見出し

◆第1696号(2008年4月1日付)◆


予算と人員の確保で国民の年金守れ
年金記録問題の根本解決を問う3・27緊急院内集会開く
 全厚生は、記録管理は国民の暮らしを保障する年金制度の根幹を成すものであることから、昨年6月社会保険庁に対し、「年金記録の適正化等に関する申入書」を提出し、早期整備と十分な体制確保等を求めてきました。しかし、この間の社会保険庁の対応は、被保険者や年金受給者等に多大な不信感を与えるとともに、現場にも大きな混乱をもたらしています。とりわけ、特別便が送付されて以降の職場実態は、限界を超えています。
 こうした中、公務労組連絡会と国公労連は3月27日午後、衆議院第二議員会館において、「年金記録問題の根本解決を問う3・27緊急院内集会」を開催し、現場からの告発と、改善に向けた討論を行いました。
 集会には、社会民主党の保坂展人衆議院議員と日本共産党の高橋千鶴子衆議院議員が駆けつけるとともに、56人が参加しました。
 国公労連・福田中央執行委員長は、「年金記録問題は、現に実務を担っている人の意見を反映した上で問題点を明らかにしないと解決しない。年金制度をどう確立するのかという議論がまず先にあって、次に今の社保庁の体制のどこに問題があり、どう改革するのかという順序で議論されなければならない」とあいさつ。

国民の年金を守ろう…社民・共産議員が激励
 社会民主党の保坂議員は、昭和30年以前の「旧台帳」の記録の問題に触れながら、「舛添厚生労働大臣が予算委員会で“記録はあるけれども、探せないのかもしれない”と答弁している。年金保険料は国民からの預かり金。あるけどないでは済まされない。国民運動が必要だと思う。党派を超えて共同していきたい」。
 日本共産党の高橋議員は、「26日に衆議院厚生労働委員会が1ヶ月ぶりに開かれた。消えた年金、特別便を送付し417万件は判明したが、9割は未解決。必要なのは暮らしてゆけない年金をどうするのか。社会保障の予算を確保するために全体の予算の見直しを訴えている。安心できる年金制度があってこそ国民の暮らしも守れる」と報告。

社会保険庁はパンク状態…厳しい実態を告発
 現場からの報告として、全厚生神奈川県支部の川名書記長は、「年金記録整備で都市部は大変な状況。横浜南社会保険事務所の窓口では、26日の朝8時半の時点で150人待ち。事務所の電話はひっきりなしの相談で繋がらない事態になっている。現行体制では限界。4月以降は全国で1億人に送付される予定だが、このままの相談体制で『ねんきん特別便』を出し続ければ、国民サービスは後退し、年金不信に拍車をかける。現場の状況を把握・分析したうえでの対応が必要。予算措置と人員確保が急務の課題」と述べました。
 また、社会保険業務センターで働いている全厚生の峰書記次長は、「年金の再裁定業務は年間4万件を30人の職員で行ってきた。昨年6月以降受付は6〜7倍になっている。1月から1日15人の応援体制で土日も当番で処理している。複雑なケースを入れると1件平均40分かかる。派遣社員も20人雇っているが、少なくない人が困難な仕事のため辞めていき、仕事を教えることにも人員が割かれる」と深刻な現状を訴えました。
 ねんきん特別便の相談も受け付けている社会保険労務士の長谷川陽子さんは、「特別便はわかりにくい。文字も小さく読まない。記録の開示が必要で、出し惜しみをしている限り解決しない。社労士や銀行、郵便局などに年金相談窓口を設けるなど、身近なところで相談できる体制を作るべき」と問題点と解決に向けての提案を発言しました。

このままでは公的年金制度の危機…自由法曹団
 自由法曹団事務局長の加藤健次弁護士は、年金業務・組織再生会議に意見書を提出したことに触れ、「社保庁解体での職員の移行については国鉄分割民営化と同じ手法だ。記録問題は歴史的、構造的問題だと政府が認めることが大事であるのに、現場に責任が転嫁されていることが問題。記録問題を解決しなければならないときに、組織の解体や民営化を議論していること自体、常識では考えられない。職員には、土日もなく働かせておきながら、漫然とは引き継がないと脅している。このままの状態を放置しておけば公的年金制度そのものの危機だ」と発言。
 最後に、公務労組連絡会の黒田事務局長が、「消費税によらない最低保障年金制度の確立、安心できる年金制度の確立をめざして国民的な運動を進める中で問題を解決していこう」と閉会あいさつを行いました。

リレーずいそう
●我が家の秘宝
 若い頃から博物館や美術館に行くのが好きでした。一番のお気に入りは、東京国立博物館です。
 思い出は、昔のまだ改修されていない頃の国立博物館。朝一番に観に行くと、誰もいない室内の中、朝の光が仏像にあたり、その室ごと仏の世界を創っていたこと。エジプトのミイラを観て、どういう風にして日本まで来たんだろうと思ったこと。
 最近は、博物館がコンサートや講演会などいろいろなイベントを行っています。昨年は天寿国繍帳についての講演や法隆寺聖徳太子絵伝を観ましたが、先日訪れたときは、それらが映像となって、上映されていました。なぜか聖徳太子と縁があります。
 国立博物館を好きな理由は、もう1つあります。私の父親は、桐箱を作る職人でした。主に骨董屋さんからの注文により、それぞれ寸法の違う骨董、掛軸を入れる桐箱を作っていました。
 ある時、国立博物館が収集品の修理等の寄付を求めていることを知り、手紙で桐箱を寄付したい旨送りました。その後何回かのやりとりがあり、掛軸を入れる桐箱を2本、直接博物館に納めに行くことができました。
 その内1本は、江戸時代の儒学者、佐藤一斎を描いた掛け軸です。一斎のことが昨年、話題になったときは嬉しかったです。
 ということで、我が家の秘宝とは、東京国立博物館の奥にしまってある、決して表に出ない父親の芸術品のことです。
(静岡県支部 組合員)

News
後期高齢者医療制度廃止を
3・19国会前で座り込み

 3月19日、中央社保協は衆議院議員会館前で、4月1日に実施される後期高齢者医療制度の廃止を求めて、座り込みを行いました。(写真)野党4党(民主党、日本共産党、社会民主党、国民新党)が共同で衆議院に提出した「後期高齢者医療制度等廃止法案」には、70〜74歳の医療費自己負担引き上げの廃止、75歳以上の被扶養者に対する保険料徴収の廃止、国保保険料・後期高齢者医療保険料の年金からの天引き中止などが盛り込まれています。座り込みでは、年金者組合などから、廃止に向けての決意と訴えがありました。

10人に1人が過労死危険ラインという異常な働き方
全厚生労働組合「社会保険職員の労働実態アンケート」の結果について
 全厚生は、今年1〜2月、全厚生の社会保険関係13支部、約2000人を対象に、「労働実態アンケート」を実施しました。これは、社会保険庁「改革」がすすめられ、年金記録問題が焦点となる中、2007年6月から11月の間、夜間・休日の開庁が実施され、異常な働き方が問題となった時期、実際の働き方はどうであったかを調査したものです。
 1012人から回答があり、回収率は組織人員の50・6%、社会保険で働く職員(約17000人)の5・9%でした。
 アンケート結果を公務全体の状況と比較するため、国公労連が実施した「2008年春闘アンケート」(2007年10月実施、7798人回答)の結果(以下「国公労連アンケート」)を参考にしました。さらに、「不夜城」と言われるほど長時間・恒常的残業で有名な霞ヶ関において実施した「残業実態アンケート」(2007年3月、霞国公実施、4405人回答)の結果(以下「霞国公アンケート」)とも比較しています。

月平均残業時間は46・1時間
 調査の結果、月平均残業時間は46・1時間でした。これは、単純に計算して、46・1時間×12月=553時間となり、人事院が目安とする上限年360時間を、193時間も上回るものです。
 「国公労連アンケート」では、最近1ヶ月の残業時間が17・2時間、「霞国公アンケート」では1年間の月平均残業時間が39・1時間であったことと比較すれば、社会保険職場の超過勤務がどれだけ異常かということが分かります。(表A)
 月平均の残業時間別の状況は、人事院が超過勤務の上限の目安とする月平均30時間(年間360時間)未満の人は、全体のわずか32・5%しかおらず、30時間以上の残業を行った者が66・9%にも上っています。「国公労連アンケート」では、30時間以上は12・8%、「霞国公アンケート」では48・7%でした。(表@B)
 意見欄には、「勤務時間中は電話対応などにおわれ自分の業務をこなす時間がとれないためどうしても残業することになる。なんとかならないものか」、「現状として、職員数を遙かに上回る仕事量が問題です。人数が増えないことには、次へ進むことは不可能」、「通常業務を行う上での定員が確保できていない。これは退職者の補充が全くなされていないことにもよる。それに加え記録問題の対応、記録問題にだけでも定員の半数以上の数で対応しても解決されるかどうかなので根本的な見直しが必要」、「通常勤務時間内は、トラブル対応、電話、窓口対応等で本来業務が後回しになり、報告や実施指示業務ができない。早朝から仕事をやっても追いつかず、通勤もつかれる。日に日に超過勤務が増え、身体がもたない」など。

3人に1人は家族一緒に夕食を食べられない
 平日、家族と一緒に夕食を食べているかどうかについては、全くないが27・9%、1〜2日が28・7%、3〜4日13・6%、毎日が10・4%でした。同居者なしの19・4%を除いて、3人に1人が平日家族と一緒に食べられない実態が明らかになりました。(表C)
 「毎日」と回答した中には、「毎日家族で食事といっても、10時から10時半です。(家族が)まだ子どものため、かわいそう」、「食事毎日一緒だが、但し、家族が待っている状態」、「夕食の時間は10時半にして毎日」などの記入がありました。また、「3日〜4日」と回答した中に、「ほぼ毎日22時過ぎの帰宅。それから夕食を作って子ども達と遅い夕食です」とか、「1日〜2日」と回答した中には、「子どもがまだ小さいため、せめて、夕食を家族と一緒に取れる時間には帰りたいです」との切実な声がありました。
 少子化対策や子育て支援策を率先して進めなければならない厚生労働省の職場において、この実態は極めて重大です。

10人に1人は過労死の危険ライン
 過労死の危険ライン(厚生労働省)とされる「月平均80時間以上」の残業を行った者は11・2%、これは、「霞国公アンケート」の10・3%を超える数字ですが、10人に1人は過労死の危険ラインで働いている事になります。(表@) 
 しかも、連続した2ヶ月超勤80時間を超えたと答えた人は23・2%にも上りました。(表D)また、過労死の危険が高い月100時間以上の超過勤務をした月が1〜2ヶ月が9・0%、3〜4ヶ月が4・4%、5〜6ヶ月が1・7%という実態でした。(表E)
 意見欄には、「毎月100時間程度の残業、それでも処理しきれない仕事量、過労死への不安はまだないが、体調がおかしくなることは以前より増えたし、勤労意欲はわかない。『仕事量がずっとこのまま続くのか』という不安がとても大きい」、「今は組織が非常事態と思いがんばっている。その気持ちが無くなると続けてはやっていけない。今は気が張っているので何とか持ちこたえている。その気持ちを続かせることが大切ですね」、「もう疲れ果てました」、「職員の削減により、超過勤務を強いられており、健康状態に不安を感じている」、「組合員の命を守ってほしい」など。

年休と夏季休暇の低い取得状況
 年次有給休暇の取得は6〜11月の6ヶ月間に、1〜3日が最も多く46・8%、ついで4〜6日が27・6%、まったく取っていない人が13・1%でした。(表F)7月〜9月の期間に連続して3日の夏季休暇を3日連続で取得した者が56・6%ということを合わせて考えると、夏季休暇の消化を優先した者が多かったと考えられます。(表G)それにしても、年間20日(繰越のある人は上限20日プラス)ある年次有給休暇を、半年で、これだけの消化というのは、夏季休暇が3日あったとはいえ、あまりに少なすぎます。
 意見欄には、「夏季休暇は取得していないが、書類上は3日連続取得。疲れとストレスが溜まり、倒れる寸前で皆ががんばっています」、「夏季休暇は形式上取得となっているが、実際は全て出勤して仕事をし、代休は取得していない」、「仕事が回らず、自主的に休日出勤した場合は当然(?)代休がない。繁忙期の算定期には体調をくずし倒れてしまいました。年休も結局そのために取得したもので計画的に休めたわけでない。こんな人が多いと思います」など。

連続勤務日数と休日出勤、代休の消化
 連続勤務では、12日以上が16・5%という実態でした。(表H)なかには、30日、40日、50日、80日、100日の連続勤務と回答した者もいました。
 休日出勤は、なしが5・6%、1〜5日が40・8%、6〜10日が30・7%、11〜15日が13・5%、16日以上が8・2%でした。(表I)
 休日出勤に対しては振り替え休日を取れますが、全部取れた者は33・4%、一部取れたは41・6%、取れていないは17・6%もありました。代休未消化でも、手当ては全くされていません。(表J)
 意見欄には、「定員欠員分を残業や休日出勤でやらなくてはならないのがつらい」、「代休は申告していない。ただもう疲れました」、「代休も当然のように取れない職場はいかがか。とにかく人間らしく働かせてほしい。私たちはロボットではない」、「夜10時や11時まで仕事しても、処理しなければいけない仕事はたまっていった。土日に自主出勤しても、消化されなかった。このような状態で、新組織の設立を進めても職員の体は持たないと思う」、「人員・人材不足のため、一部職員に大きな負担がかかっているように思う。休日出勤に対する代休も取れず、心身共にゆっくり休むことができない。休みや超勤の問題も大きいと思うが、世間からの風当たりが強く、対人恐怖症になる職員も少なくない、電話、窓口対応において危険を感じることもしばしばある。公務員だからといって法に反する実態を人事院が放置していることも信じられない」など。

超勤手当は半数が4割未満の支給
 超勤手当については、予算があらかじめ決められており、1ヶ月12時間から17時間、県によっては6時間しか支給されません。それ以上の残業はすべてただ働きとなっています。
 残業手当の全額支給と回答したのはわずか4・7%に過ぎません。20%未満が17・9%、40%未満が34・5%で、半数が4割未満の支給という実態です。(表K)「国公労連アンケート」では全額支給が68・2%であり、「霞国公アンケート」では、全額支給が30・1%(但し、霞ヶ関は、上限30時間の残業手当が出ており、単純比較はできません)、20%未満は3・4%、40%未満は13・1%であり、社会保険職員の驚くべきサービス残業の実態が浮かび上がりました。
 意見欄には、「超勤が12時間以上つかないため、超勤を書くなと言われている」、「業務量に見合った人数が確保されているとは考えられない。適正な勤務時間等で対応できている課所があるのであれば、そのノウハウをいただきたい。サービス残業等を美徳と考える社会の風潮をなんとかすべきだ」、「残業時間に対して残業代がほぼついていない状態となってしまっているのはおかしいと思う」、「超過勤務手当不払いどうにかしてほしい。
法律により仕事を遂行する機関として、残業代をきちんと支払わないことはいかがなものかと思う」、「ただ働きほど気力が下がるものはありません」、「超過勤務は100%支給すべき。民間であれば罰則規定あるのに、公務にないのはおかしい」、「超勤手当が全額出ないのが当然というような職場はおかしい。夫も同じ社保ですが、夜中にタクシー自腹で帰ってきます。地下鉄の終電にも間に合わないからです。仕事をやればやるほど赤字です」、「社会保険庁は今後あらたな公法人により労働基準法の適用を受けることになる。現在の超過勤務状況からするととても予算が減る中で、超過勤務命令はできない。手当を払えないとすると基準法違反。どうするのでしょうか」、「サービス残業は法令違反です。再び社会保険の職員から過労死が出る前に対策を。人の命は生き返りません。同じ事を繰り返さない対策を望みます」など。

健康状態は「不調」「投薬」「通院」が半数超
 健康であると回答したのは48・1%と半数を切っており、「不調」が30・8%、「薬等を服用している」10・4%、「通院治療中である」が9・9%で、(「不調」+「投薬」+「通院」)が51・1%にものぼりました。(表L)
 「国公労連アンケート」では、「良好」9・2%、「まあ良好」42・6%で(「良好」+「まあ良好」)が51・8%に対し、「やや不調」33・1%、「不調」10・6%で、(「やや不調」+「不調」)が43・7%となっています。「霞国公アンケート」では、健康であるが57・0%で、「不調」が23・6%、「薬等を服用している」が12・3%、「通院治療中」が6・2%で、(「不調」+「投薬」+「通院」)が42・1%となっています。
 社会保険の職場では、長時間労働と休日出勤、代休の未消化などで、健康に影響が出ていることが明らかになりました。
 意見欄には、「休日開庁のせいで体調が狂いました。それ以上に心を病んでいる人が増えていることに職場は既に崩れていると思っているのは私ひとりではないはずです」、「疲れているのになかなか眠れず、日中に頭痛の中、仕事している。目が疲れていて、視界が悪くなる。本当はやめたいけど、生活があるから仕事をしています」、「体力的な部分のみならず、精神的にも辛いものがあります。職場のこのような環境をどのように打開していくかをもっと考える必要があると思う」など。

今も過労死の危険感じて働いている
 過労死の危険については、「過去にあった」が21・6%、「現在感じている」が13・6%で、感じたことがあるとする者が35・2%でした。(表M)
 「国公労連アンケート」では、「今までに感じたことがある」が29・3%、「今、感じている」が3・6%で、感じたことがあるとする者が32・9%。「霞国公アンケート」では、「過去にあった」が30・9%、「現在感じている」が4・7%で、感じたことがあるとする者が35・6%でした。過労死を感じたことがあると回答した方に差はありませんが、現在感じているかどうかについては、社会保険職場がもっとも多く、アンケートの実施が、年金特別便の対応がはじまった1〜2月であったこと、現在はさらに来客も多くなっていること等を考え合わせれば、たいへん危険な状態といえます。
 意見欄には、「感じたことはない」の中にも、「過労死までは感じたことはないが、家庭崩壊は感じたことがあった」、「死んでしまうとは思ったことはありませんが、病気になってしまうとは感じています(常に)」、「過労死とまでいかないものの、倒れてしまうかもと思ったことは何度でもある」など。

労働条件を勝ち取ろう
労働法制学習会を開催
 全厚生は3月15日、都内で、労働法制学習会を開催。これは、全国健康保険協会や日本年金機構において労働条件と権利を守って労働組合運動をすすめるために、労働法の基礎を身に付け、構えをつくる目的で開催したもの。社会保険支部はじめ16支部から43人が参加しました。
 学習会では、冒頭、杉下委員長があいさつし、弁護士の志村新氏が、「労働者・労働組合の権利と労働諸法規」について講義。質疑応答のあと、杉浦副委員長が問題提起を行いました。予定していた第2講座の「労働条件改善と権利守る労働組合の課題」は講師の都合で中止となり、急遽、志村弁護士には時間を延長して、講義していただきました。

勤務条件法定主義から労使対等決定原則へ
 志村弁護士ははじめに、「国家公務員の労働条件は法律で決まっているが、民間になると、雇う・雇われるという契約関係に入る。労働契約の条件は、当事者の合意が必要で、条件は話し合って初めて成立する。労働条件の変更も、双方の合意があって成立するのが大原則」と労働契約の基本原則について説明。
 労働条件の最低基準については、憲法を基本理念として、労働基準法や労働契約法の他、最低賃金法・育児休業法・労働安全衛生法・雇用機会均等法などがあると紹介。労働基準法は、労働条件の最低基準を定めたもので、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならないこと。また、この基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効となることなど、労基法が定める諸々の具体的な最低基準について、条文に沿って説明しました。さらに、「条文にはないが解釈されるものとして、判例があり、知っておく事が大切」として、マクドナルドの店長が名ばかり管理職だとして残業代支払いを求めた裁判での判決や、紳士服コナカでの同様の判例法理などを紹介しました。
 就業規則については、使用者に作成・届出義務があり、就業規則で定める労働条件の内容が合理的であれば、労働契約の内容となること。就業規則を下回る労働契約は違法であること。また、就業規則の不利益変更は不同意の労働者に及ばないが、合理的な変更の場合は、不同意の労働者にも効力が及ぶことなどを紹介。昨年国会で成立し今年3月に施行された労働契約法についても、条文に沿って説明しました。
 労働基準法にもとづく協定事項については、社内預金、チェックオフ(組合費含む)、変形労働時間及びフレックスタイム制度、一斉休憩の適用除外、時間外・休日労働協定(いわゆる36協定)などがあり、事業場単位で在籍者の過半数の労働者代表が使用者と結ぶことになること。これら事項は、協定がなければ、実施してはいけないこと(罰則あり)になっているとの説明がありました。
 労働協約については、労働組合と使用者との間で結ぶもので、就業規則(労働契約)よりも優先される。労働条件に関する事項であれば広く団体交渉事項となる。労働条件を改善していくためには、労働組合に結集し、団体交渉を通じて、勝ち取っていくことが重要と強調しました。
 質疑では、「労働基準法でいう事業場単位とは?」、「労働組合が過半数を組織していない職場での労働者代表の選び方は?」などが出され、志村弁護士から丁寧な説明がありました。(左掲)
 問題提起をした杉浦副委員長は、今回の学習会を新たな労働組合活動を本格的に準備する出発点とし、権利に強い労働組合を着実に作ろうと、支部やブロック単位での学習会の開催や勤通大「新・労働組合コース」の集団受講などを提起しました。

質疑応答から
事業場単位とは?

 労働基準法でいう「事業場単位」とは?
 職場単位のことで、今の社会保険事務所がひとつの「事業場」となります。
 労働組合が過半数を組織していない職場での労働者代表の選び方は?
 選任手続きは、投票、挙手、拍手などでもいいとされていますが、無記名秘密投票など選任の民主的ルールを作ることが重要です。
 36(サブロク)協定を結んでいない段階で残業しても良いのでしょうか。
 36協定を結んでいないと使用者は残業命令を出せません。新組織がスタートしてから、労働者の過半数で組織する労働組合又は労働者の過半数を代表する者と36協定を結び労働基準監督署に届け出るとなると、急いでも1ヶ月程度かかることがあります。1ヶ月程度なら、使用者に罰則が科せられることはありませんが、その間の残業代は、支払わなければなりません。
 母性保護規定など労基法にはあるが就業規則には細かく書かれていない場合、細かく書かせた方が良いのでしょうか。
 就業規則になくても労基法にあれば労基法が優先しますが、周知や啓発のためにも、就業規則にはきちんと書かせた方が良いでしょう。

仲間どうしのささえ愛
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