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◆第1735号 (2010年2月1日付)◆


違法な分限免職の取り消しを
全厚生組合員31人が人事院に「不服申立て」
 長妻厚生労働大臣は昨年末、社会保険庁の廃止に伴い525人の職員に対し分限免職を強行しました。この不当な解雇の取り消しを求め、1月18日、全厚生組合員31人が人事院に対し、集団で「不服申立て」を行いました。
 人事院本院には、飯塚委員長が13人分の「審査請求書」を提出し、不当な分限免職の取り消しと早期の判定を求めました。その後、4人が直接審査請求書を提出し、それぞれの思いを述べると共に、処分の取り消しを求めました。さらに、代理人として立ち会った自由法曹団の小部弁護士らも要請しました。
 人事院近畿事務局では、京都の組合員14人が一人一人審査請求書を提出し、不当な処分の取り消しと公平な審査を申し入れました。

記者会見で不当性指摘

 審査請求書の提出を受けて東京では厚生労働記者会会見室で記者会見を行いました。会見には、35人を超える報道関係者が集まり熱心に取材しました。はじめに飯塚委員長が全体の状況を説明。裁判闘争も視野に入れて取り組んでいること、道理のない処分の取り消しを求めて立ちあがった組合員を全面的に支援し、処分の取り消し、雇用の確保をめざし全力を挙げることを表明。処分の不当性と申し立ての基本的な考え方等について説明した小部弁護士は、社会保険庁の後継組織である日本年金機構は年金業務を引き継ぐにもかかわらず、移行に際しては社保庁職員の採用を制限するとともに、外部から1000人以上もの正規職員を採用した。あえて外部から人を雇って、現に働いている職員を解雇しているのであり、これは国公法78条4号による「廃職や過員」という処分理由とはまったく矛盾する。また、過去に懲戒処分歴のある社保庁職員は、日本年金機構への応募自体が拒否されたが、過去の懲戒処分を理由に採用せず分限免職に付すのは、同一の非違行為に対する二重の不利益処分であり違法である。また、比例原則違反、禁反言に違反すると指摘しました。

年金の仕事に戻してほしい

 4人の申し立て者は、それぞれ思いや決意を表明。中部社保支部の國枝さんは、「年金機構は人員不足で混乱しているにも関わらず、処分者は採用されない。年金の仕事に戻してほしい」。四国社保支部の児島さんは、「処分歴はなく公務を希望したが分限免職された。厚労省の非常勤にも応募したが、電話1本で門前払いされた」。同じく綾さんは、「処分歴はないのに分限処分に。再就職支援は形ばかりで現在も無職のまま」。同じく出原さんは、「処分歴もなく、無遅刻無欠勤で、毎日遅くまで残業し、誇れる仕事をしてきたのに、なぜ、年金機構不採用なのか。全国で正規職員の不当な解雇を許さないためにも不服申し立てをした」と述べました。
 川村国公労連副委員長は、こうした異常な事態が進行している陰で、日本年金機構で大幅な欠員や相次ぐ退職が発生し混乱を極めていること、その原因として、全国的な人事異動、経験者の退職、民間からの採用など様々な要因があり、それらの解決のためにも経験ある元社保庁職員の雇用が急務であることを強調しました。

マスコミ各社が一斉に報道

 京都弁護士会館で行われた会見には申し立て者14人全員が出席し発言しました。(2面に記事)
 本院、近畿事務局に対する申し立てはそれぞれ公開され、記者会見と合わせて多くのマスコミが取材。TBS、FNN、MBS、NHKの他、共同通信、朝日新聞、読売新聞、日経新聞、毎日新聞、京都新聞などが報道しました。
 人事院への不服申し立てにあたって全厚生は、書記長談話を発表。(2面に掲載)国の政策で45年ぶりに発動された分限免職の不当性・違法性を明らかにすると共に、処分取消の公正な判定を早期に行うこと、併せて、政府・厚生労働省に対し、引き続き、元社会保険庁職員の雇用確保のために最大限の努力を行うこと、これらのたたかいとともに、老後が安心して暮らせる公的年金制度の確立をめざし、国民の年金権を保障するために奮闘する決意を表明しました。
 国公労連・全厚生は不服申し立てに当たり、前日の17日、意思統一会議を開催。申し立て者や支部代表、弁護士など43人が参加しました。18日は早朝から、厚生労働省前宣伝行動を実施。行動には不服申し立て者4人も参加し、ビラ配布。また、11時30分から12時まで開催された厚労省前要求行動にも参加し、それぞれ決意を表明しました。

リレーずいそう
●鍋に限る
 いつにも増して寒さの寛厳の激しいこの冬ですが、冬といえばやはり鍋に限りますね。
 定番の寄せ鍋、ちゃんこ鍋、石狩鍋などを始め最近は、トマト鍋やカレー鍋、豆乳鍋と近年のバリエーションの豊さは鍋の懐の深さを感じさせます。家族と友達と恋人と、鍋を囲んでワイワイガヤガヤ。食も酒もそして話が進み、翌日にはこの3つの過ぎに反省を繰り返すことが多く、鍋は魔性の存在です。
 そんな鍋は寂しい一人暮らしでも大いに威力を発揮してくれます。
 疲れて帰ってきた時でも野菜や肉をざくざく切って放り込んで煮込んで出来、存分に楽しめる上に健康にもよく、体もぽかぽか、一人暮らしの僕にとっては救世主に他なりません。
 先日、ふとモツ鍋が食べたい!と思い、たらふく食べて大満足となったわけですが、翌日の明け方に体調不良を起こしてしまいました。仕事は何とか乗り切ったものの仕事終りにかかりつけの医者に受診したところ急性腸炎という事で点滴を打ってもらいました。翌日には体調自体は良くなり変わりなく仕事できるまでに戻りましたが、疲れた時にスタミナをつけたくとも消化に悪いものは控えるべきでした。20代まだまだと思っておりましたが、そんな事はありません。欲に駆られず体調に合わせた鍋を楽しむのが、最大のコツである事を学ばせていただきました。
(別府支部 組合員)

賃上げ・雇用拡大を
1.19春闘闘争宣言行動に1300人
 賃上げ・雇用拡大で不況打開をと1月19日、全労連・国民春闘共闘、東京春闘共闘は2010年春闘のスタートとなる春闘闘争宣言行動を実施。午前中の厚生労働省前集会に始まり、丸の内仲通りデモ(写真)、日本経団連包囲に、単産・首都圏からのべ1300人が参加。厚生労働省前では、派遣法改正など「働くルール」の拡充、最賃引上げなどを求めて行動。全厚生杉浦書記長が社保庁職員の分限免職撤回を求めた人事院への不服申立てを報告。「年金記録問題の早期解決のためにも雇用継承を求めていく」と訴えました。

不当解雇撤回闘争に全力
国公労連拡大中央委員会で決定
 国公労連は1月29日、都内で第134回拡大中央委員会を開催し、長妻厚生労働大臣が昨年末に強行した、社保庁職員の不当な分限免職の撤回を求めて人事院に不服申し立てを行った全厚生組合員31人の闘いを自らの課題として、全面的に支援していくことを確認しました。
 「労働者の生活と権利を守るべき厚労省が自らの職員の首を切るという異常な事態を、断じて許すことはできない。これは社保庁職員だけの問題ではない。日本の労働者の働くルールを確立させる闘いである。国民が安心できる年金制度の確立とあわせ全力を挙げよう」との方針案提起を受けて行われた討論では、飯塚委員長が、「不服申請を行った31人の中で組合役員経験者はわずか5人。目的や意義を理解してもらい、裁判を展望した闘いに踏み出すには様々な困難もある。国公労連の全面的な支援をいただきながら、全厚生としてその中心的な任務を担っていく」と決意を述べました。
 不服申し立てを行った近畿支部北久保さんは、「無許可専従を惹起したということで懲戒処分を受けたが、現在処分の取消を求めて提訴し5回の口頭弁論が行われた。支援の輪も広がり毎回傍聴席を埋め尽くしている。不当な分限免職の取り消しを求めて引き続き頑張りたい」と支援を訴えました。また、中部支部の國枝さんは、「どうしても年金の仕事がしたい。その思いで様々な場面で訴えてきたが、最終的に分限免職された。こうした不当な仕打ちを許せば、民間労働者の権利後退にも繋がりかねない。処分撤回に世論を盛り上げて行きたい」と決意を述べました。
 代議員からも、「派遣切り」などの雇用破壊に対するルール確立のたたかいとも結んで、不当な分限解雇の撤回とともに、安定した雇用確保を求めていく必要がある。また、迅速な審理と公正な判定を行うよう人事院に対するとりくみを強化する必要がある、などの積極的な発言が相次ぎました。

違法な分限免職の取消を求める
「不服申立て」にあたって(談話)

 長妻厚生労働大臣は昨年末、社会保険庁の廃止に伴い525人の職員に対し、国家公務員法第78条第4号による分限免職を強行した。これは、公務員として、定年まで働き続ける権利が侵害され、同時に生活の基盤である収入を奪う過酷な処分である。本日、分限処分を受けた職員の内、31名の組合員が分限免職の取消を求めて、人事院に「不服申立て」を行った。全厚生は、道理のない処分の取消を求めて立ちあがった組合員を全面的に支援し、処分の取消、雇用の確保をめざし全力で奮闘するものである。

 そもそも日本年金機構は、年金業務を引き継ぐ組織であり、社会保険庁職員をそのまま引き継ぐべきである。組織改編等により、行政機関が民営化や独立行政法人化された事例でも、職員は引き継がれている。その上、社会保険庁職員の採用を制限するとともに、外部から1000人以上もの職員を採用している。この事実は、「廃職や過員」という処分理由が全く根拠のないことを示している。また、厚生労働大臣の責任で行う分限免職回避の努力は、何ら実効あるものになっていない。官民人材交流センターは充分に機能せず、昨年12月1日に示した最終の対応策も極めて不十分であった。あらゆる点で今回の分限免職は、違法・不当なものと言わざるを得ない。

 発足した日本年金機構は、国民の信頼回復が至上命題にもかかわらず、5割が非正規職員であり、かつ正規職員の1割強が外部からの採用者となっている。その上、採用辞退が相次ぎ、多数の欠員状態でスタートしている。国民に対するサービスを確保し、年金記録問題を解決するためには、業務経験を積み、専門性ある元社保庁職員を今すぐ正規職員として採用することが最善の方策である。その点から、懲戒処分歴のある職員を一律全面的に排除する枠組みを、直ちに見直すべきである。

 全厚生は、人事院に対し、国の政策で45年ぶりに発動された分限免職の不当性・違法性を明らかにし、処分取消の公正な判定を早期に行うことを強く要求する。併せて、政府・厚生労働省に対し、引き続き、元社会保険庁職員の雇用確保のために最大限の努力を行うことを要求する。これらのたたかいとともに、老後が安心して暮らせる公的年金制度の確立をめざし、国民の年金権を保障するために奮闘する決意である。

2010年1月18日

全厚生労働組合        
書記長 杉浦 公一


年金機構に採用を
人事課と年金局へ申し入れ
 不当な分限免職の取消と雇用の確保を求める取り組みにあわせ、全厚生は大臣官房人事課へ国公労連は厚労省年金局へ、それぞれ申入れを行いました。
 全厚生は、官房人事課人事調査官に対し「分限免職の撤回と雇用確保、年金機構の体制確保を求める」申入れ書を提出しました。そして、人事院へ分限免職処分の取消を求めて不服申し立てを行ったこと、しかし、その思いは安定的な雇用確保が何より求められること、そのためにも、混乱が続いている年金機構の正職員として懲戒処分を受けたことのある元社保庁職員も含めて雇用と体制の確保が必要であることを強調しました。また、不服申し立てを行った國枝さんは、年金機構も含めた安定的な雇用確保に引き続き努力して欲しいことを要請しました。
 人事調査官は、@雇用確保の関係では、受け入れる数にも限りがあることから全員の要望を受け入れることは限界がある。A年金機構の安定的な運営と国民の信頼回復はもっとも重要な課題であり、省全体としても受け止めている。そのための要員確保では様々な制約もあるが引き続き努力していく、などのコメントがありました。
 国公労連が行った年金局への申入れで川村副委員長は、国民の信頼回復に向けて長妻大臣の肝いりでスタートした年金機構だが、大幅な欠員、相次ぐ退職、業務運営など早くも混乱している、これらの原因は経験ある職員を一方的に排除したことにある、元社保庁職員の採用など速やかにその対策を示す必要がある、と雇用確保・体制拡充を求めました。
 年金局総務課長補佐は、正確な欠員状況は把握していないが、厚労省としても憂慮している、都市部における混雑等は社保事務所の経験なども踏まえ一定承知している、機構の責任は厚労省も一体であり今後も検討していきたい、とコメントしました。

近畿
分限免職の取消を京都から14人が不服申立て
 1月18日、京都では分限免職処分を受けた組合員14人が、人事院近畿事務局へ審査請求書を提出しました。
 提出を終えたのち、一行は近畿厚生局へ移動。不当な分限免職に抗議し、年金事業の安定的運営のためにも、経験ある職員の免職を取り消し、その能力を活かすことを求める申入れ書を提出し、厚生局前で宣伝行動を行いました。
 当日は、人事院の前からTV局のカメラが取材に入り、書面提出や、宣伝行動の様子も報道されました。
 午後からは京都に戻り、弁護士会館で記者会見を行いました。顧問弁護士から、処分の概要と問題点が説明され、その後、審査請求を行った当事者数名が、提訴にいたった経過と心境、処分取消を求める主張を行いました。
 すでに懲戒処分取消の訴訟をたたかっている2人の組合員は、新しく発足した日本年金機構の業務の混乱に触れ、「自分達の経験と知識はよりよいサービスのために活かせるはず」と年金業務への思いを述べました。自分がしたわけでもない「目的外閲覧」で処分を受けた組合員、夫婦で分限免職となった組合員も、それぞれ不当解雇への怒りを訴えました。
 翌週の1月26日は懲戒処分取消訴訟の第5回の裁判でした。被告である国の側の都合で、今回は正式な口頭弁論ではなく、傍聴はできませんでしたが、報告集会には80人近くの支援者が集まってくださいました。
 原告2人が免職となった新たな情勢の下、懲戒処分取消を勝ち取るとともに、分限免職処分に対しても断固としてたたかって行く決起の集会となり、人事院へ不服申し立てを行った14人の組合員のうち11人が壇上へ。多くの支援者の前で、一言ずつ処分への怒りと支援の訴えを行いました。
 京都協議会では、この間の裁判闘争を通じて形成された支援の輪をさらに広げ、14人すべての分限免職撤回、職場復帰を求めて運動を進めていきます。

(近畿社保支部書記長)


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