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◆第1737号 (2010年3月1日付)◆
不当解雇撤回、雇用と生活守ろう
全厚生第51回中央委員会開く
 全厚生は2月20日、第51回中央委員会を都内で開催します。10春闘をどう闘うか、ポイントを杉浦書記長に聞きました。

 全厚生は2月20日、第51回中央委員会を都内で開催し、憲法25条に基づき社会保障を再建しよう、不当解雇を撤回させ雇用と生活を守ろうと10春闘の決意を固めあいました。
 中央委員会には、中央委員と本部役員はじめ71人が参加。飯塚委員長が挨拶し、春闘方針案を杉浦書記長が、補正予算案を平丸書記次長が提案しました。来賓として国公労連の川村副委員長、全医労の岩崎委員長が挨拶しました。討論の後、方針案・補正予算案を全会一致で採択。人事院への不服申立て者6人も参加し、全員が力強くたたかう決意を表明しました。
 中央委員会終了後、全厚生団結集会を開催し、翌21日には、福祉部門と社会保険部門がそれぞれ支部代表者会議を開催しました。
◆委員長挨拶◆
法廷闘争視野に支援広げて
 中央委員会の冒頭あいさつで飯塚委員長は、政権交代から5カ月の情勢に触れ、後期高齢者医療制度廃止の先送り、日本年金機構の設置、沖縄米軍基地問題、消費税増税の動きなど民意に背く民主党政権を厳しく批判。さらに、税制改革大綱の日本年金機構廃止・歳入庁設置案は国民総犠牲の収奪強化に他ならないと批判、社会福祉施設、独立行政法人の再編案に対しても国民の立場に立ってたたかう決意を表明しました。
 社保庁職員不当解雇撤回、雇用確保のたたかいについては、昨年末、長妻厚労大臣による職員252人の分限免職処分強行を糾弾。不当な処分撤回を求めて全厚生組合員31人が行った人事院への不服申立てについては、今後、法廷闘争も視野に入れた体制確立を急ぎたいと述べ、緊急カンパを提起。今後、日本年金機構における職場活動を強化し、働くルールと安心できる年金制度の確立へ全力を挙げようと呼びかけました。
◆方針提案◆
社会保障行政担う誇りかけ
 春闘方針を提案した杉浦書記長は、「全労連の春闘の中心的スローガンである『貧困と格差の解消』は、まさに厚生労働省の課題。社会保障行政を担う者の誇りをかけて国民春闘たたかい抜こう」と述べ、具体的たたかいを提案しました。社保庁職員の不当解雇の撤回、雇用確保のたたかいについては、全厚生を「全厚生不当解雇撤回闘争団」と位置付け、たたかいを支えるために「全厚生闘争団を支える会」をつくり、裁判闘争も視野にたたかいを支えるカンパ活動に取り組む。日本年金機構では、業務体制の確保と労働条件改善を目指す。健保協会では、労使の基本ルール確立を目指す。社会福祉施設の組織再編(案)については、伊東重度、塩原視力の統廃合・廃止(案)の一方的な具体化を行わせない。独立行政法人の課題では、栄研と基盤研は国が責任をもって拡充する。研究機関の課題では、一方的な組織の見直し・再編は行わせず、厚生科学研究の拡充へ厚研連活動を強化することを提案。この要求を実現させるために、組織の強化・拡大を呼びかけました。
◆討論◆
たたかう全厚生素晴らしい

 討論は全体で20人が、不当解雇撤回の取り組み、職場実態や労働条件改善を求める意見、社会福祉施設の組織再編(案)に対する取り組み、独立行政法人、研究機関の課題などで発言しました。
 年金機構の各支部・協議会からは「打刻(退社通告)した後も深夜まで仕事」、「アシスタント職員は15万に満たない低賃金で年金相談業務」、「お客様10カ条など土台無理。改善どころか悪化」など、超過勤務の実態や行政サービス低下の現実などがつぶさに報告されました。職場の混乱の要因として、経験者の排除、欠員、未経験者の増加、指示系統の混乱などが挙げられ、賃金・労働条件の改善が急務であることが報告され、「年金機構の真実を国会議員はじめ、広く国民に知らせていこう」との呼びかけがありました。
 不当解雇撤回闘争では、「社保庁の誤解を解いて支援を広げるため外に向かって訴えたい」、「年金機構の混乱は、経験者を排除した結果。機構の採用基準を変えるたたかいを」、「京都では14人が不服申立てをした。分担して支えあって全国の牽引役となる」と決意が述べられた他、「解雇に驚き、全厚生新聞を読むのが苦しかったが、元気にたたかう姿を見て、全厚生は素晴らしいと思った」との発言も。
 健康保険協会の支部からは、賞与の支給日・率の決定や契約職員の賃金改善への決意の発言。本省の各支部からは、政権交代で仕事のやり方も大きく変わり、業務が大幅に増えている実態が報告され、「長時間残業改善へ取り組みたい」。独立行政法人の支部からは、「政権交代で独法研究機関への方針が逆転したのを機に、国の事業に戻したい」。社会福祉施設の各支部からは、支部で意見書を作成し所長に提出、視覚障害者団体とも共同して厚生労働省に申し入れた経験が紹介され、施設の存続運動への決意が述べられました。
 「組合員を増やし職場の過半数組合となった」、「非正規職員が続々加入」などの経験も紹介され、引き続き組織拡大強化への決意を固めあいました。

リレーずいそう
●努力とひらめき
 「天才とは1%のひらめきと、99%の努力である」
 この言葉は、かのエジソンが残した、あまりにも有名な言葉です。
 色々な解釈があるようですが、私はつい最近まで、この言葉の意味を「人はひらめきだけでは天才になれない。多くの努力こそが大切なのである」と理解していました。
 しかし最近、とあるテレビを見ていて、この言葉には「人は努力だけでは天才になれない。少しのひらめきも大切なのである」という逆転の解釈もできる…ということを知りました。まさに目から鱗!なかなか奥深いものを感じました。
 「天才」を差し引いて一般的に考えた時、なるほど人はどんなに努力しても、結果を出せないことがあります。内容は大小様々ではあるとは思いますが、皆さんにも1つや2つそのような経験があったのではないでしょうか。かく言う私も最近、一生懸命努力するが故に、意固地になり妥協を許せず、結果失敗…ということがありました。きっとあのとき、努力の先の発想の転換という「ひらめき」があれば、違う結果になっていたかもしれない。自分にはその「ひらめき」が足らなかったのだと、自分で妙に納得し反省しました。
 エジソンがどのような意味を込めてこの言葉を残したのか正確にはわからないそうなので、この解釈も違っているのかもしれません。それでも、どんな解釈であれ、人に教えを説いてくれるエジソンの言葉は、やっぱり凄いなぁと素直に感じた今日この頃でした。
(塩原支部 組合員)

3月の主なスケジュール
  1日 3・1ビキニデー
  4日 春闘勝利中央行動
  8日 3・8国際女性デー
  9日 京都不当処分取消訴訟第5回裁判
13日 全厚生不当解雇撤回闘争団結団式
20日 第6回中央執行委員会
26日 年金機構問題院内集会

早期に業務体制の拡充を
日本年金機構本部に申し入れ
 全厚生は2月17日、労使関係の確立と労働条件の改善等を求め日本年金機構本部に申し入れを行いました。交渉には、飯塚委員長、山本副委員長、杉浦書記長、平丸書記次長が出席し、年金機構からは、坂巻理事、小野塚総務部長、唐沢労務管理部長、佐藤労務管理グループ長らが対応しました。
 冒頭飯塚委員長は、国民の信頼回復のためにも安定的な業務運営とサービスの確保が求められる。全厚生は機構の準備段階や就業規則・労使協定などにそうした立場で対応してきた。しかし、現場はサービスの観点でも労働条件でも極めて困難な状況にある。そのためにも、@団体交渉の方法及び手続きをはじめとする労使関係の基本ルールについて早期に協議を行い、速やかに労働協約を締結すること。A欠員状態を早期に解消するとともに、相談、記録整備などの業務体制を拡充すること。被懲戒処分者を含む希望する元社会保険庁職員を採用すること。B36協定に基づく適正な勤務時間管理を行い、異常な時間外勤務の実態を把握し早期に改善すること。また、必要な予算を確保し、ただ働き残業が発生しないようにすること。の3点について申し入れ書を提出し、年金機構の誠意ある回答を求めました。
 
業務上必要な時間外勤務に対する手当は支払うと回答
 これに対し坂巻理事は、信頼回復のための主役は職員、風通しのよい職場作りのために、立場は違うがお互いに努力していきたい、と基本的な考え方を表明しました。続いて唐沢部長が、@労使間の関係や取り決め等においても、労基法または労組法等の法令を遵守して取り組んでいく所存である。また、信義・誠実の原則に従って、健全で安定した関係を築いていくことが大事であり、そのためには、基本的な労使間の扱いを定める必要がある、A必要な要員が一部の個所で欠員を生じていることは承知しており、業務処理体制を確保するために現在欠員の早期解消に努めている。なお、元社保庁職員で懲戒処分を受けた者については、20年7月29日付閣議決定で採用しないこととされている。B勤怠管理等の取扱の疑義に関し、必要な指導を行うと共に、指示文書を適宜関係個所に発信し徹底を図っている。また、現場での諸課題や悩みを積極的に把握し、現場を出来る限り支援することに努めるようブロック本部と連携し、可能な限り現場訪問を行い情報収集に努めることとしている。事業に要する予算については、国からの交付金がもとになることから、超過勤務にかかる予算にも限度があるものの、時間外勤務を命ずる必要性を明確にしつつ、業務上必要な時間外勤務に対する手当は支払うこととなる。とそれぞれ回答しました。
 全厚生があらためて労使関係に関する労働協約の早期締結を求めたことに対し唐沢部長は、「労使の基本的な考え方など議論しながら基本協約として作っていくことが相応しい」と述べ、具体的協議に入ることを確認しました。引き続き山本副委員長や平丸書記次長は、時間管理の適切な指導は行われているのかも知れないが、国民へのサービス低下を招かないため、打刻以降の残業実態なども報告されている。管理職自身の意識改革も必要ではないか。組織の責任の分担が明確でなく、本部機能にも問題があるのではないか、など現場の実態を指摘し改善を求めました。
 唐沢部長は、貴重なご意見をいただいた。過渡期的な問題もあると思われるが早期に通常の状態になるよう努力している。坂巻理事は、意識の問題など民間・公務の文化の違いはあるかもしれないが、早期にクリアしなければならない。そのためにもコミュニケーションが大事であり、建設的な意見をいただきたい。と述べました。
 飯塚委員長は、理事長も強調されている「生きがい、働きがいある職場」は、信頼回復の基本と考える。個別の課題についてはあらためて申し入れ等を行う考えであるが、現場の管理者も含めたコミュニケーションルールをしっかり確立していくことが一番大事ではないか、とあらためて努力を申し入れました。

機構の労働実態改善を
社保支部・協議会代表会議開く
 全厚生は2月21日、中央委員会での春闘方針が確認されたことを踏まえ、社保支部・協議会代表者会議を開催しました。会議には、本部、支部、協議会などのほかに不服申し立て者も含め、34人が参加しました。
 前日の中央委員会でも活発な討論が行われましたが、代表者会議では、打刻後にも残業せざるを得ない異常な実態、業務がどんどん滞留するにもかかわらず欠員が拡大している状況、マニュアルどおりでは全く業務が進まない実態、勤怠管理に時間をとられ平常業務に弊害を及ぼしていること、長官名であった年金証書が大臣名となり交付に時間がかかること、全国配転も含めた問答無用の人事異動の弊害、研修体制が確立されていないこと、など具体的な問題点が改めて指摘されました。
 今後、職場実態・要求アンケートを取り組んでいくこと、不当解雇撤回闘争を支えるための緊急カンパに全力を挙げることなどを確認しました。

施設存続へ支援広げて
厚社連支部代表者会議開く
 全厚生福祉施設支部(厚社連)は2月21日、支部代表者会議を開催。今井副委員長はじめ支部代表ら8人が参加。
 会議では、国立更生援護機関の組織再編(案)について各施設の状況や支部の取り組みについて交流し、厚社連としての取り組みを討論。 
 「当局は、再編(案)が決定したもののように話しており、新聞報道もされた。我々には『案だ』と言っておいて、話が違う」「利用者の減少は障害者自立支援法によるもの。廃止されれば利用者は増える。『統合』の結論を先送りして検証すべき」(塩原支部)や「『廃止』とのウワサが流れ、利用者募集にも影響を及ぼしている」「利用者が減っていないのに、なぜ廃止なのか」(伊東支部)などの意見や、「国立施設は国民の財産」「利用者のニーズにあった訓練を行っている」「国立という括りだけでなく、民間や自治体など全体の社会福祉施設との関連でみると、地方に残す意義は大きい」など、施設存続を求める意見が出されました。
 今後、支部段階では、施設当局への申し入れはじめ、「支える会」の結成や要請はがき行動、議会要請等に取り組むなど、支援の輪を広げていくことを確認しました。

経験積んだ元職員の採用を
安心年金つくろう会が年金機構に申し入れ
 安心年金つくろう会は2月26日、日本年金機構本部を訪れ、機構の業務体制の確保などを求める申し入れを行いました。
 安心年金つくろう会からは、公務労組連絡会・黒田事務局長、日本年金者組合・久昌中執、中央社保協・山口事務局次長、全厚生・飯塚委員長、国公労連・川村副委員長、瀬谷中執の6人が参加し、機構側は小野塚総務部長、野上人事管理部人事グループ長など3人が対応しました。
 安心年金つくろう会は要請の趣旨を説明し、「国民の信頼回復を図るべきなのに現状はそうなっていない。年金業務の経験者で欠員を早急に補充し、信頼できる体制を確保すべき。そのためにも、懲戒処分を受けた職員は機構に採用しないとする方針は見直すべきだ」と申し入れました。
 続いて参加した各団体から、「現在、欠員はどの位いるのか。欠員によって、どんな影響を及ぼしているのか明らかにしてほしい」、「国民の信頼を回復するための新組織であるはずが、人員不足では困難。即戦力となる人員の確保が必要だ。機構からも意見をあげていくべきだ」、「国民が安心できる業務体制となっていない。国民の要求は、国民の立場に立った制度確立だ。しかし、現実は人員不足で業務がスムーズに行われていない。1日も早く体制を確立すべきだ」と要請しました。
 これらの要請に対して機構の小野塚総務部長は、「元職員の採用については、政府の方針があるので従わざるを得ない。欠員があるのは事実。スキルを持っている人を広く募って体制を確立していきたい」などと述べました。
 安心年金つくろう会は、「採用基準の枠を動かないものと決めつけるのではなく、現状を打開していくためにどうするかだ。現場の職員もたいへんだが、一番迷惑を被っているのは国民だ」、「12月段階ですでに欠員が生じていたのはわかっていたはず。分限免職などする必要はなかった」と現状に対する認識を問いただしました。
 機構側は、「業務等の問題点については、現在の状況含めて理事会や厚労省年金局に正確に伝えている」と回答。
 最後に、安心年金つくろう会は、「スキルを持っている人を広く公募するという話があったが、525人がそのスキルを持っている。閣議決定の見直しは可能なはず。機構の理事、厚労省に伝えてもらいたい」と締めくくりました。

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