扱いに対し、厚労省は謝罪すべきです。
 厚労省の回答内容は、まったくのゼロ回答。間違った処分をしたことすら認めませんでした。人事院から処分取消の判定が出たので従っただけと言うのです。こんな回答がありますか。私は3年半苦しめられている。誤りを認めない、反省しない。厚労省の体質が、ここにも表れています。私は、悔しい思いでいっぱいです。厚労省に誤りを認めさせ、年金機構に復帰するまでがんばります。今後もご支援よろしく、お願いします。


法廷闘争を取り組み、悪法廃止へ
国家公務員の賃下げ法案の成立強行に抗議する

 2月29日午前、民主・自民・公明3党が提出した国家公務員給与削減法案が参議院本会議で可決・成立しました。内容は、2011年度人事院勧告の平均0・23%削減を11年4月に遡って実施。本年4月1日からは、12、13年度にわたり平均7・8%削減するものです。
 すべての労働者に保障された労働基本権を剥奪し、その「代償措置」である人事院勧告を大幅に超える賃下げ法案の強行です。政府が使用者責任を放棄して議員立法で行ったもので、憲法を二重三重に蹂躙するもの。全厚生は、前代未聞のこの暴挙に対し、満身の怒りを込めて抗議します。
 国会審議の経過は、2月23日の衆院・総務委員会、本会議での採決強行、28日の参院・総務委員会での採決強行を積み重ね、悪法を成立させました。採決では、共産党、社民党が反対しました。

違憲性を司法の場で明らかに
 議会制民主主義を踏みにじる党利党略の暴挙に対し、国公労連中央闘争委員会は「国公労連は、2012年春闘最中に強行される賃下げが、625万人労働者をはじめ地域経済にも多大な影響を及ぼすことや、『社会保障・税一体改革』と称する消費税増税など国民犠牲の突破口であることなど、引き続き国民的な理解と共同を広げる運動を強化しながら、『賃下げ特例法』の廃止に向け法廷闘争を含むたたかいを展開する。同時に、財界・大企業の賃金・雇用破壊など横暴を許さず、誰もが安心して働き、将来に希望を紡げる社会を実現するため、広範な労働者・国民のみなさんとともに、『全体の奉仕者』としてのプライドをかけて奮闘するものである。」とする声明を発表(2・29)。裁判闘争でたたかう意思を表明しました。
 すべての労働者に保障されている労働基本権を剥奪し、その「代償措置」である人事院勧告にもとづかず給与を削減したことの違憲性を司法の場で明らかにします。全厚生も、この裁判闘争を主体的に取り組む準備を開始します。


有期雇用職員の雇用継続を
雇用継続署名1377筆を提出

 2月16日、「有期雇用職員の雇用継続を求める要請」署名1377筆を、「私の一言」一覧と合わせ、日本年金機構本部当局に提出しました。全厚生は、平丸副委員長と川名書記次長が参加。機構当局は唐沢労務管理部長と村田労務管理グループ長が対応しました。
 冒頭、平丸副委員長は「理事長の年頭あいさつの通り『基幹業務の取り組み強化』が重要な課題だが、事務所では多くの基幹業務の補佐をする大事なポジションに有期雇用職員が配置されているのが実態。期間満了・定数削減による有期雇用職員の雇止めは、基幹業務の強化どころか、職場が混乱するだけ」と指摘。
 これに対し唐沢労務管理部長は「職場実態はブロック本部からも聞き理解している。24年度については、定数削減での雇止めは回避した。また期間満了者についても7月以降であれば、募集があれば応募はできる。24年度の体制については理解してもらいたい」と発言。また「発足当初から、多くの有期雇用職員を年金記録問題対策で雇用している。記録問題が収束する中で、現行定数の確保は24年度だけでなく25年度も大変難しい状況」と現状を説明しました。
 平丸副委員長は「仕事はあるのに、有期雇用職員が契約期間だけで職場を去るのは職場の不安・不信をあおるだけ。これでは基幹業務、現場が大事といっても説得力がない」「期間満了=雇い止めだと、現場の力が落ちてしまう」と改善を求めました。さらに、署名とともに寄せられた「私の一言」を読んで職場の実態、現場の職員の思いを理解してほしいと訴えました。
 全厚生は引き続き、有期雇用職員の労働条件改善と雇用継続を求め取り組みを強化します。


組織強化・拡大のうねりを
4〜6月、全支部で踏み出そう

 全厚生は一昨年の第74回定期大会以降、各支部の奮闘により210人を超える仲間を迎えています。昨年9月の第75回定期大会では、これまでの経験を生かし、職場要求の前進と労働条件改善のため、各部門・支部が組織拡大に自信をもって取り組むことを確認。さらに、今年2月の第53回中央委員会では、要求前進と一体で運動を具体化・強化していくことを意思統一。全厚生は、4〜6月を組織拡大強化期間と位置付けて奮闘します。
 各部門、支部では、機関会議で、前進面の評価、弱点を明確化など、これまでの取り組みを総括し新たな運動の方向を検討し、組織拡大に向けた意思統一をしましょう。取り組みの具体化については、中央委員会で確認した「組織強化・拡大を前進させる基本方針」(労働組合の役割、労働組合のメリット、全厚生労働組合はどんな組織か!)を基本に各支部で工夫することが大切です。
 各支部では、所属長交渉、職場集会の開催などで組織拡大を訴える支部や、潮干狩り・わんこそば大会・親子手作り餃子教室などのレクの取り組みで組合加入を呼びかける支部など、独自の企画・取り組みが進められています。
 2012春闘、強化期間の中で、全支部で職場要求、組織強化・拡大が前進するように、皆の力を合わせ大きなうねりをつくりましょう!


一日も早い復興を
宮城に支援物資おくる

 3・11東日本大震災から一年。宮城県では、5月までストーブが離せず厳しい寒さが続く中、宮城県労働組合総連合(宮城県労連)が月に2回の炊き出しに取り組んでいます。「あるお母さんは、子どもたちの枕は購入しても自分の枕は購入できず、毛布を丸めて枕代わりにしている」「外出用の服は何とかそろえたが、家で着る防寒具や寝具がなくて困っている」「130万円程度の義捐金は、生活品必需品の購入をしたらほとんど残らず、住宅とリフォームの二重ローンで苦しむ被災者が少なくない」など、不自由な生活が強いられている被災地の実態は、今もなお深刻です。
 全厚生は、昨年夏に宮城県労連のボランティア活動に参加したことから、関東社保支部が取り組んだ「被災者支援年末カンパ」約6万8千円と、本部一般会計からの3万円を合わせて、支援物資(起毛靴下、腹巻、ヒートテック等)を宮城県労連に送りました。


震災復興3・11行動各地で

 東日本大震災から1年となる3月11日、東京・井の頭公園では「震災復興・なくせ原発3・11行動in東京」が開催され、8000人が参加。この日は、全国各地で多彩な行動が取り組まれました。


〜退職される皆さんへ〜
国公共済会からのお知らせ

3月で退職される皆さん、本当にお疲れさまでした!全厚生は、労働組合の仲間として長年ともに励まし合い働いてこられた皆さんに、引き続き国公共済会をお勧めしています。是非ご検討ください。

*退職者グループ*
 現在支部で加入されているセット・火災共済について、支部所属から「退職者グループ」に異動すると、掛金は口座振替で、手続きはすべて国公共済会と直接行うこととなります。交通災害共済・火災共済は一生涯加入できます(ただし、原則として55歳を過ぎて定年または勧奨退職された方に限ります)。

*シニア共済*
 皆さんがいつまでもお元気で活躍されることを願い、80歳までの病気やケガによる療養費などを援助する制度です。健康告知基準に該当しない55歳以上66歳未満のOB組合員とその配偶者が加入できます(配偶者のみの加入は不可)。また現在セット共済に加入している方は、64歳まで併行して加入できます。

*問い合わせ先*
 支部担当者または本部・西田書記にご連絡願います。


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