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◆第1701号(2008年6月15日付)◆


労働基本権問題を置き去り
公務員制度改革基本法が修正で成立
 国家公務員制度改革基本法案が6月6日、日本共産党を除く各党の賛成で成立しました。当初は成立が困難視されていましたが、衆議院で自民・公明と民主が修正したもので、マスコミからも「労働基本権と天下り禁止を譲った」(朝日)と指摘されるように、政財官の癒着の一掃など国民の願いに応えるどころかひどくしかねない内容を含んでいます。

政府・財界の思惑に沿った公務員づくり
 この間、建築偽装や食品偽装などの問題が次々に明らかになりました。また、労働者派遣法の改悪が格差と貧困の根本問題として指摘されています。こうした国民の安全・安心・権利をないがしろにした事態を引き起こしたのは、利潤第一の大企業・財界のための規制緩和を進めてきた自民党を中心とする政権与党に大きな責任があります。さらに、新たな地方分権による国の出先機関の見直しや「道州制」導入の狙いなど、こうした流れが加速されようとしています。
 公務員は「全体の奉仕者であって一部の奉仕者ではない」(憲法15条)と規定されているように、国民のそして公共の利益のために、職務の遂行に全力をあげることが求められています。そのためにも欠かせないのは、公務員の身分保障と労働基本権の回復です。日本の公務員は戦後、60年にわたってストライキ権や労働協約締結権を奪われるなど労働基本権を著しく制限されてきました。政治活動も禁止されています。公務員の労働基本権の速やかな回復は、労使の対等な交渉による労働条件決定システムの確立など公務員制度改革の要となるものです。
 労働基本権の剥奪は、ILO(国際労働機関)が国際労働基準に反するとして、日本政府に3回も勧告して是正を求めている緊急課題です。また、労働協約締結権は、政府の調査会さえ「付与」するよう提言しています。
 労働基本権の回復を置き去りにしたままの制度改革は、悪政に対する国民の批判を公務員制度改革にすりかえる一方、政府・財界の意向に沿った公務員づくりを狙うものでもあります。

民主的な公務員制度の実現を
 成立した基本法には、「国家戦略スタッフ」の導入など政治任用の拡大や、幹部人事の内閣統制・一元管理によって公務員の政治的中立性を損なう懸念があるうえに、官民人材交流の推進によって公務員が「全体の奉仕者」から「財界・企業の奉仕者」に変質させられる危険性が高まること、キャリアの人事運用が制度化され特権的官僚制度を強化するものであること、政財官癒着の温床である天下り根絶には手つかずであることなど重大な問題があります。
 基本法は成立しましたが、必要な法整備を3年以内に行うことになっています。国民本位の行財政を確立する運動とともに、民主的な公務員制度の確立を求め引き続き国公労連に結集し、取組みを強化しましょう。

<労働基本権>
 労働者に保障された労働にかかる権利のこと。日本国憲法には、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」(28条)と労働者の団結権、団体交渉権、団体行動権が明記されています。しかし公務員に関しては、戦後の民主化闘争の高揚を恐れた駐留軍マッカーサー司令官の書簡を受けた「政令201号」(1947.10.21)により、交渉権は制限、行動権は剥奪されています。また、一部の公務においては団結権も剥奪されています。

リレーずいそう
●デジタルの保管場所
 長年録画したβビデオのDVD化について数年前にここに書いたのですが、貴重なコレクションが遅々としてDVD化されずにいます。
 なぜDVD化がストップしたかというとDVDなどデジタルは傷や何度コピーしてもほとんど劣化しない特徴があるものの長期保存のためには他の媒体にコピーを繰り返さないといけないという致命的欠陥があることを身をもって体験したからです。
 クーラー嫌いの高温多湿の我が家では、DVDーRがあっという間に読み取りエラーを続出してしまうのです。
 結局ビデオテープは捨てられず我が家を所狭しと占領し続けています。
 この春、子供の誕生日プレゼントに買ったペットが夏の暑さに弱いためこの夏からは終日クーラーを入れことになるので、DVDなどの保管も万全になるかも。
 デジタルと言えばデジカメも数年で膨大なデータが貯まりました。
 紙に書いた物は千年、写真も色あせはあるけど百年先にも残るだろうけど、デジカメの写真データは十年先にはきっと紛失するか再生不能になっていることでしょう。
 今のうちに子どものデジカメ写真をアルバムに整理しておかないと子どもの記録が頭の中だけということになりかねません。
 でも、頭の中が一番安全で、年数を重ねるごとに色あせするどころかより綺麗になっていく最高の保管場所でしょうね。
(中央執行副委員長)

News
大企業のCO2削減義務付けを
6・2全国公害被害者総行動

 6月2日、東京で第33回全国公害被害者総行動が行われ、環境大臣交渉、昼デモ(写真下)、総決起集会が開催されました。昼デモで全厚生は、全国の公害被害者や環境市民団体の代表らとともに、7月の洞爺湖サミットを控えて「ストップ!地球温暖化」「大企業からのCO2排出を野放しにするな」と訴えました。

後期高齢者医療制度は廃止を
6・11国会行動で大きな共同の輪

 「差別医療制度はやめろ」「うばすて制度は許さない」通常国会最終盤の6月11日、後期高齢者医療制度廃止を求めて全労連、保団連、中央社保協、中央労福協、退職者連合などから2100人が国会行動に参加しました。12時から「後期高齢者医療制度に怒っている会」による国会議員請願行動があり、衆・参議院前には、今国会に「後期高齢者医療制度廃止法案」を共同提出している民主党、日本共産党、社民党の国会議員がずらりと並び、次々訪れる請願者と握手して請願を受け付けました(写真上)。国会前集会では、民主党代表代行の管直人衆議院議員、日本共産党の小池晃参議院議員、社民党党首の福島瑞穂参議院議員、国民新党の自見庄三郎参議院議員が訴えた他、無所属の川田龍平衆議院議員らが参加しました。また中央労福協から笹森清・元連合会長、中央社保協から坂内三夫・全労連議長が発言。「今日の大きな国民の力をさらに大きく広げて、『必ず廃止する』この決意で最後までともにがんばろう」と訴えました。

7月の主なスケジュール
 9日 ビラ配布の自由を守る集会
10日 厚生科学課交渉
11日 第12回中央執行委員会
12日 全国支部委員長会議
13日 社会保険部門会議
16日 公共サービス商品化反対・定時退庁宣伝行動
17日 第2次中央行動
23日 全労連大会(〜25日)
26日 全厚生退職者会総会

いきいきと働きつづけるために共感と連帯を大切に
第38回国公女性交流集会ひらく
 5月30〜31日、宮城県松島町で第38回国公女性交流集会が開催され、全体で270人が参加しました。1日目は、作家・雨宮処凛さんの「語ろう!平和のこと、憲法のこと、そして未来につながる生き方・働き方」と題してのスペシャルトーク。職場報告の中で、全厚生女性部事務局長の木立さんが社会保険の職場実態について訴えました。2日目は、憲法やメンタルヘルスなど8つの分科会に分かれ語り合い、最後に、「仲間との連帯を大切に、職場・地域で共同の輪を広げよう」とのアピールを採択しました。

生きづらさは本人のせいじゃないと雨宮さん
 プレカリアート(生活も職も心も不安定に晒される人々)の問題に取り組み、取材、執筆、運動する雨宮さんは、「若者の自殺問題を追っていたら、雇用破壊や労働問題、その背景にある小泉構造改革の問題に行き着いた」と、そのきっかけを語り、普通の若者がネットカフェ難民やワーキングプアとなる社会の現実をリアルに紹介。若者の「生きづらさ」は、本人のせいではなく資本主義社会の構造の問題であると指摘。インディーズ系メーデーの映像も紹介しながら、若者の生存権を求める連帯の広がりを紹介しました。
 「公務員バッシング」については、「『犠牲の累進性』の典型。正規の労働条件が悪化すると非正規も悪化するし、その逆もあるのに、『あの人よりはまし、あの国よりはまし』と黙らされ、悪のスパイラルにはめられていく。公務員バッシングの罠にはまって国民同士が憎しみ、対立することで、得をしている人たちがいることを見抜かなければならない」ときっぱり。「フリーターの人、貧困の人たちほど、そのからくりに気づきやすい、しかし『辛い!』と声をあげづらい、上の方から声をあげていかないと下のほうはより厳しくなっていく」とも語りました。
 「連帯をいかにつくるか」については、「公務員として、自分たちと違う立場の人をいかに救うかもテーマに。『生きさせろ』のようにシンプルで共感し合える言葉で公務員バッシングが罠だってことを上手く伝えていけたらいい。分断ではなく共感することで、人を信頼する気持ちを取り戻し、元気になれる」と結びました。

社会保険職場の異常な実態を訴え
 木立さんは、社会保険庁解体・民営化と年金記録問題で、異常な働き方を余儀なくされている職場実態を、社会保険庁職員労働実態アンケートの結果(「全厚生」新聞4月1日号に掲載)も引きながら紹介。年金行政が今の状況になったのは、長年の構造的な問題からきていること、マスコミの報道に踊らされること無く憲法25条のもとで豊かな年金にするため、5月28日に「安心年金つくろう会」を立ち上げたことなどを紹介。国民の年金への信頼を回復させるためにも、専門家として、自ら取り組む決意を述べ、雇用確保署名はじめ支援を呼びかけました。

驚いた。協力したい。訴えに大きな反響
 木立さんの訴えに対し、参加者から、多くの激励の声が寄せられ、機会あるごとに訴える事の大切さを実感しました。以下、感想アンケートから抜粋して紹介します。
 ○社会保険庁の異常な実態には衝撃を受けた。国がこんな労働を強要していることは間違っていると思う。(全法務・20代)
 ○社保庁職員の方は本当にかわいそうだと思った。人事院が動かないのもおかしいし、年金問題が解決しない中、解体と判断する国も本当の国民サービスを考えていないと思う。(全労働・20代)
 ○木立さんの話は知れば知るほど恐ろしく、身近で、人ごとではないことを思い知らされました。(全気象・30代)
 ○社保庁の職場実態を聞いて、本当に大変だと実感しました。国公の仲間として手助けできることがあれば・・体調崩さずに頑張って欲しいです。(全法務・30代)
 ○社会保険の職場の報告で勤務している方々の辛さを知る事が出来ました。同じ公務員の立場としては他人事ではないと思います、今までは一国民として、ひどい(適当な)職場なのでは、と思っていましたが、考えを改めたいと思います。(全法務・40代)
 ○社保庁の職場の方の話は、もっと聞きたいと思いました。仕事で精一杯のところ、休みをとって参加するだけでも大変だったと思います。(全司法・40代)
 ○『全厚生』機関紙を読んで、社会保険職場の大変さに驚きました。人間らしい生活とはどこに。政府の無責任さで私達国家公務員も被害者なのだ!!と言いたい。(総理府労連・40代)
 ○苦悩している職場の状況を話して頂き、参考になりました。自ら問題を解決していくという決意、私達もできるだけのバックアップが出来たらいい・・ぜひ、協力していきたいと思います。(全労働・40代)
 ○社会保険の職場からの報告の資料を見て驚きました。過労死ラインギリギリで働いている職員がこんなにもいるのかと・・身に詰まされました。頑張って下さいと思うばかりです。(全建労・50代)

秩父・リハ
お互いに課題を共有
両支部交流会を開く
 5月30日、「秩父・国立リハ支部交流会」を全厚生本部から杉下委員長にご参加をいただき開催しました。
 これまで両支部は、同じ福祉部門として近くにありながらも中央委員会や厚社連会議等の機会がなければ意見交換の機会をもてずいましたが、お互いの職場の現状や組合活動の状況を知ることで、今後の両支部の活動を更に活発にしていきたいとの思いから企画されました。
 交流会は、参加者の自己紹介と併せてそれぞれが職場で感じている、課題や組合活動への期待について話をしながら進められ、参加者からは活発な意見が出され、有意義な意見交換が行われました。
 お互いに課題を共有できることも多く交流会は予定していた時間を大幅に超えて、最後は杉下委員長を中心に「団結がんばろう」で両支部の団結を誓いました。
 今回、非常に意味のある交流会を開催することが出来ました。今後も、両支部の交流を図りながら、お互いに更に力強い組合活動を展開していきたいと思います。
(国立リハ支部書記長)

感染研
アウトドアで交流深め
新人歓迎・親睦BBQ大会
 感染症研究所支部青年部・執行委員会による新人歓迎・親睦バーベキュー(BBQ)大会を6月1日に東京都福生市の多摩川河川敷にある多摩川中央公園にて行いました。
 当日は、支部組合員はもちろんのこと新入職員、非常勤職員、海外からの留学生、組合員のお友達、子どもを含む家族、さらに全厚生本部からは杉下委員長も駆けつけ、総勢40名を越える参加人数となり盛大に行われました。
 今回は、アウトドア系が得意な組合員の一人にシェフをお願いし開催となりました。このBBQは普通の鉄板による焼き肉、焼きそばとは訳が違い、ローストビーフ、豚スペアーリブ、タンドリーチキン、ラム肉、鶏手羽肉など数日前から本格的に仕込まれた肉が次から次へと焼き上がってくる。他に野菜・フルーツサラダもたんまりとあり、タープの下のテーブルにはあらゆる料理やビール・ワインが所狭しと並べられた。締めにはパスタまでお出ましとなり、初めて参加した方々はびっくりモノのBBQでした。天気も良くのんびりと多くの方々と交流し楽しい1日でした。
(副支部長)

集まって、語ろう!いきいき働きつづけるために
第32回全厚生女性交流集会in東京
6月28日(土)〜29(日)
池袋サンシャインシティプリンスホテル

1日目 国立ハンセン病資料館 国立療養所多磨全生園国立感染症研究所
      ハンセン病研究センターの見学と交流
      *語り部 平沢保治さん(多磨全生園入所者自治会前会長)
      *全医労書記長 岸田重信さん*全厚生副委員長 儀同政一さん 
2日目 全体会
      (池袋サンシャインシティ・文化会館701会議室)
      記念講演 伍淑子さん(前国公労連女性協議長)「いきいき働き続けたい〜未来に向かって」
●●親子参加大歓迎●●
      1日目は親子で見学。2日目は保育します。(サンシャイン国際水族館など)
主催 全厚生労働組合女性部

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