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◆第1702号(2008年7月1日付)◆


職員の雇用確保に全力を
厚生共闘 厚生労働省大臣官房長と交渉
 厚生共闘(全厚生と全医労で構成)は6月26日、厚生労働省金子順一大臣官房長と厚生共闘の重点要求で交渉。交渉には、岩崎議長、杉下副議長、杉浦事務局長、岸田・飯塚事務局次長が出席。
 交渉は、08人事院勧告にむけた要求と国立高度専門医療センター、国立ハンセン病療養所について岩崎議長から、社会保険庁改革について杉下副議長から要求趣旨を説明。杉下副議長は、社会保険職場の実際を踏まえ、「誇りと使命感をもって働くことができ、先々に希望がもてる職場にする、労働条件を確立することが緊急で重大な課題。十分な体制確保、健康管理、安全対策の強化など、厚生労働省として最善の努力を尽くしてほしい」と要求。さらに雇用確保の課題では、「職員の分限解雇は絶対に許されない。日本年金機構で、業務をバラバラに切り分け、外部委託を拡大して、本当に仕事が回るのか。有期雇用を打ち出しているが、到底受け入れられない。雇用確保に全力をあげてほしい」と要求しました。これに対し、金子官房長が一括して回答しました。

時短は民間の実態が反映されたものに
 人事院勧告にむけた賃金改善の要求では、「国家公務員の給与は民間準拠、情勢適用の原則もある。人事院が必要な勧告を行う仕組み。人事院に対し機会を捉えて意見を申しあげていきたい」と回答。時間短縮の課題では、「昨年の勧告でも民間比較が出て期待される。民間の実態がきちんと反映されたものにする必要がある」と回答しました。

分限免職を回避するための努力を行う
 社会保険庁改革の課題では、次のように回答。体制確保では、「年金相談等で現場は大変厳しい状況にある。日々の相談窓口の混雑状況を把握し、一部の社会保険事務所に負担がかからないよう、適切な支援体制の確保を図りたい」。健康対策では、「職員の健康管理の問題は、まことに深刻な話。事の重要性を十分、改めて認識して健康管理対策の充実に努めたい」。職員の雇用問題では、「私ども、社会保険庁の方だけでできる範囲をもう超えているのも事実。職員採用は、基本計画にもとづいて、日本年金機構の設立委員が決定する。分限免職を回避するための努力をこれから当然行っていく」と回答しました。さらに、年金業務・組織再生会議に厚生労働省として示した職員採用の最終検討案について、「各方面から大変厳しい意見をいただいている。大臣が判断して、総理にも直接大臣から説明し、再生会議に説明したところ」と説明しました。

雇用問題で厚労省は筋を通した主張を
 この回答に対して杉下副議長が発言。「非常に差し迫った重要な時期において、期待できる回答になっていない。最も重要な雇用問題で、厚生労働省として職員に対し、希望がもてるように筋を通した主張をしてほしい」と要望。これに対し、金子官房長は、「指摘される気持ちは理解できないわけではない。私どもも主張すべきことは主張してきた。枠組みはある程度決まっている。ギリギリまで詰めて考えていく」と回答しました。
 また、国立高度専門医療センター、国立ハンセン病療養所の課題で金子官房長は、「政策医療を実施するための組織として設けられている。なしうる環境をきちんとすることが大事。独法化のメリットを十分発揮できるようにしていく必要がある」と回答。医師・看護師の増員では、「今後、必要度、緊急度、優先度を十分に考慮して、必要な人員を確保したい」と回答しました。
 交渉の最後に岩崎議長は、社会保険庁改革での雇用問題にふれて発言。「公務全体に与える影響は相当大きい。今がんばっている職員は本当にかけがえのない人たち。国民の信頼のために、職務を全うすることが年金問題の解決になる。厚生労働省としても、強く働きかけてほしい」と重ねて要望しました。

リレーずいそう
●夏だけではなく
 最近、身内・親類などの葬儀に参列することが相次いでいる。そのほとんどが病死だが、中には友人の親御さんが交通事故で突然亡くなられたというのもあった。もちろんこうした永遠の別れはとても悲しいことではあるが、こうやって親類や知人が集まって一人の死を弔い、別れを惜しむ。葬儀などに参加するたび、これも日本がいま戦時下ではないから出来ることだと考えてしまう。
確かにいま、人命が軽視された事件が相次ぐし、災害など緊急事態の中では、トリアージにより救命の可能性によって医療の措置を受けられず失われる命もある。しかし、戦争となれば殺人が事件として取り扱われず、亡くなる人の数も死に方も違う。人の死に対して一種の感覚マヒ状態が作られる。当然、親類が突然一家全員命を奪われ、遺体も見つからず葬儀など出せる状況にもならず、多分このあたりで亡くなったのだろうと、推測だけでその死を受け止めざるをえない状況もあるだろう。
 最近「人の死」というものに接するたびに、その人の人生がいかなるものだったのかと考えるだけでなく、多くの人に惜しまれて一つの死を尊重することができることの大切さを考えてしまう。様々な考え方もあろうが、ささやかでも葬式を出して、手を合わせる。これもやはり人権なのだと感じるし、それが尊重できる状況が平時、有事となれば葬式すら出せないと、つくづく平和の大切さを夏だけでなく年中考えてしまう今日この頃である。
(京都支部・組合員)

News
最低賃金を1000円以上に
6・20第3次最賃デーでハンスト

 「ワーキングプアをなくせ」「時給1,000円以上にしろ」低すぎる最低賃金の引き上げと公務で働く非常勤をはじめとした公務労働者の賃金底上げを訴えて6月20日の最賃デーに、厚生労働省前に座り込み、要求行動や路上フォーラム、宣伝行動を実施。国の最賃の平均額に合わせ、687分のハンストを決行しました。(写真上)

国立ハ病療養所の充実を
6・25厚生労働省前座り込み

 6月25日、全医労・全療協(全国ハンセン病療養所入所者協議会)・日患同盟でつくる三団体共闘は、国立ハンセン病療養所の入所者サービスを低下させず、療養所の医療・介護の充実を求める昼休み厚労省前行動を行いました。(写真上)国立ハンセン病療養所を地域に開放することなどを盛り込んだ「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」(ハンセン病問題基本法)が6月12日、参院本会議で可決、成立。同法は来年4月から施行され、十分な医療水準維持のため医師らの確保を国の責務とし、生活援助のため国が入所者らに支給している「給与金」も明文化しています。しかし、政府・厚労省はハンセン病療養所にも一律定数削減をかけており、現在、毎年87人以上の看護師や介護員定数が、入所者の方への介護等の必要度にかかわらず機械的に削減されています。このような厚労省の姿勢をただし、療養所運営の改善を訴えました。

全厚生の慶弔共済済
 全組合員対象の慶弔共済です。次に該当する場合、慶弔金、又は記念品が出ます。請求はお早めに。
 (1)組合員の死亡及び重度障害(2)組合員の配偶者、子及び親の死亡(3)組合員の傷病による休業(4)組合員の居住する家屋の火災及び自然災害による家屋への被害(5)組合員の結婚(6)組合員の退職及び組合員期間を有していたことがある者の退職(7)組合員20年及び30年記念表彰

お問い合わせは
 全厚生各支部担当者
 全厚生本部西田まで

夏期闘争・平和・全厚生青年交流集会について議論
原水禁大会(長崎)へ行こう
青年役員交流会ひらく
 青年対策部は6月22日、都内で青年役員交流会を開催し、6支部と本部から11人が参加しました。
 午前中は杉浦副委員長を講師に、「労働組合民主主義について考える」というテーマで学習会を開催。講義の途中で、参加者から各支部の現状などについて意見交流もしながら、皆で考え合う新鮮な学習会になりました。
午後は、主に(1)人事院に向けた夏季闘争「要求短冊行動」の取り組み(2)原水禁世界大会と、21万羽おりづるプロジェクトの取り組み(3)全厚生青年交流集会の3点について議論・交流。
 原水禁世界大会については、土日を利用できる長崎大会への結集を目指すこと、21万羽おりづるプロジェクトに取り組むことを意思統一。また青年交流集会については、「支部内にとどまらない同世代の青年同士での交流は重要」など意見を交流し、開催を目指して継続的に議論していくことを決めました。
 参加者からは、「次回も開催してほしい」「普段考えないテーマで学べ、有意義な会議だった」「原水禁世界大会に参加してみたくなった」など感想がだされました。

第3回青年セミナーに参加
 また、その前日の21日には、国公労連主催で「国公労連 第3回青年セミナー」が開催されました。全体で53人が参加、全厚生からは3支部と本部から6人が参加しました。
 午前中は、「『貧困』と『労働基準法以下の労働条件の拡大』と対抗する運動を」と題し、首都圏青年ユニオンの河添誠書記長が講演。人間性を奪われている青年の実態を告発し、連帯することの重要性が語られました。午後はグループに分かれ、福田国公委員長の問題提起に沿い、「公務労働とは?」、「公務員の労働基本権は必要か?」など議論。1日を通して充実したセミナーとなりました。

研究評価のあり方を考える
第26回国立試験研究機関全国交流集会ひらく
 第26回国立試験研究機関全国交流集会が6月23日、つくば市・研究交流センターで開催されました。この集会は、1982年に第1回集会を開催して以降、国公労連と学研労協(筑波研究学園都市労働組合協議会)でつくる国立試験研究機関全国交流集会実行委員会の主催で毎年行ってきているもの。今回は「研究機関の評価のあり方を考える」をメインテーマに、個人評価アンケートを事前に取り組み、行政側の担当者による講演を盛り込み、交流・討論。
 午前中の全体集会では3本の講演、(1)「研究機関評価の現状」(総務省行政評価局の担当者)(2)「独立行政法人評価への産総研としての対応」(産総研・中村幸一郎企画副本部長)(3)「私たちは研究機関の評価をこう考える」(学研労協・中島副議長)によって、独立行政法人の評価システムを浮き彫りにしました。講演の後、国公労連の上野中執(独立行政法人対策部長)が基調報告を行いました。午後からは、(1)研究職の個人評価(2)研究職以外の個人評価(3)研究機関の交流(研究機関の評価及び研究・労働条件の交流)(4)ポスドク(ポストドクター=博士号を取得していて短期雇用で働く研究者)問題の4つの分科会で交流しました。
 学研労協の中島副議長の講演では、各省の独立行政法人の評価委員会による評価の問題点について、(1)評価期間が短く、長期的あるいは基礎的な研究がやりにくい(2)評価のために研究時間を奪っており、研究所の本来任務である研究業務に支障をきたしている(3)高い評価を受けても研究環境改善につながらず、やる気が減退しつつある、と指摘。今回の集会全体を通じて、こうした状況を踏まえ、私たちの側からの「評価のあり方」を議論し、改善をめざし、問題提起することの重要性が語られました。
 集会には、独立行政法人試験研究機関及び国立試験研究機関から143人が参加し、全厚生からは杉浦副委員長、基盤研支部、感染研支部の代表が参加しました。

社保の異常な労働実態改善を
自由法曹団が再生会議などに申し入れ
 自由法曹団は6月27日、年金記録問題で業務が大幅に増大したにもかかわらず人員が補充されず、職員が休日出勤・長時間過密労働を強いられ、国民から期待される年金業務が運営できなくなっているとして、専門的知識を有する人員体制の充実を求めて、社会保険庁、厚生労働省、年金業務・組織再生会議に申し入れを行いました。
 申し入れ後の記者会見で加藤事務局長は、4月から6月の3ヶ月で19日の休日開庁が行われたが、昨年の調査で月平均の残業時間は、厚労省通達で過労死の危険が高まるとされる45時間を超える46・1時間、さらに10人に1人が過労死認定基準の月平均80時間を超える残業をしている過酷な職場実態を明らかにしました。さらに、知識や専門性が不十分な非正規雇用労働者が、年金電話相談や年金記録の転記業務に採用され、昨年12月には転記作業した中国人アルバイト60人が日本人の氏名を正確に読めずに大量のミスが発生し、25万件をすべてやり直す事態が発生したことも指摘。
 こうした実情をふまえて、加藤事務局長は、「過労で多くの職員が身体を壊し、メンタルヘルス不全や退職者が増えている。このまま人減らしだけ進めて社保庁を解体して新組織に移行したのでは、年金業務に対応できなくなる」と訴えました。
 記者会見には、国公労連香月書記次長と全厚生飯塚書記長も同席。飯塚書記長は「職員は年金記録の整備に全力をあげている。業務に見合った体制の充実を求めていきたい」と発言しました。

国の責任で年金の安定的運営を
「安心年金つくろう会」が再生会議に申し入れ
 「安心年金つくろう会」は6月20日、年金業務・組織再生会議と厚生労働省及び社保庁に対して、国民が安心・信頼できる公的年金制度の確立を求める緊急申し入れを行いました。これには、公務労組連絡会をはじめ、中央社保協、年金者組合、婦団連、国公労連、自治労連、全教の各団体代表9人が参加しました。
 再生会議事務局は、加瀬参事官、越尾参事官補佐が対応。官から民へと安易な業務委託はおこなわず、業務に精通した職員の雇用確保など、国の責任で年金業務を安定的に担う体制を確保するよう要請しました。
 川村国公労連副委員長は、「6月19日の再生会議では、新組織の定数や社保庁職員からの採用などが議論されているが、外部から大量に採用した場合の安定的な運営や、民間委託では個人情報の流出などが危惧される。国民的な立場での議論が求められるのではないか」と基本的な問題点を指摘。参加者からは、「年金記録の整備は遅々として進んでいない。統合されても支給までには半年以上かかっているのが現状。こうした状況の中で組織を解体して一体誰が責任を持ってやるのか」、「日本年金機構には、1、000人を外部から採用する計画が出ているが、その代わりに専門的な知識・経験を持った社保庁職員を外に出してしまって一体どうするのか」などと制度の拡充とともに、政府による記録問題の早期整備とそのための体制確立を求めました。
 これに対し、申し入れは再生会議の委員には報告できないとの対応に終始しましたが、「国民の声を無視するつもりか。申し入れの趣旨を何らかの形で会議に反映させるべきだ」との参加者の強い要求に、後日、再生会議事務局から、全委員に申入れ書を渡すとの回答がありました。

安心年金つくろう会のホームページ
http://www.anshinnenkin.com/

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