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◆第1705号(2008年8月15日付)◆


雇用確保・分限免職回避を
08人勧期要求等で大臣官房人事課長交渉
 全厚生は7月30日、08人事院勧告にむけた賃金改善要求や社会保険庁改革に伴う雇用問題などを中心に大臣官房人事課長交渉を行いました。交渉には、杉下委員長、杉浦副委員長、飯塚書記長、峰書記次長、三角・小出・木立の各中央執行委員が出席し、人事課からは、唐澤人事課長、宮野参事官以下関係者が対応しました。
 冒頭杉下委員長は、(1)ベアゼロの報道などもあるが、原油・穀物高騰などにより、生活実態は厳しさを増している。賃上げは切実な要求である。また、今年はなんとしても労働時間短縮を実現したい。非常勤職員の処遇に関しガイドラインが示されたが実効あるものにする必要がある。実現に向けて努力してほしい、(2)昨日、日本年金機構の基本計画について閣議決定が行われた。1000人の民間採用を行う一方で、3000人の職員削減や1400人の有期雇用化、さらには過去に懲戒処分歴のある職員の一律不採用方針など、業務の安定的運営からも、また、職員・家族の生活権から見ても断じて認められない。特に、自民党の政治的思惑を省・庁が受入れたことは極めて問題である。法曹関係者からも「法理上も、判例に照らしてもこのようなことはやってはならない」と指摘されている。1人も路頭に迷うことのないよう厚労省としても雇用の確保に全力をあげていただきたい、と当面する重点課題について人事課長の回答を求めました。

本省、関係部局の努力も含め様々な方策を検討
人事課長が回答

 これに対し唐澤人事課長は、(1)基本賃金や非常勤職員の処遇改善については7月1日付で人事院に「給与改善要望書」を提出したところである。また、時間短縮については現在人事院で検討されていると聞いている。今後とも機会を捉えて要望していきたい。(2)社会保険庁職員の雇用問題については、第一義的には長官の責任であるが、大臣も「法に基づいた対応が基本」と述べておられるように、省内配転などを含め、様々な方策を検討していきたい、と基本的な考え方を明らかにしました。
 また、個別課題については、「人員増については、厳しい行財政状況下ではあるが、国民生活の安全・安定を確保するための施策を進めていくために今後とも最大限努力」「新たな人事評価制度については、リハーサル試行の実施が求められているところであるが、できるだけ職員の負担を少なくする方向で検討中」「超過勤務の縮減については、国会・予算といった他律的側面があり困難性もある。しかし、管理者の意識を高めるなど引き続き努力していく。またメンタルヘルス対策については、精神保健福祉士の配置や相談室の増設など機能強化を図ったところである」などと回答しました。
 杉下委員長は、日本年金機構に関わって「大幅な外部委託や人員削減で、国民の信頼に応えられるような安定的な運営が出来るのか危惧する。雇用では、国公法や人事院規則を基本にするならば、こうした排除方針や不平等な処遇になること事態がおかしい。私たちも不当な対応にはきちんとした措置を検討しなければならない」と改めて分限免職回避の努力について質しました。人事課長は、「閣議決定は予想外の部分もある。世間の風当たりは強いものがあるが、同じ職員であり本省、関係部局の努力も含め、当局、組合の立場を超えて努力していきたい」と述べました。
 なお、峰書記次長が、記録整備に伴う体制確保について、飯塚書記長が、社保庁職員の健康管理体制について、杉浦副委員長が、新たな人事評価制度の事前協議について厚労省としての努力を求めました。

日本年金機構の当面の業務運営に関する基本計画の閣議決定について(談話)
 全厚生は7月30日、次の書記長談話を発表しました。

 1.政府は29日、社会保険庁の廃止・解体に伴い、2010年1月に設置される日本年金機構の職員採用基準や外部委託の推進等に関する基本計画を閣議決定した。基本計画は、6月30日に「年金業務・組織再生会議」が取り纏めた「最終整理」を踏まえたものであるが、業務量に見合った適正な人員配置をまともに検討することもなく、人員の大幅削減や外部委託の拡大をうちだしている。また、懲戒処分を受けた職員については、理由の如何を問わず日本年金機構への採用を一律排除するなど、極めて不当であり断じて容認できない。
 2.基本計画は、機構発足後の合理化を前提に1400人を有期雇用職員化する一方で、1000人もの民間人を採用するとしているが、処分理由の如何を問わない一律不採用方針は、業務運営や公正・公平性の観点からも問題である。年金個人情報の業務目的外閲覧では、端末操作に必要なカードの杜撰な管理がその背景にある。また、国民年金の不適正免除では、収納率アップの至上命題のもと、業務命令として実施したのが実態である。これらはいずれも社会保険庁の管理責任こそが厳しく問われなければならない。同一理由で重ねて不利益を強いることは二重処罰そのものであり、不合理・不当と言わざるを得ない。
 3.基本計画は、年金記録問題の解決には何の展望も示さないばかりか、業務を細分化し民間企業に委託するとともにその範囲の拡大を求めている。しかし、何十年にもわたる加入記録や保険料の確実な管理が不可欠な年金業務をバラバラにし、さらに、競争入札の下で受託業者が数年ごとに入れ替わる仕組みでは、相談やサービスなどの安定的な運営が確保されるのか、受給者・加入者を含めた1億人もの年金個人情報が正しく管理・保護されるのか、危惧せざるを得ない。
 4.国民の願いは安心・信頼の年金制度の確立と、国の責任による記録問題の早期解決、そのための体制確保などである。閣議決定は、こうした願いに背をむけるとともに、国家公務員の身分保障や労働法理にも反するものである。いま職場では、年金記録問題への対応のために、夜間・休日を問わず、全力をあげているが、こうした努力を無にするような今回の閣議決定には、激しい憤りを禁じえない。
 全厚生は、公的年金業務の安定的な運営を求める立場から閣議決定の撤回と再検討を求めるものである。さらに、国の責任で安心して暮らせる年金制度の実現を目指し、改めて国民的な議論を呼びかけるとともに、広範な運動への結集を強化するものである。

2008年7月30日
全厚生労働組合
   書記長 飯塚 勇

リレーずいそう
●家庭円満の秘訣?
 仕事と家庭の両立とか、ワークライフバランスとか女性部でもいろいろ要求はしていますが、家庭の円満とは残念ながらそれだけで得られるものではないことが多いようです。(えっ?そう思っているのは私だけですか?)
 最近、母校の同窓会報で土屋賢二教授の講演会要旨を見て、思わず大きくうなずいてしまいました。
・家庭をまるくおさめていると言い切れる人がいたとしたら、その人自身が問題点になっていて、家族の犠牲の上に成り立っている。独裁者は、自分に問題があることに気がつかない。人間は、成功から学ぶのではなく、失敗からしか学ぶことが出来ないが、一方で失敗が多いから学ぶことも多い、という訳ではない。(職場も同じですよね。)
・家庭をまるくおさめるには、男と女ではやり方が違う。男の場合は簡単で、家事をやり、口答えせず、病気にならず、死ぬ時はあっさりと死ねばよい。(私が言っているのではありません。男性の発言ですのであしからず。)
・家庭は寛ぐ所だという先入観を捨てることが必要。家は寛げる所ではなく、緊張しているべきだ。
 毎日、嫌になるほどの業務に向き合い、家でも緊張するのかとは思いましたが、意外にこんなものなのかもしれません。特に亥年同士で共働きの私たち夫婦はこの言葉をかみしめつつ、これから(も?)円満に暮らしていきたいと思います。
(国リハ支部・女性部長)

第21回全厚生機関紙フェスティバル参加紙募集
 支部・分会の教宣活動を応援する「全厚生機関紙フェスティバル」を今年も開催します。応募紙は例年どおり、定期大会会場に展示し、交流するほか、応募紙にふさわしい賞を設け表彰し、講評を行います。
<対象>支部・分会・専門部で2007年9月から2008年8月までの間に発行した機関紙、およびメール配信されたニュース、ホームぺージに掲載されたニュース。
<参加方法>参加申し込み書(各支部に送付)に記入し、この間に発行したすべての機関紙を各5部ずつ送ってください。メールニュースの場合は全厚生のアドレスに送信してください。
<締切>8月20日(水)本部必着。
<講評>全厚生中央執行委員会<表彰等>全厚生第72回定期大会で表彰します。賞状、記念品などを贈ります。
<Eメール> zenkosei@zks.dp.u-netsurf.ne.jp

9月の主なスケジュール
 6日 国公労連青年協第34回総会
12日 第13回中央執行委員会
13日 全厚生第72回定期大会(〜14日)
17日 公共サービス商品化反対・定時退庁宣伝行動
19日 国公法弾圧世田谷事件判決日
27日 国公労連女性協第34回総会(〜28日)
28日 厚生共闘第30回定期大会

年金機構の基本計画は撤回せよ!
安心して暮らせる年金制度を作れ!
安心年金つくろう会が厚生労働省前で宣伝行動
 「国の責任で、信頼できる年金をつくれ!」、「年金業務の民間委託はやめろ!」、「職員の雇用を確保せよ!」と8月7日昼休み、安心年金つくろう会は日本年金機構「基本計画」閣議決定の撤回を求める厚生労働省前要求行動を実施。猛暑の中、約90人が参加しました。
 集会では、日本労働弁護団の水野事務局長が「処分歴のある者を一律不採用とする基準は合理性を欠き、公務員法に反し、労働法理を無視する違法、不当なもの。日本労働弁護団もともにたたかう」と連帯あいさつ。全日本年金者組合の久昌中央執行委員、国鉄労働組合の小池中央執行委員、自由法曹団の加藤事務局長が発言し、全厚生杉下委員長がたたかう決意を表明し、支援を呼びかけました。
 行動終了後、安心年金つくろう会は、厚生労働省に「基本計画の撤回」を申し入れました。

各研究所の課題など交流
厚研連交流集会を4年ぶり開催
 全厚生は7月25日午後、池袋・サンシャインシティで厚研連(全厚生試験研究機関支部連絡協議会)交流集会を開催。
 今回の交流集会は、2004年8月に国立保健医療科学院(白金台庁舎)で開催して以来、実に「4年ぶり」の交流集会となりました。集会冒頭、儀同副委員長は今集会の開催までの活動にふれながら、「各研究所の課題を明らかにして交流を深めよう」と呼びかけました。次いで、杉浦副委員長が「試験研究機関及び独立行政法人をめぐる情勢と基本課題」と題して報告、伊藤厚研連事務局担当より大臣官房厚生科学課長交渉(7月10日実施)の到達点について報告。その後、各研究所・支部の現状や課題について支部報告を行い、質疑・討論で深めました。最後に、亀岡中央執行委員が「各テーマごとに更に交流して要求を前進させよう」とまとめを行い閉会しました。
 なお、集会には、感染研、国衛研、科学院、ハ病研、基盤研、栄養研の各支部及び本部から、計18人が参加しました。

交流集会の再開で新たな前進を
副委員長 儀同政一

 試験研究機関をめぐる研究環境や支部の状況が大変厳しくなってきている中で、私はこれまで代議員として全厚生の定期大会で試験研究機関交流集会の必要性を繰り返し訴えてきました。しかし2004年以降その開催さえ困難な状況にありましたが、伊藤前副委員長と厚研連を再建し、この厚研連を軸に準備を進め、今回交流集会を開催することが出来ました。いま独立行政法人の統合や人事評価のリハーサル試行など試験研究機関をめぐる研究環境が大変厳しくなってきています。国民の健康と福祉を守り発展させることのできる試験研究機関をどの様に作って行くのか、組合員の減少に歯止めをかけ、支部執行部体制をどの様に再構築するのか、また悪化しつつある研究環境をどの様に守り発展させるのかなどの活動と情報を交流し、これら諸課題をともに考えることで活動に確信を持ち、元気のでる場として試験研究機関交流集会は大切で、継続して開催する必要性を痛感しました。

安心できる年金制度に
日本母親大会で3千枚ビラ配布
 7月27日朝、全厚生女性部や愛知県支部が参加して、第54回日本母親大会・全体会会場(ポートメッセなごや)入り口において、「国の責任で、安心して暮らせる年金制度をつくる連絡会」(安心年金つくろう会)の宣伝行動にとりくみました。宣伝行動には、全厚生の他に、国公労連女性協、愛知県国公女性協、国公中部ブロックなどから21人が参加し、ビラを配付。猛暑の中でしたが、社会問題に関心ある母親大会参加者ということもあってか、3千枚用意したビラが約30分でなくなってしまいました。
 また、前日26日の分科会「どうなる年金」では、大阪支部の竹本光代さんが助言者となり、全厚生からはOB含む6人が参加。これから国民のための年金制度にどう変えていくのかを議論しました。参加者から「若者や女性の雇用改善が必要」「税の累進性を高めるべき」など幅広い意見が出されました。
 最後に、最低保障年金制度の実現や、日本年金機構法の凍結なども含む、6つの申し合わせ事項を確定し、要求実現に向けて頑張ることを確認しあいました。
(業務センター支部支部長)

2008年人事院勧告
勤務時間1日15分短縮を勧告
月例給、一時金は改定なし
 人事院は8月11日、一般職国家公務員の給与と勤務時間に関する勧告ならびに報告を国会と内閣に対して行いました。
 勧告は、俸給表・一時金とも改定を見送る一方、中央と地方の格差を一層拡大する「本府省業務調整手当」の新設を勧告。勤務時間については、私達の強い要求であった所定勤務時間1日15分短縮を勧告しました。
 報告では超過勤務の縮減やメンタルヘルス対策、非常勤職員の処遇、給与構造改革期間終了後のとりくみ、などについて言及しています。
 主な内容は別掲のとおりです。
2008年勧告の主な内容
本年の給与勧告のポイント
 月例給、ボーナスともに水準改定なし
(1) 民間給与との較差(0.04%)が極めて小さく、月例給の改定を見送り。医師の給与は特別に改善
(2) 期末・勤勉手当(ボーナス)も民間の支給割合と概ね均衡
(3) 給与構造改革の着実な実施―本府省業務調整手当を新設
官民給与の比較
 約11,000民間事業所の約44万人の個人別給与を実地調査(完了率89.0%)
調査対象事業所数を約900事業所増加させ、企業規模100人未満の事業所もより綿密に調査
〈月例給〉 官民の4月分給与を調査し、主な給与決定要素である役職段階、年齢、学歴、勤務地域の同じ者同士を比較
官民較差が極めて小さく俸給表改定は困難なこと、諸手当についても改定する特段の必要性が認められないこと等を勘案して、月例給の水準改定を見送り
官民較差
 136円0.04%〔行政職(一)・・現行給与387,506円平均年齢41.1歳〕
医師の給与の特別改善(2009年4月1日実施)
 国の医師の給与は、民間病院等の給与を大きく下回っており、若手・中堅医師の人材確保のため初任給調整手当を改定(年間給与を独立行政法人国立病院機構並みに平均で11%引き上げ)
〈ボーナス〉 昨年8月から本年7月までの1年間の民間の支給実績(支給割合)と公務の年間支給月数を比較
民間の支給割合
 公務の支給月数(4.50月)と概ね均衡
その他の課題
(1) 住居手当
自宅に係る住居手当は来年の勧告に向けて廃止を検討
借家・借間に係る住居手当は高額家賃負担職員の実情を踏まえ、引き続き検討
(2) 単身赴任手当
経済的負担の実情、民間の同種手当の支給状況を考慮して改善を検討
(3) 非常勤職員の給与
各庁の長が給与を決定する際に考慮すべき事項を示す指針を策定
非常勤職員の問題は、今後は政府全体としてその在り方を幅広く検討していく必要
勤務時間に関する勧告のポイント
 職員の勤務時間を1日7時間45分、1週38時間45分に改定(2009年4月1日実施)
職員の勤務時間は民間と均衡させるべきもの。民間の労働時間は職員の勤務時間より1日15分程度、1週1時間15分程度短い水準で安定
勤務時間の短縮にあたっては、これまでの行政サービスを維持し、かつ、行政コスト増加を招かないことが基本。公務能率の一層の向上に努める必要
勤務時間の短縮は、仕事と生活の調和にも寄与

本府省業務調整手当の概要
 国家行政施策の企画・立案、諸外国との折衝、関係府省との調整、国会対応等の本府省の業務に従事する職員の業務の特殊性・困難性及び本府省に必要な人材を確保することが困難になっている事情を考慮し、本府省業務調整手当を新設する。
支給対象とする業務
本府省内部部局又はこれに相当する組織の業務に従事する職員
内部部局と一体となって行う、調査研究、重要事項の調査審議に従事する職員
支給対象とする職員
適用俸給表行(一)、専行、税務、公(一)、公(二)、研究の各俸給表の適用を受ける職員
手当額役職段階別・職務の級別の定額制
課長補佐:俸給月額×9.44%(8%+8%×0.18)相当額
係長:俸給月額×4%相当額
係員:俸給月額×2%相当額
職務の級における最高の号俸の俸給月額の10%を上限とする(8%は現行の俸給の特別調整額)
諸手当の算定基礎
 諸手当(地域手当、超過勤務手当、期末・勤勉手当等)の算定基礎としない。
実施時期等2009年4月1日から実施
 ただし、2009年度における支給額は
係長及び係員にあっては、制度完成時の1/2の割合を基に算出した額
課長補佐にあっては、2009年度の地域手当1級地の支給割合を基に算出した額

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