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◆第1686号(2007年11月1日付)◆


十分な説明と公平・公正な選考・採用を
「全国健康保険協会」職員の勤務・労働条件等公表される
 社会保険庁解体の第一弾として2008年10月に「全国健康保険協会」が設立されますが、設立委員会は10月25日、協会職員の採用基準、労働条件等の具体的内容を公表し、社会保険庁職員からの募集について、社会保険庁長官に要請しました。これを受けて社会保険庁は、職員関係の採用等スケジュールを示しました。(全体概要は全厚生新聞号外を予定)
 一方、2010年1月に設立される「日本年金機構」について、民間委託する業務の範囲と、職員採用についての基本的な事項について検討している「年金業務・組織再生会議」は10月4日、「職員の採用についての基本的な考え方」(中間整理)を示しました。これに対し国公労連は23日、「雇用の完全確保と公正・公平な採用を求める」書記長談話を発表しました。
(談話全文は全厚生ホームページに掲載)

■社会保険庁職員の採用を大幅に制約する定数設定
 全国健康保険協会の組織人員は、常勤職員については、業務・サービス部門の効率化により現行より約200人少ない約2000人(他に健康事業財団より約120人)、非常勤約1500人(他に健康事業財団より約850人)で、社会保険庁職員からの採用予定者は約1800人を上限とし、民間からの採用や民間・国等からの出向により約300人を確保。ただし、必要な人材が確保されない時は、採用の内訳の変更もあり得るとしています。
 業務・サービス部門の効率化や事務の集中化による合理化などが前提になっているとは言え、こうした定数設定は、2010年1月の社会保険庁廃止の際の職員雇用にも大きく影響するものであり、重大な問題です。

■処分の考慮は恣意的な判断の危険性
 具体的な採用基準については、(1)2007年度上期の人事評価を踏まえ従前の勤務成績等を勘案し総合的に判断、(2)誓約書の提出、(3)職務遂行に支障のない健康状態、(4)懲戒処分を受けた者及び社会保険庁改革に反する行為を行った者については、その内容、勤務成績、改悛の情を考慮、合わせて矯正措置等についてもその理由となった行為の性質等をきめ細かく判断、(5)年齢満60歳未満であること、とし本部・支部の人数及び役職との整合性を図ると共に、広域的な人事異動を原則とする人事方針や年齢構成のバランス等を考慮するとしています。
 採否決定において過去に受けた処分を重要な考慮要素とするとしていますが、社会保険庁においては、過去10年間に6000人を超える被処分者が発生しています。その圧倒的多数は、国民年金保険料の「不適正免除」及び年金個人情報の「業務目的外閲覧」です。保険料の着服や横領などは論外であり厳しく処罰されるべきですが、「不適正免除」は、国民年金保険料の収納率改善が最大のテーマとされた社会保険庁改革の中で、組織的に業務命令として行われたのが実態です。また、「業務目的外閲覧」は、機器操作に必要なカードを多数の職員が使用するような管理体制の中で発生したものであり、中には、閲覧していないにもかかわらずカード管理責任者として処分が行われた者もおり、社会保険庁の管理責任が厳しく問われなければなりません。同時にこれらは、既に関係法令に基づき処分が行われており、新組織への採用に当たり考慮基準とすることは二重制裁となり、重大な問題です。

■公共サービスには相応しくない成果主義の強化
 給与については「基本給は号俸制を廃止し等級ごとの上下限のみを定める範囲級方式」、賞与は「基本賞与と業績賞与の合計」などと、能力・実績主義を強調しています。全厚生は、人事評価制度については、公平性・客観性・透明性・納得性を備えた仕組みとすることを要求していますが、行き過ぎた「成果主義」の弊害は民間企業をはじめとする様々な職場で指摘されています。910億円もの保険金の不払いが社会問題となっている生命保険。利益追求するあまりの数々の食品偽装事件。成果主義の下、コスト削減や効率化が追及された結果でもあります。また、能力や実績を強調すれば、いたずらに競争心があおられ、職場のチームワークは乱れ、安定的な公共サービスの提供よりも、上司の意向や自らの処遇にだけ意識が向かいかねません。被用者保険の最後の受け皿として、国民の暮らしと命を守る健康保険制度の運営に、競争原理の導入・強化は、給付の抑制、サービス切り捨てにつながらないか懸念されます。

■社保庁は十分な説明と公平・公正な名簿作成を
 社会保険庁は、11月中に全職員の意向調査を実施し、希望者の調整を行ったうえで、来年2月末には設立委員会へ希望者名簿を提出する予定です。
 全厚生は、地方厚生局の定数、希望者調整の考え方、非常勤職員の採用計画など重要な部分について不明な点も多く、事前の十分な説明を求めると共に、希望者名簿の作成に当たっては、公平・公正な対応を求めるものです。

リレーずいそう
●読者の激励で踏ん張り執筆
 私が6月から、労働者のための民主的週刊紙「新かながわ」で連載してきた「安心の暮らし・老後 社会保障」は、11月号で12回連載が終わりました。連載の話があったときは、自分にやり切れるだろうか…と不安はありましたが、社保庁改革に立ち向かう決意で執筆を引き受けました。 職場に社保庁改革の嵐が吹き荒れる中で、私自身も業務に振り回されることもしばしばでした。そんな中で、労働組合書記長の任務を持っての執筆活動は、連日の新聞報道・国会情勢を注視し、社会保障の文献をいくつも読みながら、締め切りと格闘する毎日でした。覚悟はしていましたが、想像以上の激務となり、何度も投げ出したいと思いました。
 ところが、連載を続ける中で、「社保庁攻撃の中で勇気を出してよく書いた」「読んでいてわかりやすい」「毎週楽しみにしているよ」「改めて読み直すと社会保障のポイントがよく網羅されている」「君なら舛添とたたかえる」などの読者からの感想や激励が寄せられ元気付けられました。それを支えに、踏ん張り執筆してくることができました。私自身、この連載を執筆する中で、命の尊さ、人権、生存権などの民主主義の理念を、人民のたたかい一つ一つを積み重ね現実のものとしてきた、社会保障の20世紀の到達点と原則に確信を持ち、国民多数のものしていくことが大切だと確信しました。今後は、この経験を運動に生かし、さらに奮闘していく決意です。
(神奈川県支部 組合員)

News
インド洋派兵新法反対
東京国公が10.25昼休み国会デモ

 東京国公と5・3憲法集会実行委員会は10月25日、政府が国会に提出した、海上自衛隊のインド洋派兵を継続するための「新テロ特措法案」に反対して、昼休み国会請願デモを実施。(写真右)政府・与党は臨時国会中の成立を狙い、参院で否決したり、60日以内に議決しない場合、衆院で3分の2以上の賛成で再議決すれば成立となる憲法の規定の発動もにらんでいます。国会では、共産党と社民党がデモの請願受付を行いました。

職務を正当に評価せよ
人事院と昇格改善の課題で交渉
 全厚生は10月24日、昇格改善を求めて人事院と交渉しました。交渉には杉下委員長、儀同・杉浦両副委員長、飯塚書記長、小出・三角・木立各中央執行委員の7人が参加。人事院は、給与局・給与第2課の山根専門官が対応しました。
 人事院における来年度の級別定数改定については、各省からの要求ヒヤリング(9月〜)、各組合との交渉(10月〜)を経て、11月中を目途に改定素案をまとめ、全体像は12月の予算編成時に示すことになっています。
 昇格改善要求は、一人ひとりの賃金を規定するとともに、職務の正当な評価を行うものであり、全厚生は、本省庁、研究機関、社会福祉、社会保険の重点要求について、杉下委員長が要求趣旨を説明。人事院としてのこの間の検討・努力の結果とともに、要求実現を求めました。
 全厚生の要求に対する人事院の主な回答は次のとおりです。
 定員削減で部下が減り、職務の困難性が増している本省係長の5級格付けについては、上下の職務との相対関係、補佐と同じとはいえない。昇格の男女格差の是正要求には、あってはならないこと、任用を含めてパッケージで。
 研究職における技術・検定・教育・指導等の業務を適正に評価し、昇格改善を図ることについては、評価の基準は論文に限る話ではなく、人事院はしばってはいない。検査・検定に目を向けた評価の物差しがあればそれを否定しない。上位級定数の拡大はポストとの関係。行(二)部下数制限については、根本からはずすことはできない。カウントの仕方で工夫を。
 介護員長3級格付けは、福祉職への切替の経緯が尾を引いている、決して凍結しているわけではない。福祉職4級、5級定数の拡大はポストを見て。医療職(二)については、少人数職場がネック、そこをクリアしなければ。特効薬はない。
 社会保険では、地方庁の職務と機関の評価の引き上げ、級別標準職務表の抜本改善、6級以上の定数拡大の要求に対し、逆風がふいているが査定の場では関係はないと回答。
 人事院の回答を受け、
各項目・部門ごとに、具体的実状を示しつつ、重ねて要求の実現を求め、最後に杉下委員長が、人事院の引き続く努力を強く要求し、交渉を終えました。

全厚生近ブロ
社保職場の働くルール正常に
人事院近畿事務局と交渉
 10月19日、全厚生近畿ブロックは、人事院近畿事務局と交渉を実施しました。
 冒頭、総務課長から定数確定の作業日程は例年通り進んでいるとの説明があり、続いて神戸支部から障害者自立支援法施行後、さらに困難性の増す職場実態を訴えながら福祉施設と教育施設が並存している特殊性や近畿において希少な福祉職・教育職などの俸給表が適用されていることを認識して臨むよう申し入れました。
 人事院からは、行(二)をはじめ改善は困難な状況にある。聴取した内容は本院に届けるという回答にとどまりました。
 次に、社会保険支部から、困難な業務のもとで必要な処遇改善を求めるとともに、働くルールが崩壊している職場を正常に戻すため、人事院として、指導や是正勧告を行うよう求めました。
 人事院からは、今般、全厚生本部から本院へも同様の要請があり、全国的な問題としての対応が想定される。ここでは、近畿における状況を聞き、本院に伝え、適切な対応につなげたいと回答がありました。
 各支部からは、「職場は超勤、代休などの措置や健康管理がなおざり」、「事態解決のため、定員増を関係省庁に働きかけて欲しい」、「超勤時間を厳密に管理できるシステム導入を」、「特別体制で事務をすすめているが、懲戒処分までに至った磁気カードの取扱いが不適切になっている」、「世間では、国民と向き合って行政を進めてきた労組とそうでない労組が一律に『不適切な労使関係』といわれ、いま同様の批判を浴びている。非常に残念であり、人事院にはそのことを理解して臨んで欲しい」など切実な状況を訴え、人事院に誠実な対応を強く求めました。
(近畿ブロック 組合員)

秋田県
社保庁解体問題で学ぶ
青年部が秋の学習会
 秋田県支部青年部は10月27〜28日、由利本荘市の大内ファミリーランドで秋の学習会を開催しました。
 まず始めに飯塚書記長より新組織移行に向けた状況について講話がありました。社会保険庁の廃止と、それに伴う法人化の職員採用等のスケジュールということで、全国健康保険協会を皮切りに日本年金機構に至るまでの流れについて説明しました。特に、全国健康保険協会については、10月25日に職員の募集要件等が発表されたこともあり、今後の向性について考えさせられる、大変興味深い内容でした。
 次に梅田中執より全厚生が取り組んでいる課題について講話をいただきました。今後、社会保険庁を廃止することに伴い、新たな採用先を確保できない職員については、分限免職という可能性があるが、極力その様な事が無いよう活動をしていると聞き、秋田県の青年部としても、全厚生の一員として当面する課題に積極的に取り組んで行かなければならないと感じさせられました。
 2時間ほどの時間でしたが、今私たちが直面している問題・全厚生の取り組みについて飯塚書記長・梅田中執より貴重なお話を聞くことができ大変有意義な学習会を過ごすことができました。
(秋田県支部青年部 組合員)

国リハ
危機管理の強化を
第29回支部定期大会を開催
 国リハ支部は、10月24日の昼の時間に本部から杉下委員長出席のもと、第29回支部定期大会を行いました。
 杉下委員長は挨拶の中で、鈴木さんの本部役員退任に伴う感謝とご苦労の念、そして小出さん本部役員選出のお礼のあとに、機構改革から起こる様々な危惧などについての報告を行いました。
 支部の定期大会は、育児休業中の加覧支部長の下で短い時間制約の中で議題の報告・方針・会計報告・会計監査報告などが行われ、提案は無事可決することができました。また、組合員からは、「危機管理について当局の曖昧さが見受けられるため、組合員自らが様々な危機管理について意識を持ち、行動する必要がある」との呼びかけがありました。
(書記長)

10・28国民大集会に4万2千人
 10月28日、「ストップ改憲!許すな消費税増税!なくせ貧困!いのちとくらし・雇用を守れ10.28国民大集会」が東京亀戸中央公園で開催され、全国各地から42000人が参加。全厚生も25人が参加。「消費税増税やめろ」「平和憲法守ろう」と、デモ行進を行い、道行く人々に訴えました。

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