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◆第1684号(2007年10月1日付)◆


国民本位の社会保険行政の確立を
全厚生第71回定期大会を開催
仲間の雇用を守ってがんばる
 全厚生労働組合は、第71回定期大会を9月15・16の両日、静岡県熱海市で開催し、今年5月に結成した兵庫県支部を承認するとともに、2007年度運動方針案と財政方針案を採択し、たたかう方針を確立しました。大会には、全国から代議員・傍聴者など114人が参加。国民本位の社会保険行政の確立と職員の雇用の確保を最重要課題として取り組むことをはじめ、独立行政法人の「整理合理化」を阻止し厚生科学研究の体制を強化する、障害者自立支援法を改正し障害者福祉を充実させる、働くルールを確立する、などの要求実現へ奮闘する決意を固めあいました。大会宣言と「国民本位の社会保険行政の確立とすべての職員の雇用確保に全力をあげる決議」を採択し、新役員を選出しました。

委員長挨拶
雇用確保に全力を
分限免職の発動許さない

 杉下委員長は、冒頭、安倍首相が、所信表明演説から2日後に、突然退陣表明したことにふれ、国民を愚弄するもので許し難く、厳しく抗議したいと述べ、また、後継首相がだれになろうと、参院選で示された民意に沿うものではなく、衆院を早期に解散し、国民の信を問うことが必要だと強調し、社会保険庁改革問題を中心に、あいさつしました。
 全厚生はこの1年間、運動の軸足を社会保険庁改革問題に据えて、未曾有の厳しい情勢であったが、組合員は必死で業務に向き合う一方、中央、地方で国公労連に結集し、たたかいを進めてきた。社会保険庁改革法案は、自公与党の強行採決で成立したが、年金運営組織の民営化は、年金業務の安定的運営を困難にし、国の責任をも解体していくものと厳しく批判しました。
 改革法の成立により、新組織設立に向けて具体的動きが始まっているが、最大の課題は雇用問題。極めて重大な情勢にあることを共通認識に、正規、非正規一体で、雇用確保に全力をあげ、同時に、「分限免職」条項の発動を許さないことが重要だと強調しました。
 また、厚労省等への転任の受け入れ要請等の社会保険庁長官の努力が、形だけのものとならないよう、徹底して追及していきたいと述べ、向こう1年間のたたかいが決定的に重要だと強調し、分限解雇は許さない、働くルールの確立、そして国民の年金権確立をめざす、このことをしっかり結合してたたかいを進めていきたいと、力をこめて訴えました。
 続いて、独立行政法人「整理合理化計画」に反対するたたかいにふれ、国立健康・栄養研究所、医薬基盤研究所は、国民の健康、生命、安全にとって必要不可欠であり、廃止や民営化などは、公共の利益から絶対に認められないと、政府方針を厳しく批判し、計画の策定を許さないたたかいに全力をあげる、と強調しました。
 障害者福祉施策では、「国立更生援護機関に関する今後のあり方検討会」報告をもとに、今後、具体化の検討を進めるとしているが、国立施設の役割の重要性を前面に立て、当局交渉を強化していきたいと述べ、また、障害者自立支援法の改正について、諸団体と力を合わせ奮闘する決意を示しました。

大会宣言

 全厚生労働組合は、「たたかいの輪を大きく広げ 国民本位の社会保険行政の確立と職員の雇用確保に全力をあげよう」をメインスローガンに静岡県熱海市において、兵庫県支部を新しい仲間として迎え、第71回定期大会を開催した。この1年間のたたかいの経験と教訓を持ちより、職場と地域に根ざし、共同を大きく広げる2007年度の運動方針を全会一致で確立した。
 参議院選挙では、自公政権に対する国民のノーの審判が明確に示された。民意に背き政権にしがみつく安倍首相は、改造内閣を発足させたが、臨時国会冒頭での所信表明演説の翌々日に辞意を表明し、前代未聞の政局となっている。大会では、この政治情勢の変化を前向きに捉え、国民が主人公の政治への流れを大きくするために、労働組合として積極的な立場で奮闘することを決意した。
 社会保険庁改革の課題は、全厚生の最重要課題である。改革法案が強行され、新たな局面に入っている。政府のすすめる「改革」は、公的年金制度が良くなる話ではない。社会保険庁の解体・民営化・分割は、国の責任放棄に他ならない。年金記録問題の解決にふさわしい体制の確立を要求する。日本年金機構法を当面凍結し、老後を安心して暮らせる年金制度と組織・機構を要求する。いかなる攻撃があろうとも、総力をあげて雇用を確保する。
 職場の仲間は、厚生労働行政の担い手として、国民と向き合い日夜、奮闘している。本省庁職場の長時間で終わりのない残業実態は、過労死ラインを遙かに超えている。社会保険職場では、メンタルコールドで病む仲間が増え、退職を余儀なくされる仲間もいる。こうした事態は、すべての職場に広がっており、働くルールの確立は待ったなしである。働き続けられる労働条件の確保は、人間らしく生きるための基礎となる。この労働組合の根本要求の実現のために奮闘する。
 厚生労働行政は、格差と貧困を是正し、社会保障を拡充し、働くルール確立が行政目的の省庁である。国民本位の社会保険行政を確立する。障害者自立支援法を改正して障害者福祉の拡充をめざす。独立行政法人の「整理合理化計画」を阻止し、厚生科学研究の体制強化をはかる。全厚生の存在意義をかけて、憲法25条を行政に活かすために取り組んでいく。平和なくして社会保障の前進はありえない。憲法9条と25条を胸に刻み、国民と共にたたかう意志を改めて表明する。
 全厚生にとって、団結の力と質が試される時である。結成61年を迎え、仲間の期待に応え、頼りになる労働組合として、粘り強く、一歩一歩着実に活動を前進させる。大会方針を全面実践し、情勢を切り拓き、共同の力で展望をつくる。この決意を全厚生のすべての仲間たちの総意として、正念場のたたかいに全力をあげる。
 以上、宣言する。
2007年9月16日
全厚生第71回定期大会

第1号議案
雇用確保に向けて
職場・地域から具体的運動を

 飯塚書記長は第1号議案の提案にあたって、各支部の1年間の取り組みの前進に感謝すると共に、新たな段階を迎えた雇用問題では、職場・地域から具体的な運動の展開が重要になっていることを強調しました。
 特に、8月30日に開催された「年金業務・組織再生会議」において、「社会保険庁の廃止と法人の職員採用等のスケジュールのイメージ」が示されたことから、雇用確保の闘いが具体的になってきたこと。そのため、職場の団結を基礎に、社会保険庁・厚生労働省・事務局長など関係当局に対する使用者責任の追求、国会論戦と議員要請、他団体等からの支援、学習会、シンポジウムなどを国公労連に結集しながら、旺盛に取組んでいく方針を提案しました。また、「社会保険闘争委員会」(仮称)を設置し、総合的な運動の企画・立案、具体化に向けた運動体の設置なども合わせて提案しました。
 官製談合問題を契機に浮上した「独立行政法人の整理合理化計画」では、試験研究機関部門の2支部が対象となり、今後の展開は予断を許さないこと。各法人や厚生労働省の説明責任と使用者責任の追及を全厚生総体としても取り組んでいく必要があること。さらに、「国立更生援護機関に関する今後のあり方」の検討が急テンポで進められていることや、視力障害センター高等課程の募集停止、廃止方針などに対し、具体的な取り組みを展開していくことなどを提起しました。
 参議院選挙において、国民犠牲の「構造改革」を推進する自民・公明の与党に対して国民の審判が下り、民主党が第一党となったもとで、臨時国会は、11月1日に期限となる「テロ特措法」の延長問題が最大の焦点になること。11月に沖縄で開催される「日本平和大会」などにも積極的に参加し、平和と民主主義の前進と国民生活擁護、そして組織強化の観点からも全力をあげること。さらに、年金問題は臨時国会、08通常国会と続く大きな課題であること。来春には、解散総選挙も取りざたされている中で、自らの要求と国民的な諸課題とを結合させた運動を展開していくことなど、秋期年末闘争方針を提案しました。

第2号議案
財政方針を決定
本部費今年度も据え置き

 第2号議案「2006年度決算報告と2007年度財政方針・予算(案)」および第3号議案「予備費の支出について」を、福士書記次長が提案。
 決算報告では、厳しい情勢のもと、効率的な執行を心がけ、公務員の総人件費削減攻撃や社会保険庁解体・民営化法案阻止にむけ、多岐にわたる課題と結合した運動を予算の範囲で執行することができたことを報告。また、予備費の支出については、「社会保険庁改革に伴う意見広告」のキャンセル料金支出について承認を求めました。
 財政方針・予算(案)については、社会保険庁改革に伴い「職員の雇用と労働条件確保」と「安心して暮らせる社会保障制度」確立への運動と組織の発展を支えられるよう効果的な予算配分としたこと、一年間の運動を保障する財政を確保するためにも、緊急の課題である組織強化を積極的に進めることを提案。
 大会1日目の議事終了後、財政小委員会を開催し、第2号議案について集中した質疑・討論を行いました。 大会2日目、財政小委員会の議論と採決の結果について報告し、全体の採決で、2006年度決算報告及び会計監査報告ならびに2007年度財政方針・予算(案)を全会一致で採択しました。

本年度本部組合費
 今年度の本部組合費は、昨年度に引き続き、2006年3月時点の本部組合費の額です。なお、2006年4月以降の新規採用者の本部組合費については、左記の計算方式が適用されます。
 一般会計分=本俸×1・1%+420円、救援資金特別会計分=30円、専従役員補償特別会計分=90円の総合計。

ともに頑張りましょう
来賓あいさつ

 大会には、国公労連・盛永雅則副委員長、全労働・新宮峰男委員長、全医労・岩崎恒男員長、日本共産党・高橋千鶴子衆議院議員が来賓として出席し、挨拶しました。

メッセージ
 第71回定期大会にメッセージをいただいた労働組合、団体は次のとおりです。(順不同)
 全国労働組合総連合、公務労組連絡会、健康保険病院労働組合、総理府労働組合連合会、全情報通信労働組合、全法務省労働組合、全国税関労働組合、全国税労働組合、全経済産業労働組合、全運輸労働組合、全司法労働組合、国土交通省全建設労働組合、全気象労働組合、全国労災病院労働組合、国家公務員共済組合連合会病院労働組合、全日本年金者組合、日本医療労働組合連合会
 障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会(障全協)、中央社会保障推進協議会、全日本民主医療機関連合会、原水爆禁止日本協議会、全国保険医団体連合会、安保破棄中央実行委員会、全国生活と健康を守る会連合会、日本国民救援会、中央労働金庫霞ヶ関支店、株式会社きかんし 

社会保険の仲間の雇用守ろう
本省庁・研究機関・福祉施設・社会保険すべての部門から発言
 大会の討論は、15日と16日に行われ、のべ35人の代議員・傍聴者が発言をしました。討論の特徴をリポートします。

年金の運営責任は国にある
 京都支部代議員は、社会保険庁改革法を廃止し、新たに年金制度運営における国の責任を堅持した法律を出させるほどの気概をもって、この政治情勢を生かし運動しよう。神奈川県支部代議員は、安倍首相が退陣した。無責任な政府が強行採決した社会保険庁解体・民営化法案は法律として成り立つのか。改革法の内容は、ほとんど議論されていない。憲法25条の立場にたった社会保険制度、年金制度を訴え、国会議論を求めることが雇用を守ることになる。愛知県支部代議員は、宣伝行動で、ティッシュにアンケートハガキを入れ配布。集計結果は、「国の責任を明確にし、国がきちんと運営していくこと」が一番多く、「記録の管理は国が行い、運営は民間に任すこと」は、9・6%しかなかった。年金の国の運営責任が求められている。愛知県支部代議員は、今こそ全厚生は、1日も早く、最低保障年金制度を含めた提言を出し、国公労連、全労連規模で外に打って出る「国民の中へ」を実践しよう。そのことが組合員を励まし、国民の願う社会保険制度を実現していくことにつながる。大阪支部代議員は、社保庁に対する国民の批判は国民のパワーだ。これで自民党は参議院選挙で大敗した。制度改善と職員の雇用・労働条件を守る闘いを結合して進めよう。今後、健保協会、年金機構などの動きで運動のスピードが求められる。

公務全体にかけられた攻撃
 国公労連は社保庁の分限免職を含む組織の解体・民営化攻撃を、公務全体にかけられた攻撃であるとして取り組みを行っています。神奈川県国公議長の神奈川県支部代議員は、神奈川県国公として、神奈川労連と連帯しながら駅頭宣伝、事務局長要請を行った。社会保険庁解体によって一番被害を被るのは国民。国民生活や命にどう影響するのかを発信していくことが大事。愛知国公議長の愛知県支部代議員は、今、社会保険に働く職員・非常勤職員を激励する行動を全国的に具体化することが国公労連大会で提起された。すでに愛知国公は、「がんばろう社会保険、つくろう最低保障年金」キャンペーンを始め、第1弾として「メッセージカード」に取り組んでいる。兵庫県支部代議員は、行政サービスの向上と業務の効率化に向けて発言。業務において法令遵守が強調されているが、その前に、現在の法令が社会情勢に合ったものかを見直し、実態に合わない法令は改廃することが必要。静岡県支部代議員は、年金記録が見つかった場合、いかにもすぐ年金を支払うように広報しているが、現状では、支払うまでに6ヶ月、1年かかることになる。予算・定員を増やし、国民に早く支払うようにすることが、年金の信頼回復につながる。岐阜県支部代議員は、組合員は雇用不安もあるが、採用された後の労働条件をどう守るかも心配している。全厚生として、新組織に労働組合の旗が立てられるよう頑張りたいと発言しました。

賃金職員の雇用と労働条件守る
 傍聴の大阪支部組合員は、非常勤職員の雇用契約が日々更新、夏期休暇なし、残業代なし、退職金なし、勤務時間の延長のみありの状態を改善してほしい。他に行くところはないので、日本年金機構になっても雇用契約を続けてほしい。兵庫県支部代議員も謝金職員の賃金・処遇の改善について発言しました。大阪支部代議員は、非常勤職員問題は、極めて大切な課題。21世紀の財界の戦略は、非正規労働者を激増させ、労働者全体の賃金と労働条件を抑えることだ。労働者全体の要求を前進させるためにも非正規労働者の課題を第一義にとらえ奮闘することが求められる。
愛知県支部代議員は、相談対応の中で、謝金職員の力は大きい。お客さんから見れば、同じ社保庁職員。苦情も同じく受ける。謝金職員のがんばりで窓口はもっている。待遇改善をなんとか取り組んで行きたい。
 本年5月に兵庫県支部を結成した兵庫県支部代議員は、結成後の支部の取り組み及び職場における変化について発言。非常勤職員の交流会に向けてアンケート実施したこと。10月27日の第1回支部定期大会に向け、組合員の拡大に頑張ることを表明。
 秋田県支部代議員は、秋田県では、現在、メンタルコールドによる休職者も、組合脱退者も、若年者の自主退職者も出ていない。特に青年層が元気。学習会、レク活動を活発に行い、多数参加。青年達には笑顔がある。この笑顔を消さないよう活動したい。愛媛県支部代議員は、職場は厳しく組合活動も十分ではないが、脱退者は少ない。労働組合が何とかしてくれるのでは、という期待感がある。兵庫県支部代議員は、「本部に目に見える活動を提起してほしい」と言うが、自分が動かないとダメ。組織も立派なニュースもあるのに、組合員に提供できないでは、組合員はどうしたらいいのか。雇用どころか労働条件すら守ってくれない労働組合なら組合員は離れていくと他支部の活動にエール。

組合員同士のつながり大切
 愛知県支部代議員は、組合員向けにブログを立ち上げ、情報を発信している。仕事が多忙で、なかなか更新できていないが、組合員同士の横のつながりができて、組合員が声を出し、それを受け止める場として続けて行きたい。滋賀県支部代議員は、小規模支部の悩みについて発言。この春から厳しい毎日が続き、休暇も十分に取れない状況にある。規模が小さくて組合員の負担も大きい。仕事との兼ね合いで厳しい毎日だが、全国の仲間とともに奮闘したい。大分県支部代議員は、小さな支部だが、県国公で外部とつながり、活動している。国公九州ブロックの会議の他、医労連、年金者組合、社保協の学習会等に出かけて、社会保険の実態を訴えながら支援をお願いした。外に出かけていくことが多くて、職場を基礎にした活動が少ないと組合員拡大もできないとの反省もある。組織拡大をどう進めるかが今後の最大の課題。岐阜県支部代議員は、職場は厳しい。夜10時過ぎまで毎日残業し、疲れきって、組合活動するのもたいへん。平日夜の執行委員会は、仕事が遅くなり参加が少ない時もあるが、継続していくことが大切。組合員は話したがっている。日常的に相談に乗っているが、話すことで、がんばって続けられている。

他部門から社会保険頑張れ
 他部門から「社会保険がんばれ」との発言もたくさん出されました。ハ病研支部代議員は、社会保険職員の雇用を守るために4部門が連携して進めていくことが大切。ひとりの首切りも出さないたたかい、世論をつくるため、やれることはすべてやろう。福岡支部代議員は、全厚生において社会保険は柱であるが、次から次にマスコミ等で問題が小出しに出てくると、身内でも疑心暗鬼に陥ってしまう。国民にすれば、「自治労も全厚生も組合は組合」。処すべき点は処しながら、国民にもっとわかりやすいアピールをしてほしい。基盤研支部代議員は、5000万件の歴史的説明がされないまま、組合への原因のなすりつけに対し、毅然として、明確な説明を根気良く続けることが重要と思う。ある意味、全厚生にとってチャンスと考えることができる。地道な教育宣伝活動を力強く進めましょう。

本省庁は長く地道な活動で
 本省支部代議員は、霞国公で残業実態アンケートを実施した。社会保険庁では時間外に机上配布して回収した他、支部全体で500人弱のアンケートを集約し、結果を出した。本省支部組合員の3分の1が社会保険職員。細く長く地道な活動で、本省に組合の灯を消さないのが支部の役割。統計支部代議員は、4年ぶりに支部総会を開きたいと決意表明しました。

研究機関の交流をすすめる
 研究機関からは、感染研支部代議員は、支部の活動を報告。女性の管理職への登用、再任用、非常勤職員の組織化、体と心の安全対策、あらゆるハラスメントの防止など。国民の安全のために、行政に科学的根拠を与えるのが国立研究機関の役割。ハ病研支部代議員は、ハンセン病はアジアではまだ子どもの発症者が増えており、東南アジアの医師・研究者の研修をJAICAでハ病研において行ってきたが、今年予算が削られた。今年度は全厚生の研究機関交流会の開催、政策研究や交流をすすめるなど、厚研連を再開して、元気の出る活動を進めたい。基盤研支部代議員は、独立行政法人の整理合理化計画について発言。厚生労働省には14の独法があり、整理合理化の対象となるところも出てくる。国公労連のたたかう構えを受け、支部も、私たちの研究をどう位置づけ守るのかを明らかにして、他の独法とともに運動する。基盤研の設立期の今は、じっくり腰を据えて研究ができる環境を整えることこそ必要。目に見える成果があるかどうかの短絡的な物差しで研究や教育を図ることにNOを突きつけよう。

障害者自立支援法見直しを
 神戸支部代議員は、国立視力障害センターの高等課程の廃止問題について発言。定員削減を理由に廃止を決定したのはあまりに唐突。周知期間もなく、対象者の代替制度もない。視覚障害者のための施設・制度のために頑張りたい。国立リハ支部代議員は、「国立更生援護機関の今後のあり方検討会」の中間報告が出され、一方的な実施の動きもある。国立リハ支部では、組合員からの意見を当局に対して提言し、行動していく。福岡支部代議員は、女性の宿日直問題が当面の課題。男女雇用機会均等、男女共同参画を標榜しているが、昇格格差や女性としての役割は、厚生労働省の職場でありながら無視されている。引き続き「現行の宿日直体制を廃止」を目指して頑張りたい。
 また、障害者自立支援法「見直し」への意見が多く出されました。愛媛県支部代議員は、手話通訳者の立場から発言。昨年10月から実施された障害者自立支援法は、障害者の生存権を奪う法律。障害者施策の充実へ具体的に労働組合として取り組もう。秩父学園支部代議員は、障害者自立支援法は、知的障害者の特性にあっていない。発達年齢が1歳にも満たず働くことができない障害者の生きる権利はどうなるか。自立支援法は抜本改正、または、違う法律を作ってほしい。塩原支部代議員は、障害者自立支援法の問題を発言。小規模施設などでは、これ以上施設運営ができないところまで来ている。しかし、障害者で団結して頑張ってきている。

平和の為にできることから
 神奈川県支部代議員は、原水爆禁止世界大会に今年も3人が参加した。神奈川原水協から支部に依頼があり、多くの組合員が作った千羽鶴がアメリカの平和集会に渡った。平和の取り組みを継続していきたい。できることからやっていこう。業務センター支部代議員は、青年対策部は青年対策部の課題で発言。昨年、全厚生青年交流集会を開催した。青年層は減っているが、組合の横のつながりを築けたことや、みんなで何かを作りあげていく団結の力を学べるいい機会となった。日本平和大会への青年の参加を呼びかけます。

総括答弁
働く権利を守って
国民への働きかけに全力

 2日間の討論を受けて、杉下委員長が総括答弁を行いました。
 今大会は、女性(22・6%)、青年、そして非常勤職員が一定割合を占めていたこと。また、発言のすべてが、仲間のことを思い、仲間の気持ちを受け止めてのものであったこと。さらに討論の多くが社会保険関係に集中したが、全体として理解していただいたこと、などが特徴であった。
 社会保険の雇用問題は、働く権利、誇りと生活がかかっている。展望を切り開くカギは、使用者責任を徹底して追及するとともに、どれだけ国民の中に足を踏み出し、理解と支持を得られるかだ。
 この点では、「応援したいが状況が見えない」、「国民にはよく伝わっていない」と、全厚生の仲間でも「よく分からない」という発言があったが(福祉、研究部門から)、こうした現状を考えれば、国民への働きかけはたやすいことではない。それだけに全力をあげて奮闘しなければならない。
 職場状況では、「体制がないまま仕事が押しつけられ、体をこわす人や退職者が急増している。業務の実施体制の確立を」との発言があったが、喫緊の課題として、改善に向け努力していきたい。
 今大会で、「社会保険闘争委員会」の設置が確認された。雇用・業務問題、制度・政策、新組織における組合組織、運動の具体化など、しっかり議論して、本部、支部一体で力を合わせて奮闘していきたい。
 この1年間のたたかいが決定的に重要。福祉、研究機関、本省庁、社会保険それぞれが、かかえている課題に全力をあげ、全厚生の団結を強化してがんばっていきたい。

要求実現の先頭に2007年度執行体制
中央執行委員長(再) 書記局 杉下 茂雄
中央執行副委員長(新) 神戸 今井 進
中央執行副委員長(新) ハ病研 儀同 政一
中央執行副委員長(再) 書記局 杉浦 公一
中央執行副委員長(新) 本省 田口 雅之
中央執行副委員長(新) 京都 山本 潔
書記長(再) 神奈川県 飯塚 勇
書記次長(新) 業務センター 峰 一史
中央執行委員(新) 神奈川県 梅田 忠明
中央執行委員(新) 基盤研 亀岡 洋祐
中央執行委員(再) 滋賀県 木瀬 知彦
中央執行委員(再) 業務センター 木立 圭子
中央執行委員(新) 愛知県 國枝 孝幸
中央執行委員(再) 国立リハ 小出 千鶴子
中央執行委員(再) 秋田県 高階 聡
中央執行委員(新) 統計 三角 美智子
中央執行委員(再) 愛媛県 横田 真二
特別中央執行委員(再) 業務センター 北畠 弥生
会計監事(再) 秩父学園 秋山 佳秀
会計監事(再) 統計 佐藤 惠治
書記 近藤 浩美
書記 西田 志緒

退任されたみなさん
長い間お疲れ様でした。
 今大会で、副委員長の鈴木徹さん、伊藤健一郎さん、書記次長の福士広志さん、中央執行委員の深沢英二さん、倉橋忠司さんが退任されました。
中央執行委員を6期務めた深沢さんは、「現場の組合員の目線で中央執行委員として奮闘してきた。今後、愛知県支部、社保闘争委員会(仮称)でがんばる」。倉橋さんは、「大阪ブロック、大阪支部でがんばる」。本部専従として書記次長を3期務めた福士さんは、「『官から民』反対のたたかいに終始した3年間だった。10月から神奈川県の職場でがんばる」。副委員長を2期務めた伊藤さんは、「研究者は内にこもりがちだから組合活動は大事。厚研連の議長としてがんばる」。中央執行委員と中央執行副委員長として13期務めた鈴木さんは、「来年3月退官なので、一組合員として、4月からはOBとして、死ぬまで、全厚生と付き合いたい」とあいさつしました。

機関紙は組織を元気にする命綱
第20回全厚生機関紙フェスティバル
 大会初日、20回目を迎えた恒例の機関紙フェスティバルの表彰式を行いました。杉浦副委員長が参加機関紙全体についての講評と結果の報告を行い、杉下委員長が金賞と復活賞を受賞した支部、専門部の代表者へ賞状と副賞を手渡しました。
 杉浦副委員長は、10支部11機関紙の参加があったことを紹介し、「応募機関紙は減少したが、本当に職場がたいへんで、機関紙を出すということが極めて困難な中で、奮闘している。機関紙活動は組織活動であり命綱。組織を元気にするために機関紙を息づかせたい。機関紙を持続的に発行することがきわめて重要」と述べました。また、「全厚生は仲間に優しい組合。社会保険庁解体・民営化で将来不安がいっぱいになったり、激しい公務員バッシングの嵐が吹き荒れる中で元気をなくしたり、過密労働・長時間ただ働き残業の恒常化で疲れてしまったりする組合員がいても不思議ではないくらいの現状で、各支部の機関紙は、たたかう組合の姿を伝え、展望を指し示し、組合員を励まし、優しい言葉を掛け続け、必死にがんばっている」と述べました。

<金賞>
 本省支部「夜明け」
 感染研支部「執行部ニュース」
 函館支部「イカ労メールニュース」
 福岡支部「かたらせて」
 神奈川県支部「週刊保険」
 愛知県支部「こぶし」「支部だより」
 京都支部「社保ニュース」
 兵庫県支部「全厚生兵庫県支部ニュース」
 秋田県支部青年部「とらい」
<復活賞>
 大阪支部「全厚生大阪SHIBU-NEWS」
 京都支部女性部「たんぽぽ」

国民本位の社会保険行政の確立とすべての職員の雇用確保に全力をあげる決議
 社会保険庁改革は、新たな局面を迎えている。政府・与党は6月30日未明、参議院本会議で「改革」2法と年金時効撤廃特例法の採決を強行し、可決・成立させた。通常国会を通じて重要法案の強行採決を十数回も繰り返し、会期延長を強行した上での暴挙である。社会保険庁「改革」法の審議は、全く不十分であり、議会制民主主義を踏みにじる安倍内閣の姿勢を象徴的に示したものである。その帰結として、参議院選挙で国民の審判が明確に下された。
 社会保険庁改革は、社会保障制度の縮小・後退と表裏一体で押し進められている。改革は、公的年金制度を改善するものでは決してない。国民の関心事である年金記録問題の発生原因と責任の所在を解明し、その解決にふさわしい体制の確立を要求する。日本年金機構法を当面凍結し、老後が安心して暮らせる年金制度と組織・機構を要求する。 国民の信頼に応える道は、安心して暮らせる年金制度をつくることであり、社会保険を限りなく民間保険に近づける改革ではない。憲法25条の理念を活かす最低保障年金制度の確立は、現実の政策課題になっている。社会保障の立場で制度の拡充・改善をめざし奮闘することが大切である。
 雇用確保のたたかいは、重要な段階に入る。今後、全国健康保険協会及び日本年金機構の採用基準や労働条件などの考え方が示される。法律には、職員の引き継ぎ規定がなく、非常勤の雇用について、一方的な雇い止めが懸念されている。新組織の採用手続きは、「国鉄分割・民営化」の時と同様の仕組みになっている。日本年金機構で行う業務と民間委託業務の振り分け、職員採用の基本事項は、内閣官房の第3者委員会で審議し、閣議で決める段取りになってる。政治的、恣意的に公務員リストラとなる分限(解雇)処分を行うことは許されない。職場に働くすべての仲間の切実な要求に応えて、たたかい抜く。
 社会保険庁改革は、公務全体に大きな影響を及ぼしている。国公労連に結集し、国公産別規模でたたかい、国民的な課題に押し上げ、共同の取り組みに発展させることが大切である。「国民とともにたたかう」―この合言葉は、どんな時でも、忘れてはならない。さらに、社会保険職場のすべての仲間を視野に入れ、職場の仲間と対話し、励まし合うことを徹底的に重視する。社会保険庁改革のねらいと本質を国民の中に明らかにし、職員の雇用を守り、国民の願う社会保険行政の確立をめざし、組織の総力をあげて奮闘する。
 以上、宣言する。
2007年9月16日
全厚生第71回定期大会

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