見出し

◆第1688号(2007年12月1日付)◆


障害者の立場に立った施策を
労働条件改善等で施設管理室と交渉
 全厚生は11月26日、社会・援護局施設管理室と社会福祉支部の重点要求及び労働条件改善の基本要求にもとづき交渉を実施。交渉には、全厚生から杉下委員長、今井・杉浦各副委員長、飯塚書記長、小出中執及び、函館・塩原・国立リハ・伊東・福岡の各支部代表計12人が出席。施設管理室からは、難波室長、小室補佐らが対応しました。
 交渉の冒頭、杉下委員長は、国立施設のあり方について、「障害者の立場から施策を打ち出すことの重要性を強調。外部からの圧力のみに対応していると大きく道を誤る危険がある。職員の理解が得られるよう努力することが大切」と発言。また、労働条件については、定員削減問題をとりあげ、「定員問題は施設のあり方に大きく結びついている。施設の特異性から、統括している管理室の責任と役割がますます重要」と指摘しました。交渉では、難波室長が総括的に回答。その後、今井副委員長の進行で要求課題ごとにやりとりしました。
 平成20年度概算要求の重点について、室長は、組織要求はリハセンター更正訓練所の組織を自立支援法のサービス体系に変更。発達障害診療部、発達障害情報センターの設置を要求。増員は全体で22名。級別定数改定は、厳しい中だが必要数を要求。個別にも取り上げていると説明。
 施設のあり方について、組合側から入所者減に対する対応を強める課題について指摘したのに対し、室長は募集活動は従来から行われ、結果として今の状況がある。障害者自立支援法によるものとは考えていない。募集活動は、各視力センターが所長をヘッドに対応することで、やるやらないは施設の問題。また、必要な経費については、20年度予算の中で共通の意識をもてるように検討したいと回答しました。

高等課程の募集停止は一方的に行うな
 高等課程の募集停止について、組合側から発言。塩原では生活訓練課程修了生で理療教育課程に進めない者が出ていること、神戸でも入所希望があったことなどを例に問題点を指摘。これに対し室長は、高等課程はリハセンターに残すので、全く道が無くなるわけではない。あとは個人の選択の問題。クラス人数1〜2名では、国の運営は成り立たないと回答。また、理療課程の充実について臨床実習、卒後研修、成績不振者の補習問題等、センター側が今後どうするかを各施設に問題提起していると回答しました。

女性の宿直勤務は十分に協議を
 有識者会議設置について、前回交渉では秋に立ち上げると説明していましたが、20年度要求に絡んだ査定調整の状況をみることにした。予定は大幅に遅れる。20年度中に専門家、研究者等にお願いし検討していきたいと回答。
 続いて宿日直の課題で組合側から発言。福岡では来年4月実施予定の女性宿直勤務について、施設の方向性が示されない中、女性の勤務だけを取り上げて、体裁を整えようとする姿勢を指摘。職員の理解が得られるよう丁寧な対応を求めました。これに対し室長は、障害者自立支援法に対応した変更であり、7月には重度センターの宿日直勤務を廃止している。視力センターは、ローテーションの問題もあり引き続き事務職員にも勤務してもらうことにしていると回答。さらに組合側から発言。リハセンターでは、試行の総括ができていない、試行から本格実施になっていることも、知らされていない現状を訴え、女性が夜間に家を空けることは、社会的にも困難性があり、引き続き改善の努力を求めました。これに対し室長は、視力センターの女性の宿直勤務について、作業が遅れているため、期限を来年4月と決めた。施設で最善の体制を考えて欲しい。リハセンターについては、試行での問題も解決し本格実施したと聞いている。個々の問題はリハ当局と詰めて欲しいと回答しました。
 障害者自立支援法について、組合側から社会的に大きく問題点が取り上げられていることに加え、施設では食費実費が大きな負担、欠食や利用者が自炊するという事態になっている。食事は健康管理面からも重大な問題と指摘。負担軽減を求めるとともに、利用者の健康管理と食事について認識を質しました。これに対し室長は、負担軽減措置は講じている、喫食しないのは他の要因で、利用者個人の問題と回答しました。

福祉施設に人事評価はなじまない
 労働条件改善の要求では、定員削減や不補充問題を指摘。リハセンターの放射線技師、医師、看護士、伊東のPT、秩父の調理師、塩原の業務係長、視力センターの教官、福岡の調理師など、各施設から切実な課題での要求実現を迫りました。人事評価については、現在行われている試行もふまえ、福祉施設には馴染まないことを強調、室長も一定の理解を示しました。
 昇格要求では、リハセンターの医療職の処遇の実態を訴え、加えて介護員長、行U職員の処遇改善を求めました。手当関係では、介護員の夜間特殊業務手当、教務課業務係長などの職種について要求しました。
 今回の交渉では、施設管理室の担うべき責任と役割の問題点が明らかになりました。現管理室は、障害者自立支援法への対応、査定官庁を意識した施策の実施を中心課題としています。施設で起こっている多くの課題は施設での問題、あるいは利用者の選択の問題と整理しました。今後の要求実現に向けて、対当局として管理室が位置していることには変わりませんが、各支部での取り組みがますます重要になっています。全厚生は引き続き、厚社連(全厚生社会福祉施設支部連絡協議会)の交流を重視し、具体的な提案ができるように政策活動を強化します。

リレーずいそう
●昭和30年代から
 「食堂にもの申す、我々は豚ではない。年金(職場)の食堂は高くてまずくて少なくて、どう考えてもこれだけのお世辞しか言えない」「便利なのはツケが利くということか。否これも違う、金のないのをつけこんでなんだか知れないものを食わせているだけだ」「安サラリーマンにはツケが利くのは助かるが、献立が同じなので、飽きあきしている」「盛りつけが上手なので食欲旺盛の若者にとってはもの足りない。質より量だ」さらに、「栄養のあるのものを出せ」「マカロニとてんぷら、本当にこの一年よく食べたが、作るほうもよく作ったものだ」「仕事もつらくて仕方ない。どうも俺は栄養失調なのかな」。これは、業務センター支部(当時、年金業務室支部)の機関紙「ながれ」(1959年12月22日号)のひとコマ。
 現在、業務センターには食堂がありません。外に出ても45分の昼休みではゆっくりできない。センター内で働く職員等800人超の人々は仕出し弁当、コンビニ弁当に飽きあきかも。僕自身、毎度同じ文句いいながらせわしく胃袋へ入れている次第。昨今、映画「三丁目の夕日」など昭和30年代がブームですが、当時の機関紙を読み返すと、低賃金、差別、労働環境の悪さなど、なつかしいだけでは片付けられないものばかり。21世紀になってもあんまり変わってないかも知れません。しかし、もうすぐお正月ですね。
(業務センター支部 組合員)

News
最賃法・労働契約法案成立
労働者が泣き寝入りとの反対の声届かず

 参院厚生労働委員会で11月27日、最低賃金法改定案と労働契約法案が自民、公明、民主などの賛成多数で可決されました。労働契約法案には、「就業規則の変更による労働条件の不利益変更ルール」が盛り込まれており、反対の声が広がっていました。最賃法改定案には生活保護水準との整合性が盛り込まれたものの、大幅引き上げや格差解消には不十分です。国会前では、座り込みや昼休み参議院議面集会(11/22写真左)などが行われ、全厚生も参加しました。

守ろう!独立行政法人
11・17つくば集会に216人参加

 国公労連、学研労協、茨城県国公は11月17日、「守ろう!社会の基盤ささえる独立行政法人〜一方的な整理合理化を許さない『つくば集会』」を216人の参加で開催。学研労協の池長議長が、「整理合理化計画は『効率化』の名による『削減一辺倒』で、行政サービス切り捨てとなる」と挨拶。パネルディスカッションは、専修大学法学部の晴山一穂教授、学研労協の戸田佳明前副議長、特殊法人労連の岩井孝議長、全労連の小田川義和事務局長の四氏をパネリストに、各独法職場からのフロア発言等もまじえて行われました。全厚生も参加しました。

国立健康・栄養研究所は国が運営を
独立行政法人「整理合理化計画」で要請行動
 独立行政法人の「整理合理化計画」の策定が重要な段階を迎えています。政府の行政減量・効率化有識者会議は11月27日、「独立行政法人整理合理化計画の策定に関する指摘事項」を公表。今後は渡辺行革大臣と関係閣僚との政治折衝に入り、12月末にも、同計画を閣議決定する段取りです。
 全厚生はこの間、国公労連の方針に沿って、独立行政法人の廃止・民営化・民間委託等を前提とした、国民サービス切り捨ての「整理合理化計画」を策定しないこと、独立行政法人及び事務事業の存続・拡充をはかることを求め、署名活動や宣伝活動を行ってきました。さらに今、急を告げる情勢の下で、要請行動を旺盛に展開しています。
 11月28日には、国公労連と共に、行革推進本部事務局交渉を実施。この交渉には、杉浦副委員長及び栄研支部・山田支部長が参加。全厚生独自の要請書も提出し、@国立健康・栄養研究所及び医薬基盤研究所の「整理合理化計画」を策定しないこと、A国民の健康と福祉を向上させるため、各研究所を単独で存続させ、拡充を図ることを要請しました。
 11月29日には、国公労連と共に、自民党行革本部・中馬弘毅本部長(衆議院議員)に対して要請。参加した杉浦副委員長は、「国立健康・栄養研は1920(大正9)年創立で、厚生労働行政と一体不可分の研究活動を行っている。憲法25条の理念を具現化する健康・栄養に関する研究は国が責任をもって運営し、単独で拡充・存続することが必要」と要請しました。
 国民サービス切り捨てを許さず、独立行政法人の存続・拡充を求めるために、最終盤の取り組みが大切になっています。

働き続けられる職場に
人事調査官と女性の要求で懇談
 全厚生女性部は11月16日、女性の労働条件改善要求で人事課と懇談しました。全厚生からは、金子部長はじめ統計・業務センター・感染研・国立リハの各支部から5人が出席し、人事課は、中山人事調査官、稲葉補佐らが対応しました。
 恒常的残業の改善について、「30代の退職も目立ってきた。子育て中の職員は父母のサポートなしに仕事が続けられず、自らの手で子どもを育てられない」と、健康破壊・家庭破壊につながる恒常的な残業をなくすよう求めました。人事調査官は、「十分認識しており、解決策を見い出していきたい」と回答。
 視力センターにおける女性の宿直勤務への十分な協議については、「一概に女性を外せないが、育児・介護などの用件があれば、宿直から外れる」と回答。
 次世代育成支援対策推進について、「『子育て支援プログラム』は大変すばらしいが、実効がともなわない。本省で19の『育児の日』に配信されるメールの内容は、制度解説もわかりやすい。ぜひ、本省以外にも発信していただきたい」と要望したのに対し、「厚生労働省として『特定事業主行動計画』は率先してやらなければいけない課題。わかりやすい内容で配信したい」と回答。
 女性職員の採用・登用拡大では、「本省内部部局で、女性の専門職・課長補佐級以上は15%となっている。メンター制度については人事院の研修にも行っており、具体化していきたい」。研究職の室長及び部長のポストに女性の登用を積極的にはかることに対しては、「機会を捉えて言っていく」。メンタルを病む職員をかかえる職場へのサポートを強化し、職場復帰における「ならし勤務」、「短時間勤務」などの環境整備をはかることについては、「その者にあった仕事の内容を医者とも相談して決めるなど、対応している」。産休中の代替要員の確保については、「産休中に代替が取れないということはなく、運用の問題」と回答しました。
 非常勤職員の労働条件については、「研究所での定員外職員は、専門的な知識が必要で、待遇が悪く、辞められると、研究が続けられない」と賃金・休暇等の改善を求めたのに対し、「非常勤職員で仕事が成り立っているのは事実。非常勤職員の処遇改善は、予算の話になる。人事院も真剣に取り組んでいる」と回答。
 社会保険の課題について金子部長から、「全国健康保険協会の採用基準と労働条件が示されたが、広域異動が条件となるなど、厳しい内容。これでは女性は子育てしながら働けない。公務に残りたいという女性が増える」と訴えました。人事調査官は、「意向調査で、公務に残りたいという積極的かつ意欲のある人については道を閉ざすものではない。分限処分が一人歩きしているが、そういうことではない」と回答。
 最後に木立事務局長が、労働条件改善要求事項の実現と引き続きの懇談を訴えて終了しました。

勤務時間等の徹底を
人事院が社保庁に指導
 社会保険庁は11月16日、職員課長が人事院から呼び出しを受け、社会保険職場の実態改善について、職員からの相談や職員団体からの要請等が相次いでいることから、「勧告ではないが、長時間労働や心身の健康に配慮すること。特に若年層については不安がないよう勤務時間等の徹底をするように」と2度目の指導を受けました。社会保険庁当局が明らかにしたもの。
 社会保険庁改革の名の下ここ数年来、異常な状況にある職場実態の中で、年金記録管理問題ともあいまって、時間外、休日出勤が常態化し、健康及び福祉にとって憂慮すべき事態が生じています。特に日々の過酷な勤務実態と合わせ、組織の廃止・解体にともなって将来不安が強まり、30代から40代の退職が急増しています。同時に、退職者の補充は、現状では社会保険職場を希望する名簿搭載者がまず存在しないため、新規採用が行えず欠員で放置され、職員の勤務条件をいっそう過酷なものにしています。
 こうした状況の改善を求め、全厚生東海ブロックや近畿ブロックを始め、いくつかの県国公段階などで、人事院地方事務局への要請行動が取組まれてきました。全厚生本部でも、11月2日に本院あて要請書を提出し、社会保険庁に対する改善勧告を求めてきました。人事院も「状況については理解しているので改めて指導したい」との考え方を示していました。この間、退職者やメンタル系疾患の急増など、社会保険職場の実態を指摘する報道や、国会の中でも問題提起されています。引き続き社会保険庁交渉等で追及していく考えです。

大分県
全員の雇用守り全力
第8回支部定期大会を開く
 11月17日、大分県支部は第8回定期大会を開催しました。これまで経験したことのない異常な職場環境での定期大会となりましたがほぼ全員の出席でした。
 大会は、吉田支部長の長いあいさつで開会し、本部の飯塚書記長、横田中執から情勢の説明と激励を受けました。
 討議では、新組織への対応や雇用に対する取り組みの意見や不安等が出されました。運動方針の中心の、「全員の雇用を守るため全力をあげる」ことが承認されました。
 大会に続いて行われた学習会では、飯塚書記長から今後の取り組み等について説明を受けました。これからの運動の重要性を改めて認識しました。
 大会、学習会の後はOB組合員を含め懇親会を行いました。OB組合員から心強い激励をたくさん頂き元気づけられました。
 新役員は次のとおり。
 支部長  吉田廣信
 副支部長 伊賀ひとみ
 書記長  波田野京子
 書記次長 丸山雅俊
(大分県支部 組合員)

滋賀県
想いを理解し合って
第10回支部定期大会を開く
 10月27日、滋賀県職員会館において第10回定期大会を開催しました。
 今回は、10回目の節目。社会保険をめぐる状況は日増しに厳しくなっており、日々の残業による疲労で体調を崩す組合員もあり、全員参加にはなりませんでしたが、午前中の大会では恒例の参加者全員発言で組合員相互の想いを理解することができました。同時に学習会も開催し、本部の杉浦副委員長と京都支部長山本さんから、社会保険庁改革の現状と問題点について講演をいただきました。
 その後琵琶湖ホテルに移動し、第10回を記念し、懇親会を開催。ゆったりとした土曜日の午後を過ごしました。
 新役員は次のとおり。
 支部長  西村伊知朗 副支部長 中澤明広
 同    竹本篤史 
 書記長  木瀬知彦
(滋賀県支部 組合員)

香川県
厳しいなか問題共有し
支部定期大会で奮闘確認
 全厚生香川県支部は、定期大会を、今までの開催時期よりだいぶ遅れましたが、11月17日に開催しました。
 本部より峰書記次長を迎え、業務センターの実情を交えながら現在の情勢を報告いただきました。また、各分会より職場の現状が報告され、各分会の問題の共有が図られました。最後に支部として現在の厳しい状況のなかで精一杯奮闘することを確認し無事大会は終了しました。
 07年度の支部執行体制は次のとおりです。
 支部長 香川 博
 書記長 森 芳清
(香川県支部 組合員)

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