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◆第1757号 (2011年6月15日付)◆
賃下げ法案、今国会で廃案に!

 政府の一方的な賃金引き下げに反対する取り組みは、新たな局面を迎えています。政府は、「賃金引き下げ法案」の閣議決定(6/3)し、通常国会に法案を提出。8月31日まで70日間の延長国会で審議されます。
 政府は、賃下げ法案の閣議決定に対して「極めて異例の措置」と言っていますが、国家公務員の労働基本権が制約されている下で、その「代償措置」である人事院勧告に基づかずに賃金を引き下げることは、明確に違憲・違法です。現行制度に基づかない公務員賃金の大幅引き下げは、断じて認められません。
 人事院総裁は、このような措置は「遺憾と言わざるを得ません」(6/3)と述べ、政府のやり方に異議をとなえました。また、西岡参議院議長が緊急記者会見(6/6)を行い、人事院の了解がないまま法案を閣議決定し、国会審議することに反対の立場を表明。参議院では人事院の了解が得られない限り、議案を付託する考えはないとの見解を示しました。国家公務員の賃下げ方針に反対する声は、与野党国会議員からもあがっており、職場や地域から宣伝と世論構築の運動を強めることが緊急に求められています。こうした世論を背景に、法案阻止、廃案めざし全力で奮闘しましょう。


厚生共闘で官房長に申入れ
賃下げ断じて認められない

 厚生共闘(全厚生と全医労で構成)は、5月31日、細川律夫厚生労働大臣宛に「現行制度に基づかない政府の賃下げ提案に関する申し入れ」を行いました。厚生共闘からは、岸田議長、山本・佐藤副議長、杉浦事務局長、香月・菅沼事務局次長が出席、厚労省は、岡崎官房長、蒲原人事課長らが対応しました。
 申し入れは、(1)労働基本権が回復しない下で、少なくとも人事院勧告に基づかない国家公務員の賃金引き下げは行わないこと。(2)憲法で保障された基本的人権としての公務員労働者の労働基本権を回復すること。「国家公務員制度改革基本法」に基づく具体化にあたり、公正・中立・民主的な公務員制度を確立することの2点。冒頭、岸田議長は、賃金引き下げについて、(1)人事院制度が存在する中でのルールを無視した違法な賃下げである、(2)公務員の賃下げが消費を冷え込ませ、経済に悪影響を与える、(3)総人件費2割削減に根拠も道理もない、(4)震災対応を含め懸命に奮闘している公務員労働者の士気をを低下させる、(5)公務員労働者の生活破壊をもたらし、人材確保にも悪影響を及ぼすことをあげ、賃下げは断じて認められないと追及。さらに岸田議長は、「賃下げは、あってはならないルール違反。大臣にも、この趣旨をしっかりと伝え、閣議でも私たちの考えを踏まえて発言を」と要望。
 これに対し岡崎官房長は、賃下げ提案に関して「公務員は人事院勧告制度が基本。大震災という状況があったとしても極めて異例の事態。私どもの立場で制度所管庁に話をしておきたい」と述べ、「責任をもって大臣に伝えたい」と回答しました。


人事課長交渉を実施
誇りを持って働ける環境を

 全厚生は5月30日、大臣官房人事課長交渉を実施。交渉団は、山本委員長、伊藤・田口・峰副委員長、杉浦書記長、平丸書記次長、北久保・木立・小出・菅沼各中執が出席。人事課からは蒲原人事課長、小川参事官、伊東人事調査官らが対応。
 冒頭、山本委員長は、@東日本大震災で、命と健康を守る厚生労働行政の使命と役割が益々大きくなってる、A政府が人事院勧告によらない賃下げを強行しようとする重要局面にあり、一方的な賃下げ提案を撤回すること、B社会保険庁の不当解雇撤回と日本年金機構の体制強化などを強調。前回交渉で「誇りを持って生き生きと働ける環境づくり」を確認した到達点に立ち、回答を求めました。これに対し人事課長は、誇りを持って働ける環境づくりは、同じ思いであると述べ、回答しました。(回答要旨参照)。

回答要旨
◎要求 ●回答
◎労働基本権が回復しない下で、人事員勧告に基づかない国家公務員の賃下げは行わないこと。 ●人事院勧告に基づかず給与を引き下げることになれば、労働基本権制約下では極めて異例の措置と認識している。全厚生の要請を重く受け止め、機会を捉えて制度官庁にきちっと伝えたい。
◎社保庁職員の分限免職撤回。被懲戒処分者の一律不採用の閣議決定を撤回し、日本年金機構に正規職員として採用を。2年3カ月の有期雇用職員の任期後の雇用確保を。 ●閣議決定「日本年金機構の当面の業務運営に関する基本計画」撤回は困難。懲戒処分は、色んな事情を把握・収集し、事実認定を行って適切なものとして判断している。明らかにおかしいものでない限り、判断を受け止めないといけない。(→裏を返せば、明らかにおかしな懲戒処分は見直しにつながること)。2年3カ月の非常勤職員は予算も含めて検討していく課題である。
◎国立更生援護機関の組織再編で、塩原センターと伊東センターを廃止せず存続・拡充させること。 ●国立施設に対しては、発達障害や高次脳機能障害、盲ろう者等、喫緊の課題への対応が求められる。国立施設の機能として、引き続き充実強化を図っていく必要がある。その一方で国民の目線に立った効率的な施設運営や定員合理化への対応も併せて求められている。統廃合は、個々の施設ではなく、国立施設全体として機能強化して、存続させていくためである。
◎独立行政法人国立健康・栄養研究所と医薬基盤研究所は、国が責任をもって拡充し、画一的な統合は行わないこと。 ●統合等の具体化にあたり、両研究所と十分な合意形成に努めるよう、厚生科学課に伝える。統合は何のためか、目的があって組織がある。何かを果たすためにこうした方がいい、そういう姿を示すように伝えたい。


5・25中央行動に1200人
許すな!公務員の賃下げ

 5月25日、被災者本意の震災復興、最低賃金の改善、公務・公共サービス拡充を求め、5・25中央行動が開催され、1200人が参加。全厚生も2支部と闘争団、本部から12人が参加しました。


解雇撤回求め国公が「5・24総決起集会」
団結し、不当解雇撤回・安心年金へ

 国公労連社保庁不当解雇撤回闘争本部は5月24日「旧社保庁職員の不当解雇は撤回せよ!5・24総決起集会」を開催し120人が参加しました。
 国公労連社保庁不当解雇撤回闘争本部の宮垣本部長は、「国民が安心できる年金業務のためにも、政府に分限免職を撤回させ、旧社保庁の職員を職場に戻すことが必要。本集会を契機に飛躍的に運動を発展させたい」と主催者あいさつ。全労連の根本副議長は激励あいさつで「全労連は5月20日に社保庁不当解雇撤回対策会議を開催。国家による解雇自由を許さず、たたかいの先頭に立つ」と決意表明。新聞労連の東海林委員長、日航不当解雇撤回裁判原告団、JMIUの三木書記長が連帯あいさつ。自由法曹団の中川弁護士が、人事院の口頭審理の内容と問題点を報告。
 北海道・東京・京都・愛媛から集まった当事者7人が、「なんとしても勝って元の職場に戻る」「全国にたたかいを広げたい」など口々に表明し、決意を固め合いました。


愛知・東京で口頭審理つづく

 4人の仲間が不当な分限免職の取消を求めたたかっている愛知事案の公平審理が5月17日〜20日、名古屋市内で行われました。4人は全員懲戒処分歴があることから、厚労省への転任を始めとする分限免職回避努力の内容が焦点に。
 厚労省側証人への尋問で弁護団は、国公法78条第4号を根拠とされているが、社保庁職員も厚生労働事務官としての身分を有し、「廃職」には該当しないこと、本来は、厚労省への配転、他省庁への転任等の分限免職回避努力が求められること、など身分保障がされている国家公務員としての権利擁護の観点を強調。また、厚労省配転のための面接について、他県の事案では見られないB評価を「上・中・下」に区分するなど曖昧な評価基準の実態も明らかに。
 5月31日から6月2日にかけ人事院本院で行なわれた東京社保事務局事案(2人)では、懲戒処分歴がないにもかかわらず、社保庁バッシングの中で健康を害し休職中であったために、正規職員としては採用しないという振り分けの中で、結果として厚労省の面接を受けることも出来なかったことなど採用システムの矛盾なども明らかになりました。


東京・千葉協議会 第一回総会
東京・千葉で風を吹かそう

 5月28日、全厚生本部書記局にて、関東社会保険支部東京・千葉協議会の第一回総会が開催されました。
 峰副委員長の情勢学習会、川名関東支部長の震災ボランティア報告、参加者の職場状況の意見交換など多彩な内容に。
 山本委員長から、少数組合の兵庫協議会で職場代表を勝ち取ったことが紹介され、「展望を持って運動を進めることで、職場に全厚生の風が吹く日が必ず来ます」と力強いあいさつがありました。
 東京・千葉で役員の連絡体制を構築、各職場での声掛けから始め仲間を増やし、労働条件改善の要求実現に向け頑張ろうと全員で確認しました。


つくろう会「6・8院内集会」ひらく

 国の責任で、安心して暮らせる年金制度をつくる連絡会は6月8日、 「これでいいのか年金機構!年金機構の問題を検証する院内集会」を衆議院議員会館で開催し、約50人が参加しました。
 年金者組合の久昌中央執行委員が政府の年金改革案の問題点を指摘。全厚生組合員は年金機構の現状を報告しました。非正規職員が6割を占め全体を仕切る正職員がいないためミスが多発し、新人に教える人もいないこと、紙台帳とコンピューター記録との照合では民間委託や派遣が圧倒的で、記録の正確な訂正と早期解決には経験ある職員の雇用が不可欠なことなどが強調されました。
 フロア発言では、全厚生闘争団の國枝事務局次長が、「年金の仕事に早く戻りたい」と支援を訴えました。
 集会では、日本共産党の山下芳生、田村智子両参議院議員が国会情勢を報告。山下議員は、「社保庁解体にともない、厚労省が職員選別の『裏マニュアル』を作って分限免職をしていたことが5月16日の行政監視委員会で明らかに。引き続き追及する」と告発しました。


全労連が全国交流集会ひらく
非正規雇用の条件改善を

 6月4〜5日、「第19回パート・派遣など非正規ではたらくなかまの全国交流集会」が長野市で開催されました。全労連非正規雇用労働者全国センターが主催し、400人が参加。全厚生からは年金機構・近畿支部と本部から6人参加しました。
 1日目の全体会では、牛久保秀樹弁護士が「家族みんなが安心して働き生活できる社会を〜ディーセントワークの実現を目指して」と題し講演。全労連・非正規センターが「正規・非正規一体で、ディーセントワーク実現の取り組みを強めよう」と提起。各地のたたかいが報告され、夜は夕食交流会が行われました。
 2日目は、10分科会に分かれ交流。その後、参加者全員で「最低賃金を千円以上に!」など声をあげながらパレードをおこないました。
 全厚生参加者は「様々な雇用形態が混在する中で、職場の仲間の団結が必要」「非正規・正規が一緒に運動していく重要性を実感」「労組の大切さをあらためて実感。職場でも仲間を拡大したい!」など感想を交流しました。非正規雇用の労働条件改善に向け、さらに職場から運動を強めていきましょう!


震災ボランティア体験記

 5月23日〜27日、全労連の震災支援ボランティアに職場の仲間と2人で参加しました。
 石巻市。丘の上からみた街は、空襲跡のように何もなく、道の両脇は崩れた家と瓦礫の山、流れてきたコンテナ・船、ひっくり返った車が、手つかずで放置されていました。津波の現実を目の当たりにして言葉も出ませんでした。
 派遣されたのは八幡町の西条さん宅、老夫婦の二人暮らし。家中も庭もヘドロだらけ、魚の死体も。お婆さんは、2メートル上の壁の汚れを指し「ここまで水が来た」と語っていました。私たちは、物置の洗浄と庭のヘドロ汲み出しに奮闘、3日間で500袋のヘドロの土嚢が山積みになりました。きれいになった庭をみて、「明日植木屋呼んで手入れをするよ」話すお爺さんの笑顔が印象的でした。
 知り合った現地の人たちは、「停電で情報がなく、不安な毎日だった」「震災の夜、寒さで凍死した人も多くいた」「7人家族で私一人生き残った」「大川小学校の教員が、責任を感じて2人自殺した」などと口々に体験を語っていました。また、「ボランティアの皆さんが、私の家のヘドロの汲み出しを一生懸命やっているのをみて、嬉しくなって、もう一度ガンバローって思った」とボランティアへの感謝の声も聴きました。
 5日間のボランティアで、もちろん全身筋肉痛。でも津波で流されすべてを失い、それでも元気に頑張る石巻の人達に感動と勇気をもらいました。組合員の皆さんも、機会があったらぜひ参加してください。元気がもらえます。(中央執行委員)


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