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◆第1762号 (2011年12月15日付)◆
厚生共闘、小宮山厚生労働大臣と団体交渉
社保庁職員の分限免職を撤回せよ

人勧に基づかない賃下げはやめよ
 全厚生と全医労で組織する厚生共闘は12月12日、小宮山洋子厚生労働省大臣と団体交渉を実施。厚生共闘からは、岸田議長、佐藤・山本副議長、杉浦事務局長以下、幹事会メンバーが出席。
 冒頭、岸田議長は(1)人事院勧告に基づかない国家公務員の賃下げはやめ、賃金改善に努力すること(2)社保庁職員の分限免職を撤回。日本年金機構の業務体制を拡充するとともに、経験ある旧社保庁職員を正規職員として採用すること。地方厚生局の有期雇用の非常勤職員の雇用を確保すること(3)ハ病療養所の医療・看護・介護の充実のため増員を行うこと。看護師の夜勤体制は3人以上月6回以内とすることの要求趣旨を説明。その後、小宮山大臣が回答。

〔大臣回答〕
国家公務員の賃金改善で最大限努力すること
労働基本権が制約されている現行制度においては、人事院勧告制度を尊重することが基本であるが、政府としては、厳しい財政状況と東日本大震災という未曾有の国難に対処するため、本年6月に国会に提出した国家公務員の給与の臨時特例に関する法律案の早期成立という方針である。
分限免職処分を撤回し、安定した雇用確保を
社会保険庁の廃止により、分限免職となったが、再就職等の支援を求めている職員に対しては、引き続き支援していく。日本年金機構については閣議決定の中で、採用の考え方、必要人員が定められており、必要な人材確保を行っていると承知している。
ハンセン病療養所の充実を図るために増員を
療養所を訪問し、現場の人手が不足しているという声を伺った。厳しい定員事情ではあるが、入所者の高齢化が進展するなど業務量が増えており、今後とも、体制確保に取り組んでいきたい。

  *  *  *

 小宮山大臣の回答を受け、岸田議長は「旧社保庁職員の再就職支援については約束をいただいたので、そこはしっかりやっていただきたい。ハ病療養所について、高齢化に伴う重症化が進んでおり、今後とも増員に努力していただきたい。最初の課題はなかなか大臣の口から良い回答がむずかしいのは承知をしているが、厚生労働行政は本当に国民との接点が多い。最前線で働いている職員の生活と労働の実態に目を向けて、大臣としての役割を発揮していただきたい」と強く求め、交渉を終えました。


厚労省は不当解雇を撤回せよ
争議支援総行動で総結集

 11月25日、すべての争議の早期全面解決をめざす全労連・MIC・東京地評主催の争議支援総行動が行われました。この行動には、34を超える争議組合・争議団を中心に支援の労働組合から約450人が結集。社前行動や企業への要請を終日展開。社保庁職員を解雇した厚生労働省とパイロットと客室乗務員を解雇した日本航空本社前では参加者が総結集しました。
 昼休みの時間帯で行った社保庁職員の不当解雇撤回を求める厚生労働省前要求行動には、すべての争議団が色とりどりの組合旗を携えて集結。全厚生闘争団の伊藤重雄事務局次長は、「元厚労省大臣は私たちの前に出て、なぜクビを切ったのか証言してほしい。厚労省は不当解雇を撤回し、早く職場に戻してほしい」と力強く訴えました。


厚労大臣宛に要求書を提出

 全厚生は12月14日午後、北久保和夫さんの分限免職処分を取り消し、厚生労働事務官の身分と権利を回復すること、北久保さんの意向を踏まえ、厚生労働省の責任において、日本年金機構の正規職員とすること等の要求書を厚生労働大臣宛に提出しました。
 今回の要求書提出は、京都社会保険事務局が「無許可専従行為を惹起した」という理由で行った懲戒処分(減給20%2ヶ月)に対し、人事院が9月1日に取り消し判定を出したことを受けて実施。
 北久保さんは、懲戒処分により、日本年金機構への採用を強く希望し、応募していたにもかかわらず、職員候補者名簿に登載されませんでした。厚労省の転任もされず、分限免職処分となりました。懲戒処分の取り消しで、分限免職の前提が崩れたことになります。
 要求書の提出は、平丸副委員長、杉浦書記長、北久保中央執行委員(当事者)で行い、厚労省側は年金局・藤原総務課長、武田補佐が対応。
 冒頭、平丸副委員長が要求書を手交。要求内容を説明し、年内のできるだけ早い時期での誠意ある回答を求めました。当事者である北久保中央執行委員は、「一刻も早く、分限免職処分を撤回してほしい。仲間のもとに帰り、年金の仕事をしたい」と厚労省の決断を迫りました。これに対し、年金局・藤原総務課長は、「思いを伺った。いただいた内容に対して、しっかりと相談して回答したい」とコメント。最後に杉浦書記長が、生活と権利を奪った分限免職から2年が経過していることを述べ、要求内容を受けとめ、 速やかに回答を行うよう重ねて要請しました。


期待に応える行政体制を
大臣官房人事課長と交渉

 全厚生は11月29日、大臣官房人事課長交渉を実施。交渉団は、山本委員長、市川・平丸副委員長、杉浦書記長、川名書記次長、北久保・小出中央執行委員が出席。人事課からは小川人事課長、樽見参事官、伊東人事調査官らが対応しました。
 冒頭、山本委員長は、(1)人事院勧告に基づかない賃金引き下げを行わないこと、(2)社会保険庁の不当解雇撤回と2年3カ月の有期雇用職員の安定した雇用確保、(3)国立福祉施設の機能の強化・充実と身分・労働条件の確保などを強調し、誇りと生きがいのもてる職場環境づくりへの努力を求めました。小川人事課長の回答は、別掲「回答要旨」の通り。回答後、各課題について、厚労省当局の努力を迫りました。

回答要旨 (◇要求◆回答)

労働基本権が回復しない下で、人事院勧告に基づかない国家公務員の賃下げは行わないこと。
現在、継続審議となっている給与臨時特例法(案)が成立し、人事院勧告に基づかず給与を引き下げることとなれば、労働基本権制約下として極めて異例の措置であると認識している。本日の要請を真摯に受け止めたい。
社保庁職員の分限免職撤回、雇用確保を。被懲戒処分者の一律不採用の閣議決定を撤回し、日本年金機構に正規職員として採用を。2年3カ月の有期雇用職員の任期後の安定した雇用確保を。
閣議決定「日本年金機構の当面の業務運営に関する基本計画」の撤回はむずかしい。分限回避にむけてできる限りの努力を行ってきた。今後も、引き続き可能な範囲で努力したい。2年3カ月の非常勤職員の任期は、平成23年度末をもって満了する。平成24年度も平成23年度と同規模の非常勤職員を一般公募で採用する方向で予算要求している。
日本年金機構の業務体制を拡充すること。その実現のために厚労省として実態を把握するとともに、必要な予算確保のために最大限努力すること。
日本年金機構と連携を密にしながら、機構における必要な体制の確保をはかるため、平成24年度予算について、現在、財務当局との折衝を行っている。厚労省としても年金機構をバックアップし、年金記録問題への対応や、新しい年金制度の創設に、年金機構と一体となって全力で取り組むことが必要と認識している。
国立更生援護機関の組織再編で、塩原視力障害センターと伊東重度障害者センターを廃止せず、存続・拡充させること。職員の身分・労働条件の後退を招かないよう万全の措置をとること。
統廃合は、個々の施設ではなく国立更生援護機関全体として今後とも存続し、利用者へのサービスを提供していくためにはやむを得ないものである。一方、発達障害や高次脳機能障害等、喫緊の課題への対応が求められている。引き続き機能の充実強化を図っていく。将来を見据え、何をすべきかを、これまでの実績、経験を踏まえ、現場においても十分議論して、意見があれば提供いただきたい。職員の身分・労働条件は、統廃合に伴って伊東・塩原センター職員への勧奨退職は行わない。転勤先等の意向調査を行い、職員の意向を可能な限り尊重する。
独立行政法人国立健康・栄養研究所と医薬基盤研究所は、国が責任をもって拡充するよう努力すること。統合について、ビジョンや目的を明確にするとともに、一方的に作業をすすめないこと。
当然のことながら、統合等の具体化にあたっては、両研究所と十分な合意形成に努めるように、厚生科学課に伝える。
超過勤務の大幅な縮減。本省庁職場の恒常的で異常な残業実態の改善。業務量に見合う定員の確保。メンタルヘルス対策、パワーハラスメント対策等、職員の健康と安全を確保すること。
要員の確保は、厚労省の業務の重要性、特殊性を主張し、真に必要な定員の確保について、今後とも努力を行っていきたい。パワー・ハラスメントは職場内の秩序を乱し、組織の正常な業務運営の障害となる。特に上司から部下に対して不用意な言動によって、職員の勤労意欲が減退するとか、ひいては精神的な障害に陥る職員を発生させる要員にもなりえる。管理監督者は、十分問題意識を持つとともに、自らパワー・ハラスメントを起こさないのはもちろんのこと、職場においてパワハラが起きていないかどうか日常的に注意することが重要と考えている。研修等の機会を通じて、防止について注意喚起するとともに、パワ・ハに関する職員からの苦情について、通報者が不利益な取り扱いを受けないよう配慮するなど適切な対応に努めている。
非常勤職員の賃金・労働条件を改善すること。期間業務職員制度の運用にあたり、安定的な雇用保障に努め、安易な雇い止めを行わないこと。
非常勤職員の給与等は、常勤職員と同様に、職員の士気や生活に直結する問題であると認識。毎年、人事院関係局長宛に改善要望書を提出している。今後も、安心して公務に専念できるよう機会を捉えて要望等を行う。期間業務職員の採用は、公募が原則。能力の実証を行うことができる場合、公募によらない採用を行うことができるが、原則として2回までとするよう努めている。2回採用された職員を、適正な公募を経て、結果として更に採用することは、制度的に否定されていない。3年間任用された後、雇い止めすることをルール化するものではない。今後とも、適正な運用に努めていきたい。


厚生科学研究、国の責任で
厚生科学課長と交渉

 全厚生は12月9日、大臣官房厚生科学課長交渉を実施。交渉団は、山崎副委員長、杉浦書記長、小浦中央執行委員、伊藤厚研連議長、感染研・国衛研・ハ病研各支部の代表等9人が出席。厚生科学課は、塚原課長、尾崎研究企画官、小平総括補佐、田中補佐が対応しました。
 冒頭、伊藤厚研連議長は、東日本大震災からの復興・復旧にむけ国立試験研究機関の公衆衛生・厚生科学研究分野での役割発揮がより重要になっている。国民の期待に応え、誇りと働きがいを持てる体制確保へ、厚生科学課の引き続く努力を求めました。これに対する塚原課長の回答は、別掲「回答要旨」の通り。回答後、各課題について要求前進にむけた厚生科学課の努力を迫りました。

回答要旨 (◇要求◆回答)

東日本大震災に関し、公衆衛生・厚生科学研究分野を担う抜本的な体制強化を。緊急事態発生時の危機管理体制は万全の措置を。節電実行計画の具体化に際しては、研究現場の要望を踏まえること。
災害対策全体を見据えた体制整備に努める。第3次補正予算で、国立医薬品食品衛生研究所・国立感染症研究所・独立行政法人医薬基盤研究所の重要施設・設備の更新費用、生物遺伝資源のバックアップ体制整備に必要な費用を計上。節電実行計画については柔軟に対応したい。
独法研究所統合のビジョンや目的を明確にし、職員・労組と合意形成に努め、一方的に作業を進めないこと。
平成22年12月の閣議決定「独立行政法人の事務・事業の見直しの基本方針」に基づき、組織の在り方を検討する。行政刷新会議等の動向を注視しつつ、組織再編・統廃合の動きがあれば各機関との十分な合意形成を踏まえ進めたい。
国衛研府中移転計画が凍結状態にある。今後の計画について、労組に随時情報提供を。老朽化した現施設の整備を。計画の見通しが立たない場合、方針の早期決定、併設宿舎を補修し存続させること。
宿舎建設の凍結で、移転時期が大幅に延長となる見込み。移転にあたっては、国衛研全体の合意形成を踏まえた対応が必要。研究機能を維持するために必要な改造・改修に要する経費は極めて重要。必要な予算額を計上した。移転計画が円滑にすすむよう研究所とともに方策を検討する。いろんな可能性を考えつつ、迅速に対応できるように考えていきたい。移転計画を左右する宿舎建設の動向を踏まえ、対応していく。
国立保健医療科学院の研修機能に加え研究環境も充実・強化を。各機関との協力体制確保、拡充を。組織再編後の運営は、研究者・職員の意見を十分取り入れること。
教育研修は、院内に研究課程委員会等を設け、円滑な研修に努めている。細菌研修等について、解決する方向で検討したい。今後も必要な研修体制を確保したい。今年度、研修機能・研究環境の充実強化を目的として総務部に「研修・業務課」を設置。研究者・職員の意向は、院内の協議で反映させている。
感染研について、感染症危機管理体制に対する労働条件確保の予算等の措置を。検査・検定業務体制および品質管理業務体制、情報セキュリティ管理体制強化を。健康安全管理に関する規定の遵守を指導すること。
職員の健康管理は最重要。支援体制を構築し、負担が掛からないよう配慮する。今後とも危機管理体制時の予算措置等は、必要に応じ財政当局等と相談する。国家検定・検査及び品質管理に係る研究は重要な業務の一つ。今後とも信頼性を確保したい。情報セキュリティ対策は、内閣府情報セキュリティ政策会議の決定を踏まえ一層の強化に努める。健康安全管理は、厚労省健康安全管理規定に則り、職員の保健・安全保持に努めている。必要であれば具体的な対応を検討したい。
非常勤職員の雇用の安定・継続を。賃金・労働条件を改善し、安易な雇い止めを行わないこと。
非常勤職員は、各研究機関の研究業務などの運営で非常に重要な役割を担っている。本年4月から育児休業、育児時間及び介護休暇が施行。期間業務職員制度は、今後とも適正な運用に務めたい。
女性職員の採用と登用の拡大を積極的に推進すること。
8月に「厚労省女性職員採用・登用拡大計画」を一部改定し、政府目標を上回る目標を設定。同じような業績なら、積極的に女性を採用するのは、一つの方向と思う。所長をはじめ、青年部の方と意見交換をしたい。
パワー・ハラスメントを防止・根絶するため、使用者責任を果たし、具体的な対策をすすめること。
人事院は「パワハラを起こさせないために注意すべき言動例」を各府省に通知しており、国立試験研究機関にもその旨連絡した。通報者の不利益にならないよう配慮するなど指導する。独法で、パワハラの問題が解決せず個別の相談があれば、厚生科学課が窓口となり対応したい。


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