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◆第1726号 (2009年8月15日付)◆


過去最大規模の給与引下げ勧告
本俸0.2%一時金0.35月を削減
 8月11日、人事院は国会と内閣に対して一般職国家公務員の給与等に関する勧告及び報告を行いました。勧告は、マイナス863円(マイナス0・22%)の官民較差があるとして、若年層と医療職(一)を除く本俸の引き下げ、かつてない0・35月もの一時金の削減、自宅に係る住居手当の廃止を内容とする、史上最悪だった03年勧告に匹敵する平均15・4万円の年収減となるものです。さらに、本府省業務調整手当と地域手当を完成させ、給与構造「改革」に伴う現給保障まで引き下げるものです。
 人事院勧告は、580万人に直接影響するとされています。最低賃金とともに社会的な所得決定基準となっている公務員賃金を引き下げることは、日本経済をさらなる負の悪循環に陥らせるもので、到底容認できるものではありません。
 一方、非常勤職員の処遇改善では、忌引休暇、病気休暇の適用拡大、健康診断の実施とともに、任用や勤務形態などの本年度内見直しに向けた検討を報告。一歩前進しました。これを足がかりに非常勤職員制度の抜本的な改善に向けてとりくみを強めましょう。
 また、労基法の改正に伴い、超過勤務手当の割増率引上げと代替休暇の制度化が勧告されました。非人間的な長時間過密労働の解消のため実効ある対策を講じることを求めていきましょう。
 全厚生は、国公労連に結集し、官房長交渉(厚生共闘)や、人事課長交渉などを実施し、省当局の使用者責任追及や、中央行動などで要求実現を迫ってきました。総選挙で主権者としての権利を行使し、国民本位の行政実現と誇りの持てる職場をめざしましょう。

2009年勧告の主な内容
本年の給与勧告のポイント
月例給、ボーナスともに引下げ
〜平均年間給与は△15.4万円(△2.4%)、2003年の平均△16.5万円(△2.6%)に次ぐ大幅な引下げ
@ 公務員給与が民間給与を上回るマイナス較差(△0.22%)を解消するため、月例給の引下げ改定 − 俸給月額の引下げ、自宅に係る住居手当の廃止
A 期末・勤勉手当(ボーナス)の引下げ(△0.35月分)
B 超過勤務手当等について、時間外労働の割増賃金率等に関する労働基準法の改正を踏まえた改定
C 本年4月からこの改定の実施の日の前日までの期間に係る較差相当分を年間給与でみて解消するため、4月の給与に調整率(△0.24%)を乗じて得た額を、12月期の期末手当で減額調整(俸給月額の引下げ改定のあった者に限る)

官民給与の比較
11,100民間事業所の約46万人の個人別給与を実地調査(完了率 87.8%)
官民較差△863円△0.22%〔行政職(一)…現行給与391,770円平均年齢41.5歳〕
俸給△596円 住居手当△209円 はね返り分(注)△58円
(注)地域手当など俸給の月額を算定基礎としている諸手当の額が減少することによる分

改定の内容
<月例給>
民間給与との較差(マイナス)の大きさ等を考慮し、月例給を引下げ
(1) 俸給表:初任給中心の若年層と医療職(一)を除き、すべての俸給月額について引下げ
@ 行政職俸給表(一) 基本的に同率の引下げ(平均改定率△0.2%)とするが、初任給を中心に若年層(1級〜3級の一部)は引下げを行わない。7級以上は平均を0.1%上回る引下げ
A 指定職俸給表 行政職俸給表(一)の管理職層の引下げ率(△0.3%)を踏まえた引下げ
B その他の俸給表 行政職(一)との均衡を基本に引下げ(医療職(一)等を除く)※ 給与構造改革の現給保障の額についても、調整率(△0.24%)を乗じて得た額に引下げ
(2) 住居手当:自宅に係る住居手当(新築・購入後5年に限り支給、月額2,500円)を廃止
<期末・勤勉手当(ボーナス)>
民間の支給割合に見合うよう引下げ4.5月分→4.15月分(一般の職員の場合の支給月数)
  6月期 12月期
本年度 期末手当 1.25月(支給済み) 1.5月(現行1.6月)
勤勉手当 0.7月(支給済み) 0.7月(現行0.75月)
22年度 期末手当 1.25月 1.5月
勤勉手当 0.7月 0.7月
※本年5月の勧告で凍結した6月期の支給月数分(0.2月分)は引下げ分の一部に充当
[実施時期]公布日の属する月の翌月の初日(公布日が月の初日であるときは、その日)
<超過勤務手当等> 労働基準法の改正を踏まえ、月60時間を超える超過勤務
(日曜日又はこれに相当する日の勤務を除く。)に係る超過勤務手当の支給割合を100分の150に引き上げ、また、当該支給割合と本来の支給割合との差額分の支給に代えて、代替休(日又は時間)を指定することができる制度を新設
[実施時期]平成22年4月1日

改定俸給表は国公労連ホームページに掲載中。http://www.kokko-net.org/kokkororen

リレーずいそう
●組合新聞の電子化
 支部長就任直後に全厚生からメールが来て、リレーずいそうの執筆を依頼されました。どこでも同じとは思いますが、当支部でも組合組織率の低下に悩まされております。そこで当初は組合活動をなるべく減らして組合員の負担を軽減しようという当支部の方針に則って、執筆をお断りしようと思いましたが、依頼された方とは面識もあるし、執筆する内容によっては組合員の負担軽減につながるかもしれないと思い、やはり執筆させていただこうと考え直しました。
 すでに誰かが言っていることかもしれませんし、ここで書くべき内容ではないかもしれませんが、提言させていただきます。(前置きが長い…。)
 それは全厚生だけでなく、国公労新聞等、組合の発行する新聞を希望者だけに紙媒体で提供することにしてはどうか、ということです。ホームページやメールで十分という方もいらっしゃるでしょうし、むしろその方が検索性が高くて便利だという方も多いのではないでしょうか。紙の使用量を抑制すれば森林保護、二酸化炭素排出量抑制にもつながります。何より配布する組合員の負担が軽減されますので、ぜひご検討いただきたいと思います。ご依頼いただいた字数よりも少ないことについては、組合活動軽減と言うことでご容赦下さい。
(国立医薬品食品衛生研究所支部 支部長)

News
米価下落!政府は緊急対策を
東京国公と農民連が霞ヶ関デモ

 東京国公と農民連(農民運動全国連合会)は、8月5日の昼休み、「米価非常事態!日本の食と農を守れ緊急霞デモ」を実施。
350人が結集し、農水省前を通り霞ヶ関を一周しました。これは、09年産の超早場米の販売価格が昨年よりも大きく下落し、このままでは秋の新米価格にも全国で影響が出るとして、政府買入れなどを要求して行ったもの。全厚生も参加しました。

公的年金の市場化に反撃を
自治体学校で社保庁問題を訴え

 地域住民が主体となる自治体づくりの展望や運動を交流しあう第51回自治体学校が7月24日から26日にかけてさいたま市で開催されました。今年は16の講座・分科会を中心に、自治体労働者、地方議員、研究者ら約1200人が参加し、「地方分権」「道州制」問題など熱心な討論が展開されました。特に、「自治体市場化・民間化の現状と反撃の視点」分科会では、飯塚委員長が「公務リストラ・市場化と社保庁解体」をテーマに、公的年金制度の解体と社保庁改革が一体であることや、民間企業の儲けの対象とされている市場化の現状などについて報告と訴えを行いました。

9月の主なスケジュール
5日 国公労連青年協第35回総会
10日 京都不当処分取消訴訟第3回裁判
11日 第12回中央執行委員会
12日 全厚生第73回定期大会(〜13日)
26日 国公労連女性協第35回総会(〜27日)

これでいいのか年金問題
大阪でシンポジウムを開催
 全厚生大阪支部、全日本年金者組合大阪府本部、「介護保険料に怒る」一揆の会の呼びかけで、8月1日に「これでいいのか年金問題、安心して暮らせる年金制度の確立を」と題したシンポジウムが開催されました。総選挙を目前にひかえ、選挙の大きな争点の一つである年金問題のシンポジウムとあって、開会30分前から参加者が会場を埋め、開会直前ですでに超満員となりました。参加者数は実行委員会の予想を遙かに超える170数名。全厚生関係では大阪支部を始め近畿ブロック、岐阜、愛知から組合員・職員・OBを含め30数名が参加しました。
 冒頭、全日本年金者組合大阪府本部の松井委員長が、国民が安心できる年金制度の確立に向けてみなさんと一緒に運動を強めましょうと挨拶しました。
 前半の部では、最初に「最低保障年金とは、その意義と課題」と題して年金者組合中央本部の久昌政策調査部長が、国民の老後生活の保障のために「最低保障年金制度」を作ることの必要性を強調しました。そのあと「年金の悲劇と社会保険庁廃止・解体」と題して全厚生飯塚委員長が講演しました。飯塚委員長は、社会保険庁改革の経過とその本質にふれ、社会保険庁廃止・解体の狙いを明らかにしながら、日本年金機構で年金はどうなるのかを、多くの資料を引用しながら講演しました。
 後半の部では、生活現場からの報告として、「生活保護と年金」「中小業者が直面する年金」「非正規労働者と年金」「年金から何でも天引き、暮らしはどうなる」と4人のパネラーから報告が行われました。私たちの生活現場に年金が大きく関わり、国民の暮らしを支えるために、年金制度の充実が如何に大切であるかが浮き彫りになりました。その後、参加者から発言があり、アピールを採択し、「今日のシンポの成功を力に、引き続き運動を継続させよう」と意思統一し閉会しました。この日は、朝日放送(テレビ)の取材が終始行われ、総選挙の直前に放映される予定です。私たちの思いが多くの国民に正確に伝わるような放送を期待したいものです。
(大阪支部 組合員)

安心できる年金制度を
日本母親大会で交流とビラ配布
 「生命を生みだす母親は生命を育て生命を守ることをのぞみます」のスローガンの下、第55回日本母親大会(同実行委員会主催)が7月25・26日、京都市内で行われ全国から8500人が参加しました。25日は京都府立体育館で全体会が開かれ、有馬頼底京都佛教会理事長が「いのちの輝き それは平和であればこそ」と題して記念講演。26日は、立命館大学を会場に、シンポジウムや分科会が行われました。
 全厚生は両日、会場入り口で、OBや国公労連女性協の協力も得て総勢25人で宣伝行動を実施。安心年金つくろう会作成の「日本年金機構でどうなる?わたしたちの年金は」ビラを「安心して暮らせる年金制度を求めています」「年金の民営化に反対しています」と声を掛けながら、3700枚配布し、年金署名も82筆集めました。後日、ビラを見た和歌山県内の「生活と健康を守る会」から、「ビラ100枚送ってほしい」とのメールが入るなどの反響もありました。
 25日夕方には、社会保険OBの呼びかけによる「社会保険OB・現役仲間の交流会」が開催され、45人が参加。集会では、社会保険を巡る情勢の報告や京都不当処分取消訴訟の訴え、OBからの激励等があり、懇親会で交流を深めました。

今こそ「国民本位」の政治に転換を
総選挙は政治を変えるチャンスです
*年金問題での各党の政策を知りたい方はこちらにアクセス*
 安心年金つくろう会は、総選挙にあたり、各政党に公開質問状を送り、各党の政策について聞きました。「社会保障財源のために消費税を増税することについて」や「日本年金機構の設立」、「年金記録問題の解決」、「社会保険庁職員の雇用問題」などについて、自民党、公明党、民主党、共産党、社民党、国民新党、新党日本が回答を寄せています。
 公開質問状と回答は安心年金つくろう会ホームページ http://www.anshinnenkin.com/ で。

 総選挙が間近に迫っています。「政権交代」の言葉が踊りますが、問われているのは政治の中身です。雇用や労働条件、職場と行政など国公労働者の課題はどれも政治に大きく左右されます。総選挙は、雇用破壊、社会保障切り捨て、公共サービス切り捨てで貧困と格差を拡大してきた「構造改革」路線を転換するチャンスです。私たちの一票で政治が変えられます。
 相次ぐ労働法制の改悪で、非正規労働者は働く人の3分の1にも達し、年収200万円以下のワーキングプアは1000万人を超えています。また、社会保障制度の改悪で医療も年金も介護も福祉も破壊されてきました。社会保障費の抑制路線を転換して、後期高齢者医療制度の廃止、医療・介護の充実、最低保障年金制度の創設など安心して暮らせる社会にしていくことが必要です。
 規制緩和・民間開放による新自由主義は、公務の民営化・市場化を一層進めるもので、財界の狙う地方分権・道州制も、アメリカや財界・大企業の要望が基本となっています。棄権することなく主権者としての権利を行使しましょう。

重要法案への各党の態度(賛成●、反対○)
法律名(通称) 設立月 自民 公明 民主 共産 社民
労働者派遣法改悪(派遣労働の原則自由化) 1999.6
健康保険法等改悪(健保本人3割負担、高齢者1割負担) 2002.7
労働者派遣法・職安法改悪(製造業への派遣拡大) 2003.6
年金大改悪法(毎年自動的な「保険料引き上げ・給付削減」制導入) 2004.6
介護保険法改悪(軽度者サービスの切り捨て、施設利用の負担増) 2005.7
郵政民営化法(窓口・郵便・貯金・保険の分社化で全国一律を解体) 2005.8
障害者自立支援法(障害者福祉への応能負担導入) 2005.10
行革推進法(5年間5%以上純減を含む総人件費削減など) 2006.5
市場化テスト法(官民・民間競争入札による公務の民間解放) 2006.5
健康保険法改悪(後期高齢者医療制度、混合診療の解禁) 2006.6
国公法改悪(天下り合法化、能力実績主義の強化の人事管理) 2007.6
社会保険庁改革関連法(社保庁解体・民営化で国の責任放棄) 2007.6
給与法「改正」(国家公務員の夏季一時金削減) 2009.6

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