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◆第1749号 (2010年9月1日付)◆
存続発展求める会が山井政務官に面会し要請
塩原視力と伊東重度の存続を

 厚生労働省は、2012年度末に塩原視力障害センターを、2013年度末に伊東重度障害者センターを廃止し、国立障害者リハビリテーションセンターに統合しようとしています。全厚生は、塩原視力障害センターの存続を求める会(会長・生田目和美=塩原センター利用者)と国立福祉施設の存続発展を求める会(代表委員・望月亜矢子=伊東センター修了生)を軸に、国立福祉施設の存続発展を求め、世論と運動を広げています。この間の活動を紹介します。

 8月25日、塩原視力障害センターの存続を求める会と国立福祉施設の存続を求める会は、山井和則厚生労働大臣政務官と30分に渡り面会し、両施設の存続を訴えました。
  これは、社民党の阿部知子衆議院議員の紹介により実現したもので、塩原から生田目会長はじめ利用者の永井さんと野口さん、副会長の楠田さん、事務局の秋山さん、、伊東からはセンター修了生の吾妻さん、岩井幹事、国リハあはきの会の伊藤幹事など12人が参加しました。
  要請では生田目会長はじめ利用者のみなさんから、「厚生労働省は、利用者減でニーズがないから廃止というが、利用者減は障害者自立支援法による自己負担が増えたことが原因で、ニーズがなくなったわけではない」、「PR不足で、行政や医療関係者が視力センターの存在や活動を知らず、入所するまで、たいへん苦労した。利用したい人がまだたくさん埋もれている。ニーズがなくなったわけではない」、「中央に集めるのではなく、地域に密着したセンターが必要」とそれぞれ体験も交えながら、センターの必要性と存続を訴えました。
  伊東重度障害者センター修了生の吾妻さんは、「ある日、怪我をして手足が動かなくなり、自分では顔すら洗うこともできず、何もできなかったが、伊東重度センターで訓練を受け、今では一人で生活ができるようになった。専門的な施設を存続させて欲しい」と訴えました。
  山井政務官は、「貴重なご意見をありがとうございます。今までこのような話は聞いたことがなかった。勉強してみたいと思うが、この方針を変えることは難しい。みなさんのおっしゃる意味はわかるが」と回答。それに対し、阿部議員は「政治主導の三役のどなたがこの状況をご存知で決められたのか。障害当事者の声抜きに、ニーズがどこにあるかも把握しないで政策だけが進んできた経緯がある。今日会って頂けたことは大きい。障害者のニーズを把握し意思をくみ上げる形での施策にしていただけることを期待します」と念押ししました。山井政務官は、「つれない返事で申し訳ないが、私も障害者福祉をライフワークとしているのでお気持ちはよくよくわかります」と述べ、面会を終了しました。
  この様子は、下野新聞、朝日新聞、読売新聞、とちぎTVが報道しました。

内閣府障がい者制度改革推進会議東室長に要請

 塩原視力障害センターの存続を求める会と国立福祉施設の存続発展を求める会は8月25日、山井政務官との面会に続き、阿部知子衆議院議員の紹介で障がい者制度改革推進会議担当室の東俊裕室長に面会し要請。金政策企画調査官も同席しました。東室長らからは、訴えを熱心に聞いた後、「本格的な就労移行のための施設、盲学校も視野に入れて全体としてどうしていくか、視覚障害者の方たちの就労移行の在り方について、また、頸損の問題についても、委員を通じて意見を出して頂くと議論ができる。推進会議や福祉部会は、個別問題までするというところまで行かないが、個別問題に含まれる本質的なものを挙げていただければ議論できる」、「廃止案は、政権交代の前に出た『あり方検討会』の結論によるものであり新しい政権のものではないので、この案をやめさせる理屈は成り立ちやすい」との助言をいただきました。

伊東市議会に存続発展求め陳情

 伊東重度障害者センターの存続発展を求め8月18日、 国立福祉施設の存続発展を求める会は、伊東市議会に対して陳情書を提出。望月代表委員と岩井幹事が市議会に出向き、センターへの存続・発展を国に要望するよう求めました。鳥居康子副議長が対応し9月議会で検討したいと受け取りました。
  この様子は、静岡新聞と伊豆新聞が写真入りで大きく報道しました。
  また、共産党の高橋千鶴子衆議院議員が8月30日、同センターを視察し、全厚生伊東支部と懇談しました。

那須塩原市議会に存続求め陳情

 塩原視力障害センターの存続を求める会は8月23日、那須塩原市の栗川市長に要請書、市議会の君島議長に陳情書を提出し、センターの存続を国に要望するよう求めました。生田目会長、小山事務局長はじめ5人が参加。栗川市長は9月中にも国に意見書を提出する考えを示し、君島議長は9月市議会で委員会付託すると説明しました。
  この様子は、とちぎテレビで同日夜9時の報道番組でトップニュースとして放映された他、栃木放送(ラジオ)、朝日新聞、下野新聞、毎日新聞、東京新聞、読売新聞、産経新聞の計8社が報道しました。


リレーずいそう
そろそろ反論を

 住民票上は生存している100歳以上の高齢者、誰かが年金を詐取しているケースがある。家族で年金を取り合い、口座変更を繰り返している例は、どの事務所に転勤しても必ず遭遇する。
  毎日途切れなく送られてくる、市税事務所や福祉事務所からの照会文書、共済年金受給者も含まれている。明日は我が身かも知れない、なんせ60歳から被用者年金が受けられない世代が定年を迎えつつあるのだから。
  暮らしが苦しくなるにつれて、公務員への厳しい批判も強くなる。高度成長時代には、公務員の賃金が安いことは誰も気にしていなかった。
  水害・虐待・熱中症、TVでニュースを見るたび、そこに映っているのは公務員が必死で頑張っている姿だ。今年の10大ニュースの中で公務員が登場しないのはワールドカップぐらいじゃないの!?
  具体的に言ってほしい、どの公務員を減らしたらいいのか。消防署?児童相談所?警察?福祉事務所?なくなってもかまわないのは、年金?医療?生活保護?
  以前立ち読みをしたクイズに、ある部族の雨乞いの儀式は100%雨が降る、その理由は?とあった。答えは「雨が降るまでやるから」
  そろそろ国民の生活を守るために具体的に反論しようよ。労基法や医療・年金をはじめとする最低基準を引き上げなくては。
 (近畿支部 組合員)

第56回日本母親大会in福島
「私たちを年金の職場に戻して」

7000人の参加者に支援の呼びかけ

 社会保険庁職員の不当解雇撤回闘争への支援の訴えを8月28日、第56回日本母親大会in福島の全体会で7000人の参加者を前に、全厚生闘争団の小畑佐久子さん(秋田県)が行いました。小畑さんは、昨年末525人もの社会保険庁職員が不当解雇されたこと、職員は国民のために一生懸命年金業務に尽くしてきたことを紹介し、「労働者の生活と権利を守るべき厚生労働大臣が自ら職員の首切りを行うことは、到底許すことはできません」と訴えると会場から「そうだ」の声援が。「年金記録問題を解決するためにも、安心して暮らせる年金制度をつくるためにも、不当解雇を撤回し、私たち元社会保険庁職員を年金の職場に戻してください。皆様のご支援を心からお願いします」と訴えました。会場からは、「がんばれ」のかけ声とともに、大きな拍手が寄せられました。
  翌日の分科会会場入り口では、猛暑の中、2800枚の支える会リーフレットを配布。リーフを受け取った参加者から次々に「がんばって」との激励が。全厚生は、小畑さんはじめ当事者2人と東北・年金機構本部・南関東・中部の各支部と本部から8人が参加。全厚生OBの杉崎さんら2人の応援もあり、10人でリーフを配布しました。
  小畑さんは、参加した分科会でも発言。助言者をしていた大学教授がその場で支える会に入会するなど、支援の輪を広げることができました。


社保庁不当解雇撤回へ全力
国公労連第56回定期大会ひらく
 「憲法をくらしと行政にいかそう 今こそ国民の中へ国民とともに」をスローガンにかかげ、国公労連は8月26日から3日間、全労連会館において第56回定期大会を開催しました。
  大会では、活発な討論ののち、運動方針を決定し、「国の行政責任を放棄する『地域主権改革』に断固反対し、国民の生存権など基本的人権を保障する公務・公共サービスを守るため、国公労働者のプライドをかけて全力でたたかい抜く」との大会宣言を採択しましまた。
  冒頭挨拶した宮垣委員長は全厚生不当解雇撤回闘争にかかわって、「社保庁職員525人に対する分限免職処分の取り消しと日本年金機構の『懲戒処分を受けた職員は採用しない』との閣議決定を撤回させ、希望する旧社保庁職員を正規職員として採用させ、経験と能力を活用させることが国民が安心できる年金制度を確立する上でも重要」と述べ、京都の仲間15人が地裁に提訴したことを紹介し、「人事院審理と裁判勝利をめざすたたかいと全厚生闘争団を支える会の会員拡大にみなさんの支援を」と訴えました。
  運動方針案を提案した岡部書記長は、不当解雇撤回のたたかいにかかわって、@社保庁不当解雇の撤回めざし、10月22日の全労連争議総行動に結集し奮闘するA「全厚生闘争団を支える会」を年末までに団体1千以上、個人5千以上めざすB厚生労働大臣宛・人事院総裁宛署名を継続するC全厚生組織の確立、拡大を支援し、各県国公との連携を強化することなどを提案しました。また、不当解雇撤回闘争財政確立のための特別会計を新設し、特別徴収金(1人250円)の徴収を提案しました。
  討論では、全厚生闘争団当事者である、北久保さん、國枝さん、伊藤さんが決意を表明し、支援を訴えました。また、近藤書記が国立福祉施設の統合・廃止(案)に対する存続発展運動の取り組みを発言しました。
  議案は全会一致で採択され、新役員として、全厚生の國枝孝幸さんが中央執行委員に選出されました。

残業月70時間 厚労省がワースト1
霞ヶ関残業実態アンケート結果に反響
 7月28日、霞国公と東京国公は今年3月に実施した残業アンケート結果に基づく霞が関の残業問題で記者会見を実施しました。
  アンケートには霞ヶ関で働く国家公務員3056人が回答。平均残業時間は前年度比3・5時間減の32・8時間でしたが、過労死危険ラインである月80時間以上が6・3%約2千2百人という状況や、「平日1週間に一度も家族と夕食を共にできない」が30・6%と依然深刻な状況がありました。
  前年度より残業時間が増えたのは厚生労働省で、旧労働省が73・4時間、旧厚生省が71・7時間でワースト1位2位を占め、3位の経産省の45・9時間を大きく上回わりました。
  記者会見では、今年新たに加えた項目、「政権が変わって残業が増えましたか」との問いに、全体に「増えた」が多数を占め、とりわけ厚労省では「増えた」が52・9%もあったこと、理由として政務三役への対応を挙げた人が75・6%に上ったことを明らかにしました。この日タイミング良く、厚労省内部職員アンケート(若手プロジェクトチームによる職員意識調査)結果の発表もあり、新聞各紙はこの2つのアンケート結果を重ね、7月29日の朝刊で大きく取りあげました。
  とりわけ読売新聞は一面トップで報道し、職員アンケートに関わっては「厚労相指示に納得1%」「おごり感じる48%」との見出しを付け、残業アンケートからは「政務三役への対応大変」「残業月70時間、省庁でダントツ」との見出しを付け報道。朝日新聞は、「ヘトヘト厚労省職員イライラ」「残業最長、大臣の指示細かい」「政務三役におごり」と三段抜きで報じています。毎日新聞は「政権交代つらいよ」「残業増えた」「大臣らおごりの声」と報じました。

核兵器のない平和な世界を
原水爆禁止世界大会に参加

 8月4〜6日、原水爆禁止世界大会広島大会が開催され、全厚生は近畿支部から4人、ハ病研支部から1人参加しました。近畿支部のリポートを紹介します。

*「核なき世界」がより確かな「流れ」に

 8月5日から7日にかけて、近畿支部から4人が、広島で開催された原水爆禁止世界大会に参加しました。今年は、6日の平和記念式典に、国連事務総長や、米英仏の代表が参列するなど歴史的な年。日程の都合で閉会大会の出席しかできませんでしたが、今年も参加を続けることができたのはとても意義深いことだと思います。
  昨年の原水禁大会は、アメリカのオバマ大統領の「核なき世界をめざす」というプラハ演説が話題の中心。その高揚が、今年はNPT再検討会議などを経て、より確かな一つの「流れ」となっていることを感じました。単に核拡散に歯止めをかけるだけでなく、いまや核軍縮の流れこそが不可避・不可逆的な動きであり、その先に核廃絶の展望もあるという力強い思いが会場にみなぎっていました。
  大会参加後に被爆者の方の話も聞くことができ、短いながら、充実した日程でした。

*平和は築こうと努力して手に入れるもの

 今年で3回目の参加となった原水禁大会。2度目の広島も、とても暑く、綺麗な町でした。広島の道路が広くて綺麗なのは、一度に全てのものが無くなったから。そして、そこを自分のものだと主張する人もいない。タクシーの運転手さんが話してくれました。
  資料館では、被爆者の北川健次さんの話をききました。友達が大勢死んで、自分だけが生き残っていることが申し訳ないと思っていた。彼らに報いるためにも原爆の恐ろしさを伝えなければならないと思っている。原爆資料館にある写真や資料を誇張しているのではないかと言う人もいる。実際はあれ以上。ごろごろとマグロを並べたような死体、肉体が腐る異様な匂い。母の骨は原爆投下の日から10日経っても、まだ熱かった。今でも資料館の2階より上には上がりたくない・・・文字どおり、身を削る思いで被爆体験を語り続ける被爆者の方々の思いを無駄にしてはいけないと思います。戦争は人の心に宿るもの、心に平和の砦を築くことが大切。平和はぼーっとしていて守れるものではなく、平和を築こうと努力して手に入れるものだとも語られました。
  被爆者やそれを支える人たちによって、かろうじて守られている日本の平和を、私たちも一緒に守っていかなければならないとあらためて思った一日でした。


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