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◆第1706号(2008年9月1日付)◆


制度改善と雇用確保に全力を
第72回全厚生定期大会のポイント
 全厚生は9月13・14日、静岡県熱海市で第72回定期大会を開催します。大会の焦点や情勢の見方など、運動方針案のポイントを飯塚書記長に聞きました。

不当な採用排除撤回へ力をあわせましょう
 全厚生はこの1年間、日本年金機構法の成立を受けた新たな情勢の中で、社会保険庁改革や安心して暮らせる年金制度の確立、賃金・労働条件などの改善、国民のための厚生科学研究や障害者福祉の実現など国民本位の厚生行政の実現に向けて、職場・地域から取り組みを進めてきました
 特に、「社会保障の解体を許さず、老後の命綱=公的年金を守ろう」をキャッチフレーズに、全国各地で運動を展開してきた社会保険庁解体・民営化阻止の闘いでは、自由法曹団、国公労連の支援による「年金を守ろう」運動において、中央の労組、民主団体などの賛同のもと、「安心年金つくろう会」を立ち上げるまでに前進しました。
 また、制度改善とあわせ雇用と労働条件の確保を目指す取り組みのなかで、民間労組等の協力も得ながら、47083筆の署名が集約されたことは大きな意義があります。基本的人権を無視するような日本年金機構への職員採用条件が閣議決定されましたが、不当な攻撃には毅然とした反撃が必要です。地域における年金共闘組織の結成と、安心して暮らせる年金制度の実現に向けた運動に積極的に参画していくとともに、全厚生として、ILOへの提訴や日本弁護士連合会への申立てなどを検討しています。そうした運動を取り組みながら、最終的には法的対抗措置も検討していく考えです。
 なお、職場の雇用不安等に応えるために自由法曹団が9月28日(日)に東京で「雇用問題相談会」を開催します。

労働条件改善に引き続き奮闘します
 国公労連に結集した賃金などの労働条件改善闘争では、勤務時間の短縮や非常勤職員の賃金の最低基準を打ち出させるなど、貴重な成果を勝ち取りました。特に、16年ぶりに所定勤務時間の短縮を勧告させたことは、職場の切実な要求の前進として、全体で確認する必要があります。
 一方、国民総犠牲の構造改革に対峙する取組では、「不払い残業」や「名ばかり管理職」などの違法行為や資本による異様な職場支配に対する国民的反撃の中で、貧困や雇用破壊の問題を改善するために、政府自身が最低賃金の改善や、日雇い派遣の禁止を打ち出さざるを得ない状況になっています。こうした世論と情勢の変化を生み出した一つの要因・背景に、職場と地域で地道に活動してきた私たちの運動があることに確信を持つことも重要です。
 社会保険庁や本省庁における異常なただ働き残業と健康破壊、基盤研と栄研の統合、国立福祉施設のあり方問題など、どの部門でも課題が山積しています。国民本位の厚生行政と職員の権利・労働条件の確保を目指し、引き続き奮闘しましよう。

組織強化に全力をあげます
 相次ぐ定員削減の下で長時間労働を余儀なくされ、職場でのコミュニケーションが失われ、心身の疲労が組合員をおそっています。同時に、嵐のような公務員バッシングのもとで利用者・国民とのあつれきも強まっています。この閉塞感と無力感が職場を支配し、労働組合の活動を困難なものにしています。しかし、様々な困難のなかでも、組合に結集し、団結を深めようとする多くの仲間がいます。
 今年10月に「全国健康保険協会」が、そして2010年1月には、「日本年金機構」が非公務員型の公法人として設立されることで、社会保険庁は廃止されることになります。日本年金機構については、設立委員会が設置され、労働条件等が示され、希望者の募集が行われる予定です。両法人とも適用法令は、国公法・人事院規則等から、労働組合法・労働基準法等の世界に大きく変わることになります。勤務・労働条件の改善には労働組合の存在が決定的に重要です。非常勤職員も含めた全職員を視野に組織強化を目指します。

「雇用問題相談会」の開催
 社会保険庁の解体民営化に伴って、雇用への不安がある方、懲戒処分歴がある方、雇用問題で権利侵害を感じている方などの相談に、自由法曹団の弁護士さんが応じます。相談料無料。お気軽にご相談ください。事前予約制です。希望者は各支部、または全厚生本部までご連絡ください。なお、当日、電話での相談も受け付けます。
  日時 9月28日(日)13:00〜16:00
  場所 国公労連会議室(港区西新橋1-17-14リバティ14ビル)
     *当日の電話相談は 03-3502-6363
全厚生本部 Tel 03-3501-4881 E-mail zenkosei@zks.dp.u-netsurf.ne.jp

リレーずいそう
●夏休みの宿題
 子ども達の夏休みが終わりました。皆様、お子様たちは宿題を無事提出できましたでしょうか。我が家はたいへんでした。中学1年生の息子には、音楽以外の全教科で宿題がありました。
 まずは定番の学習と生活の目標と計画、1行日記。英国数はこれも定番の単語や漢字、計算の練習…休み明けにテストがあるタイプでワークやプリントなど。国語の「読書新聞」…感想文ではなく、新聞形式にまとめるもので、文章が苦手な子も、意外と簡単。理科と社会は、自由研究と世界の国調べのリポート…それなりの問題意識や探究心、文章力、時間と労力が求められるタイプで、親としてもサポートしがいのある宿題。家庭科は衣食住それぞれ3回計9回の家事労働の記録…共働き家庭の子どもには楽勝か。体育は、体育祭のテーマとシンボルマーク。美術は、野菜と果物の鉛筆デッサン…もうこれは手伝う事などできません。そして、総合では、「人権」作文と「職業調べ」のリポート。
 「職業調べ」は、身近な人の職場に訪問し、体験しつつ、インタビューしてまとめるというもの。手っ取り早く「労働組合の書記」を選んだわが子に「仕事の内容」「資格」「辛かった事」「良かった事」などなど取材されました。「この仕事に向く人は?」に、「正義感が強く、憲法と労働基準法などの法律をよく勉強していて、権利を主張できる人」と答えた私・・・自分への大きな宿題をかかえてしまった夏休みでした。
(本部書記・組合員)

News
旧厚生省が残業ワースト1
霞国公が残業実態アンケート結果発表

 7月16日、霞国公と東京国公は、今年3月に実施した残業実態アンケートの結果について公表。記者会見には、植松東京国公事務局長や三角霞国公副議長(全厚生中央執行委員)らが出席ました。(写真)今回の回答者は12組合、4,617人で、回収率は霞ヶ関で働く一般職員の1割。調査の結果、平均残業時間は、37.7時間。ワーストの上位から、旧厚生省が75.8時間、旧労働省が72.8時間、経産省が50.3時間という順番。残業代の不払いは、試算で112億円、10人に1人が過労死危険ラインでした。この結果は毎日新聞など各紙で報道されました。

なくそう貧困、ストップ改憲
国公労連第54回定期大会を開催
 国公労連は8月28日から3日間、都内で第54回定期大会を開催。「なくそう貧困、ストップ改憲!“国公大運動”で憲法の完全実施を」のスローガンを確認し、国民本位の行財政・司法をめざす運動方針を満場一致で採択しました。
 冒頭、国公労連福田委員長は、政治状況の劇的な変化の中でこの1年間をふり返り、「単純な言葉で国民を欺くことができず、構造改革の反国民的な中味が隠しようもなくなっている。改憲や構造改革に反対する国民的なたたかいが具体的な成果を生みだしている」と指摘。「この条件を主体的に活かし、攻めの運動で、たたかいを発展させよう」と呼びかけました。運動方針案を提案した岡部書記長は、運動の基調について、(1)構造改革への対抗軸として「憲法の完全実施」を掲げ、国民的な共同を追求する、(2)社会的連帯と底上げを重視する、(3)労働者としての権利意識を高め、職場と産別組織の整備強化・拡大をはかることを提案。その基本にたち、「21世紀国公大運動」をスタートさせることを提起。その内容は、「憲法の民主的原則にもとづく行政と職場の総点検運動」であり、こんな社会をつくりたいと願う「国公労連の目標と提言にもとづく国民総対話運動」であり、この大運動を通じて公務員攻撃に反撃し、運動を前進させようと訴えました。
討論では、国民との対話を重視した全国での取り組み報告で交流し、時代を切り拓く決意を固めあいました。
 全厚生からは、社会保険庁改革の課題で発言。飯塚代議員は、安心年金つくろう会の運動を全国に広げ、職員の雇用を守るために全力をあげる決意を表明。杉浦代議員は、全国健康保険協会、日本年金機構での労働組合の確立にむけて総力をあげて取り組む決意を表明。磯貝特別代議員(愛知県国公)は、安心年金つくろう会準備会での多彩な活動と会の結成にむけた決意を表明。大会では、「安心・信頼できる年金制度の確立と社会保険庁職員の雇用継承を求める決議を採択しました。
 尚、大会で選出された新役員は次の通り。委員長=宮垣忠(新)、副委員長=阿部春枝(新)、川村好伸(再)、書記長=岡部勘一(再)

香川県
大胆と地道な活動を
支部定期大会で意思統一
 香川県支部は8月23日午後から高松市内で支部定期大会を開催しました。大会討論では、代議員から「組合員の不安に応えられる労働組合であってほしい」、「健保協会へ異動する組合員のことや労働組合組織、年金機構へ内定されなかった場合の不安など」の発言がありました。大会では、「なくせ貧困」の運動が高まっており、社会保障制度のあいつぐ改悪で国民の怒りが渦巻いていること。世論と運動によって政治を変えることができる情勢となっていることに確信をもって、「国の責任で、安心して暮らせる年金制度をつくる連絡会」を香川県内でも組織する決意を固めました。「大胆に外に打って出る活動と地道な職場活動の継続。この決意をすべての仲間たちの総意として、正念場のたたかいに全力をあげる」との大会宣言を採択して大会を終了しました。
 大会に先立って、大会当日の午前中には、「労働法の基礎知識」と題した学習会を開催し、公務とは違った民間での労働組合の重要な役割を学びました。また、ブロック国公の事務局長と県国公の事務局長と、香川県内での「安心年金つくろう会」準備会立ち上げについての協議を開始しました。
 支部新役員は、大会開催前に選出できず、大会終了後の選出となりますが、本部大会までには選出できるよう奮闘中です。
(書記長)

核兵器のない平和な世界を
原水爆禁止世界大会・長崎に参加
 8月8日から10日の日程で、全厚生代表団8人は、原水爆禁止2008年世界大会に参加し、長崎市内の戦跡を訪ねました。
 8日の「国際交流フォーラム」では各国の政府代表や非政府組織(NGO)の代表がともに席を並べ、2010年の核不拡散条約(NPT)再検討会議に向けてどう行動していくかの意見交換が行われました。
 また、8日夜の「世界青年のつどい2008inナガサキ」では、被爆者からのお話を聞き、若者たちの意見交流が行われました。そして、「核兵器をなくしたい」というそれぞれの思いを紙コップに描き、キャンドルを中に灯して手に持ち、長崎市内をピースウォークしました。
 9日には「原水爆禁止2008年世界大会・長崎」が長崎市民体育館で開かれ、核兵器廃絶に向けての草の根の活動が報告されました。そして、全世界的な行動として新しい国際署名「核兵器のない世界を」の取り組みが提起されました。
 また、全厚生独自行動として、浦上天主堂など長崎市内の戦跡をめぐり、原爆資料館や平和公園などを訪れました。
 9日夜には、地元主催の「たいまつ行列」に参加しました。この行列では、原爆で崩壊した浦上天主堂のがれきから見つかった木製の「被爆マリア像」を載せた聖座を先頭に人々が祈りの言葉を唱えつつ浦上天主堂から平和公園まで600メートルほど歩きました。
 10日には、平和公園を訪れ、青年対策部が呼びかけた折り鶴の取り組みによりできあがった千羽鶴を、原爆落下中心碑などに捧げてきました。
(中央執行委員)

微力だけど無力じゃない
兵庫県支部 組合員

 もう一つの被爆地長崎を訪れて、63年もの間、家族や隣人をあんな形で失った記憶を持ち続けることの悲しみや痛みを死ぬまで持ち続けなければならない人たちがいること、戦争は決して遠い過去のことでもなければ、遠い国で起こることではないということを、決して忘れてはいけないと思いました。そして今、私が強く思うのは、絶対に戦争の被害者にも加害者にもなりたくないということです。
 長崎では、若い世代が「微力だけど、無力じゃない」を合言葉に、核廃絶に向けた活動を続けています。彼らの「被爆者が生きている間に、核を廃絶したい」との思い、私も応援していきたいと思います。
 仕事に追われ、日常生活をおくるだけで精一杯という人も多いと思いますが、いろいろな機会を利用して、多くの人たちにも平和について学んでほしいと思います。

原因と結果のギャップに困惑
京都支部 組合員

 被災地を暑い中歩き回って、最後に資料館を訪れたのですが、展示されていた原寸大の原子爆弾の模型が何しろ小さいことに今さら驚きました。こんなのが周囲一帯を焼け野原に変えてしまい、60年経ってもいまだに原爆症で苦しんでいる人がいる。原因と結果のギャップになかなか想像力が追いつきませんでした。
 原水爆の禁止を目指すというのは、反戦平和という大きな枠組みからするとほんの一部に過ぎないように見えますが、戦争の不条理を一番集約しているのがやはり核兵器なんだと思います。「たまたま霧がはれたから」長崎に原爆が投下された、なんて冗談みたいな話ですが、そんな風にほんとにかんたんに、ほとんど偶然に一つの街が破壊されてしまうことが何より恐ろしいんだと感じました。
  現在の長崎はホントにいいところで、チャンポンも皿うどんも堪能させてもらいました。たったの3日だけですけど、街を歩いて愛着が湧くと、なおさらに1年1回、かつての災厄を思い起こすことの大切さが分かります。今回の大会に参加できてほんとによかったです。

<全厚生代表団行程表>
8日=国際交流フォーラム/山里小学校/永井隆記念館(如己堂)/核兵器をなくそう・世界青年のつどい2008inナガサキ
9日=原水爆禁止2008年世界大会・長崎/片足鳥居/山王神社/長崎医科大学/浦上天主堂/たいまつ行進(浦上天主堂から平和公園まで)
10日=平和公園・平和祈念像・原爆落下中心碑/原爆資料館/国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館

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