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◆第1723号 (2009年7月1日付)◆


雇用確保へ具体的対策を
長官交渉で社保庁当局を追及
 全厚生は6月17日、年金機構設立委員会が採用内定者を決定するという新たな情勢の中で社会保険庁交渉を行い、希望者全員の雇用確保と分限免職回避に向けた社会保険庁の具体的な対応等について見解を求めました。交渉には飯塚委員長、山本副委員長、杉浦書記長、峰書記次長、木立・梅田両中央執行委員が出席し、社会保険庁からは坂野長官、薄井総務部長、樽見総務課長、那須職員課長以下関係者が出席しました。
 冒頭飯塚委員長は、「厚生労働行政に対する国民の関心と期待が極めて高い。特に年金記録問題の早期解決を求める国民の声はますます強まっている。しかし、一方では、年金最前線を支えきれない現場の実態もリアルに報道されている。年金行政への国民の安心・信頼を得るためにも年金業務に精通した職員の確保と、体制の確立がなくてはならない。年金機構には被懲戒処分者が一律排除されているが、処分の背景には制度的・歴史的な問題があり個人の責任に矮小化することは許されない。希望者全員の雇用確保は任命権者である社会保険庁の責務である」とし、具体的な対策を求めました。

准職員への再募集、再就職等支援を強化(長官)
 これに対し坂野長官は、「職員には多大なる負担をかけているにもかかわらず、使命感をもって全力で取り組んでいただいていることに感謝申し上げる。5月19日の設立委員会での採否内定を踏まえ、厚労省関係も含め通知の準備を進めている。希望者全員が採用される枠組みではなく、また、被懲戒処分者は採用にならない状況の中で、分限免職回避の努力も含め社会保険庁として基本計画に基づいて対応していく。なお、機構を希望しなかった職員に対する准職員への再募集が認められたので、今後具体化していきたい。また、採用されなかった方々については官民人材交流センターの活用も含め、庁としてもできるだけの支援をしていきたい。厚労省での欠員補充や他省庁への転任などについても協力を求めているが、現在の定員事情などから限界があるのではないか。具体的には、本庁と地方庁にそれぞれ再就職等支援対策本部、及び支援室を設置し、総合的な調整を行なっていきたい」と現時点での基本的な考え方を示しました。
 飯塚委員長は、「希望者全員が採用されない枠組みとの言及があったが、定数に満たない中での不採用など認められるものではない。他省庁、公共団体など限界を超えた努力を求める」と再度長官の考え方を質しました。長官は「やや抽象的なことを申し上げたが、職員に対し、私自身もつらい思いをしながら申し上げていることを理解して欲しい」と回答しました。

体制確保、健康管理対策等を要求
 引き続き山本副委員長が、@被懲戒処分者はこの間大変つらい思いをしながら、業務に精一杯努力している。排除は当然という風潮に対し庁としても毅然と反論する姿勢も必要ではないか。A内定通知の前に公表されるなど不安や動揺が広がっている。本人通知の準備状況は。B正規職員は大学卒が条件とされていることから、任期付職員や謝金職員等経験があっても応募できない職員もいる。こうした職員も希望すれば年金機構で働くことができるよう特段の努力を。C特別便、再裁定など当初想定されていなかった業務実態の中で定員が不足し体制が崩壊している状況にある。必要な体制については堂々と主張していくことも重要ではないか。D庁改革以降健康を害する職員が急増しているが、こうした人たちが排除されないように努力して欲しい。E健保協会発足時の資料などからは、超勤縮減に対する庁自身の認識が不十分ではないかと思われるようなこともある。本末転倒ではないか。などと6項目の要求趣旨を説明すると共に、実施庁として責任ある提起を政治の場でも行うべきではないかと指摘しました。
 薄井総務部長は、@勧奨退職、配転、人材交流センターの活用など雇用確保にむけて最大限の努力を行なっていく。厚労省、他省庁、公共団体などへも全力をあげて要請していく。個別の相談体制を構築するために支援室を設置しフォローしていく。A年金機構はすべて設立委員会の裁量が基本となり、庁としての限界もあるができるだけ早く対応すべく努力している。樽見総務課長は、B大学卒の条件が厳しいとの声は現場からも寄せられている。准職員の追加やこれから行なわれる有期雇用職員の採用などを活用して欲しい。C補正予算でも予算・体制の確保が行なわれているが、次年度にあたっても引き続き要求していく。欠員補充は任期付職員の採用を引き続き行なっていく。那須職員課長は、D健康管理医やメンタル専門医の活用、メンタル者の早期復帰支援などを取り組んできたが、引き続き充実させていきたい。E超勤縮減では効果的な対策が難しいのも実態であるが、管理者の認識を高めてもらうことが大事。庁としても引き続き努力していきたい。とそれぞれ回答しました。

現場実態を踏まえた申入れも
 現場の声として峰書記次長が、「記録整備に伴う再裁定業務の異常な実態、及び事務所における記録の未整備の状況を考えると、体制の拡充がますます必要である」、梅田執行委員が、「機構では年金相談業務が社労士会に委託されるが、国民の年金権・サービス確保には経験ある職員が求められる。今働いている人たちは財産である。こうした人たちの雇用にむけて努力を」、さらに木立執行委員が、「労働条件の細則は別途示されることになっているが、女性が職場と家庭を両立するためにも就業規則なども含めて早期に示して欲しい」とそれぞれ要望しました。
 最後に飯塚委員長は、長官の誠意は受け止めるが、NHKでも放映されたように現場の実態はもっと切実なものがあることを指摘しておきたい。法的な枠組みにはないが、円滑な業務運営のためにも就業規則等の早期提示をお願いしたい、ことを申し入れ、交渉を終了しました。

リレーずいそう
●生き方を変えなさい
 右膝の激痛で接骨院にかかった時のこと。寄る年波と運動不足で筋力が衰えているとは感じていたが、先生の言葉は予想外だった。
「あなたの体の動かし方は間違っている」
「?」
 体(= 骨)を動かす場合、普通は筋肉が収縮・伸張する。筋肉と骨を繋いでいる腱もその動きに寄与するが、私の場合、筋肉に指令が伝わる前に「腱」の部分で動かしてしまっているので、ここに無理がかかっている。筋肉は暇だから衰えていくばかり、筋肉を動かしてやりなさい。
 そう言われても、別に意識してやっていたわけではないし、しかもいわゆる筋トレは厳禁だそうで困惑した。
 治療法は特になく、普段の生活の中で「ゆっくり」した動作で、筋肉に「しっかり働け!」と指令を伝えながら身体を動かす……太極拳みたいな動きかな?
 これまで手旗信号みたいな動き方で生きてきた(らしい)私の身体=つまり脳に、違う生き方を覚えさせ、残りの人生、こういった痛みから解放されるのはどう?と、先生。
 うまく変われた暁に、そこにいるのはきっと別人格の私です。
(基盤研支部 組合員)

全厚生雇用相談ホットライン
 03-3501-4881(本部書記局)
 zenkosei@zks.dp.u-netsurf.ne.jp(Eメール)
 社会保険部門の組合員のみなさんの不安や疑問に適切に対応するため雇用相談ホットラインを開設しました。新組織等への不採用、疑問、質問など、何でもご相談ください。

めっちゃ遊んで、めっちゃ学んで、めっちゃ元気
全厚生青年女性交流集会ひらく
 全厚生青年対策部と女性部は合同で、6月20日〜21日、「めっちゃ遊んで、めっちゃ学んで、めっちゃ元気」をテーマに、神戸で、全厚生青年女性交流集会を開催。国立神戸視力障害センターのみなさんの全面的なご協力と、全厚生近畿ブロック現地実行委員会の奮闘により、全体で18支部82人が参加し、大きく成功させることができました。
 1日目は、国立神戸視力障害センターを見学し、視覚障害者ガイドや視覚障害スポーツを体験。利用者の内田さんからは、中途視覚障害者となってからの苦労話や体験談を、教官の土志田さんからは、障害を乗り越え、人生の選択肢を広げていくことができる可能性と職業についてのお話をうかがいました。
 その後、宿泊先の六甲スカイヴィラで夕食交流会を開催。班別対抗ゲームで一緒に参加した子ども達も巻き込んで楽しく交流。夕食後も、青年・趣味などの広場に分かれ、夜が更けるのも忘れて語り合いました。
 2日目の全体会では、全厚生京都支部不当処分取り消し訴訟への支援の訴えがあり、記念講演では、関西勤労者教育協会講師の中田進さんが「なんでこんなに苦しいの!?労働組合で元気になろう!新自由主義と私たちの職場」とのテーマで講演。班別に、働くとはどういうことか?人間らしく生きるための権利とは?社会保険庁改革のねらいについて討論を深めました。私たちの今の苦しみは、個人の責任ではなく、政治の結果であり、政治を変えていくことこそが大事であること。格差と貧困の広がりの中で、労働組合の存在がますます重要になっていることなどが語られ、青年・女性の溢れるパワーで自分らしく一歩を踏み出すことで、展望は開けることを確認しあいました。
 最後に集会アピールを採択し閉会しました。 
 参加者からは、「目隠し歩行の体験は初めてでした。恐怖感を味わいました。それなのに、障害を持ちながらスポーツする姿に感動。センターの方々の親切で明るい様子も素晴らしいと思いました」、「新しい体験ができて良かった」、「中田さんの講演はすごくわかりやすかった。憲法のことから働くこと、団結すること。とても素直な気持ちで聞けて、元気になりました」、「今こそ、みんなの力を結集して、政治を変えていくため、労働組合での活動が重要なんだと痛感しました」などの感想が寄せられました。

滋賀県
平和への祈りを込めて
平和行進京都へ引き継ぐ
 6月21日、09国民平和大行進に滋賀県支部から3名が参加。大津市役所を9時過ぎに出発。途中、滋賀県庁で知事からのメッセージを受け、時折小雨が降る梅雨特有の蒸し暑い気候の中、時折沿道の方々からの「ご苦労様、がんばって!」の声に支えられ、百人一首で蝉丸が詠んだ「逢坂の関」を越え、無事、お昼過ぎに京都市山科区にあるラクト山科公園にて平和への祈りをこめた全厚生の旗を京都支部の仲間へ引き継ぎました。
(滋賀県支部 組合員)

公的年金守るため国民的議論を
安心年金つくろう会が院内集会
 安心年金つくろう会は6月25日、参院議員会館において「日本年金機構でどうなる年金」院内集会を開催、70人が参加しました。国会報告にかけつけた日本共産党の小池晃参議院議員は、「受給権を軽視してきた政治の責任、OECDワースト2位の低年金がある」と指摘し、安心できる最低保障年金制度をつくることが必要だと話しました。
 問題提起した国公労連の川村副委員長は、「社会保険庁の解体・民営化と日本年金機構の設置は、年金記録問題を解決するものでも、年金を良くするものでもない。その本質は、年金を財界・大企業の食い物にすることにある」と述べ、「国民の年金を守るためには、年金機構の設置は凍結し、業務に習熟した職員のもとで記録整備を進めつつ、国の責任による運営管理にむけて、国民的議論が必要だ」と報告しました。
 全厚生の2人が社会保険庁職場の実態を告発。社会保険業務センターにおける再裁定の現状について峰書記次長が、「政府は年金機構に移行するまでに目処を付けたいと言っているが、終わらない。業務に熟練した職員でないと派遣や委託では困難だ」と指摘。神奈川県支部の川名書記長は、「年金記録問題を政争の具にした政府の責任は大きい。最後の一人まで政府が責任もって記録を探していく体制を作るのが本来政府の責任ではないのか」と訴えました。
 会場から5人が発言。自由法曹団の加藤弁護士は、「年金機構がJRより酷いのは、民営化した後に年金業務にどう責任をもつのかという設計がまったくないことだ。1年半の運動の成果を確認しながら、選挙もがんばって、一から国民的な議論ができるよう大きな展望をもってやっていこう」と参加者を激励。業務センター支部の北畠支部長は、「年金受給者以外の年金特別便などでの照会に回答をする委託業務は7月からは4000人で対応するが、業者は、年金を国民の権利とは思っていない。国民のために、より良い年金制度をつくっていきたい」と発言しました。

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