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◆第1687号(2007年11月15日付)◆


社保庁に業務改善勧告を
労働条件改善求め人事院に要請
 全厚生は11月2日、人事院に対し、社会保険庁職員の異常な勤務実態、労働条件の改善などを求め、人事院要請を行いました。要請には、杉下委員長をはじめ、山本・杉浦両副委員長、飯塚書記長、峰書記次長が参加。人事院は職員福祉局松尾参事官が対応しました。
 冒頭杉下委員長は、社会保険庁改革の中で改善に向けて努力してきたが、ますます憂慮すべき事態となっている。収納率アップや記録整備が史上命題となっている中で、土・日、夜間と対応しなければならない状況が続いている。代休取得も困難、異常な超過勤務の結果、ただ働き残業が恒常的となり、メンタルを中心に健康悪化も深刻で、退職者が急増する一方、新規採用も困難な状況にある。国家公務員の福利厚生、労働条件等に責任を持つ中央の人事行政機関としての役割を発揮してほしい、と別紙の6項目について申入れました。
 続いて、山本副委員長が窓口と電話対応で限界を超えている社会保険事務所の実態を、具体的なトラブル事例などを踏まえ訴えました。また、峰書記次長が、官邸主導で強行された様々な業務運営の中で、100時間を超える残業者が1割以上発生していること、休めないことからかえって非効率になっている実態等を訴え、現場からも改善に向けて取組んでいるが、是非人事院としても努力をお願いしたい旨強調しました。

状況について理解改めて指導したい
人事院が回答

 これに対し松尾参事官は、要請書については、趣旨を踏まえ担当部局に伝える。7月に中部、さらに近畿と地方事務局へも要請があったことや、職員からの苦情相談も多いことから、状況については理解している。担当課から、社会保険庁にも法令違反にならないように注意喚起を行ったと聞いている。改めて強い要請があったことは伝え、もう一度注意喚起を行うようにしたい、との考え方を示しました。
 杉下委員長は、中堅層が心の病で相次いで退職している。ある県では100人以上の欠員が生じている。そうした中で次から次へと業務を処理しなければならず、人事院には、職員の命と健康を守る責任があり、国公法22条にもとづく改善勧告を発動していただきたい、と重ねて要請しました。
 松尾参事官は、人事院としては状況把握が第一と考えている。勧告は最後の話しであり、今まで発動したことはない。強権発動で解決する問題とは思えないし、法にもとづいた管理を求めていく。社保庁も努力していると思うし、人事院としても努力する、と人事院の基本的な立場を改めて表明しました。
 全厚生としては、12月に予定している社会保険庁交渉等を通じ、引き続き取組みを強化していく考えです。

人事院への要請事項
1.欠員を補充し、職場の体制確保が困難となっている状態を早急に解消すること。
2.超過勤務の縮減など厳正な勤務時間管理と、ただ働き残業を解消すること。
3.休日の代休日について、「一般職の職員の勤務時間、休暇等に関する法律」に基づき、適正執行すること。
4.本来職務の範囲を超え、困難な業務を担わされている非常勤職員の労働条件を改善すること。
5.長時間・過密労働の解消と特別健康診断の実施など、健康管理対策を強化すること。
6.来庁者からの暴行・暴言の発生に対し、安全対策を講じること。

新テロ特措法案は廃案に
衆議院での強行採択に抗議
 衆院テロ防止特別委員会は11月12日、インド洋での海上自衛隊の給油活動を再開するための新テロ対策特別措置法案の採決を強行し、自民、公明両党の賛成多数で可決しました。新テロ法案は、翌日13日衆院を通過しましたが、民主党が主導権を握る与野党逆転下の参院では、審議入りのめどは立たず、12月15日まで延長された会期内での成立が困難な情勢になっています。政府・与党は会期を1月中下旬まで再延長し、なにがなんでも成立さようとしています。 11月8日の国会前行動では、「新テロ特措法案は、報復戦争支援でありテロ根絶に逆行する。廃案しかない」と参加者は、国会へ向けてこぶしをあげました。

リレーずいそう
●姫路風おでん
 関西に来て7回目の冬を迎えております。今回は姫路の話題です。
 兵庫県姫路市と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?姫路城、それとも、あややでしょうか。今回私が紹介するのは「姫路風おでん」です。またまた、食べ物の話題になっちゃいました(笑い)。
 普通のおでんと何が違うのかというと、キーワードは「しょうが醤油」です。
 急に寒さが増してきた11月のある日、知人と訪れたのは姫路駅にほど近い小料理屋(姫路風おでんの店)でした。
 まず、しょうが醤油の入った器が目の前に置かれます。後はネタを注文し、それに付けて食すのです。ネタは玉子、こんにゃく、大根、厚揚げ、餅巾着、ジャガ芋、牛すじなどの定番メニューの他、ぎんなん、わかめ、春菊、蛸、椎茸等々30種類も有るのです。かなり迷うところですが、私がチョイスしたのは大根、こんにゃく、蛸、じゃこテン、わかめ、椎茸などです。比較的薄味に煮込んであり、しょうが醤油とのコラボレーションは新鮮な味わいでメッチャ美味しかったです。焼酎のロックもいただき、大満足の一日でした。
 姫路に来られた際には、「姫路風おでんの店」を探してみてはいかがでしょう。
(神戸支部 組合員)

News
障害者自立支援法改正を
10.30全国大フォーラムに6500人

 10月30日、障害者ら6,500人が参加し、「私たち抜きに私たちのことを決めないで!今こそ変えよう!『障害者自立支援法』10.30全国大フォーラム」が東京・日比谷野音で開催されました。(写真上)集会では、政党アピール、実態報告、政党シンポジウムなどが3時間半にわたって行われ、障害者予算の大幅確保、障害者の権利条約にふさわしい障害者施策の確立、障害者の生活を直撃している「応益負担」の廃止、自立した生活ができる「障害者自立支援法」の改正などを求めるアピールを採択し、厚生労働省に申し入れました。全厚生も参加しました。

高齢者いじめの悪政反対
年金者組合が11.8年金者一揆2007

 「高齢者は怒っているぞ」と、全日本年金者組合は11月8日、全国で「年金者一揆2007」を繰り広げ、8,000人の高齢者が参加。東京・日比谷野音での中央集会(写真上)には、医療改悪、「消えた年金」、庶民増税は許さない、国民のくらしと権利を守れ、と3,000人が参加。会場は、そろいのジャンパーや法被でオレンジ一色に染まりました。篠塚多助委員長は主催者あいさつで、「政府、与党に最低保障年金制度の実現と高齢者いじめの悪政の撤回を迫ろう。すべての高齢者が安心してくらせる日本を実現しよう」と呼びかけました。全厚生も参加しました。

12月の主なスケジュール
2日  全厚生女性部第12回総会
4日  大臣官房人事課長交渉
7日  国公労連全国討論集会(〜8日)
10日 厚生科学課長交渉
12日 第3回本省庁協議会
14日 第4回中央執行委員会
15日 社会保険支部代表者会議
19日 公共サービス商品化反対・定時退庁宣伝行動

神奈川
社保職場の実態是正を
県国公が人事院と交渉
 神奈川県国公は10月25日、昇格改善、勤務時間の短縮・改善、非常勤職員の労働条件改善等を求めて人事院関東事務局に「神奈川国公秋季要求書」を提出し、交渉を行いました。交渉には、全厚生・全労働・全港建・全建労から6人が参加。人事院関東事務局は、総務一課長・給与一課長が対応しました。県国公単独での交渉は、数年ぶりとのことであり、関東事務局との折衝を続け、今回の交渉は、筆頭課長対応となりました。
 全厚生からは、神奈川の社会保険職場の欠員状況、休日出勤や毎日の長時間過密労働の中で健康を害して休む人が少なくない職場環境・状況を話し、人事院に職場実態を把握し是正するよう求めました。
 関東事務局からは、「他県の社会保険職場で働く職員からも同じような職場実態の声が届いている。今日のこともふまえ、本院に伝えていきます」との回答がありました。
(神奈川県国公議長 組合員)

兵庫県
結成して本当に良かった
第1回支部定期大会を開く
 全厚生兵庫県支部は10月27日、神戸市にて第1回支部大会を開催しました。当日は兵庫県国公をはじめ全厚生本部より杉下委員長、京都支部、大阪支部、またはるばる大分県支部より激励に馳せ参じて頂きました。
 冒頭、柴田支部長より、「もがき、苦悩しながら、5月19日に支部を結成しました。あっと言う間に5カ月がすぎました。今は本当に結成して良かったと声高らかに言えます。今、まさに全組合員は組合と仕事に頑張っています。知恵と希望を与えてくれた全国の仲間に感謝します」と力強い挨拶がありました。
 杉下委員長から兵庫は小さな組織ではあるが、今後も胸をはり心を合わせ団結して頑張ってほしいとの激励の挨拶を受けました。
 引き続き県国公、大阪、京都、大分の各来賓から挨拶を受けました。
 大会ではこの5ヶ月あまりの活動の総括と今後1年間の活動方針、決算と会計監査報告、予算と規約の一部改正が満場一致で可決され、新役員を選出しました。討論では雇用問題をはじめ不安が多い中、支部が信頼される運動の展開が必要との積極的発言がありました。
 大会後、国公共済会の学習会を行い終了しました。
(書記長)

静岡県
どうなる採用・労働条件
新組織への学習会を開く
 静岡県支部は11月16日に静岡労政会館で、職員の全国健康保険協会への意向調査が始まったことから緊急の新組織の採用と労働条件についての学習会を行いました。
 この問題の緊急性、重要性から杉下委員長に来ていただき、庁への質問事項やとりまく厳しい情勢について説明を受けました。
 組合員から「労働条件がはっきり決められない中で意向を書くのは難しい」、「産休中や育児休業中は、採用に不利なのか」、「広域人事が基本か」、「全国健康保険協会に内定後に日本年金機構に変更(内定取消)できるか」等組合員が切実に考えていることに質問が出されました。
 また、検証委員会や再生会議の最近の動きについても説明がありました。最後に杉下委員長から全厚生組合としてこれから組合員の雇用を守る運動を最重点に進めていくとの発言があり組合員間で確認をしました。
 支部からは、緊迫する情勢の中で新たな状況となったときには今回のような学習会を開くことを確認しました。
(支部長)

「年金記録問題検証委員会」最終報告について(見解)
全厚生労働組合中央執行委員会

1.年金記録問題の経緯、原因、責任の所在等について調査・検証を行ってきた「年金記録問題検証委員会」は10月31日、最終報告を発表しました。
 最終報告では、年金記録問題発生の根本にある問題として、国民の大切な年金に関する記録を正確に作成し、保管・管理するという組織全体としての使命感、国民の信任を受けて業務を行うという責任感が、厚生労働省及び社会保険庁に決定的に欠如していた、と指摘するとともに、年金記録問題発生の責任の所在として、歴代の社会保険庁長官を始めとする幹部職員の責任は最も重く、厚生労働省本省の関係部署の幹部職員にも重大な責任があり、厚生労働大臣についても責任は免れないとしています。
 歴史の事実を基本とした検証委員会の最終報告からも明らかなように、年金記録問題は、歴史的・組織的背景を持った複合的要因により発生しています。同時に、年金制度の根幹に関わる重要な事務である記録の管理に、十分な予算や人員が措置されてこなかったことも史実などから明らかです。歴代の社会保険庁長官や厚生労働省幹部、厚生労働大臣の責任はもとより、歴代政府の責任も重いものがあると考えます。

2. 特に、最終報告が、年金記録の不備データが存在することの原因として、コンピューターシステムの問題をあげるとともに、過去の誤りの発生状況等を記録し、減少策を検討することが重要であるが、社会保険庁は、オンライン化前もオンライン化後から現在に至るまでもこのような取組みを行ってきていない、また、年金記録の誤りが相当あることに対して、これを定量的に把握し・検証・補正する組織的な取組みは行われなかった、と指摘していることは組織的な問題として極めて重要です。
 また、報告説明書において、総務省は被保険者台帳の整備等年金記録問題について、過去4回行政評価・監視の結果にもとづく勧告を行っているとしています。しかし、基礎年金番号導入後の2004年勧告では、「宙に浮いた年金」の存在と、計画的な統合状況を把握していたにも関わらず、早急な統合処理を求めていないことも事実として受け止める必要があります。

3. さらに、間接的な要因、組織上の問題として、三層構造に伴う問題、職員団体の問題、地方事務官制度に係る問題の結果、組織としてのガバナンスが決定的に欠如していたと指摘するとともに、厚生労働本省と社会保険庁の関係について、厚生労働本省は管理監督するという立場から、必要な注意や関心を払い、積極的に関与していくべきであったが、責務を果たしていたとは到底言えないと言及しています。
 全厚生は、こうした問題の根底には、1947年から2000年まで続いた、国家公務員でありながら、都道府県知事の指揮・監督を受けて業務に携わる「地方事務官」という変則的な身分制度が存在していたと考えます。全厚生は、責任の所在が極めてあいまいである地方事務官制度は早期に廃止し、健康保険や厚生年金は国の業務として国の機関が運営することと、国民年金業務については国と地方の共同事務として民主的に再配分すべきであることを主張してきました。こうした身分制度を長年放置してきた国の責任も重大です。
 また、職員団体による偏りすぎた運動が指摘されていますが、全国オンライン化計画に対し全厚生は、機械化に反対し止めさせれば良いという考えではなく、「科学技術の進歩を国民本位の方向で活用する」との立場で社会保険庁と対峙してきました。特に、膨大かつ増大する業務の中で国民のニーズに対応した社会保険事業の円滑な推進を図ることを目的とした「社会保険事業将来構想」や、「基礎年金番号」の導入などに対し、積極的な主張を行ってきました。

4. 最終報告は、今後の教訓として、組織及び業務の管理・運営に関してガバナンスを確立するとともに意識改革・業務改革の推進、適切な人材を養成・確保するとともに職員の一体感の醸成、誤りを発見・是正していく仕組みの構築、職員団体と適切な関係を保つことなどの改革の推進をあげています。
 しかし、2010年1月に設立される「日本年金機構」は、業務運営をバラバラに解体し、多くを民間に委託するものとなっています。公的年金は、50年から60年にわたる長い間の加入・納付記録などの適正な管理が求められます。また、幾多の改正・経過措置が設けられる中で、正確に理解し運営するには、専門性と継続性の確保こそが基本となります。そうした業務運営を競争入札でたびたび業者や従業員が代わることも予想される民間委託にゆだねて、国民のプライバシーや年金権が確保され、サービス拡充ができるのでしょうか。国民生活の格差と貧困が拡大する中で、老後生活の基盤である公的年金の拡充を求める国民の声はますます強くなっています。国の責任による制度と業務の運営は、安心・安全の土台であると考えます。

5. 全厚生は、当該職員を中心に構成する労働組合として、「老後の命綱」である公的年金の業務運営において、こうした記録管理が行われていたことは、国民の年金権確保と、行政の民主化に対する取組みが弱かったことを重く受止めなければならないと考えます。そうした立場から、6月5日には、全被保険者並びに既裁定者に納付記録を直ちに送付することをはじめとする「年金記録の適正化に関する申入書」を社会保険庁へ提出し、国民の年金権確保とともに、記録の早期整備に全力をあげてきました。さらに、資格取得や資格喪失時の過去記録の通知、また、報酬改定時などにも変更内容を通知するなど、国民が日常的に年金制度に関心を持ち、権利を行使するためのシステム構築を強く求めていきたいと考えます。また、ねんきん定期便や特別便の送付時には、記録や報酬だけでなく制度広報を確実に行うようなことも必要と考えます。
 同時に、25年かけないと全くもらえない長期の資格要件や、40年かけても月66,000円にしかならない基礎年金制度を抜本的に見直し、誰もが安心して暮らせる年金制度の実現のために、広範な運動に引き続き参画していく決意を改めて表明するものです。
2007年11月10日

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