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◆第1666号(2007年1月1日付)◆


国民のための薬用植物研究を
がんばる基盤研薬用植物資源研究センター
 みなさん、薬用植物ってご存知ですか。古くから民間薬として使われていたりするので、例えば、「苦いセンブリを煎じて飲んだことあるよ」なんていう人もいるのではないでしょうか。
 地球上の植物の約1割にあたる約3万種の植物が薬用として利用可能というから驚きです。合成薬が主流の現代においても、薬用植物は合成困難な化学構造をもつものが多く、創薬資源としてたいへん注目されているそうです。
 薬用植物について、さまざまな研究が行われている独立行政法人医薬基盤研究所薬用植物資源研究センター筑波研究部(以下薬用植物センター)に、全厚生基盤研支部のみなさんを訪ねました。 

薬用植物の貴重な研究を積み重ねて
 薬用植物センターは2005年4月、医薬基盤研究所が新たに発足した時、これまで国立医薬品食品衛生研究所薬用植物栽培試験場だったものが、隣接する国立感染症研究所筑波医学実験用霊長類センターとともに基盤研に移行しました。筑波研究部の他、北海道、和歌山、種子島にも研究部があります。
 ここ筑波研究部では、薬用植物の栽培に関する研究、薬用植物の組織培養に関する研究、外国産未利用植物資源の開発に関する研究、薬用植物の品質評価に関する研究、薬用植物の基原種解明に関する研究などが行われています。 全世界に3万種存在するという薬用植物も、近年、環境破壊により著しく減少しているそうで、その収集と保存にも取り組んでいます。

生活と研究環境守り研究に没頭したい
 独立行政法人に移行してから、研究環境は悪くなってきています。基盤研は非公務員型なので労働者の団結権、団体交渉権、団体行動権が保障されています。本来なら、使用者である基盤研究所理事長と労働組合の全厚生基盤研支部が団体交渉をし、労働協約を結び、労働・研究環境を作っていく訳ですが、当局側もゼロからの組織立ち上げという事で対応し切れていない状態です。
 昨年、基盤研支部薬用植物センターと霊長類センターは、筑波学研労協に加盟し、情報を得るなかで、基盤研は、産業技術総合研究所や農林系研究所と比較して明らかに劣悪な研究・労働条件にあり、問題点が浮き彫りになってきました。たとえば、「昇格ルールができていない」という理由で、独法に移行してから昇格が行われてなかったり、「予算がない」という理由で、施設整備費も足りなかったり。基盤研支部でも折に触れ申し入れていますが、改善に至りません。専門技術員の処遇改善も遅れています。
 「基盤研への移行話が急に持ち上がった時、『給与も研究環境も何も変わらない』と言われたのに・・」。「いい研究は、生活の安定とよりよい研究環境から。なのに、基盤研当局は、『予算がない』の一点張り。これでは衰退の一途をたどるだけ」と職員は怒ります。
 しかし、こうしたもとでも、「国として貴重な薬用植物資源の保護に乗り出している国がある一方で、日本はどうか。ここにある薬用植物の貴重な資源や研究は、本来、国民の財産。自分たちがここでがんばることで守られている」ー誇りを持って研究に取り組む職員の全厚生へ寄せる期待は大きい。
 基盤研支部では、団体交渉を要求するとともに、昨年末の本部段階での人事課長交渉や厚生科学課長交渉で労使の基本的ルールの確立を求めました。引き続き、本部・支部が一体となって頑張る決意です。基盤研支部へのみなさんのご支援をお願いします。

厚生共闘が厚生労働大臣と交渉

職員雇用を守り、国の責任で年金制度運営を

いたずらに不安をきたすような事をするつもりはない
雇用問題で厚生労働大臣が回答

 12月19日、厚生共闘(全厚生、全医労)は、柳澤厚生労働大臣と、行政需要に見合う人員の確保や国の責任による年金制度の運営、社会保険庁「改革」に伴う職員の雇用問題などを中心に交渉を行いました。(申入れ内容は別掲)。厚生共闘からは、北川議長(全医労委員長)、杉下副議長(全厚生委員長)以下幹事が、厚労省からは大臣、官房長、人事課長以下関係当局が出席しました。
 冒頭、北川議長が、政府全体の定員削減計画や、5年間10%削減の閣議決定、さらに5・7%純減などが決定されている中で、国民の医療や社会保障制度に対する期待や要望は、年々高まるばかりであり、定員削減計画を中止し、行政需要に見合った定員の配置をぜひとも実現してほしい。とりわけ高齢化社会における国民の医療要求がますます高まり、医療・介護体制の充実が求められていることなどから、国立高度専門医療センターと国立ハンセン病療養所に対する要員の確保の必要性を訴えました。また、国立高度専門医療センターの非特定独立行政法人化方針は撤回してほしい、ことなどを要求しました。
 続いて、杉下副議長が、社会保険庁改革に関わって、公的年金制度の運営について「社会保険庁の在り方に関する有識者会議」では、業務全般について政府が直接関与しかつ十全に運営責任を果す体制を確立することが必要との取り纏めを行い、それにより「ねんきん事業機構法案」が提出された経緯があること。新たな法案に関わって様々報道されているが、年金制度は超長期にわたって管理運営が求められるものであり、国民生活及び社会経済の安定等の見地から見ても、確実に実施されることが必要であり、国が一体的に実施することが必要である。また、一連の不祥事等については身を律して職務に精励し全力で努力しているが、「分限免職」まで取りざたされている雇用問題では不安を覚えることなく、安んじて職務に専念できるよう万全の対応をお願いしたいと大臣の努力を求めました。
 これに対し、柳澤厚生労働大臣は、人員の確保については「国民生活の安全・安定を確保するための施策を進めていく立場からも、適正な定員配置と行政サービスの水準を後退させないよう最大限の努力をしていく」、社会保険庁改革については、「公的年金は国家の制度であり国家の責任において行われることが国民の信頼の原点と考える。今後もどういう組織形態になろうとも維持していかなければならない」「雇用問題については、皆さんの身分ということについていたずらに不安をきたすようなことはするつもりはない。ただ、一定の仕事量に応じたスリム化は避けられないことであり、理解をお願いしたい」などと回答しました。
 北川議長は、雇用問題については別途署名を提出させていただくので、十分意を汲んで引き続き努力をお願いしたいことを改めて要請しました。また、厳しい情勢の中でも職員は、誇りを持ちながら日々努力している。国が行うべき責任を明確にし、国民が安心して暮らせる行政を安定的・継続的に進めていくという立場で、今後とも努力していただきたいことを重ねて要請し、交渉を終わりました。

交渉申入項目
1. 行政サービスの向上・充実にむけ、業務量に見合う必要な要員を確保すること。
(1) 5年間10%削減の新たな定員削減計画を撤回すること。
(2) 国民医療の低下につながる国立高度専門医療センターの独立行政法人化は行わないこと。
(3) 国民の医療要求にもとづき国立高度専門医療センター及び国立ハンセン病療養所の医師、看護師を増員すること。
2. 社会保険庁改革にあたっては、憲法25条にもとづく社会保険制度の拡充を図るとともに、下記事項の実現に最大限の努力を行うこと。
(1) 公的年金制度は国の責任で運営すること。
(2) 新組織への選別採用などの雇用問題や労働条件の不利益変更などの問題が生じないよう、万全の対策をとること。
(3) 社会保険庁のすすめる新たな人事評価制度について、公務全体との整合性(水準、テンポ)を図るとともに、公平性・客観性・透明性・納得性を確保すること。

社会保険庁改革法案について全厚生中央執行委員会が見解
社会保険庁改革法案について(見解)
2006年12月20日 全厚生労働組合中央執行委員会
1  先の通常国会で継続審議とされた「ねんきん事業機構法案」は、臨時国会において一度の審議もないまま廃案となった。これに先立ち「与党年金制度改革協議会」は14日、社会保険庁を解体し(1)公的年金にかかる財政・管理責任は国が担う(2)業務運営は新たな非公務員型の公的新法人が行う(3)多くの業務は民間に委託し職員の大幅削減を図る(4)職員は社会保険庁を一旦退職し第三者機関の厳正な審査を経て再雇用する、ことなどを中心とする関連法案を次期通常国会に提出することを明らかにしている。
2  政府自身が提出した法案を、自ら取り下げるという異例の事態の背景には、通常国会で焦点になった「国民年金不適正事務処理」問題が指摘されている。しかし、相次ぐ年金制度の改悪や、税制改革などによる大幅な負担増に対する国民の怒りを、社会保険庁問題にすり替えて来年の参議院選挙を有利に展開しようとする自民党の党略が見えすいている。現に、10月に行われた衆議院補選において自民党は、「年金を守るなら与党、社会保険庁の役人を守るなら民主党」などのビラを配布し社会保険庁解体を強調している。また、11月6日付毎日新聞社説は、「公的年金は老後の命綱、その運営組織のあり方を政争の具にするのはもってのほかである」と厳しく批判している。
3  小泉政権から安倍政権に引き継がれた「構造改革」は、国民生活のセーフティネットである社会保障をきわめて脆弱なものに作りかえた。その真の狙いは国や企業の責任縮小と、アメリカや日本の生保、損保業界などのビジネスチャンスの拡大に他ならない。その端的な顕れとして、生命保険の加入目的は、「医療費や入院費のため」が「世帯主の死亡などによる万一の備え」を上回った。個人年金の新規契約数は4年間で実に倍増している。個人責任による運用結果で受給額が左右される確定拠出年金(日本版401k)導入企業も急増している。社会保険庁の「解体・民営化」は、こうした社会保障制度の解体路線と一体のものであり、その先には財界の要望である年金財源の消費税化や、厚生年金(報酬比例部分)の民営化が俎上にあることをみておく必要があるのではないだろうか。
4  「老後の命綱」である公的年金は、極めて長期にわたる管理・運営が求められ、安心できる制度確立とともに、国の責任において執行されなければならない。運営組織の「解体・民営化」は、一体的・効率的な運営と専門性・継続性が求められる社会保険業務とは相容れないものである。また、大半の業務を民間に委託することは、市場化テストや公共業務の委託化に伴う様々な問題が指摘されている今日、国民のプライバシーや行政サービスの後退、そして低賃金・無権利労働者の増大につながることが予想される。
5  新組織の発足にあたり職員の引継規定は措置されていない。選別採用の枠組みを作ったうえで自民党は、分限免職(解雇)の適用さえ主張している。労働基本権が制約され、身分が法で保障されている国家公務員労働者の権利を不当に侵害するものであり、こうした攻撃を許すならば、「公務の民間解放」ともあいまって、国公労働者はもとより自治体労働者、教員など全ての公務労働者に波及するものである。
6  全厚生は、この間の一連の不祥事や不適正事務処理問題などに対し、行政への監視と問題提起が不十分であったことを真摯に受けとめるとともに、急増する業務のなか信頼回復にむけて一丸となって努力しているところである。
 次期通常国会の大きな焦点となる、社会保険庁「解体・民営化」の真の狙いを広く国民に明らかにし、安心して暮らせる年金制度の確立と、自らの生活と権利を守るために、07春闘の最大の課題として職場・地域から奮闘する決意である。

社会保険庁と交渉

社会保険庁は使用者責任果たせ
庁交渉で4500筆の署名提出

 全厚生は12月22日、社会保険庁交渉を実施しました。
 交渉には本部専従役員及び支部選出の中央執行委員、社会保険庁からは清水総務部長、中野総務課長、三枝職員課長等が出席し対応しました。
 冒頭、全国から寄せられた「国の責任による年金制度の運営と社会保険庁の使用者責任を求める署名」4500筆を杉下委員長から清水総務部長へ提出し、その実現に向け積極的な対応と誠意ある回答を求めました。

全職員の雇用確保を
 職員の雇用問題について、杉下委員長は、「この間の一連の経過の中で職員に大きな雇用不安がある。国公法75条は身分保障を規定し法律、規則に定める事由があり、公務員の身分剥奪には、極めて厳格・限定的な手続きが求められる。与党方針は、社会保険庁の廃止・解体・民営化であり。年金新法人の発足にあたっては、その職員は社会保険庁を一旦退職した後、第三者機関の厳正な審査を経て再雇用するとしている。『一旦退職をする』ということは、新組織に採用されるということが前提。『市場化テスト法』(48条)では、他の官職(転任を含め)に任用するよう求めている。国公法78条を適用する前に、配置転換と新規採用の抑制措置を取るよう国に努力義務を課している。職員の選別・排除は絶対に認められないものであり、全職員の雇用確保に使用者責任を確実に果たすことを重ねて強く求める」と発言。
 公的年金制度の運営については、「新たな社会保険庁改革与党案は、『一言でいえば頭と心臓は国。胴体は非公務員型の新法人。手足は民間。さらに、そもそもきちんとした理念に基づいて設計された案なのか?仕事がうまく回っていくのか?公的年金は老後の命綱であり、その運営組織のあり方を選挙の駆け引き材料にしたり、政党間の政争の具にするのはもってのほかである』との新聞の論調もある。年金制度は超長期の管理運営が求められ、国民生活及び社会経済の安定等の公共上の見地から確実に実施され、国自らが主体となって直接・一体的に実施することが必要。全厚生は、年金制度を抜本的に改善し、国の責任、行政機関で運営を」と強く求めました。
 これに対し清水総務部長は、「与党方針は、これから具体化がされ国会審議が予定されている。現時点で内容のある回答はできない。免除問題での様々な国会論議において、公的年金制度、実務は守らなければならないことは、おおむね共通認識とされた。失われた国民の信頼を、いかに回復していくのか、汗をかき、形を変え与党案にそって作業をすすめる必要があると考えている。使用者責任では、現行法、法律にのっとって対応するとともに、大臣回答にもあるように、いたずらに不安をきたすようなことを、我々としてもするつもりはない。国民の理解が得られるよう、仕事、雇用、お金の使い方など最善を尽くさなければならないと考える」と回答。

評価制度は絶対評価に
 飯塚副委員長は、公務職場で先行してすすめられている社会保険庁の「新たな人事評価制度」に対して、公務との整合性をはかると共に相対評価を絶対評価とすることなどについて改善を求めました。
 また、年金相談・照会業務の急増など職場実態を訴え、業務量増に伴う必要な人員を確保することと、サービス残業の根絶を強く求めました。職員の健康問題では、社会保険庁が行った長期病休者調査結果にふれ、職員の健康管理対策の拡充を強く求めました。その後、深沢、山本中央執行委員から、現場の切実な要求として「人事評価制度の改善や業務マニュアルの改善」について職場実態を踏まえた発言をおこないました。 
 中野総務課長からは、「国民の信頼回復、人材育成の観点から人事評価制度は重要な課題であり、他の省庁に先駆けて導入をしている。制度の定着には公平性・客観性・透明性・職員の納得性が重要と考える。来年4月からの本格実施に向け職員からの意見要望について積極的に受け改善すべきは改善し対応する。相対評価については、有識者会議等の民間的手法を導入するとの議論もあり、実績を上げた職員とそうでない職員と差をつけることによって、より前向きに努力をしてもらう考えであり、職員の理解をお願いしたい」。
 三枝職員課長からは、「超過勤務と健康管理等の改善については、職員の心身の健康が不可欠であり緊急の課題と考える。特に増加傾向のメンタル対策を強化する観点から、事務局へのメンタル専門医を来年度から配置したい。また、超過勤務縮減は、定時退庁の呼びかけの推進や計画的な業務執行を進めるとともに管理者意識の徹底など検討を重ね一層推進していく」との回答がありました。
 まとめにあたり杉下委員長は、社会保険庁に対する厳しい批判の中、国民の信頼を回復していくことは労使共通の認識としたうえで、職員が国民の視点にたって国民が求める行政遂行に安心して望むためにも、職員の雇用不安を取り除くことが重要。そのためにも社会保険庁として万全の対策を強く要求するとともに、今後も社会保険行政の責務を果たすために、引き続き協議を要請し交渉を終えました。

社会保険は青年の未来に不可欠
青年の社会保険加入を勝ち取る

首都圏青年ユニオン江戸川分会長 須藤武史 さん

 働いていても生活保護水準以下の賃金しか得られない「ワーキング・プア」が社会問題化している。「正社員」はますます狭き門で、労働者の3人に1人、女性・青年労働者のほぼ半数が非正規労働者として、低賃金、劣悪な労働条件、雇用不安のもとで働かされている。特に、青年の現状は厳しい。首都圏青年ユニオン江戸川分会の須藤武史分会長(25)に話をうかがった。
 須藤さんは、ある外食チェーン会社の店舗にアルバイトとして働いている。時給は900円。店は、正社員2人だけで、後はアルバイト4〜5人で回しているが、アルバイトだけの日もある。正社員には、徹底的な成果主義賃金が導入されていて、店の売り上げが即、給料に響く。支出を押さえるためには、いかにアルバイトを安く使うかがカギとなる。
 須藤さんは、「首都圏青年ユニオンに入って、未払いの残業代を支払わせた」という話を聞き、自身も加入。東京都産業労働局が発行(無料)している「ポケット労働法」をいつも持ち歩き、仲間と学ぶうちに、労働者の権利というのが解ってきた。
 ある日、「アルバイトにサービス残業をさせるのは、違法ですよ」と拒否した。そして、「有給をとりたい」と言ったら、「俺が店長のうちは、勘弁してくれ」と懇願された。店長の成績に響くからだ。須藤さんは、成果主義賃金に翻弄される正社員が情けなくなってきた。「この人たちも犠牲者なんだ」
 若者の労働条件の悪化は著しい。江戸川青年ユニオンでは、昨年、青年労働者からいくつかの相談を受け、問題を解決している。たとえば、ホテルのレストランで配膳の仕事を請け負っている配膳請負会社での社会保険未加入の相談。社会保険を入職日に遡って加入させ、労働者負担分の社会保険料を会社側に負担させた。青年ユニオンによると、(1)残業代未払い(2)社会保険・雇用保険に入れさせない(3)有給休暇をとらせないが違法行為の3点セットだそうだ。
 須藤さんに、社会保険に解体・民営化の攻撃がかけられていることを話した。成績主義の導入につていも。
 須藤さんは、「僕たちは、アルバイトでも社会保険に加入させろ、と一生懸命、団体交渉で要求している。青年にとっては大事だから。なのに、民営化だなんて…誰が責任もつんですか」と驚き、「成果主義はだめ。同僚が敵となり、職員が分断される。自分の職場を見ていてよくわかる。公務員に導入されるなんて世も末…」と嘆く。
 「社会保険の解体・民営化反対の運動は、これからが勝負」と言ったら、「協力します」と力強い言葉が返って来た。「腹をくくって、団結して、仲間作って、立ち上がるしかない」

歌そのものが私の生き方
ヴォーカリスト 形岡七恵さん
 形岡七恵さん(24歳)はプロのヴォーカリストを目指しています。ライブ活動の他にも、平和大会や各地の9条の会など平和のイベントで歌うことが少しずつ増えてきました。
 「歌そのものが私の生き方です」と言い切ります。形岡さんが歌うときに一番大切にしていることは、自分自身を通して、その曲を映し出すこと。「『ミュージシャンは音楽を映し出す鏡でなければいけない』という師匠の言葉がいつも胸にあります。
 歌うことで自分の役割を果たしていけると確信したのは、06年6月にカナダで開催された世界平和フォーラムに参加したとき。現地で開催された200人の集会で、アメージンググレイスの曲に峠三吉の詩を乗せた『人間をかえせ』を歌ったとき、被爆者の方が「死んでいった友人達を思い出して涙が出た」と。それまで、自分の平和への思いを歌とどうつなげていいのかわからずに模索し続けてきた形岡さんは、その言葉で自分の歌は人に伝わることを実感しました。
 出会った被爆者の方々に生き方を励まされてきました。「皆、苦しい過去を抱えながらも決して展望を見失わずいつも明るい。そして、青年をあたたかく見守ってくれる。命がけでたたかっている被爆者の姿を目の当たりにして、この人達の思いを受け継いでいきたいし、核廃絶まで絶対に運動を続けよう!と」
 歌と社会をつなげる視点も誠実です。「文化や芸術は人間らしさの象徴。中でも音楽の持つ力は大きいと思います。だけどその一体感や高揚感を、平和にも戦争にも利用されてしまう。だから、社会の出来事に対してどういう姿勢をもって生きるかということが大切で、それは歌う者の使命です。」
 今後の抱負は、「誠実に練習し、誠実に運動にたずさわり、色々な人と音楽を通してつながって、音楽の力を伝えていきたい。誰もが持っている平和への思いを、歌うことで1つ1つ花開かせていきたいですね」。
 形岡さんは、1月20日の全厚生旗開きでも歌ってくれます。皆さん、お楽しみに!
(本部書記)

全厚生カプリチオーソな人々
 音を奏でるのが大好きな人、音楽をこよなく愛する人大集合!カプリチオーソに(気まぐれに気ままに)音楽を楽しんでいる組合員を紹介します。

バンドで三線
大阪支部 支部員

 最近「デラシネ・チンドンズ」というバンドをやり始めました。8月ぐらいから練習を開始し、12月2日の支部定期大会打ちあげに無理やり出演させてもらいました。
 たぶんほとんど期待されてなかったからだと思いますが(笑)、意外と演奏は盛り上がりました。支部の皆様には感謝、感謝。
 ちなみに私は三線を弾いています。

ミュージカルで歌って踊る
統計支部 支部員

 若い頃からコーラスをやっていたのですが、最近はそれに加えてオペラ・歌曲のソロや重唱(イタリアものが中心)、そしてミュージカルの真似事などもしています。なにしろ歌全般が大好きで、でも好きなわりには下手くそで・・・。でも一度きりの人生ですからこれからも時間と状況の許す限り続けていこうと思っています。写真は昨年5月にマイフェアレディ公演をした際のものです。私は中央で(一応)ヒギンス教授を演じてます。

カラオケで‘夢見る少女…’
別府支部 支部員

 私の趣味は‘カラオケ’です。交替勤務なので、なかなか友人と時間が合わないのですが、調整して行っています。私の18番は‘夢見る少女じゃいられない’です。センター文化祭のカラオケ大会でも披露し、利用者、職員を始め、地域の方々、たくさんのギャラリーにも好評でした。ストレス解消には、お腹から声を出すカラオケが一番ですね♪♪

オーケストラでホルン
国立リハ支部 支部員

 運動音痴の私は小学校のときから音楽系のクラブでした。中学で吹奏楽、大学でオーケストラ、大人になっても第九を歌ったり、ステージで演奏したり、極め付けはニューヨーク公演♪♪シーズンの週末は練習で埋まります。現在は、フェイスフィルハーモニー管弦楽団でホルンを担当。今年6月の定期公演ではベートーベン「交響曲第7番」とモーツアルト「フィガロの結婚」を演奏します。忙しくてなかなか出演できないですが、夫も同じオケのフルート奏者です。この音楽とその後のお酒が同じ趣味を持つ夫との唯一の接点です。

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