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◆第1750号 (2010年10月1日付)◆
全厚生第74回定期大会で意思統一
頼りになる労働組合をつくろう

 全厚生労働組合は9月11・12の両日、「団結を強化し、組合員を増やし、頼りになる労働組合をつくろう!」をメインスローガンに静岡県熱海市で第74回定期大会を開催。全国から代議員・傍聴者など86人が参加し、2010年度の運動方針案と財政方針案・規約改正案を全会一致で採択し、たたかう方針を確立しました。
 大会は、のべ39人が発言。組合員を増やし職場要求を実現すること、不当解雇撤回闘争勝利へたたかいを広げること、国立福祉施設の廃止・統合(案)の撤回、厚生科学研究の拡充などに向けた取り組みを意思統一。大会宣言を採択し、新役員を選出しました。
 国公労連宮垣委員長、全医労佐藤書記長、田村智子参議院議員(共産党)が連帯の挨拶をしました。

不当解雇撤回へ全力を〜飯塚委員長挨拶

 挨拶した飯塚委員長は、この1年奮闘してきた組合員に感謝を述べるとともに、社会保険をめぐる情勢とたたかいを中心に報告。昨年末、社会保険庁の解体・民営化で525人もの職員が不当に分限免職(解雇)され、1月に全厚生組合員39人が人事院に対して処分の取り消しを求めて不服申し立てをした。3月には全厚生闘争団を結成、5月には「全厚生闘争団を支える会」が結成され、当事者を先頭に支援の輪を広げてきた。7月には京都の15人が京都地方裁判所に提訴、来年には人事院の口頭審理も始まる。社保庁の業務を引き継いだ日本年金機構の大混乱は、専門知識を身につけた職員が圧倒的に足りないことが主たる要因。年金記録問題の解決と安心して暮らせる年金制度確立のために、また、「出先機関原則廃止」の動きの中で、国家公務員首切りの悪しき前例にさせないために、不当解雇撤回へ全力をあげようと呼びかけました。また、塩原視力障害センターと伊東重度障害者センターの廃止反対へ、「国立福祉施設の存続発展を求める会」を軸に運動を進めると表明。全厚生はこの1年、組織人員を大幅に減少させ、次期書記局体制は、専従役員1名、書記1名の最小体制とならざるを得ないと述べ、要求前進のために組織拡大へ全力を挙げようと呼びかけました。

組織拡大に全力を〜杉浦書記長議案提案

 議案提案は、第1号議案「2010年度運動方針案」と、第3号議案「規約改正案」を杉浦書記長が、第2号議案の「2009年度決算報告」と「2010年度財政方針・予算(案)」を平丸書記次長が提案しました。
 杉浦書記長は、1年間のたたかいを振り返り、不当解雇撤回闘争、年金機構における労働組合運動の構築、国立福祉施設の組織再編・統廃合に対するたたかい、厚生科学研究拡充めざす取り組み、安心年金つくろう会の活動などについて詳しく触れた後、「組織拡大・強化の弱点を克服し、あらたなたたかいにチャレンジしよう」と2010年度の方針を提案。職場を基礎に、要求に根ざしたたたかいをすすめ、本省庁・厚社連・厚研連・社会保険支部協議会の4部門での活動強化と中央執行委員会の機能強化、厚生労働省3組合の連携強化と国公労連「21世紀国公大運動」への結集を呼びかけました。具体的な「強化」点については、不当解雇撤回闘争、厚生労働行政の担い手としての政策活動、国立福祉施設の存続発展の取り組み、厚生科学研究を拡充させる取り組み、平和・憲法・社会保障のたたかいなどについて提起。特に、組織拡大に全力を尽くし、頼りになる労働組合をつくろうと呼びかけました。

財政確立へ組織拡大の数値目標示して

 第2号議案を提案した平丸書記次長は、決算は、組織人員の減少を抑えることができず大幅な減収となったこと、来年度は特別会計から一般会計への繰り入れ、ボーナス時のカンパの提起など財政方針と予算案を提案しました。
 1日目の夕方、予算小委員会を開催し、財政方針について集中的に討議。組織を安定的に運営していくための財政確立へ組合員拡大の数値目標を示すべき、などの意見が出され、大会2日目の冒頭、予算小委員会川名委員長が報告を行いました。
 規約改正は、非公務員も組織する組合として、ストライキ権の確立など労働組合法第5条2項の要求する規約上の定めを明確にするために、第47条(会計報告)の改正と第48条(ストライキ権の確立)の追加を行いました。
 今年度の本部組合費は次の計算方式が適用されます。
一般会計分=本俸×1・1%+420円、専従役員保障特別会計分=120円の総合計。
定員外職員の本部組合費は、1020円です。なお、公務部門で06年3月以前からの組合員は、昨年度に引き続き、06年3月時点の本部組合費の額です。

社会保険支部協議会第1回総会開く

 大会1日目の夕方、全厚生社会保険支部協議会の第1回総会を開催し、運動方針と役員体制を確認しました。
 総会では、山本副委員長が活動方針について提案。全国健康保険協会と日本年金機構との労使関係の構築と職場要求実現のために社会保険支部協議会を設置した。職場のたたかいを背景に団体交渉を実施する、制度改善をめざすなど具体的活動を提起。「労使間の取扱いに関する基本協約(案)」などについて意見交換を行いました。

社会保険支部協議会役員のみなさん

 9月11日に承認された全厚生社会保険支部協議会役員は次の通り。
▽議長 山本潔(近畿)▽副議長 平丸寿博(南関東)、磯貝勝(中部)、松本典子(近畿)、木立圭子(機構本部)▽事務局長 峰一史(機構本部)▽事務局次長 杉浦公一(書記局)、木瀬知彦(近畿)、新田献(東北)▽幹事 小林利幸(東北)、長谷川弘(南関東)、角谷真司(機構本部)、澤村明(中部)、柴田旬子(近畿)、綾信貴(四国)、伊賀ひとみ(九州)、清水美穂(機構本部)


大会宣言(要旨)
 全厚生労働組合は「団結を強化し、組合員を増やし、頼りになる労働組合をつくろう!」をメインスローガンに静岡県熱海市で第74回定期大会を開催し、憲法25条を活かす厚生労働行政の再建をめざし、展望を持って意気高くたたかう2010年度運動方針を全会一致で確立した。
 政府・与党は昨年末、国家公務員法や労働法理を踏みにじる分限免職処分を強行した。この不当解雇に対して39名の組合員が人事院に処分の取り消しを求める不服申し立てを行い、京都では15名の仲間が提訴するなど、怒りと勇気を持って一歩ずつ前に進み始めた。
 また、日本年金機構の職場では労働条件の改善や業務運営の体制確保をめざし、受け身にならず果敢にたたかい、新たな体制を築き、要求前進の取り組みを開始した。
 全厚生は、「安心年金つくろう会」や「全厚生闘争団を支える会」とともに年金制度の拡充と不当解雇処分の撤回を求めて国民的な共同を広げ、最重要課題として取り組んでいく決意を固めた。
 厚生労働省は、2012年度末に塩原視力障害センター、2013年度末に伊東重度障害者センターを廃止し、国立障害者リハビリテーションセンターに統合しようとしている。
 全厚生は、利用者への働き掛けを強め、地域に足を踏み出して運動を組織し、国会やマスコミにも大きく取り上げさせるなど、世論と運動を広げている。今後も「国立福祉施設の存続発展を求める会」を軸に統合・廃止案を撤回させ、障害者福祉の拡充にむけて全厚生の重点課題として位置づけ総力を結集してたたかう。
 試験研究機関の部門では、この間の「事業仕分け」で科学研究の成果を乱暴に切り捨てる「政治主導」の考え方がはっきりした。命と健康を守る厚生行政を支える研究活動の本質的な意義を、厚研連を中心に発信していく運動を模索していく。
 この間の公務員バッシングや社保庁改革の荒波の中、組織改編や組合員の退職によって全厚生の組織人員は大幅な減少を余儀なくされた。労働組合の力は、団結の力。切実な要求を実現するには、その団結を強化する以外にない。全厚生は、組織拡大こそ最大の要求闘争と位置づけ、奮闘する決意を固めた。
 安定した雇用、安心して暮らせる社会の実現は国民共通の願いである。この道理ある、当たり前の要求を実現するため、組合員一人一人がまわりに声をかけ、地域に足を踏み出し、 元気に声を掛け合って全力で奮闘する。
 たたかいはここから、たたかいは今から。
 以上、宣言する。

           2010年9月12日

全厚生第74回定期大会


組合員を拡大し要求前進を
真剣な討論で運動方針が豊かに

 討論ではのべ39人が発言しました。川名代議員(南関東支部)は、全支部で組織拡大に全力を挙げよう。柴田代議員(近畿支部)は、自然体で労働者は労働組合に入ってあたりまえ、と組織拡大を進めよう。澤村代議員(中部支部)は、特定業務、アシスタント職員含め職場要求実現のために組合員拡大を頑張る。加藤代議員(中部支部)は、全厚生の組織のない県に行って、全厚生は組合員が中心の活動であると再認識。増やしたい。北畠代議員(機構本部支部)は、組織拡大目標も立て最重点課題として取り組む。機関紙を通して組合の存在を知らせよう。磯貝代議員(中部支部)は、財政健全化のためにも組合員拡大に頑張る。倉橋代議員(近畿支部)は、不当な懲戒処分で年金機構に採用されず去っていった仲間のためにも、労働組合への拡大を真剣に頑張りたい。長谷川代議員(南関東支部)は、支部役員に立候補し頑張る決意。内田代議員(南関東支部)は、健康保険協会の職場要求前進のためにも組合員を拡大する。神山代議員(本省支部)は、非常勤職員の労働条件改善と雇用継続へ組合に迎え入れる。長時間残業の改善へ頑張る。寺井代議員(中部支部)は、地方厚生局の廃止問題に全厚生として対応したい、と組織化の決意を述べました。

不当解雇撤回を

 社会保険庁職員の不当解雇撤回闘争については、当事者としてたたかう北久保代議員(近畿支部)、児島代議員(四国支部)、傍聴の綾さん(四国支部)、中本代議員(近畿支部)、國枝中央執行委員が並んで決意表明。児島代議員(四国支部)は、愛媛で支援共闘会議を結成。当事者は週1回集まり励まし合っている。小林代議員(東北支部)は、当事者は月1回集まっている。各組合の定期大会や集会で訴え支援を広げている。中本代議員(近畿支部)は、当局は分限免職回避努力を何もしていない。解雇撤回へ裁判闘争頑張る。傍聴の堀越さん(南関東支部)は、懲戒処分者は日本年金機構に採用しないとの閣議決定を取り消すまでたたかう。杉山代議員(中部支部)は、安心年金つくろう会を静岡にも作る。

労働条件改善を

 日本年金機構の労働条件改善について、佐藤憲代議員(機構本部支部)は、准職員が正規職員に移行できるルールを。特定業務・アシスタント職員の賃上げと処遇改善を。鈴木代議員(南関東支部)は、日本年金機構の混乱は、専門知識を身につけた職員の不足が決定的。不当解雇撤回で安心できる年金業務を、と発言しました。

国立施設存続を

 国立福祉施設の存続発展の問題で、楠田代議員(国リハ支部)は、塩原センターの存続を求める会で行ってきた点字要請ハガキ、当局交渉、議員要請、マスコミ対策などを紹介し廃止撤回への決意。柴原代議員(福岡支部)は、支部で「国立福祉施設の存続発展を求める会」の立ち上げを確認し、政策提言をみんなで書いている。関矢代議員(塩原支部)は、塩原センターの存続を求めて、那須塩原市と栃木県議会への陳情や市長要請など紹介し、最後まであきらめないで頑張る。勝島代議員(伊東支部)は、頸髄損傷者のリハビリ訓練を行う伊東重度障害者センターの存続求めて運動を続ける。前野代議員(国リハ支部)は、国リハの建て替えに大きな予算をつけ、塩原・伊東を廃止するのは許せない。方針を変えさせるとの決意。

研究機関発展を

 山崎代議員(感染研支部)は非常勤職員の雇用継続と労働条件改善へ頑張る。仲宗根代議員(感染研支部)は、憲法をしっかり守ってきた組合活動家はかっこいい!と讃えたい。儀同代議員(ハ病研支部)は、厚研連の体制強化と厚生科学白書づくりなど政策活動を活発にしたいと発言。

平和、青年、女性

 小川代議員(近畿支部)は、NPT再検討会議ニューヨーク行動の体験を紹介し、平和の活動を広げたい。梅沢代議員(統計支部)は、統計支部は本省支部と一緒になる。女性部は「つぶやきを要求へ」人事課との懇談も実施し実現へ頑張る。佐藤正代議員(機構本部支部)は、青年が参加したくなるような活動で組合加入に繋げていきたい。支部300人の組合員を目指す。傍聴の清水さん(機構本部支部)は、不当解雇された組合員の声も紹介しつつ、女性の集まるあらゆるところで訴えてきた。年金機構の労働条件改善とともに、不当解雇撤回闘争頑張る決意を表明しました。

2千人の組織めざし全力
飯塚委員長が総括答弁


 飯塚委員長は、討論の特徴について@世論獲得を重視した運動が実を結びつつあるA憲法25条に基づく年金、障害者施策、厚生科学研究は国が実施すべき行政であるB運動を進めるために組織拡大が重要であることが強調された大会であったと述べ、総括答弁を行いました。社会保険部門は、不当解雇撤回、職場要求前進、組合員拡大を三位一体の活動として取り組み、不当解雇と日本年金機構の混乱の問題点を明らかにし世論獲得に全力を挙げる。全部門で組織強化を図る。国立福祉施設の存続運動は世論獲得の典型例。利用者や地域を巻き込んだ運動と全厚生の組織強化が運動を前進させる。研究機関は国が責任を持って運営すべき。政策活動と組織強化を進める。本省部門は、「地方出先機関の原則廃止」に対して、国民本位の行政の在り方への政策活動、宣伝活動を重視する。また、非常勤職員の雇用と労働条件確立を進める。組織拡大については、地方厚生局や街角年金相談センターなどの組織も進め、2000人の組合員に向けて全力を挙げよう。

退任されたみなさん
長い間お疲れ様でした。


 今大会で、中央執行委員長の飯塚勇さん、中央執行委員の木瀬智彦さん、新田献さん、深沢英二さん、松野重夫さん、会計監事の秋山佳秀さんが退任しました。
 退任のあいさつで、飯塚さんは、今後全厚生の顧問として全厚生不当解雇撤回闘争団の事務局を担っていく決意を表明。木瀬さんと新田さんは、全厚生社会保険支部協議会の役員としてがんばる決意。深沢さんは支部でがんばる決意を述べました。なお、近藤浩美書記は11月末で退職となります。


2010年度執行体制
仲間とともに頑張ります。
中央執行委員長
 山本 潔(新)近畿
中央執行副委員長
 伊藤健一郎(新)感染研
 今井 進(再)神戸
 田口雅之(再)本省
 峰 一史(新)機構本部
書記長
 杉浦公一(再)書記局
書記次長
 平丸寿博(再)南関東
中央執行委員
 川名 健(新)南関東
 北久保和夫(新)近畿
 木立圭子(再)機構本部
 小出千鶴子(再)国リハ
 小浦美奈子(再)基盤研
 菅沼伸至(再)統計
特別中央執行委員
 國枝孝幸(新)中部
会計監事
 市川 茂(再)本省
 鎌田貴子(新)南関東
顧問 飯塚 勇
書記 近藤浩美
   西田志緒

第23回全厚生機関紙フェスティバル
 大会1日目、第23回機関紙フェスティバルの講評と表彰を行いました。講評を行った近藤書記は、「職場状況がますます厳しくなる中、8支部12機関紙の応募があった。これらの機関紙は、仲間に真実を伝え、一人ひとりの声を大事にしてきた世界に誇れる『つぶやき』の結晶。応募機関紙はすべて『金賞』」と述べ、個々の機関紙についての講評を行いました。
 支部と機関紙は次の通り。

〈金賞〉
本省支部 「夜明け」、 福岡視力障害センター支部 「かたらせて」、日本年金機構本部支部「支部ニュース」「組合員のみなさんへ」、南関東社会保険支部「週刊保険」、中部社会保険支部「支部だより」、「全厚生中部社会保険支部書記局のブログ」、近畿社会保険支部「NEWS全厚生きんき」、京都支部「社保ニュース」、近畿社会保険支部協会けんぽ分会「協会けんぽ分会ニュース」、近畿社会保険支部京都南分会「みなみ」、東北社会保険支部青年部「とらい」

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