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◆第1694号(2008年3月1日付)◆


安心して暮らせる年金制度の確立を
シンポジウム「守れ!みんなの年金」を開催
 公務労組連絡会と国公労連は2月16日、東京・霞ヶ関の全日通会館において、シンポジウム「守れ!みんなの年金・社保庁改革を考える〜どうする『宙に浮いた年金』」を開き、全厚生の仲間70人を含む240人が参加。シンポジストに、朝日新聞の松浦新記者、中央社会保障推進協議会の山田稔事務局長、日本大学の永山利和教授、菊池紘弁護士を迎え、公務労組連絡会の黒田事務局長がコーディネータとなって進行しました。
 開会にあたって、公務労組連絡会・大黒議長は、「年金制度の確立、社会保険庁職員の雇用を守るとりくみの皮切りとして、全国的運動に発展させよう」と挨拶。シンポジストの問題提起の後、会場からの質問と発言、シンポジストの中間発言と続き、予定の時間を超過するほどの熱心なシンポとなりました。最後に、「『国の責任で、安心して暮らせる年金を実現する』ために、思想や信条の違いを超えて、年齢の違いを超えて、多くの国民が手をつなぎましょう」とのアピール文を確認しました。
 閉会にあたって国公労連の福田委員長は、「はっきりしたことは、社会保険庁の解体・民営化などではなく、国の責任で年金制度を確立すること」と、たたかう決意を込め閉会挨拶し、シンポジウムを締めくくりました。

現場から声をあげ良い年金制度に
朝日新聞記者 松浦 新 氏 

 95年から年金の取材をしてきた松浦さんは、「3割の企業が厚生年金の適用になっていないのに、社保庁は、98%の収納率だと平気で『ウソ』を言っていた。年金記録問題も、昭和40年当時から指摘されていたにもかかわらず、『ウソ』に『ウソ』を重ねてきた結果だ。制度と現場に矛盾があるから、『ウソ』をつかなければならず、その『ウソ』が国民の信頼を失っていくという悪循環を起こしていた。現場の声を聞いて制度を作っていかなければ、このままでは、民間保険でもいいということになりかねない。社会保障制度は、すばらしい国民の財産。現場の人が勇気をもって声をあげて崩壊を食い止め、良い制度にしていって欲しい」と述べました。また、「基礎年金の3分の1(今後2分の1)は税金であるが、社会保険は、保険料を払わないと税金(国庫負担)が受けられないという矛盾をかかえる保険方式」と指摘しました。

消費税によらない最低保障年金を
中央社保協事務局長 山田 稔 氏 

 山田さんは、年金制度の現状と『最低保障年金制度』の必要性と実現の可能性について発言。「年金は、2004年の大改悪で、保険料引き上げ、給付水準引き下げとなり、『100年安心』出来ない制度となった。国民年金は40年間保険料を払い続けてもわずか7万円にも満たない。受給資格を得るためには25年以上保険料を払い続けなければならず、非正規労働者やワーキングプアの増大で、保険料が払えず、受給資格の無い方が100万人を超え、すでに国民年金は崩壊している」と指摘。今後の方向性については、「構造改革骨太方針に基づき社会保障費2200億円の削減計画があるが、国民の怒りを前に、政府・与党はこれ以上社会保障費を削れない。そこで政府・財界は、消費税によって社会保障財源を確保しようとしている。消費税ではなく一般税で支える全額国庫負担の最低保障年金制度が必要」と語りました。

雇用の安定とインフレの抑制を
日本大学教授 永山 利和 氏 

 永山さんは、はじめに「社保庁の日本年金機構への移行は、年金制度の改善につながらず、公共・公務の役割を劣化させる危険が高い。日本の国のあり方、行政の危機と感じている」と述べ、「年金制度の危機の要因は、失業、インフレ、年金制度からはずされた雇用の増大などが複合して存在していることにある。年金制度を国の財政機能から見ると、第2次大戦の軍資金の『徴収機構』としてスタートし、高度経済成長期には財政投融資財源の『徴収機構』として活用された。いよいよ『支払機構』に転換しなければならない時期に、社保庁問題に火が噴いた」と指摘。「職員を『悪代官』にして責任転嫁しても解決しない。年金の安定化には、雇用の安定、賃上げ、インフレの抑制が必要。また、労働者・年金受給権者に還元されていく財政運用が必要。いま重大な転機に来ており、国民的レベルで議論を巻き起こす時」と指摘しました。

公的年金の確立が職員の雇用守る
弁護士 菊池 紘 氏 

 菊池さんは、「公的年金を充実発展させるためには、必要な人員と体制の確保が根本問題だ」として、社保庁解体・民営化に伴う大幅な人員削減を批判。業務の専門性と継続性について、「日本年金機構は、業務を解体して、ばらばらに民間委託するが、50年60年の記録の管理と専門性が求められる年金業務において、競争入札の度に事業所も人も変わっていたら、年金記録問題は解決しない。それに代わるあり方を広く議論しなければならない」と指摘。あわせて、現在、社会保険職場で横行している違法な働かせ方を抜本的に変えていく必要性を協調しました。雇用問題については、「知識と経験のある職員を排除して、知識経験の無い人を採用し、分限免職するということは成り立たない。みなさんの雇用と権利は法律的に守られている。国民の将来を支える公的年金の確立が職員の雇用を守ることにつながる」と述べました。

リレーずいそう
●そんなマルセイユ
 数年前、パリ近郊でのトラブルを発端に、暴動が全土に波及し、車が壊され、燃やされたニュースをまだ覚えていられる方も多いのではと思います。私は、まさにその時、仏のマルセイユに研究留学していました。マルセイユはお世辞にも治安もよいとはいえず、暴動の波及が懸念される中、大ストライキの真最中でした。仏では、ストは日常茶飯事ですが、バスとメトロの会社が、結局40日間も賃上げストをしました(その間は交通機関なしです!)。街に充満する負のエネルギーが、このストにさかれていたのか、幸いにも暴動はほとんどなく危ない目には遭わずにすみました。こういうマルセイユで、ある日こんな事がありました。帰国売りで車を購入した時のことです。あちらではナンバープレートは自分でお店に行って作ります。仏語が得意でないので、どうお願いしたらいいか困っていると、その場に居合わせたおじさんが、「Can  y ou speak  English?」と聞いてきました。私は、心の中であぁ助かったと思い、「YES!」と大きな声で答えました。すると、白いプレートを指さし「White」黄色い方を指さし「Yellow」と教えてくれました。ん?それで?その後、英語で尋ねても、彼の英語を聞くことはできませんでした。前が白、後ろが黄なのですが、そりゃ〜見ればわかるよ!うまく言えませんが、お節介で憎めない人たちが住む、そんなマルセイユが今でも大好きです。
(感染研支部 組合員)

News
沖縄女子中学生暴行事件
許さない!緊急抗議・報告集会

 安保破棄中央実行委員会は2月22日、沖縄の米海兵隊員による女子中学生暴行事件に抗議する緊急集会を衆院議員会館内で開催。48団体から80人が参加しました。全労連の柴田副議長が主催者あいさつ。日本共産党の赤嶺政賢衆院議員が、事件の経過と国会でのやりとりを報告し、在日米軍基地なくす運動の重要性を強調しました。06年に妻を殺され、裁判をたたかっている神奈川県横須賀市の山崎正則さん、米軍横須賀基地で米兵に性的暴行を受けた豪州出身の女性が、それぞれ被害を告発。千葉県平和委員会の紙屋敏弘事務局長が、イージス艦衝突事故について報告しました。参加者は真剣に耳を傾け、「私たち母親は、事件を絶対に許さない」(新婦人)、「私たちは受けた暴力を絶対に忘れない。被害者をこれ以上うまないために基地撤去しかない」(米軍犯罪被害者の会)など、次々と発言しました。

国の責任で年金記録の整備を
「守れ!みんなの年金」シンポでフロア発言
 2月16日の「守れ!みんなの年金」シンポでは、フロアから、パネリストへの質問も含めて9人が発言しました。
 全厚生からは大阪支部の勝井支部長が、「社保庁の方針がコロコロ変わり現場は混乱している。職員は長時間過密労働のもとで、心の病も含め病気休職者が増え、自己都合退職者も続出。ある県では職員の欠員が3桁にもなる。国の責任で記録整備を行うよう『年金記録整備室(仮称)』の設置などを要求していきたい。安心できる年金制度にするため、全厚生として、全国津々浦々で奮闘する決意だ」と発言しました。
 「『ねんきん特別便』が届いても高齢者には内容把握が容易でない。特別便については対応の面でも、まだまだ問題がある。相談体制をしっかりつくるべき」(社労士)、「窓口は大変混雑している。2時間、3時間待ちで午後相談に来た人は夕方帰る。国民のみなさんのことを考えると、残業手当が4割でもしかたないと思っている。マンパワーが必要。国家公務員を組織する労働組合として、役割を果たして欲しい」(社保職員)の他、自治労連神奈川県職労、新婦人、首都圏青年ユニオン、全日本年金者組合の代表など、積極的な発言が出されました。
 これらの発言も受けて、シンポジストからは、「JRの分割・民営化と同様、年金問題もはねかえしていこう」(菊池氏)、「年金記録がどこにいてもつながっていて個人の権利が守られているポータビリティ制度の導入を」(永山氏)、「社会保障制度は悪だという考え方が、政府の根底にある。政府・財界が、ごっそり消費税を取ろうと狙っている。いまがふんばりどきだ」(山田氏)、「みなさんの発言は大変興味深く、取材してみたいところがいくつかあった。真実を伝えて、正々堂々とものを言っていくのは、マスメディアの責任だ」(松浦氏)など、発言がありました。
 参加者からは、「私たち一人ひとりがとりまく状況を知り、変えるために行動しないといけないことを改めて、実感した」(公務員)、「会場、特に社保庁の職員にもっと発言の場を与えて欲しかった。当事者の思いが聞きたかった」(公務員)、「『社保庁解体=年金制度が安心』でないことがわかりました」(無職)、「どれをとっても政治を変えないと駄目なんだと実感しました」(看護師)などの感想が寄せられました。

社会保険の仲間に心寄せ、全厚生みんなで「雇用を守れ」署名に全力を
 社会保険庁職員の雇用確保に向けて全厚生は、厚生労働省、社会保険庁当局への申し入れをはじめ、関係各機関への働きかけなど、全力を挙げているところですが、あわせて、内閣総理大臣と厚生労働大臣宛の署名「社会保険で働くすべての職員の雇用確保を求めます」に取り組んでいます。
 一人の分限免職者も出さず、仲間の雇用を守るために、家族や周りの方に声を掛けて、みんなで署名に取り組みましょう。皆さんの強力なご支援をお願いします。

神戸
プロを講師に料理教室
県国公女性交流集会に参加
 2月8日、六甲道勤労市民センターで、兵庫県国公女性交流集会が開催されました。今年で3回目の「料理教室」です。今年のメニューは、鱸のサラダ仕立て、手作りピザ2種(トロピカル、和風ジャーマン)、トリュフ(チョコレート)でした。講師は、神戸国際調理製菓専門学校の山本靖教授(西洋料理)他2人の先生方。神戸支部は4人で参加。全体で34人が調理と試食に挑みました。
 参加者からは、「子供の頃からの夢の機会実現。その上職場の仲間と参加できて楽しさ倍増でした」、「講師の先生方のお話が楽しく、また、ピッカピカの包丁さばきも動きに無駄がなく、ステキ!でした」、「フライパンで焼くピザは、初体験でしたが、コツを教えていただいたので、美しく焼け、味も良かったです」、「講師3名はプロのコックさんで腕前も勿論でしょうが、話術もプロでした。トリフのチョコは、とてもまろやかで美味しかったです。あっと言う間の講習時間で、終わったのが22時近く。でも、とても楽しかったです」との感想が寄せられました。
(神戸支部 組合員)

全厚生新年号
「7つのまちがいクイズ」
図書カード当選者
 新年号「7つのまちがいクイズ」への応募ありがとうございました。答えは、(1)女の子の帽子(2)女の子のマフラー(3)獅子の耳(4)獅子の鼻(5)獅子舞の後ろ足(6)寿の扇子(7)ねずみのしっぽでした。抽選の結果、10人に図書カード(千円分)を贈りました。

アピール(要旨)国の責任で、安心して暮らせる年金制度を実現しよう
 日本の年金制度は1942年にスタートしましたが、国民が納めた保険料は当初は戦費調達として、高度経済成長期には大型公共事業を支える財政投融資の財源とされてきました。公的年金は、政権政党や歴代政府、そして厚生労働省や社会保険庁官僚によって翻弄され、老後の生活を支える制度とはなっていません。
 社会保険庁の推計でも無年金者が最大で155万人にも上り、国民年金の納付率は66.3%にとどまっています。厚生年金も未加入事業所が多数あり、将来多数の国民が無年金・低年金者となるとの問題が指摘されています。
 こうした中、記録問題をはじめとする制度運営と管理の責任問題や記録整備もあいまいなまま、社会保険庁の解体・民営化が進められています。しかし、社会保険庁を解体しても、年金制度が良くなるわけではありません。
 誰もが安心して老後を迎え、健やかに暮らすためには、憲法25条を基礎とする公的年金の拡充が不可欠で、そのためにも全額国庫負担による「最低保障年金制度」の確立は喫緊の課題です。昨年の参議院選挙では、貧困と格差の拡大や庶民増税に反対し、より良い暮らしと雇用を求める国民の意思が示されました。
 年金財源に消費税を充てるのではなく、大企業や大資産家の優遇税制を是正して応分の負担を求めるとともに、軍事費を削減し年金や社会保障制度を充実することを求めます。
 そして、誰もが安心して老後を迎えられる最低保障年金制度を国の責任で実現することを求めます。さらに、自民・公明与党の参議院選挙時の公約に基づき、国の責任で最後の1人まで年金記録を整備し、国民の年金権を保障することを求めます。
 「国の責任で、安心して暮らせる年金を実現する」ために、思想や信条の違いを超えて、年齢の違いを超えて、多くの国民が手をつなぎましょう。そのために、「国の責任で、安心して暮らせる年金を実現する会」(仮称)を中央と地方に立ち上げ、宣伝行動など大きな世論をつくる運動を進めましょう。
 2008年2月16日

あなたは私たちの宝です。
国公労連女性協から社会保険支部の全女性
組合員に激励の手作りしおりのプレゼント
 国公労連女性協から社会保険支部のすべての女性組合員に激励の手作りしおりが届きました。2月16日の社会保険支部代表者会議で、国公労連女性協の阿部議長から直接、支部の代表に託されました。
 しおりは、「明けない夜はない。応援しています」「みんな仲間です。未来を信じて、体だけは気をつけてくださいね」「あなたの宝物はなんですか?あなたは私たちの宝です」などの直筆のメッセージにお雛様の折り紙がついています。2月2・3日の国公労連女性協拡大代表委員会参加者を通じて全国の仲間の手で作成されました。
 受け取った女性組合員は、机の上のカレンダーに差し込んで飾ったり、ブックエンドに利用したり、「ひな祭りも近くそんな季節に相応しいあしらいで嬉しいです」、「かわいい。よくこんな小さく折れましたね」、「ありがたいです」、「心強いです」と、感謝の言葉が寄せられています。

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