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◆第1709号 (2008年11月1日付)◆


安心年金つくろう会
岐阜と愛知で発足
岐 阜
国の責任で安心年金を
全国に先駆け結成総会

 〔「安心年金つくろう会・岐阜」発〕10月11日、岐阜市内で「国の責任で、安心して暮らせる年金制度をつくる岐阜県連絡会」(略称「安心年金つくろう会・岐阜」)結成総会が開催されました。年金記録問題などが大きく報道されるなか、@政府の責任で年金記録問題を完全に解決させることA国民の老後の生活を保障する公的年金制度を憲法25条に基づく社会保障制度として充実させることを会の目的としています。
 今年の5月には、中央での「安心年金つくろう会」が結成されましたが、岐阜県では、自由法曹団岐阜支部や県労連などの呼びかけで準備会を立ち上げ、全国に先駆けての結成となりました。
 結成総会では、全厚生労働組合飯塚勇中央執行委員長が「社会保険庁解体・民営化と年金制度」と題して記念講演。飯塚委員長は、年金記録問題、報酬改ざん問題の歴史的・構造的問題が政争の具となっている現状に触れるとともに、社会保険庁の解体・民営化の背景問題と国民生活への影響についての問題提起を行いました。またその狙いが@公的年金制度の解体A年金を食いものにする企業のビジネスチャンスの拡大であると指摘。国の責任で安心して暮らせる年金制度を実現させるために奮闘しようと結びました。
 会場からの発言では、年金者組合が、無年金・低年金者の証言を紹介し、最低保障年金制度の創設を訴えました。岐阜商工団体連合会は、税金申告の際、国民年金保険料を納付していない人が増えていることにふれ、自営業者などの厳しい生活実態を紹介するとともに、生活保護と年金制度の矛盾点などを報告。自由法曹団岐阜支部は、岐阜社会保険事務局に対して「公的年金の拡充と職員の雇用保障」の申し入れを行ったことを紹介しました。また、全厚生岐阜県支部からは、解体・民営化がすすむもとで、長時間労働や退職者・病休者が急増している社会保険職場の異常な実態を報告しました。

愛 知
政治変える運動と一体で
幅広い共闘が結実し結成

 〔「安心年金つくろう愛知の会」発〕愛知では、社会保険庁解体・民営化反対の運動を広げるため、愛労連・社保協・愛商連・年金者組合・全厚生・国公で「社保庁改革対策会議」を07年2月に設置し、学習会や独自署名に取り組んで来ました。
 日本年金機構法が07年6月に成立した後、「がんばろう社会保険 つくろう最低保障年金」キャンペーンや愛知社会保険事務局前宣伝行動・要請行動などを実施しました。しかし、組織内の運動にとどまっており、広く国民に訴えていくためには、更に幅広い共闘組織が必要との認識から、「年金を良くする会(準備会)」を 今年3月に立ち上げました。
 準備会では、新聞記者・社労士・年金受給者・社保庁職員による「社会保険庁解体を考えるシンポジウム」を4月に開催。年金記録問題はなぜ起こったのか、社会保険事務所の現状は、年金額は大丈夫か、新組織はどうなるのかなどについて話し合いました。
 5月には、中央で、「安心年金つくろう会」が発足。愛知では、中央の流れに合流すべきとして、準備会を「安心年金つくろう愛知の会・準備会」と変更。賛同者や協力者を募るための要請行動を行うなか、宣伝行動も実施してきました。
 そしてついに10月15日、名古屋市内において「安心年金つくろう愛知の会」の結成総会を迎えるに至りました。結成総会では、事務局から経過報告と申し合わせ事項を提案し、全体で確認しあいました。
 併せて開催した学習会では、全厚生本部の飯塚委員長から「社会保険庁解体・民営化と年金制度」について報告があり、根本的問題は1967年(昭和42年)から指摘されていたことが明らかにされました。また、自由法曹団愛知支部の渥美弁護士からは「社保庁解体と職員問題」について話があり、閣議決定された「基本計画」は働く者の権利を全く無視したものであり法律違反であることが指摘されました。
 最後に代表世話人の愛労連羽根議長が、「国民は、国の責任による安心・安全な医療・年金制度への改善を求めている。今は風当たりが強いが踏んばり時。政治を変える運動と一体で、愛知の会は頑張っていこう」と訴えました。

リレーずいそう
●怪しい登山隊 北へ
 9月後半に登山隊の仲間と稚内・礼文へ行った。他の隊員は日曜の飛行機で行くとのことだったので、土曜の朝東京を出、列車を乗り継いで23時頃に稚内に着いた。翌朝、再び南下し、普通列車で音威子府へ行ってみることにした。宗谷線沿線では人家も少なく、海の向こうに雄大な利尻富士が見えた。列車は牛が静かに草をはむ牧草地を通り過ぎ、原始の姿を思わせるサロベツ原野の中を、蛇行しつつ流れる天塩川沿いに進み、2時間ほどで音威子府に着いた。国労の方々が、仲間と助け合いながら暮らしていると聞いていたので、お土産を買えたらいいなと思っていたが、あいにく駅周辺にはお店がなかったので買えなかった。村のガイドマップによると、国労の方々は駅から少し離れた場所に「労働者協同組合おといねっぷ」という拠点を持ち、地元の原料からみそ、羊羹などを作っておられるとのことだった。駅には20年前に廃線となった天北線の往事を偲ばせる展示室があった。再び、普通列車で稚内へ向かい、他の隊員と合流し道北各地を廻った。宗谷岬では、見渡す限りの野原で黒牛の家族が仲良く戯れる光景に心打たれた。礼文島では礼文岳に登り、海に浮かぶ利尻富士を見ることができた。短い旅だったが、広い大地と新鮮な海産物がある道北地方に、強く心惹かれた。道北地方は鉄道の廃線などで人口減に直面しているようだったが、稚内はサハリンの玄関口として往時の賑わいを取り戻そうとしているようだった。今度は、オホーツク沿岸の猿払や浜頓別にも行ってみたいと思った。
(業務センター支部・組合員)

News
くらしを守る政治に変えよう
年金者一揆2008に1万人

 10月16日、年金者組合は、後期高齢者医療制度廃止、年金引き上げなどをかかげ、「年金者一揆2008」を全国で1万人が参加し開催。日比谷野外音楽堂には3000人が決起しました。主催者を代表して篠塚委員長が、後期医療など高齢者への攻撃を許さず、高齢者の力で政治を動かしていこうとあいさつ。「むしろ旗川柳」優秀作品には「今に見ろおば捨山が噴火する」が選ばれました。全厚生は協賛団体として登壇しました。

社会保険関係病院の存続を
飯塚委員長が全国連絡会の幹事に

 10月18日、都内において「社会保険病院・厚生年金病院等の存続をめざす全国連絡会」が結成されました。結成総会には、各地の運動団体、住民の会、関係労働組合などから105人が参加し、与野党の国会議員、患者団体、関係民主団体などから100通の激励メッセージが寄せられました。連絡会は今後、公的な施設としての存続と医療制度の改善を目指し共に運動を進めることを確認。幹事として飯塚委員長が選出されました。

新テロ特措法延長許すな
10.21昼休み国会請願デモ

 10月21日、海上自衛隊のインド洋派兵を1年間延長する新テロ特措法改定案がわずか2日の審議で衆議院を通過。翌22日、安保破棄中央実行委員会などは、「新テロ特措法の延長許すな」と緊急の昼休み国会請願デモを行いました。

職務実態を正当に評価せよ
昇格改善求め人事院と交渉
 全厚生は10月29日、昇格改善を求めて人事院と交渉しました。交渉には飯塚委員長をはじめ、杉浦書記長、峰書記次長、木立・三角中央執行委員、近藤・西田書記の7人が参加。本省庁、試験研究機関、社会福祉施設、社会保険の4部門の重点要求に対する誠意ある回答を求めました。人事院は、給与局給与第2課の酒井課長補佐が対応しました。
 冒頭、飯塚委員長から
「昇格改善に関する要求書」を手渡し、要求趣旨を説明。厚生行政への期待が高まる中、職員が誇りをもって働くには業務内容と経験の蓄積に見合う公平な処遇が不可欠であると強調。職務実態を正当に評価した昇格改善を強く求めました。
 本省庁の課題では、本省係長5級を本定数で大幅に拡大することを要求。これに対し人事院は、「この要求は標準職務表を改正する話。職務給の原則を守っていく。それとの関係では困難」と回答。昇格における男女格差の是正の要求では、「級別定数に男女の色分けはない。女性差別があれば排除する。成績主義で厳格に運用する」と回答。試験研究機関では、研究職について、技術・検定・検査・教育・指導等の業務を適正に評価した昇格改善を図るよう要求。これに対し人事院は「評価項目がなんでもよいということではないが包括承認を出している。分野に応じて各省庁で判断していただく」と回答しました。
 社会福祉施設では、介護員長の福祉職3級への格付け、福祉職4・5級の上位定数の拡大、医(二)や行(二)など少人数職種の昇格改善を要求。介護員長の3級格付の要求では、「福祉職の創設時からの強い要望と聞いている。全くないということではないが標準職務表の相対関係、一般の議論としては不合理ではない」と回答。少人数職種では、「知恵がなく昇格が困難であることは認識している」と回答。社会保険では、地方庁の職務と機関の評価の引き上げ、5級高位号俸者を解消するため、6級以上の上位級定数の拡大を要求。これに対し、「要求に応じて適切に評価していく」と回答。
 その後、交渉出席者から職場実態を踏まえて昇格改善を強く要求。最後に飯塚委員長が人事院の引き続く努力を要求し、交渉を終えました。

言論弾圧に追従する不当判決
世田谷国公法弾圧事件地裁判決
 厚生労働省職員で全厚生の組合員でもあった宇治橋眞一さんが、休日に職場から離れた場所で「しんぶん赤旗」号外を配り、国家公務員法違反で起訴された世田谷国公法弾圧事件の判決公判が9月19日、東京地裁でありました。小池勝雅裁判長は、ビラ配布が「公務員の政治的中立性に抵触する、強い違法性を有する行為」だとして、求刑通り罰金10万円の不当判決を言い渡しました。
 公判で検察側は、郵便局職員の選挙活動を違法とした34年も前の猿払事件最高裁判決に全面的に依拠し、宇治橋さんの行為の違法性を主張。
 判決は、猿払判決について「有力な学説からも厳しい批判が加えられている」としながらも、「合理性を欠くとはいえず、同種事案の解決の指針として確立している」と論述。独立して職務を行い、法と良心のみに従うという裁判官の職責を放棄して「下級裁判所としては同判決を尊重すべき立場」とし、猿払判決の論理をほぼ踏襲しました。
 弁護側は公判で「勤務時間外に私服でビラを配ることは犯罪行為にあたらず、行政の中立性を損なう危険もなかった」と無罪を主張していました。
 弁護団は抗議声明を出し、警察・検察の違法な逮捕・起訴の正当化に対して、「権力擁護の姿勢においてきわめて異常」と強く批判し、「憲法や国際人権法で保障された表現の自由の意味を全く理解せず、権力による言論・表現弾圧に追従する本判決は、平和と人権、民主主義を擁護する立場から、決して容認できない」と断固たたかう決意を表明しました。
 判決後の報告集会で宇治橋さんは「検察官に言いなりの恥ずかしい判決で、裁判所の良識が問われる。信頼性を求められるのは公務そのものであって、ビラ配布を規制すれば、信頼できる公務を遂行できると言えるのか。ビラ配布は国民の権利。この権利を守るために、やれることを尽くしたい」と決意表明。9月22日には控訴。東京高裁での勝利をめざします。
 宇治橋さんは、全厚生第72回定期大会でも支援を訴えました。

社保庁の雇用問題について情報提供
ILO国際労働基準局副局長と面談
 国公労連社保庁改革対策委員会の川村事務局長(国公労連副委員長)は、10月11日から5日間、自治労連のILO(国際労働機関)要請団の一員として、国公労連を代表して参加しました。スイスのジュネーブにあるILO本部には13日に赴き、午前中は条約勧告適用専門家委員会に対する自治労連の要請行動に参加し、公務職場における非正規労働者の実態と男女格差の実態などについて訴え、ILOでの審議に反映されるよう求めました。
 その後、国際労働基準局副局長のカレン・カーティスさんと面談し、社会保険庁の解体・民営化に伴う雇用問題について、日本政府が決定した日本年金機構の当面の業務運営に関する基本計画では、社会保険庁職員を漫然とは新組織に雇用継承しないとし、懲戒処分歴のある職員は一切採用しないとの採用方針を決定、民間から1000人も採用すること、また、1400人を有期雇用職員として採用すること、民間委託を拡大すること、などにより、現在社会保険庁で働いている職員の雇用を脅かすことは団結権侵害であることを訴えました。また、政府与党の圧力により、職場段階での実質的な労使交渉や労使協議が行われておらず、そのもとで組合脱退者が多数発生するなど、労働組合権や団結侵害は深刻な状況であることを報告しました。
 これに対しカーティス副局長は、国鉄問題でのILOへの情報提供が問題発生から何年も遅れたことを踏まえ、事前に情報提供したことはとても有意義なものと発言。結社の自由委員会は、話題の中心点が民営化やリストラにあるものではなく、その過程で労働組合権が侵害されていることが重要である。もし雇われない場合、個人の問題でなく、組合員であること、どれほどの組合員が雇用されないか、その点について多くの情報がほしい。将来の段階で、新組織に移行するにあたり、何人が雇用されず、組合員が何人、組合を離れざるを得なくなった人が何人いたかが、審議の上では重要になる。組合を辞める圧力、組合員が脱退に追い込まれたことももう少し詳細に、どのように具体的に労働組合の活動が妨害されたかがわかるとありがたい、と述べました。
 今回の要請は、このように今後の国内でのとりくみを進めるにおいて大変有意義なものになりました。

本 省
非常勤職員の待遇改善を
第49回定期大会で確認
 本省支部は9月26日、第49回定期大会を開催。激動の情勢のもと、また昼休みという限られた時間の大会でしたが、無事に終了し、運動方針を確立しました。 
 神山支部長あいさつの後、書記長から議案提案が行われました。
 まず、今年の人事院勧告で、時短勧告の早期実現と非常勤職員の待遇改善の成果にふれ、今後行われる人事評価制度の試行について、支部としても検証結果を十分反映させ、賃金に直結させる運用を許さないたたかいをすることが述べられました。残業問題の取り組みとしては、残業実態アンケートに基づき、改善を図ること、また福利厚生の取り組みでは、メンタルヘルス対策に力を入れる。また、行(二)、非常勤では、待遇改善に向け実態把握に努めること、専門部では組合員の要求をつかんだレクレーション企画を検討する。最後に、平和については、支部としても位置づけを強めることが報告されました。
 書記長の議案報告後、採決が行われ、いずれも可決・承認されました。
(書記次長)

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