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◆第1662号(2006年11月1日付)◆


雇用・身分保障、制度改善求め運動
国公労連「社会保険庁改革対策委員会」を発足
 国公労連は10月27日、「社会保険庁改革対策委員会」を発足。国公労連に結集する全単組とブロック代表をはじめ30名が参加し、全国的な宣伝活動や議員・関係団体等への要請など取り組みを強化していくことを確認しました。
 これは、自民党が「ねんきん事業機構法案」を廃案にし、非公務員型の独立行政法人、民営化などの検討を行ったうえで、新たな法案を次期通常国会に提出する動きを強めるもとで、社会保険庁にかけられた攻撃は、社会保障制度改悪と表裏一体をなすものであり、特に「分限条項」の発動なども視野に入れた公務リストラの狙いは、単に全厚生の問題だけではなく、全府省、さらに自治体や教員などすべての公務員労働者に及ぶものであることから、国公労連が全体の問題として位置づけ開催したもの。
 委員会では、(1)社会保険庁の使用者責任を求める全厚生運動の全面的支援(2)社会保障制度改悪と一体となった攻撃の狙いを広く国民に訴えるための全国宣伝行動の展開(3)情勢を踏まえた国会議員要請(4)顧問弁護士との意見交換などの具体的な取組み、そして社会保険行政に働く仲間へのメッセージを全体で確認しました。
 全厚生は当面、使用者としての責任発揮を求める大臣・長官宛の署名を全ての職場で取り組みます。

社会保険行政に働く仲間へのメッセージ

 社会保険庁に働く仲間のみなさん、
 いま、社会保険庁と職員に対する攻撃が、激しさを増しています。自民党やこれに追随するマスコミは、「データのぞき見」や「不正免除」を意図的に強調し、「組織を解体する以外にはない」と主張しています。しかしながら、これは相次ぐ制度改悪に対する国民の批判を、社会保険庁職員に転嫁するものに他なりません。
 職場では、過度のノルマを課せられ、目標管理を軸とする評価制度が導入されています。それでもみなさんは、国民にとって不十分な制度にあっても、社会保障への信頼確保と安定的運用のため、日々懸命に努力されています。現下の攻撃は、このような真摯な努力を一顧だにせず、逆に「悪者扱い」するきわめて不当なものです。
 同時に、社会保障制度の後退は、アメリカや日本の生保・損保業界のビジネスチャンス拡大として狙われてきたものであり、社会保険庁の解体は、社会保障の解体と表裏一体の関係で進められています。
 自民党は、現在国会に提出されている「ねんきん事業機構法案」を不十分として、同法案を廃案とし、社会保険庁の解体と、非公務員型の新組織を内容とする新法案を次期通常国会に提出するよう、強硬に主張しています。そのうえ、新組織への移行にあたっては、分限解雇処分にまで言及していることから、職場には不安が広がっています。
 国家公務員労働者は、法律によって身分保障が規定され、不当に分限解雇を発動することなど許されるものではありません。こうした攻撃を許すなら、国家公務員労働者のみならず、すべての公務員労働者の雇用を一気に不安定化させることにつながります。

 仲間のみなさん、国公労連は、社会保障破壊と雇用破壊の攻撃を、公務員労働者全体の課題と位置づけ、本日、福田中央執行委員長を先頭に、加盟するすべての組合とブロック組織で構成する「社会保険庁改革対策委員会」を発足させました。
 対策委員会は、厳しい攻撃に晒されているみなさんと、全厚生の運動を、全面的に支援してたたかうことを確認しました。とりわけ、雇用問題を中心に据え、雇用保障に組織の総力をあげてたたかいます。
 また、生存権を否定する社会保障解体の攻撃は、公務員労働者のみならず、国民全体に向けられたものです。したがって、この本質を広く国民に訴えるために、社会保険事務局前宣伝など、世論構築に全国で奮闘します。

 仲間のみなさん、国公労連は、自民党や政府・財界の不当な攻撃に屈することなく、すべての国民が安心して暮らせる社会保険制度の拡充と、職員の身分・雇用の保障を求め、中央・地方で組織の総力をあげて奮闘します。黙っていては何も良くなりません。ともにたたかいましょう!

2006年10月27日
日本国家公務員労働組合連合会
社会保険庁改革対策委員会

リレーずいそう
●涙の先

その日、私は泣いていた。
ひたすら泣いていた。
涙は止め処なかった。
何故こんなに流れるのだろう。
ふと思った。

涙の先を見た。

大地だ。

大地だ。

そこには確かに大地があった。
その刹那、私は悟った。
何故涙が下に流れるのか。

大地が語っていた。
「お前の涙は全て受け止めた。」

そうだ確かに全てを受け止めている。

静かに大地は続けた。
「足下を見ろ。お前を支えている。」

確かに、確かにその通りだ。
どっしりと。

加速して涙が溢れ出る。
号泣しながら思う。
なんてことだ。

こんな簡単な事に21年間も気付かないなんて。
私の涙は、これまで流した私の涙は全て受け止められていたのだ。
そして、どんな時も、いつもいつも、私はしっかりと支えられていたのだ。

ああ、父よ母よ、私はもう大丈夫。

私を愛してくれた人々が眠る大地に、さらには万物に支えられている事を、やっとではありますが、たった今、気付きました。
支えられながらも、私は自分の足で立っています。
確かに立っているのです。

頭を上げます。
前を向きます。
これからもどうか私の全てを受け止め支えて下さい。
私は自分の足で歩みます。
支える側で眠るその日が来るまで。  
どうか、どうか、あなたにも一緒に歩んで欲しい。
ー悩み、絶望しているあなたにー
(感染研支部 組合員)

News
教育基本法の改悪やめよ
10・14大集会に27000人

 教育基本法改悪反対大集会が10月14日、東京・明治公園で約2万7000人の参加で開催され、全厚生も参加しました。(写真上)集会では国会情勢報告と各界からのリレー発言による交流と力強い決意表明が行われ、「教育基本法改悪法案をみんなの力を合わせて廃案に追い込もう」との誓いを新たにしました。

年金、社会保障を守ろう
はたらく女性の中央集会で発言

 ストップ!!教育基本法・憲法改悪!などをスローガンに掲げた「第51回はたらく女性の中央集会inさいたま」が10月21〜22日に開かれ、21日の全体会には750人、22日の分科会には500人が参加しました。全体会では、朝日新聞社記者の伊藤千尋さんが「世界を駆ける特派員―9・11を体験した記者が語る平和憲法」と題し講演。全厚生から4人が参加した第3分科会「大増税は社会保障のため?」では、愛知県支部の杉崎さんが、社会保険庁の民営化報道に触れながら、財界のいいなりに、基礎年金財源の消費税化、報酬比例部分の民営化を許してはならない。憲法25条を具現化した国民の権利としての年金、社会保障を守ろう!と発言。参加者から大きな拍手がありました。

STOP!格差社会
官民の仲間が10・27中央行動
 国公労連は10月27日、秋年闘争第2次中央行動を実施し、退職手当・退職年金の引き下げ反対などの要求前進をめざして、全労連・公務労組連絡会と共同した行動を展開しました。この中央行動には、医労連などが主催する医療拡充を求める白衣の大集会や建交労や自交総連によるトラック・タクシーデモ、国会前座り込み行動などで、1万人近くの官民の仲間が、終日にわたって霞が関を騒然とさせました。
 全厚生は午前中、日比谷野外音楽堂での「もうひとつの日本」をめざす中央集会、お昼休みは退職手当改悪反対!人事院前要求行動に参加。国会請願デモでは、教育基本法改悪法案をはじめとする悪法の成立阻止を訴えました。デモ終了後は、有楽町マリオン前で宣伝行動を行い、「構造改革と小さな政府に反対し格差社会を変えよう」と訴えました。

新執行委員紹介
ホルンの音色のような人
中央執行委員 小出千鶴子さん

 やさしい口調とゆったりした動きの中にも芯の強さを感じさせる方です。国立リハ支部は福祉施設ですが、病院も研究所も学院もあり、多職種の職員がおります。職種の枠を超えての交流を広げてくださり、ともに女性の権利や母性保護の大切さ、働き続けられる大切さを学ばせていただいています。
 社会を取り巻く環境はなんだかぎすぎすしているような、そんな中でいじめによる悲しいニュースや教育に関するニュースを多く耳にします。小出さんもそんな年代(反抗期)のお子様と向き合いながら、仕事と家庭と趣味を上手にこなしているのにはいつも脱帽!
 趣味の域を超えているのでは?!と思われる、アマチュアオーケストラではホルンを吹かれるとか…音色の強さや美しさが、心に反映されているのでしょうか。本当の意味での美しい日本になるといいのですが。
 ご存知のように福祉施設は「障害者自立支援法」施行に伴い、翻弄されているような毎日。小出さんもまさにその渦中で多忙なのですが、平等の中でも「おんな力」パワーを発揮して、ご活躍を期待し応援いたします。
(国立リハ支部 組合員)

平和の願いを託してください
「9条改憲反対」新聞意見書広告カンパ
 戦争放棄、戦力不保持、交戦権の否認を明記した憲法9条が変えられようとしています。国公労連は第52回定期大会で、9条改憲阻止のたたかいを広げるために、組合員にカンパを呼びかけ、「9条改憲反対」新聞意見書広告を11月26日に読売新聞に掲載することを決定しました。新聞意見広告にかかる費用は2300万円。費用はすべての労働者と家族のカンパでまかないます。組合員一人当たりにすれば250円。あなたの平和への願いをカンパに託して下さい。

国公労連女性協が平和キャラのイラスト大募集
 国公労連女性協は平和を表現するオリジナルキャラクターのイラストを募集しています。応募資格は全厚生(国公労連加盟組合)組合員とその家族。はがきに黒のペンかマジックでハッキリと書いて(カラー不可)、氏名・支部名・年齢・家族の場合は組合員名を書いて送ってください。
<締め切り>11月30日
<送り先>〒105-0003 港区西新橋1-17-14リバティ14ビル3F 日本国家公務員労働組合連合会 国公労連女性協議会 平和キャラクター係 
<問い合わせ先> TEL 03-3502-6363(国公労連)  *応募者全員に平和グッズを進呈します。

障害者自立支援法施行後の国立施設の実態(連載10)
応益負担と障害認定基準で厳しさ増大
知的障害児施設国立秩父学園

 障害者自立支援法が10月1日から完全施行されました。知的障害児施設・秩父学園もその根拠が大きく変わりました。今までの措置制度も一部に残りましたが、その適用は限定的なもののようです。いま入所されている方のほとんどは、学園との直接契約制度のもとに移らなければなりません。

月7万円、10倍の負担金
 措置は解除され、出身都県の児童相談所が交付する受給者証によって学園との直接契約になります。また同時に利用料が応益制になり、原則1割負担になりました。
 児童福祉法によって秩父学園入所後に要する費用は、全額国が支出することになっていましたが、10月からは給付費として9割を都県が支給することになりました。
 制度変更後日が浅く、移行の事務も行渡っていないものと思われます。直接会う保護者からは確定的な数字や意見を聞くことはできていません。そのような状況の中で、ある父親は、地元児童相談所に呼び出されて新制度の説明を受けた、これからは月額7万円ぐらいの負担金になると言われた、10倍近くの増額になるらしいと言っていかれました。

出身都県施設へ移る動きも
 秩父学園から出身都県内の成人施設へ移る動きも、完全施行の時機に合わせたように出てきています。以前から成人施設へ希望を出されていた方々ですが、新制度下で各施設には経営上の問題が生じています。そして給付費を各都県内の枠内で納めたい要請等が急な動きの理由になっていると思われます。
 私の働く職場でも直ぐに影響が出てきています。1割負担分の他に、食費・光熱費は合計5万8千円を限度として個人別に負担することになりました(世帯の収入に応じた軽減措置がある)。食事毎に、正確な個人別の食事提供記録の作成が始まっています。学園の場合はその記録を各保護者に確認してもらうことも必要になります。病気や病気の予防を目的に出される特別食等についても今までとは違った観点で判断する必要が生じているものと思います。費用のことで保護者と相談しなければならないことも多くなるのではないでしょうか。
 さらに養護学校通学に必要な現金、外部受診時の自己負担分、日用品費などが個人別に実費として現金で徴収されます。この額が園生によっては負担能力を超えてしまうのではと危惧します。すでに園外病院での受診では、本人負担分を小遣いで支出しています。養護学校の修学旅行に行けなくなる人も出てくるのではないかと心配です。同じ寮舎の中で、費用負担能力によって処遇内容を変えなければならないこともあるかと思います。

入園のハードルは一層高く
 入園への影響については、今日まだ報告できません。しかし、給付費の流れが都県単位になったこと、障害認定基準が知的障害児の福祉にとっては厳しくなるのではないか等を考えると、入園へのハードルは一層高くなったと言えると思います。
 入所することにいたる多様な問題を私たちも共有することが今後のたたかいには重要だと思います。
(秩父学園支部 組合員)

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