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◆第1682号(2007年9月1日付)◆


年金制度の改善と雇用確保へ全力を
全厚生第71回定期大会のポイント
 全厚生は9月15・16日、静岡県熱海市で第71回定期大会を開催します。大会の焦点や情勢の見方など、議案のポイントを飯塚書記長に聞きました。

制度改善も含め広範な運動に結集しよう
 全厚生は結成60周年を迎えた昨年の「第70回定期大会」で、憲法擁護、社会保障闘争の前進、社会保険庁改革、職域・部門課題、及び国民的課題の前進などを、組織の強化・拡大と合わせ全力で取組むことを確認し、特に、社会保障解体攻撃と一体となった「社会保険庁の解体・民営化」法案に対しては、国公労連の産別全体の闘争課題として、全国各地で運動の主体となって奮闘してきました。
 通常国会の重要法案と位置づけた自民・公明の与党は、参議院選挙を少しでも有利に闘おうと理不尽な会期延長を行ったうえで、強行採決を繰り返し、社会保険庁改革関連法案を可決・成立させました。これにより、2010年1月の「日本年金機構」、および2008年10月の「全国健康保険協会」の設立が確定し、私たちの闘いも新たな段階に入りました。
 政府・与党は、新組織への移行に当たって職員の選別採用、分限免職の発動などを繰り返し強調していますが、不当な攻撃を許さず、労働者の生活と権利を守るために、全力で奮闘しなければなりません。今定期大会において「社会保険闘争委員会」(仮称)を設置し、雇用問題を最重点に、法的措置の検討や厚労省・社保庁当局の追及などを全国の仲間の支援のもと強化していきます。
 また、「年金記録問題」は、秋の臨時国会や08年通常国会でも様々な議論が行われるものと思われます。このまま社会保険庁の「解体・民営化」を許せば記録問題の責任も「宙に浮く」ことになりかねません。少なくとも、記録問題が完全に解決されるまで、日本年金機構法を凍結することも含めて、安心して暮らせる年金制度の実現に向けた広範な運動に職場・地域から積極的に参加していくことも重要です。

職域・部門課題の要求前進を
 定員削減、公共業務の民営化、社保庁改革などの中で、長時間・ただ働き残業が横行し、メンタルを中心とする健康不安に拍車がかかっています。とりわけ、本省庁や社会保険職場の異常な実態を早期に改善することは第一義的な課題でもあります。国公産別における対政府闘争への結集強化と共に、人事院への行政措置要求なども具体化します。障害者自立支援法に関わっての施設体系のあり方、談合疑惑に端を発した独立行政法人の見直しなど急テンポで情勢が変化しています。全厚生総体として英知を結集した運動を追求したいと思います。

組織の強化・拡大をみんなで追及しよう
 公務員労働者を取り巻く情勢は極めて厳しいものがあります。しかし、参議院選挙において自民党は、歴史的な敗北を喫し、結党以来はじめて参議院第一党の座を民主党に明け渡しました。年金記録問題や増税、閣僚の事務所費問題に端を発した政治とカネなどが大きなテーマになったとはいえ、根底には、小泉・安倍内閣が進める「構造改革」路線の中で、国民生活の格差と貧困が拡大し、政治の転換を求める国民の声があったことは明らかです。困難な情勢のなかでも、仲間たちを励ましながら、まともな運動、まともな労働組合の前進を目指し、共に頑張りたいと思います。

リレーずいそう
●食通ってわけじゃないけれど
 私には外食等で注文した料理に使われている食材を確認してから食べる癖がある。結婚して十年来、女房殿からはクレイジーだと言われている。しかしどうにも気になって仕方がない。おそらく海外で二度食中毒になったことが原因だろう。
 というわけで九月四日の昼食「のり弁当(P社製)」の食材を只今から確認します。なお店頭にある弁当の写真を参考として勝手に「弁当の正面」を設定して説明します。
 「のり弁」の外観は左から順に白身魚フライ(おそらくタラ)、ハラン(間仕切り用の緑色のビニール)、ちくわの磯辺揚げ(青海苔は無い)。これが弁当箱の左上から中央手前にかけて斜めに盛り付けられている。ちくわの右手には小さめの黄色いたくあん、ゴボウとニンジンのきんぴら(白胡麻を確認)。弁当箱右上がたくあんで右下がきんぴらである。ちなみに弁当箱の左横から左下にはオカズがのっていない部分がある。ここには「のりタル弁当」の際、白身魚フライの上からタルタルソースが塗付される。なお私はプラス二十円の価格差が不満なので買いません。さてオカズの下には縦に海苔が六枚敷き詰められ、オカズの風味が御飯へ付着するのを防いでいる。海苔をめくると御飯の上にオカカと昆布の佃煮が散らされている。残りは弁当箱の底まで温かい御飯である。
 これでひと安心。それではいただきます。
(函館支部 組合員)

News
いのち輝く平和な世界を
第53回日本母親大会を開催

 「今こそ生かそう憲法を! 手渡そう子どもたちに いのち輝く平和な世界を!」と8月25・26日、第53回日本母親大会が東京と埼玉を会場に開催され、全厚生も参加しました。25日は午後5時から、東京港区・芝公園から日比谷公園までの約40分間を4000人が母親大パレード。各県の母親連絡会毎にさまざまな衣装を合わせ、音を出しながら、また、ステップを踏みながら、華やかに行進しました。憲法9条をモチーフにしたタペストリーを掲げたり、色とりどりのうちわやパラソルを大きく沿道の人に振って、笑顔で「憲法と平和を守ろう」と訴えました。(写真右)スタート集会で木村康子実行委員会代表委員が主催者あいさつし、「母親パワーで大会を大きく成功させ、憲法と平和を守りましょう」と呼び掛け、「いっそうの連帯と共同でいのち輝く平和な世界を子どもたちに手渡そう」との大会アピールが拍手で確認されました。26日は4つの会場に分かれ問題別集会が開催されました。子どもと教育の問題別集会が開催された北とぴあさくらホールでは午前中、教育評論家の尾木直樹さんが、国の教育政策のもとで子や親たちの置かれている現状と解決の方向をユーモアたっぷりに講演しました。

住民サービスの確保に向けて
政府は必要な予算と人員の確保を
 社会保険の職場では、6月から平日夜間の窓口延長、土日開庁を実施しています。8月も、すべての社会保険事務所で、平日午後7時までの窓口延長とともに土日開庁(オンライン稼動は第2土曜日のみ)を「後日お答え方式」で実施しました。さらに社会保険庁は、平日夜間の窓口延長と土日開庁(オンライン稼動は8日のみ)を9月10日まで延長することを通知。その後の対応は別途決めるとしていますが、現場では、「代休が取れない」、「ただ働き残業が続いて体力の限界」などの悲鳴が上がっています。

利用者が減る中で税金の無駄遣いとの声
 8月26日、神奈川県の鶴見社会保険事務所を訪ねました。この日は、午前中に1人来客があったのみ。職員は、「土日開庁も、参議院選挙が終わったと同時に、急激に来訪者が減少しました。お盆の時期は毎年来客が多いですが、今後、土日開庁のニーズが利用者にあるかは疑問」と言います。
 連日35℃を超える猛暑の中、事務所では暑さをしのげる程度の空調は利かせ、照明もつけることになります。利用者からは、「人件費や水光熱費など費用対効果を考えると、どうなのでしょうか。税金の無駄遣いでは」という声も聞かれます。

恒常的残業が続き代休未消化が6割にも
 神奈川県の土日開庁は1事務所につき3人体制を基本にしています。鶴見社会保険事務所で年金相談業務ができるのは14〜15人で職員の半数に届きません。それで、平日夜間の延長と土日開庁を実施すれば、どうなるでしょうか。職員は、「毎週、土日のどちらか出勤しているが、代休消化は月1日がやっと。日々の業務量が多く、休むと支障をきたすので、代休は取れない」。
 神奈川県の7月の代休消化はわずか37パーセント。63パーセントが未消化のまま「ただ働き」と化している驚くべき実態です。
 また、他の職員も「平日は電話対応に追われ、緊張が続き、昼食をまともにとる時間もありません。午後7時に電話がかかってこなくなってからやっと落ちついて事務処理ができ、恒常的残業が続いている」と訴えます。

政府は必要な予算と人員の確保を
 神奈川県支部は、「オンラインが稼動しない中ではまともな年金相談もできず、住民サービスから見て問題があり、土日開庁はあり方を見直すこと。115人の欠員を補充すること。ただ働き残業はやめさせること」などを当局に申し入れています。今後、振替休日も取れない働き方の是正を求めて、人事院関東事務局に申し入れを行う予定です。

核兵器のない平和で公正な世界を
07年原水爆禁止世界大会in長崎
 「核兵器のない平和で公正な世界を」をテーマに、8月7〜9日、原水爆禁止2007年世界大会が長崎で開催され、7千人が集いました。3カ国の政府とアラブ連盟を含む5大陸20カ国以上の海外代表が参加。全厚生からは本省・ハ病研支部と本部から3人が参加しました。
 開会総会では主催者が国際会議宣言について報告。「この1年で、ブッシュ政権のイラク戦争が世界から見放され、安倍内閣が参院選で惨敗するなど世界情勢が大きく変化した」と世界の流れを強調。いま圧倒的多数の政府が核廃絶を求める中、2010年のNPT再検討会議にむけ「国連総会で核兵器全面禁止条約の協議開始を」求めていくことが提唱されました。
 もう1つ強調されたのは「日本が国際政治の場で核兵器廃絶のイニシアチブを発揮し、『非核三原則』を厳格に実行すること」。
 7月末に勝訴判決を勝ち取った原爆症認定集団訴訟熊本原告団の中山事務局長が壇上で「勝ちました!」と元気に報告し、「日本政府が被爆国の責任を果たし核廃絶の先頭に立つよう、被爆者として求めていく」と決意を述べました。海外代表からも「9条を守る運動と核廃絶署名の運動は、世界の活動家と政府を励ます」(米国)「日本が先頭に立ち核廃絶を求めるのは当然。この正義のたたかいに連帯する」(韓国)など、核廃絶にむけた日本の役割が次々に語られました。
 閉会総会ではアラブ連盟顧問が「核廃絶の偉大な目標は、大きな運動によってこそ達成できる」と発言。続く行動提起では、再検討会議にむけた世界的行動、「すみやかな核兵器の廃絶のために」署名、被爆者支援、非核日本と憲法9条を輝かせる行動などが呼びかけられました。「被爆者の願いを受け継ぎ、草の根の私たち1人1人が自らの行動で、必ず核廃絶への扉を開こう」との提起を全体で共有しました。

平和のために*知る*考える*行動する*続ける
原水爆禁止世界大会in広島に参加して
兵庫県支部 小川絵美

 私がこの大会に参加しようと思ったきっかけは、趣味の一つである旅行を通して、世界中で起こる紛争やテロ、平和について考えるようになったからです。
 広島では、爆心地である島病院をはじめ、本来の目標地点であった相生橋、世界遺産となった原爆ドーム、爆心地に最も近い学校である本川小学校、広島赤十字病院、原爆資料館、そして原爆投下後、たくさんの被爆者の方を収容した似島など、多くの被災地を回りました。
 最初に、原爆ドームを目にした時は、青々とした木々の合間から見えるその姿を、不謹慎にも美しいと思いました。ここが、何万人もの人が一瞬にして消し去られた場所。どんなに考えても、その姿だけでは、想像がつきませんでした。それぞれに残る傷跡は、時の流れとともに、きれいに風化していると感じました。しかし同時に、静かで美しいこの町は、今もなお深い悲しみに包まれている気がしました。
 資料館に保管されているさまざまな遺品には、それぞれに大切な人を失った人たちのメッセージが残されていて、焼け野原の中、大切な家族を必死に探しまわる人たちの姿や、火傷や被爆の後遺症に苦しむ人たちの姿が目にうかびました。今でも、平和公園の外や、多くの人々が治療の甲斐なく亡くなった似島の土を掘りかえせば、人骨が出てくるそうです。
 また、世界大会では、被爆者の方やその家族の方から、体験談や、現在取り組んでいる核廃絶のための活動の報告を聞きました。ある被爆者の方は、自分も被爆し、家族を原爆で奪われた、つらくて悲しい体験を、「本当は思い出したくないのです」と、涙ながらに語ってくれました。
 私たちが、毎日当たり前のように、食事をしたり、温かい布団で眠れることは決して当たり前のことではなく、悲しい歴史を乗り越えた人々の手によって守られてきたものだということがよくわかりました。自分たちがやらなければ、誰がやるのだといった、多くの被爆者たちの熱い思いが、今の私たちの平和な生活を支え、人類に三度目となる核戦争による被害を、かろうじて食い止めているのです。私たちは、その思いを受け継いで、今度は私たちが未来を守っていかなければならないと思いました。
 *平和とは何か* 戦争がなくて、貧困に苦しむことのない世界が続くこと。(世界大会の実行委員の方が言っていました)
 *私たちがすべきこと* まずは、今、日本や世界で起こっていることに関心を持ち、知ること。
 そして、それがどうして起こったか、どうすればよい方向に変わるかを考えること。それから、そのために行動すること。最後に、それをあきらめずに続けること。
 これが今回の世界大会の参加をとおして、私が感じ、みなさんに伝えたいことです。

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