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◆第1708号 (2008年10月15日付)◆


全国健康保険協会が発足
3支部が労働者代表に
 社会保険庁解体の第1弾として、10月1日に発足した全国健康保険協会において、神奈川県、岐阜県、京都の3支部が、契約職員や賃金職員含むすべての労働者の過半数を組織し、労働基準法に基づく労働者側の代表となりました。

労働組合の役割がますます重要に
 全国健康保険協会は、厚生労働省所管の非公務員型の公法人として発足し、社会保険庁から採用された職員(契約職員を含む)はすべて、退職届を出して新たに労働契約を結んでいます。
 全国健康保険協会の職員は、国家公務員から民間労働者となり労働基準法や労働組合法などの適用を受けるとともに、労働条件や働くルールは、今までの「法定主義」から「労使自治」が基本になります。労働基準法第2条1項には、「労働条件は、労働者と使用者が対等の立場において決定すべきものである」と規定しています。労働者・労働組合の役割が極めて重要です。
 全国健康保険協会(準備本部)は、10月1日まで採用予定者に対しては就業規則(案)を一切提示しませんでした。労働者の権利を擁護すべき厚生労働省が所管する公法人において、このような姿勢自体が問題です。
 協会各支部では、発足と同時に、労働組合または労働者代表に就業規則や労働基準法に基づく労使協定の案を提示し、その意見を求めてきました。しかし、労働者代表の意見を述べても、労使対等な立場での協議を行う条件はまったくありません。
 労働基準法第1条では、労使ともに労働条件の向上を図る努力を求めており、第2条では、労働条件は労使対等の立場で決定すべきであることを明記しています。全国健康保険協会本部は、これらの基本的な立場に立つことが求められています。

あまりにも一方的な36協定(案)
 全国健康保険協会本部は、労働基準法第36条にもとづく時間外・休日勤務に関する協定の締結を指示しています。休日勤務の対象を日曜日だけに縮小し、1日の延長時間を5時間として、さらにやむを得ない事情があれば、1日7時間、年間720時間まで延長できる、という内容です。
 そもそも就業規則で、「1ヶ月単位の変形労働時間制」の導入を掲げている上で、こうした異常とも言える労働時間の設定、働き方を強要することは問題です。さらに、その締結に当たって、「時間がない」ことを強調し、協定案の修正を全く認めないならば、労使での合意づくりはできません。労働基準法の精神にも反します。
 全厚生本部は、協会本部との労使関係を構築し、こうした問題点の指摘とともに、今後、職場要求を取り纏め本部、支部から取り組みを進めていく考えです。

社保職員の雇用不安に対応
「雇用問題相談会」を開催
 全厚生は9月28日、「雇用問題相談会」を東京の国公労連会議室で行いました。
 これは、社会保険庁の解体・民営化に伴って、雇用への不安がある方、懲戒処分歴がある方、雇用問題で権利侵害を感じている方などの相談に応じるために開催したもの。相談には、6人が訪れ、1人から電話相談がありました。相談会には、自由法曹団所属の5人の弁護士が対応し、はじめに、全体で集会を行った後、各人の相談に対して個別に応じました。
 全厚生は、今後も、こうした雇用問題相談会を続けて行く予定です。

まともに生活できる仕事を!
人間らしく働きたい!
全国青年大集会2008
 10月5日、「まともに生活できる仕事を!人間らしく働きたい!全国青年大集会2008」が都内で開催され、全国から4600人が参加。全厚生からは、本省・業務センター支部と本部から8人が参加しました。
 正午からの分野別交流会に続き、メイン集会では、日本民主青年同盟の田中悠委員長が開会あいさつ。松下プラズマ、日亜化学、キャノン、ショップ99などで偽装請負や組合差別、長時間労働など、企業の違法を解決しようと立ち上がった青年たちが次々と登壇。また、日雇い派遣実態調査の報告、全国各地の運動を交流しました。全労連の大黒作治議長、反貧困ネットワークの湯浅誠事務局長、日本共産党の志位和夫委員長が連帯あいさつ。「力をあわせて、職場も、社会や政治もかえていきましょう」との集会アピール採択後、参加者は色とりどりのプラカードや着ぐるみで、渋谷の街を元気にアピールウォークしました。

リレーずいそう
●ランニング
 昨今は健康志向の高まりとともにランニングがブームになっています。特に女性ランナーが増加しているそうです。女子マラソンや女性芸能人の活躍が一層拍車をかけていると思われます。一人で出来る気軽なスポーツであり、私もランニングで気分転換を図っています。走っている時はペースを考えていますが大半が無(む)で、余裕があれば街並みや景色を楽しみ、苦しい時はゴール後のお風呂や冷たいビールを頭に浮かべます。
 先日上京した際は、念願叶いランナーの聖地、皇居のお堀周回コースを走りました。朝6時半にもかかわらず多くのランナーが汗を流しており、都心でありながら緑も多く、まさに都会の中のオアシスという感じでした。社会保険の職場は、連日、年金特別便対応と夜更けまでの残業という厳しい状況が続いており、先が見えない職場情勢と山のような書類の前で押しつぶされそうな気分にもなります。そんな中で、心の拠りどころは協力し頑張っている職場の仲間と悪政と闘う労働組合でありますが、職場や仕事のことを全く考えない時間を作ってリフレッシュすることも必要です。自分には「走って、飲んで(食べて)、寝る」は最高に適した気分転換になっています。次の目標はフルマラソンであり、初めて東京マラソンにエントリーしてみました。抽選必死のため運が試されますが、当選を夢見て練習を開始しようと思っています。そして、いつかはホノルルマラソン!
(秋田県支部・組合員)

News
労働時間短縮の早期実現を
08秋年闘争9.19中央行動

 9月19日、08人勧に基づく労働時間短縮の早期実施、非常勤職員などの賃上げ実現、社保庁職員の「分限解雇」反対などをかかげ、国公労連08秋年闘争第一次中央行動が実施され、各府省前要求行動、決起集会、都内デモ行進と奮闘しました。全厚生からは本省・統計・業務センターの各支部と本部から8人が参加しました。

後期高齢者医療制度廃止を
120万筆の署名積み国会前座り込み

 10月1日、国会前に120万筆の署名を積み上げて「後期高齢者医療制度を廃止しろー」「派遣法を抜本的に改正しろー」とシュプレヒコールを響かせました。国民大運動実行委員会や中央社保協などが、後期高齢者医療制度の廃止、派遣法の抜本改正を求めて、座り込みと要求行動を展開し、700人が参加。全厚生も参加しました。

一律不採用、分限免職は許されない
長官をはじめ社会保険庁当局を追及
 全厚生は9月12日、社会保険庁長官交渉を行い、新組織設立に関わっての雇用や労働条件の確保について要求の前進を目指すとともに、異常な職場実態の改善等について社会保険庁の考え方を質しました。交渉には、杉下委員長、山本・杉浦両副委員長、飯塚書記長、峰書記次長、梅田・木立両中央執行委員が出席しました。社会保険庁からは、坂野長官、薄井総務部長、樽見総務課長、真柴職員課長以下関係者が出席しました。
 冒頭杉下委員長は、政府が7月29日に閣議決定した、「日本年金機構の当面の業務運営に関する基本計画」には、記録整備への何らの対策もないまま、大幅な人員削減や懲戒処分を受けた職員を一律排除する等重大な問題が含まれており、到底認められるものではない。土・日も含め連日記録整備等に全力をあげている職場の状況や、職員・家族の気持を思うと怒りを禁じえない。国家公務員の身分保障、今日の労働法理等から見ても重大な問題であり、社会保険庁として雇用確保に万全を期してほしい、と社会保険庁の基本姿勢を質しました。

使用者責任をあいまいにした長官回答
 これに対し坂野長官は、「記録問題をはじめ全力をあげて取組んでいただいていることに感謝申し上げる」とした上で、雇用問題では、今後設立委員会が設置され、具体的な内容等が議論・決定されることになる。基本計画に基づき適切に対応されるものと認識している。また、採用されない職員については、配置換え、勧奨退職等分限免職回避の努力も規程されている。これらを受け止め努力していくことになるが、社会保険庁が廃止の時点で分限免職を行なうことは否定できないと考える。また、労働条件についても設立委員会で新たに検討されることから、国公法の水準が保障されるわけではない、と直接の雇用責任者とは思われないような回答を行ないました。
 杉下委員長は「分限免職は否定できない」とする長官発言は重大である。使用者としてそうしたことが生じないように努力することが基本ではないか。と問題点を指摘しました。

体制確保、超勤縮減、健康管理等改善を
 引き続き山本副委員長が、@日本年金機構では外部委託の拡大が指摘されているが、国民年金業務の市場化でも「金払え」だけでは国民の信頼を得られない。また、年金ダイヤルでも多くが「社保事務所に行ってくれ」の対応で、業者が責任を負わないようなシステムになっているA記録整備体制では、通常の業務も重要であり十分な体制確保が必要だB非常勤職員も同じように雇用不安を抱えながらがんばっている。使用者として十分な説明責任を果たす必要があるC恒常的な残業が激しくなっている。法令遵守が強調されているが、超勤未払いも法令違反ではないか、と重点的な問題を指摘しました。
 これに対し樽見総務課長は、@外部委託では基本計画でも徹底的な効率化が求められ、国民の要望もあるA記録整備に伴う予算は、年末までの予算編成において必要な経費等を精査しているB非常勤職員の採用も設立委員会に関わるが、経験は新組織でも有効と思われるので、円滑な業務移行の観点からも要望していきたいと回答。また、真柴職員課長は、超勤縮減や健康管理に関わって、恒常的な超過勤務は健康管理、事務能力、家庭生活との関係などにも影響を与えるものであり、これまでも適正な管理について管理者にも指示し、様々な対策も講じてきた。新たに職場復帰支援事業などもスタートさせたところであるが、今後も地道に粘り強く取組んで行きたい、とそれぞれ回答しました。
 最後に、峰書記次長が記録整備に伴う再裁定業務の異常な実態、飯塚書記長が国公職場で群を抜く健康悪化の状態、木立中央執行委員が新組織での育児・介護に関わる労働条件の問題点を指摘しその改善を求めました。これらを踏まえ薄井総務部長は、「国民の信頼回復に向けてこれからが正念場。雇用問題では厚労省とも連携し最大限の努力をしていく」と回答しました。

憲法25条と9条活かした行政に
厚生共闘第30回定期大会を開催
 厚生共闘(厚生省労働組合共闘会議)は9月30日、東京・茜荘で、第30回定期大会を開催し、全医労と全厚生の持続的共闘を前進させ、要求前進を図る運動方針を全会一致で採択し、新役員を選出しました。
 冒頭岩崎議長は、国民の願いに応える厚生労働行政を確立するために厚生共闘の役割が益々重要になっていると強調。社会保険庁改革や国立医療の充実・強化めざして共同の取り組みを前進させようと挨拶。杉浦事務局長が経過報告及び2008年度運動方針案、予算案及び厚生共闘規約の改正及び整備案を一括して提案しました。
 杉浦事務局長は、労働者の怒りと世論が、政治を変える確かな力になっていると指摘。厚生労働行政の確立をめざし、憲法25条と9条を行政に活かすために奮闘しようと呼びかけました。たたかいの基本方針では、今年度の重点課題では、@社会保険庁改革に対する取り組みに全力をあげるA医療・年金・社会保障制度の改善・充実をめざすB独立行政法人の整理・合理化に反対して取り組むC厚生共闘の交渉を重視し、要求前進をめざすD政策活動を強化し、交流・共闘の強化をめざす5点を提起しました。
 討論では、「医師・看護師増員を大きな流れにするために、見える・感じる・元気でる取り組みを」(全医労)、「基本法成立は署名など幅広い取り組みの成果。これを活かし、ハンセン病療養所の将来構想確立にむけ奮闘したい」(全医労)、「懲戒処分を受けた職員の一律不採用の閣議決定はおかしい。そのことを国民的に明らかにする」(全厚生)、「障害者自立支援法のもとで施設運営の矛盾を是正し、改善めざす取り組みを強化する」(全厚生)など、積極的な発言がありました。
 大会では、「安心して暮らせる年金制度の確立と社会保険庁職員の雇用確保を求める決議(案)」を採択。最後に「社会保障の充実と国民本位の厚生行政確立のために奮闘することを誓い合う」大会宣言(案)を大会の総意として確認しました。
 新役員4役は次の通り。議長=岩崎恒男(全医労)、副議長=飯塚勇(全厚生)・山田真巳子(全医労)、事務局長=杉浦公一(全厚生)、事務局次長=岸田重信(全医労)・峰一史(全厚生)。

愛知県
健保協会の労働条件確保を
支部定期大会で意思統一
 9月20日、愛知県支部は、名古屋市の東別院会館にて、第42回定期大会を開催しました。
 午前中は、全労働愛知支部より講師を招いて、全国健康保険協会の設置により、これまでの公務職場から民間職場となるため、労働条件の決定方法など、労働基準法の概要についての学習会を行いました。
 午後からは、定期大会を行い、全国健康保険協会への引越作業や、休日開庁があり、組合代議員の大会出席が困難な中、大会を無事成立させることができました。
 議案討議では、職場実態の報告や、社会保険事務所の人員がさらに削減される中、業務の集約を早期に実現して欲しい旨の訴えや、分限免職にさらされていることへの不安など、さまざまな発言がありました。
 その後の議決で、提案した議案は全会一致で可決されました。
(書記次長)

滋賀県
組合で団結し取り組む
第11回定期大会で確認
 滋賀県支部は、9月27日大津市内において、第11回定期大会を実施しました。2008年度運動方針案、同予算案とともに、10月1日からスタートする全国健康保険協会や、近畿厚生局へ転任する仲間と引き続き共にたたかうための規約改正を出席者全員の賛成で可決しました。また恒例の、出席者全員の発言では各職場の厳しい状況が報告され、それぞれの問題に組合として団結して取り組むことを確認しました。さらに飯塚中央執行委員長を講師に、社会保険庁職員の雇用問題の現状と課題について学習しました。
 大会終了後、日頃の忙しさを少しでも癒すために、ホテルのランチでまったりとしたひと時を過ごしました。
(組合員)

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