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◆第1753号 (2011年1月15日付)◆
解雇撤回、勝利の年に

安心、安全を守る!

 社保庁職員の不当解雇撤回闘争は、2年目を迎えます。2月から順次、人事院の公開での口頭審理が始まります。道理なき解雇の真相を明らかにし、不当処分の取り消しを迫る重要な取り組みです。昨年末には、日本航空がパイロットと客室乗務員165人を解雇。整理解雇4要件を蹂躙した暴挙を許さず、空の安全を守る労働者のたたかいが開始されました。ともに安心・安全を守る労働者の誇りをかけた闘争です。

 社保庁の廃止に伴い525人の職員が不当解雇されて1年。解雇された当事者39人の仲間を主人公に、全厚生闘争団は元気に活動しています。
 不当解雇は@老後が安心の公的年金・社会保険行政の解体・民営化攻撃と一体の国民犠牲、A絶対に許されない公務の雇用破壊、B仲間の人生が踏みにじられ、生活と権利が一瞬に壊された人生破壊の攻撃です。
 昨年1月18日に人事院に分限免職処分の取り消しを求めて公平審査請求(不服申立て)を行って以降、様々な活動を展開してきました。

〔この1年間の活動展開、節目の行動〕
◇3月13日=社保庁不当解雇撤回全厚生闘争団を結成
◇3月24日=国公労連社保庁不当解雇撤回闘争本部を確立
◇5月9日=全国弁護団(現在全国で46人)結成
◇5月24日=全厚生闘争団を支える会の結成
(代表世話人)自由法曹団団長・菊池紘、全労連議長・大黒作治、婦団連会長・堀江ゆり、国公労連委員長・宮垣忠
◇7月23日=組合員15人が分限免職取り消しを求め京都地方裁判所に提訴
◇10月22日=全労連・東京地評の争議支援総行動。昼休み厚労省前に600人が結集
◇12月22日=不当解雇から1年。厚労省前要求行動に200人が参加。
◇全厚生闘争団を励まし支援する地方組織は、4月の愛媛に続き、秋田、愛知、岐阜、京都で確立。北海道、香川で準備中。

公開口頭審理が始まる

 2月の北海道事案、埼玉事案を皮切りに順次、人事院の公開口頭審理が開始されます。ここは、不当解雇の真実を明らかにする大舞台。全国で弁護団との入念な打合せが急ピッチで進んでいます。団結を固め、支援の輪を広げる中で、人事院に公平・公正な勝利判定を迫ります。
 今年は、不当解雇撤回闘争の正念場、たたかいを飛躍させる年です。

連帯して国民的闘争へ
航空労働者とともに


 日本航空(JAL)の不当解雇撤回を求めるたたかいは、労働者の雇用と権利を守り、空の安全を守るたたかいとして、急速に広がっています。
 不当解雇は、機長やパイロット(副操縦士)など運航乗務員81人と客室乗務員84人の計165人。その多くは豊富なキャリアを生かし、安全運航に貢献してきたベテランぞろい。経営破綻に責任のない労働者を大晦日に解雇。あまりに非人道的で許せない行為です。
 そもそも、整理解雇の4要件を満たさない解雇は無効です。日航の場合、1500人の人員削減目標が1700人を超える希望退職によって超過達成。営業利益も計画を大幅に上回っています。また、人選基準が病歴や年齢の高い順の選別は、人権侵害です。どこを見ても、整理解雇の理由はありません。
 昨年12月27日、国民各階層による広範な団体で「日本航空の不当解雇撤回をめざす国民支援共闘会議」を結成。その結成宣言では、@不当解雇を撤回させ、整理解雇の4要件を守らせることは、航空労働者の雇用安定はもちろん、全ての労働者の雇用にかかわる国民的意義をもつ、A公共交通機関の再建で貫くべきは、安全性と公共性の確保。それが利用者・国民の要求である、B日本航空の破綻の根本的原因である、アメリカの圧力で歪められた航空政策を改めさせることと一体の闘いであることを強調。まさに国民的な意義をもつ闘争です。全厚生は国民支援共闘会議に結集し、安全を守る仲間の勝利のため、連帯してたたかいます。


厚生共闘、細川大臣と交渉
解雇撤回、福祉施設存続を
 厚生共闘(全厚生と全医労で構成)は、12月13日午後、厚生労働大臣交渉を実施。交渉団は、岸田議長、山本・佐藤副議長、杉浦事務局長、香月・菅沼事務局次長以下、幹事会メンバーで編成。
 冒頭、岸田議長が要求趣旨を説明。不当解雇撤回の課題では、政府・厚労省が、道理なき分限免職処分の事実を検証して、撤回することが求められていると指摘。国立福祉施設の存続・拡充の課題では、国立福祉施設が憲法25条を活かした障害者にとっての希望とするためにも、塩原・伊東センターを廃止せず、存続・拡充を要求。続いて、山本副議長が補足説明。国民の信頼回復のために、年金機構の業務体制の拡充を要求。そのために、被懲戒処分者の一律不採用方針を撤回し、業務経験を積み、専門性ある旧社保庁職員を正規職員として採用することを要求しました。
 これに対し、細川厚生労働大臣が回答。不当解雇撤回の課題では、「国民の信頼回復のために年金機構の職場は、仕事量も多いし、正確性も要求され、大変だと理解している。職場の待遇改善はしっかりしないといけない。労働条件はできるだけ良い形に持っていく。年金機構にも申し上げる」「処分の問題は、昨年暮れに決定された。裁判や(人事院)不服申立てですすんでいる。しかるべきところの判断を待つ」と回答。国立福祉施設の課題では「国会の委員会で、色んな方から質問されている。国立障害者リハビリテーションセンターに統合した方が一貫した形で障害者のためになるとの考え、その方向で進めている」と回答しました。
 この回答に対し、岸田議長は、不当解雇に対して引き続き、安定した雇用確保のために再検討を求め、かつ厚生労働行政を安定的・継続的に進める立場に立ち、さらなる充実への努力を求めました。

〔全厚生の課題での要求事項〕
@社会保険庁の廃止にともなう不当な分限免職処分を撤回するとともに、使用者責任を果たし、安定した雇用を確保すること。日本年金機構の安定的な業務運営のために、経験と専門性ある旧社会保険庁職員を正規職員として採用するよう指導すること。
A国立更生援護機関の組織再編にあたって、塩原視力障害センターと伊東重度障害者センターを廃止せず、存続・拡充させること。併せて、障害者の権利保障及び障害者福祉の拡充の立場にたち、職員や利用者の意見を反映させるとともに、厚生共闘との充分な協議を行うこと。

大臣官房人事課長と交渉
期待に応える行政体制を

 12月3日、大臣官房人事課長交渉を実施し、山本委員長、田口・峰両副委員長、杉浦書記長、平丸書記次長、北久保・木立・小出・菅沼各中執が出席。人事課からは、蒲原人事課長、小川参事官、伊東人事調査官らが対応しました。
 冒頭、山本委員長から要求趣旨を説明。貧困と格差が拡大し厚生行政への期待が高まる中、すべての職員が国民の期待に応え、誇りと働きがいを持てるよう、重点要求への誠意ある回答を求めました。回答は、別掲・回答要旨の通り。一括回答の後、さらにやりとり。
 分限免職について北久保中執から「当事者は生活が破壊されている。厚労省自身がきちんと検証し解決を」と要望。平丸書記次長は、日本年金機構について「この11カ月で、約1万人が雇われ、2千人を超える退職者。一方で経験者が路頭に迷っている。機構内部の問題点の把握を」と求めたのに対し、蒲原課長は「分限免職の関係は、閣議決定を念頭にやらざるをえない。機構については現場の声を聞く。業務に対応できる職員を増やしていくことが重要」と回答。
 小出中執は「塩原・伊東の職員・利用者は、誇りや希望を持てない状態。拡充し、働きやすい職場・利用者にとって良い施設を」と要望。杉浦書記長は独法の課題で「一貫して2つの研究所がずっと見直しの渦中。国の責任で両研究所を拡充する立場で、厚生科学研究のビジョンを示せ」。非常勤職員の課題では田口副委員長から「最大の問題は、3年雇い止め。公募で点数で落とされる不安がある。教育・研修もし、安心感が持てる努力を」と要望しました。

回答要旨

◎要求
●回答

◎社保庁職員の分限免職撤回、雇用確保を。懲戒処分者の一律不採用の閣議決定を撤回し、日本年金機構に正規採用を。2年3カ月の有期雇用職員は、任期後の雇用確保を。
●閣議決定「日本年金機構の当面の業務運営に関する基本計画」撤回は困難。有期雇用職員の任期後は、検討課題だが安定雇用につなげたい。

◎国立更生援護機関の組織再編では、現場の意見を反映させ全厚生との協議を。塩原視力障害センター・伊東重度障害者センターの存続・拡充を。
●平成21年9月「国立更生援護機関の組織再編(案)」では、国立リハビリテーションセンターを中心とした機能強化と同時に、塩原を24年度末、伊東を25年度末に廃止。国立施設全体を存続させていくための措置と理解を。

◎大幅な超過勤務縮減、不払い残業の根絶を。メンタルヘルス対策等、職員の健康と安全の確保を。
●恒常的な残業実態の改善の重要性は十分認識。管理職員に超勤縮減の徹底を指示してきた。メンタルヘルス対策も引き続き取り組みたい。

◎期間業務職員制度の運用等にあたり、安定的な雇用保障に努め、安易な雇い止めを行わないこと。
●採用は原則公募だが、能力の実証を面接および従前の勤務実績に基づき行える場合は、原則として2回まで公募によらず採用可能。2回採用されたことのある職員を、適正な公募を経て結果としてさらに採用することは、制度的には否定されず、3年雇い止めのルール化ではない。

厚生科学課長と交渉
厚生科学研究、国の責任で
 全厚生は12月10日、大臣官房厚生科学課長交渉を実施しました。伊藤副委員長、杉浦書記長、小浦中央執行委員、西田書記、感染研・国衛研・科学院・ハ病研・社人研各支部の代表等11人が出席。厚生科学課からは、塚原課長、尾崎研究企画官、小平総括補佐、飯野補佐が対応しました。
 冒頭、伊藤副委員長は、国民の健康と福祉を向上させる上で国立試験研究機関の役割がますます重要になっている。国民の期待に応える体制確保に向け、厚生科学課の引き続く努力を求めました。これに対する回答は、別掲・回答要旨の通り。さらに具体的なやりとりを行いました。
 国立健康・栄養研究所と医薬基盤研究所の統合については、「政権交代後、凍結しており、未定」と回答。国立医薬品食品衛生研究所の府中移転計画について、所の交渉では平成30年までないと回答していると指摘し、移転先の変更や、今の場所での建て替えの可能性について質しました。これに対し、「はっきりしたことは何も言えない」と回答しました。

回答要旨

◎要求
●回答

◎各研究所について、国が責任をもって運営すること。
●中央省庁等改革の際、@政策研究所、A公務員の研修機関、B緊急時に国の責任で直接実施すべき健康危機管理を担う、等の理由で独法化されなかったもので、現在も状況に変化はない。

◎研究機関の組織再編、独法研究所の統合について、情報公開など職員・労組との合意形成に努め、一方的進めないこと。画一的・強権的な統廃合はせず、検討する場合は当事者を含め幅広い意見を踏まえること。
●動きがあれば各機関との十分な合意形成を踏まえ進めたい。

◎独法の「新たな見直し」では、国立健康・栄養研究所と医薬基盤研究所について、国が責任をもって拡充すること。
●今後、基本方針を踏まえた制度・組織の見直しの検討が行われる予定。引き続き両法人の必要性は十分説明していきたい。

◎国立医薬品食品衛生研究所の府中移転計画について、労組に随時情報提供を。老朽化している現施設の整備を。
●行政刷新会議事業仕分けで、移転先同一敷地内の宿舎建設が凍結となり、移転時期が大幅に延長となる見込み。移転までの間の必要な整備に要する経費は、積極的に対応したい。

◎国立保健医療科学院の組織の見直し・再編にあたっては、当該科学院の研究者・職員の意見を十分に反映させること。
●行政刷新会議の評決を踏まえ組織・業務の見直しを行ってきた。評価委員会で示された『国立保健医療科学院のあり方について(案)』に沿い、組織・定員要求を行う。研究者・職員への説明も、これに対する内示を踏まえ行われると聞いている。

◎非常勤職員の業務や経験等を適正に評価し雇用の安定・継続を図り、賃金・労働条件改善を。安定的な雇用保障に努めよ。
●非常勤職員は重要な役割と認識。賃金・労働条件は、常勤職員との均衡を考慮しつつ、各機関の実情に応じ適正に対応されるべきもの。期間業務職員制度の運用は各施設に周知した。

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