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◆第1700号(2008年6月1日付)◆


安心して暮らせる年金制度を
共同の輪を広げようと「安心年金つくろう会」発足
 5月28日、公務労組連絡会や自由法曹団など9団体の呼びかけで、「国の責任で、安心して暮らせる年金制度をつくる連絡会」(略称:安心年金つくろう会)が国公労連会議室で発足会を開催しました。発足会には、呼びかけ団体などから47人が参加。「会」の目的や組織と運営、当面のとりくみについての申し合わせ事項を確認しました。

【呼びかけ団体】
公務労組連絡会、厚生省労働組合共闘会議、国鉄労働組合、自由法曹団、全国生活と健康を守る会連合会、全日本年金者組合、中央社会保障推進協議会、日本国家公務員労働組合連合会、日本婦人団体連合会(50音順)

 冒頭、呼びかけ団体を代表して、国公労連の福田委員長があいさつ。「社保庁職員にすべての責任を押しつけて、年金記録問題を未解決なまま社保庁解体をすすめようとする政府の動きにブレーキをかけ、憲法25条にもとづく社会保障としての公的年金制度を実現するために奮闘しましょう」と呼びかけました。
 つづいて、会発足までの経過報告と申し合わせ事項を国公労連の川村副委員長が提案。政府の責任による年金記録の完全解決と消費税によらない信頼・安心できる年金制度の確立を求めて広範な国民運動を進めることを目的として、社会的アピールや宣伝・署名に取り組むこと、日本年金機構法の凍結と記録問題の解決、老後の生活を保障する年金制度のあり方「提言」など、当面の取り組みを提案しました。

年金記録問題の解決へ社保庁解体凍結を
 意見交換では7人が発言しました。
 愛知「年金をよくする会」(準備会)・杉崎さんは、「社保庁が解体・民営化されることがまだ広く知られていない。シンポジウムを開催し、問題の本質への理解が深まった。愛知でも『会』を正式発足させ、宣伝行動を強化しながら、全厚生の仲間を激励していきたい」
 自由法曹団・加藤事務局長は、「年金記録問題は歴史的、構造的な問題であり、いま現場で働いている職員に責任はない。社保庁を解体すれば年金制度が良くなるという保障も全くない。いま現場では人手不足が深刻で違法な労働実態が横行している。そのことを世間の人は知らない。当面は職場の労働実態の調査にとりくんでいく。全国各地で共同の運動をつくっていきたい」
 国労・小池中央執行委員は、「国鉄を解体し、働かない職員を一掃すれば、サービスが良くなる、借金がなくなると言われた。国鉄の分割・民営化から22年が経ったが、借金は25兆円から28兆円に増えている。また安全性でも大きな問題を抱えている。決して分割・民営化は成功したとは言えない。社保庁の問題についても共通点を感じる。決して人ごとではない。第二の国鉄にはしない。全労連には加盟していないが、みなさんとしっかり連帯してたたかっていきたい」
 全生連の前田さんは、「憲法25条『健康で文化的な最低限度の生活』という文言が空文化しつつある。『最低限の生活』で『相互扶助』が強調される。社会保障の改悪が進むほど『生活保護はいいわね』と言われる。弱者の分断を許さず、がんばっていきたい」
 全厚生神奈川県支部の川名書記長は、「神奈川県は欠員が130人。事務所には1日200人程度が相談に。この間、自由法曹団や年金者組合との対話を重ねてきており、職場の違法状態の告発も検討している。非常勤職員の雇止めを許さないことが正規の雇用を守ることに繋がる。大規模な団地での宣伝行動や年金相談にも取り組む」
 全厚生杉浦副委員長は、「年金制度をしっかりと支える体制づくりが求められている。社保庁解体の本質と狙いを明らかにしながら運動を進めていく。職員の雇用を守り抜くたたかいを労働組合として全力をあげる」
 全厚生OBの廣部さんは、「国民は『自分の年金はどうなるのか』という身近な問題に関心がある。憲法25条の観点からというマクロな視点も大切だが、あわせて、国民の切実な関心に応える運動も求められているのではないか」
 自由法曹団の尾林弁護士は、「社保庁の業務委託先の社員募集には『回答マニュアルあり』と書いてある。何の専門知識もない労働者が電話の対応をしている。これが年金機構の将来の姿だ。自由法曹団の研究集会で社保庁解体の凍結を求める決議をあげた。各団体でこうした決議をあげて政府に届けよう。このような運動が広がれば必ず変化が生まれる。職員の雇用問題について自由法曹団として申し入れをしたら、再生会議の議論にブレーキがかかった。必ず情勢は変えられる。このことを確信に全力を尽くそう」

専門知識と経験もつ職員の雇用の確保を
 意見交換の後、申し合わせ事項と、賛同・協力の呼びかけ文を全体の拍手で確認しました。
 最後に、年金者組合の久昌中央執行委員が「元気の出る集いとなった。特別便さえ送れば、政府の責任は終わったとお茶を濁されてはたまらない。現場には過酷な労働を押しつけておきながら、社保庁改革スケジュールだけはすすめていく、そして雇用不安をあおる、こんなことは許されない。専門知識と経験をもつ職員がいてこそ国民の年金が守られる。この世論を大きく広げていくことが『会』の大きな役割だ」と閉会のあいさつを行いました。

リレーずいそう
●ライフイベント
 この春に定年を迎えた。人間のライフイベントの中の一つのエポックである。最終年度にはいくつか想定していた過ごし方もあった。が、いままでどおりに走ったまま、3月31日を迎えた感がある。
 再任用が適用となり、再雇用され5月を迎えた。その時、ミャンマーの人々を大型サイクロンが襲い、数日後、中国四川省では大規模地震が発生し、桁外れな災害が起こった。国内では、近親者、隣人による殺人、また、硫化水素自殺など様々に事件が広がっている。
 人間は葦のごとくに存在し、かつ考えることができる、という言葉を実感する。あらためて考えることは、これからの過ごし方、社会との関わり方など。仕事に就いた1970年ごろの、人間性の回復(復権)という言葉が想い起こされる。天災(自然災害)、人災(戦争、環境破壊)に対して、快食・快便・快眠など快適性を求める人間は普段からどのような準備ができるのだろう、などと愚考しつつ、いったい自分に何ができるのかと自問する。
 人間にとって、最強のライフイベントが「死」を迎えることであろうことは確かである。再び「死」を想起し、それへの準備を行うことはこれからの「自由」を考えるための最大のバネとなるかもしれない。J・ニコルソンの「最高の人生の見つけ方」が観たくなった。
(科学院支部 組合員)

News
公務員制度改革基本法参院へ
自・公・民が衆議院内閣委員会で修正合意

 5月27日、国家公務員制度改革基本法案について、自民・公明と民主は本法案を修正で合意し、修正提案を提出。衆議院内閣委員会において賛成多数で可決しました。
 5月21日の衆議院議面集会(写真)で日本共産党の塩川議員は、法案について@官民癒着を促進することとなる。官民交流ということで、民からビジネスチャンスを求めて人材が入りやすくなるAキャリア制度を固定化するB労働基本権の回復、労働協約の付与が明記されていないC貧困と格差を生み出す構造改革路線の延長線で財界のめざす改革となっていると指摘しました。

集まって、語ろう!いきいき働きつづけるために
第32回全厚生女性交流集会in東京
6月28日(土)〜29(日)
 池袋サンシャインシティプリンスホテル
 1日目 国立感染症研究所ハンセン病研究センター
 国立ハンセン病資料館
 国立療養所多磨全生園の見学と交流
 *語り部の平沢保治さん(多磨全生園入所者自治会前会長)にお話を聞きます。

2日目 全体会
 (池袋サンシャインシティ・文化会館701会議室)
  記念講演 伍淑子さん(前国公労連女性協議長)
 「いきいき働き続けたい〜未来に向かって」

●●親子参加大歓迎●●
 1日目は親子で見学。学びの場としてください。
 2日目は保育します。(サンシャイン国際水族館など)
 主催 全厚生労働組合女性部

職場実態、労働条件の改善に支援を
自由法曹団全国討論集会で全厚生代表が訴え
 5月25日から26日にかけて岐阜県で開催された「自由法曹団全国研究討論集会」で全厚生は、異常なただ働き残業や健康破壊が続いている社会保険職場の実態と改善に向けた支援の訴えを行いました。
 労働者や国民の基本的人権を守り、平和と民主主義を追求する弁護士団体である「自由法曹団」は、裁判の事例研究や討論の場として毎年「全国研究討論集会」を開催しています。今年は全国から、弁護士・法律事務所職員を中心に600余名が参加し、異常な社会保険職場の実態を、労働者の権利、働くルールの観点から看過することはできないとの立場で、同集会でも討論の素材とするために、全厚生にも参加を呼びかけました。
 澤村岐阜県支部長は、「貧困問題分科会」において、「年金問題に見る高齢者の貧困と社保庁解体問題」とのテーマで、急増するワーキングプアや生活保護世帯の具体的数字等をもとに、格差と貧困が年金問題とどう関わっているのか、将来の無年金・低年金にどのような影響があるのか、そして、社保庁解体の陰で職場はどのような状態になっているのか、連日のただ働き残業の上に休日も開庁・出勤している異常な職場実態を報告し、改善の支援を訴えました。
 また、飯塚書記長は「労働問題分科会」において、「記録問題では行政の民主化に対する取組が弱かったことを重く受け止め記録整備に全力をあげているが、異常な職場実態の中で、政府公約によるスケジュールありきの業務運営が強行されている。そのため、ただ働き残業や代休の取得も困難な状況が蔓延し、社保庁解体・民営化に伴う雇用不安ともあいまって、健康悪化、早期退職が急増している。社保庁は当事者能力が全くない状態であり、社会的な問題提起等にむけて努力しているが、是非、事務所の実態調査や関係機関等への申し入れなど、自由法曹団としての支援をお願いしたい」と労働者の権利・働くルールの観点から発言しました。

弁護士からも取り組みの訴えが
 こうした状況を踏まえ全体集会では、自由法曹団の中に設置された「社保庁プロジェクトチーム」の弁護士から、「社保庁の不祥事等に関わって処分を受けた者の雇用問題などが焦点になっているが、のぞき見では制度に加入していない議員等に問題があり、不正免除では上司の指示のもとに行った結果ではないか、こうした基本的な問題を無視した政府やマスコミに大きな問題がある。20年前の国鉄の分割・民営化の際の国労攻撃と同様であり、問題の本質を捉える必要がある。記録問題でも、昭和30年代から杜撰な管理が指摘されていたもので今の20代・30代の職員に何の責任があるのか。社保庁解体の真の狙いは膨大な積立金の市場運用をはじめとするビジネスチャンスの拡大にあり、問題点を広く発信していくことが重要だ。そのためにも全国各地で、事務所の実態調査や国民本位の年金制度をつくるために、団員が決起してほしい」との発言がありました。
 また、「社会保険庁の解体・民営化を凍結し、公的年金制度の確立を求める決議」が採択されました。

社会保険庁の解体・民営化を凍結し、公的年金制度の確立を求める決議
 政府・与党は、いわゆる「消えた年金」問題に端を発した年金行政に対する国民の不信・不満を利用して、社会保険庁の解体・民営化を決定した。年金業務については、2007年6月、社会保険庁改革関連法案を成立させた上で、年金業務組織再生会議を発足させ、2010年1月の新機構設立に向けた準備が進められている。
 現在進められている社会保険庁改革は、年金記録問題の責任が専ら社会保険庁と現場の職員にあるかのような前提で進められている。しかし、年金記録問題の原因は、年金保険料の杜撰な管理、すなわち、適正に管理できるだけの人員体制もないまま、管理システムの頻繁な変更と変更の都度生じた管理漏れの累積の結果であって、歴代政府が責任を負うべき歴史的構造的問題である。
 また、年金記録問題解決のためには、年金実務に熟達した職員によって正確なデータが入力されることが必要であり、そのための人員と体制の確保こそが不可欠である。これに対し、現在進められている社会保険庁の解体・民営化は、年金記録問題の責任の所在をあいまいにしたまま、人員をさらに削減し、年金管理に対する公的責任を投げ捨てるものにほかならなず、公的年金の崩壊につながりかねない重大な問題点を持っている。
 また、年金行政の責任が現場の職員に転嫁される中で、社会保険庁の職場では、慢性的な人員不足に加えて、年金記録関係の業務が増大し、職員の業務負担が増大している。その結果、職場では、時間外・休日出勤が常態化し、違法なサービス残業等の違法行為が横行している。この中で、職員は心身共に疲弊し、休職や退職が急増している。さらに、人員不足であるにもかかわらず、新組織の職員については、国鉄の分割民営化と同様に「新規採用方式」がとられ、職員の選別と分限免職(解雇)までが予定されている。社会保険庁の解体・民営化がもたらしている労働者の基本的権利の破壊を許すことはできない。
 誰もが安心して老後を迎え、健やかに暮らしていくためには、憲法25条に基づく公的年金制度の確立が不可欠である。
 私たち自由法曹団は、公的年金の確立に逆行する社会保険庁の解体・民営化を凍結し、社会保険庁職員の異常・違法な職場実態を一刻も早く改善することを求めるものである。
2008年5月26日
自由法曹団2008年5月研究討論集会

国公労連
屋形船で交流深め
青年協新人歓迎パーティ
 5月16日、国公労連青年協主催の新人歓迎パーティが開催されました。全体で45人が参加。全厚生からは、本省支部と本部から2人が参加しました。もんじゃ焼き食べ放題、飲み放題の屋形船を借り切って、月島から東京湾に向け出発。他の単組の青年同士で交流できるようグループ分けをして座り、レインボーブリッジなど夜景も楽しみつつ、自己紹介、仕事や趣味の話など楽しく交流しました。グループ対抗ビンゴでは、「労働組合」「お笑い芸人」などのテーマを元に皆で知恵を出し合うなど、力を合わせての遊びに大いに盛り上がりました。
 本省支部から参加した築野さんの感想を紹介します。
 「知らない人ばかりでドキドキしながら参加しました。同じテーブルでは、航空管制官など僕が知らない世界の話を聞いたり、司会のMC、ビンゴなどでも大いに笑わせてもらいました。お台場を眺めながらの宴は贅沢な気分になり、また、僕にとってはこんなに仲間がいるんだと安心もできた場でした」

第26回国立試験研究機関全国交流集会
メインテーマ「研究機関の評価のあり方を考える」
と き◆6月23日(月)(9時30分から16時40分)
ところ◆つくば研究交流センター(つくば市竹園2の20の5)
     交通 つくばエクスプレスの終点「つくば駅」徒歩20分
     講演@研究機関評価の現状(独法評価の実務者)
     講演A研究機関当局による機関評価への対応(産総研の事務方)
     講演B我々労働組合は研究機関の評価をこう考える(実行委員会)
     分科会  テーマ @研究者の個人評価
                 A研究支援部門の個人評価
                 B研究機関の交流(研究環境・労働条件全般)
                 Cポスドク問題
     〈主催〉国立試験研究機関全国交流集会実行委員会
     (連絡先)学研労協 029-861-7320 国公労連 03-3502-6363

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