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◆第1711号 (2008年12月1日付)◆


雇用確保に万全を期すよう要求
大臣官房人事課長と交渉
 全厚生は11月28日、大臣官房人事課長と秋闘の重点要求で交渉を実施。全厚生から飯塚委員長、田口副委員長、杉浦書記長、峰書記次長、小出・三角各中執が出席。人事課からは、唐澤人事課長、宮野参事官、伊東人事調査官らが対応しました。
 冒頭、飯塚委員長は、貧困と格差が広がり、命と健康が脅かされる下で、厚生労働行政への期待が高まっていると指摘。国民の願いは社会保障の拡充であり、それに応える行政体制の確立をめざす重点要求の趣旨を説明。社会保険庁改革の課題では、職員の雇用に万全を期し、組織改廃に伴う「分限解雇」を行わないよう強く要求。そのためにも、懲戒処分者を一律不採用とする閣議決定の撤回を求め、使用者としての責任ある回答を求めました。
 これに対し、唐澤人事課長が一括して回答。
社会保険庁改革の課題では、懲戒処分者の一律不採用方針に対し、「閣議決定なので変えることは難しいが、非常に残念だ」と述べた上で、雇用確保では、「厚生労働本省、それに限らず様々な関係機関等に協力を求めていく。第一義的には任命権者としての社会保険庁が責任を負っているが、厚生労働本省も可能な限りの対策を講じ、雇用を確保するよう努力していきたい」と回答。充分な体制確保や職員の健康管理、安全対策の強化の要求に対しては、「事務所の現場の大変さは承知している。21年度の予算要求や補正予算で必要な体制確保に努めたい。職員の健康管理対策に一層努めていきたい」と回答しました。

国立福祉施設あり方検討では現場の意見反映を
 本省庁職場の恒常的な残業改善の要求では、「職員の健康管理及び家庭の両立支援の観点からも、その重要性は十分認識している。管理職員がしっかり認識を持つよう指示してきた。今後とも積極的に取り組む」と回答。国立福祉施設の課題では、今後のあり方検討及びその具体化にあたり、全厚生との充分な協議、障害者福祉を拡充できる結論を得るよう努力することを要求。これに対し、「今後のあり方に関する検討会の設置は、全厚生に事前に情報を提供してきた。検討会は公開で実施。この検討にあたり意見があれば、施設管理室に提出いただきたい」と回答。独立行政法人の課題について、国立健康・栄養研究所と医薬基盤研究所の統合に対し国民の健康と福祉を向上・発展させる厚生科学研究をめざし、当該法人及び労働組合の意向を尊重して具体化・実施することを要求。これに対し、「独立行政法人の労働条件等は、理事長の責任で決定されるべきもの。安心して研究活動等に従事できる研究や労働環境が確保され、労働条件が維持されるよう厚生科学課及び各法人に伝えたい」と回答しました。

新たな人事評価制度は育成重視の制度設計に
 男女共同参画社会の実現をめざし、女性職員の採用と登用の拡大を積極的に推進することを要求。これに対し、「本省課室長相当職以上に占める女性の割合は、『5・3%』。『5%程度』という政府全体の目標は達成している。なお、引き上げにむけて努力したい。今後、有能かつ意欲ある女性の採用を進めるとともに、一層の登用促進に努めたい」と回答。新たな人事評価制度の課題では、現在実施しているリハーサル試行の結果を充分に検証し、職員参加、育成重視型の制度設計に活かすことを要求。これに対し、「評価結果の開示、苦情システムの構築等を通じ、公平性・客観性・透明性・納得性を高める工夫をしていく。リハーサル試行を通じて問題点を収集し、今後の制度設計に活かすべく検証を行っていく。様々なご意見をいただき、現場の実態にあった制度となるよう取り組む」と回答しました。

淀さんが中労委の労働者委員に
連合以外の推薦で初の任命
 政府・厚生労働省は11月16日、第30期中央労働委員会の労働者委員に、淀房子さん(全医労前副委員長)を任命しました。
 淀さんの任命は、連合以外の労組の推薦する候補者が初めて選任されたものであり、歴史的・画期的な成果です。
 淀さんは今年2月、国公労連と日本医労連の共同推薦をうけ全国労働委員会民主化対策会議の統一候補(特定独立法人担当)となり、公正任命を求める行動の先頭に立って東奔西走し、7月の全厚生全国支部代表者会議にも訴えに駆けつけるなど、奮闘しました。

リレーずいそう
●いつからこんなに
 牛乳のパッケージに記載されているのは賞味期限か、消費期限かご存知ですか? 答えは賞味期限つまりおいしく飲める期限なのです。私は賞味期限を2〜3日過ぎたちょっと甘くなった牛乳が大好きです。
 今年は特に食品に関する問題がいろいろと取り上げられ、ニュースでも「賞味期限をよく見て買うようになりました」と答えている買い物客の姿をよく目にします。
 この賞味期限と消費期限、表示は食品衛生法やJAS法で定められていますが、決めるのはあくまで製造者、製造日から概ね5日を境にしているだけで、しかも保存がしっかり行われていることが前提で、物置と化した冷蔵庫や食器棚の中での話ではありません。
 偽りの表示をすることは、アレルギー等命に関りますから許されません。しかし「おいしい」「まずい」はあくまで食べた人の感覚にしか過ぎません。しかも現在の日本人の味覚は亜鉛の摂取不足等で退化しているそうですから。
 食料自給率が39%しかない我が国で、外国の人が丹精込めて作った食材で作られた食品を「賞味期限切れ」というだけで食べずに廃棄してしまう、日本人はいつからこんな贅沢な民族になってしまったのでしょうか。今あなたが口にしている物の賞味期限は?
(福岡支部・組合員)

News
高学歴ワーキングプアなくそう
国公労連がポスドク問題シンポジウム

 11月16日、国公労連は、学研労協・全大教・科学者会議とともに、シンポジウム「科学・技術の危機とポスドク問題〜高学歴ワーキングプアの解消をめざして」を東大・小柴ホールで開催。会場のロビーにまであふれる240人が参加し、テレビ局4社をはじめマスコミ数社の取材も行われるなど、ポスドク問題を社会的に大きくアピールしました。冒頭、あいさつした池長学研労協議長は、「博士号の取得後、正規の研究職に就けないポスドクに、高学歴ワーキングプアと呼ばれる劣悪な雇用・研究労働条件が広がっている。研究の次世代を担うポスドクの問題解決に向けて、社会的にアピールする機会としよう」と述べました。つづいて、2002年にノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊東京大学特別栄誉教授が記念講演。小柴教授は、ニュートリノの研究を紹介しながら、宇宙、自然の謎を解明し続けていく基礎研究の重要性を語り、「基礎科学に短期で実利を求めるのは無理であり、産業界でなく国が支援することが必要」、「国立大学を独立行政法人化するときに私が心配していたことが現実に起きている」、「基礎研究を国が本気になって応援することを願いたい」と語り、今後の基礎科学を担う若手研究者にエールを送りました。

大企業でなく国民の暮らし守れ
国民大運動実行委員会が行動

 国民大運動実行委員会は11月26日、新テロ特措法の延長反対、後期高齢者医療制度の廃止、派遣法の抜本改正などの要求を掲げ国会前で行動を実施。農民連の石黒昌孝事務局次長は、与党は第2次補正予算を通常国会冒頭に送る一方、新テロ特措法と新金融機能強化法を審議するために会期を延長しようとしている。まず、雇用を守ることの審議を、また、年77万トンの米の輸入を中止させようと発言。日本共産党の佐々木憲昭衆議院議員が国会報告。大企業・銀行優先ではなく、国民の生活を守る方向に切り替える必要があると訴えました。

要求前進のためにも組織の拡大強化を
社会保険支部代表者会議を開催
 全厚生は11月15日、都内で社会保険支部代表者会議を開催しました。会議には本部役職員と支部代表および国公労連から27人が参加し、全国健康保険協会が発足した後の職場実態と今後の取組み、また、日本年金機構の設立に対する取組み、さらに、服務違反問題にかかわっての情勢分析などについて集中的な議論を行いました。
 全国健康保険協会関係では、協会支部の段階では、まったく統治能力がなく、すべて協会本部の統一的な指示・対応が基本となっていること、残業時間の上限を定める36協定でも、組合代表の意見がまったく反映されず、異常な残業時間となっている実態が報告されました。当面、協会本部との労使関係の確立を踏まえ、残業問題や組合活動の基本的な確認などを追及していくこととしました。また、過半数組合を獲得するためには、契約職員の組織化が重要となっていることから、組織拡大を重点的に取組み、すべての協会分会で要求書を提出していくこと、そのためのアンケートを取組むことなどを確認しました。
 政局関連などから設置の遅れていた「日本年金機構設立委員会」が11月12日に開催され、設立準備スケジュール等が示されたことから、全厚生としての基本的な考え方などを改めて示し、職場討議を取り組むために全厚生新聞号外を早急に作成し、全組合員の意向把握などを含めた「アンケート」を実施することとしました。また、希望者全員の雇用確保を求める要請を国公労連・全厚生として厚生労働省や社会保険庁に申し入れることも確認しました。制度改善と雇用確保にむけた広範な支援体制を構築するため、「安心年金つくろう会」を地方でも確立していくことの重要性も議論されました。この間、岐阜、愛知、と結成されましたが、香川では11月30日に準備会の学習会が行われています。また、愛媛では、2月12日に結成総会が開催される予定です。多くの支部で取組みを進めましょう。
 記録問題に労働組合が関与しているとの年金業務・組織再生会議の指摘や、自民党の政治的思惑などから調査が行われた、「服務違反問題」について、舛添厚生労働大臣は11月5日、管理者や行為者およそ20名を刑事告訴する考えを示しました。全厚生にも対象者が発生することから、引き続き弁護団との連携を強化していく必要性や、告発があった場合には、組織的な対応について検討していくことなども確認しました。

秋田県
組合の存在と役割学ぶ
青年部が恒例秋の学習会
 全厚生秋田県支部青年部、毎年恒例秋の学習会を今年もなんとか10月25日〜26日の1泊2日の日程で開催できました。われらが秋田、おりしも新米の収穫時期と重なるため学習会前のレクリエーションは『きりたんぽ作り』を行いました。じつはそんなにきりたんぽを食べない秋田県民。意外なうまさに触れ、また社会保険の職員だと知るやいなや年金相談をしちゃう地元の人との交流は、笑いをさそう楽しいひとときでした。
 そしてお忙しい中、本部から杉浦書記長と峰書記次長をお招きし、貴重な講話をいただきました。杉浦書記長の労働組合の使命や役割、歴史に関することは忙しさに忙殺され組合の存在意義を見失っている感のある今の私達にとって、非常に心強いものでした。また峰書記次長より、現在の業務センターの現状と民間での組合活動について教えていただきました。業務センターの現状の知ることは日々のお客様対応に活用できるものであり、民間での組合の大切さを意識することは年金機構への移行時を考えさせられるものとなりました。
 学習会後は懇親会。例年はコテージ宿泊のところを今年は癒しを求め温泉宿にしてみました。他県にブロック異動している仲間も駆けつけ、大騒ぎの酒宴のなか夜は更けてゆきました。今後も『団結ガンバロー!』精神で活動していきたいと思います。
(青年部長)

近畿B
社保の労働実態改善を
人事院近畿事務局と交渉
 【近畿ブロック発】10月29日、全厚生近畿ブロックは、人事院近畿事務局と交渉しました。交渉には、勝井議長をはじめ、神戸、大阪、京都、兵庫県、滋賀県の各支部から代表が参加しました。交渉では、福祉職俸給表について、福祉職場では職員の安定的な定着化につながる専門性を反映させたものとなるよう改善を求めました。また、行(二)の昇格や医療職や教育職では、希少職種についての改善も求めました。
 社保に関わっては、休日勤務や超勤の深刻な実態を調査に入るよう求めました。さらに超勤手当の支払いに関わっては、健保協会開設前の研修資料に「公務員のときは超勤手当が払われないことがあるが、民間ではそうはいかない」と記載されており、これが、社会保険庁幹部の認識であり、指導の必要性を強調しました。この事実に、人事院の担当者は一瞬息を詰まらせるほどでしたが、出された意見をすべて本院に伝えるとの回答に留まりました。
 初めて人事院交渉に参加した兵庫県支部の小川さんは、「人事院は、社会保険に調査に入ってもきちんとした書類を提出されるのでそれ以上の事はできないとのことでした。また、現状を知ってもらうために事務所に来てほしいとの声もありましたが、苦笑されるだけでした。発言については全て、報告されるとの事でしたが私たちの思いとの温度差を感じました。私たちの労働条件、給与の問題は人事院しか窓口がないのでもう少し親身になってもらわないと人事院の機能を果たせないのではないか」との感想。

香川県
年金制度は国が運営を
安心年金つくろう学習会
 【香川県支部発】「安心年金つくろう会」の準備会を立ち上げて運動を進めている香川で、11月30日に「安心年金つくろう学習会」を開催しました。学習会には、香川県国公や年金者組合、自治労連などの48名の仲間が参加し、「年金制度」や「分限免職」などの問題点を学びました。
 国公労連川村副委員長が講演した「年金問題」では、「相次ぐ制度改悪と構造的な問題は、格差と貧困が拡大するなかで国民が求めるものと矛盾する。社保庁の解体・民営化で市場化・民間委託が進めば、安心できる年金制度とはならない」ことを学び、「年金制度は国の責任で国が運営することが基本。社保庁バッシングで国民の目をそらして押し進められている制度の問題点を国民に知らせていくことが重要」との認識を深めました。
 「雇用問題(分限免職)」は、自由法曹団の中川勝之弁護士(東京法律事務所)が講演。国家公務員には、公正・中立に業務を遂行するために身分保障(国公法75条)があり、安易な分限免職は許されない(国公法78条)こと、分限免職は民間企業における整理解雇に相当するもので解雇権濫用法理(労働契約法16条)に準じた客観的な合理性と社会的相当性が求められるなど、法的に問題があることも学びました。
 参加者からは、「戦前戦後の記録整備のずさんさが今に尾を引いていることを知らせていく必要がある。責任もって仕事ができる体制が必要」、「制度の問題点でなく、個々の職員へ攻撃されるのは問題。法を遵守すべき公務員にこんな不当行為がされていいのか」、「組織として実施してきた業務の問題を個人に押しつけ、新たな組織に採用しないのはおかしい」などの感想が寄せられました。

神奈川
雇用確保に全力あげよう
第15回定期大会で確認
 【神奈川県支部発】神奈川県支部は11月29日、第15回支部定期大会を横浜市内で開催。代議員は延べ42人が出席。運動方針は満場一致で承認されました。支部は承認された「08運動方針」に基づき、「憲法改正」反対、社会保障制度の充実を軸に、新組織移行にむけて、県内社会保険職場で働くすべての労働者の雇用確保に全力をあげて取り組みます。
 代議員からは、「年金問題の中での職場実態」「欠員問題」「超勤実態」「メンタルヘルス」「新組織に移行時の雇用や広域配転の問題」「宿舎の確保」「評価制度と職場実態の矛盾」「残業実態の改善」「契約社員の労働条件改善」など、切実な生活実態、将来に対する不安、待ったなしの職場実態が報告、改善要望としてだされました。全厚生本部から杉浦書記長が、自由法曹団から高橋宏弁護士が挨拶しました。
 新役員は次のとおり
支部長   平丸 寿博
副支部長 籠尾 信
同      金子 菊枝
同      下田 雅之
同      福士 広志
書記長   川名 健
書記次長 澤田 泰介

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