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◆第1676号(2007年6月1日付)◆


社保庁改革関連法案の採決を強行
国民批判を無視した与党の暴挙を許すな
 5月25日、衆院厚生労働委員会において、自民、公明の両党は、社会保険庁を廃止・解体し、非公務員型の「日本年金機構」を設立し、公的年金の業務を分割・民営化する等の「社会保険庁改革関連法案」を数をたよりに強行採決しました。さらに5月31日に衆院本会議を開会し、翌未明に、野党の強い反対を押しきって、またもや自公両党が強行採決を行い、法案は参議院に送付されました。

審議を通じて法案の問題点が明らかに
 厚労委員会での審議は、参考人質疑を含めてわずか30数時間でした。業務をバラバラに分割し営利企業に丸投げする、このような法案に対して、参考人からは、「社会保険庁を解体し、年金や医療制度ごとに運営管理を細分化する法案は、世界的潮流に完全に相反する非効率な政策であり、導入すべきではない」(渡部記安立正大学大学院教授)との法案の重大な欠陥が指摘されていました。まさに議論すればするほど法案の問題点が明らかになる中で、政府・与党は「採決ありき」の姿勢を押し通したもので、採決はまったく不当であり、全厚生は与党の暴挙に厳しく抗議するものです。
 一方、委員会審議を通じて、基礎年金番号に未統合の5、000万件余の記録問題。いわゆる「宙に浮いた記録」、「消えた記録」問題が議論の焦点となり、年金の記録管理の杜撰さが重大な問題となりました。
 年金の記録管理は、国民の年金受給権を確実に保障する上で、その基本に関わる問題であり、その不備により受給権が侵害されることはあってはならないものです。社会保険庁は国民の権利保障に全力を傾注する必要があります。
 そのうえで指摘しなければならないのは、その対応において、実行可能な実施体制の確立を図らなければならないということです。職員に過重負担をかけるだけでは、その確実な実施が危ぶまれます。

参議院で徹底審議し、法案を廃案に
 法案審議は参議院に移ります。年金制度は国の責任のもとに国の機関で一体的に運営すべきものです。衆議院段階では、社保庁の廃止、大幅な定員の削減、業務の分割・民間委託の拡大が問題を解決する処方箋であるかの議論に終始しました。さらに分限免職の断行までもが強調されています。
 社保庁がかかえるさまざまな問題を、すべて職員に責任を転嫁するようなことは絶対に許されません。
参院審議においては、拙速な結論を求めることなく、法案は廃案とし、一から議論し直すべきです。

傍聴行動、緊急集会等徹底的にたたかう
 5月25日昼、衆院厚労委員会での強行採決という緊迫した情勢のもと、全厚生は、衆議院議員会館会議室で緊急の集会を開催しました。
 国公労連河村書記次長から、国会情勢及び今後のたたかいについて報告提案を受け、大阪支部長が参加者を代表して決意表明を行いました。
 集会には、日本共産党の高橋千鶴子衆議院議員がかけつけ、国会情勢を報告するとともに激励のあいさつを行いました。また、年金者組合森委員長が激励と連帯のあいさつをされました。
 全厚生の参加者は、集会後、厚生労働委員会の審議を傍聴し、強行採決という事態を目の当たりにし、怒りを新たにするとともに引き続くたたかいの決意を固めました。
 国公労連は、自公両党による強行採決という許しがたい事態に対し、25日夕、衆議院議員面会所において、緊急の抗議集会を開催しました。集会には全厚生ほか、50名を超える仲間が参加しました。
 国公労連福田委員長のあいさつの後、日本共産党の高橋千鶴子衆議院議員から強行採決の様子が報告され、全労連、年金者組合から激励と連帯のあいさつを受け、全厚生杉下委員長が、廃案めざして最後まで全力をあげて奮闘する決意を表明しました。

燃えろ!!青年 集え若人
2007国公青年交流集会inつま恋
6月15日(金)〜17日(日)
記念講演は映画『パッチギ!』の井筒和幸監督!

リレーずいそう
●自立阻害法
 私は視覚障害者にマッサージ・はりきゅうを指導する仕事をしています。学生(法律上は利用者)の卒業後の進路を考えてもらう、きっかけになればと、毎年、我が施設の卒業生で治療院を開業し、成功した人を招いて講演してもらいます。その人たちに共通していることがあります。在学中、技術の研鑽を積み、勉強にはげむことは勿論ですが、それだけではありません。早くから開業するための資金のことを考えていることです。在学中から倹約を心がけ、障害年金などをこつこつと貯金して、卒業後の開業資金に当てた人が多いのです。
 昨年から障害者自立支援法が施行されました。学生の多くが、相当の施設利用料を負担させられることになりました。障害年金をもらっていると、それも収入とみなされ、がっぽりと利用料が徴収されてしまいます。手もとには、ほとんど、お金が残らない仕組になってしまいました。これでは開業資金をためることはできません。
 格差社会が問題になっていますが、我が施設の学生たちは、まさに、それがひどくなっています。お金がない人は、卒業してからの活躍のチャンスも奪われています。これでは自立支援法ではなく、自立阻害法です。こんな悪法は、一刻も早く見直さなければなりません。
(国立リハ支部 組合員)

社保庁解体・民営化に反対したたかう組合に入りたい
全厚生兵庫県支部を結成
 5月19日、「全厚生労働組合兵庫県支部結成大会」が神戸市内において開催されました。
 地方事務官廃止に伴う7年間の自治体労組加盟の経過措置が07年3月31日に終了となり、全国の社会保険の「自治労職場」では、多くの職員が自治労本部を上部団体とする新たな国公労組「全国社会保険職員労働組合」への加盟を当然のようにすすめられていました。
 こうした中、兵庫県では、一部の職員が「社会保険庁解体・民営化に対して闘わない、むしろ推進するという方針を持つ労働組合」を選択せず、公的年金制度を崩壊させ、全公務員の首切り自由化をすすめる攻撃に対し、これを許さない立場で闘う全厚生に加盟する
ことを決めました。
 「こんな社会、こんな職場のままでいいはずがない」と立ち上がった仲間の勇気をたたえ、激励のため、結成大会には国公近畿ブロック、兵庫県国公、全厚生本部、そして全国の全厚生の仲間が駆けつけました。
 多くの仲間が見守る中で、結成準備会が提案した規約や運動方針などのすべての議案は、参加した組合員の全会一致で採択され、続いて結成宣言(左記)が若い組合員から力強く読み上げられました。こうして無事、全厚生第31番目の支部が誕生しました。

結成宣言

 社会保険庁改革法案(@日本年金機構法案、A国民年金法等の一部改正案)が5月8日、衆議院本会議で審議入りし、大詰めを迎えている今日、私たちは「全厚生兵庫県支部」を結成しました。
 なぜ、真面目に一生懸命働いてきた私たちが、突然充分な説明もないまま一部の政府与党の人々の考えで、公務員であることが諸悪の根源であるかのように言われ、資格を剥奪され解雇されなければいけないのでしょうか。
 私たちは、国民の年金や社会保険庁に対する不満、怒りの本質は、歴代閣僚、大臣、社会保険庁幹部による大規模施設等への年金財源の無駄遣いや、度重なる法律改悪での年金額の切り下げ、支給開始年齢の繰り延べ、年々上がる保険料などに対してであることを知っています。
 しかし政府与党は、この国民の声には耳をふさぎ、不祥事は現場の職員が悪いと責任を転嫁し、制度の見直しや無駄遣いの責任問題には一切手をつけることなく、社会保険庁を解体・民営化をすればすべてが良くなるかのように宣伝しています。
 社会保険庁を分割・民営化し、業務を外注化することで超長期的な記録や運営が保障できるのでしょうか。数年ごとに委託会社が変わり「安かろう、悪かろう」にならない保障はあるのでしょうか。個人情報は保護できるのでしょうか。何一つ解決されないまま、強行に推し進められようとしています。今こそ「老後の命綱」である年金制度を国民の立場に立って守り、充実させるため、私たち社会保険現場で働く職員が一丸となって立ち上がるときです。
 私たちは2007年3月31日永年の自治労兵庫県職社会保険支部の終了に伴う労働組合の選択にあたり、真剣に悩みました。そして社会保険庁解体・民営化に対し闘わない、むしろ推進するという方針を持つ労働組合ではなく、日本の公的年金制度の崩壊につながり全公務員への新たな「分限免職」への道を開くことになる、この暴挙に対し、廃案にすべく日夜奮闘している全厚生労働組合を選択しました。そして国家公務員の産別組織、日本国家公務員労働組合連合会(国公労連)に結集することを確認しました。
「国民投票法案」が採決され、教育基本法が改悪されるなど、日本の国が「戦争のできる国」へ向かっている危険性を感じる今、胸を張って平和と民主主義、生活安定の確立を掲げ、全ての労働者と連帯したたかいます。
 兵庫の社会保険職場では小さな組織ですが、決して小さな存在ではないことを確信し、ここに結成を宣言します。

2007年5月19日
全厚生労働組合兵庫県支部結成大会

社会保険庁改革闘争に全力を
全国支部委員長会議開く
 全厚生は、5月12日東京都内で全国支部委員長会議を開催し、07春闘の中間総括と当面するたたかいの基本方針について討論しました。
 冒頭、杉下委員長は社会保険庁改革関連法案にふれ、5月9日、国会審議の慣例を無視し、厚生労働委員長の職権で異常な審議が強行された。国会では職員をいかに減らして「官から民」をすすめていくのかという議論が先行され、政府参考人である社会保険庁幹部は主体的に職員の選別排除の姿勢を強く示すなど予断をゆるさない状況となっている。政府与党は、参議院選挙を有利にするために、国民の生活にかかわる「労働法制」を先送りにするなど「戦争する国づくりと奉仕する公務員づくり」を狙った強引な国会運営をすすめている。こうした政府の狙いを多くの仲間に拡げて廃案を目指すために終盤国会に全力をあげることを訴えました。  
 また、国公労連河村書記次長は挨拶で、国会論戦では公務員の「分限処分」にかかわり、悪い内容が積み上げられている。監視と分析が重要。通常国会閉会まで1月半。まさに正念場の闘い。運動の総括をふまえ、全組合員が一丸となって運動をすすめようと激励しました。
 飯塚書記長は、07春闘の中間総括と当面するたたかいの基本方針について提案。社会保険庁改革闘争は全労連が重要課題としての取り組みを強化する中、全国レベルで宣伝行動や事務局長要請行動が取り組まれ、多くの仲間の協力で団体署名行動などを成功させることができた。また、国公労連を中心に積極的に各種マスコミへ働きかけ、世論形成に努めたことなどが報告がされました。その中で、5月10日に放映されたNHK「時論公論」を紹介、「国民の願いは老後の命綱となる年金制度をしっかり運営すること」「選挙目当ての材料にしてはならない」との解説内容にふれ、宣伝行動など世論形成運動の一定の前進として報告がされました。当面するたたかいについては超過勤務の縮減や実効ある「メンタルコールド」対策の強化。職場要求を中心にした交渉の実現。社会保険庁改革闘争では院内決起集会の開催や国会傍聴行動の実施。地元国会議員への要請行動。雇用問題に対する使用者責任の追及など幅広い運動が提起されました。

自立支援法や独法等で議論
21人が発言

 支部代表者からは21人の発言があり、新しく全厚生の仲間に迎えられた兵庫県支部は、結成までの経過と仲間同士の支えあいを基本に闘う決意を発言。本省部門は霞国公残業アンケートの取り組みについての工夫や、約月平均80時間の調査結果を踏まえ、解決に向け引き続き奮闘する決意を発言しました。また、福祉部門は自立支援法の様々な問題点や宿日直問題での課題について報告。社会保険部門からは各支部での宣伝行動や団体署名の取り組みについてや、多くの仲間や国民との対話ができた反面、役員中心の運動からの脱却などについての課題が報告されました。研究部門からは非公務員型独立行政法人化による職場の現状と課題について発言、また、組織強化では若い世代の組合員の加入で前進があったなどの報告がありました。
 最後に、杉下委員長から政府がすすめる独立行政法人化は、結局、予算を押さえ込むなど人事管理強化や労働条件の悪化が進められる中、それぞれの業務が阻害されている。社会保険庁改革法案では、あいまいな規定で分限免職の危険性がある。社会保険庁ひとりの問題ではなく、産別規模の運動で院内外において廃案をめざし闘うことなどが提起され全体で確認し会議を終えました。

平和な未来のために今できることを
第37回国公女性交流集会を開催
 第37回国公女性交流集会が5月11・12日、東京と神奈川で開催され、15単組306人が参加しました。1日目は東京・星陵会館で、二宮厚美・神戸大学教授の記念講演を聞き、人事院と国会議員に要請行動。2日目は分科会と米軍横須賀基地、厚木基地へのフィールドワークを実施。全厚生からは、15人が参加しました。写真は、夕食交流会で全厚生女性部の平和キャラクター「憲法9条を学ぶ地球くん」を紹介する参加者。

訃報
 全厚生中央執行委員の泉徹さん(函館支部)は、病気療養中のところ5月18日、ご逝去されました。(享年41歳)
 謹んでお悔やみ申し上げます。

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