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◆第1707号 (2008年9月15日・10月1日付)◆


すべての社会保険職員の雇用を守ろう
全厚生第72回定期大会を開催
安心できる年金制度の確立を
 全厚生労働組合は、第72回定期大会を9月13・14の両日、静岡県熱海市で開催し、2008年度運動方針案と財政方針案などを採択、たたかう方針を確立しました。
 大会には、全国から代議員・傍聴者など108人が参加し、安心できる年金制度を確立し、仲間の力を総結集して、すべての社会保険職員の雇用を守ることを最重要課題として取り組むことを意思統一。また、独立行政法人の「整理合理化」を許さず、厚生科学研究の体制強化をはかる、国立更生援護機関の「あり方検討」にあたっては「効率化・合理化」ではなく、障害者福祉の充実をはかる、人間らしく働くルールを確立する、などの要求実現へ奮闘する決意を固めあいました。
 大会は、大会宣言と「安心して暮らせる年金制度の確立と社会保険庁職員の雇用確保を求める決議」を採択し、新役員を選出しました。

委員長挨拶
雇用確保に全力を
総選挙は自らの意志で選択を

 杉下委員長は、福田首相が安倍首相に続き、政権を投げだしたことは、自公政治の行き詰まりとはいえ、国民のことは全く眼中になく、党略、選挙を優先したもので、無責任・堕落の極みだ、と厳しく批判。構造改革のもとで、弱肉強食の新自由主義が暴走し、貧困と格差の拡大など、改革の矛盾があらゆる分野で噴きだしている。雇用、社会保障、食料や農業、地球環境、税金をはじめとして、政治のあり様を根本から転換しなければならない。総選挙必至の情勢だが、こんな社会をつくりたい、という熱い思いで、心の眼を開いて自らの意志で選択を、と呼びかけました。
 今大会の最大の課題は、社会保険庁職員の雇用問題。年金機構の適正な必要人員をまともに議論することなく、委託を拡大するとともに、外部から千人も採用する一方、社保庁からの採用を厳しく抑制している。さらに自民党の圧力により、懲戒処分者は採用しないとの基本計画が閣議決定された。年金記録問題が国民に及ぼした衝撃は計り知れないものがあるが、個々の職員の責に帰すものでない。
 社保庁職員への批判の強まりは、社会保障制度、公的年金制度解体攻撃と一体のもの。それだけに雇用の問題は、国の責任で安心して暮らせる年金制度をつくる国民共同のたたかいとしっかり結合してたたかうことが重要な柱となる。「安心年金つくろう会」が結成され、全厚生として全力をつくす必要がある。
 さらに重要な柱としては、政府・使用者の責任を徹底して追及すること。閣議決定は、「厚労省への配置転換等、分限免職回避に向けてできる限りの努力を行う」と規定している。労働者の働く権利の基本に関わる問題であり、中央、地方で労働組合、民主団体総ぐるみのたたかいに力をつくさなければならない。
 大会のメインスローガンは、「安心できる年金制度を確立し、仲間の力を総結集してすべての社会保険職員の雇用を守ろう」だ。法曹界をはじめ労働組合、民主団体がともにたたかう決意と方針を持って立ち上がっている。全厚生が一丸となって、厳しいときだからこそ真価を発揮してたたかおうではないか、と力づよく呼びかけました。

大会宣言

 全厚生労働組合は、「安心できる年金制度を確立し、仲間の力を総結集して、すべての社会保険職員の雇用を守ろう!」をメインスローガンに静岡県熱海市で、第72回定期大会を開催した。この1年間のたたかいの経験と教訓を持ちより、職場と地域に根ざし、共同を大きく広げる2008年度の運動方針を全会一致で確立した。
 安倍首相に続き、福田首相も政権を投げだした。改憲と構造改革をすすめる政権に対する国民の不信と怒りは益々大きくなっている。自民党政治と自公政権の破綻は、明らかである。早期の国会解散・総選挙が濃厚となる中、政治をかえる絶好の機会が訪れている。大会では、国民の世論と運動によって政治の中身をかえるために、本質を見極め、労働組合として積極的な立場で奮闘することを決意した。
 この秋、10月に分割・民営化の第1弾となる全国健康保険協会が設立される。また、日本年金機構の設立委員会の活動も始まろうとしている。社会保険庁の解体・民営化は、国の責任を完全に投げ捨てるものであり、公的年金制度が良くなる話ではない。
 いま、求められているのは、老後が安心して暮らせる年金制度の確立と社会保険職員の雇用確保である。そのために、不当な閣議決定をはね返す。さらに、新組織で、確固とした労働組合を確立する。その実現をめざし、揺るぎない決意でたたかうことを誓いあった。
 職場の仲間は、厚生労働行政の担い手として、国民と向き合い日夜、奮闘している。本省庁の恒常的で終わりのない残業実態や、社会保険職場のメンタルコールドで病む仲間が増え続けている事態は、すべての職場に広がっている。働くルールの確立は待ったなしである。働き続けられる労働条件の確保は、人間らしく生きるための基礎となる。労働組合として、この根本要求の実現のために奮闘する。
 貧困と格差を是正し、社会保障を拡充し、働くルールを確立することこそ、厚生労働行政の使命である。国民本位の社会保険行政を確立する、国立福祉施設にかけられている攻撃をはね返し、障害者福祉の拡充をめざす、独立行政法人の整理合理化計画を許さず、厚生科学研究の体制強化をはかる。そのために、全厚生の総力をあげる。平和なくして社会保障の前進はない。憲法9条と25条を胸に刻み、国民と共にたたかう意志を改めて表明する。
 団結の力が試される時である。結成62年を迎え、仲間の期待に応え、頼りになる労働組合として、一歩一歩着実に活動を前進させる。ともに運動できる仲間は、身近にいる。
 大会方針を全面実践し、情勢を切り拓き、共同の力で展望をつくる。この決意を全厚生のすべての仲間たちの総意として、正念場のたたかいに全力をあげる。
 以上、宣言する。
2008年9月14日
全厚生第72回定期大会

第1号議案
雇用確保に向けて
広範な世論の支持と運動を

 飯塚書記長は第1号議案の提案にあたって、各支部の1年間の取り組みの前進に感謝するとともに、昨年の参議院選挙では、安倍自公政権が歴史的な大敗を喫したが、これは国民の「憲法を守れ」「構造改革」路線ストップの運動が世論を変えた結果であり、解散・総選挙がいつ行われてもおかしくない状況にあること。大企業は、バブル期を超える空前の利益をあげているが、大企業と一部の資産家等がその果実を手中にしているのが実態。日本は世界第二位の経済大国であるにもかかわらず、9年連続で労働者の賃金が下がり続け、年収200万円以下の人が1000万人を超えている。一方、正規労働者は成果主義賃金や裁量労働制などの広がりとも相俟って際限のない長時間・過密労働を強いられ、命も健康もすり減らす状態悪化も進んでいると情勢の特徴を指摘しました。
 その上で、2010年1月に設立される日本年金機構の職員採用基準や業務委託の範囲等について、民間委託、人員削減ありきで、さらに懲戒処分を受けた職員を一律排除するなど、異常な内容の閣議決定が行なわれ、急増する平常業務の中で、年金記録の整備に全力をあげている職場には激しい憤りがわいていること。こうした不当な攻撃に対しては、非常勤職員も含めた全ての労働者の団結が決定的に重要であり組織化は緊急の課題であること。障害者自立支援法の本格実施にかかわって、国立更生援護機関の今後のあり方検討が具体化されようとしている。また、基盤研と栄研の統合が決定し、現在その内容等についての検討が行われているが、医療並びに公衆衛生の向上を図り、国民の健康と福祉を向上・発展させる厚生科学研究の前進をめざす取り組みは益々重要。と課題ごとのポイントを説明しました。
 そして、公務労働運動の基本は、労働者と家族の生活や労働条件を維持向上させ、平和と民主主義を守るという労働組合共通の任務とともに、公務労働に携わる労働者としてのその専門的な知識や能力・条件をいかし、国民とともにたたかう責任があること。とりわけ、社会保険庁改革に伴う雇用確保の取り組みでは、広範な世論の支持と運動がなくては前進しないことは明らか。厳しい困難な職場実態ではあるが、当局の使用者責任を徹底して追及するとともに、国公労連の提起する「国民の中へ国民とともに」をスローガンとした運動の意義をしっかり捉え、全力で闘う方針を提案しました。

第2号議案
財政方針を決定
本部費今年度も据え置き

 第2号議案「2007年度決算報告」と「2008年度財政方針・予算(案)」及び第3号議案「予備費の支出について」を峰書記次長が提案。
 決算報告では、1月の中央委員会で納入人員の下方修正を行ったが、なお、決算でも減収となる厳しい情勢にある。社保庁改革に伴う、雇用確保や安心年金つくろう会の結成など、広範な運動に結集する一方効率的な執行を心がけ、全体として予算の範囲内で執行することが出来たと報告。また、一部人件費の見込み誤りから、予備費を支出することについて承認を求めました。
 財政方針・予算(案)については、総人件費削減、定員合理化攻撃、社保庁改革などの中で、どの部門でも、厳しい状況が続いているが、山積する課題に対し、さらに、効率的な財政運営に努めたい。そのためにも、組織強化を積極的に取り組む必要がある。また、事務費等については可能な範囲で節約していきたい、と基本方針を提案しました。大会2日目の集中した討論を経て、全会一致で採択されました。

本年度本部組合費
 今年度の本部組合費は、昨年度に引き続き、2006年3月時点の本部組合費の額です。なお、2006年4月以降の新規採用者の本部組合費については、左記の計算方式が適用されます。
 一般会計分=本俸×1・1%+420円、救援資金特別会計分=30円、専従役員補償特別会計分=90円の総合計。

憲法25条に基づく社会保障の確立を
本省庁・研究機関・福祉施設・社会保険すべての部門から発言
 大会の討論は、13日と14に行われ、のべ37人の代議員・傍聴者が発言をしました。討論の特徴をリポートします。

「安心年金つくろう会」結成と
新組織での労働条件確保へ全力

 社会保険の職場からは、すべての社会保険職員の雇用守るたたかいはじめ、労働条件改善、新組織に向けた取り組み、安心年金つくろう会の活動などについて発言がありました。
 「街頭宣伝や学習会を重ね、準備会としてシンポジウムを成功させ、10月15日に安心年金つくろう愛知の会を結成する」(愛知県支部)。「労働実態アンケート結果を見た弁護士さんから、力になりたいとの申し出があった。自由法曹団の支援に組合員から喜びの声が上がっている。『安心年金つくろう会結成総会シンポ』を成功させたい」(岐阜県支部)。香川県支部代議員も「安心年金つくろう会」結成への取り組みを紹介し、「自分が公務員になった理由は『人のために』だったので、その気持ちを忘れないで、頑張っていきたい」と決意を表明しました。
 さらに、愛知県支部代議員から、「日本経団連など財界は、地方分権の推進や道州制導入の動きを強め、公務員バッシングによって、国民と公務労働者を分断し、構造改革の総仕上げを狙っている。安心年金つくろう会で地域、国民の中へ理解を広げる行動が重要」。また、神奈川県支部代議員は、「日本母親大会や県労連など地域や職場あらゆるところで訴えていくことで、大きな運動になっていけると実感している」と発言しました。
 新組織での労働条件確保にむけた労働組合の確立については、「労基法の労使関係に対しては経験が無いが、先行して独法化された職場のノウハウにも学び、支部同士の情報を密にして、全国的に足並みを揃えて活動していこう」(京都支部)。「情勢の学習、認識をし、労基法を学び、労働協約・労使協定の重要性を全組合員と職員に知らせ、その中心的な役割を担っていきたい」(岐阜県支部)。
 また、非常勤職員の組織化と処遇改善のたたかいについては、「人事院中部事務局交渉で賃金職員が初めて発言し、処遇改善を訴えた。非常勤職員の雇用不安は大きい。雇用を守るために頑張りたい」(大阪支部)。
 頼りになる全厚生への取り組みや決意も語られました。業務センター支部代議員からは、「組合員に要求アンケートを実施、困難な職場実態や不安定な立場におかれていることに対する不安などが多く寄せられた。当局に伝えていきたい」。同じく業務センター支部代議員は、「職場に希望が見えない中で、光となる情報を与えていきたい。全厚生が人と人とをつなぐ存在になっていけたらと思う」と発言しました。
 「防衛庁が省になり、社会保険庁が解体・民営化される。日本のひどい現状を端的に表している。職場の困難さに対して、全厚生だからものが言える」(兵庫県支部)。「雇用不安がある中、全厚生を選んで良かったと言えるようにまたがんばりたい」(滋賀県支部)。
 神奈川県支部代議員は、「たまっていたものを吐き出すのが組合。組合があったから、仕事を続けてこられた。下ばっかり向いていないで上を向いていきたい」と発言し、感動を広げました。

統廃合ありきの「あり方検討会」
ではなく障害者福祉の充実を

 福祉部門からは、「国立更生援護機関の今後のあり方検討会」をめぐって、意見が出されました。
 塩原支部代議員は、「障害者自立支援法が施行され利用料が取られるようになってから、視力センターの利用者が減ってきた。職場がどうなるか不安。投げやりにならないで、職場でみんなががんばれる雰囲気づくりも大事と感じているので、団結を高めていきたい」
 神戸支部代議員は、「『あり方検討会』が、10月3日よりスタートするが、国立施設の統廃合や人員削減を前提とした検討ではないのか。5年後、職場があるかどうか分からないという状況に不安を抱いている。社会保障・福祉や医療を経済効率の観点で見ることは正しいのか。障害者福祉の充実へ、これまで築いてきたものを崩壊させないよう努力したい」
 国立リハ支部代議員は、「今年4月から4視力センターで理療教育高等過程の募集を停止した。『あり方検討』の『中間報告』といいつつ、最終報告のような形で結果が出てしまった。4センターとも協力し、たたかっていきたい」
 福岡支部代議員は、「人事評価制度の試行が始まるが、福祉サービスを『評価する』ということに疑問がある。誰が何をどのように『評価する』のか、評価者研修をしていただきたい。『あり方検討会』において、現場のことを何も知らない人たちに、利用者の充足率だけで、国立センターはいらないといって欲しくない。路線バス廃止問題については、地域の人たちと一緒に活動している」と発言しました。

本省の長時間残業をなくせ
独立行政法人の整理合理化反対

 本省支部代議員は、「女性部は、ヨガ教室やフラワーアレンジメント教室を開くなど活動している。若い組合員を迎え入れられるよう、会議室をサロン風に改修した。本省共闘で人事課長交渉も行った。長時間残業なくすよう頑張りたい」
 統計支部代議員は、「今年の人事院勧告で所定勤務時間が15分短縮された。15分をどのように活用するかは選択性とすべきである。また、微々たるお金でお茶を濁した本省手当は嬉しくない。そんなお金よりも早く家庭に帰れるよう無定量な残業を改善すべきである」
 感染研支部代議員は、試験研究機関における女性職員の昇任・昇格の改善の取り組みを発言。「わが国では、男女共同参画基本法に基づいて、『2020年までに指導的地位の女性割合を少なくとも30%以上に』という目標を掲げているが、感染研では、女性の昇任はほとんど配慮されていないと所長交渉において追及した」
 基盤研支部代議員は、「昨年の独立行政法人整理合理化反対闘争で、みなさんに署名でご支援いただいたおかげで、国立健康・栄養研究所は廃止を免れ、基盤研と統合する形で組織を残す事ができた。今後、もっとスリム化したいという政府の攻撃があるので、がんばっていきたい」

平和や社会のしくみを学ぼう
新組織でも両立支援策の充実を

 秋田県支部代議員から、「秋田県の組織は青年の力で持っている。青年部は、学習会を定期的に行うなど仲間の連帯を深めている。青年に背中を押してもらいながら、彼らの不安を少しでも解消できるよう活動したい」との発言があり、秋田県支部の青年代議員が、「青年部の活動のウリは『継続』していること。機関紙も月1回定期発行し、夏には定期大会、秋と冬には学習会を行っている。秋は、『新組織移行に向けた取り組みと当面の課題』、冬は、青年部執行委員を講師に『社会保険庁解体後の組合組織について』というテーマで学習した」と発言しました。
 また、青年対策部は平和活動に力を入れていますが、行動に参加した兵庫県支部代議員は、「原水爆禁止世界大会に参加して、高校生の『微力だけど無力じゃない』『被爆者が生きている間に、核を廃絶したい』との発言と行動に共感した。いろいろな機会を利用して、多くの人たちにも平和や社会の仕組みについて学んで欲しい」と呼びかけました。さらに、静岡県支部代議員は、「3・1ビキニデーを位置づけ、ぜひ参加を。焼津で待っています」
 女性部活動について京都支部代議員は、「全厚生女性交流集会でハンセン病資料館を見学した。語り部の平沢さんは、すさまじい差別政策の中で、すごく辛い体験をされたのに、すごく前向きで、元気をもらった。交流集会は、これからもずっと続けていって欲しい」
 神奈川県支部代議員は、「本部女性部として、健保協会の労働条件について、特に『仕事と育児・介護の両立支援策』が公務の労働条件から後退しないよう、健保協会設立委員会に要求書を提出した。9月12日の社会保険庁長官交渉でも、『目の前に、子どもや介護を必要としている人がいるのに、突然、労働条件が変わるというのは困難。現行から後退することのないように』と訴えた。11月9日に女性部13回総会を開催するので、参加を」と呼びかけました。

総括答弁
国民本位の社会保障へ
組織の確立強化に全力

 2日間の討論を受けて、飯塚書記長が総括答弁を行いました。
 困難な職場実態の中、大会・討論に参加いただいた多くの仲間の皆さんに感謝申し上げたい。延べ37人の代議員から発言をいただいた。本部方針の補強がほとんどであるが、厳しいご指摘もあった。真摯に受け止め、今後の運動に活かしていきたい。
 社保庁改革に関する雇用問題では、法定闘争も検討していくが、ILOや日弁連への申立てなど政府の不当な攻撃を社会的に糾弾する様々な取り組みを強化していきたい。政府・省・庁の使用者責任の追及は当然であるが、この間、国公労連・自由法曹団の支援をいただいている「安心年金つくろう会」運動を各地で前進させていくことが、雇用確保にも繋がることを全体で確認できたと思う。全厚生がその中心的な運動を担うためともに奮闘していきたい。また、新組織での全厚生の確立と運動の強化は、緊急の課題であり、支部の奮闘をお願いしたい。
 福祉施設部門では女性代議員の参加が多く、宿日直問題などこの間の運動の反映とも思われる。あり方検討会が具体化されようとしているが、厚社連・全厚生全体としても踏み込んだ議論が求められる。障害者団体などとの連携も深めながら、利用者の立場に立った探求を目指したい。福祉施設における新たな人事評価制度は、とりわけ様々な問題を抱えており、実態に即した制度を追及していきたい。独法組織の統合問題でも、前向きな発想で知恵を出していくことが重要であり、日常的な組織強化の取り組みもその基本と考える。
 いずれの職場も困難な状況を抱えているが、支部や専門部の先駆的な取組みも報告された。全体で確認するとともに今後に役立てていきたい。
 財界やアメリカの利益を優先する構造改革路線から国民本位の政治に転換することが焦点となる国政選挙が予想されている。憲法25条に基づく国の責任による社会保障制度の確立を目指し、ともに奮闘していきたい。

情勢学習会
処分歴で一律不採用は違法
自由法曹団の加藤事務局長が激励

 大会初日の議事終了後に、自由法曹団の加藤健次事務局長による情勢学習会が開かれ、大会参加者が熱心に学びました。 加藤弁護士は冒頭、なぜこんなにも、厚生労働省で働く職員が困難と矛盾に直面しているのかと問いかけ、絶対的な貧困がつくられ、生存権が脅かされている下で、国民・労働者の反撃をうける立場の行政だから当然のことと指摘。その中で、国民の立場にたつ労働組合の存在は決定的な意味を持つと全厚生を激励。
 次に加藤弁護士は、社会保険庁改革は、解体した後に何が良くなるのか、民営化したら本当に大丈夫なのか、何も答えていないと指摘。無責任な計画を閣議決定したことに対し、このスキーム(枠組み)は、このまま突っ走ったら必ず失敗すると明確に述べました。
 雇用問題では、懲戒処分を受けた職員の一律不採用方針を批判。物事は、度を過ぎるとおかしくなると指摘。民間で言うと、整理解雇にあたり、少なくとも人が足りない企業で、今いる労働者の首切りを行い、新しい人を千人も採用する。こんなことはとても認められないと語気を強めました。さらに、加藤弁護士は、希望者全員、新組織に採用せよという要求は、社会的に正しいし、労働法的にもまったく正しいと語りました。処分歴があるからと言って採用しないという枠組みは、これこそ違法であると指摘。
 最後に、全厚生の要求とたたかいには正義がある。法的にも正当であることに確信を持ってほしい。今、必要なことは、むこうのやり方はおかしい、そのおかしいことをおかしいと主張することですと熱く語りました。

安心して暮らせる年金制度の確立と社会保険庁職員の雇用確保を求める決議

 政府が決定した日本年金機構の「当面の業務運営に関する基本計画」は、社会保険庁を解体して業務を細分化したうえで、基幹的な業務も含め民間委託を拡大するものである。職員採用については、民間から1000人も採用する一方で3000人を超える職員を削減し、機構発足後の合理化を前提に1400人の正規職員を有期雇用化するものである。さらには、記録問題解決の体制確立は棚上げにしつつ、懲戒処分歴のある職員は一律不採用とすることも盛り込んだ。
 老後の命綱である公的年金は、何十年にもわたる加入記録や保険料の確実な管理が不可欠である。受託業者が数年ごとに入れ替わる競争入札による民間委託では、安定的な業務運営の確保は困難である。さらに、受給者・加入者を含めた1億人もの個人情報が正しく管理・保護されるのか、新たな混乱と問題発生は避けられない。これらは、ビジネスチャンスの拡大や年金積立金の市場運用を求める財界・大企業に応えるばかりか、国や大企業の負担と責任を免罪する社会保障解体攻撃と一体となったものである。
 業務に習熟・精通した職員を大幅に削減することも、国民が求める安心・信頼できる年金制度の確立を困難にするものである。また、懲戒処分歴のある職員について、処分の内容や程度、理由の如何を問わず一律に不採用とすることは実質的な二重処分に等しく、公務員の身分保障や労働法理にも反する違法・不当なものであり容認することはできない。
 特に、懲戒処分の多くを占める「業務目的外閲覧問題」や「国民年金不適正免除問題」などは、社会保険庁の管理責任こそが厳しく問われなければならないものである。
 全厚生はこの間、年金業務の安定的運営を確保し、国民の信頼を回復するためにも、職員が安んじて業務に専念することが重要であり、雇用の確保と体制確立を求めてきた。
 国民が求める安心・信頼できる年金制度を確立するためにも、「基本計画」の閣議決定は撤回し、「日本年金機構法」のあり方について国民的な議論を行うこと、政府の責任で記録問題を早期に解決すること、同時に、民間委託の拡大は行わず、業務に習熟・精通した職員の雇用を確保し、安定的・継続的、専門的な年金業務運営を確保することを強く求めるものである。
 「国の責任で、安心して暮らせる年金制度をつくる連絡会」(安心年金つくろう会)は、消費税の年金財源化に反対し、国の責任による年金運営と最低保障年金制度の創設に向けて国民的な宣伝・署名などのとりくみを進めている。全厚生は、「安心年金つくろう会」が提起した「安心・信頼できる年金国民署名」をはじめとした運動を全国各地で展開するとともに、国の責任による公的年金制度の確立と社会保険庁職員の雇用確保に向けて、全力を挙げるものである。
以上決議する。
2008年9月14日
全厚生第72回定期大会

職場に真実と展望を示す
第21回全厚生機関紙フェスティバル
 大会初日、21回目を迎えた恒例の機関紙フェスティバルの表彰を行いました。「全厚生」新聞編集長の近藤書記が参加機関紙全体の講評と結果の報告を行い、杉下委員長が金賞を受賞した支部、分会、専門部の代表者へ賞状と副賞を手渡しました。
 近藤書記は、昨年から応募支部・機関紙数とも増え13支部16機関紙の応募があったことを紹介し、「職場がますます厳しくなるなかで、組合員と職員に真実と展望を示し励ましを与え続ける機関紙、つぶやきを要求に束ね要求実現につなげていく機関紙、組合員の連帯を深める機関紙など、どの機関紙も素晴らしい。継続発行のためにも、一人で頑張っている編集者をみんなで支えたい」と述べました。

<金賞>
 本省支部「夜明け」
 業務センター支部「支部ニュース」
         「組合員のみなさんへ」
 感染研支部「執行部ニュース」
 国立リハ支部「かるがも」
 秩父学園支部「秩父学園支部ニュース」
 福岡支部「かたらせて」
 神奈川県支部「週刊保険」
 愛知県支部「支部だより」「ブログ」
 京都支部「社保ニュース」
 大阪支部「全厚生大阪SHIBU−NEWS」
 兵庫県支部「全厚生兵庫県支部ニュース」
 香川県支部「支部情報」  
 本省支部社会援護分会「mail援護」
 秋田県支部青年部「とらい」

退任されたみなさん
長い間お疲れ様でした。
 今大会で、委員長の杉下茂雄さん、副委員長の儀同政一さん、中央執行委員の高階聡さん、特別中央執行委員の北畠弥生さんが退任されました。
 国公労連中央執行委員として特別中央執行委員を3期務めた北畠さんは「労働組合の力に確信をもつことができた。今後も支部で仲間と一緒にがんばっていく」。中央執行委員を2期務めた高階さんは「中執で学んだ経験や知識を、支部活動にいかしていきたい」。副委員長を1期務めた儀同さんは「任期中に、仲間と協力して厚研連を立ち上げ、4年ぶりに研究交流集会を開くことができ、役割を果たせたと思う。退職まで全厚生の組合員としてがんばりたい」。委員長を10期務めた杉下さんは、「18才で業務センターに就職してから41年半、そのうちの25年間を全厚生の役員として生きさせていただいた。全厚生の仲間の中で育てられた思いでいっぱい。全厚生という労働組合と、全厚生のすべての仲間に感謝を申し上げたい。今後は国公共済会で新たな任務につくので、ぜひ各支部で学習会を」とあいさつしました。

来賓あいさつ
 大会には、国公労連・川村好伸副委員長、全医労・岩崎恒男委員長が来賓として出席し、挨拶しました。

メッセージ
 大会にメッセージをいただいた労働組合、団体は次のとおりです。(順不同)
 日本共産党、国民新党、日本共産党衆議院議員高橋千鶴子
 全国労働組合総連合、公務労組連絡会、全労働省労働組合、総理府労働組合連合会、全情報通信労働組合、全法務省労働組合、全税関労働組合、全国税労働組合、全経済産業労働組合、全運輸労働組合、全運輸省港湾建設労働組合、全司法労働組合、全気象労働組合、国家公務員一般労働組合、日本医療労働組合連合会、特殊法人等労働組合連絡協議会、日本出版労働組合連合会、健康保険病院労働組合、全国労災病院労働組合、全国福祉保育労働組合、全日本損害保険労働組合、全日本金属情報機器労働組合、全日本建設交運一般労働組合、郵政産業労働組合、全日本教職員組合、国鉄労働組合、全日本年金者組合、
自由法曹団、障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会(障全協)、全国生活と健康を守る会連合会、日本婦人団体連合会、新日本婦人の会中央本部、農民運動全国連合会、全国保険医団体連合会、全日本民主医療機関連合会、全国商工団体連合会、原水爆禁止日本協議会、非核の政府を求める会常任世話人会、安保破棄中央実行委員会、日本国民救援会、国民医療研究所、行財政総合研究所、日本国家公務員労働組合連合会共済会、中央労働金庫霞ヶ関支店、株式会社きかんし

2008年度執行体制
中央執行委員長(新)神奈川県
飯塚 勇(いいづか いさむ)

中央執行副委員長(再)神戸
今井 進(いまい すすむ)

中央執行副委員長(新)基盤研
亀岡 洋祐(かめおか ようすけ)

中央執行副委員長(再)本省
田口 雅之(たぐち まさゆき)

中央執行副委員長(再)京都
山本 潔(やまもと きよし)

書記長(新)書記局
杉浦 公一(すぎうら こういち)

書記次長(再)業務センター
峰 一史(みね かずふみ)

中央執行委員(再)神奈川県
梅田 忠明(うめだ ただあき)

中央執行委員(再)滋賀県
木瀬 知彦(きせ ともひこ)

中央執行委員(再)業務センター
木立 圭子(きだち けいこ)

中央執行委員(再)愛知県
國枝 孝幸(くにえだ たかゆき)

中央執行委員(再)国立リハ
小出 千鶴(こいで ちづこ)

中央執行委員(新)秋田県
新田 献(にった けん)

中央執行委員(新)愛知県
深沢 英二(ふかざわ えいじ)

中央執行委員(新)感染研
松野 重夫(まつの しげお)

中央執行委員(再)本省
三角 美智子(みすみ みちこ)

中央執行委員(再)愛媛県
横田 真二(よこた しんじ)

会計監事(再)秩父学園
秋山 佳秀(あきやま よしひで)

会計監事(再)本省
佐藤 惠治(さとう けいじ)

書記
近藤 浩美(こんどう ひろみ)

書記
西田 志緒(にしだ しお)

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