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◆第1678号(2007年7月1日付)◆


公的年金業務の分割・民営化反対
社会保険庁改革関連法案の強行可決に抗議
 自民・公明両党は6月28日、参議院厚生労働委員会において、12日間の会期延長した上で、社会保険庁改革関連法案をまたも強行採決し、30日未明、参議院本会議において、可決・成立させました。
 与党は、参議院での審議時間が衆議院を上回ったことを採決の理由としていますが、衆議院厚生労働委員会では、法案採決後も年金問題が議論されるなど、審議が尽くされたとはまったく言えない実態にありました。
 全厚生は、衆議院段階からのたたかいに引き続き、国公労連に結集し国会前座り込み行動、国会傍聴行動等を行い、社保庁改革関連法案の問題点を広く世論に訴えてきました。法案の強行可決にあたり全厚生は、飯塚書記長の談話を発表(全文別掲)。引き続き、奮闘する決意を表明しました。

社会保険庁改革関連法案の強行可決に抗議する(談話)
 与党は6月30日未明、参議院本会議において、社会保険庁改革関連法案等を強行可決した。全厚生は、民主主義を冒涜する度重なる強行採決に、満身の怒りをもって抗議する。
 強行可決された法案は、社会保険庁を廃止・解体し、公的年金の運営を非公務員型の公法人に委託し、業務を分割・民営化する「日本年金機構法案」と、国民年金保険料未納者に対し国民健康保険の短期被保険者証を発行し、制裁を課すことなどを可能とする「国民年金法等の一部改正案」からなっている。法案審議の中で政府は、社会保険庁職員の雇用継承を行わず、分限免職もあり得ることを再三答弁している。これは、組織改編さえ伴えば、いつでも公務員労働者を解雇できるとの道筋をつけるものであり、断じて容認できない。

 私たちは、老後の命綱である公的年金業務の分割・民営化は、制度の安定的な運営や年金記録・個人情報の適正管理を困難にすること、憲法25条を基本とする社会保障制度の解体にも繋がるものであることを指摘してきた。そして、法案の問題点と真の狙いを広く訴えるために、多くの仲間たちの支援を得ながら、全国各地で様々な行動を展開してきた。こうしたことが、一部マスコミの主張に反映してきたことは明らかである。
 一方、法案審議の中で、年金記録のズサンな管理実態が明らかになり、国民の年金制度に対する不安と不信、怒りが集中した。いま国が行うべきことは、こうした問題がいかなる原因で生じ、その責任はどこにあるのかを徹底的に糾明するとともに、記録の適正化に全力をあげることである。

 また、法案は、記録管理問題が表面化する以前に提出されたものであり、前提条件が崩れ去っている。にもかかわらず、解体・民営化法案を強行したことは国の責任逃れの何ものでもない。
 政府・与党は、参議院選挙にむけて、社会保険庁改革、教育改革、公務員制度改革を「3本の矢」と位置付け、国民へのアピールを行おうとしてきた。国会のルールを無視した会期延長もそのための布石であり、二重、三重に民主主義を冒涜するものである。

 全厚生は、新たな情勢を踏まえ、雇用と労働条件の確保に向けて、全力で奮闘するとともに、安心して暮らせる年金制度の実現にむけて、全労連・国公労連を中心とする広範な労組・民主団体との共闘の輪を広げ、引き続き奮闘する決意である。

 2007年7月2日
全厚生労働組合
書記長 飯塚 勇

リレーずいそう
●全厚生衛研支部を去って
 定年まで38年間、組合員として通せたことを誇りに思っています。時代は遷り、「一人がみんなのために、みんなが一人のために」という時代が去ってしまったことは、ひどく寂しいことです。働き方の多様化という美辞の下に、労働者の差別化が進み、不公平な雇用が拡大しています。職員は、業績の評価を受けるようになりました。多くの業績を上げたものが多くの収入を得る。当然でしょうか。質の違う仕事にA、B、Cという評価を下すことなど出来ないのは勿論です。個人や組織や社会がそれによって失う大きなものを考えると、浅知恵としか思えません。私は、よい頃合いで定年を迎えることができましたが、皆さん方には、「評価」などに惑わされることなく、楽しく働きつつ質の高い仕事を全うして下さることを願っています。
 さて、気分転換。私が一番楽しいと感じた行事は、メーデー。五月晴れの下、隊列を組んで車道を歩く。いつもより空が大きく見えます。気恥ずかしいようなスローガンにも、段々平気で大声を張り上げられるようになります。いつも不思議な開放感と気分の高揚を感じました。メーデーの場に身を置くと、みんな同じ労働者であり、自分がその一人であることに誇りが持てるのです。山に登り、自然のなかに身を置くと自分が自然の一部であることを感じるのに似ています。癒されますよ。行進の後のビールも美味しい。
(元衛研支部 組合員)

News
戦争する国づくりやめよ
教育改悪3法とイラク特措法改悪強行

 6月20日、自民・公明両党は参議院本会議において、愛国心教育の押しつけと国家による教育支配を強める教育改悪3法案、イラクで米軍・多国籍軍の支援を行っている自衛隊の派兵を2年間延長するイラク特措法改悪案の採決を強行。全労連や国民大運動実行委員会は国会前で緊急の抗議行動を実施しました(写真左)。参加者からは「参議院選挙で国民の審判を下そう」と決意が述べられました。

働き続けられる職場に
女性の労働条件改善求める要求書提出

 全厚生女性部は6月20日、「女性の労働条件改善を求める要求書」を人事課に提出(写真上)。これは、女性部が春闘期に行った要求アンケートをもとに71項目にわたりまとめたもの。今後、人事課との懇談を通じ改善を求めていきます。

厚生科学研究は国が責任もって
厚生科学課長交渉を実施
 全厚生は6月27日、大臣官房厚生科学課と試験研究機関の重点要求にもとづき交渉を実施。交渉には全厚生から、杉下委員長、伊藤・杉浦各副委員長、飯塚書記長、福士書記次長及び、感染研支部、国衛研支部、ハ病研支部、基盤研支部、栄研支部の代表計11人が出席。厚生科学課からは、藤井課長、坂本研究企画官、大橋総括補佐、藤谷補佐が対応しました。
 冒頭、杉下委員長は、厚生科学研究の役割が高まるもとで、その責任を果たす研究体制の拡充を強く求め、重点要求に対する誠意ある回答を求めました。これに対し、藤井課長が一括して回答。「国立試験研究機関は国が責任をもって運営し、独立行政法人化を行わないこと」や「組織再編を進めるにあたり、労働組合に情報を公開し、職員・労働組合との合意形成に努め、一方的な組織再編は行わないこと」を要求したのに対し、「医薬基盤研究所ができた時点で、独立行政法人の整理はできている。新たに国立研をどうこうする話はない。細かい話は別にして、本省が主導する大きな変革は考えていない。将来的に外的な要員で検討せざるをえなくなった場合は、基盤研の時に節目節目に情報交換をやったのと同様に対応したい」と回答。

研究体制の確保と環境の整備を
 国立保健医療科学院の教育研修の課題では、各機関・研究者との協力体制をはじめ、充分な体制確保を要求。これに対し、
「科学院は教育研修が大きな役割であり、円滑に行うことは重要なこと。内部の委員会、外部では教育研修運営協議会で議論することになっている。その場に問題を出してほしい」と回答。老朽化している研究施設について、予算要求を優先して行い、安心して研究できる研究環境を整えることを要求。これに対し、「国衛研は府中移転が決まっている。予算要求は認められづらい。機能を維持・確保できるよう優先順位をつけて要求し、対応したい」と回答。

非常勤職員の労働条件改善を
 独立行政法人の課題では、医薬基盤研究所及び健康・栄養研究所の労働環境を整備し、基本的な労働条件を維持することを要求。これに対し、「独立行政法人は自主的に運営するのが基本。基盤研(当局)は、労働基準法で対応する環境にあることは理解している。事務レベルでの労使交渉はやっている。栄研も含め、法律を守るよう理事長にきちんと伝えたい」と回答。研究所に勤務する非常勤職員の業務や技能を適正に評価し、賃金・労働条件を改善する要求に対しては、「処遇面では、常勤職員と職責の重さを比較して考慮していく。必要なものは予算要求し、できるだけ努力したい」と回答。パワー・ハラスメントを防止するための指針を示すなど、具体的な対策をすすめること。独立行政法人を含むすべての機関でパワー・ハラスメントの規定を策定することを要求。これに対して、「パワー・ハラスメントは、個人の尊厳を傷つける人権侵害行為だが、定義・規定は難しい。政府全体の枠組みで対応したい。人事院にも言っていく。感染研では先駆的に規定を設けているので参考にしてほしい」と回答しました。

独法6年を検証
第25回国研集会を開催
 第25回国立試験研究機関全国交流集会が6月13日、つくば市・研究交流センターで開催されました。この集会は、1982年に第1回集会を開催して以降、国公労連と学研労協(筑波研究学園都市労働組合協議会)でつくる国立試験研究機関全国交流集会実行委員会の主催で毎年行ってきているもの。午前中は「独立行政法人の6年を検証するー独立行政法人で何がどう変わったか、何をどう変えられるか」と題して農林水産省・独法評価委員、元東大副学長の小林正彦氏が記念講演。その後に、基調報告を国公労連の上野中執が行いました。午後は、@人材問題分科会、A評価問題分科会、B研究支援分科会での討論及び全体討論を行いました。集会には130人が参加し、全厚生からは伊藤・杉浦副委員長と基盤研支部(筑波)の代表が参加しました。

燃えろ!!青年、集え若人!!
国公青年交流集会2007 inつま恋を開催
 6月15〜17日、国公労連青年協議会は「国公青年交流集会2007inつま恋〜燃えろ!!青年 集え若人!!」を静岡県内で開催。全体で270人が参加、全厚生からは、本省・統計・業務センター・愛知県支部・岐阜県・京都・神奈川の各支部と本部から、11人が参加しました。

パッチギの井筒監督が記念講演
 1日目は、映画監督の井筒和幸さんを招き、映画『パッチギ!LOVE&PEACE』や憲法についてなど、幅広いお話しを聞きました。続く「静岡を学ぼう!」クイズでは、出身都道府県ごとに分かれた班の仲間で相談し合って三択を選ぶなど、1日目から参加者同士でにぎやかに交流を深めました。
 2日目の午前中は、単組交流学習会。各単組の仕事や労働組合運動について、お互いの状況を交流しました。全厚生は参加者全員が前に出て、憲法25条を読み上げたり、コントを交えながら4部門について報告しました。そして午後は大運動会!障害物競走やドッヂボールなどの競技に夢中になり、大勢で遊ぶ楽しさを共有しました。

国公青年協の歴史を振り返って
 3日目は、「国公青年協の歴史を振り返る」コーナー。国公労働運動の歴史的な写真をスライドで見ながら、国公労連の木下教宣部長と酒井中執による講義を受けました。死者も出た1952年の「血のメーデー」大弾圧事件、51年の厚生省廃止計画を撤回させた全厚生の先輩たちの運動などに、「知らなかった!」「感動して涙が出た」との声も。

全厚生の参加者で交流を深めたよ
 また、夜は2日間とも全厚生の仲間同士で交流を深めました。皆で、単組交流学習会のネタ合わせを真剣に詰めたり、お互いの働き方や趣味の話など交流して盛り上がりました。
 参加者からは「なかなか会えない他支部の仲間と交流できて良かった」「国公労働運動の歴史に感動した」「今までは参加するだけだったけど、自分もできることをやりたい」など様々な感想が出され、仲間同士の連帯を深める機会になりました。
(本部書記)

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